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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 李

  

炳 千

    

学位論文題名

The evaluation of estrogenlCaCtiVityofNakdongRiVer   baSinanditSCOntr01byWatertreatmentprOCeSSeS

  

(洛東江流域のエストロゲン様活性の評価と水処理によるその制御)

学位論文内容の要旨

現代社会では非常に多くの化学物質が様々な用途で利用されている一方で、不必要になっ た化学物質が環境中へと放出されている。近年、それら化学物質の中で生物の内分泌系に作 用することにより、生体のホメオスタシスを阻害し、種々の影響を及ぼす恐れを有するもの が存在することが明らかとなった。この内分泌攪乱作用はこれまでの環境リスク管理の対象 としてきた毒性機序と異なり、またごく低濃度でその作用が発現することが報告されている。

しかし、内分泌攪乱作用についての研究は、個々の化学物質についてのスクリーニングが実 施 され て い る段 階 で あり 、 環境 での 挙動につ いての研 究は緒につ いた段階 である。

  洛東江は韓国南部最大の河川であり、上流域から下流域まで水道水源として利用されてい る。しかし、洛東江中流域にある大邸市およびその周辺には大規模な繊維、染色工業団地が 存在し、都市下水や工業排水の一部は処理されているが、その処理水や未処理の廃水が洛東 江に排出されている。そのため、これらの廃水中の化学物質が洛東江中流域から下流域での 生態系に及ぼす影響や水道水源として利用しでいる釜山をはじめとする水道水への影響につ いてのりスク評価を行う必要が生じている。

本論文は、酵母Two―Hybrid法を用いて洛東江流域におけるエストロゲン様物質による汚染 状況を明らかにするとともに、下水処理システムおよび浄水処理プロセスにおけるエストロ ゲン様物質の除去機能を評価し、洛東江流域におけるエストロゲン用物質のりスク管理のた め の 代 替 指 標 を 提 言 す る と と も に 、 水 代 謝 シ ス テ ム の 在 り 方 を 論 じ て い る 。

  1章は序論であり、内分泌攪乱物質の問題点やこれまでの調査・研究について論じた。

さらに、内分泌攪乱作用を評価するバイオアッセイの意義,それらの中で酵母Twoーhybrid法 が河川水等環境試料の内分泌攪乱性を評価するのに適していることを明らかにし、また、洛 東 江流 域 で りス ク 管理 の 意 義に つ い て述 べ 、本 研 究 の目 的 と構 成 を 記し て いる 。

第2章では、洛東江流域での調査方法および試料の試験方法を記している。

  3章では、洛東江流域の内分泌撹乱性の指標であるエストロゲン活性や内分泌撹乱性を 有する化学物質である17ロエストラジオールやアルキルフェノールエトキシレート等の挙

(2)

動やDOC/E260等の水質指標について調査した結果を基に、その流域特性について記している。

即ち、大邸市の上流部ではエストロゲン活性は低く、その下流域ではエストロゲン活性が高 く、その原因物質である17ロエストラジオール等内分泌攪乱化学物質も存在している。ま た、下流部ヘ流入する支流からもその流域の下水や畜産廃水等の影響を受けている。特に、

渇水期ではエストロゲン活性が高くなることを明らかにした。さらに、河川等表流水の有機 汚濁指標 として汎用されているBOD3mg/L以下の清冽な水質状態とされる流域でも、内 分泌撹乱性が確認され、一般有機物に比べ自浄作用の効果か低いことを明らかにしている。

  4章では、洛東江流域にある下水処理場および浄水場を対象として、内分泌撹乱性の指 標であるエストロゲン活性や内分泌攪乱性を有する化学物質である17pエストラジオール やアルキルフェノールエトキシレート等の挙動やDOC/E260等の水質指標について調査した 結果をもとに、内分泌攪乱性からみた水処理プロセスの特性を記している。即ち、下水処理 で汎用されている標準活性汚泥法では内分泌撹乱性やその原因物質の低減化率が低いことを 明らかにした。また、浄水処理で汎用されている凝集沈殿・急速砂濾過でも、標準活性汚泥 法と同じ程度の機能しか期待できないことを明らかにした。しかし、洛東江下流域の水資源 保全をはかるため一部の下水処理場や浄水場では、オゾン酸化処理や活性炭吸着処理を導入 しており、これらの単位プロセスを付加することで内分泌攪乱性やその原因物質を実質的に 安全と考えられる水準に到達できていることを明らかにした。

  5章では、現地調査で内分泌攪乱性を最も高く低減化していることが明らかとをった酸 化処理について、塩素処理を対象として取り上げて室内実験によりその低減特性を確認した ことを 記してい る。すなわち、遊離塩素が24時間後にlp pm以上検出される不連続点処 理を行うことにより、内分泌攪乱物質が酸化分解され内分泌攪乱性が消滅することを明らか にした。

  6章は総括であり、洛東江における内分泌攪乱性の発生源は中流部の都市廃水および工 場廃水であることを明らかにし、さらには、内分泌攪乱性によるりスク管理のために常用さ れている水処理システムは不十分であり、酸化処理を付加した高度な水処理システムを導入 すべきなど、洛東江流域の水代謝システム在り方についての考え方を明らかにしている。

(3)

学位論文審査の要旨

    

学位論文題名

The evaluation of estrogenlCaCtiVityofNakdongRiVer   baSinanditSCOntrolbyWatertreatnlentprOCeSSeS

    

(洛東江流域のエストロゲン様活性の評価と水処理によるその制御)

現 代社会 では非常に多くの化学物質が様々な用途で利用されている一方で、不必要になった化学物質 が環境中へと放出されている。近年、それら化学物質の中で生物の内分泌系に作用することにより、生 体のホヌオスタシスを阻害し、種々の影響を及ぼす恐れを有するものが存在することが明らかとなった。

この内分泌攪乱作用はこれまでの環境リスク管理の対象としてきた毒性機序と異なり、またごく低濃度 でその作用が発現することが報告されている。しかし、内分泌撹乱作用についての研究は、個々の化学 物質についてのスクリ一二ングが実施されている段階であり、環境での挙動についての研究は緒につい た段階である。

洛東江は韓国南部最大の河川であり、上流域から下流域まで水道水源として利用されている。しかし、

洛東江中流域にある大邸市およびその周辺には大規模な繊維、染色工業団地が存在し、都市下水や工業 排水の一部は処理されているが、その処理水や未処理の廃水が洛東江に排出されている。そのため、こ れ らの廃 水中の化学物質が洛束江中流域から下流域での生態系に及ぽす影響や水道水源として利用し て い る 釜 山 を は じ め と す る 水 道 水 へ の 影 響に つ い ての り ス ク評 価 を 行う 必 要 が生 じ て いる 。   本論文は、酵母Two−Hybrid法を用いて洛束江流域におけるエスト口ゲン様物質による汚染状況を明ら かにするとともに、下水処理システムおよび浄水処理プ口セスにおけるエスト口ゲン様物質の除去機能 を評価し、洛束江流域におけるエスト口ゲン用物質のりスク管理のための代替指標を提言するとともに、

水代謝システムの在り方を論じている。

  第1章は序論であり、内分泌攪乱物質の問題点やこれまでの調査・研究について論じた。さらに、内 分泌攪乱作用を評価するバイオアッセイの意義,それらの中で酵母Two←hybrid法が河川水等環境試料 の内分泌攪乱性を評価するのに適していることを明らかにし、また、洛束江流域でりスク管理の意義に ついて述べ、本研究の目的と構成を記している。

1219

基 男

雄 公

眞 高

清 渡

授 授

授 授

   

   

(4)

2章では、洛東江流域での調査方法および試料の試験方法を記している。

  第3章で は、洛東江流域の内分泌撹乱性の指標であるエストロゲン活性や内分泌撹乱性を有する化 学物 質であ る17pエ ストラ ジオール やアルキ ルフェ ノールエ トキシレート等の挙動やDOC/E260等の 水質指標について調査した結果を基に、その流域特性について記している。即ち、大邸市の上流部で はエ ストロ ゲン活性 は低く 、その下 流域ではエストロゲン活性が高く、その原因物質である17ロエ ストラジオール等内分泌撹乱化学物質も存在している。また、下流部ヘ流入する支流からもその流域 の下水や畜産廃水等の影響を受けている。特に、渇水期ではエストロゲン活性が高くなることを明ら かに した。 さらに、 河川等 表流水の 有機汚濁 指標と して汎用 されて いるBOD3mg/L以下の清冽な 水質状態とされる流域でも、内分泌攪乱性が確認され、一般有機物に比べ自浄作用の効果か低いこと を明らかにしている。

  第4章で は、洛東江流域にある下水処理場および浄水場を対象として、内分泌攪乱性の指標である エス トロゲ ン活性や 内分泌 撹乱性を 有する化 学物質 である17pエストラジオールやアルキルフェノ ールエトキシレート等の挙動やDOC/E260等の水質指標について調査した結果をもとに、内分泌撹乱性 からみた水処理プロセスの特性を記している。即ち、下水処理で汎用されている標準活性汚泥法では 内分泌撹乱性やその原因物質の低減化率が低いことを明らかにした。また、浄水処理で汎用されてい る凝集沈殿・急速砂濾過でも、標準活性汚泥法と同じ程度の機能しか期待できないことを明らかにし た。しかし、洛東江下流域の水資源保全をはかるため一部の下水処理場や浄水場では、オゾン酸化処 理や活性炭吸着処理を導入しており、これらの単位プロセスを付加することで内分泌攪乱性やその原 因 物 質 を 実 質 的 に 安 全 と 考 え ら れ る 水 準 に 到 達 で き て い る こ と を 明 ら か に し た 。

  5章で は、現地調査で内分泌攪乱性を最も高く低減化していることが明らかとなった酸化処理に ついて、塩素処理を対象として取り上げて室内実験によりその低減特性を確認したことを記している。

す な わち 、 遊 離 塩素 が24時 間 後 にlppm以 上 検出さ れる不 連続点処 理を行 うことに より、 内分泌 撹乱物質が酸化分解され内分泌撹乱性が消滅することを明らかにした。

  6章 は総括であり、洛東江における内分泌撹乱性の発生源は中流部の都市廃水および工場廃水で あることを明らかにし、さらには、内分泌攪乱性によるりスク管理のために常用されている水処理シ ステムは不十分であり、酸化処理を付加した高度な水処理システムを導入すべきなど、洛東江流域の 水代謝システム在り方についての考え方を明らかにしている。

これを要するに著者は、洛東江流域の水代謝システムの在り方について内分泌攪乱物質の観点から明 らかにしたものであり、地域特性を配慮した用排水処理システムを構築すべきであることを明らかに したものである。

これは水環境中存在する化学物質のりスク管理工学の進歩に資するものであり、都市環境工学特に環 境衛生工学に対して貢献するところ大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学 位を授与される資格があるものと認める。

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参照

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