博 士 ( 医 学 ) 丸 山 隆 史
学位 論文題名
ACE‑Independent Angiotensin FormabonInaHuman MOde10fMyOCardi 甜 ISChemla : MOdmationof NOrepinephrineReleaSebyATlandAT2ReCeptorS
( ヒ ト 心 筋 虚 血 モ デ ル に お け る Anglotensmに よ る Norepinephrine放 出 の機 序 に 関す る 検討
一Angiotensinuの合 成 経路 と そ のreceptorsubtypeの 役割 に つ しゝ て )
学位論文内容の要旨
【背景 】心臓交 感神経終 末から放出 されるnorepinephrine (NE)は、心筋虚血再潅 流傷害 において 致死的不 整脈を惹起 する原因 の1つであり、心筋虚血後にNE release を制御することは臨床的に重要な意義を持つことと考えられる。Angiotensin II (Ang II)は、 心臓交感 神経終末 からのNE releaseに寄 与する事 が知られ ている。 そこで 我々は 、in vitroでのヒ ト心筋虚 血モデルを 用い局所 で生合成 されるAng IIの 合成 系 【ACE dependentま た はACEindependent(chymase dependent) pathway]ある い は、そのreceptor (ATi receptorまたはAT2 receptor)を阻害することにより虚血後に 放出されるNEを制御できないか検討した。
【対象 と方法】 人工心肺 症例におい て切り出 される右 心耳の切 片を使っ たヒト心 筋 虚 血 モ デル を 用 いた 。 手術 室 よ り標 本 を 得て 直 ちに 、 標 本を25 mg程 度 に切 り 分け、15分間酸素化されたIくニrebs‑Henseleit solution (KHS)にさらす(stabilization period)。つい でそれぞ れの切片 を薬物入り 、あるい は薬物な しの酸素 化されたKHS に50分 さ らす(incubation period)。次に切 片は、薬 物入り、あ るいは薬 物なしの glucose‑free KHSに移 さ れ 、さ ら に酸 素 の 代わ り に95% N2+5%C02に さらされ る (anoxic period)。70分間 のanoxiaの後、 いわゆるcamer‑mediated NE releaseが誘 導 さ れ る 。 こ のNEをhigh performance liquid chromatographyに て 測 定し た 。 【 結 果 】 ま ず 最 初 にAng II合 成 系(ACE dependentま た はACEindependent pathway)の 阻害 に 取り 組 ん だ。enalapriratによ るACE dependent pathwayの阻害 に よっ て は、NE releaseは有 意 に抑 制 さ れな か っ た。 しかしbradykinin (BK) B2 receptor blockerとの併用でNE releaseは有意に抑制された。一方で、chymostatin、
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Bowman‑Birk inhibitor、Q1IantitdpSinらによるACEindependent (ChymaSedependenり pathwayのAmgn合 成阻 害 によ っ てNEreleaseは有 意 に 抑制 さ れた 。 ま た、mastcen Stabilizerは、有意 にNEreleaSeを抑制 した。つ いでA亅1gIIのreCeptorの作用を 検 討した。ATlreceptorblockerは、NEreleaseを有意に抑制したが、Ar2receptorblocker は抑制し なかった。 しかし、Ar2reCeptorblOCkerはATlreCeptorb10CkerのNEreleaSe 抑制 作用 を有意に 阻害した 。さらに 、ATlreceptorblockerとAT2receptoragonistの 供役性が 認められた 。また、ATlreceptorblockerとNa゛m゛exchangerinhibitorの供 役性も認められた。
【考察】 この結果 より次の ことが示 唆される 。1)ヒト 心筋では、AngIIの生合 成に関し、ACEindependent(ChymaSedependent)pathWayカミ、AくニEdependentpathWay よ り 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。2)BKのNEreleaseへ の 寄 与 は 、AmgHの 合 成 系 が阻 害 され た と きの み 認め ら れ る。3)心筋 虚血の際 、mastcellが脱顆粒 され、そ こ に 貯 留 さ れ て い るchymaseが 放 出 さ れ る 。 こ のchymaseが ヒト 心 筋 ではA亅lgI か らA亅1gHのconversionに関 し 重 要な 役 割を 演 じ てい る 。4)ATlreceptorとAr2 reCeptorは 、CaHier・mediatedNEreleaSeに関し逆 の作用(ATlは促進、AT2は抑制 作用)を 有する。し かし、ATエreceptorが阻害さ れたとき のみ、Ar2receptorの作用 が発現する。5)ATlreCeptorを介してNa゛/H゛eXChangerが刺激され、CaHier‐mediated NEreleaseが惹起されるものと考えられる。
【結論】 心筋虚血の 際、交感神経終末から放出されるNEは、冠血管を収縮させ、
また 心筋 内Ca濃度を 上昇させ 、致死的 不整脈を 惹起する 。さらに虚 血心筋で はmast cellの集 簇 が認 め ら れる 。 心筋 虚 血 後のmastcell‐chymase‐AngII系 の制御は 、 caHie卜mediatedNEreleaseを 抑 制 し 、 臨 床 応 用 に 有 効 だ と 考 え ら れ る 。
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学位論文審査の要旨 主査
副査 副査
教授 教授 教授
北 畠 顕 川 口 秀 明 安 田 慶 秀
学位論文題名
ACE‑Independent Angiotensin Formation InaHuman IvIodel of Iviyocardial Ischemia :Modmadonof NOrepinephrineReleaSebyATlandAT2ReCeptorS
( ヒ ト 心 筋 虚 血 モ デ ル に お け る Angotensm に よ る Norepinephrine 放出の機序に関する検討
―Angiotensinn の合成経路とそのreceptorsubtype の役割につしゝて)
本研究の目的は、ヒト心筋虚血モデルを用い、無酸素下に交感神経終末から放出 される Norepinephrine(NE) を指標に、ヒト虚血心筋に対して、ACElnhibitor とATi Receptor Blocker のどちらが有効かを比較検討することにある。実験には、人工心 肺症例において切リ出される右心耳の切片を使ったヒ卜心筋虚血モデルを用いた。
70 分間の anoxia の後、 Carrier − Mediat ed NE Release が誘導される。このNE を HPLC に て測 定し た。Enalaprirat に よる ACE dependent pathway の阻害によっ ては、NE Release は有意に抑制されなかった。しかしBradykinin (BK) B2 Receptor Blocker との 併用 で NE Release は 有意に 抑制 され た。 ―方で 、Chymostain 、 BOWman ― Birkinhibitor 、 a1 . antitripSin らによるChymaSedependentpathWay の阻害によってNERelease は有意に抑制された。また、MastCe ‖ stab 川 zer は、
有意 に NEFbleaSe を 抑 制 し た 。 ATlreCeptorBIOCker は、 NEFbleaSe を 有意 に 抑制 し たが 、 AT2reCeptorBlOCker は 抑制 しな かった 。し かし 、 AT2reCeptor BloCker は ATlreCeptorBlOCker の NEReleaSe 抑制 作用 を有意 に阻 害し た。 さ らに、 ATlreCeptorBlOCker とAT2reCeptoragonlSt の供役性が認められた。ま た、AT 、receptorBIocker とNa ゛/H ゛exchangerinhibitor の供役性も認められた。
この結果より次のことが示唆される。1 )ヒト虚血心筋では、 MastCe ‖から放出 される Chymase が、 ACE よりも重要な役割を演じている。2 ) Angl |は、交感神
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経終 末のATi Receptorを介し、Na゛/H゛Exchangerを刺激し、Carrier‑mediat edNE Releaseを 惹 起 す る 。3)ATi ReceptorとAT2 Receptorは 、carrier‑mediat ed NEreleaseに 関 し 逆 の 作 用 を 有 し 、AT2 Receptorの 作 用 は 、ATi Receptorが 阻 害 さ れ た 時 の み 認 め ら れ る 。4)BKのNE Releaseへ の 寄 与 は 、Ang lIの 合 成 系 が阻 害され たと きの み認 めら れる 。心筋虚血の際、交感神経終末から放出されるNE は、 冠血管を収縮させ、致死的不整脈を惹起する。さらに虚血心筋ではMast Cellの 集簇 が認め られ る。 心筋 虚血 後のMast CelトChymase‑Ang lI系の制御は、Carrier‑
Mediat ed NE Releaseを 抑 制 し 、 臨 床 応 用 に 有 効 だ と 考 え ら れ る 。 学 位論文 の公 開発 表に 際し て、 川口教授からは、実験後の標本の病理組織学的変 化 、標 本 を 得 た 患 者 の 疾 患 群 、 こ の モ デ ルに おけ る局所 のRenein‑Angiot ensin system、NEがarrhythmiaを 惹 起 す る 機 序 、 な ど に 対 す る 質 問が あ っ た 。 次い で 安田教授からは、Chymaseのspecificity、Mast Cell st abilizersの臨床応用の可能 性に関する質問があった。北畠教授からは、ELITEl st udyとELITE II st udyについ て 、 ま たBK、ACE. ChymaseのNE Releaseに 関 す る 役 割 、ATi Receptorの 阻 害とAT2 Receptorと 刺激 から 得ら れるcardioprot ectionなど についての質問があ った 。また 傍聴 席か らは 、循 環器 内科の岡本先生より、使用薬剤の組織移行性、標 本を 得た患者は、ACE Inhibitorを服用していたか、などの質問があった。これらの 質問 に対し 、申 請者 は実 験結 果と 蓄積された学識をもって、誠実にかっおおむね適 切に回答しえた。
審 査員一 同は 、申 請者 の豊 富な 学識に併せて、この研究が関連領域研究の進展に 与え る成果 を評 価し 、申 請者 が博 士(医学)を受けるのに充分な資格を有するもの と判断した。