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治療抵抗性歯周炎患者のアジスロマイシン投与における臨床的,細菌学的評価

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Academic year: 2021

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【諸言】 歯周病は多種類の歯周病原細菌が引き起こす感 染性疾患であり,生体の炎症,免疫応答の遷延化 から進行していくことが明らかになっている.歯 周病治療の基本は,細菌および細菌由来為害性物 質の機械的除去療法が主体であり,良好な成績が 報告されている.しかし,臨床的にプラークコン トロールを入念に行い,歯周病治療を施行したに もかかわらず進行する治療抵抗性歯周炎もわずか であるが存在する.このような難治症例は,抗菌 薬物療法が選択肢とされてきたが,細菌検査法の 確立,普及が十分なされていないことからその根 拠に乏しい.さらに,種々の薬物療法は,その適 応症,適切な抗菌薬の選択,投与量,投与期間, 投与時期などについて確固たる科学的根拠に基づ いているとはいえない.そこで本研究において, 歯周病患者の中での治療抵抗性歯周炎の頻度を調 査するとともに,治療法として抗菌薬物療法が有 効であるかを臨床的,細菌学的パラメーターを指 標に検討した.細菌学的パラメーターとして Por-phyromonas gingivalis 菌,Actinobacillus actin-omycetemcomitans 菌,そして口腔内の総菌数を real time−PCR 法を用いて測定した. 【対象と方法】 被験者 被験者は,過去6ヶ月以内に歯周病治療を受け ておらず,抗菌薬の服用がない者とし,16歯以上 の現在歯があるものとした.病態の程度は,プ ロービング深さ Probing Depth(PD)4 mm 以 上の部位各歯6点計測で20%以上,歯槽骨吸収率 は平均で30%以上の歯周炎患者を対象とした. 方法 初診時に全顎法エックス線写真撮影,口腔内写 真撮影,臨床パラメーター測定 PD,Bleeding On Probing,歯 肉 炎 指 数 Gingival Index,Mobil-ity,細菌学的評価のため唾液採取を施行した. 歯周基本治療として,ブラッシング指導,プラー クコントロール,歯肉縁上スケーリング,SRP を施行し,SRP 終了後4週に再評価検査を行っ た.再評価検査時には,初診時同様に唾液採取を 施行した.再評価検査において PD の改善が認め られない部位に対して再 SRP を施行,さらに4 週に再評価検査,唾液採取を施行した.この再評 価検査において,BOP 部位率が初診時の30%以 上残存している被験者を治療抵抗性歯周炎罹患被 験者,すなわち抗菌剤服用群として薬物療法へと 移行した.抗菌薬は,アジスロマイシン単回投与

〔学位論文要旨〕

松本歯学39:131∼132,2013

治療抵抗性歯周炎患者のアジスロマイシン投与における

臨床的,細菌学的評価

佐藤

哲夫

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 健康増進口腔科学講座

Clinical and bacterial evaluation of Azithromycin administration for the treatment of resistant periodontitis

T

ETSUO

SATO

Department of Oral Health Promotion, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(2)

製剤を用い,薬物療法開始後4∼7週で再評価検 査,唾液採取を施行した.BOP 部位率が初診時 の30%未満の被験者は,歯周基本治療により改善 が認められたものとして投薬対象からは除外し た. 細菌学的サンプルとして全唾液を用い,real time−PCR による増幅,定量を行った. 【結果および考察】 被験者31名中,26名は歯周基本治療により歯周 組 織 の 改 善 が 得 ら れ,治 癒 群 と な っ た.5名 (16.1%)が抗菌剤服用群としてアジスロマイシ ン投与の対象となった.臨床パラメーターは, SRP 後4週 の PD,再 SRP 後4週 の GI で,抗 菌剤服用群は治療群に比較して良好な改善を示 し,有意差が認められ,投薬後4∼7週の BOP 率では,抗菌剤服用群が治癒群よりも良好な改善 を認めた.細菌数は,再 SRP 処置後に著しい変 化が見られた.抗菌剤服用群で,投薬後4∼7週 で初診時の29.0%であった.P.g.菌は初診時に全 ての被験者から検出され,歯周基本治療にとも なって顕著に減少し,治癒群で初診時の4.9%に な っ た.再 SRP 施 行 後,治 癒 群 で は1.1%,抗 菌剤服用群では0.5%まで減少した.総菌数中に 占める P.g.菌数の割合は,治療群に比較して抗 菌剤服用群において有意に減少が認められた. A.a.菌の検出は少なく,抗菌剤服用群の5症例中 で3症例に検出され,SRP1回での治療群では 検出されなかった.再 SRP 施行後の治療群では 再 SRP 後4週で初診時の19.8%,抗菌剤服用群 では12.9%に減少し,投薬後4∼7週では検出さ れなかった.今後,適切な細菌検査と適応症の分 類が確立されれば,同剤投与はバイオフィルム感 染症としての歯周病治療において,非外科的治療 の有効な補助療法として応用される可能性が示唆 された. 132 松本歯学 39 2013

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