令和元年度(平成31年度)学内研究助成金 研究報告書
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(2) 低減させる機構にした.ずり変形の動力には,回転速度を指定できるステッピングモータを採用 して,モータからの熱流入を防ぐために,回転シャフトにはセラミックス材料(マコール)を採 用した.ずり変形機構には,円錐型プレート(コーンプレート)を採用して,2 台のモータを同じ電 気回路で駆動させることで,回転速度およびタイミングが同期できるように設定した.試料温度 および試料と基準物質の間の温度差は熱電対(クロメル-コンスタンタン)とデジタルマルチメー ターで読み取り,パソコンで記録した.測定プログラムは,LabbIEW を用いて作成した. 図 2 に完成した装置を用いて測定した 8CB の測定結果を示す.基準物質には標準粘度液を用い た.左側の図は,ずり変形がない場合の DSC 曲線であり,306 K にスメクチック-ネマチック相 転移,313 K にネマチック-液体相転移のピークが観測されている.この結果は,市販の DSC 装 置による測定結果と大きく違わない.一方,右側の図は,ずり速度 300 s-1 で定常ずり変形をかけ たときの DSC 曲線になる.2 個の相転移ピークが,ずり変形を加えることで 0.5 K 程度低温側に シフトすることが明らかになった.この結果は,これまでの粘度測定の結果とよく一致している. また,306 K 以下では,スメクチック相の粘度が上昇することによる発熱挙動が観測されている. このことから,スメクチック相を昇温すると,はじめに粘度が低下してネマチック相と同程度に なってからネマチック相への相転移が起こることが明らかになった.. 図 2:作製した装置を用い測定した液晶物質 8CB の DSC 曲線. 左側はずり変形がない状態の DSC 曲線.右側は定常ずり変形(ずり速度 300 s-1)下の結果. 3.本研究と関連した今後の研究計画 本研究では,定常ずり変形下の DSC 装置の作製に成功した.しかし,高速回転になると,ずり 変形機構に軸ブレが生じるなどの問題が残っており,今後,シャフトの連結機構を変更するなど の改善を進めて,より精度の高い測定が行えるようにする.その後,ずり速度と相挙動の関係, および転移の熱力学量の評価を行い,ずり変形が熱力学量に見かけ上どのような変化を及ぼすか 明らかにする.また,液晶種を変えていき,分子種によってその影響がどのように変わるかも明 らかにしていく.また,密閉型の試料容器の作製にも取り組み,試料の蒸発を抑制した状態で, 面活性剤水溶液などの測定も行う.これらの系では,ずり変形によって応力に振動パターンが現 れるなど,顕著な散逸構造の出現が報告されているので,その熱力学的な評価を行うことができ れば,散逸構造の熱力学的な安定性に関する新たな知見が得られると期待されれる.. 4.成果の発表等 発. 表. 機. 関. 名. Royal Society of Chemistry (Phys. Chem. Chem. Phys.). 種類(著書・雑誌・口頭). 発表年月日(予定を含む). 雑誌. 2019.6.26.
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