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身体動揺によるバランス機能の発達と障害に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

身体動揺によるバランス機能の発達と障害に関する

研究

著者

奥住 秀之

75

発行年

1996

URL

http://hdl.handle.net/10097/14973

(2)

学 位 の 種 類

学 位 記 番 号

学位授与年 月 日

学位授与 の要件

博 士(教 育 学) 教 第75号 平 成8年10月16日

学位規則第4条 第2項 目該 当

学 位 論 文 題 目

論 文 審 査 委 員

身体動揺 によるバ ランス機能 の発達 と障害 に関す る研 究

(主査)

教 授

論 文 内 容 の 要 旨

第1章 で は 本 論 文 の 構 成 と 目的 を述 べ て い る。 バ ラ ン ス(平 衡)機 能 は,身 体 を あ る 姿 勢 に保 つ た め の 能 力 で,立 つ,歩 く,走 る、 跳 ぶ と い っ た 人 間 の あ ら ゆ る動 作,運 動 の 遂 行 に 必 要 不 可 欠 で あ る。 そ して 立 位 時 に生 じ る 微 細 な 身 体 動 揺 を 測 定 す る と い っ た 簡 便 な 手 続 き で,バ ラ ン ス 機 能 を 客 観 的 ・定 量 的 に 評 価 で き る。 本 論 文 の研 究 目 的 は,身 体 動 揺 の測 定 に よ りバ ラ ン ス 機 能 の発 達 的 ・加 齢 的 変 化 を 明 らか に す る こ と,お よ び 視 覚,聴 覚,知 的 障 害 者 の バ ラ ン ス 機 能 の特 徴 と障 害 要 因 を検 討 して,要 因 に 応 じた バ ラ ンス の 教 育 的 援 助 を考 え る こ とで あ る 。 第2章 で は,バ ラ ン ス 機 能 が 一 定 水 準 に あ る 成 人55名 に 対 し て,2つ の 開 眼 条 件(中 心 視 情 報 の み,中 心 視 情 報 と周 辺 視 情 報)と 遮 眼 条 件 で 身 体 動 揺 の 測 定 を行 っ た 。 両 足 を 揃 え た ロ ン ベ ル グ 足 位 で,25.6秒 間 の 総 動 揺 量 と左 右,前 後 の 方 向 別 動 揺 量 を求 め た と ころ,開 眼 条 件 は いず れ も遮 眼 条 件 よ り動 揺 量 が 小 さ い こ と,周 辺 視 情 報 は 左 右 動 揺 の コ ン トロー ル に 特 に 関 与 し て い る こ と が 明 らか にな っ た 。 第3章 で は,3歳 ∼6歳 児67名 に 対 し て 開 眼 と遮 眼 で 身 体 動 揺 の 測 定 を 行 い,総 動 揺 量 と方 向 別 動 揺 量 の 発 達 的 変 化 を 調 べ た 。 そ の 結 果,総 動 揺 量 は 年 齢 と と も に 減 少 し た 。 ま た,幼 児 期 で は 左 右 動 揺 量 の 減 少 が 著 し く,前 後 動 揺 は こ の 時 期 以 降 で 安 定 す る こ とが 明 らか とな っ た ・

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第4章 で は,3歳 ∼6歳 児78名 に対 し て 開 眼 と 遮 眼 で 頭 部 動 揺 と重 心 動 揺 の測 定 を 行 い,そ れ ぞ れ の 平 均 周 波 数 の 発 達 的 変 化 を 調 べ た 。 そ の 結 果,重 心 動 揺 は 何 れ の年 齢,動 揺 方 向 で も頭 部 動 揺 よ りも 平 均 周 波 数 の 高 い こ とが 明 らか に な っ た 。 第5章 で は,21歳 ∼89歳 の 成 人133名 を 対 象 と して 開 眼 と 遮 眼 で 身 体 動 揺 の 測 定 を 行 い,総 動 揺 量 と方 向 別 動 揺 量 の 加 齢 的 変 化 を調 べ た 。 そ の 結 果,総 動 揺 量 は 年 齢 と と も に 増 加 し た 。 ま た,方 向 別 動 揺 量 は 左 右,前 後 と も年 齢 と と も に増 加 した が,こ の 変 化 は 左 右 動 揺 で よ り明 瞭 で あ る こ とが わ か っ た 。 第6章 で は,20∼80歳 代 の 健 常 者 と,70,80歳 代 の痴 呆 高 齢 者 に 対 して 身 体 動 揺(開 眼)と 歩 行 速 度 の 測 定 を 行 っ た 。身 体 動 揺 の 測 定 が 健 常 者131名,ア ル ツ ハ イ マ ー 型 老 年 期 痴 呆16名, 脳 血 管 性 痴 呆16名 で,歩 行 速 度 の 測 定 が 健 常 者217名,ア ル ツ ハ イ マ ー 型 老 年 期 痴 呆16名,脳 血 管 性 痴 呆16名 で あ っ た 。 痴 呆 高 齢 者 は 健 常 者 よ り も 身 体 動 揺,歩 行 速 度 と も に 成 績 が 低 く, 特 に 脳 血 管 性 痴 呆 にお い て 顕 著 で あ る こ とが 明 らか に な っ た 。 第7章 で は,弱 視 者12名 に 対 して 身 体 動 揺 の 測 定(開 眼,遮 眼),平 均 台 歩 き,片 足 立 ち(開 眼,遮 断)を 行 っ た 。 そ の 結 果,開 眼 で の 測 定 で は,弱 視 者 は 晴 眼 者 と比 較 し て 何 れ の バ ラ ン ス の 成 績 も低 い こ と が 明 らか に な っ た。 ま た 遮 眼 で の 測 定 で は,身 体 動 揺 は 晴 眼 者 と ほぼ 同 程 度 で あ った が,片 足 立 ち は 著 し く成 績 が 低 い こ とが わ か っ た 。 第8章 で は,聴 覚 障 害 者22名 に対 し て 身 体 動 揺 の 測 定(開 眼,遮 眼),平 均 台 歩 き,片 足 立 ち (開 眼,遮 眼)を 行 っ た 。 そ の 結 果,開 眼 で の 測 定 で は,聴 覚 障 害 者 は 健 聴 者 と ほ と ん どバ ラ ン ス の 成 績 に差 異 は 見 られ な い こ とが 明 らか に な っ た 。 ま た 遮 眼 で の 測 定 で は,身 体 動 揺 は 健 聴 者 とほ ぼ 同程 度 で あ っ た が,片 足 立 ち は 著 し く成 績 の 低 い こ とが わ か っ た 。 第9章 で は,13歳 ∼22歳 の 知 的 障 害 者42名 に 対 し て 開 眼 と遮 眼 で の 身 体 動 揺 の測 定 を 行 い, 総 動 揺 量 と性 別,生 活 年 齢,始 歩 期,臨 床 型,行 動 調 整 能 力(観 測 変 数 はmotorimpersistence test)と の 関 連 を数 量 化1類 に よ り調 べ た 。 そ の 結 果,開 眼 動 揺 量 は 性 別 く 始 歩 期 く 生 活 年 齢 く 行 動 調 整 能 力 く 臨 床 型 の 順 で,遮 眼 動 揺 量 は 始 歩 期 く 性 別 く 行 動 調 整 能 力 く 生活 年 齢 く 臨 床 型 の 順 で 寄 与 が 大 き か っ た 。 両 条 件 で 寄 与 が 最 大 で あ っ た 臨 床 型 で は,自 閉 症 で 動 揺 量 が 大 き く,ダ ウ ン症 で 小 さか っ た 。 つ い で 寄 与 の 大 き か っ た 行 動 調 整 能 力,生 活 年 齢 に つ い て は,い ず れ もそ れ が 高 い ほ ど動 揺 量 が 小 さ く な る傾 向 に あ っ た 。 第10章 は 全 体 的 考 察 で あ る 。 こ こ で は 第 一 に,身 体 動 揺 に よ る バ ラ ン ス 機 能 の 生 涯 発 達 変 化 の モ デ ル に つ い て 次 の よ う に述 べ て い る 。1)左 右 動 揺 が 発 達 初 期 に安 定 し,ま た加 齢変 化が 明 らか で あ る。2)前 後 動 揺 は 発 達 的 に時 期 が 遅 れ て 安 定 す る が,加 齢 の 影 響 が そ れ ほ ど 明 瞭 で な い 。 こ の こ と に つ い て,左 右 動 揺 の コ ン トロ ー ル は よ り身 体 構 造 に 規 定 され て お り,前 後 動揺 の コ ン トロ ー ル に は ス キ ル が よ り関 与 し て い る こ と が 推 察 さ れ た 。 第 二 に ,弱 視 者,聴 覚 障 害者,

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知 的 障 害 者 の バ ラ ンス の 障 害 要 因 と指 導 原 則 に つ い て 考 察 した 。 弱 視 者 で は 視 覚 情 報 の 利 用 の 問 題 と脚 力 の 低 下 が 要 因 と し て 考 え られ,日 常 活 動 を 増 や す よ う な 働 き か け が 重 要 で あ る と 推 察 さ れ た 。 聴 覚 障 害 者 で は 前 庭 迷 路 障 害 が あ る も の の,著 し い バ ラ ン ス 障 害 は 見 られ ず,よ り レベ ル の 高 い バ ラ ンス 運 動 の 指 導 が 必 要 で あ る こ と が 示 唆 され た 。 知 的 障 害 者 で は 病 理(臨 床 型),行 動 調 整 能 力,運 動 経 験(生 活 年 齢)が 要 因 と し て 考 え られ, 臨 床 型 別 の 指 導 プ ログ ラム の 策 定 や 日常 活 動 を増 や す 援 助 及 び バ ラ ンス を意 識 化 させ た り,結 果 や 状 態 を フ ィー ドバ ッ クす る指 導 な どが 重 要 で あ る こ とが 示 唆 さ れ た 。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本 論 文 は,ま ず 健 常 児 ・者 で 身体 動 揺 に よ るバ ラ ン ス 機 能 の 発 達 的 ・加 齢 的 変 化 を 明 らか に し, 次 に視 覚,聴 覚,知 的 障 害 者 の バ ラ ン ス 機 能 の特 徴 と障 害 要 因 を 検 討 して,そ の 要 因 に応 じた 教 育 的援 助 を考 察 した も の で あ る。 最 初 に,3∼6歳 の 健 常 児 で 身体 動 揺 の 発 達 的 変 化 を 調 べ て い るが,左 右 動 揺 は5歳 頃 に 安 定 す る の に 対 して,前 後 動 揺 は6歳 以 降 に 安 定 す る こ と を示 し て い る。 ま た21∼89歳 の 成 人 の 測 定 で は,60歳 を過 ぎ る と動 揺 量 は 加 齢 と と も に 増 加 す る が,前 後 よ り も左 右 方 向 へ の 動 揺 が 顕 著 に な る こ と を 明 らか に して い る。 この こ とか ら,左 右 動 揺 が 身 体 発 達 の 初 期 に安 定 す る が,加 齢 変 化 も受 け や す い 一 方 で,前 後 動 揺 は 発 達 的 に時 期 が 遅 れ て 安 定 す る が,加 齢 の 影 響 が そ れ ほ ど 明 瞭 で な い こ とが 実 証 さ れ た 。 障 害 者 の バ ラ ン ス 機 能 と して,ま ず 弱 視 者 に つ い て み る と,開 眼 で の 測 定 で は,弱 視 者 は 晴 眼 者 と比 較 し て 何 れ の バ ラ ンス の 成 績 も 低 い 事 が 明 らか に され,ま た 遮 眼 で の 測 定 で は,身 体 動 揺 は 晴 眼 者 と ほ ぼ 同 程 度 で あ っ た が,片 足 立 ち は 成 績 が 著 し く低 い こ とが 示 さ れ て い る。 聴 覚 障 害 者 は,開 眼 で は,バ ラ ン ス 機 能 に 健 聴 者 と ほ とん ど差 異 は 見 られ な い が,遮 眼 で 片 足 立 ち 条 件 に な る と著 し い機 能 低 下 の あ る こ とが わ か っ た 。 知 的 障 害 者 で は,自 閉 症 で 動 揺 量 が 大 き く,ダ ウ ン症 で 小 さ い事 が 明 らか に さ れ て い る 。 これ ら の こ と か ら,弱 視 者 で は 視 覚 情 報 の 利 用 の 問 題 と 脚 力 の 低 下 が 身 体 動 揺 の 大 き な 要 因 と考 え られ,日 常 生 活 にお け る 身 体 活 動 を増 や す よ うな 働 き か け が 重 要 で あ る と提 言 し て い る 。 聴 覚 障 害 者 は 日常 生 活 で は あ ま り支 障 は な い が,よ り複 雑 な 動 作 で バ ラ ン ス 障 害 を き た しや す い の で,レ ベ ル の 高 い 身 体 運 動 の 指 導 が 必 要 で あ る と述 べ て い る 。 知 的 障 害 者 で は,行 動 調 整 能 力 や,運 動 経 験 が バ ラ ン ス 機 能 と関 係 す る の で,こ れ ら を考 慮 した 指 導 の 重 要 性 を 指 摘 して い る。 本 研 究 で,対 象 者 の 選 定 に多 少 の偏 りは あ る が,幼 児 期 か ら80歳 代 ま で の 健 常 者 に つ い て バ

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ラ ン ス 機 能 の 発 達 と加 齢 的 変 化 を 明 らか に した こ とは 高 く評 価 で き る 。 ま た,視 覚,聴 覚,知 的

障 害 者 に お け る バ ラ ンス 機 能 の 特 徴 と障 害 要 因 を検 討 して,そ の 要 因 に応 じた 教 育 的 援 助 を 提 言

した こ と は,今 後 の 障 害 児 教 育 に 大 き く貢 献 す る も の で あ る。

参照

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