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日本と中国の社会起業に関する比較研究

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(1)

日本 と中国の社会起業 に関す る比較研究

専 攻 コー ス 学籍番 号 氏

名 教育 内容 ・方 法 開発 認識形成教 育系

M12133A

讐 毅 男

(2)

目次

序章:.………… …… ……… ……… ……… ……。2 1、 研究背景 と研究 目的:.…… … … …2 2、 研究対象 と研究方法 :.…… … … …・2 第一章

日本の社会起業の現況 。……… 第一節

日本 の社会起業 の概念.…… … … …3 第二節 日本 の社会起業の特徴.…… … … …10 第二節 日本 の社会起業 の形式.…… … … …13 第 四節 日本 の社会起業の問題.…… … … …21 第二章 中国の社会起業の現況.………… ……… ………23 第一節 中国の社会起業の概念.…… … … …23 第二節 中国の社会起業の特徴 。… … … …

27

第二節 中国の社会起業 の形式.…… … … …27 第 四節 中国の社会起業の問題.…… … … …

36

第二章 社会起業の 日中比較.…………・ .“¨¨38 第一節 行動主体一社会起業家の比較。… … … …… … … …… … … ……38 第二節

日本 と中国の社会起業事例の比較.…… … … …

42

終章.…………∴¨………61

(3)

1、 研 究 背 景 と研 究 目的 社会起業 とは、いわゆる社会的企業のことである。社会問題の解決 を目的 として、収益 事業に取 り組む事業体のことである。 ソーシャル・ビジネス とも呼んでいる。 社会起業 とい う新 しい言葉は19世紀60、 70年代に初めて使われたそ うである。欧米で 生まれた とされる社会起業だが、現在ではイギ リスの社会起業が最 も有名である。イギ リ スで実施 されている社会起業に関する育支援などを通 じて、各国に影響 を与えている。10 年ほどの時間を経て、事業は広 く発展 し、新 しい時流を作るようになっている。 社会起業の担い手は社会起業家 と呼ばれている。多数の社会起業家は革新的理念を持 つ てお り、教育支援、環境保護、身体障害者援助など多方面で、社会の課題解決 に向けた事 業を起 こしている。 社会起業は、伝統的な商業企業や慈善福祉事業な どとは異なる。社会起業の性格は、商 業企業 と伝統的なNPOの中間に位置す る。つま り、純粋な社会貢献を趣 旨としたptIPOと 粋な商業利益を追求す る企業 とは性格が異なつている。動機や 目標 などから考えて、社会 起業は 「使命感」 と「自己利益」の両方を考慮す るものである。すなわち社会起業 とは、 利潤 に基づき公益事業を行 う企業のことをい う。 日本では、欧米の社会起業の影響の下で、多 くの社会起業家が活躍 している。近年、社 会起業家 を育成す る教育が流行 している。社会起業家にな りたい人に教育支援するプロジ ェク トは、ますます盛んになっている。例 えば、2010年 4月 、東京で社会起業家を育成 す ることを専門 とす る学校 として社会起業大学が設立 されている。 中国では、社会起業は新 しい概念であ り、未だ広 く知 られていない。

2001年

頃に始ま り、

2007年

にはイギ リス駐 中国大使館が社会起業に対する支援教育 を始また。 このこと を契機 に中国の社会起業が急速に発展 してきた。例 えば、2008年の四川省波川大地震後、 「尭統計画」を実施 し、被災者に就職機会を提供するとともに、経済の復興 を促進 した。 また、城市を再建するために社会起業が起 こされた りしたのである。 本稿の研究 目的は、日本 と中国の社会起業の相違について比較す ることにより、グロー バル 日中社会起業双方の情報共有を図ること、また、両国の社会公益事業の協力を促進 し、 社会起業家に対す る教育支援を推進することである。 2、 研 究 対 象 と研 究 方 法 : 本稿の研究対象 として、日中の社会起業を取 り上げる。その上で、両者の相違について 整理する。具体的には、 日中社会起業の現況、理論、企業形態 と創業条件、資金や政策、 社会起業家の精神 、社会起業の持つ意義などについて論 じることになる。 研究方法 として、まず社会起業 と社会起業家についての各種文献、新聞記事(ニュース)、 インターネ ッ ト(イ ンター ビュー

)な

どを参考に しながら、今 日の 日中における社会起業 の現況を比較す る。そ して、事例分析 を通 じて 日中社会起業の相違点を浮き彫 りにした上 で、今後の課題 と展望を明 らかにする。

(4)

第一章

日本の社会起業の現況

第 一節 日本 の社 会 起 業 の概 念 1.1.1日 本社会起業の背景 戦後、 日本経済は復興 し、急速 に発展 してきた。 経済成長 に ともない、各業種 の企業 を中心に市場化が進 んだ。人 と会社 が密接 につ なが るなかで、生活保障や社会 と経済の安定な どのために、終身雇用制 な ど福祉制度 を内包す る大企業 を作 ってきた。その後、イ ンフ レあるいはバブル経済な どもあつて、 人 々は リス ク回避 のために新事業 を起 こす ことについて、あま り関心を持 たなかつた。

1970年

代か ら

80年

代 にかけて、オイル シ ョックは 日本経済に大 きな影響 を与 えた。 政府 は福祉 と公益事業への拠出を減 らした。公共事業に代 わる新 しいプ ランを模 索す る とともに、民間によるサー ビス提供 な どが政策 によつて進 め られた。その結果、政 府機能 は維持 され るなかで、公益法人 を通 して福祉 を事業化 していつた。

1980年

代後 半か らバブル経済崩壊 にかけて企業体制の改革がすすむなかで、中小企 業が活発 にな り、人々の会社への帰属意識 も変わつていつた。社会貢献活動 を希望す る人が増カロす る とともに、ボランテ ィア活動 に従事す る人 も増加 した。 さらに、阪神 淡路大震災以後、ボランテ ィア活動 も活発化 し、幅広い分野で活躍す るよ うになつた。 平成

12年

の国民生活選好度調査 によれば、国民が参加 したい と思 つてい るボランテ ィア活動 の項 目は、自然・環境保護 に関す る活動 が 41.4%、 社会福祉 に関す る活動 が 38.4%、 体育 0ス ポーツ・文化 に関す る活動が 25.8%、 公共施設での活動 が23。 7%、 募金活動が 18.2%、 青少年の健全育成 に関す る活動が 17.6%、 防災 と災害救助活動 が15。4%、 国際交流(協力)に 関す る活動が 13.3%、 保険・医療に関す る活動 が13。

2%

な どとなつてい る。 また、産業構造の変化 に ともない、日本で創業 を試み る者は市場 の現状や環境 を探 るよ うになつた。創業者 の創業動機 は、主に

6つ

ある。① 自分の裁量で仕事が したい 44.2%、 ② 自己実現 を図 りたい39。 6%、 ③専門的な技術・知識 を活 か したい 32.4%、 ④社会 に貢献 したい 30.8%、 ⑤ よ り高い所得 を得たい 20.9%、 ⑥ アイデ アを事業化 したい19。

7%な

どである。 しか し、創業の現実的な条件 によ り、創業 にお ける困難性 は高 くなつている。例 え ば、資金面の困難、マーケテ ィング面の困難、人材・経営能力の困難 、制度 0手続 面 の困難 な どである (関連デー タは『 中小企業 白書 (2002)』 を参照 した)。 創業希望者 と創業者 の数量が逆比例 してお り、創業実現率 は、下降傾 向にあ る。また、創業実現 率 と社会貢献意識率 を重ねて比較 してみ ると、以下のよ うな趨勢 を示 してい るこ とが わか る。

(5)

指定 したスタイルは使われていません。・

1

倉J業希望者・創業者・創業実現 率・ 社会貢献意識率 創業希望者 と創業者 と創業実現率 と社会貢献意識率び)表 80.00% 6000% 4000% 2000% 000% 1982 1987 1992

-創

1業者 社会 貢 献 意識 (l・L会 志 向) 表 1‐

1

倉J業希望者・倉J業者・倉1業実現率・社会貢献意識率 時 間 (年) 創 業希望者 (万人) 創 業者 (万人) 創業実現率 社 会 貢 献 意 識 (社会志 向) 1971 71 33

46.50%

37.50% (社会志 向) 1974 71 37 52.10% 39.80% (社会志向) 1977 108 37 34。

30%

45.20%

1979 118 44 37.30% 47.00% 1982 115 46

40.00%

43。

70%

1987 130 47 36。

20%

52.60% 1992 113 36 31.90%

61.70%

1997 124 39 31.50%

63.60%

(『中小企業 白書 (2002)』

48頁

、図

2-1-1、

および、『環境 白書 (平成 15)』

53頁

、 図

2-1-1よ

り筆者整理)

1990年

代 には経済のグローバル化が進み、日本ではイ ギ リスや アメ リカな ど各 国か らの影響 を受 けて、人々の社会 問題 に対す る認識 が強 くなつた。

1998年

NPO法

、つ ま り特定非営利活動促進法が実行 されてか ら、ボランテ ィア性 の市民活動 は非常に活 発 になつた。 また、多様化 と持続可能 な発展 に向けて、

NPO活

動 の純粋 な公益性 は事 業性 の性格 を持つ よ うな形へ と変化 していつた。社会性 と事業性 を組み合わせ て新 し い事業 を起 こすわけである。 市民 と企業の社会 問題への意識 は高まつた。平成

13年

の各社会状況の調査 によ り 関連デー タを参照す る と以下の よ うになる。①市民が企業の社会的役割 を求 めること に関連 して、事業 を通 じた貢献85。 2%、利益の追求 と雇用維持 75%、環境保護65。 9%、 法令や社会倫理 の遵守 30.5%、 社会貢献

0ボ

ランテ ィア 27.7%、 株 主利益最大化

13.2%と

なつてい る。また、②企業が社会貢献活動 に取 り組む理 由 として、社会 の一 員 として責任 がある85。 3%、 利益の一部 を社会 に還元す る 46.9%、 イメー ジア ップ ・979 ・997 150 100

〓 

・・・

・﹂

一一

一 

・97︲

一一 

 一

(6)

につ ながる

3%3%、

社会 に対 し広 くパイプを開 く方法 29。 8%、 社風の形成 に役車う 19.9%、 社員 が社会貢献活動 を行 う企業 を望む

8,4%と

なってい る。 さらに、③企業 が社員 のボ ランテ ィア活動 を支援す る理 由 としては、地域社会の維持発展 にうなが る 51%、社会 との関わ りを持つ社員 を擁 したい 31.7%、 企業イメージが向上す る29。 3%、 人材育成 につなが る25。 9%、 支援 を望んでい る社員がい る25。 4%、 支援す る会社 に 対 して社員 が誇 りを持つ24。

1%な

どであつた (『平成

15年

環境 白書』 を参 照)。 企業 が公益事業 を通 じて新事業 を展 開す るよ うになつた背景 として、このよ うな意識 の変 化 を指摘す ることができるわけである。 また、イギ リス とアメ リカの ソーシャル 0エンタープ ライズか らの影響 を受 けて、 日本では社会起業家の意識 が形成 されて きた。 ただ単に収入 を得 るだけではな くて、 自分の人生にお ける価値 の実現 を通 じて社会問題 の解決 に取 り組む。社会起業家 にな って社会 に貢献す ることを志向す る人び とが、日本 にお ける社会起業を担 うよ うにな つてきた。 社会起業家の研 究や、起業家育成 を推進す るための学校、セ ミナー、研 究会な どが 全 国に広がっていつた。社会起業家は社会貢献の意識 を持 つて、多様な形態で新 しい 事業 を起 こす。また、社会 か らの理解や政府 の政策な どを通 じて社会起業への支持 を お こな う。特に企業では収益 と社会貢献の双方 を重視 し、事業 を行 う場合 も増 えて き た。近年、 日本 における社会起業家 はます ます活況 を呈す よ うになつてい る。

1.1.2

日本、イ ギ リス、アメ リカにお ける社会 的企業の比較 日本の状況 について 現在 の 日本の社会的企業 を見てみ る と、担い手 である社会起業家 は各領域で活躍 し てい る。欧米か らの社会的企業 をモデル に して発展 してい る。 日本 における少子高齢 化 、障害者雇用、環境保護 、性別差別 、ホーム レスな ど社会問題 に対 して、政府 、社 会、市場 と協力 して、新型事業の社会起業が絶 え間な く改善 され るなかで全 国へ と活 動範 囲を拡大 してい る。 日本 の社会的企業は、社会認識度が高まるとともに、「コンミュニテ ィ・ ビジネ ス」 や「ソーシャル ビジネス」な どと呼ばれ るよ うになつてい る。一般 的に「ソーシャル・ エ ンタープ ライズ」 とい う言葉 も使 われている。 日本 における社会的企業は、イ ギ リス とアメ リカの ソー シャル・エ ンタープライ ズ お よび グローバル経済の影響下にあつて、その活動 は発展 してい る。 日本 の状況 に適 合 的な事業形態 としては、収益事業 と非収益事業 との組み合 わせ によるハイブ リッ ド 組織 、持続可能 な発展 に基づ く地域活動、新型 の協同組合 、

CSR企

業な ど社会責任感 の高い企業 な どがある。 イギ リスの状況 イギ リスでは、

1970年

代 に経済危機 を経験 し、その後 、公共投資額は減少 した。サ ッチ ャー政権 と経済システムの転換 による影響 で、小 さな政府へ の改革 が進 め られ 、 福祉 国家での社会サー ビスは再調整 されていつた。

80年

代後半、イ ギ リスの経済停滞、 高齢化 と移 民流入 な どの社会 問題 に対 して、地域資源 の活用 を 目指 した コ ミュニテ ィ・ ビジネス事業が広 く展 開 していつた。 も う一つは、小 さな政府 の形成 において、 そ もそ も行政その ものが リスク となつた ことで、従来の行政 に よるボランタ リー組織 支援 とい う形態 に代わつて、ボランタ リ∵組織 と協同組合 か らなる、政府 とチャ リテ

(7)

ィ と企業 とが連携 した新 しい スタイル の事業が行 われ るよ うになつた。政府 がボラン タ リー組織 と企業 を支援す る形 か ら脱却 し、公共事業 を展開 して利益 を求 める自立的 な組織 として ソー シャル・エ ンタープライズが活動す るよ うになつた。 ウェス トール

(2001)に

よれば、その概念 図は以下に表 わ され る。 図 1‐

2イ

ギ リス社会的企業 の概念 図 、政府所有 自立、 自助 (『

ソーシャル・エンタープライズ社会的企業の台頭』

194頁

、図表

6-1よ

) アメ リカでの状況

1960年

代か ら

70年

代にかけて、アメ リカは反戦運動、差別運動、消費者運動な ど 社会の転換期を経験 し、企業の社会的責任 を社会課題 とす る認識が広まった。社会運 動の影響を通 じて、社会志向型企業はビジネス市場で影響力を広めていつた。

70年

代 か ら

80年

代の環境運動をきっかけに して、政府や企業の活動を通 じて、環境保護 を 趣 旨とす る環境に関す るビジネス

NPO事

業体が成立 した。 さらに

90年

代以後では、 人権や貧困な どの社会問題 を解決す るために、多様な社会活動 に取 り組んできた。そ れ らは「ソーシャル ビジネス」や 「ソーシャルベ ンチャー」、あるいは「ソーシャル・ アン トレプ レナーシップ」な どと呼ばれている。 表

1-2

アメ リカの社会的企業の多様 な類型 ビ ジ ネ ス 型 の 社 会 的 企 業 企業 の社会貢献 二重 目的を有す る企業 企業 と非営利組織 とのパー トナーシ ップ 非 営 利 型 の 社会 的企業 社会 目的追求組織 取引仲介組織 非営利組織/営利組織 の子会社 非営利組織 と営利企業のパー トナー シ ップ

(8)

(『

ノ■シヤル

│エ

ンタ‐プライズ社会貢献をビジネスにする』

6-9貢

より

)

1・

3

日本、イギリス、アメリカの社会起業の概況比較

1.1。

3

日本社会起業の定義一一

EU諸

国の社会起業の定義 を参考 に して 社会的企業は、国や地域 によつて、定義が違 う。 ヨー ロ ッパ各 国の社会 的企業 ある 日本 イ ギ リス アメ リカ 社会起業の背景 戦 後 産 業 構 造 改 革 と公 益 事 業 意 識 が 高ま り、

NPO法

人が 成 立 した こ とが 契 機 になる サ ッチ ャー 政 権 と 経済危機、福祉政策 の リスク化 、チャ リ テ ィが契機 社会変革運動 で社 会問題 を解決す る ことへ の関心が高 ま り企業 の社会 的 責任感 が重 くなる 社会起業の発展 各 地 域 に よつて持 続 可 能 な事 業 を起 こす 政府 、チャ リテ ィ、 企 業 の三者 が連 携 して事業を起 こす ビジネス市場で社 会問題 を解決す る 事業体 による社会 責任の遂行 社会起業の事業体 非 収 益 事 業 と収 益 事 業 を組 み 合 わせ た事業体、あるいは NPOと 連携 して新事 業 を創業 した もの、 社 会 的活 動 を行 う 企業 な ど 非 営 利 組 織 の商 業 化 と公 共事 業 の市 場化 、企業の社会的 事業 非営利組織 の商業 化 を求 めるなかで の新事業 の展 開、 高い

CSR意

識 のな かでの営利企業 社会起業の形態 事業型 NPO 社会志向型企業 中間形態の事業体 一般企業 による社 会的事業 (CSR) ・協 同組合 とソーシ ャ ル 0ファ ー ム ・従業員所有会社 ・ ク レジ ッ ト・ユニ オ ン 0開発 トラス ト ・媒介的労働 市場会 社 0コ ミュニテ ィ・ビ ジネス ・ ソーシャル・ビジ 社会志向型企業 ・シ ビック・アン ト レプ レナー ・中間支援 団体の活 躍 。事業型 NPO

O社

会志向型企業 。中間支援組織 0資金提供機 関 ・大学・研究機 関 由来 の相違点 経 済 体 制 改 革 で 市 民公益意識 の変化 福 祉 国家 政 権 変 化 でチ ャ リテ ィ変遷 社会変革運動 を通 じた企業 の社会 的 責任感 の高ま り (『

ソーシャル・エンタープライズ社会貢献をビジネスにする』より筆者整理

)

(9)

ぃは

NPOセ

クタ‐の定義は、

Borzaga and Dёf6urttyが

20ol年

に、以下の条件を

満足

する組織をソーシャル

│エ

ンタープライズとして定義した

(『

ソーシャル

?平

シタ∵

プライズ社会貢献をビジネスにする』93頁

)6

①財を持続的に生産している。

②市民グループにより組織されている。

③市民グループが自律的に運営し他の組織から管理されることはない。

④起業者はつぶれるかも知れないとい う

(経

済的

)リ

スクを負 う。

⑤ボランティアを労働力として使用する。

⑥コミュニティヘの貢献が活動目的である。

⑦資本の保有量

(株

式保有量など

)に

は無関係で 1人 1票制である。

③さまざまはステークホルダーが組織運営に参加する。

⑨制約された割合ではあるが、利潤をステークホルダーに分配できる。

日本の場合には、さまざまな定義があって、7つ の定義が挙げられる。それらの相

違点について分析 しておこう

(こ

れら7つ の定義は『 ソーシャル・エンタープライズ

社会貢献をビジネスにする』

91-92頁

からの引用

)。 細 内 (1999):地 域住民が よい意味で企業的経営感覚 をもち、生活者意識 と市民意 識 の もとに活動す る 「住民主体の地域事業」。 藤江 (2002):利 益は得 るがその追求 を至上の使命 とせず、あ くまで も地域を活性 化 し、地域住民の便益に供す ることを第一 の 目的 とす る事業 を総称 した言葉。 経済産業省 (2002):地 域住民が、地域の問題 を解決す るために、地域資源 を活用 しなが ら、 ビジネス として継続的に展開 し、地域 を元気 にす る事業。 谷本(2002):「社会性 ―社会的課題 に取 り組 む ことを事業活動 の ミッシ ョン とす る。」「事業性 一社会的 ミッシ ョンをわか りやすい ビジネスの形 に表 し、継続 的 に事業活動 を進 めて行 くこと。」「革新性 ―新 しい社会的商品・サー ビスやそ の 提供す る仕組みの開発、あるいは一般的な事業を活用 して社会的課題 に取 り組 む仕組みの開発」。 これ ら

3つ

の要素 を満足す る組織 として定義 している。 原 田・塚本 (2006):社 会課題 の解決 を ミッシ ョンとして、ビジネスの手法や企業 家精神 を活用 して活動す る組織 の総称であ り、組織形態は、非利益組織や協 同 組合形態 を基盤 に形成 された ものか ら、会社(営利法人)形態 をとるものまで あ る」 と定義 した。 コ ミュニテ ィビジネスサポー トセ ンター、website:市 民が主体 となつて、地域 が抱 える課題 をビジネスの手法によ り解決 し、また コミュニティの再生を通 じ て、その活動 の利益 を地域 に還元す るとい う事業の総称。 おお さか

CBネ

ッ ト、website:地 域住 民の生活 に密接 に関わ る課題 を解決す るた めに、ビジネス的手法で取 り組み、「コミュニティ」 と「ビジネス」 とい う

2つ

の視点が調和す る新 しい形 の事業。 ここでい うコ ミュニテ ィ とは、近隣エ リア 的な地域社会だけでな く、テーマによ り形成 され るもの も含 まれ る。 以上の各定義によつて、主体、目的、特徴などにおける相違 を一覧にす ると、以下 のよ うな表にまとめられ る。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

(10)

1,4

各国社会起業の定義の相違 組織 主体 目的 ファイナ ンス 運営形態 利 潤 状況 EU 市民 クループ コミュニテ ィ ヘの貢献 資本的保有量 ステー クホル ダーが 自律的 に運営 制約 された割 合 、利潤 をス テ‐ クホル ダ ー に分配 ① 地域住民 生活者意識 と 市民意識に根 ざした活動 詳細不明 企業的経営 詳細不明 ② 地域住民 地域住民のニ ーズに応 える 詳細不明 地域 の活性化 を通 じた事業 利潤 追求せず ③ 地域住 民 地域 問題 を解 決、地域 を活 性化 地域資源 を活 用 ビジネス とし て継続的に展 開 詳 細 不 明 ④ 事業活動の ミ ッ シ ョ ン 社会 的課題ヘ の取 り組み 詳細不明 ビジネス方 式、新 しい社 会的商品・サ ー ビスを提供 す る 詳細不明 ⑤ 非営利組織 と 協同組合形態 を基盤 に形成 社会課題 の解 決 詳細不明 ビジネスの手 法や企業家精 神を活用、会 社(営利法人) 詳 細 不 明 ⑥ 市 民 地域 が抱 える 課題 を解決 詳細不明 ビジネスの手 法 に よるコ ミ ュニテ ィ再生 利益 を地域 に 還元 ⑦ 地域住 民 生活 に密接 に 関わ る課題 の 解決 詳 細 不 明 ビジネスの手 法で、「コミュ ニテ ィ」と「ビ ジネ ス」の視 点 を調和 詳細不明 要す るに、日本 での社会起業は、主に地域住 民が、地域資源 を活用 して、社会 問題 や社会課題 な どに取 り組む ものであ り、「コミユニティ」 と「ビジネス」双方 を尊重 しつつ、企業の形 で利益 を地域 に還元す るものの ことをい う。

(11)

第■節

日本の社会起業の特徴

1.2.1

日本 の社会起業の特徴

1.事

業性 社会的企業の事業性 は、ビジネス として営利 を得て、企業の市場競争力 、経営マネ ジメン ト、商品・サー ビスな ど、市場経済 における活動 か ら現れ る。 「事業体 として考 えた場合、企業であれ、

NPOで

あれ、事業 を継続的に行 う経営体 (ゴーイ ング・ コンサー ン

)と

して事業収益 を上げていかな くてはな らない」。つ ま り、従来の企業 と慈善活動 に限 らず、非営利性 の公益性組織 とボ ランタ リー組織 を代 表 して、政府や社会か らの支援 によつて事業 を行 つてい る。 ソー シャル・エ ンタープライズの事業体は多様化 してい る。す なわち、非収益事業 と収益事業 を組み合わせた事業体 としてのNPO、 企業の社会的活動 を通 じた新事業 の 創 出な ど、また事業型NPOと社会志向型企業、それ ら中間形態の事業体、あるいは社 会的事業

(CSR)を

実施す る企業な どである。 日本 の社会的企業では、主 に

NPO法

人 では、社会性が強 く、事業組織 と組み合 わせて社会貢献す る会社 の成立がな され る傾 向にある。そ こでは、社会課題 の解決 に向けた ビジネスが創 出 され る。社会起業 は、

CSR意

識 を高 く有 し、環境配慮型や障害者 。高齢者援助な どの商品開発 を行 つてい る。 そ こでは、人材 、資源 、技術 な ど企業運営のための条件 が整 え られ、事業体 として活 発 な活動が行 われ ている。 2。 革新性 社会 的企業は、社会的課題 に対 して、多様 な主体が組み合わ さって新 しい事業体 を 構成 し、新 しい商品 とサー ビスを創 出 してい る。社会的企業の担 い手である社会起業 家 は、人生にお ける価値 に基づ き、社会貢献のために新 しい仕組作 りにチ ャ レンジ し てい る。それ ゆえ、ソー シャル・エ ンタープライズの革新性 は強 くなる。ソーシャル 0 エ ンタープ ライズの革新性は、従来の制度 と構造のあ り方 に応 じて、社会課題へ志 向 した り、市場競争力 を強めた り、営利事業 と非営利事業 を連携 させ た事業 を作つた り、 人生の価値実現 を通 じた りして、社会の持続可能 な発展 のために新 たな事業 を作 り出 してい る。 この意味で社会革新 の意味を強 くもつ。 3。 社会性 社会的企業の中心は、社会 に役 立つ とい うことである。政府か らの社会福祉支援 が 不足 してい るのに対 して、環境保護 、障害者雇用、ホーム レスな ど社会貢献活動 を中 心 として、各社会課題 の解決 を 目指 してい る。社会的企業 は商業化 を通 じてその社会 価値 の実現 を 目指 してい る。 ソーシャル・エ ンタープライズの社会性 は、社会的成果 で評価 され る。 アメ リカの ソー シャル・ エ ンタープ ライズ関係機 関で あ るロパ ーツ事 業 開発財 団 (REDF)は、社会的成果 を測 る評価方法 として社会的成果指数 を以下のよ うに算 出 し てい る。 将来創 出 され る価値 (事業価値+社会 目的価値*一負債) 現在 までの投資額 社会的成果指数

=

(12)

(『ソ■シヤル `エ ンタ‐プライズ社会的企業の台頭』

268頁

か ら引用) *社会 目的価値は、公的支出減少や税収入増加など。

1.2.2

日本の社会起業の特徴―― ソーシャル

`エ

ンタープライズの事例分析か ら 表

1エ

ラー

!指

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-5

社会的企業の

4つ

事例の 比 較 ソ ー シ ャ ル ・ エ ン タ ー プ ラ イ ズ ︵社 会 起 業 ︶ 安全セ ンター株式 会社 特定非営利活動 法人イー・エル ダー ア ッ トマー クラー ニング/(特活)日 本ホー ムスクール 支援協会 (特活)ばれ つ と /(株 )ば れ つ と

F

http://wwwo anzen -1。 co.jp http://wwwo e― e lder.」p http://www.at―le arno co.」p http://www.npo― pal ette.oro jp 事 業 形 態

会社形態

NPO形

態 会社+NPO NPO+会

事 業 領 域 高齢者支援 高齢者・ 障害者福祉 教 育 障害者福祉 事 業 対 象 一人暮 らしの高齢 者 な ど 社会福祉 団体 教育機 関な ど 学級崩壊や不登校 な どの在宅学生 知的障害者 を中心 と した障害者 事 業 内 容 ・緊急 通報 サ ー ビ スを提供 。「お元気 コール 」 「電話健康相談」 な ど 0リ ュー ス PC 寄贈 プ ログラ ム O PC講 習会 ・

eラ

ーニング

IT学

習 プ ロ グ ラム ・イ ンターネ ッ 授 業 自分 自身 の判 断 の な かで学 習 指 導 を受 け られ る 高効 率 の学 習 を 0ク ッキーの製造販 J L ・ 支店 で のケー キ製 造販売 ・ レス トランの経 営 ・ 障害者雇用

(13)

・企業 ,団体 と の協働事業 ・事業型

NPOの

普及

0啓

発活 動 目指 した指導 自由 に学習 時 間 と場所 を選ぶ 多様 化 と多 角 的 な視 点か らの学 習支援 社 会 性 企業 による医療 関連サー ビス事 業拡大、人材雇 用 一人暮 らし高齢 者への安 心の提 供 緊急時の救命 、 救助 0企業の社会貢 献活動 ・非営利 団体の 活性化 ・ 障害者作業所 に委託 して 中 古

PC再

生作 業 ・非営利 団体ヘ の

IT技

術 と 知識 の育成支 援

0教

育 の多様 化 と 人材育成 ・ 不登 校や 障 害者 な ど在宅学 生 ヘ の教育支援 0個人 の学習指導

0ニ

ー ズに即 した 教育の制定 ・ 障害者 の 自立を支 援 ・ 障害者雇 用 を提供 ・ 地域 にお ける障 害 者 との融合

0障

害者 の保護 と保 障 事 業 性 ・情報技術 を利用 した事業業務 と 関連サー ビスに よる収益 0活動支援寄付 金 な どが全収 入の

69%

PC再

生に関わ る事業収入 が 全 体 収 入 の

31%

・ 学 校 の設 立 と運 営形態 ・ 補 助 金 の支 給 を 受 けてお り、授 業 料 のみ で採 算 可 ・ ク ッキーや ケー キ の販売 と レス トラ ン経営 の収益 。ボ ランテ ィア従 業 員 と補 助 金 の支 援 が あ り、経営支 出 は低い 革 新 性 医療奉仕 と情報 技術 を組み合 わ せ たサー ビス業 に よる新事業 派生サー ビス業

NPOを

事業体 として変革 し 経営 を行 う 関連事業 とし て他 の

NPO事

業の推進 と支 援 を行 う ・ イ ン ターネ ッ ト を利 用 して ホー ム ス クール を作 る 0「株式会社立」の 高校 ・ 伝 統的 な福祉事 業 の変革 を通 じた新 事業体 ・ 新 しい 障害者雇 用 ビジネ スモデル (『

ソーシャル・エンタープライズ社会的企業の台頭』

P219-P250に

より筆者が整理

) 以上、

4つ

の事例 を通 じて ソー シャル・エ ンタープライ ズの形態 について分析 して みた。日本 にお ける社会課題 に対 して社会的企業が新事業体 として活動 していること が理解 で きる。 ビジネスの方法で社会 目的 を実現す る事業である。社会性 とは、「社 会的 ミッシ ョンを掲げ、社会的成果 を生み出 し、社会的課題 に関わ る新 しい秩序や規 範 を創 出 してい く能力」の ことであ り、社会の各方面か ら資金や資源 にかかわる支援 を受 けなが ら、企業 と福祉 な どの新事業体 を組織化 し、新 しい社会的価値 の創 出にか かわつている。事業性 とは、「『 ビジネ ス』 として成 り立たせ る能力」の ことであ り、 社会 問題 を解決す るために、政府 と社会 か ら支援 を受 けなが ら、事業体が行 うよ うな サー ビス提供や商品開発 、市場発展 な どの商業手段 を通 じて、多様 な組織 が収益 を得 なが ら経営 を行 つてい くことである。革新性 とは、「新 しい仕組 みの構築 に挑戦 しよ

(14)

うとす る能力」の ことであ り、伝統的な組織 を変革 して新事業体 を組み合わせ 、社会 目的を達成す るために、制度やマネ ジメン ト、経営 な どを再編成 して、新開発や新生 産、新販売 な どにかかわ る新 しい仕組みや方法 を考 えることである。 第 二節 日本 の社 会 起業 の形 式

1.3現

在の 日本における社会起業の形態

1.3.1

日本の社会起業一―持続可能な発展 とその概況か らの分析 「持 続 可 能 な発 展 」 とい う概 念 は 、

1987年

の 「ブ ル ン トラ ン ト報 告 」 で 主 に 「環 境 の 持 続 可 能 性 」、「経 済 の持 提 出 され た 後 、 世 界 中 に 広 ま つ た 。 続 可 能 性 」 と 「社 会 の 持 続 可 能 性 」 の 二 つ 側 面 の 安 定 か らな つ て い る。 図

1-3経

済 、 社 会 、 環 境 の持 続 可 能 な発 展 要 素 の 分 布 概 況 (『安 全 。安 心 で 持 続 可 能 な未 来 の た め の 社 会 的 責 任 に 関 す る研 究 会 』 よ り 筆 者 作 成) 図

1-3の

説 明 を して お こ う。 経 済 、 社 会 、 環 境 の そ れ ぞ れ 重 な る部 分 は 、 持 続 可 能 な 消 費・生 産 、持 続 可 能 な イ ン フ ラ 、 人 口問 題 、 食 糧 問 題 、 貧 困 。開 発 、ESD、 市 場 環 境 整 備 な どで あ る。 経 済 と社 会 が 重 な る部 分 は 、 雇 用・ 労 働 、 移 民 、 地 域 格 差・ 地 域 開 発 、 少 子 高 齢 社 会 、 世 代 間 不 公 平 な どで あ る。 経 済 と環 境 の 重 な る部 分 は 、 エ ネ ル ギ ー 、 水 資 源 、 地 球 温 暖 化 問 題 、 廃 棄 物 、循 環 型 社 会 な どで あ る。 社 会 と環 境 の 重 な る部 分 は 、 食 の 安 全 、 環 境 と健 康 な どに か か わ つ て い る。

(15)

これ ら

4点

は 、社会 的 な課題 として掲 げ られ た もので あ る。既 述 の よ う に 、近 年 日本 で は社 会 貢 献 、 の意 識 が高 ま ってい るが、 さ らに、 企 業 が社 会 貢 献 活 動 に取 り組 む こ とで 、企 業 の社 会 責 任 も強 ま っ て い る。 社 会責 任 の強 化 と ともに

tア

イ デ ア革 新 の な か で 、 社 会 起 業 は市 場 を開拓 し利 益 を 確 保 して い る。 こ こか ら社 会 、環 境 、経 済 にお け る持 続 可 能 な発 展 が現 れ て い る。 社 会 起 業 の社 会 性 や 商 業 性 に対 す る社 会 革 新 お よび商 業 革 新 が組 み合 わ さって事 業 体 が形 成 され る。 持 続 可 能 な発 展 へ の 志 向 は 、 社 会 起 業 の発 展 の原 動 力 で あ る。 参考文献: 『 中小企業白書 (2002年)』 『環境白書 (平成15)』 『 安全・安 心 で持続 可能 な未 来 のた め の社会 的 責任 に 関す る研 究会 報 告書 (平 成 20)』 『 ソーシャル 。エンタープライズ社会的企業の台頭』 『 ソーシャル・エンタープライズ社会貢献をビジネスにする』

1.3.2

日本社会起業の主体 と分布一公益事業の主体 と分布 か らの分析

1998年

に 日本で

NPO法

が制定 されてか らは、社会的企業が広範 囲に発展す るととも に、

NPO活

動 に基づいた ソーシャル・エ ンタープ ライズは、社会的課題 の解決 を通 じ て社会 システムの変革にも影響 を与 えて きた。このよ うな事業型

NPOは

、一般に資金 や人材 な どで社会資源 を利用 し、自立的 に事業 を展開 しなが ら経済面での相対的 な 自 立性 も有 しつつ、公共的な事業 を行 う民間組織で ある。 「『 平成

18年

NPO法

人の活動 に関す る調査研 究』によれば、‥‥‥この あた りが事 業発展 を具体的に模 索 し得 る水準 と考 え られ るが、直近 の事業化 の可能性 を考慮 して さらにランクを下げて

500万

円以上で線 引きす る と48.8%と い う数字が現れ る。 ソー シャル・エ ンタープ ライズの枠組 に入 る

NPOは

NPOの

中の

4割

弱か ら

5割

弱が対象 になる とい つて よいだろ う」(『ソーシ ャル・ エ ンタープ ライズ社会貢献 をビジネ ス にす る』

201頁

よ り)。 「

NPOセ

クターの戦略 として考 えてい くために、社会的課題 の掲げる地域や社会 の システムの変革 に向か うの と同時に、経済的課題 も同時 に解決す る役割 を果たす こ と を 目指す活動 を、

NPOサ

ポー トセ ンター全 国連絡会 を通 して促進 してきた」(『ソー シ ャル・エ ンタープ ライズ社会貢献 をビジネスにす る』

205頁

よ り)。 要す るに、事業型の

NPOは

「経済力」 と「戦略力」か ら見 ると、社会的企業が社会 的価値 を実現す る基本理念 に基づいて、新価値 を創 出す る社会変革 を実現す る可能性 を見出す ことができる。 日本では、市民の公益意識 の強 ま りとともに市民社会が展 開 している。 そのなかで、

NPOを

第二部門の市民セ クター として、また、商業化 した非 営利セ クター

NPOを

ソー シャル・エ ンタープライズの主体 として、市民社会は展 開 し ている。 以下の

NPO法

人セ クター収入 を代表 として近年 に

NPOの

変化 を分析す る。

(16)

図 1-4

2000年

2003年

NPO法

人 セ ク ター収 入 源

2000年

NPO法

人 セ ク ター収 入源 2000年

NPO法

人セ クター収入源 ・ 事業収 入 ●補助金収入 ・ 寄付金収 入 ・ その他経 常収 入 ■入会金 。会費収 入

2003年

NPO法

人 セ ク ター収 入 源 2003年

NPO法

人セ クター収入源 ・ 事 業収 入 ●補助金収 入 ・ 寄付金収入 。その他経常収 入 ●入会金 。会費収入 出所:『ソーシャル・エンタープライズ社会貢献をビジネスにす る』図5。 1と図5。 2

2000年

か ら

03年

の状況によると、補助金 と寄付金の比率が減少 している一方で、 事業収入部分の比率は増加 している。

NPO法

人セクターはビジネス化を通 じて持続可 能な活動のあ り方 を探 りつつ発展 してきている。 前述の平成

12年

国民生活選好度調査によれば、国民意識の高ま りとともに、参加 したいボランティア活動の項 目は、主に自然・環境保護 に関す る活動が41.4%、 社会 福祉 に関す る活動が

38.4%で

あつた。ここで、自然・環境保護 と社会福祉 に関す る全 国の分布概況によつて、 日本における社会起業の分布 を推測 してみ よう。

(17)

1.3.3

自然・ 環境保護 に関す る社会起業の分布概況 図

1-5

全国の各地域によリボランティア活動の中で 自然や環境 を守るための活動状況 ボ ランテ ィア活動・ 自然や環境 を守 るための活動 沖縄

- 55

鹿 児 島

145

宮崎 ■■

2ぼ

L81

大分 ■■2口

L75

貪〔′` 145 長崎 ■出

2≦

L84

佐賀 ■」

4-‐

76 福 岡 330

高知

■百醤40

愛 媛 … 78 禽 雹 武

32

.11ロ ー 100 広 島 ■

L劇

____134

1司「日 ―

- 133

鳥根 ■曝四

M58

1 :::ti61:

奈良 ■呻嘔=」 71 兵庫 大阪 341 310 京者5 136 滋賀 ―

A-113

二重

-9K 121

418 647 348 6 ″ ‘ ● 0 群馬

-1'° 133

栃木

-119

茨城 ■

E四

“ ―

_____― -196

福 島 ‐

Lg“

__125

JJ形 ■Lユ

LL__ 88

秋田 ■響И出 61 宮城 ■疇溜

=L____146

岩 手

-120

青森 ‐己四

=68

北海道 ‐ 白』

LL______申

“――…… 0 100 200 300 400

-平

均 行 動 日数(日/年

)■

‐‐ 行 動者 数(千人) 500 600 ………… 線 形 (平均 行 動 日数(日/年)) 愛 知 407 静 岡

276

岐 阜

153

長 野

150

11梨 ■■ “ 』日」a 68 福井 ■串η亀1 石 川 ■職2四

L_90

富 山 ‐ 1°

81

新 潟

142

神 奈 川 東京 千葉 埼 玉 700

(18)

50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 ― 平均行 動 日数(日/年

)

………… 指数(平均行 動 日数(日/年)) (『平成

18年

社会生活基本調査報告 第

4巻

P548表

15に よ り、筆者が整理、作成) 図

1-7

都市階級によつて 自然や環境を守 るための活動の平均行動 日数状況 都 市階級 平均 行 動 日数(日/年)

22.5 

  

  

  

大都市

中者ζ市

小都 市

A

小嘲ζ市B ― 平均行 動 日数(日/年

)

………… 指数(平均行 動 目数(日/年)) (『平成

18年

社会生活基本調査報告 第

4巻

P548表

15に

より、筆者が整理、作成) 以上の3つ のグラフか ら自然や環境 を守るための活動 に参加 した人数 と平均行動 日 数な どをみると、関東大都市圏 と京阪神大都市圏な ど経済的に余裕 のある地域では、 環境保護活動の認識が高い。

1.3.4

社会福祉費用の分布概況

(19)

以下、

2000年

現在 、 日本全 国の社会福祉費用の状況か ら、分布概況 を分析す る。 図 1…

8

全 国の都道府県別市町村社会福祉費の総金額 と一人平均金額 の状況 沖縄 … 622 鹿 児島 ‐‐‐‐L:463427 宮崎 ― 。9: 397 人分 ― 蓼69 貪ξ本 │■■■■■■■ 449452

長崎

f62

佐賀

433 福 岡

1343

高知 ■‐ 「

7瞬

7571

愛媛 ‐‐‐ 「 電

"539

香 り‖ ― :475

[]≡

:≡

IL垂

:l: 岡 山 ■■■■■■ "Ю

7593

鳥 根 … 519 鳥 取 ―― ■ё

41 605

和歌山 ‐‐ 「 775静 49 奈 良

-521

2312 ‐‐‐‐‐ “ 恥13 ■■■■ 「 ‐278F 569 -3 464 ■■■■■■■■■ 「 512 547 … 451 鶏 │::6

_3,1′

■■■■■■■口 43チ45 1709 3719 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

-一

人 当た り(千円

)‐

‐‐ 社 会福 祉 費(億円

)…

…… 指 数(‐人 当た り(千円)) (出

:『

図説日本の社会福祉』表

5-6-1よ

り筆者作成

) この図 1-8に よると、社会福祉費は全国の中でも、東京都、大阪府、北海道、神奈 川県な どで額が大きいが、地域によつてその差は大きく、主に経済が発達 した大都市 兵庫

1292

大阪 京都 滋賀 二重 愛 知 静岡 岐 阜 長野 山梨 福井 石川 富 山 新潟 神奈川 東京 千葉 埼 玉 栃木 茨城 福 島 山形 秋 田 宮城 岩 手 青森 北海 道 群馬

-2556

_3,2 601

- 597 ■■■■■■ 「 363 - :408 -517 -493 ■■■■■ 「 ■買費503 ■■■■■■Pu10550 1058 1099

(20)

に偏重 して分布す ることがわか る。 しか し、一人平均の福祉額 にういてみれ ば

t各

地 域で大 きな差はみ られない。

参考文献

:

『 ソーシャル・エンタープライズ社会的企業の台頭』

『 ソーシャル・エンタープライズ社会貢献をビジネスにする』

『 図説 日本の社会福祉』

1。

3.5

日本 の社会起業 と伝統公益 との違 い 大村弘道氏―老人向け緊急通報サー ビス

1987年

、大村氏 は、一人暮 らしの高齢者 のために、情報技術 を利用 した、緊急通報 サー ビス提供のための安全セ ンター株式会社 を社会起業 として設立 した。高齢者 のた めに小型携帯通報機 を配布 し、急病や緊急時にす ぐに受信セ ンターヘ通報 がな され 、 救急車や相談 コーナーに連絡が入 ることで、一人暮 らし高齢者 の安全保障サー ビスが 図 られ る。 ① 「企業情報」 背 景 大村氏の母親

(54歳

当時)は 、心llaの急病 を起 こ し、

6時

間後 に発見 されたものの、 すでに多 くの時間が経過 していた ことによ り、亡 くなった。この ことをきつかけに し て、大村 氏は高齢者 の緊急時通報サー ビスの必要性 に強 く関心 を寄せ るよ うになった。

1987年

頃、大村氏は

NTT無

線機 が新 しい緊急通報 システ ムを開発 した ことを知 った。 当時、一人暮 らし高齢者が増カロす るとともに、急病や緊急 の多発 に よつて死亡率が上 がつてお り、深刻 な社会問題 となつていた。一方 、アメ リカでは病院医療 と家庭看護 を連携 させ た試みが始まってお り、産業構造の変化 を促 していた。急病や事故の発 生 に対 して早 めの措置 をとるために、「家庭介護時代」のブームは 日本 にも入 つてきた。 大村氏は ここか ら着想 を得 て、医療介護 と情報技術 を組み合 わせ て、新たな事業 を開 始 した。1987年 6月 、大村氏は、東京 で高齢者のために緊急通報サー ビスを福祉 ビジ ネス として取 り組み、安全セ ンター株式会社 とい う新事業 を創設 したのであつた。 概 況

10年

後の1999年当時、通報件数

11万

、売上

12億

円、顧客数

3万

人、採用 され た 市町村 3000、 会社従業員130名の規模 にまで成長 した。「お元気 コール」「電話健康相 談」な どの業務 を行い、その関連業務 のために看護師を多 く雇用 し、医療機 関 とも協 力 して、独居高齢者 の社会課題 に対す るサー ビス提供 を全 国的に展 開 していつた。 し か し、事業開始 当初は、高齢者 の緊急通報サー ビスについての認識 は低 く、経営は不 振 を極 めた。そのため、「逆説の経営」とい う市場戦略を考案 し実践す ることにした。 ② 「逆説の経営」 大村氏が採用 し実践 した 「逆説 の経営」 とは、「誤報歓迎」、「社則 な し」、「会議 な

(21)

し」、「机なし」、「定年な し」 とい う

0う

の項 目か らなる6 第一の 「誤報歓迎」とは、契約者たちに、緊急ではない時にも、定期的に電話をか けることである。平時か ら、挨拶や 五ミュ■ケーシ ョンを通 じて相手の状況 を詳 しく 把握 しておけば、緊急時の対応にも役 に立つ。 二つ 目の「社員Jな し」とは、厳 しい会社規貝1によるのではなく、む しろ職場の雰囲 気づ くりのために、大村氏 自身が手書きで書 く「ルニル」である。このことを通 じて、 仕事に纏わ りつ く堅苦 しさを払拭す ることができた。 三つ 目の 「会議 なし」では、効率の低い会議 をなくし、む しろ適切な意見交換 とそ の効率的な反映が重視 された。 四つ 目の「机な し」では、固定の個人スペースをなくして、職場空間を自由にす る ことで、気軽な雰囲気を作 り出 し、効率の向上を実現 した。 五つ 目の 「定年なし」では、健康で元気な人に仕事をまかせ、や る気を出させ るこ とで、高齢者雇用につなげ、社会での高評価を受けた。最高年齢は

74歳

である。 これ ら「逆説の経営」によつて効率化 と予算節減 を図 り、全身全霊仕事に打ち込 め る環境 を整備することで、売 り上げ増加 による黒字化を実現 した。 ③ 安全センター株式会社 と伝統公益の相違点 その社会性 について、独居高齢者 の安全 と健康 のために、緊急時の通報サー ビスを提供 し、社会の課題 に取 り組んでいることがあげ られ る。その事業性 についてだが、福祉サー ビス をビジネス化 して市場競争 を行い、関連サー ビスの創 出 とともに事業のチ ェーン化 も 実現 してい ることがあげ られ る。その革新性 については、社会課題 と先進技術 を結び付 け、 社会 に適応的 な新事業 を創 出 し発展 させ ることで、さらに新 しい関連 事業 も生み出 してい る。 安全セ ンター株式会社 伝統公 益 社会性 公 益事業 公益事業 事業性 持続 的資金 。独立性 寄付資金・依頼性 強 革新性 新技術・新商品 な し 参考文献 : 1、『 ソーシャル・エンタープライズ社会的企業の台頭』谷本寛治(2006) 2、『 社会起業家 「よい社会」をつ くる人たち』町田洋次(2000)

(22)

第 四節 日本 の社 会起 業 の 問題 日本での社会起業 は、不法雇用や最低給料、法律政策 な どに関連 して様 々な問題 を 抱 えてい る。本節 では、中国の社会起業 に関 しては法律 が未整備 で あるこ とを念頭 に 置いて、日本 において近年公布 された関連法律 を紹介す ることで、次章以降の議論 の 準備 を してお きたい。 1.4。 日本 にお ける社会起業の法律 につ いて ョー ロッパや アメ リカな ど各 国では、社会的企業 に関わ る法律 が公布 されてい る。 日本では、社会的弱者層の保護 のための社会事業 に関す る政策が、イタ リア と韓 国の 社会的企業 に関わ る政策 を参考 に して定め られた。日本 の社会的企業に対す る保護 政 策 は、

2012年

に 「社会的事業所促進法案 大綱」 として公布 された。 これ を、『 日本発 共生 。共働 の社会的企業』96-99頁 よ り引用す る と以下の よ うになる。 一、 この法律 の名称 は、「社会的事業所促進法」 とす る。 二、 この法律 は、社会的不利 を何 らかの理 由によ り負わ され 、そのため、就労が 困難 な状態 に置かれ る者 に対 して労働の機会 を与 え、就労が困難でない者 と共 に働 き、かつ、対等 に事業 を運営す ることができるよ うに し、もつて労働 を通 じた社会的包摂 を達成す ることを 目的 とす る。 三、 現下の経済及び社会情勢 の下では就労が十分保障 され ない環境 にあ り、社会 的不利 を何 らかの理 由によ り負 わ されてい るため通常の就労形態では労働 の 機会 が甚だ得 に くい者 が多数存在す る。このよ うな現状 において、社会的事業 所(以下「事業所」とい う

)が

、これ らの者 に対す る社会的包摂 を達成す る上 で極 めて有効であることか ら、立法措置 を講ず るもの とす る。 四、 「就労が困難な状態に置かれ る者」 とは、社会的不利 を何 らかの理 由によ り 負 わ されている者 であつて、障害者 、難病者、ひ きこも り、ニー ト、アル コー ル又 は薬物その他 の依存症者 、刑余者、シングルマザー、ホーム レス、性 の暴 力被害者、外国人移住者及び生活保護受給者等の人 をい う。 五、 事業所 は、就労が困難 な状態 に置かれ る者 が、 自らの労働 を通 じて社会参加 を果たす ことによ り、職業生活の豊 さを実感す る とともに社会の構成員 として 社会 に貢献す る機会 を確保 し、もつて他者 と等 しく共生す る社会の実現に寄与 す ることを理念 とす る。 六、 事業所の運営に関 しては、その意思決定において事業所 に所属す る者の意 向 を尊重 しなければな らない もの とす る。但 し、認証 を受 ける法人 ご とにその法 人法に規定 され る運営 との整合性 を図 らなければな らない。その規 定は政令 で 定めるもの とす る。 七、 事業所 に働 く者 は、労働 関係法令及び社会保障関係法令 の適用 を受 けるもの とす る。 人、 事業所の運営形態 を問わず、認証基準 を定め、当該事業所 に対す る認証 を行 う制度 を設 けることとし、それ に伴 う必要 な公的、社会的支援 を行 うこととす る。なお、事業所 の重要な認証基準の一っ として、事業所 に働 く者 の うち、「就 労が困難 な状態に置かれ る者」を引き続 き認 めるか否かについては、十四の機

(23)

関 と事業所 との協議 の上決定す るもの とす る。 九、 当該者事業所の運営 に不適切かう不正が あると認 め られた場合、又は三の理 念 を著 しく損 なった と認 め られ る場合 には、認証 を取 り消す ことができる。 十、 認証 に至 らない事業所で もその可能性 が極 めて高い と認 め られ た事業所 は、 予備認証 を受 けることができる。その事業所 は、認証 を受 けるまでの間(二年 を超 えない期間 とす る)、 認証 を受 けた事業所に準ず る何 らかの支援 を受 ける ことができる。予備認証基準は政令で定める。 十一、 事業所 は、 ビジネス手法 に基づ く事業展開によ り五の理念 を実現す る事業 体であ り、限定 された配 当後 の事業利益 は、その事業に再投資 し、又は、地域 社会 に還元す ることとす る。商業 、工業 、サー ビス業、農林水産業等のあ らゆ る業種 に属す る事業のいずれか を営み、その事業 に係 る収入 が、総収入の五〇% を上回 らなければな らない。 十二、 事業所 に対す る 「支援」 とは、起業の際の資金 の無利子及び低利融資並び に期間を定めた人件費補助並び継続的支援 としての運営費 の一部補助、社会保 険料等の減免措置並びに税制 の優遇措置並びに役務物品等の優先発 注、優先購 買制度並びに相互評価制度等の公的

0社

会的措置 を購ず ることをい う。 十二、 認証基準及び認証、支援等 に関す る事項は、 この法律及び これ に基づいて 政省令で定 める。支援 な どに関す る事項 とは、起業・創業 の支援、新 しい仕事 の開発研究、経営 コンサルテ ィング、企業家教育・研修・養成、事業所の査 定 と監督、情報の収集 と提供、その他調査研 究等 とす る。 十 四、 認証、支援等 に関す る必要な事項を実施す るための公正 な機 関 を設置す る もの とす る。 十五、 認証 を受 けた事業所 間で協議会 を設置す ることを認 め、その協議会は、十 四の機 関 と諸課題 を解決す る為、協議す ることがで きる。 共同提案団体 特定非営利活動法人 特定非営利活動法人 特定非営利活動法人 日本ダル ク本部 ワーカーズ 。コレクテ ィブ ネ ッ トワー ク ジャパン 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 二〇一二年五月 この「社会的事業所促進法案大綱」の中で、明確に、社会の一員 として社会活動 に 参加す る人材の確保が 目指 されている。また、認証の制定、ビジネス事業体、資金方 面の優遇措置、支援事項等が定められている。 日本の法律では、「『 社会的不利を何 ら かの理由により負わされ、そのため、就労が困難 な状態に置かれ る者』と定義づけら れている」。 共同連 ホーム レス支援全 国ネ ッ トワー ク ジャパ ンマ ック

(24)

第二章

中国の社会起業の現況

第 一節 中 国 の社 会 起 業 の概 念 2.1。

1

中国の社会起業の発展背景 近年 、中国では、経済が急速 に発展 してい るの と同時に、多 くの社会問題 も発生 し てい る。例 えば、失業率の増大、貧富の格差の拡大、環境破壊 な どがあげ られ る。政 府 の政策 は後手に回 り、政府 に よる政策効果ははつき りしない。一方、通常の企業で は、社会責任 を認識 していて も、最大の組織 目的 として利潤 を追求す るために、社会 問題 に対す る適切 な措置 を必ず しも採 つてい るわけではない。また、公益的な非政府 組織では資金 に限界があ り、その活動 は一定の範囲内に限 られて きた。 一方、社会起業 は新 しい社会組織 として、非政府 と非市場 の 「第二部門」の一角 に 数 え られ る。中国では、社会起業 とは新 しい概念である。

2006年

か ら社会起業による 慈善事業の革新 な どが新聞や雑誌 な どを通 じて報道 され 、広 く知 られ るよ うになつた。 各 国の社会的企業 について紹介す るとともに、国際 シンポジ ウムな ども開催 されて き た。さらに、自然災害や資源再利用 な ど環境保護 のボランテ ィア といった市民意識 も 明 らかに強 まって きた。第二部 門は非営利組織 であ り、「公益」 とい う特徴 を持つ な かで徐 々に発展 してきた。この趨勢の中で、社会起業 もまた盛んになって きたのであ る。 中国の近年 にみ る急速 な経済発展の理 由は、主に非営利組織の資金、政府政策の支 持、社会起業家 の育成、各 国経験の影響 な どによつてい る。中国では、改革 開放以来 、 政府 と非営利組織 の関係 が変わって、政府財政か らの資金援助が不足す るよ うになつ た。それ ゆえ、市場営利活動 に転換す る必要が生 じた。つま り、社会的企業に転換 し て、独 立、 自給 自足的な活動が求 め られ るよ うになつた。政府が非営利組織 の市場化 にサー ビスを提供 し、その商品を購入す ることで、需要 と供給を通 じて社会起業の発 展 を支 えた。そ して、新 聞や雑誌 な どで宣伝 がな され、交流活動 な どを行 うことで、 各職業のエ リー トたちは社会的使命感 を抱 くよ うにな り、そのなかか ら社会起業家 に なつていつた者 たちも少 な くない。 現在、中国にお ける社会起業 としての社会組織 は、民営非企業単位 、協 同組合、社 会福祉企業、地域社会サー ビスセ ンター な どの形態で存在 してい る。

2.1.2

香港、台湾 とイ ギ リスの社会起業 香港 と台湾 の社会起業は大陸 よ りも早い時期か ら活発 に活動す るよ うになつた。 香港 にお ける社会起業 香港での社会起業は、「社会企業」と呼ばれてい る。

2001年

前 に、金融危機のた め、 政府 か らの寄付金 が減少 し、社会福祉の資金が足 りな くなった。このことをきっか け として、社会福祉 の商業化が進 んだ。

2001年

か らは、政府 の支援金 が、障害者へ就職 機会 を提供す る社会起業に対 して支払 われ るよ うになつた。

2005年

か ら社会起業 とい

(25)

う言葉が政府 の報告書の中で使用 され るよ うになった。

2008年

まで

284家

│の社会起業 が成 立 した。 この よ うに、政府 の支援 と政策は、社会起業発展 に密接 に関係す る。 台湾 における社会起業 台湾 の社会起業 は、「社会事業」と呼ばれ ている。1999年の大地震以後の復興再建 に おいて、政府 は社会起業 に関す る政策 を推進 した。既存の

NPOの

影響 もあつて、台湾 の社会起業 については、それ に関連す る法律が制定 されている。政府が何 らかの資源 を配分す る時、政府 の資金 の

5%は

NPOか

ら資源 を購入す るために使 われ る。一方 、 大陸の社会起業 に対す る法律 はまだ整備 されてお らず、ただ社会福祉企業 と民営非営 利組織 に関す る法律や規則 だけが既 に存在す る。 イ ギ リスにお ける社会起業 社会起業 といえばイ ギ リスのそれが典型例 となる。

1980年

代以後 、経済危機 な どの 原 因に よ り、政府 か らの社会活動 に対す る支 出は大幅に減少 され、

NPOな

どは深刻 な 資金不足に陥った。イ ギ リス政府 は第二部 門の創設 を望み、社会革新 を通 じて社会 問 題 の解決 に取 り組 んできた。社会団体、基金会、民間非企業単位 な どの社会起業は 2009 年時点で約

62000家

が存在す る。 参考文献: 1、『 社会的企業が中国での発展の影響因素要素分析』論文 姫志怖

2012.4

2、『 中国社会的企業の友展模式問題研究』論文 胡鳳

2011年

4月 3、『 中国大陸社会的企業持続可能な発展分析』論文 欧陽李晶

2011.10

4、『 社会的企業起源の理論解釈及び比較分析』―『 南京航空航天大学学報』Vol。 14 No。

3王

世張 5、『 中国企業基金会発展研究報告2011』

6、 アジア社会起業の新動向―台湾篇:http:〃csneto asia/zh―hans/archives/1385 7、 アジア社会起業の新動向一香港篇:http:〃 csnet.asia/zh― hans/archives/1381

2.1.3

中国の社会起業の概念 定義 各国の社会起業の定義は、国家制度、法律政策、保険制度、経済発展、資源エネル ギーな ど、各国情 によつて違 っている。統一的な定義は存在せず、社会起業 はそれ ぞ れ の形式のなかで存在 してい る。例 えば、商業手段 を通 じて資源 を獲得す る

NPOや

、 CSR(企 業 の社会的責任)に 基づいて社会事業 を行 う営利企業 な どがある。 ヨー ロッパ にお ける社会起業 は社会経済の一部分 をな してお り、社会福祉の向上に貢献 してい る。 現在の ところ、政府 によつて社会起業の定義がな された国は少 な く、その例外 として、 イ ギ リス、フィンラン ド、韓国な どがある。各 国の社会起業の特徴 か らは、その定義 は大体

4つ

の種類 に分 けることができる。すなわち、「社会起業 の商業特性」、「弱勢 群体 (「社会的弱者」とされ る人び と

)へ

の就職機会 の提供」、「社会起業の組織形態」、 「総合的な定義」である。 イ ギ リス社会的企業連盟では、「商業的手段 を通 して、社会 目的 を実現す る」とい う

(26)

定義が簡潔になされている。イギリネでの社会起業は、

F平

ミ■三ティ利益企業

Jと

れる。そこでは、コミュニティのメシバーの福祉を図るために、企業の活動が行われ

ている。

中国民政部の「中国社会組織サイ ト」では、「社会的企業 とは、純粋 な企業ではな く、 また‐般の社会サー ビスを提供す るもので もな く、む しろ、商業的手段 を通 じて得 ら れ た利潤 が社会貢献 に使 われてい る企業 である」と述べ られてい る。確 かにそ こで は 利益は追求 され るものの、社会的価値 は もつ と重要視 されている。 持続可能 な発展 を 目指す なかで、各組織 の融合 と同調 の傾 向に即 して、社会起業 の 概念は以下の図の よ うに表せ る。 図

2-1社

会起業の概念の図 ために活動 の支援 のために用い られ る。

経済の 目標達成が 目指 され る (図 :Kim Alterの 「持続可能な発展」を参考に筆者作成) 持続可能 な発展 とい う観点の下、企業 と

NPOの

協力によって社会起業の発展は可能 になつた。社会起業は、商業企業 と伝統的

NPOの

中間に位置す る。例 えば、動機や 日 標 な どか ら考 えて、社会起業は 「使命感 」 と「自己利益」双方 を考慮す る。社会価 値 と経済価値 の持続可能 な発展 のなかで、社会化企業 とビジネ ス化

NPOが

組 み合わ さる ことで、社会問題解決 に向けた公益活動 が事業 として行 われ る。 中国の社会起業 の発展 は地域 によつて不均衡 に展開 してい る。大陸 よ り、香港 と台 湾 の社会起業はい ち早 く発展 し、制度化 も進んでいる。 香港 の社会起業 は、「社会企業」と呼ばれている。主に

NPOを

主体 としてお り、政府 資金や寄付金 に依存す るだけでな く、独 立的に営利事業 も行 つてい る。香港では、社 会保 険制度が未整備 であ り、特 に大きな社会問題 は 「社会 的弱者」の就職 にある。 こ れ は、台湾 の現状 と似てい る。 台湾の社会起業は、「社会事業」と呼ばれている。主に、社 団法人 と財団法人の二つ の非営利組織か らなつてい る。台湾では福祉 に関す る法律 と政策 の制定が進 んでい る と同時に、民衆 の民意 も高 く、非営利団体 と政府福祉機 関は協力 して社会 のニー ズを 満 たす ための社会事業 を行 つている。 日本の社会起業は、社会責任 を持つ一方で、む しろ社会革新 とい う特徴 が重視 され て きた。なぜ な ら、 日本 では、福祉制度 については国家が主導的な働 き してお り、そ のため福祉制度の制度化が進んで、再分配機能 も強 く働 いてい るか らである。香港 と 台湾 の福祉 の場合、伝統的商業形態 とも関連性 をもつた

NPOの

よ うな形での社会起業 としてお こなわれてお り、 日本 とは対照的である。 『 中国社会的企業与影響力投資発展報告 2013』 によれ ば、社会起業の定義 には、「目 持続可能性平衡 伝 統 の 慈 善 月諄夢等(NPO) 非 営 利 組 織 が 収 入 を 生 み 出す活動 社会起業 社 会 責 任 型 企業 営 利 企 業 が 部 分 社 会 責 任 伝 統 商 業 の 営利企業 社会価値 の持続可能性:商業利益 は社会 経済価値 の持続 可能性 :社会責任 の

(27)

標設定J、 「運営模式」、「利潤分配形式」とい う二つの要素が見出せ る。「目標設定」に ういて、社会起業の社会 目標 とは、「社会公益」と「公共禾1益」のこととされ る。「運営 模式」は ビジネススタイルであ り、このなかで社会 目標の実現が 目指 され る。味U潤分 配形式」では、利潤は社会公益に関する企業活動の中で利用 されることを特徴 とす る。 中国の社会起業の定義は、行動主体、政策、文化などによつて、

3つ

の レベルで概 念定義が されている。 表

2-1

中国の社会的企業の属性 に基づ く社会的企業の定義 属 性 行動主体 主要動機 社会的企業定義

A類

:広 投資者 教育者 起業者 資本投入 を推進 伝播 と認識 社会起業家実践 社 会 的 な 効果 と利 益 を 中心 的価 値 と す る企業

B類

:狭 政府機 関 第二者評価機 関 社 会 起 業 に か か わ る政 策 と法 律 の制 定 社 会 起 業 の管 理 と 監督 を実施 社 会 的 な効 果 と利 益 を目標 として、社 会 公 益 を通 じて 利 潤 分配 を実施 す る 企業

C類

:特殊意義 政府機 関 社会組織 中国 の体 制 に特 有 な組織形態 公 益 組 織 か ら社 会 起業 に転換 経 営型 収 入 が 主 要 とな る民 営非 営 利 企業 『 中国社会的企業与影響力投資発展報告2013』 の表2:社会企業の行動主体と動機から筆者作成。 表2‐

2 3つ

の定義方法

A類

:広

B類

:狭

C類

:特殊意義 法人構造 企 業 企 業 社会組織 経営模式 経営性業務 経営性業務 経営性業務 伝統的な寄付 主要 目標 社会 目標 経済 日標 社会 目標 社会 目標 利潤分配 無制限

50%以

上 の利 潤 が 社会公益投資 に 無配 当 監督機 関 商工業 商工業 民政 民 政 政策優遇 な し あ り あ り 投資収益 全部 の投資

=収

入 一部 の投資

=収

入 投資内

=収

入 慈善寄付 認証 の 中心 社会効果 と利益 財務 の持続可能性 社会効果 と利 益 利潤分配 経営収入 価 値 社 会 的 企 業 文 化 と 投資の推進 政府 の管理 に協力 政策 の制定 中 国特 有 の社 会 的 企業の保有 『 中国社会的企業与影響力投資発展報告2013』 表3:社会企業3類定義各方面比較より筆者作成。

図  1‑4 2000年 と 2003年 の NPO法 人 セ ク ター収 入 源 2000年 NPO法 人 セ ク ター収 入源 2000年 NPO法 人セ クター収入源 ・ 事業収 入   ●補助金収入   ・ 寄付金収 入   ・ その他経 常収 入   ■入会金 。会費収 入 2003年 NPO法 人 セ ク ター収 入 源 2003年 NPO法 人セ クター収入源 ・ 事 業収 入   ●補助金収 入   ・ 寄付金収入   。その他経常収 入   ●入会金 。会費収入 出所 :『 ソーシャル・エ
表 2よ り、北京、広州、上海、福建、蘇州、浙江省 などに企業基金会が多 く存在 し、 なかでも主に東部沿海地域など経済が比較的発達 した地域に集 中しているも また、企業基金会の資金の分類 と比重は表 3の とお りである。 基金会の原始資金 は、一億元以上の企業基金会が 4%、 資金量が全体の 40。 87%、 5000万 ‑1億 元 の企業基金会が 6%、 資金量が全体 の 24.73%、 2000万 ‑5000万 元 の 企業基金会が 5%、 資金量が全体の 9。 3%、 500万 ‑2000万 元
表 3二 6 2oo3年‐ 2012年 の取引先の民族分布 年 度 2008 2009 2010 2011 2012 取引先数 26878 36428 67241 106491 130682 民 族 漢民族 650/0 66.94% 730/0 75。 37% 740/0 少数民 族 350/0 33.060/0 27° /。 24.630/0 26°/o (中 和農信の小 ロローシ項 目年度報告 ‑2008〜 2012よ り、筆者作成 ) 表 3‑7 2008年 ‑2012年 の貸付金 の用途 の分布 年

参照

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