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IRUCAA@TDC : インプラントを用いた上顎前歯後方移動における生体力学的検討 : 三次元有限要素解析

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

インプラントを用いた上顎前歯後方移動における生体力

学的検討 : 三次元有限要素解析

Author(s)

東郷, 聡司

Journal

歯科学報, 111(5): 508-509

URL

http://hdl.handle.net/10130/2633

Right

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論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 近年,ミニスクリュータイプのインプラントを利用した上顎前歯を一塊にした後方移動が,臨床応用されて いる。しかし,6前歯の移動様相に関しては,臨床的評価が多く力学的解析はみられない。そこで本研究は, 三次元有限要素法を用い,インプラントから上顎6前歯を一塊として後方移動させる治療メカニクスにおい て,インプラント埋入部位,また牽引部フックの高低差など,牽引方向の違いが歯の移動にどう影響するかを 明確にすることを目的とした。 2.研 究 方 法 研究資料は,ヒト乾燥頭蓋骨から得られたX線 CT データを用いた。スライス三次元画像処理・編集ソフト ウェア Mimics11.0(Materialise N. V.社製)にて,CT 値から上顎骨の皮質骨と海綿骨,歯をそれぞれ抽出し, 三次元モデルの構築およびワイヤーの作成を行った。作成されたデータを,汎用有限要素解析プログラム ANSYS Release11.0(Swanson 社製,サイバーネット社扱い)に出力し,皮質骨,海綿骨,歯,ワイヤー,そ してワイヤーと歯を連結するブラケットの三次元有限要素モデルを構築し解析を行った。荷重は,インプラン トの高低差による違いを検討するために,牽引部位をフック基部に設定し,インプラント埋入部位を上顎第一 大臼歯と上顎第2小臼歯の槽間中隔部歯槽骨骨頂点から歯根尖方向に2mm にしたものを荷重1とした。ま た,牽引部位を変えずにインプラント埋入部位を10mm にしたものを荷重2とした。さらにフックの高低差を 検討するために,牽引部位をワイヤーより6mm 上方のフックに設定し,インプラント埋入部位を2mm にし たものを荷重3とし,牽引部位を変えずにインプラント埋入部位を10mm にしたものを荷重4とした。以上, 計4つの牽引方向について解析を行い,6前歯の変位量と,最大および最小主応力分布を比較した。 3.研究成績および結論 荷重1は歯冠の変位量が大きく歯頚部への集中した応力を認めた。荷重2では,荷重1より歯冠の変位量が 小さく,歯頚部に集中した応力は分散され,歯根全体にかかる応力分布であった。また,牽引方向の垂直成分 が増した事により圧下の移動様相が大きくなった。しかし,荷重1,2ともに大きな歯冠の変位と歯頚部に集 中した応力を認めた。それに対し荷重3では,歯冠の変位量は同様に大きいが4前歯の移動様相が変わり,歯 冠の唇側への変位を認め,唇側に最小主応力の分布を認めた。荷重4では荷重3よりも4前歯の歯冠の変位量 氏 名(本 籍) とう ごう さと し

(千葉県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1780 号(甲第1055号) 学 位 授 与 の 日 付 平成20年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 学 位 論 文 題 目 インプラントを用いた上顎前歯後方移動における生体力学的検討 ―三次元有限要素解析― 掲 載 雑 誌 名 歯科学報 第110巻 3号 319∼330頁 2010年 論 文 審 査 委 員 (主査) 末石 研二教授 (副査) 佐野 司教授 柴原 孝彦教授 井出 吉信教授 歯科学報 Vol.111,No.5(2011) 508 ― 52 ―

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と歯頚部への集中した応力は増していた。これは,牽引方向が抵抗中心の上を通るため,反時計回りの回転 モーメントを生じた結果と考えられた。4荷重方向での移動動態を評価すると,犬歯において全ての荷重で変 位と応力が大きく表れ,傾斜移動の移動様相であった。4前歯においては,荷重3での牽引がより歯体移動を 示す変位と応力であり,特に左側の中切歯において舌側への変位量が歯根と歯冠で同程度であった。 以上より,牽引方向の違いによる歯の移動動態は,インプラントを高位に埋入することで歯体移動に近い移 動様相になることが示された。しかし,牽引方向は抵抗中心から離れているため歯体移動に至らなかった。そ こで,フックの高さを水平の牽引になるように設定することで力の作用線が6前歯の抵抗中心を通り歯体移動 すると考えられた。インプラント埋入部位とフックの高さは歯の移動様相に影響し,症例に応じた適用の必要 性が示唆された。 論 文 審 査 の 要 旨 ミニスクリュータイプのインプラントを利用した上顎前歯を一塊にした後方移動が臨床応用されている が,6前歯の移動様相に関しては,臨床的評価が多く力学的解析はみられない。そこで本研究は,三次元有限 要素法を用い,インプラント埋入部位と牽引部フックの位置変化による牽引方向の違いが6前歯の移動様相に 及ぼす影響について検討した。 研究資料は,ヒト乾燥頭蓋骨から得られたX線 CT データを用い,CT 値から上顎骨の皮質骨と海綿骨,歯 をそれぞれ抽出し,ワイヤーおよびワイヤーと歯を連結するブラケットの作製を行い,三次元有限要素モデル を構築した。荷重は,インプラント埋入部位および牽引部フックの高低差を検討するために,それぞれ2箇所 を設定し,計4方向の牽引について解析を行い,6前歯の変位量と最大および最小主応力分布を比較した。そ の結果,各歯に発現する変位や応力に相違を認め,高い位置のインプラントからの牽引では,歯は傾斜の程度 を弱め,垂直成分が増加したことで圧下の様相が増していた。次に,牽引部フックを高くすると,反時計回り の回転モーメントが生じ,4前歯は歯冠の唇側への移動様相であった。これらの結果より,インプラント埋入 部位とフックの高さは歯の移動様相に影響し,症例に応じた適用の必要性が示唆された。 本審査委員会は,1)モデルの作製条件について,2)材料定数について,3)インプラント埋入部位およ び牽引部位の妥当性について,などの関連質疑を行い,概ね妥当な回答が得られた。また,緒言および方法の 修正すべき点,ならびに引用論文の妥当性などが指摘され,訂正および追加が行われた。 本研究で得られた結果は,今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判 定した。 歯科学報 Vol.111,No.5(2011) 509 ― 53 ―

参照

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