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韓国語海外短期語学研修の現状と課題 ―4年間の研修を振り返って―

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韓国語海外短期語学研修の現状と課題

―4年間の研修を振り返って―

松本久美子

キーワード:短期語学研修 派遣 協定校 単位認定

はじめに

長崎大学では2006年度に日本人学生の派遣プログラムとして「長崎大学短 期語学留学プログラム」が開設され、現在では英語および第2外国語(中国 語・韓国語・フランス語・ドイツ語)の派遣が実施されている。それぞれ実 施形態が異なるが、韓国語の場合、この研修実施のためにソウルにある大学 と協定を結び、協定校の持つ夏期3週間のプログラムに学生を派遣している。

韓国語研修の対象者は韓国語を第2外国語として選択し、韓国語Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ を履修済みの学生である。夏休み期間中に実施される研修に参加し、指定さ れたレベルで所定の成績を収めた場合、韓国語Ⅳの単位として認定される。

派遣先である慶煕大学校とは交換留学枠を夏期語学研修にも適用されるよう 覚書を結んでおり、1年間2名の枠を夏期語学研修では8名まで交換留学と して認められることになっている。

第1回韓国語研修が実施されたのは2007年8月であった。この間、研修実 施にあたっていくつかの問題点が出てきた。本稿では、2007年度から2010年 度までの実施状況を振り返り、それら問題点とその解決のための対応策につ いて具体的に述べるとともに、今後の課題について検討する。

1.研修実施における問題点とその対応

2007年度(第1回)から2010年度(第4回)までの韓国語研修実施状況に ついては下記に示す表のとおりである。この表に示されている実施内容につ いて順次検討し、その問題点と対応策について述べていきたい。

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1-1.研修開始時期および派遣先

2007年度から2009年度までは慶煕大学校国際教育院が8月に開催している 夏季3週間プログラムに派遣していた。韓国語研修の派遣先としてはソウル にある協定校3校(慶煕大学校・成均館大学校・梨花女子大学校)が指定さ れており、それぞれの大学が持つ夏期プログラムに派遣可能であった。しか し、第1回の参加希望者が4名であったため、夏期プログラムに対して交換 留学枠8名を持つ慶煕大学校に全員派遣することにした。第2回・第3回に ついても同様である。

研修は8月初旬に開始されるが、表にあるように、第1回から第3回まで、

2日から3日遅れでプログラムに参加している。慶煕大学校との覚書を結ん だ時点では、長崎大学の前期期末試験は7月末ぐらいまでにほとんど終了す ると考えていた。しかし、2007年度の研修参加希望者に期末試験の最終日を 確認するよう求めたところ、学部・専攻によって専門科目の試験や実習(乗 船実習等)が8月第1週、もしくは第2週まであることが判明した。しかも、

学生によれば、試験期日は学期末にならなければわからない科目もあるとい う。そこで、国際教育院と協議した結果、2~3日の遅れであればプログラ ム参加に大きな支障はないということで、2007年度は2日遅れで参加するこ

派 遣 年 度 2007年度 第1回

2008年度 第2回

2009年度 第3回

2010年 第4回

派 遣 先 慶煕大学校 国際教育院

慶煕大学校 国際教育院

慶煕大学校 国際教育院

慶煕大学校 国際教育院

研 修 期 間 8月6日~

8月24日

8月4日~

8月22日

8月3日~

8月21日

8月30日~

9月2日

参 加 日 8月8日

(2日遅れ)

8月6日

(2日遅れ)

8月6日

(3日遅れ) 8月30日 参加学生数 4(女4・男0) 6(女5・男1) 1(女1) 18(女18・男0)

単位認定者数 3 5 0 7

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とになった。初日に実施されるプレースメントテストは受けられないため、

ソウルに到着したその日にテストを受け、翌日朝からクラスに参加した。次 年度からも基本的にこの形式を踏襲した。しかし、2~3日参加を送らせて も、やはり試験や実習のために参加をあきらめた学生が存在した。実際には 募集広告の研修開始日を見た時点で諦めた学生もいたのではないかと推察さ れ、派遣時期の検討を開始した。

成均館大学校および梨花女子大学校については8月のプログラムしか持た ないが、慶煕大学校国際教育院は8月と同様のプログラムを9月にも実施し ている。国際教育院では9月の受け入れでも問題ないという返答であったた め、2008年度の学生引率時に9月のプログラムへの派遣の可能性について慶 煕大学校国際交流処に可否を尋ねたが、9月のプログラムに参加する場合、

参加学生に交換留学枠を適用できないという返答があった。韓国では9月か ら新学期が始まる。9月は通常の交換留学生(半年から1年)が渡韓するた め、寮の空き部屋が確保できないというのがその主たる理由であった。

しかし、2009年度は国際教育院のプログラム開始が8月3日とこれまでで 一番早く、参加できる学生は1名に限られてしまった。そこで、再度国際交 流処と国際教育院双方と協議を重ねた結果、国際教育院語学部長の計らいで、

国際教育院の持つ寮を提供してもらえることになり、9月のプログラムにも 8名の交換留学枠を適用しての派遣が可能になった。その結果、2010年度は 参加者も18名と急増した。

8月のプログラムと9月のプログラムを比較した場合、8月のプログラム には多数の国からの参加があるが、9月のプログラムは参加者のほとんどが 日本人であり、クラス構成員の文化の多様性という点では8月のプログラム の方が適当である。国際教育院からもこの理由で8月の参加を勧められてい た。しかし、9月のプログラムは夏休みを終えた韓国人学生たちがキャンパ スに戻ってきており、通常の韓国の大学生活を垣間見ることができるという 利点がある。また、2010年度9月のプログラムに参加した学生の研修後のア ンケート調査でも8月の研修参加時と同様に学生から高い評価を得ており、

今後も9月のプログラムへの派遣を継続することにしている。

1-2.単位認定レベル

参加学生は協定校で実施されるテストによってレベル分けされる。長崎大

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学で「韓国語Ⅳ」の単位に認定されるためには、長崎大学の韓国語担当教員 によって指定されたレベルで研修を受ける必要があるが、毎年、そのレベル に達していないと判断される学生が出ている。単位認定のみがこの研修の目 的ではないが、指定されたレベルが「韓国語Ⅲ」を終了した学生にとって高 すぎるのであれば、指定レベルの見直しを検討する必要があるのではないか と思われた。

2007年度から2009年度は韓国語研修への参加人数が少なかったため、この 問題がはっきりとした形で浮上してこなかったが、2010年度はプレースメン トテストの結果、18名の学生が4レベル:初級Ⅰ(4名)、初級Ⅰ中間(7名) 初級Ⅱ(6名)、中級Ⅰ(1名)に分けられた。単位認定対象レベルは「初級

Ⅱ」以上とされている。そこで、「初級Ⅰ」「初級Ⅰ中間」「初級Ⅱ」の3つの レベルの授業見学を行いレベル内容を確認するとともに、国際教育院の夏期 プログラム主任とも話し合った結果、「初級Ⅰ中間」以上を単位認定レベルと するのが適当ではないかという結論に達した。研修終了後、研修の結果とレ ベル別の授業内容に関する資料を長崎大学韓国語担当教員に提出し、認定レ ベルの再検討を依頼した。現在、「初級Ⅰ中間」を単位認定の基準とすること で外国語科目委員会を通過したところである。2011年度の前期期間中に全学 教務委員会の了承を得、新しい単位認定基準で9月の研修を実施できればと 考えている。

1-3.引率教員

韓国語研修実施のために協定を結ぶ際に、将来的には引率教員なしでも派 遣できる受け入れ態勢の整った大学を選定して協定を締結した。第1回から 留学生センターの教員である筆者が引率を担当しているが、この間、派遣先 である慶煕大学校国際交流処と国際教育院の担当者と毎回会合を持ち、問題 点等について調整し、連携を強化してきた。

慶煕大学校は留学生数も多く、国際交流処の受け入れ部門には日本担当の 専任スタッフがおり、日本語も堪能である。また、インチョン国際空港まで の送迎もあり、その際、慶煕大学校に正規留学している日本人学生(基本的 に大学院生)が補助スタッフとして送迎に当たり、夏期研修期間中に渡って 韓国語研修に参加している学生を支援する体制をとっている。補助スタッフ のメンバーの携帯電話の番号は研修参加学生に知らされ、いつでも連絡が取

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れるようになっている。国際教育院にも日本語が堪能な韓国語教員が何人も おり、何か問題がある際には日本語での対応が可能である。また、希望者に は韓国人学生がトウミ(チューター)として配置される。長崎大学の場合、

研修参加人数が決まった時点で筆者が国際教育院の担当者と連絡を取り、参 加者全員に対してトウミの配置を依頼している。

以上、述べたように、単位認定レベルの変更が完了すれば、引率教員なし でも十分に研修実施可能であると考えており、2011年度は引率教員なしの実 施を検討中である。

2.学術交流協定および覚書の更新

2011年度は慶煕大学校との協定(学術交流協定と学生交流の覚書)の更新 年に当たる。慶煕大学校とは協定を締結する際に交換留学枠について交渉し た結果、通常の半期もしくは1年の交換留学に加えて、国際教育院の持つ夏 期短期語学プログラム(3週間)も交換留学枠対象とすることが了承され、

その旨覚書に明記されている。1年の交換留学であれば2名のところ、夏期 短期語学プログラムに参加する場合8名までが交換留学としてみなされる。

2007年度から2009年度までは参加者数が8名以下であったが、2010年度に18 名と初めてその枠を超えた。8名(授業料免除)の選別は韓国語1からⅢま での成績をもとに韓国語担当教員によって行われた。協定校の学生は交換留 学枠外の場合、30%の割引で参加できることになっている。

通常、学生交流の覚書締結において夏期プログラムが交換留学枠対象とさ れることはほとんどない。慶煕大学校における韓国語研修を現行と同様に継 続していけるよう、現在、協定の更新に向けて作業中である。

3.今後の課題

韓国語研修は単位認定が主たる目的ではない。また、研修後のアンケート 調査によれば、研修参加者のほとんどが語学力の向上、異文化理解、視野の 広がり等、さまざまな研修効果を実感している。しかし、研修参加前の段階 では単位取得を大きな目的としている学生もいる。2011年度から単位認定レ ベルを「初級Ⅰ中間」に変更できたとしても、2010年度に現地のプレースメ ントテストで「初級Ⅰ」レベルと判定された学生が18名中4名いたことを考 えれば、研修開始までに何らかの対応策を考えなければならないであろう。

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これまでは留学生センター韓国語研修担当教員である筆者がオリエンテーショ ンの際に事前学習の必要性を説明し、現地で使用されるテキストの文法・語 彙リストを配布、参加前に学習するように指導することで対応してきた。ま た、希望者には長崎大学の韓国人留学生を紹介している。2011年度からはこ の指導を更に強化する必要があると考えられるが、韓国語教員でない筆者に は指導におのずと限りがある。そこで、派遣説明会の際に、研修参加希望者 に対してプレースメントテストの結果によっては単位認定が受けられない可 能性があることを前年度の数値を示して明確に説明するとともに、前回研修 に参加した複数の学生に体験談を話してもらうことによって、韓国語研修参 加は単位取得が主たる目的ではないことを理解させ、参加によって得られる ものは何かを具体的にイメージできるようにすることが重要であると考えて いる。

韓国語研修の対象とされる2年次の韓国語履修者数は、2010年度の場合、

再履修の学生も含めて106名であった。同年度の韓国語研修への参加学生数は 18名であり、全体の約17パーセントが参加したことになる。これは現時点に おいて、かなり高い数値であると言えよう。韓国語履修希望者は増加してお り、2010年度4月から韓国語のクラスが増設され、2011年度の2年次の韓国 語履修者数は155名となった。1年時生の履修者数は再履修の学生も含めて220 名で、この2年で約2倍に増加していることになる。韓国語履修者数の増加 が直ちに韓国語研修参加者数に影響を及ぼすとは言えないが、派遣先の宿舎 の受け入れ可能人数等、検討を要する事項が出てくる可能性もある。現在の ところ、慶煕大学校からは参加者数が増えても受け入れに問題はないという 回答を得ているので、韓国語研修については、当面履修者全体の10パーセン トを参加人数の目標値とし、9月の研修を継続していきたいと考えている。

[参考文献]

永井智香子・村瀬隆彦(2006)「長崎大学における大学間交流の新しい取り組 み」『留学交流』第18巻 第12号 pp.10-13

永井智香子(2007)「第1回中国語海外短期語学研修実施報告―参加学生が書 いたアンケートとレポートを中心に―」『長崎大学留学生センター紀要』第 15号 pp.17-28

松村真樹(2007)「第1回オーストラリア短期英語研修:単位認定と海外体験

(7)

学習の両立を目指して」『長崎大学留学生センター紀要』第15号 pp.1-16 松本久美子(2002)「国際教育交流と大学の国際化―第2回AIEJ ユネスコ

青年交流信託基金JAFSA国際交流担当者プログラムに参加して―」『長 崎大学留学生センター紀要』第10号 pp.85-102

松本久美子「学生交流と大学の国際化―海外短期語学留学プログラム「第1 回韓国語研修」を一例として―」『長崎大学留学生センター紀要』第16号 pp.97-110

(留学生センター准教授)

参照

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