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学位論文題名Studies on EffeCtofHumiCSubStanCeSforReduCtion andOXidationofChromium・

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Academic year: 2021

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博 士 ( 地 球環境 科学) 中保    建

     学位論文題名

Studies on EffeCtofHumiCSubStanCeSforReduCtion     andOXidationofChromium ・

(ク ロム の酸 化還 元反 応に 及ぼす腐植物質の影響に関する研究)

学位論文内容の要旨

天然水中や土壌中などに広く分布している腐植物質は、その溶解度の違いにより、フミン、

フルポ酸(FA) 、フミン酸(HA) の3 つに分類される。これらはともにカルポキシル基やフウノ―

ル性水酸基などを数多く有する高分子有機酸であり、重金属イオンとの相互作用(錯形成、酸化 還元)や疎水性物質に対する界面活性能を有することが知られている。腐植物質のこれらの特性 とともに、腐植物質が環境中に広く大量に存在していることから、環境汚染物質との相互作用 により、その生物毒性や環境中での拡散などの動的挙動に影響を及ぼしていると考えられる。

一方、六価クロムなどの童金属による土壌や水系の汚染は未だに深刻である。六価クロムは 皮なめし剤や研磨剤など広い分野で用いられており、また過去のクロム鉱滓のずさんな処分な どにより、六価クロムで汚染された土壌や水系が数多く存在している。クロム(Cr) は、環境中 では主に有毒なCr(VI) と生体毒性のないCr( 川)のニつの状恕で存在し、その存在翻合はpH や 有機物含量によって変化する。本研究では環境中でのCr の動態や毒性を決定するフんクター を考察し、六価クロムで汚染された土壌の修復への腐植物質利用の可能性を探るために、腐植 物質によるCr(VI) の還元挙動を追跡するとともに、還元後のCr 及び有機酸の化学形態について 考察を行った。また腐植物質とCr( 川)との錯形成反応や、Cr( 川)からCr(VI) への再酸化挙動に与 える腐植物質の影響についても検討したものである。

本研究の内容は以下のとおりである。

第ー章では、本研究の背景として腐植物質の一般的な性買と特性、クロムの環境での分布と 毒性が述べられている。また本研究の目的と概要が示された。

第二章では、本研究で用いられた腐植物質の土壌からの抽出法と精製法が述べられるととも に、得られた腐植物質のキャラクタリゼ―ションが示されている。本研究では腐植物質として、

北海道石狩郡新篠津村の泥皮買土壌から国際腐植物質学会(IHSS) 法に準拠して抽出したフミン 酸(SHA) 及びフルボ酸(SFA) と、和光純薬工業製のフミン酸(WHA) を精製したものを主に用いた。

また比較のための低分子量有機酸としては、和光純薬工棠製のタンニン酸(TA) 、没食子酸(GA)

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を用いた。

第三章ではCr( 川)と腐植物質の錯形成について述べられている。陽イオン交換樹脂を用いた 方法によりCr( 川)化学種について、その錯形成定数が求められた。

第四章ではフミン酸によるCr(VI )還元後のCr 化学種についての検討を、第五章ではより低分 子量の有機酸である没食子酸などによる還元後の化学種についての検討を行っている。腐植物 質および低分子量有機酸共存下での Cr(VI )の還元反応は、低いpH ほど速く、また、還元容量 が等しくなるように調製した溶液で比較した場合でも低分子化合物 (GA 、TA) による還元速度は 高分子化合物(FA 、HA) と比べはるかに速かった。Cr(VI) 還元後の主な化学種はCr( 川)‐有機酸錯 体であり、その割合はGA>TA>HA であった。―方 Cr( 川)と有機酸の錯体化学種の割合をこれと 比較すると HA ではほとんど変わらないが、低分子ではその割合が減少した。 GA によるCr(VI) 還元生成物のゲル濾過クロマ卜グラムは、GA のみの場合とは明確に具なり高分子量側にシフ 卜していたことから、Cr(VI )の還元に伴いGA が酸化反応により高分子体となってCr( 川)錯体を 形成していることが予想された。

第六章では、Mn(l |)共存下でCr( 川)がCr(VI )に酸化される反応に与える腐植物量の影響につい て述べ られている 。 HA と錯形 成させたCr( 川)の場合はCr(VI) の生成量が錯形成していない Cr( 川)の場合の20 %程度まで抑えられ、腐植物質との錯形成が Cr( 川)の再酸化による Cr(VI) の 生成を抑制することが判明した。

以上、本研究は、有害量金属であるCr の酸化還元及び錯形成反応に対する腐植物質の影響に ついて検討したものであり、腐植物質はCr(VI )をCr( 川)に還元するとともに、そのCr( 川)は腐 植物質との錨形成によって安定化し、Cr(VI )への再酸化を抑制することを見出した。これらの 知見は、腐植物質が環境中でのCr(VI) の動態や毒性を支配するフんクターの―つであることを 示 すと と もに 、 腐 植物 質 によ る土 壌汚染環 境の修復 の可能性 をも示唆し たもので ある。

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学位論文審 査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授

田中 中村 市川 長谷部

俊逸   博 和彦     清

     学 位 論 文 題 名

Studies on EffeCtofHumiCSubStanCeSforReduCtion     andOXidationofChromium ・

(クロムの酸化還元反応に及ぼす腐植物質の影響に関する研究)

  天然水中や土壌中などに広く分布している腐植物質は、その溶解度の違いにより、フミ ン、フ ルポ酸(FA)、フミン酸(HA)の3つに分類される。これらはともにカルボキシル基や フウノール性水酸基などを数多く有する高分子有機酸であり、重金属イオンとの相互作用

(錯形成、酸化還元)や疎水性物質に対する界面活性能を有することが知られている。腐植物 質のこれらの特性とともに、腐植物質が環境中に広く大量に存在していることから、環境 汚染物質との相互作用により、その生物毒性や環境中での拡散などの動的挙動に影響を及 ぼしていると考えられる。―方、六価クロムなどの童金属による土壌や水系の汚染は未だ に深刻な状況にある。特に、六価クロムは皮なめし剤や研磨剤など広い分野で用いられて おり、また過去のクロム鉱滓の杜撰な処分などにより、六価クロムで汚染された土壌や水 系が数多く存在している。クロム(Cr)は、環境中では主に有毒なCr(VI)と生体毒性のない C r(lll)のニつの状態で存在し、その存在割合はpHや有機物含量によって変化する。本研究 は、環境中でのCrの動態や毒性を決定するファクタ―を考察し、六価クロムで汚染された 土壌の修復への腐植物質利用の可能性を探るために、腐植物質によるCr(VI)の還元挙動を追 跡するとともに、還元後のCr及び有機酸の化学形態について考察を行ったものである。ま た腐植物質とC r(lll)との錨形成反応や、Cr(lll)からCr(VI)への再酸化挙動に与える腐植物質 の影響についても検討したものである。

  論文は七章からなり、第ー章では、本研究の背景として腐植物質の―般的な性質と特性、

クロムの環境での分布と毒性が述べられるとともに、本研究の目的と概要が示されている。

  第二章では、本研究で用いられた腐植物質の土壌からの抽出法と精製法が述べられると

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と も に 、 得 ら れ た 腐 植 物 質 の キャ ラク タリ ゼ ―シ ョン が示 され て いる 。本 研究 で は腐 植物 質 と し て 、 北 海 道 石 狩 郡 新 篠 津村 の泥 炭質 土 壌か ら国 際腐 植物 質 学会(IHSS)法 に 準拠 して 抽 出 し た フ ミ ン 酸(SHA)及 び フ ル ボ 酸(SFA)と 、 和 光 純薬 工業 製の フミ ン 酸(WHA)を精 製し た も の を 主 に 用 い て い る 。 ま た比 較の ため の 低分 子量 有機 酸と し て、 和光 純薬 工 業製 のタ ンニン酸(TA)、没食子酸(GA)が用いられている。

  第 三章 ではC r(lll)と 腐植 物質 の 錯形 成に つい て述 べ られ てい る。 陽イオン交換樹脂を用 い た 方 法 に よ りC r(lll)化 学 種 に つ い て 、 腐 植 物 質 と の 錯 形 成 定 数 が 求 め ら れ た 。   第 四 章 と 第 五 章 は 腐 植 物 質 によ る六 価ク ロ ムの 還元 につ いて 検 討し たも ので あ り、 特に 第 四 章 で は フ ミ ン 酸 に よ るCr(VI)還元 後のCr化学 種に つい ての 検 討が 行わ れ、 第 五章 では 腐植 物質 によ るCr(VI)の 還元 速度 と 、よ り低 分子 量の 有 機酸 であ る没 食子酸などによる還元 速度 の比 較検 討 が行 われ てい る。 腐 植物 質お よび 低分 子 量有 機酸 共存 下でのCr(VI)の還元反 応 は 、 低 いpHほ ど 速 く 、 ま た 、還 元容 量が 等 しく なる よう に調 製 した 溶液 で比 較 した 場合 でも 低分 子化 合 物(GA、TA) によ る還 元速 度 は高分子化合物(FA、HA)と比べはるかに速いこ とを示している。またCr(V|)還元後の主な化学種はCr(川)一有機酸錯体であり、その割合は GA冫TA冫HAであ る こと を明 らか にし て いる 。一 方Cべ川 )と 有機 酸 の錯 体化 学種 の 割合 をこ れ と 比 較 す る とHAで は ほ と ん ど 変 わ ら な い が 、 低 分 子 で は そ の 割 合 が 滅 少 し た 。GAによ るCrヅI) 還元 生成 物の ゲ ル濾 過ク ロマ 卜グ ラ ムは 、GAのみ の場 合 とは 明確 に異 な り高 分子 量側 にシ フト し てい たこ とか ら、Cr(Vl)の 還元 に伴 いGAが 酸化 反応 により高分子体となっ てC「(川)錯体を形成し ている可能性を示している。

  第六章では、Mn川共存下 でC「(llf)がC「ヅI)に 酸化される反応に与える腐植物質の影響に ついて述べられている。HAと錯形成させたCr(川)の 場合のCr(V|)の生成量は 。錨形成して いないC「(lll)の場合の20%程度まで抑えられ、腐植物質との錯形成がCr(川)の再酸化による Cr(VI)の生成を抑制する ことを明らかにしている。 ―方、没食子酸は、Cr(川)の再酸化に対 する抑制効果をほとんど示 さないことを見出している 。

  第七章はまとめであり、腐植物質はCr(VI)をCr(川)に還元するとともに、そのCr(川)は腐 植 物 質 と の 錨 形 成 に よ っ て 安 定化 し、Cr(Vl)へ の再 酸化 を抑 制 する と結 諭づ け てい る。

  以 上本 研究 で 得ら れた 知見 は、 腐 植物 質が 環境 中で のCr(Vl) の動 態や毒性を支配する大 き な フ ァ ク タ ー の ー つ で あ る こと を示 すと と もに 、腐 植物 質に よ る土 壌汚 染環 境 の修 復の 可能性をも示唆したもので ある。

  審 査 員 一 同 は 、 こ れ ら の 成 果を 評価 し、 大 学院 課程 にお ける 取 得単 位な ども 併 せて 、申 請 者 が 博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定し た。

参照

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