資料13
2007/2/2 18:00
第10回 情報セキュリティ政策会議資料
首都大学東京法科大学院教授 前田雅英 1 ネット社会の負の側面
交通事故がいかに多くても、「自動車を抹殺せよ」という議論はほとんどない。
それと同様に、ネットを否定して日本社会は成り立たない。しかし、そのことと、
ネット社会の暗部を除去するために、ネットが若干使いにくくなるということは、
全く矛盾しない。
先月まで行ってきた「ヴァーチャル社会の青少年に与える影響」の研究会の結 論として、インターネット犯罪に見られるような病理以上に、ネット社会が価値 の過剰流動性をもたらし、親から子への規範伝達を阻害し、青少年の引きこもり
・鬱化を助長するという問題が明らかになってきた。
内閣で取り組む「ネット社会の健全な発展」という視点からは、やはり将来の 柱となる健全な国民の形成、すなわち教育問題も軽視すべきでないように思われ る。
2 情報内容の規制の検討の開始
また今後は、ネットのコンテンツに一歩踏み込んだ議論が必要となる。小学生 との性交を描いた画像が少年達に容易に見られる現在の状況や、ネットで薬物の 販売が宣伝されている事態は、決して好ましくない。また、ネットで「DV」を 検索すると、探偵業者の宣伝が並ぶ。昨年末には、探偵業者が探し当てたDV被 害者を夫が殺害し、DV法の根幹を揺るがす事態が生じている。
ネット社会であるが故の被害の甚大さがようやく気付かれはじめている。日本 では、その対応を、欧米に先駆けてはじめるべきように思われる。
また、情報社会の最低限のモラルを国民が身につけるよう、規範意識の確立の 努力を開始しなければならない。そのためには、核になる部分を「犯罪」として 国民に明確に宣言することが最も有効である。これまでも、情報保護の観点から いろいろな試みがなされ、例えば不正競争防止法などの改正も見られる。しかし、
「幼稚園から教える情報教育の基本」という観点からは、十分なものではない。
もとより、これまでの法理論との整合性は必要であるが、国民にとって魅力ある ネット社会の形成のためには、内閣主導での、具体的なアクションが期待される。