博 士 ( 理 学 ) 王 林 勝
学位論文題名
Studies on Zeolite‑Supported rvIo and Re Cat 甜yStS ―Cat 甜ytiCPerformanCeinMethane AromadZationReaCtionandTheir St : ruCtur 甜 CharaCtenZadon
(ゼオライト担持Mo 及び Re 触媒の研究
―メタンの芳香族化反応の触媒特性と構造キャラクタリゼーション)
学 位論文内容の要旨
触 媒 作 用を 分子 レベ ルで 詳細 に理 解し 、よ り高 活 性な 触媒 を分 子設 計す るた めに は、 よ り 良 く 構 造規 定さ れた 活性 中心 を固 体表 面に 精密 合 成す ると とも に、 活性 サイ ト周 辺の 反 応 場 を も 精密 制御 する こと が重 要で ある 。金 属担 持 触媒 は石 油化 学原 料の 酸化 反応 、異 性 化 反 応 及 び重 合反 応な どの 触媒 反応 に用 いら れる 工 業的 に有 用な 固体 触媒 であ り、 その 触 媒 活 性 構 造や 触媒 メカ ニズ ムに 関し て基 本的 な理 解 を得 るこ とは 学術 的意 義の みな らず 、 工 業 的 に も 重 要 な 研 究 課 題 で あ る 。 天 然 ガ ス 及 びC02の エ ネ ル ギ ー 化 や 資 源 化 は 炭 素 資 源 エ ネ ル ギ ー 体 系 の 改 革 と 関 連 し て21世 紀 に む け て の 重 要 な 研 究課 題で ある 。本 研究 に お い て 、 申 請 者 は ゼ オ ラ イ ト 担 持 のMo及 びRe触 媒 メ タ ン の 脱 水 素 縮 合 化 反 応 で ベ ン ゼ ン 、 ナ フ タレ ンの 芳香 族原 料と 水素 を合 成し 、高 効 率で 安定 な触 媒性 能を 示す こと をは じ め て 見 出 し た 。 新 規 な ゼ オ ラ イ ト 担 持Mo及 びRe触 媒 に つ い て メ タ ン の 芳 香 族 化 反 応 の 触 媒 特 性 と 触 媒 活 性 構 造 の キ ャ ラ ク タ リ ゼ ー シ ョ ン をXAFS/TEM/XPSな ど の 物 理 化 学 的 手 法 に よ り 明 ら か に し た 。 ま た 本 研 究 に お い て 、Moカ ー パ イ ド 粒子 とゼ オラ イト のブ レ ン ス テ ッ ト酸 点か らな る複 合触 媒作 用に 関す るメ タ ンの 脱水 素芳 香化 反応 の新 しい メカ ニ ズムを提 出した。
本論文で は十章から構成されている。
第 一 章 で は 本 研 究 の 位 置 づ け を 示 し た 後 、 第 二 章 か ら 三 章 に お い て 、Mo/HZSM‑5を 触 媒 とし 、600‑800℃の温度域でメタンからベンゼンなどの芳 香族化合物と水素を直接合成する メ タ ン の 芳香 族化 反応 につ いて 述べ る。 まず 、HZSM‑5ゼ オラ イト を担 体に 用い て20種以 上 の異なる 遷移金属元素の担持触媒を調整しメタンの芳香族化反応に対する触媒特性を調べた。こ の 結果 、Mo,Re,Wといったオレフインのメタセシス反応に 有効な触媒金属においてのみ、高 いメタン 酸化率で、また高い選択率でベンゼンを生成することを見出した。さらに様々なミクロ 及 ぴメ ソ細 孔多 孔 質担 体を 用い て調 整し たMo担持触媒につ いてメタンの芳香族化反応を調べ た 。 そ の 結 果 、HZSM‑5以 外 のioA以 上 の 細 孔 径 を 有 す るMORやFAUやFSM‑16な ど の ゼオライ トやシリカやアルミナ担体を用いた場合、コーク生成が著しくベンゼンへの転化率が著 し く 低 い こと が判 った 。最 適なSiOr′mO乏0・70を 有す るHZSM.5にMoを担 持す ると 特異 的
に高活性と高選択率でベンゼン、ナフタレン等の芳香族化合物を生成する事を見いだした。H ZSM‑5上 のB酸が ベンゼン 生成のた めのメタ ンの縮合 反応に効 果的である と考えた 。 第三 章 にお い てMo/HZSM‑5とメ タ ン との反応 についてSEM、TEMおよびXAFS解析に よって調べた。その結果、Mo酸化物はHZSM‑5上に均一平坦にに分布しすること、メタンと 反応することで、その粒子がM02Cであることが解った。EXAFS解析によると生成したM02C のMo‑Mo配位数は2〜3であり、M02C結晶でのC,N,=12に比べて、著しく小さい値をM02 CはZSM‑5ゼ オ ラ イ ト 細 孔 チ ャ ン ネ ル (6A径 ) に 高 分 散 さ れ て い る と 考 え た 。 第四 章では第三章での研究結果をいかして、メタンヘのCOあるいはC02の添加効果と 作用メカニズムについて調べた。
メタ ン反応率は反応時間とともに低下するが、COあるいはC02をメタン中に数%添加 すると、ベンゼンの生成速度の増大とともに、活性低下の度合が著しく改善されことを見出 した 。定常状 態では、導 入したC02の2倍量のCOが生成していることが分かった。従っ て 、 こ の 条 件 下 でCH‑4+C02=2C0+2H,の 反応 が 進 行し 、 結 果的 に はCOな いしC02か ら生成した活性酸素がMoカーバイド表面の不活性なコークと反応し、副生するコークを 低減して、触媒活性の安定化が得られると推察した。
さらに、第五章では反応後、触媒表面にどのような蓄積炭素種があるのかを空気で昇温し なが らコーク生成量の解析を行った。その結果、COやC02添加により触媒上のcoke蓄積 量が著しく減少しており、これが活性低下を防ぐ1つの要因となっていることが判った。
さら に、第六章においてメタンヘのCOやC02の添加効果がどうして起こるのかを調べ るためにiaCOをメタンに混合して実験した。その結果、反応進行にっれてべンゼン中に 13Cが均一的に分布しており、ベンゼン1分子中に0.6から0.9個の ̄℃が含まれていた。
以上 の結果か ら、M02C上でCOは2CO=C02+Cの反応に より活性 な炭素と酸素を供給し、
この活性炭素がメタンの脱水素によって生成した炭素2個を含む中間体を経由してゼオライ ト表面でベンゼンなどの芳香族化合物へと転化していく。bifunctionalな触媒作用のメカニ ズムを提案した。
第 七 章 に お い てXPSやMOzC+HZSM‑5ハ イ ブ リ ッ ド 触媒 の 研究 か らM02Cが本 反 応 におけるメタンを活性化するサイトであることを見出した。
第八〜九章においては、これまで研究をし て き たMo[HZSM‑5触 媒 に 対 し て さ ら に 高 活 性で 高選択的 なメタン の芳香族 化反応に有効 なRefHZSM‑5を 発 見 し 、 こ の 触 媒 特 性 と 反 応 メ カ ニ ズ ムに つ いて 研 究 を行 っ た。Re触 媒 は 、Mo触媒 と ほぼ 同 様 のメ タ ン転 化 率 や ベン ゼンヘの 高い生成 選択性を 示した。さら に 、 メ タ ン にC02を 添 加 す る と 触 媒 活 性 が 安定 化し長時 間一定の 活性を保 った。コーク 生成 の抑制が 触媒の安 定化の要 因であること を結 論した。
第十 章におい て本研究 の総括を 行うととも に、 メタンの 芳香族化 反応の反 応機構とMO′ HZSM‑5及 びReIHZSM‑5触 媒 は 示 す 複 合 触 媒 作 用 に つ いて そ の特 徴 を 明ら か にし た 。
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Mo/HZSM ― 5
学位論文審査の要旨
主 査 教 授 市 川 勝 副 査 教 授 魚 崎 浩 平 副 査 教 授 中 村 義 男 副 査 教 授 佐 々 木 陽 一
副 査 教 授 竹 澤 暢 恒 ( 大 学 院工 学 研 究科 )
学位論文題名
Studies on Zeolite‑SupportedMOand Re Catalysts‑CatalytiCPerfbrmanCeinMethane Arom ぬ Z ぬ OnReacdonandTheir StruCtur 甜 CharaCtenZ ぬ On
(ゼオライト担持Mo 及びRe 触媒の研究
一メタンの芳香族化反応の触媒特性と構造キャラクタリゼーション)
金 属担 持 触媒iま 石油 化学 原料 の酸 化 反応 、異 性化 反応 及び 重合 反応 などの触媒反 応に用 い ら れ る 工 業的 に有 用な 固体 触媒 であ り、 その 触 媒活 性構 造や 触媒 メカ ニズ ムに 関し て基 本 的 な 理 解 を得 るこ とは 学術 的意 義の みな らず 、 工業 的に も重 要な 研究 課題 であ る。 天然 ガ ス 及 びC02の エ ネ ル ギ ー 化 や 資 源 化 は 炭 素 資 源 エ ネ ル ギ ー 体 系 の 改 革 と 関 連 し て21 世 紀 に む け て の 重 要 な 研 究 課 題 で あ る 。 本 研 究 に お い て 、 申 請 者 はゼ オラ イト 担持 のMo 及 びRe触 媒 メ タ ン の 脱 水 素 縮 合 化 反 応 で べ ン ゼ ン 、 ナ フ タ レ ン の 芳香 族原 料と 水素 を合 成 し 、 高 効 率 で 安 定 な 触 媒 性 能 を 示 す こ と を は じ め て 見 出 し た 。 新規 なゼ オラ イト 担持 Mo及 びRe触 媒 に つ い て メ タ ン の 芳 香 族 化 反 応 の 触 媒 特 性 と 触 媒 活 性 構 造 の キ ャ ラ ク タ リ ゼ ー シ ョ ン をXAFS/TEM/XPSな ど の 物 理 化 学 的 手 法 に よ り 明 ら か に し た 。 ま た 本 研 究 に お い て 、Moカ ー バ イ ド 粒 子 と ゼ オ ラ イ ト の ブ レ ン ス テ ッ ト 酸 点 から なる 複合 触媒 作用 に 関 す る メ タ ン の 脱 水 素 芳 香 化 反 応 の 新 し い メ カ ニ ズ ム を 提 出 し た 。 本 学 位 申 請 者 は ま ず 、HZSM‑5担 持 モ リブ デン 触媒 が600‑800℃の 温度 域で メタ ンか らべ ンゼンなどの芳香族化合物と水素 を直接合成されることを世界に先駆けて見出し、これをメタン の脱 水素 縮 合芳 香族 化反 応の 実験 例と して 報告 した。そのため、メタンの芳香族化反 応HZSM
・5ゼ オラ イト を担 体に用いて20種以上の異なる遷移金属元素の担持触媒を調整しメタ ンの芳 香族 化反 応 に対 する 触媒特性を調べた。この結果、Mo,Re,Wといったオレフインのメ タセシ ス反応に有効な触媒金属において のみ、高いメタン酸化率で、また高い選択率でベンゼンを生成 する こと を 見出 した 。さ らに 様々 なミ クロ 及び メソ細孔多孔質担体を用いて調整したMo担持 触 媒 に つ い て メ タ ン の 芳 香 族 化 反 応 を 調べ た。 その 結果 、HZSM‑5以外 のioA以上 の細 孔径 を 有 す るMORやFAUやFSM‑16な ど の ゼ オ ラ イ ト や シ リ カ や ア ル ミ ナ 担 体 を 用 い た 場 合 、 コー ク生 成 が著 しく ベン ゼン ヘの 転化 率が 著し く低いことが判った。最適なSi02/AL0=20‑70
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を 有 す るHZSM‑5にMoを担 持す ると 特異 的に 高活 性 と高 選択 率で ベン ゼン 、ナ フタ レン 等の 芳 香 族 化 合 物 を 生 成 す る 事 を 見 い だ し た。HZSM‑5上 のB酸 がベ ンゼ ン生 成の ため のメ タン の縮合 反応に効果的であると考えた。
さ ら に 申 請 者 はMo/HZSM‑5と メ タ ン と の 反 応 に つ い てSEM、TEMお よ び 矼 虹 `S解 析 に よ っ て 調 べ た。 その 結果 、Mo酸化 物はHZSM‑5上 に 均一 平坦 にに 分布 しす るこ と、 メタ ンと 反 応 す る こ と で 、 そ の 粒 子 がMooCで あ るこ とが 解っ た。EXAFS解析 によ ると 生成 したM02C のMo‑Mo配 位 数 は2〜3で あ り 、M02C結 晶 で のC,N,=12に 比 べ て 、 著 し く 小 さ ぃ 値 をM02 CはZSM‑5ゼ オラ イト 細孔 チャ ンネ ル(6A径 )に 高 分散 され てい るこ とを 報告 し、 本触 媒系 におけ るモリブデンカーバイドとゼオライト担体とからなる二次元触媒促進効果の新しいメカニ ズ ム を 提 案 し た 。 さ ら に 申 請 者 は 、 メ タ ン ヘ のCOあ る い はC02の 添 加 効 果 と 作 用 メ カ ニ ズ ム に つ い て反 応解 析研 究を 実施 した 。メ タン 反 応率 は反 応時 間と とも に低 下す るが 、CO あ る い はC02を メ タ ン 中 に 数 % 添 加 す ると 、ベ ン ゼン の生 成速 度の 増大 とと もに 、活 性低 下 の 度 合 が 著 し く 改 善 さ れ こ と を 見 出 し た 。 定 常 状 態 で は 、 導 入 し たC02の2倍 量 のCO が 生 成 し て い る こ と が 分 か っ た 。 従 っ て 、 こ の 条 件 下 でCH4+C02=2C0+2H2の 反 応 が 進 行 し 、 結 果 的 に はCOな ぃ しC02か ら 生 成 し た 活 性 酸 素 がMoカ ー バ イ ド 表 面 の 不 活 性 な コ ー ク と 反 応 し 、 副 生 す る コ ー ク を 低 減 し て 、 触 媒 活 性 の 安 定 化 が 得ら れる と推 察し た。
さら に、 申 請者 は昇 温型 反応 解析 装置 を用 いて反応後、触媒表面にどのような蓄積 炭素種 が あ る の か を 空 気 で 昇 温 し な が ら コ ー ク 生 成 量 の 解 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、COやC02添 加 に よ り 触 媒 上 のcoke蓄 積 量 が 著 し く 減少 して おり 、こ れが 活性 低下 を防 ぐ1つ の要 因と なって いることを明らかにした。
一 方 、 ゼ オ ラ イ ト 担 持 モ リ ブ デ ン 触 媒 上 で の メ タ ン ヘ のCOやC02の 添 加 効 果 が ど う し て 起 こ る の かを 調べ るた めにl℃Oをメ タン に混 合 して 実験 した 。そ の結 果、 反応 進行 につ れ て ベ ン ゼ ン 中 に13Cが 均 一 的 に 分 布 し て お り 、 ベ ン ゼ ン1分 子 中 に0.6か ら0.9個 の13C が 含 ま れ て い た 。 以 上 の 結 果 か ら 、M02C上 でCOは2CO=C02+Cの 反 応 に よ り 活 性 な 炭 素 と酸 素を 供 給し 、こ の活 性炭 素が メタ ンの 脱水 素に よっ て生 成し た 炭素2個を含む 中間体 を 経 由 し て ゼオ ライ ト表 面で ベン ゼン など の芳 香 族化 合物 へと 転化 して いくbifunctional な 触 媒 作 用 の メ カ ニ ズ ム に 関 す る 詳 細 な 検 討 を 加 え た 。 光 電 子 分 光 解 析 法 で あ るXPSを 用 い てMozC+HZSM‑5ハ イ ブ リ ッ ド 触 媒 に お け るMoiCが 本 反 応 に お け る メ タ ン を 活 性 化 す る サ イ ト で あ る こ と の 傍 証 を 得 る こ と が で き た 。 さ ら に 最 近 にな り、 本学 位申 請論 文 申 請 者 は 、Mo/HZSM‑5触 媒 に 対 し て さ ら に 高 活 性 で 高 選 択 的 な メ タ ン の 芳 香 族 化 反 応 に 有 効 なRefHZSM‑5を 発 見 し 、 こ の 触 媒 特 性 と 反 応 メ カ ニ ズ ム に つ い て 研 究 を 行 っ た 。 Re触 媒 は 、Mo触 媒 と ほ ば 同 様 の メ タ ン 転 化 率 や ベ ン ゼ ン ヘ の 高 い 生成 選択 性を 示し た。
さ ら に 、 メ タ ン にC02を 添 加 す る と 触 媒 活 性 が 安 定 化 し 長 時 間 一 定 の 活 性 を 保 っ た 。 コ ー ク 生 成 の 抑制 が触 媒の 安定 化の 要因 であ るこ と を結 諭し た。 これ は要 する に、 著者 はメ タ ン の 芳 香 族化 反応 の触 媒機 能と メカ ニズ ムに 関 して 新知 見を 得た もの であ り、 加え て全 く 新規 な触 媒 系を 発明 する こと がで き、 本研 究の成果は単に触媒化学上の貢献のみな らず、
天 然 ガ ス を 利用 する 新し い触 媒変 換プ ロセ スの 開 発な ど化 学工 業の 応用 につ いて 、貢 献す る と こ ろ 大 なる もの があ る。 よっ て、 著者 は北 海 道大 学( 理学 )の 学位 を授 与さ れる 資格 がある と認める。
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