• 検索結果がありません。

坂 本 貴 一

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "坂 本 貴 一"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

青年期男子の反社会的問題行動とその心理

学校教育専攻 白越旨導コース 坂 本 貴 一

1  .問題と目的

学校が荒れる、少年犯罪が増加している、

規範意識が低い、自己統制力がないなどと マスメディアからも有識者からも声高に叫 ばれるようになり、中学生を含む少年の反 社会的問題行動に対しての社会的関心が極 めて高くなっている。それにともない、学 校教育における生徒指導体制や指導内容、

対応について社会全体から厳しく指弾され ているのが現状であるO 実際に学校現場で は反社会的問題行動が起きるとその場の対 応に追われ、生徒の反社会的問題行動に至 る要因や意味も暖昧なままに表面的な対応 に終始してしまうことが多い。

本研究は、警察庁統計による少年刑法犯 の検挙人員及び人口比の推移における第三 の波(昭和5 8年)以降に反社会的問題行 動を起こして逮捕または検挙された経験を もっ青年期男子の内的体験を個別事例に則 して記述し、以下の4点①反社会的問題行 動の契機、②反社会的問題行動に至る要因、

③反社会的問題行動の怠味、④反社会的問 題行動経験を経て現在まで調査対象者を支 えた要因について明らかにすることを目的 とした。さらに事例に共通する特徴につい て考察した。

2. 研究の方法と対象

研究の方法としては聞き取り調査法を用 いた。調査対象者は以下の5点を満たす者

指 導 教 官 田 中 雄 三

とし、筆者の友人知人を介して探した。① 青年期に反社会的問題行動を起こし逮捕ま たは検挙された経験をもっ男性で、現在成 人し更正している者②19 8 3年(昭和5

8年以降に反社会的問題行動を起こした者

③本研究の目的や方法を理解し賛同を得ら れ る 者 ④ 本 研 究 が 匿 名 性 を 重 視 す る も の の、詳しい個人的調査であることを説明し た上で了承を得られる者⑤現在の生活や心 理状態において、調査を実施することが悪 影響をもたらすと考えられない者 本論文 には上記の条件を満たした 3名を事例とし て取り上げた。なお、調査の実施期間は2

0 0 0年1 1月'"'‑'2001年3月である。

3. 個別事例とその考察

3事例を個別に考察するにあたって、次 の3段階を踏んだ。

( 1 )聞き取り内容から、反社会的問題行 動を中心とした生活史を構成した。

( 2 )聞き取り内容の抜粋を提示し、その 整理をしつつ考察を行った。その際に、事 例理解に必要な焦点として次の 7項目を設 定した。 A :反社会的問題行動について、

B

家族について(イ:父親、ロ:母親、

ハ:きょうだい ニ:その他)、 C:地域 について、 D :友人について、 E 学校生 活について、 F 自分自身について、 G:

調 査 対 象 者 に 対 す る サ ポ ー ト に つ い て ( 3 )事例のまとめとして、研究の目的に

(2)

掲げた4点について明らかにした。

4. 全体考察

3事例全体のまとめと考察を行うと次の ようになる。

( 1 )反社会的問題行動の契機

反社会的問題行動の契機としては、反社 会的問題行動に対する憧れや退学が主であ った。そこには、すべてを物や金で解決し ようとする経済第一主義の潮流や、社会生 活における正義感の欠如、権利万能主義の 社会風潮などが見られた。

( 2 )反社会的問題行動に至る要因 反 社 会 的 問 題 行 動 に 至 る 要 因 に つ い て は、家庭要因と個人要因である者が圧倒的 に多かったが、さらに詳細に検討すると、

家庭要因においては「子どもの依存欲求を 満たしていない母親J I夫婦の繋がりの稀 薄さ J I父 親 の 心 理 的 不 在J Iモデルとな り得ない父親JI道徳性・規範意識の確立 に関わる問題jなどの特徴が見られた。個 人要因については「友人関係が稀薄JI自

己肯定感に乏しいJI自我、超自我の未熟 さJ Iフラストレーション耐性の弱さ」な どの特徴を見ることができた。

( 3 )反社会的問題行動の意味

反社会的問題行動の意味としては、「自 己表現の手段としての反社会的問題行動j

「自己防衛としての反社会的問題行動JI見 捨てられ感情を防衛するための反社会的問 題行動」の3特徴が見られた。

(4 )反社会的問題行動経験を経て現在ま で調査対象者を支えた要因

反社会的問題行動経験を経て現在まで調 査対象者を支えた要因は、家庭要因、地域

・学校要因、友人要因、個人要因に分散し ていた。さらに詳細に検討すると「親の態

度の変容JI支えてくれる同性の先輩、も しくは憧れの向性の先輩を得ることができ たJ I将来の目標を以前から持っていた、

もしくは反社会的問題行動後に持つことが できたjの3特徴が見られたD

( 5)生徒の反社会的問題行動に対する学 校・教師の対応

①担任としての支援のあり方

問題をもっ生徒を肯定的に捉え、教師は 問題をもっ生徒から学ぶという姿勢が大切 である。また、生徒との人間関係づくりが 重要で、人間関係ができていなければ指導 には至れない。

②家庭との連携

子どもの問題を解決するためには親の協 力なくしては語れない口また、親自身が悩 み、傷つきカウンセリングを必要とする場 合も多い。家庭との連携に際しては、親に 対しても共感的に臨むことが重要であるD

③関係諸機関との連携

問題をもっ生徒に対しては、原則的に学 校 が 心 身 の 安 全 を 保 証 す る 居 場 所 を 提 供 し、家族関係や自分を振り返るという心の 作業に取り組ませるとし、う機能を果たすこ とが肝要であるが、事例によっては、関係 諸機関との連携を考慮し、問題の早期解決 に努めなければならない。

5. 今後の課題

今後の課題としては、本研究で得た知見 を教育実践に生かすとともに、青年期男子 の調査対象者を増やし、調査を継続する。

また、青年期女子の反社会的問題行動経験 を聞き取ることによって女子の心理を検討 する口さらに、このような場合の親の心理 を明らかにし、親に対するサポートを研究 して、本研究結果と総合した考察を行う。

参照

関連したドキュメント

二つ目の論点は、ジェンダー平等の再定義 である。これまで女性や女子に重点が置かれて

そのような発話を整合的に理解し、受け入れようとするなら、そこに何ら

「総合健康相談」 対象者の心身の健康に関する一般的事項について、総合的な指導・助言を行うことを主たる目的 とする相談をいう。

地方創生を成し遂げるため,人口,経済,地域社会 の課題に一体的に取り組むこと,また,そのために

口腔の持つ,種々の働き ( 機能)が障害された場 合,これらの働きがより健全に機能するよう手当

このように、このWの姿を捉えることを通して、「子どもが生き、自ら願いを形成し実現しよう

ヒュームがこのような表現をとるのは当然の ことながら、「人間は理性によって感情を支配

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた