長崎大学留学生センター紀要 第15号 2007年
第 1 回オース トラリア短期英語研修 : 単位認定 と海外体験学習の両立を目指 して
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松村 真樹
キーワー ド :短期海外派遣、英語留学、オース トラ リア
1 は じめに
2006年か ら長崎大学は、 日本人学部学生向けに、海外の現地大学で3週間 程度の語学研修 を行な う 「海外短期語学研修 プログラム」 を開始 した。まず、
中国語研修が2006年9月 に北京教育学院で行なわれた。続いて、2007年の2 月か ら3月 にかけて、英語 の短期研修 が、オース トラ リアのパースにあるエ ディスコ‑ワン大学で実施 された。 さらに今後、フランス語 と韓国語の研修 プログラムが2007年度 中に実施 され ることが予定 されている。 これ らのプ ロ グラムを修了 した学生は、全学教育 (教養教育)課程で履修すべ き当該外 国 語 1科 目分の単位 を認定 され、その履修 を免除 され ることになっている。 こ うした方法 を導入す ることによって、長崎大学は、 より多 くの学生 を海外 に 派遣 し、外 国の大学での修学体験の機会 を増やす ことを目指 している。すな わち、 「単位認定」 をひ とつのキーワー ドとして、 日本人学生の海外派遣およ び語学力向上を推進 しよ うとい う試みである。そ して長崎大学では、留学生 セ ンター と全学教育外 国語科 目担 当部局である大学教育機能開発セ ンターが 共同で、 このプロジェク トの遂行 にあたっている。
留学生セ ンター教員である筆者は、オース トラ リアにおける英語研修 プロ グラムの立 ち上 げ準備 にかかわ り、2007年2月の第 1回研修実施時 には、引 率者 として参加学生20人のグループに同行 した。その意味で、少な くとも英 語研修 については、プ ログラム遂行者側 の立場か ら、 このよ うな試みの一部 始終 を経験 した と言 って よい。いっぽ う、普段は留学生セ ンターで、お もに 外 国か らの留学生 に対す る教育お よび指導 を担 当す る立場 の人間が、 日本人 学生 グループの海外派遣 とい う新たな領域 にかかわった ことによって気づい た点 も多々ある。本稿では、筆者 自身の経験 と参加 した学生 による感想 を基
2 第1回オース トラリア短期英語研修 :単位認定 と海外体験学習の両立を目指 して
に、長崎大学 における第 1回オース トラ リア短期英語研修 プログラムの発案 か ら終了までの経過 をた どりなが ら、 こ うした試みが真 に目指すべ きものは 何かを再検討 してみたい。
2 第1回オース トラ リア短期英語研修 プログラムの概要 2‑1 計画 ・視察
長崎大学は中期計画の中で、教養教育の成果 に関す る具体的 目標 として、
「国際化が進む世界で、異文化を理解 しつつ世界の人々 と的確 に意思の疎通 を図るため、英語能力のみな らず、複数の外国語 を修得 し、外国語能力の向 上を目指す」ことを掲 げている。 こうした目標 に沿い、2005年か ら必修外国 語科 目である英語 と選択科 目である中国語、韓国語、フランス語 について、
海外語学研修立ち上 げのための現地視察調査 を開始 した。英語研修の派遣先 には、オース トラ リア領事館職員か らの推薦 もあ り、西海岸のパースにキャ ンパスをもつエディスコ‑ワン大学 (ECU)が候補地 として選ばれ、2006 年3月 に大学教育機能開発セ ンター と留学生センターか らそれぞれ 1名の教 員が5日間の 日程でパースを視察 し、ECU付属のインターナシ ョナルイン グ リッシュセ ンター (ECU付属英語学校)を訪問 した。
ECU付属英語学校では、おもに1年生を対象 とした、長崎大学の学生の みか ら成るプログラムをオーダーメー ド方式で開設 してもらう方向で協議が 行なわれた。研修期間中、学生たちはパースの一般家庭 にホームステイする ことになる。 こうしたプログラムは、ECUがスタディーツアー と呼ぶ もの で、語学学校での英語学習 とホス トファミリーにおける実践的英語使用、そ して異文化理解のための 日帰 り見学旅行 (エクスカージ ョン)を組み合わせ た 「海外体験学習」 にあたる。 このよ うな語学研修 に参加することにより、
英語運用能力のみな らず、海外の人々 との交流や異文化‑の理解 をさらに深 めることが期待 される。 これ に関連 して、留学時期 として当初、 日本の夏期 休暇 に相当す る8月 ごろを考 えていたが、現地スタッフは、 さまざまな見学 旅行や課外活動の機会 を最大限利用す るためには、現地の夏 に相当する2月 か3月が良い と提案 してきた。また、 この時期は、現在、 日本の他大学のプ ログラムがあま り実施 されてお らず、英語 を学ぶ環境 としては適 しているこ とや、 さらにホームステイ受入れ先 も探 しやすい とい う利点がある。 こうし て、2007年2月派遣 に向けて協議 を継続することで意見が一致 した。
長崎大学留学生センター紀要 第15号 2007年 3
視察 中に両教員の間で浮上 した検討課題は渡航ルー トであるO今回企画 し た短期英語研修は、授業料が有料で、ホームステイ滞在費用等 を含めると、
学生一人あた りの参加費用 は約20万円に相当する。 これ に渡航費や海外保険 等の費用 を加 えたものを、学生が全額負担す ることになる。 したがって、渡 航費 をいかに低料金 に抑えるか とい うことが、研修参加者の経済的負担軽減 につながるわけであるが、長崎が位置する地理的条件を考 えた場合、それは 航空機の乗 り継 ぎを余儀な くさせ る。すなわち、福岡空港か らシンガポール を経由して、パースに入 るとい うルー トである。 このことを前提 にして、今 回の視察ではこのルー トを利用 した。その結果、視察 した教員の間で懸念 さ れた ことは、シンガポール空港での乗 り換 えのための待ち時間が3時間以上 と長 く、またパース到着が深夜 となるため、学生のス トレスが多 くなるので はないか とい うことであった。 さらに、シンガポール空港 内は非常 に広 く、
もし海外渡航経験のない参加者が多かった場合、乗 り換 えのための搭乗 口確 認を学生だけで行なえるかも懸念 された。 これ らの問題 に対する可能な解決 策 として、成 田空港か らの直行便利用が考 えられるが、学生のコス ト負担が 大き くなることが明 らかで、 この案は断念せ ざるをえなかった。代案 として、
とりあえず第 1回目の研修 には、引率教員同行の経費 を長崎大学 に申請する ことが提案 された。視察か ら戻った後、渡航ルー トの決定 と総費用 の見積 も り、旅行代理店の選択が行なわれ る一方、研修内容や レベルの検討、そ して 最終的に長崎大学 による 「単位認定」の承認‑ と協議 を進めていった。その 間に、ECUか ら研修実施条件 (TermsandConditions)が届 き、長崎大学 留学生セ ンター長 とECU付属インターナシ ョナルイング リッシュセンター 長 との間で、それ らの条件 について合意書が交わ された。 これをもって、本 研修 プログラムは長崎大学が正式 に認めた留学プログラム となった。
ここで、現地の受 け入れ態勢 に関連 して、ECUと長崎大学の間を橋渡 し した民間機関の存在 に言及 しておきたい。パースには、マ ックス リンクとい う日本人が運営す る民間の留学情報セ ンターがある。マ ックス リンクは、 日 本人向けのオース トラ リア留学相談や大学及び語学学校紹介 を行なっている。
視察 中はマ ックス リンクのスタッフとも協議 し、プログラムの準備段階のみ な らず、長崎大学生のパース滞在 中も、学生生活支援や緊急時の対応等 を通 じて、マ ックス リンクか ら長崎大学の研修 プログラムに対 して協力が得 られ ることを確認 した。 このことは、視察 における意義 ある成果だった と言 える。
4 第1回オース トラリア短期英語研修 :単位認定 と海外体験学習の両立を目指 して
2‑2 参加者募集 ・出発前オ リエンテーシ ョン
新 しく始まったオース トラリア短期英語研修 を広 く学生 に紹介 し、参加者 を募 る目的で説明会 を2回行なった。まず、2006年5月末 に第 1回 目を実施 した。ち ょうどこの時期、福岡でオース トラ リア留学フェアが開催 されてお り、ECUか らも広報担当の職員が来 日していた。 この職員 とは現地視察 を 通 じて面識があったので、長崎まで来ていただき、学生たちにECUやパー スについて紹介 してもらった。オース トラ リアの大学関係者がオース トラ リ ア留学 について紹介す るとい う、長崎大学ではめったにない この説明会 には、
約50人の学生が集まった。 しか しこの時点では、具体的な研修 プログラムの 内容 については決定 していなかったため、ECUの一般的な紹介 に終わった。
その後、7月未 に実施 した2回目の説明会では、 より具体的なプログラム内 容や費用、そ して申し込み方法 について説明が行なわれた。 この時は、30名 程度の学生が集まった。そして、最終的に申し込みを行なったのは24名であっ た。当初、20名か ら25名程度の参加者 を想定 していたので、選考等は行なわ ず、24名全員を参加 させ ることに決定 した。 しか しその後、個人的理由か ら 参加 を辞退する学生が現れ、最終的 にパースに出発 したのは20名であった。
参加希望者 に対す る出発前オ リエンテーシ ョンを始めたのは、2006年10月 であった。続いて、11月、1月、2月にそれぞれ1回、計4回のオ リエンテー シ ョンが行なわれた.10月のオ リエンテーシ ョンでは、ECUか ら送 られて きたホームステイに関する調査票 を記入 して もらった。 この調査票 に基づい て、ECUがそれぞれの学生 に対 してホームステイ先を決定する。11月のオ リエンテーシ ョンでは、旅行代理店の関係者 に来てもらい、オース トラ リア 入国のための ビザ (電子入国許可)の申請方法お よび海外旅行保険の加入方 法を説明 してもらった。 さらに、1月のオ リエンテーシ ョンでは、入国カー ドの記入方法や検疫情報 といった入国に関する手続 きと気候等の現地事情を 説明 した。そ して、最後の出発前オ リエンテーシ ョンにおいて、ホームステ イ家族 に関す る情報 を提供 した。それぞれのオ リエンテーシ ョンには、1時 間ほ どを要 した。
一見 してわかるよ うに、計4回にわたる出発前オ リエンテーシ ョンは、い わゆる渡航手続 きに終始 していた。また、内容 も初めか ら計画的 に予定 され ていたわけではな く、ECUやマ ックス リンクか ら資料が送 られてきた時期 に合わせて催 されていた。また、参加学生の海外渡航 に関す る知識が事前 に
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把握できていなかったため、 こちらで必要 と思われ る一般的な手続 きか ら始 めざるを得なかったことも事実である。現在の感想 としては、渡航手続 きに 関する情報のみであれば、 1回のオ リエンテーシ ョンにま とめて しま うこと も可能だった ように思われる。いっぽ うで、オ リエンテーシ ョンについて多 くの学生が指摘 した ことは、ホームステイに関する情報 をもっと早い うちに 教 えて欲 しかった とい うものが 目立 った。また、現地で必要 になる費用 (例 えば、通学のための交通費等)はどれ ぐらいかをもっと具体的 に教 えて欲 し かった といった意見 も多かった。た とえ3週間 とは言 え、学生 にとっては、
確かにこのような情報 こそが不可欠である。オ リエンテーシ ョンの回数が多 かったわ りには、本 当に伝 えなければな らない情報が伝 えられていなかった ことは否めない。 この点は、初めての試み とい うことで、オ リエンテーシ ョ ン主催者が、参加学生が どのような情報 を必要 としていたかを十分把握 して いなかった ことによる。次回か らのオ リエンテーシ ョンでは、できれば今回 留学 した学生 にも参加 してもらい、改善 してい く必要があると思われる。た だ、留学 とい う観点か ら考えた場合、 「手取 り足取 り」指導 して、すべてを教 えて しま うことが良いのか どうか疑問が残 る。む しろ、出発前か ら留学はす でに始まっているのであって、参加者 自身がもっと積極的 に必要な現地の情 報を収集 して こそ本 当の海外派遣の意味がある、 と考 えるのは筆者だけだろ
うか。
2‑3 英語研修の内容
筆者は、今回の研修の1週 目と3週 目に、それぞれ1週間ずつ学生たち と 行動 をともにした。本節では、それ らの期間の出来事 を中心 に、第1回オー ス トラリア英語研修の内容を紹介 したい。長崎大学生20名のグループは、2007 年2月18日に福岡空港か らシンガポールを経て、オース トラ リアのパースに
向かった。福岡か らシンガポールまで約6時間半、シンガポール空港で乗 り 継 ぎに4時間近 くを費や した後、パースまで さらに5時間におよぶ行程であ
る。また、福岡空港 を午前10時過 ぎに出発する飛行機 に乗 るために、全員が 空港近 くのホテルや福 岡近郊の実家 もしくは友人の実家 に前泊 した。パース 空港到着は、2月19日午前2時。ちなみに、パース との時差は1時間である が、 この時期は夏時間を採用 していたため 日本 との時差が縮ま り、時差0時 間であった。空港 には、ECU付属英語学校 とマ ックス リンクか らそれぞれ
6 第1回オース トラリア短期英語研修 :単位認定と海外体験学習の両立を目指 して
スタッフが1名ずつ出迎えに来ていた。到着が早朝 (夜 中) とい うこともあ り、ECUがホテルを用意 して くれていた。空港か らホテルまでECUが辛 配 したバスで移動す る途 中、学生たちは、研修 に関する様々な注意事項 を聞 くことになった。ホテルで3、4時間の睡眠 を取 り、朝食後、また同じバス でホテルか ら英語学校があるECUのチャーチランズキャンパス‑移動 した。
こうして、パース到着 と同 日の2月19日午前11時か ら初 日オ リエンテーシ ョ ンが始まった。
初 日オ リエンテーシ ョンの内容は、パース滞在 とホームステイに関す る一 般的な注意事項 に加 え、英語のレベル判定テス トが行なわれた。判定テス ト
を終 えた後、昼食 をとって、市内ツアーが行なわれた。前 日の朝か ら丸一 日 以上をかけてパースに到着 した後、ほ とん ど寝る間もな く初 日オ リエンテー シ ョンに参加 していた学生たちであったが、市内ツアー中は初めてのパース 体験で、いきいき と輝いていた。 しか し、夕方、ホス トファミリーがECU
に迎 えに来 る時間が近づ くに連れて、少 し緊張気味の学生 も多 く見 られた。
引率者 にとっては、 さほど気に留めていなかった ことであるが、初めての海 外体験で研修 に参加 している学生 にとっては、生まれて初めて外国人の家庭 に滞在す るとい うことは、やは り一大イベ ン トなのであろ う。 こ うした意味 か らも、前節で述べた ように、出発前オ リエンテーシ ョン中に、もっとホー ムステイについての項 目を扱 うべ きであった と感 じた。
研修2日目か らの 日程は、以下の表のよ うになっている。1週間を通 して、
教室 における英語の授業 と学外での見学旅行 (エクスカージ ョン)が組み合 わ された形 になっている。基本的 に、火曜か ら金曜が英語の授業、土曜か ら 月曜 にかけて見学旅行が予定 されていた。午前中の英語の授業は、朝9時に 始ま り、10時45分か ら30分間の休憩 を挟んで、午後 1時まで行なわれる。昼 休みは45分間で、午後の授業は、 1時45分か ら始まる。3時か ら15分間の休 憩があ り、 4時に午後の授業が終わる。
ECU付属英語学校が設定 したスタディーツアーの基本的枠組みに、長崎 大学側か ら、長崎大学 における単位認定のための審査資料の一部 として、研 修 中にエ ッセイを2本書いて提出するとい う課題 を加 えてもらった。 これに 対 して、ECUの英語学校 は、外部か らゲス ト講師を招いてエ ッセイの書 き 方 に関す るワークシ ョップを時間割 に加 えて くれた。すなわち、第 1週 目の 木曜 日の午後 にエ ッセイの書き方のワークシ ョップを受け、そのす ぐ後、プ
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β 第1回オース トラリア短期英語研修 :単位認定 と海外体験学習の両立を目指して
ログラムコーディネーターか らエ ッセイのテーマをもらい、次の週の火曜 日 にエ ッセイを提出するとい うスケジュールをこな した。第2週 目も同様で、
木曜 日にもらったテーマについてエ ッセイを書いて、第3週 目の火曜 日に提 出した。 こうして提出されたエ ッセイは、プログラムコーディネーターが添 削 して、各学生 に返却 された。学生たちは、帰国後、返却 されたェ ッセイを 修了証書及び成績証明書 といっしょに、単位認定のために長崎大学‑提出 し た。後でプログラムコーディネーターか ら聞いた話では、長崎大学‑提出す ることを考慮 して、エ ッセイの添削は最小限に抑 えたそ うである。ECU付
属英語学校が、 この研修の 「単位認定」の側面 に配慮 している点が窺える。
エクスカージ ョンは、プログラムの一部 として実施 されるため、全員参加 が義務付 けられてお り、実際、全員がすべての見学旅行 に参加 した。また、
現地のガイ ドが同行 し、見学先では英語で説明が行なわれるため、単なる観 光ではな く、英語学習の一環 と考 えられている。まず、到着後初めての土曜 日には、パースから車で30分ほど南に下ったところにあるフリーマントル (Freman‑ tle)を訪れた。イン ド洋 に面 した この港町で、学生たちは、イギ リスか らの 開拓者が移民 した当時の建物を見学 した り、植民地時代の刑務所等 を見学す ることによってオース トラ リア史を学んだ。その翌 日の 日曜 日には、スワン バ レー (SwanValley)ツアーに参加 し、カバシャム (Caversham)自然公園 やマーガ レッ トリバー (Margaret River)チ ョコレー ト工場を見学 した。続 く月曜 日は、パース市内にある造幣局 を見学 した後、市内を散策 し、パース 市内か らそれぞれのホームステイ先まで 自分で帰宅す るとい うコースであっ た.第2週 目の週末にも、イン ド洋に浮かぶ リゾー ト地、 ロットネス ト (Rott‑ nest)島‑の1日ツアー とい う大きなイベ ン トがあった。オース トラ リアの
自然 を体験するとい う企画であったが、観光の要素 も多分 に含んでいたよ う に思われる。
プログラムの第3週 目には、火曜 と木曜の2回にわたって、学生 によるグ ループ ・プレゼ ンテーシ ョンが行なわれた。プレゼ ンテーシ ョンと言 っても、
長崎大学用のプログラムの中で行なわれるため、聴衆 も長崎大学の学生 と担 当教員だけであった。あ くまでも英語 によるオーラルプレゼンテーシ ョンの スキル習得が 目的であ り、テーマや内容そのものが問題 となるわけではない。
この点は、あ らか じめ担当教員が限 られた時間で準備できるテーマを選ぶ よ う学生 に指導 していた ことか らもわかる。また、時間的制約か ら個人による
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発表ではな く、3人ない し4人の学生がグループ単位で発表 し、その中でそ れぞれの学生が各 自の分担項 目を発表するとい う方法が取 られた。 こうして 火曜 日には、準 中級 クラスにいる学生が3つのグループに分かれて、それぞ れ 「ECUについて」「日本の祭 り」「日本のアニメ」 とい うテーマでプレゼ
ンテーシ ョンを行なった。また木曜 日には、中級 クラスの3つのグループが、
「とな りの トトロ」「オース トラ リア人はなぜ 日本車 を好むのか」「沖縄 につ いて」 とい うテーマを発表 した。筆者は、 これ ら2回のプレゼ ンテーシ ョン を傍聴 したが、 日本人同士で、あま り珍 しくもないテーマについて、英語で 説明 しあっている光景 には、微妙な違和感を覚えず にはい られなかった。 し か し、 これ もカ リキュラムの制約 によるもの と、後 ほど担当者か ら聞か され て納得 した。ただし、そ うい う内容で さえ、準備 にはかな りの時間を要 した ようで、そのために通常の授業時間を割いて、発表準備のために使わせても らっていた ことを付 け加 えておきたい。
プログラム最終 日の午後は、修了式が行なわれた。まず、修了式の前 にバー ベキューパーティーによる1時間ほどの昼食会が催 された。その後、学生一 人ひ とりに修了証書 と成績表がECU付属英語学校のプログラムコーディネー ターか ら手渡 された。その他 にも、ECUか ら学生 に対 してい くつかの記念 品が用意 されていた。 さらに、引率教員 に対 しても 「感謝状 (Certificate ofAppreciation)」と記念品を用意す るといった気の使い ようであった。普 段、 この様なスタディーツアープログラムを頻繁 に行なっているECU付属 英語学校の状況が読み取れる。学生たちも非常に満足 していた ようである。
また、成績表は、スピーキング、 リスニング、 リーディング、そしてライティ ングの4つの領域 について、それぞれA(80%以上)、B(75%)、C(70%)の 3段階で表記 したものが発行 された。ECU付属英語学校が行なっているス タディーツアーの場合、修了証書のみで、成績表 は発行 されないプログラム も多 くあるらしい。 しか し今回は、長崎大学 における単位認定のために成績 表 を発行 しもらうよ う事前 に依頼 しておいたので、学生たちは、成績表 も手
にす ることができた。
修了式の翌 日は、い よい よ帰国の 日となった。まずECUのキャンパスに 全員が集まってか ら、ECUが手配 したバスでいっしょに空港 に向かった。
ほとん どの学生がホス トファミリーにECUまで送って来てもらっていたが、
学生たちにとって別れの時間は、 さすがに感無量だったのではないだろ うか。
10 第1回オース トラリア短期英語研修 :単位認定 と海外体験学習の両立を目指 して
パース到着後、ホス トファミリー との対面を緊張 して迎 えた学生たちであっ たが、3週間経 った今、堂々 と、そ して生 き生きとホス トファミリー と会話 している学生たちを目の当た りにして、たった3週間でこれほど変わるもの であろ うか と思 ったほ どである。実際、3週間 とい う短い期間に、学生たち は非常 に多 くのことを学び、それぞれ多 くの経験 を携 えて帰路 に着いたので はないだろ うか。 これをもって、3週間の長かった 「ツアー」が完結 した。
3 研修参加者の感想
修了式の前 日に、参加学生 にアンケー ト用紙 を配布 した。アンケー トは、
質問紙 による自記式 によって行なわれ、無記名で、福岡空港到着時 に提出 し てもらった。参加学生20名の うち、19名か ら回収することができた。アンケー トの項 目は、 これまでの経過 に沿 って、出発前オ リエンテーシ ョンか らプロ グラム期間中にわた り、英語学習お よびホームステイを中心 にカバーした。
最初 に、本 プログラム参加の動機 をアンケー トの結果 に基づいて概観 してみ よう。 (この質問は、選択肢 を与えられていない自由回答式で、1人の回答者 が複数の目的を挙げているので、累積人数は回答者数の19名を上回る。)まず、
「英語学習」 もしくは 「英語力向上」 を参加の目的に挙 げている学生が14名 いた。続いて多 く見 られた理由が 「異文化体験」(12名)であった。また、5 名が 「ホームステイを体験 したかった」 と回答 している。その一方で、「単位 が修得できる」ことを参加の理由に挙 げた学生は、約4分の1の5名にとど まった。
さて、 これ らの目的を達成できたか どうかについては、19名中、7名が 「大 いに達成できた」、12名が 「まあまあ達成できた」 と回答 した。また、英語力 の向上 について、 「自分の英語力が向上 した と思いますか」とい う質問に対 し、
「大いに向上 した
」
「少 し向上 した」
「あま り向上 しなかった」
「まった く向上 しなかった」
「わか らない」の5つの中か ら選んでもらったが、その結果、3 名の学生が「大いに向上 した」と回答 し、 「少 し向上 した」 と答えた学生は14名、そ して残 る2名が 「あま り向上 しなかった」を選んだ。やや控 えめな結果 と受 け取れ るが、3週間 とい う短期間を考 えた場合、学生たちの正直な感想かも しれない。その半面、 「今回の研修 を通 じて、英語学習 に対する意欲は向上 し ましたか」とい う質問に対 しては、17名が 「意欲が大いに向上 した」と回答 し、
2名が「少 し向上 した」と答 えた。 このよ うに、少な くともこのプログラムは、