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ディーゼル噴霧の L2F による詳細計測 および数値予測に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ディーゼル噴霧のL2Fによる詳細計測および数値予測 に関する研究

駒田, 佳介

https://doi.org/10.15017/1441292

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

博士論文

ディーゼル噴霧の L2F による詳細計測 および数値予測に関する研究

平成

26

1

九州大学大学院総合理工学府

駒田 佳介

(3)

目 次

1章 序論 ··· 1

1.1 研究背景 ··· 1

1.2 研究目的 ··· 2

2章 従来の研究 ··· 3

2.1 ディーゼル噴霧に関する実験的研究 ··· 3

2.2 ディーゼル噴霧の数値予測に関する研究 ··· 5

3章 燃料噴霧液滴の計測装置 ··· 7

3.1 レーザー2焦点流速計システム ··· 7

3.1.1 光学系および信号処理系 ··· 7

3.1.2 計測原理 ··· 9

3.2 供試インジェクター ··· 13

3.3 燃料噴射系システム ··· 14

3.4 定容容器 ··· 15

4章 非定常 3次元数値解析手法 ··· 18

4.1 支配方程式 ··· 18

4.2 噴霧液滴の分裂に関するモデル ··· 22

4.2.1 1次分裂モデル ··· 22

4.2.2 2次分裂モデル ··· 23

4.2.3 衝突モデル ··· 28

5章 燃料噴霧液滴の空間分布 ··· 31

5.1 低圧場噴霧における噴霧特性 ··· 31

(4)

5.1.1 計測条件 ··· 31

5.1.2 速度とサイズ ··· 32

5.1.3 噴霧質量流量の評価 ··· 34

5.1.4 まとめ ··· 38

5.2 高圧場噴霧における噴霧特性 ··· 38

5.2.1 計測条件 ··· 38

5.2.2 速度とサイズ ··· 39

5.2.3 液滴間距離の評価 ··· 42

5.2.4 まとめ ··· 46

6章 数値シミュレーションによるディーゼル噴霧解析 ··· 47

6.1 低圧場噴霧における噴霧特性 ··· 47

6.1.1 解析条件 ··· 47

6.1.2 計測結果を基準とした数値予測 ··· 47

6.1.3 まとめ ··· 56

6.2 高雰囲気圧力場 ··· 56

6.2.1 解析条件 ··· 56

6.2.2 計測結果を基準とした数値予測 ··· 57

6.2.3 まとめ ··· 63

7章 総括 ··· 64

参考文献 ··· 67

謝辞 ··· 75

(5)

Nomenclature

ΔA Area

B1 Adjustable constant

CRT Adjustable constant

dp Diameter of droplet

F Focus diameter L Focus length

Ld Distance between droplets along direction from upstream focus to downstream focus

Le Evaluated distance between droplets Lm Measured distance between droplets

M Mass per injection

ME Evaluated mass

Minj Injected mass

MF Mass flow rate of droplets passed through upstream focus

MFup-down Mass flow rate of droplets passed through both upstream and downstream foci

Nup Number of droplets passed through upstream focus

Nup-down Number of droplets passed through both upstream and downstream foci ND Number density of droplets passed through upstream focus

NDup-down Number density of droplets passed through both upstream and downstream foci

Pamb Ambient pressure

(6)

Pinj Injection pressure

S Distance between two foci T Time after injection start t1 Time-of-flight

t2 Time-of-scattering on upstream focus t3 Time-of-scattering on downstream focus

ΔT Period of analysis

Δtup-down Time interval between droplets u Velocity of droplet

Vp Volume of droplet

W Width of spray

We Weber number

x Coordinate

Δx Distance between measurement points y Coordinate

z Coordinate

(7)

Abbreviation

APD Avalanche Photo Diode

CIV Correlation Imaging Velocimetry DDM Discrete Droplet Model

DPF Diesel Particulate Filter FPGA Field Programable Gate Array

KH Kelvin-Helmholtz

L2F Laser 2-Focus Velocimeter LDV Laser Doppler Velocimeter LIF Laser-induced fluorescence

NOx Nitrogen Oxide

PDPA Phase Doppler Particle Analyzer PIV Particle Image Velocimetry

PM Particulate Matter

RT Rayleigh-Taylor

SNSignal to Noise Ratio TAB Taylor Analogy Breakup VCO Valve Covered Orifice

(8)

1

1

章 序論

1.1 研究背景

1893年にRudolf Dieselによって発明されたディーゼル機関は熱効率が良く,低燃

費であるという特徴を有し,ディーゼル機関の積極的な利用が期待される.しかし,

ディーゼル機関の排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx:Nitrogen Oxide)や粒子状物 質(PM:Particulate Matter)は人体および環境に悪影響を及ぼすため,世界各地でデ ィーゼル機関の排出ガスに対する規制が施行されている.

日本では2009年よりポスト新長期規制によりNOx0.7g/kWh,PM0.01g/kWh の規制値が設けられており,同様にアメリカではTier2 BIN5による規制が,ヨーロッパ

ではEURO Vによる規制が行われている.いずれにおいてもガソリン機関と同程度の

規制値が設けられており,規制値の達成は容易ではない.これらの規制値を満たすた めにDPF(Diesel Particulate Filter)(1-3)NOx吸蔵還元触媒(4)などの後処理装置が考 案されているが,後処理装置の装着に伴い重量が増加し,また,圧力損失が増加する ため燃費は悪化する.

これに対して,燃料と空気の混合気形成の適正化は燃焼時に発生する有害排出物 そのものを低減する方法であり,その手法の確立が望まれている.ここで,NOxは混合 気濃度が希薄な噴霧外縁付近で,PMは混合気濃度が過濃な噴霧内部で生成される.

NOxPMの同時低減のためには,噴霧内部はPMが生成されない混合気濃度が一 様に分布し,噴霧と雰囲気の間で希薄な混合気が生成されない噴霧を形成すること が必要である.つまり,噴霧を空間的および時間的に制御する必要があり,噴霧下流 の噴霧特性を支配する噴孔近傍の分裂過程を理解することが重要である.しかし,噴 孔近傍は噴霧液滴が高数密度で存在しているため噴孔近傍の噴霧液滴の計測例 はほとんどなく,分裂過程の噴霧特性は未だ解明されていない.

(9)

2

噴霧を空間的および時間的に制御するためには,噴霧特性におよぼす噴射条件 や雰囲気条件等の影響を膨大な実験に基づいて把握する必要があるが,時間的およ び金銭的なコストの問題から数値解析による噴霧特性の理解が必要である.燃料噴 射について数値解析を行う際,液滴の分裂,衝突,合体等の物理現象を適切に モデル化する必要があり,これまでに数多くの計算モデルが提案されている.

しかし,噴孔近傍における計測結果がないため,液滴の分裂が完了した噴孔下 流の液滴から得られた情報や,噴霧先端到達距離等の噴霧形状から得られた情 報をもとに噴孔近傍の液滴挙動が予想されており,分裂過程における噴霧挙動 の予測精度が高いとは言えない.数値解析の予測精度を向上させるため,噴孔 近傍の噴霧液滴の計測データに基づくモデルの構築が望まれている.

1.2 研究目的

本研究では,レーザー2焦点流速計(L2F)を用いることにより燃料噴射ノズル近傍の 分裂過程における噴霧液滴の速度とサイズの空間分布および時間的変化を大気圧 場ならびに高圧場において明らかにすることを目的とする.また,液滴数密度および 質量流量の空間分布および時間変化を評価する方法を提案し,その妥当性を明らか にする.さらに,これらに基づいて数値解析により得られた液滴サイズの空間分布と L2F 計測により得られた計測結果が一致する噴霧モデルを提案し,噴霧内部の分裂 過程における液滴速度,数密度および質量流量の空間分布を高精度で予測する数 値解析法を確立することを目的とする.

(10)

3

2

章 従来の研究

2.1 ディーゼル噴霧に関する実験的研究

燃料噴霧の噴霧特性を把握することは,噴霧特性と燃焼・排気特性との関連を 検討し,燃焼を改善する上で重要である.これまでに多くの研究者により噴霧 の計測方法が提案され,噴霧特性が評価されてきた.

最も代表的な噴霧の計測方法として噴霧の直接画像計測があり,噴霧先端到

達距離(5-7)や噴霧角(8, 9)などの時間変化が報告されている.特に噴霧先端到達距離

は噴霧の成長を表す重要なパラメーターであり,広安ら(10)に代表される多くの 研 究 者 に よ っ て 予 測 式 が 提 案 さ れ て い る(11-14). ま た ,LIF(Laser-induced fluorescence)法(15, 16),CIV(Correlation imaging velocimetry)(17),PIV(Particle Image Velocimetry)(18-20)X(21)等を用いた計測結果が報告されている.

噴霧粒径の計測方法にはフラウンホーヘル回析法(22)やレーザー光回折法(23, 24), 蛍光・散乱光法(25),干渉画像法(26),ホログラフィ法(27)などがあるが,これらの 計測法は計測された画像から液滴径を評価するため,下流の噴霧のように比較 的低数密度な噴霧の計測を対象に用いられ,噴孔近傍の液滴の計測には不向き である.

粒径と流速を同時に計測できる位相ドップラー法(PDPA:Phase Doppler Particle Analyzer)は位相情報を基にして粒径を決定するために,計測点を取り 巻く噴霧粒子によって散乱光強度が減衰しても計測結果への影響が少ないとい う特徴を持つ.これまでに多くの研究者によりディーセル噴霧液滴の計測に PDPAを用いた結果が報告されており,噴射期間中に噴射された液滴の計測結果

(11)

4

も報告されている.噴射期間後に噴射された液滴の数密度に比べ噴射期間中に 噴射された液滴の数密度は高く,液滴を計測することは難しい.ディーゼル噴 霧に対する PDPA の適用範囲を明らかにするため,液滴サイズの計測データに 噴射期間のデータを含む文献を8編抽出した(28-35).図2.1はこれらの文献の計測 条件である,噴射圧力と噴孔から計測断面までの距離の関係を示す.噴射期間 中の液滴サイズが計測された条件を黒塗で示し,噴射期間中の液滴サイズが計 測されなかったと判断される条件を白塗で示した.なお,それぞれの計測にお いて噴孔数,ノズルタイプ等のノズル諸元は異なっている.たとえば,2003

Lacoste(30)の場合,噴射圧 160MPa で噴射された燃料の液滴を噴孔下流

30から60mmの間で計測し,噴孔から40mm以上離れた断面において噴射期間 中の液滴サイズを報告している.図2.1に示されたいずれの噴射圧においても噴 孔から 10mm 下流までは PDPA を用いた噴射期間中の液滴サイズの計測例はな く,噴射圧が30MPa以上の場合においては噴孔から40mmの位置より上流では 液滴サイズが計測されていない.すなわち噴孔近傍の高数密度噴霧を計測でき る新しいシステムが必要である.

2つの焦点の間を液滴が飛行する時間を計測して速度を求めるレーザー2焦点 流速計は光学的SN比(Signal to Noise Ratio)が高く(36),液滴数密度の高い噴霧計 測において多重散乱の影響を受けにくいという特徴を有している.本論文にお いて用いられたレーザー2焦点流速計は,液滴による散乱光の散乱時間計測機能 を付加することによって速度とサイズの同時計測が可能である(37).これまでに ノズル噴孔から0.5mm下流の噴霧液滴速度とサイズを同時に計測した結果(38)や,

噴孔下流 25mm の位置において噴霧内の質量流量の評価を行い,それらの積分 値が噴射量と一致する結果を報告している(39)

(12)

5

2.2 ディーゼル噴霧の数値予測に関する研究

ディーゼル噴霧における噴霧液滴挙動の予測に数値解析が用いられており,数値 解析コードの一つであるKIVA3vを用いた数値解析は多くの研究者らによって行われ ている.液柱あるいは液滴の分裂は噴霧形成において最も重要な過程であり,後述 のように多くの分裂モデルが提案されている.分裂モデルは大きく分けて液滴 振動タイプと表面波不安定タイプの 2 つに分類できる.液滴振動タイプでは,

液 滴 変 形 と ば ね - 質 点 系 の 振 動 が 相 似 で あ る と し た TAB(Taylor Analogy

Breakup)モデル(40)などがある.表面波不安定タイプの分裂には ReitzWave

breakupモデル(41)KH(Kelvin-Helmholtz)不安定とRT(Rayleigh-Taylor)不安定の両 者をモデル化したKH-RTモデル(42)などがある.いずれのモデルも式中に液滴の 分裂を支配するパラメーターとしてモデル定数を含む.例えばKH-RTモデルに

Fig. 2.1 Measurement condition J. Lacoste

et al.(2003)

0

20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

20 40 60 80 100

Distance from nozzle exit[mm]

Injection pressure[MPa]

F. Payri et al.(1996)

J. Y. Koo et al.(1990)

J. Lacoste et al.(2003) J. Y. Koo(2003)

A. Doudou(2005) A. Doudou(2005)

A. Doudou(2005) J. Benajes

et al.(2005)

I. Pribicevic et al.(2012) J. Konget

al.(2009)

J. Y. Koo(2003)

0

J. Benajes et al.(2005)

Measured data in injection period No data in injection period

(13)

6

おいてはモデル定数として分裂時間を支配する定数 B1や分裂後の液滴径を支配 する定数 CRT 等が用いられる.その値は数値解析結果と噴霧先端到達距離(42-45) や,噴霧下流域で得られた液滴径の計測結果(46-48),または過去の文献(49, 50)と比 較することによって決定されている.過去に提案されたモデル定数を整理する ため,分裂モデルに KH-RT モデルが使用された文献を 11 編抽出した(42-52). 図 2.2 は分裂モデル定数 B1および CRTを抽出し,まとめたものである.たとえ ば,米国ウィスコンシン大学エンジン研究センターのReitzらのグループの一員 であるRicart(49)B160およびCRT0.1を提案している.この図に示すよう にモデル定数の組み合わせが 1 つではなく,さまざまな組み合わせが提案され ている.これは分裂モデルの妥当性を検討する上で,噴霧形状や下流の噴霧液 滴を参考に分裂過程を評価したためと考えられ,噴孔近傍の分裂過程を計測し た結果を用いて分裂モデルを検討する必要がある.

Fig. 2.2 Adjustable constant

0.01 0.1 1 10

1 10 100 1000

CRT

B1

S. H. Park et al.(2009)

L. M. Ricart et al.(2000) C. S. Lee et al.(2002) B. Mohan et al.(2002)

S. W. Park et al.(2009) C. Baumgarten et al.(2004) J. Kusaka et al.(2006)

D. Struckmeier(2010)

W. Waidmann et al.(2011) M. A. Patterson

et al.(1998)

町田ら(2012)

(14)

7

3

章 燃料噴霧液滴の計測装置

3.1 レーザー2焦点流速計システム

3.1.1 光学系および信号処理系

本研究で用いたレーザー2焦点流速計(L2F:Laser 2-Focus Velocimeter)の測定体 積は2つの焦点より構成され,図3.1はその3次元構造を示している.焦点直径 F3μm,焦点長さL20μm,焦点間距離S17μmの微小な測定体積を実現 している.また,LDV(Laser Doppler Velocimeter)PDPAと比べて光学的SN比 が非常に高いという特徴を持つ.

3.2L2Fの光学系および信号処理系を示す.半導体レーザー(Intense社製,

波長830nm,出力150mW)から射出されたレーザー光はコリメータレンズで平行

Fig. 3.1 Measurement probe of L2F

F 3µm S 17µm L 20µm

(15)

8

光となり,ビームスプリッターにより 2 本のレーザー光に分けられる.反射鏡 およびキューブ型ビームスプリッターにより反射された 2 本のレーザー光は焦 点距離8mmの非球面レンズ(GELTECH社製,BJ350240B)によりレンズ前方に2 つの焦点を形成する.計測対象となる液滴が焦点を通過すると散乱光が生じ,

L2Fは後方散乱光を受光する.後方散乱光は再び非球面レンズおよびキューブ型 ビームスプリッターを透過し,顕微鏡用対物レンズで拡大された後,光センサ であり受光面サイズが直径0.2mmであるAPD(Avalanche Photo Diode:浜松ホト ニクス社製,S2381)で検知される.2つの焦点から生じた散乱光はそれぞれ別の

APD に導かれる.APD から出力された微弱な電流はアンプで増幅され , FPGA (Field Programmable Gate ArrayPrime Systems社製,SX-USB2)により構成

されるデジタルカウンターに送られる.FPGAにより液滴が焦点間を飛行する時 間,および各焦点における液滴の散乱時間は160MHzの周波数で計数される.

Fig. 3.2 Optical setup of L2F and signal processor

(16)

9

さらに,噴射信号印加からの経過時間である液滴データ取得時刻も同時に6MHz の周波数で計数された.

3.1.2 計測原理

図3.3に計測対象粒子が2焦点を通過するときにAPDから出力される上流・下流 信号とカウントされる飛行時間および散乱時間の関係を示す.計測対象粒子が 上流焦点を通過してから下流焦点を通過するまでの飛行時間をt1,計測対象粒子 が焦点を通過したときの,上流焦点の散乱時間をt2,下流焦点の散乱時間をt3と する.液滴速度uは,既知である焦点間距離Sと飛行時間t1より次の式で求められ る.

Fig.3.3 Time-of-flight and time-of-scattering

(17)

10

t1

u S (3.1)

また,液滴サイズは,2 焦点間距離 S と液滴サイズ dp+焦点サイズ F の比が飛 行時間 t1 と散乱時間の比に対応することから次の式が得られる.その際,散乱 時間は上流散乱時間t2と下流散乱時間t3の平均値を用いる.

1 2

t t S

d F

(3.2)

上式をサイズdについて変形すると

F  t u t

dp 2

3

2 (3.3)

と求められる.

噴霧液滴の空間的な分散の状況把握は,高数密度場における液滴の分裂過程 を理解する上で重要である.本論文では分散の指標として,液滴間距離ならび に数密度を考える.液滴間の飛行方向の距離Ldは,液滴が計測点を通過した後,

次の液滴が通過するまでの時間Δtup-downと液滴の速度uの積,すなわち,

down up

d u t

L (3.4)

で推定できる.ここで液滴時間間隔Δtup-downは両焦点を通過した液滴より算出さ れる.また,焦点の計測可能な面積は(L+dp)・(F+dp)であり,1 個の液滴が体積

(18)

11

Ld・(L + dp )・(F + dp ) の空間に存在すると考えられる.これらより単位時間当

たりの平均液滴数密度NDup-down

/

)) , ( (

)) , ( (

) 1 ,

(x T L L d x T F d x T

ND

p p

d down

up (3.5)

で求められる.

液滴数密度の計測限界は測定体積に 1 つの液滴が存在する場合であり,その ときの数密度は約980,000 1/mm3となる.

噴霧内の局所質量流量は燃料当量比分布の基礎情報として重要である.噴霧 の質量流量 MFup-downは,単位時間に計測点を通過する各液滴の質量の総和であ る.直径F,長さLの焦点をサイズdp,体積Vpの液滴が通過するとき,質量流

MFup-downは次式により算出できる.

n

n up down p p

p

down up

T x d F T x d L T x t

T x V T

x

MF ( , ) ( ( , )) ( ( , ))

) , ( )

, (

(3.6)

3.4は上流焦点を通過した液滴,および上流・下流両焦点を通過した液滴を 判別するフローチャートを示している.取得データ数,つまり上流焦点を通過 した液滴数Nupは計測開始時にセットされる.飛行時間および散乱時間クロック の計数は,上流焦点を通過した微粒子の散乱光による上流焦点信号(Upstream signal)の検出によって開始される.下流焦点を通過した微粒子の散乱光による下 流焦点信号(Downstream signal)が検知されるか,上流焦点信号が再び検知される まで計数が行われる.上流焦点信号が検出された後,下流焦点信号が検知され

(19)

12

た場合,計数値とともに上流・下流フラグが保存される.また,上流焦点信号 の後に再び上流焦点信号が検知される場合,計数値と共に上流・上流フラグが 保存される.有効データは上流・下流フラグを持つ液滴であり,計測終了後に 抽出される.

式(3.5)および(3.6)による液滴数密度および質量流量の評価では両焦点通過液 滴の速度,サイズおよび時間間隔を用いる.ここで,測定体積を通過した全て の液滴を対象に液滴数密度および質量流量を評価する場合,上流焦点のみを通

Fig.3.4 Flowchart of data acquisition procedure

- Invalid data - - Valid data -

Begin

Number of data = Nup

Upstream signal

Start time-counting

Downstream signal

Hold time-counting

Store counted time and Up-Down flag

Data number = Nup

End

Upstream signal

Hold time-counting No

No

No

No

Yes Yes Yes

Yes

Store counted time and Up-Up flag

(20)

13

過した液滴の存在を考慮する必要がある.両焦点通過液滴は全液滴のランダム サンプリングで得られたものであり,両焦点通過液滴の速度,サイズは上流焦 点通過液滴の速度,サイズと統計的に同じと考えられる.このことから,両焦 点通過液滴より算出した液滴時間間隔 Δtup-down に,上流焦点を通過した液滴数 Nupと両焦点を通過した液滴数Nup-downの比をかけることにより,測定体積を通過 した全ての液滴の液滴時間間隔を推定することとした.これより測定体積を通 過した全ての液滴の液滴数密度NDおよび質量流量MFは次式より求められる.

   

dowm up

up down

up N

T N x ND

T x ND

,

, (3.7)

   

dpwn up

up down

up N

T N x MF

T x MF

,

, (3.8)

噴射期間にわたる全燃料質量Mは次式によって見積られる.

t x

T x A T x MF T

x

M( , ) ( , ) ( ) (3.9)

x x x

A

( ) 2 (3.10)

ここで,ΔTは解析する期間を,ΔAは幅Δxのリング状断面を示す.

3.2 供試インジェクター

3.1に計測に使用した燃料噴射ノズルを示す.本研究では噴孔径0.113mm5 噴孔ソレノイドインジェクターを用いた.ノズルはVCO(Valve Covered Orifice)である.

(21)

14

インジェクターの噴射制御はファンクションジェネレーターを用いて行われた.ファンク ションジェネレーターから矩形信号を出力しインジェクタードライバを経由して,インジ ェクターのソレノイドに駆動電流を与えることで針弁を上下させ燃料噴射を行った.噴 射期間は矩形信号のパルス幅を,噴射間隔は周期を調整することにより変更された.

3.3 燃料噴射系システム

3.5にコモンレールインジェクターシステムおよびL2Fの信号処理系を示す.サプ ラ イ ポ ン プ(BOSCH 社 製)は , プ ー リ ー を 介 し て モ ー タ ー(HITACHI 製 ,5.5kW

TFO-KK4P)で駆動される.モーターの回転数は800rpmである.サプライポンプによっ

て昇圧された供試燃料がコモンレールに供給される.コモンレール内圧力をコモンレ ールに取り付けられた圧力センサで検出した.供試燃料には JIS2 号軽油を用いた.

供試燃料がコモンレールから燃料タンクに戻るリターン量を調整することによりレール 内圧力は維持される.リターン量はコモンレールコントローラーによって調節される.高 圧場に噴射された噴霧の計測を行う場合,図中の破線で示す定容容器内に窒素ガス を充填することにより噴霧の雰囲気圧力を変化させた.

Table 3.1 Injector specification

Injector type Solenoid injector

Nozzle type VCO(Valve Covered Orifice) nozzle

Number of nozzle holes 5 holes

Diameter of Injector hole 0.113mm

(22)

15

3.4 定容容器

L2Fの集光レンズの焦点距離は8mmと短いため,L2Fの光学系全体を定容容 器外に設置して計測を行うことは困難であった.そこで,集光レンズを容器内 に設置できる定容容器および専用の L2F を同時に開発した.図 3.6(a)および(b) に本研究で使用した定容容器を示す.図3.6(a)はインジェクターおよびL2Fを設 置した定容容器の写真である.定容容器本体は内径 80mm の円筒形であり,そ の両端に蓋を設置することで容器内部の空間を密閉し,インジェクターおよび L2F は定容容器の側面から挿入した.インジェクターは L2F の光軸方向と垂直 に挿入し,噴霧軸をz軸,L2Fの光軸をy軸,それらに垂直方向をx軸とする.

3.6(b)は定容容器へのインジェクターの挿入の概況を示す.円筒形容器の軸

Fig.3.5 Fuel spray measurement system

(23)

16

(a) Over view of constant volume vessel with injector and L2F

(b) Injector set in constant volume vessel

(c) Cross section Fig.3.6 Constant volume vessel

定容容器本体 Injector

L2F

上蓋

下蓋

z x y Window

L2F Injector

Non spherical lens

y x

z

(24)

17

方向に噴射された噴霧を青色で示した.図3.6(c)はL2Fおよびインジェクター中 心を通る断面における定容容器断面図を示す.L2Fはx-z断面上を,インジュク タは y 軸方向に移動可能であり,計測点を 3 次元的に移動させることが可能で ある.また,本研究で使用した定容容器は L2F とは反対側の容器側面に観察窓 を有しており,噴霧画像計測は容器側面の観察窓からを行った.容器内の圧力 は容器内に窒素ガスを充填することにより変化させ,最大7MPaまで昇圧可能で ある.容器内の温度は容器上蓋から挿入された熱電対により計測された.

(25)

18

4

章 非定常

3

次元数値解析手法

本 研 究 で は 数値 解 析コ ー ド と し て KIVA3v(53)を用 い た .KIVA3v は 米 国

LosAlamos研究所で開発されたコードであり,有限体積法をベースとしてシリン

ダー内の周囲空気は Euler 的に,また噴霧は Lagrange 的に解くことで燃料と空 気の混合気形成過程を解くことができる非定常 3 次元数値解析プログラムであ る.以下にKIVA3vの支配方程式,噴霧分裂に関するサブモデルについて述べる.

4.1 支配方程式

KIVA3vの支配方程式を以下に示す.x‐軸,y‐軸,およびz‐軸の単位ベク

トルをそれぞれi,j,kとすると,位置ベクトルxは以下の式(4.1)で表される.

x = xi + yj + zk (4.1)

さらに,ベクトル演算子は以下の式(4.2)で表される.

z y

x

i j k (4.2)

また,速度ベクトルuは以下の式で表される.

u = u(x, y, z, t)i + v(x, y, z, t)j + w(x, y, z, t)k (4.3)

(26)

19

(1) 化学種mに対する質量保存方程式

m m mc S m1

m D

t





u (4.4)

ここで

m :化学種mの密度

:全化学種を合計した密度 u :流体の速度ベクトル

D :Fickの法則における拡散係数=/(Sc)

c

m :化学反応による項

S :噴霧液滴による項

1

m :Diracのデルタ関数

式(3-4)を全化学種について足し合わせると化学変化の前後において質量は保 存されるので次式が成り立つ.

  S

u

t (4.5)

(2) 運動量保存式

  p A k F g

t a

S

3 2 1

2 0

u u u

(4.6)

(27)

20

ここで

p :流体の圧力

a :低マッハ数のときの圧縮性を考慮する変数

(Pressure Gradient Scaling : PGS法)

A0 :層流の場合0,乱流の場合1

:粘性応力テンソル

u u T

uI

'

(4.7)

' = -2/3

:粘性係数

 = (1 – A0)0 + air + A0ck2/ 

0 :拡散率 c :実験定数

2 2 / 3 1

A T

T A

air

(Sutherland formula) (4.9)

A1, A2 :定数

T :転置を表す.

I :単位行列

FS :噴霧による単位体積当たりの運動量増加率 g :重力加速度

(3) 乱流モデル

流れ場が乱流である場合,すなわちA0 = 1.0の場合,以下に示す乱流エネルギ ー kと散逸率 に関しての2つの輸送方程式を解く.

(28)

21

S

k

W k

k t k

k







: Pr 3

2 u u

u (4.10)

C C CSWS

k

C t C









2 1

3 1

:

Pr 3

2

u

u u

(4.11)

ここで

WS :噴霧との相互作用による値

また,C1,C2,C,Prk,Prは実験定数であり,以下に示す値が標準的な値で ある.

C1 = 1.44 C2 = 1.92 C = -1.0 Prk = 1.0 Pr = 1.3

(4) エネルギー保存式

  I p A J A Qc Qs

t

I



0

0 :

1 u

u

u (4.12)

m

m

hm

D T K

J / (4.13)

ここで

I :化学エネルギーを除いた比内部エネルギー

:∇u :粘性によるエネルギー消散

(29)

22

J :熱流速ベクトル(熱伝導とエンタルピー拡散の和)

:熱伝導率 = ( Cp)/Pr

hm :化学種mの比エンタルピー Qc :化学反応による項

Qs :噴霧の相互作用による項

4.2 噴霧液滴の分裂に関するモデル

ディーゼル機関において,燃料は高圧で燃焼室内に噴射され,液柱から直接 液滴に分裂する1次分裂と,周囲ガスとの相互作用により液滴が再度分裂する2 次分裂によって急速に微粒化することで極めて多くの微細な液滴となる.その ため,これらの液滴を個別に Lagrange的に解くことは困難である.そこで噴霧 液滴群を有限個の噴霧粒子で代表し,代表噴霧粒子の運動を Lagrange的に解く

DDM(Discrete Droplet Model)が用いられる(54).この代表噴霧粒子をパーセルと呼

びパーセル内の液滴の状態量(位置,液滴径,速度,温度)はすべて等しいとする.

本研究では1次分裂モデルにBlobモデルを,2次分裂モデルにKH-RTモデルを 用いた.

4.2.1 1次分裂モデル

Blob(55)1次分裂モデルの中で最も簡単な方法であり,図4-1のように,

噴射した液滴の径はノズル径と等しいとする方法である.しかし,実際のノズ ルではキャビテーションなどの効果より,噴孔径より微細化された液滴が噴射 される.よって,ノズルの径の値を直接使わず,縮流係数を使い実際の噴孔面 積より小さい値が用いられることが多い.なお,噴射速度は入力データとして 与える.

(30)

23

4.2.2 2次分裂モデル

KH-RTモデルはKHモデル(41)RTモデル(42)を組み合わせた2 次分裂モデル

である.KHモデルとは流体力学におけるKelvin-Helmholtz不安定性を基に作ら れたモデルである.KH不安定性とは,密度の異なる流体が層となっておりそれ らが互いに異なる速度で運動するときに発生する流体の不安定性であり,各々

Fig. 4.1 Blob model

Fig. 4.2 Kelvin-Helmholtz breakup model Uinj

Nozzle hole

Λ

dnew=2B0Λ

2r0 urel

(31)

24

の流体が接触している界面では,密度と渦度が不均一になり,微小な擾乱が成 長する.KHモデルはこの特性を液滴と気体との界面に適用する.この表面波は 気体と液滴との相対速度により発生する空力学的作用によって成長する.KHモ デルの概略図を図4.2に示す.

表面波の波長 および表面波の成長速度 は次式で表される.

   

1.67

0.6

7 . 0 5

. 0

865 . 0 1

4 . 0 1 45

. 0 02 1 . 9

Weg

T Z

r

(4.14)

0.6

5 . 5 1

. 3 0

4 . 1 1 1

38 . 0 234 . 0

T Z

r Weg

l





(4.15)

ここで,

) (

) Re (

5 . 0 5 . 0

number Tayler

We Z Ta

number Ohnesorge

Z We

g l l

l rel l

l

rel l

l

rel g

g

u r

u We r

u We r

Re

2 2

式(4.14)および(4.15)から表面波の波長および表面波の成長速度を算出し,

分裂どの子液滴半径rnewと分裂特性時間buを次式で計算する.

B0

rnew (4.16)

(32)

25

r

bu 3.788 B1

(4.17)

B0B1はモデル定数でありB0 = 0.61, B1 = 10~60が推奨されている(56).さら に,式(4.16)に示すように子液滴半径rnewと分裂特性時間buから親液滴の液滴半 径rの変化率を算出する.

bu

rnew

r dt dr

(4.18)

式(4.18)から半径rの親液滴はタイムステップt後に半径r’に変化し質量が減少 する.ここで,r’は次式で計算される.

t r t r r

bu

new bu

' (4.19)

親液滴の半径が r から r’に変化することで減少した質量が分裂した子液滴の質 量となる.この減少する質量Mが総噴射量 / 初期パーセル数で表される噴射時 の液滴質量の3%になった時,新しいパーセルを作りだす.この時のパーセルの 液滴数Npは次式にて算出される.

3

3 4

new l

p

r N M

(4.20)

RT モデルは Rayleigh-Taylor 不安定性を基に作られたモデルである.RT 不安

定性とは,密度の異なる 2 つの流体が接触しているときに密度の大きい流体か

(33)

26

ら密度の小さい流体に力が働くと 2 つの流体の界面の微小な凹凸から擾乱が成 長することによって流体の運動が不安定化する現象である.RTモデルは次のよ うに噴霧液滴に適応される.液滴が気体中を相対速度urelで移動するとき,周囲 気体による空気抵抗によって液滴には減速力が働く.この減速力は液滴の進行 方向とは逆方向に働き,加速度 a とみなす.この加速度によって気液の界面が 不安定になり,分裂が生じる.RTモデルの概略を図 4.3に示す.ここで加速度 aは次式で表される.

r C u

a

l rel g

D

2

2

8 3

(4.21)

表面波の波長および表面波の成長速度は次式で表される.

l g

RT a

C

3

2 (4.22)

Fig. 4.3 Rayleigh – Taylor breakup model

Λ back

front

a urel

Instability

(34)

27

 

 

g l

g

a l

2

3

3 3

2 (4.23)

new

r (4.24)

CRTはモデル定数であり1.0~5.33が推奨されている(42)RTモデルの場合は分 裂後の子液滴半径rnewは表面波の波長から算出される.またKHモデルとは異 なり,減少する質量ではなく分裂時間で分裂を判断する.分裂時間buはbu = -1 で表され,分裂開始(変形開始)からbu 後に分裂する.分裂後は,新しいパーセ ルを作らず,液滴の半径が小さくなり,パーセル内の液滴数が増加する.

KH-RT モデルでは噴孔から式(4.25)で表される Levich 理論から算出される分裂

長さ Lbまでは KH モデルを適応し,Lbよりも下流側では KH モデルおよび RT モデルを適応する.KH-RTモデルの概略を図4.4に示す.

g l nozzle

b B D

L

2

1 (4.25)

Fig. 4.4 KH – RT breakup model

KH breakup

RT breakup

Dense core:Lb

Φ

Fig. 2.1 Measurement condition J. Lacosteet al.(2003)020406080100120 140 160 180 20020406080100
Fig. 2.2 Adjustable constant
図 3.2 に L2F の光学系および信号処理系を示す. 半導体レーザー (Intense 社製,
Fig. 3.2 Optical setup of L2F and signal processor
+7

参照

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