編集後記
2
0
0
全文
(2) 編 集 後 記 本年度の教職大学院研究紀要の特集は、修了研究としてのMOB(My OriginalBook)のあり方を 研究テーマとしました。教職大学院の修了研究は、既存の大学院とは異なり、修士論文としては課し ていないために、一見簡単そうな印象を受けます。. しかし実際には非常に多くの労力を要します。それは、院生の眼前にある教育現象や教育実践に関 する課題解決をもとになされる研究だからです。そのため既存の特定の理論だけを基盤にするもので はなく、状況や立場に応じて種々の理論や研究方法を選択・合併したり、あるいは新たな理論を構築 しつつ研究することが求められます。つまり既存の多くの研究にみられるような、理論に適合する現 象や事実を選ぶ研究方法に比して大変高度な研究分析方法といえます。この点は、教師教育を総合的 にとらえるための教科専門・教育諸科学のいずれの分野にもあてはまるものです。. また、同じ教育現象を扱っても、実践の出発点の段階や立場の違いが正反対の評価を生み出すこと も多くあります。というのも教育実践や教育現象は、微妙な違いに応じた複雑な分析を不可欠とし、. さらに仮説・分析・改善・普遍化の連続的な発展の中で、到達点と実践方法が常に変化していく内容 を含んでいるからです。その結果、評価は評価者の立場、すなわち行政職員・学校管理職・学級担任・ 保護者・カウンセラー・社会教育関係者・地域住民などの立場によって、同じ現象の評価が正反対に 分かれることもあります。例えば、いじめ現象を取り上げても、子どもの状況・学校段階・教師集団・ 保護者、そして実践者の素養次第によって、取り上げる実践も理論も、そしてその評価も多様になっ ていくことから明らかでしょう。. このような多面的な分析視角を有する教育実践の評価・分析は、研究段階としては緒に就いたばか りであり、定説があるわけではありません。しかしだからといって、特定理論研究に当てはまるもの. だけを抽出して、理論体系に納まるものだけを研究として取り上げても、教員養成大学における実践 研究の発展を期待することができません。このよう別犬況の中で、我々編集担当者としては、教師教. 育において、まず教職大学院や修了研究がどのような位置にあるのかをとらえつつ、その点から実践 研究のあり方や教育効果をとらえることにつなげることとしました。. そもそも教員養成分野における研究領域は、多様な分野が複合した領域であるという特徴を持って います。その意味において、教員養成における教育諸科学とその実践研究は、今後も終わりのない研. 究分野となっていくでしょうが、実践を科学すること、教師教育を科学することの意味を今後も問い 続けていきたいと思います。本特集は、その問題提起にとどめておきたいと思います。 なお本紀要では、修了院生によるMOBの発展研究論文を含めて自由投稿論文が3本ありました。 このように修了院生が現場からも投稿して頂けるのは、大学と学校をつなぐ実践研究の広がりを示す もので、大変ありがたく思います。今後とも多くの実践家や教職大学院関係者が投稿していただける ことを期待したいと思います。. 本研究紀要を特集するに当たっては、本院のスタッフだけでなく、多くの修了生や教育界からの問 題提起が背景にあります。これらの方の問題提起にこの場を借りて御礼申し上げます。. 之音明. 康輪宏. 114. 田森. 編集委員. 井. 編集委員. 前藤. 委員長. 宝. 研究紀要編集委員会.
(3)
関連したドキュメント
これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,
実習と共に教材教具論のような実践的分野の重要性は高い。教材開発という実践的な形で、教員養
目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例
経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を
C :はい。榎本先生、てるちゃんって実践神学を教えていたんだけど、授
・毎回、色々なことを考えて改善していくこめっこスタッフのみなさん本当にありがとうございます。続けていくことに意味