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学位論文題名 X-chromosome activity durlngeStabliShnlentanddi1王erentiationofenlbryonlCStenlCellSinnliCe

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Academic year: 2021

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博士(地球環境科学)   ファリノヾーシリン

     学位論文題名

    X‑chromosome activity durlngeStabliShnlent anddi1 王erentiationofenlbryonlCStenlCellSinnliCe

(マウス胚性幹細胞株の樹立と分化過程におけるX 染色体の活性)

学位論文内容の要旨

    哺 乳 類 で は 、 ´ 陸 染 色 体 構 成 に よ り 個 体 の 性 が決 ま る。 雌はXX、 雄はXYであ り、XY共 に 常 染色 体対 よ り分 化し たものである。X染色体は 中型で常染色体と同程度の密 度で遺伝子が分布し て いる 。一 方 、Y染 色 体は一般に小型でへテ口ク ロマチン化する傾向があり、 ほぽ同じ大きさの常 染色体に 比べても、格段に少い数の 遺伝子しか持たない。生物に とって、ゲノムのパランス 保持は 極めて重 要なので、性染色体の分化 に伴って、遺伝子量補正機構 が出現せざるを得ない。哺 乳類で は この ため に 、雌 細胞 にあ る2本のX染 色体 の一 方 から の転 写を 、ほ とんど 全長に渡って止めるX 染色体不活´陸化(X chromosome inactivation)が採用されている。このX染色体不活性化現象は発見よ り40余年 を経た現在も解明されてい ない面が多く、活発に検i寸 カゞ加えられている。特にこの数年 は不7陸 化開始に関する新知見カ渉く 報告されている。

X染色 体不 活陸 化の 研 究が急速に進まない原因の ーっは、この現象が、胚が未 だ小さい間、しかも 母 体内 で起 き るた めと 考えられる。その上、マウ スではX染色体不潛陸化は胚 全体で一度に起きる の では なく 、 少な くと も3回に わた って 起 きる 。し かも 最 初の2回で は父由 来Xが選択的に不活性 化 し、 最後 の1回で は どち らか 一方 がラ ン ダムに 不活性化するという点で違 いがあるため、1個の 胚の中にr肴陞北に関し種々の細胞が 混在することになり、各々 を分取することは技術的に難しし丶 このような困難があるため、近年の分子生物学的な手法による不活´I生化研究は胚幹細a包くembryomc stem cell)を利用することが多い。

  ES細胞 は胚盤胞期の胚をフイーダ ー細胞およびleukermaiIIhibit.0ッぬtor(uD存在下で培養する ことによ って、内部細胞塊より直接 得られる未分化で分裂能の高 い細胞株である。適切な条 件を与 えると細 胞分化カ誘導され、それと 同時にX染色体の不活´幽匕 が起きることが知られている。ただ し、条件 を整えるのが難しいためか 、不冶陸化の起きる時期や必要とする時間の変異幅が広いので、

実 験 に 難 し さ が あ る 。 また 、 不活 性化 の指 標と し ては 晩期 複製X染 色体 の出 現 と織m恥nによ る X染色 体のco面ngな ど が広 く用 いら れて い るが 、何 れも 細 胞を 固定 後種々の 手続きを経てようや く 結 果 が 得 ら れ る た め 、 リ ア ル タ イ ム で の 判 断 が 出 来 れ ぱ 非 常 に 有 用 と な る 。   そこ で当 研 究で はX染色 体不 漕陸 化の 研 究に活 用できる、X染色体上にレポ ーターとして有効な 缸..zと併Pトランスジーンを持っ たES細胞株の樹立を試みた。 マウスには選択的な不漕陸 化もあ る ので 、父 由 来Xあ る いは 母由 来X上に トラ ンス ジーンを持つES細胞の樹立を 目指した。同時に、

樹 立過 程で のX染色 体 の活´陸変化を検討し、樹 立されたEs細胞が目的通り実 際役に立つのか、分 化 過程 にお け るX染 色 体の 不潛 陸化 とマ ー カー トラ ンス ジ ーン の発 現の時間 的関係を検討した。

胚盤胞は 、129/Sv(早)XGu♂)とGu早)X129/Sv(♂)の交配より得た。GLで表したマウスはX連鎖

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(2)

トランスジーンHMG‑lacZを持つH253系マウスと、GFPトランスジーンをX染色体ヒに持つ#152A 系統の交配より得られた組み換え体で、X染色体には両方のトランスジーンが乗っている。15%の 牛胎児血清と100U/川のL正を含んでいるDMEMを用い胚盤胞をフイーダー細胞上で浮遊培養し た。これを5%炭酸ガス中で培養すると、2,3日後に胚は透明帯より脱出して、フイーダー上に 接着し栄養芽細胞が拡がって足場を築いた。内部細胞塊は細胞分裂によって体積を増し液面に向か って張り出す。内部細胞塊が適切な大きさになるのを見計らって、夕ングステン針ではがし、トリ プシン処理した後に新しいフイーダー上で培養を続けた。2,3日後ES細胞の特徴を備えた細胞 群が出現すればほぽ成功であるが、多くの場合は殆どの細胞が分化してしまいES細胞株樹立には 至らなかった。約400個の胚盤胞より最終的に3系統の雌ES細胞株が得られた。1系統〔MC58)は トランスジーンが母由来Xに、2系統くGLl,GL2)では父由来X染色体の上にある。3系統とも核 型は正常で、同調的に複製する2本のX染色体を持っていた。未分化状態ではどの細胞もGFPに よる螢光を発し、意外にも缸Zによってコードされる日‐g甜acめsidaSe漕陸は甑めて高く、短時間で 細胞質まで濃染した。

  細胞の分 化誘導 実験はMC58を用いて行った。フイーダーを用いずL正の存在下で細胞を増 殖させ、十分な細胞数が確保された段階でES細胞が接着できなしVヾクテリア用のシャーレに移す。

従来の報告と同様、細胞同士が接着し胚様依enlbIy(澗body)を形成し、浮遊したまま細胞数を増や して初期胚類似の細胞分化が進行した。3日目に半分はそのまま培養を継続し、残る半分を細胞 培養用のシャーレに移して(repla喞培養した。胚様体はシャーレの底に接着し細胞は周辺部に拡が り分化は更に促進される様に見えた。この過程で不活性化の代表的な指標である晩期複製X染色 体の出現、GFPによる螢光の変化、X馴染色によるp|劇滑陸の消長を検討した。実験は2回行 った。胚様体をrq皿a肥した群では、細胞分化誘導開始後8日目までに実験1ではほぽ50%、実験 2では80%の分裂中期細胞に晩期複製X染色体が認められた。ただし、晩期複製X出現の開始は 必ずしも一定ではなく、実験1では4日目にすでに10%の細胞に認められているにもかかわらず、

実験2では4日目で は零で翌 日8%となった。聊1ぬしなかった群でも実験1でrepl眦群以上に 晩期複製Xが見いだされたが7日目で逆転した。実験2でI欝誠鹸韓きを続けた群では7日目まで、

晩期複製Xは認められず8日目に8%になったに過ぎない。実験間に見られた違いの原因は不明 であるが、最初の細胞塊形成が大きな要因になっている可能性がある。実験2における浮遊培養 群での晩期複製X出現の著しい遅れの原因は不明であるが、培養条件の違いが関与していること が考えられる。GFPの発現が停止した細胞は聊1ぬ群では最加から認められた。細胞の形態より 内胚葉と判断される周辺細胞では5日目には既にランダムな不活性化を示唆するまだら状の螢光 パターンが見られたが、一面に螢光を出さない部分も多く認められ、その原因に関しては更に検 討を要する。少なくとも、逆に一面に螢光を発する内胚葉は認められなかった。また、実験期間 を通して、胚様体の中心部が螢光を失うことは無かった。未分化状態ではロ‐劇活性は非常に高 く、実験2では4日目には全ての細胞がX―Gm染色で濃染していた。実験1では周辺部に既に染 色されないあるいは薄く染色される細胞が出現していた。その後の変化はGFPの螢光と同じ傾向 を示した。

  このようにGFPトランスジーンはりアルタイムに、しかも細胞を生かしたままオ寸旨l生化を検知 出来るので、これらES細胞株のX染色体不冶陸化研究への今後の活用カ湖待される。当研究でも 示したように、あたかも母由来X染色体が選択的に不漕陸化されたような様相を呈することもあ り、その理由も解明されなければならない。予備実験では、GL2細胞でも、同様に一面螢光を発 せず、X.G甜でも染まらない内胚葉の出現が認められた。更に詳しいこれらの細胞の検討によっ て従来知られていない面白い現象も見いだされる司飽陸カ滴い。

1555 ‑

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

高 木 信 夫 木 村 正 人 高 橋 芳 幸 北 田 一 博

     学位論文題名

    X‑chromosome activity durlngeStabliShnlent anddif [ ・ erentiationofembryonlCStemCellSlnmlCe    (マウス胚性幹細胞株の樹立と分化過程におけるX 染色体の活性)

     哺乳 類の 性染 色体構 成は 雌では XX 、雄ではXY である。X 、Y 共に常染色体対より 分化したものであるが、X 染色体は中型で常染色体と同程度の密度で遺伝子が分布するも のの、Y 染色体は一般に小型で、ほぽ同じ大きさの常染色体に比べても、遺伝子数は格段 に少い。生物にとって、ゲノムのパランス保持は極めて重要なので、Y 染色体の縮小に伴 って、遺伝子量補正機構が出現した。哺乳類ではこのために、雌細胞にある2 本の X 染色 体の一方からの転写を、ほとんど全長に渡って止めるX 染色体不活性化(XCI) が採用され た。このX 染色体不活性化現象は発見より40 余年を経た現在も解明されていない面が多 く 、 こ の 数 年 、 分 子 機 構 に 関 す る 新 知 見 が 多 数 報 告 さ れ て い る 。     XCI の研究が急速に進まない原因のーっは、この現象が、胚が未だ小さい間、しかも 母体内で起きるためである。その上、マウスではXCI は胚全体で一度に起きるのではなく、

少なくとも3 回にわたって起きる。しかも最初の2 回では父由来X が選択的に不活性化し、

最後の1 回ではどちらか一方がランダムに不活性化するという違いがあるため、1 個の胚 の中にXCI に関し種々の細胞が混在することになり、各々を分取することは技術的に難し い。このような困難があるため、近年の分子生物学的な手法によるXCI 研究は胚幹(ES) 細胞を利用することが多い。

  ES 細胞は胚盤胞期の胚をフイーダー細胞およびleukemia inhibitory factor (LIF) 存

在下で培養することによって、内部細胞塊より直接得られる未分化で分裂能の高い細胞株

である。適切な条件を与えると細胞分化が誘導され、それと同時にXCI が起きることが知

られている。ただし、条件を整えるのが難しいためか、XCI の起きる時期や必要とする時

間の変異幅が広いので、実験に難しさがある。また、XCI の指標としては晩期複製X 染色

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体 の 出 現 と Xist mRNA に よる X 染 色 体 の coating な ど が 広 く 用 い ら れ て い る が 、 何 れも 細胞 を固 定す る必 要が あり 、そ の後 種々の 手続きを経てようやく結果が得られるため、リ アルタイムでの判断が出来れぱ非常に有用となる。

     当研 究で はX 染 色体 上に レポ ータ ーと して便利な1acZ とG .FP トランスジーンを持つ、

XCI の 研 究 に 活 用 で き る と 期 待 さ れ る ES 細 胞株 の樹 立を試 みた 。マ ウス には 選択 的不 活 性 化 も あ る の で 、 父 由 来 X と 母 由 来 X 上 に ト ラ ン ス ジ ーン を 持 つ 2 種 類 の ES 細 胞 の 樹立 を 目 指 し た 。ま た、 樹立 され たES 細胞 が目 的通 り実 際役に 立っ のか 、分 化過 程に おけ る XCI とマーカートランスジーンの発現の時間的関係を検討した。

     胚盤胞は、129/Sv (♀)XGL (♂)とGL (早)X129/Sv (♂)の交配より得た。GL マウスは X 連 鎖 ト ラ ン ス ジ ー ン HMG ― ぬ ( Z を 持 つ H253 系 マウ ス と 、 同 じ く GF . P トラ ンス ジー ン を X 染 色 体 上 に 持 つ # 152A 系 統 の 交 配 よ り 得 ら れた 組 み 換 え 体 で 、 X 染 色体 には 両方 の ト ラ ン ス ジ ーン が乗 って いる 。最 終的 に3 系 統の 雌ES 細胞 株が 得ら れた 。1 系 統( MC58 ) は ト ラ ン ス ジ ー ン が 母 由 来 X に 、 2 系 統 ( GLl , GL2 ) では 父 由 来 X 染 色 体 の 上 に あ る。

い ず れ も 核 型 は 正 常で 、 2 本 の X 染 色 体 は 同 調的 に複 製し 、XCI は起 きて いな い。 未分 化 状態 では どの 細胞 も緑 の螢 光を 発し 、幽cZ によってコードされるロ―ガラクトシダーゼ活 性は極めて高い。

   細 胞 の 分 化 誘 導 実 験 は MC58 を 用 い て 行 っ た 。 胚 様 体形 成 に よ る 、 分 化 過 程 で XCI の 代 表 的 な 指 標で ある 晩期 複製 X 染色 体の 出現 、GFP に よる螢 光の 変化 、X ―Gal 染色 によ る p − g 甜 活 性 の消 長を 検討 した 。こ れら の指 標は 分化 誘導開 始後 4 〜 5 日目 に出 現し 、時 間 的にほぽ並行的に変動した後、約一週間で最高値に達したが、細部には違いも認められた。

  GFP ト ランス ジー ンは りア ルタ イム に、 しか も細 胞を 生か した まま不 活性化を検知出来 る の で 、 こ れ ら ES 細胞 株 は 今 後 X 染 色 体 不 活性 化研 究など への 活用 が期 待さ れる 。当 研 究で は、 あた かも 母由 来X 染 色体 が選 択的 に不 活性 化さ れた よう な様相 を呈する細胞もあ るこ とが 示さ れた 。ま た、 予備 実験 では、 GL2 細胞 にも 、同 様な 振る舞 いをする細胞の存 在が 認め られ た。 更に 詳し い検 討に よって 、従来気付かれることのなかった面白い現象も 見いだされる可能性が高い。

   以 上 の よ う に 、 本 論 文 は XX EC 細 胞 株 の 樹 立 と 、 細 胞 分 化誘 導時 のX 染 色体 の振 る舞 い を 検 討 し た 。 細 胞 を 生 か し たま ま XCI の 進 行 状 態 を 知 る こと が出 来、 しか もXCI によ っ て生じ るモ ザイ クパ ター ンが 容易 に観 察で きる 。こ れを 基にXCI の分子機構や不活性化 さ れ る X 染 色 体 の 選 択 機 構 の 解 明 な ど が 進 む も の と 期 待 さ れ る 。

審査 員一 同は 、こ れらの 成果 を高 く評 価し 、大 学院 課程 にお ける 研鑽 や単位取得など も併 せ申 請者 が博 士(地 球環 境科 学) の学 位を 受け る資 格を 有す るも のと判断した。

‑ 1557−

参照

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