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博 士 ( 理 学 ) 鯉 沼 陸 央

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 鯉 沼 陸 央

学 位 論 文 題 名

Study on IVIorphological and Electronic Structures of   SemlCOnduCtorEleCtrodeSinEleCtr01yteS01utionS

     (半導体電極/電解質溶液界面での構造および電子状態に関する研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  溶液中での半導体の電気化学的挙動は整流作用を示すことで金属電極のそれとは大きく 異なっており、非常に興味深い。また、光エネルギ一変換や半導体/溶液界面における半導 体 表面の微細加工および処理に関連して非常に重要である。半導体の電気化学特性を詳細 に理解するためには、半導体/溶液界面の構造および電子状態を反応進行条件下で その場 (in‑situ) 観察、追跡することが必要不可欠である。本研究は、II ‑'V族の化合物半導体で あ るGaAs電極 につい て電解質 溶液との 界面に おける電 位分布を決定するとともに、GaAs 電 極およびInSe電極の表面構造を原子レベルで観察・制御し、電極表面構造と反応性との 関係を明らかにする目的で行った。

  本論文は八章から構成されている。

  第一章では、半導体/溶液界面で起こる特徴的な挙動を総括した。゛また、走査型トンネル 顕 微鏡(STM)、原子 間力顕 微鏡(AF M)お よび表面X線回 折法(SXRD)を電解質溶液中におけ る 半導体電極反応を観察するために利用した背景およびそれらの手法の原理について記述 した。

  第 二 章 で は 、 本 研 究 で 用 い た 試 料 の 調 整 法 と 実 験 方 法 の 詳 細 を 示 し た 。   第三章で は、電気 化学測 定用STMシステムを用いて、電極電位を走査しながら探針に流 れる電流を測定するTip Current'Voltammeiry(TCりにより、n‑G aAs/溶液界面の表面修飾に よ る電子状態の変化を評価した。工ッチング処理のみを施した試料では、表面準位を介し て 試料と探針間の電子移動が起こるため、半導体内部に障壁である空間電荷層が形成され る フラットバンド電位よりも正においても探針に電流が流れた。ルテニウム処理では、電 子移動の起こる電位範囲が広がった。これは、表面準位密度が増加したことを示している。

一 方、電極を硫黄で処理すると、表面準位が取り除かれ、半導体内部に空間電荷層が形成 されると探針電流が流れなくなり、理想的な半導体電極の挙動を示すことを明らかにした。

  第四章で はAFMを 用いて 、InSeの表面構造を原子レペルで、大気中および電解質溶液中 で 検討した。へき開面(van der Waals面)では、最上眉のSe原子と第二層のIn原子が観察

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できた 。いず れも六回 対称に 配列していた。NaS04溶液中でp`InSe電極表面を電極電位を 変化さ せなが ら、表面 の原子 像を観察したところ、電位がかなり負の状態では表面反応が 起こら ないために安定に表面原子像が得られた。しかし、電位が‐0.5Vよりも正になると 酸化反 応によ って、構 造的に 不均一なSeアモルファス層が表面に形成されるため、周期的 ナよ原子配列が得られなくなった。電位を負に戻すと、原子配列が再び観察できた。これは、

表面に 存在し ていたSeア モルフ ァス層が電気化学的に還元除去され、電位を掃引する以前 に 存 在 し て い た 表 面 の 一 層 下 の 面 が あ ら わ れ た た め で あ る と 考 え ら れ る 。   第五 章では、種々の電解質溶液中で原子レベルで配向したGaAs(100)面を得ることに成 功した。HCJ、H2S04およびNちS溶液中でn型、p型いずれの電極もGaAs(100)表面は(1x1) 構造を 示した。これらの結果は、GaAs(100)面上のダングリングボンドの存在により、真 空中で は表面 再配列を 起こす こととは 対照的 である。HC1溶液中では、アノード電位側で 最も安 定に原 子像が得 られた のに対し て、H2S04溶液中 では、水素発生が起こっている電 位領域 でのみ 明確な原 子像が 得られた。電解質溶液中で表面再配列を起こさないのは、溶 液内のイオン種が表面のダングリングボンドを安定化するためであるとし、うモデルを提案 し、HCJ中で はCr、也S04中で はH゛ がダン グリング ボンドを終端するために原子像が明確 に得ら れる電 位範囲が 異なる ものと考 えられ る。一方 、NちS中では、S原子が表面に吸着 した結 果、非 常に広い 電位領 域で明確な原子像が得られたものと考えられる。n型とp型で 表面溶 解反応 に伴う構 造変化 の様式が 異なる ことにつ いても議論した。さらにAFM探針の 走査に よってGa舳表面の 溶解反 応が局所 的に起 こること を見出 し、この 表面加工 は単に AFM探 針 によ っ て 機 械的 に 起 こる の で はな く 、AFM探針走 査が溶解 反応を促 進した ため に起ごることを表面加工の電極電位依存性から示した。

  第六 章では、p‐GaAs(100)面上へのCuの析出過程を電気化学AFMを用いて検討した。Cu の析出 プロセ スは基板 表面の 構造や印加する電位に強く影響を受けることを示した。Cuの 析出はG蛆s基板 表面が平 坦な場 合には核発生一成長過程で進行したのに対して、析出前か ら表面 に凹凸 が存在す ると、Cuの析出は 凹凸部 分(欠陥 サイト )で選択 的に進行 した。

H2S04溶液中に おいてG弧s(100)面上にCuは基板のGaAs電極の原子列方向とは無関係に析 出した 。また、析出物の最上層ではCu(111)原子配列が得られたのでャCuは最密構造を形 成しな がらG搆s(100) 上に析 出するものと結諭した。AFM探針によって加工を行ったGれs 表面上へのCu析出過程につし、ても検討を行い、加工サイズが1冖m四方より大きい場合:は加 工部分へのCuの選択的析出が起こることを示レた。

  第七章は、p.G叭s(100)面のHCJ溶液中におけるアノード溶解過程をシンクロ卜口ン放射 光を用 いる表 面X線 回折法 によって 検討した 結果に ついて示した。アノード電位を印加す ると時 間とともに(11)方向に対応する回折光の強度減少が見られ、AFMで表面溶解過程を その場観察した結果と一致した。

  第八章では、以上の結果をまとめた。

‑ 2

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Study on rviorphological and Electronlc Structures of   Semlconductor Electrodes in Electrolyte Solutions

(半導体電極/電解質溶液界面での構造および電子状態に関する研究)

  半 導体/溶液液界面の反 応機構の詳細な理解には、反 応の場となる電極表面の構 造や電 子状態をin‑situで 検討する必要がある。しかし 、溶液中においては超高真空中で利用され る電 子 を用 いた 分光 法の 適 用は 不可 能で あり 、 これま でに溶液内での半導体表面 におけ る原 子 ・分 子レ ペル での 構 造や 電子 状態 に関 す る検討 はほとんど成されていなか った。

本研 究 は電 解質 溶液 中電 位 制御 下、 半導 体表 面 の微細 な構造や電子状態と電極表 面で起 こる反応の反応性の 関係を明らかにする目的で 行われた。

  具 体 的に は、 まず 、電 気 化学 測定 用STMシ ステ ムを 用 いて 、電 極電 位を 走査し ながら 探針に流れる電流を 測定するTip Current Voltammetry (TCV)により、n‑GaAs/溶液界面の表 面修 飾 によ る電 子状 態の 変 化を 評価 した 。表 面 準位の 存在が電子の卜ンネリング に対し て非常に強く影響を 与えることを示した。

  っ ぎ に、AFMを 用 いて 、InSeの 表 面構 造を 原子 レペ ル で、 大気 中お よび 電解質 溶液中 で検 討 した 。酸 化還 元反 応 に伴 う表 面原 子像 の 変化か ら表面反応機能の検討を行 った。

さら に 、Ga舳電 極の 表面 構 造に 関す る検 討を 行 い、種 々の電解質溶液中で原子レ ベルで 配向 し たGa舳(100)面 を得 ることに成功した。HCl、H2S04およびNa2s溶液中でn型 、p型 いずれの電極もm缸 (100)表面は真空中とは異なり、く1x1)構造を示すことを明らかにし、

Ga舳(100)面上の ダングリングボンドが溶液中 の化学種によって終端、安定化されるとい うモ デ ルを 提案 した 。ま た 、AFM探 針の 走査 によ ってGa舳表 面の 溶解 反応 が局所 的に起 こる こ とを 見出 し、 局所 的 加工 カ弧FM探 針走 査 が溶解 反応を促進したために起こ ること を表面加工の電極電 位依存性から示した。さら にpむa舳(100)面上へのCuの析出過程を電 気化 学AFMを 用い て 検討 し、Cuの 析 出プ ロセ スは 基板 表 面の 構造 や印 加す る電位 に強く 影響を受けることを 示した。

  本 研 究は 、溶 液内 での 半 導体 表面 の形 態的 お よび電 子的構造をナノメートルス ケール で検 討 した もの であ り、 半 導体 表面 の反 応性 が 表面の 構造に影響を受けることや 溶液中 で比 較 的簡 単に 原子 スケ ー ルで 清浄 な表 面が 得 られる ことを明らかにした点にお いて大 きな価値を有するも のである。参考論文は8.攝 あり、いずれも英文で国際誌に掲載または

3― ・

平 男

勝 昇

浩 義

崎 村

川 村

   

   

魚 中

市 喜

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Study on Mo.rphological and Electronlc Structures of   SeH11conductor Electrodes in Electrolyte Solutions

(半 導 体 電極/電 解質溶液界 面での構 造および 電子状態 に関する 研究)

  半導体/溶 液液界面の反応機構の詳細な 理解には、反応の場となる 電極表面の構造や電 子状態 をin‑situで検討する必要が ある。しかし、溶液中にお いては超高真空中で利用され る 電子 を 用い た分 光法 の適 用 は不 可能 であ り 、こ れまでに溶液内で の半導体表面におけ る 原子 ・ 分子 レペ ルで の構 造 や電 子状 態に 関 する 検討はほとんど成 されていなかった。

本 研究は電解 質溶液中電位制御下、半導体 表面の微細ナょ構造や電子 状態と電極表面で起 こる反 応の反応性の関係を明らか にする目的で行われた。

  具体 的 には 、ま ず、 電気 化 学測 定用STMシス テム を用 い て、 電極 電位 を 走査しながら 探針に 流れる電流を測定するTip Current Voltammetry (TCV)により、n‑GaAs/溶液界面の表 面 修飾 に よる 電子 状態 の変 化 を評 価し た。 表 面準 位の存在が電子の トンネリングに対し て非常 に強く影響を与えることを 示した。

  っぎ に 、AFMを 用い て、InSeの表 面 構造 を原 子レ ペル で 、大 気中 およ び 電解質溶液中 で 検討 し た。 酸化 還元 反応 に 伴う 表面 原子 像 の変 化から表面反応機 能の検討を行った。

さ らに 、GaAs電極 の表 面構 造 に関 する 検討 を 行い 、種々の電解質溶 液中で原子レベルで 配 向し たGaAs(100) 面を 得ることに成功 した。HCl、H2S04およびNa2s溶液中でn型、p型 いずれの電極もGa舳(100)表面は真空中とは異なり、(1xl)構造を示すことを明らかにし、

Ga舳(100)面上のダングリングボ ンドが溶液中の化学種によ って終端、安定化されるとい う モデ ル を提 案し た。 また 、AFM探 針 の走 査に よっ てGa触 表面 の溶 解反 応 が局所的に起 こ るこ と を見 出し 、局 所的 加 工がAFM探針 走査 が溶 解反 応 を促 進し たた め に起こること を表面 加工の電極電位依存性から 示した。さらにpむa舳(100)面上へのChの析出過程を電 気 化学AFMを用 い て検 討し 、Cuの析 出 プロ セス は基 板表 面 の構 造や 印加 す る電位に強く 影響を 受けることを示した。

  本研 究 は、 溶液 内で の半 導 体表 面の 形態 的 およ び電子的構造をナ ノメートルスケール で 検討 し たも ので あり 、半 導 体表 面の 反応 性 が表 面の構造に影響を 受けることや溶液中 で 比較 的 簡単 に原 子ス ケー ル で清 浄な 表面 が 得ら れることを明らか にした点において大 き な価 値 を有 する もの であ る。参考論文 は8鑷あり、いずれも英文で 国際誌に掲載または

3−

平 男

勝 ヨ

舛 保

浩 義

崎 村

川 村

   

   

魚 中

市 喜

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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掲載予定である。

  以上、審査員一同は申請者が博士(理学)の学位を受けるに十分な資格を有するもの と判定した。

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参照

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