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博士(工学)根城安伯 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)根城安伯 学位論文題名

相対論的イオン音波の非線形波動現象に関する理論的研究

学位論文内容の要旨

  宇宙 空間を 飛行す る人 工衛星 や各種 の探査 機は, 多く のデー タを地 上に送 信し ており,それは 放送 ・気象 ・資源 調査な どに利 用さ れてい る。近 年,こ れら の人工 衛星に おいて ,異常放電,搭 載 機器 中 の 半 導 体 メモ リ ー (ICやLSI)の 反 転 , そ れが 引き 金にな って 生ずる 電子機 器の破 壊 のよ うな一 連の機 能障害 が発生 して 大きな 問題と なって いる 。将来 ,開発 が予定 されている宇宙 構造 物やそ こで利 用され るコン ピュ ーター の規模 は増大 の一 途を辿 るもの と考え られるが,シス テム が大型 化し, 利用頻 度が増 えれ ば増え るほど 異常放 電に よる影 響は拡 大し, より深刻化する もの と予測 される 。

  衛星 の正常 な運用 に重 大な障 害を与 えてい る現象 とし て,プ リカー サ一事 象, 変調イオン音波 孤立 波,電 気二重 層,爆 発的事 象が 報告さ れてい る。こ れら の問題 の根底 には, 高速イオン(主 に 陽 子 ) 流 に 基 因 す るkeVか らMeVの 高 工 ネ ルギ ー プ ラ ズ マ波 動 の 影 響 があ る 。 こ の 波動 中 のイ オンの 速度は 光速と 比較が でき るほど 速いた め相対 論的 効果が 重要と なり, 大振幅の波が伝 わる ため非 線形効 果が強 い。即 ち, 問題の 根源は 相対論 的イ オン音 波の非 線形相 互作用にある。

衛星 の異常 放電ナ ょど現 在判明 して いる問題に加えて,宇宙構造物の建設やそこでの住居,各種の 実験 も計画 されて おり, 上記の 問題 の早期 解明の 必要性 が認 められ ている 。従っ て,宇宙空間の 利用 な開発 を推進 するた め,相 対論 的非線 形イオ ン音波 に関 する研 究の確 立が要 請されている。

  本研 究は, 人工衛 星に 問題を 引き起 こして いる相 対論 的イオ ン音波 の非線 形現 象に着目し,光 速イ オン流 と高次 非線形 性が変 調包 絡線孤 立波, スパイ ク状 孤立波 ,相対 論的電 気二重層,爆発 的モ ードと いった 新しい 波動モ ード を生じ ること ,それ らが 互いに 結合し て高工 ネルギー波動現 象を 形成す ること を明ら かにし てい る。本 論文は ,相対 論的 イオン 音波の 非線形 波動構造に関す る成 果をま とめた もので あり, 宇宙 空間の 高工ネ ルギー 現象 を明ら かにす ること によって,宇宙 工 学 の 基 礎 に 寄 与 し よ う と す る も の で あ る 。 本 論 文 は 全6章 か ら 構 成 さ れ る 。   第1章 は 序論で あり ,相対 論的非 線形イ オン音 波の 研究の 背景と 重要性 にっ いて述 べ,理 論上

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の 問題点 を明ら かにし ,本 研究の 目的と 意義を 述べ ている 。

  第2章で は,相 対論 的プラ ズマの イオン 音波孤 立波 を取り 扱って いる。 プラ ズマ中 のイオ ンの 温 度 が 電 子温 度 と 同 程 度の 場 合 , 非 線 形イ オ ン 音波 に対す る一次 元,K−dV方程式 を導き ,そ の 解 と し て孤 立 波 を 示 した 。 イ オ ン 温 度が0の 場 合 には , 二 次 元K―dV方程式 を導き ,その 孤 立 波を示 した。 これら 孤立 波の位 相速度 や振幅 が相 対論的 効果お よび非 線形効果によって大きく 変 化する ことを 明らか にし た。ま た,本 章の結 果が これま でに得 られて いる結果をすべて包括す る ことを 示した 。さら に, 人工衛 星に問 題を引 き起 こして いるプ リカー サ一事象の発生原因が孤 立 波であ ること を明ら かに した。

  第3章 では, 相対論 的イ オン音 波の非 線形変 調現象 にっいて述べている。宇宙空間においては,

イ オン音 波の変 調波モ ード は有限 波数領 域と小 波数 (長波 長)領 域にお いて観測されているが,

理 論的な 説明は されて いな かった 。本章では,上記の二領域で変調イオン音波が形成されること,

こ れらの モード が分散 関係 によっ て結合 してい るこ とを明 らかに した。 また,イオン音波の安定 性 を検討 した結 果,有 限波 数領域 におい ては変 調安 定性と 変調不 安定性 が存在し,両者を峻別す る 臨界波 数が相 対論的 効果 によっ て変化 するこ と, 小波数 領域で はイオ ン音波は変調安定である こ と,さ らに衛 星や探 査機 に障害 を生じ ている 変調 イオン 音波は ,本章 で示された有限波数の変 調 包 絡 線 孤 立 波 お よ び 小 波 数 の 包 絡 線 孤 立 波 と 同 定 さ れ る こ と を 明 ら か に し た 。   第4章 では , 第2章 で示 し たKーdV方 程 式 の 非線 形 性 が 極 めて 小 さ く , より 高 次 の 非 線形 性 が 重 要 で ある 場 合 に っ いて 論 ず る 。 こ の場 合 , 混合 型修正K―dV方程式 が非 線形イ オン音 波の 挙 動を支 配する 。この 方程 式の非 線形性 は正の もの だけが 知られ ていた が,本研究ではじめて負 の 非線形 性を考 慮した 。そ の結果 ,スパ イク状 孤立 波,電 気二重 層,爆 発的モードが存在するこ と が示さ れた。 スパイ ク状 孤立波 は高速 太陽風 の高 工ネル ギー事 象や磁 気圏のプラズマシートで 観 測され ,電気 二重層 は磁 気圏中 や太陽 フレア 一粒 子流で よく観 測され ,爆発的モードは太陽フ レ ア一, 電波バ ースト ,磁 気圏尾 部での バース トで 多く観 測され る。こ れら三者が互いに相補的 に 生成さ れ,空 間観測 で知 られる ポテン シャル ,密 度,電 場など の微細 構造を形成することを明 ら かにし た。

  第5章で は,磁 化プ ラズマ 中の磁 場に傾 いて伝 わる 相対論 的イオ ン音波 の高 次非線 形性に っい て 述べる 。基礎 方程式 から 非線形 微積分方程式を導き,電子密度として捕捉粒子型分布を考える。

導 かれた 非線形 方程式 が強 い非線 形項を 含んで おり ,定常 解とし てスパ イク状孤立波と爆発的解 を 持っこ とを示 した。 それ らの解 は,惑 星間空 間や 磁気圏 でしば しば観 測される,空間磁場と垂 直 に近い 角度で 伝わる スパ イク状 孤立波 や11I型電波 バースト事象を説明できる。本章で得られた

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二種類のモードは非線形波動の基礎に新知見を与えると共に,高工ネルギ一波動に関する将来の 空間観損l亅に応用し得る可能性を有することを明らかにした。

  第6章は結論であり,本論文で得られた成果をまとめ,その工学的意義にっいて述べている。

学位論文審査の要旨

  本論文は,宇宙空間を飛行する人工衛星や探査機に搭載された半導体メモリーの反転や,それ に基づく電子機器の破壊を生ずるなど,一連の障害を発生する原因と見なされている,高速イオ ン流に起因する相対論的非線形プラズマ波動にっいて,理論的解析を行ない,その性質を明らか にしたものであって,全6章で構成されている。

  第1章は序論であって,相対論的非線形イオン音波の研究の歴史にっいて述べるとともに,従 来 の 研 究 の 問 題 点 に っ い て 明 ら か に し , 本 研 究 の 目 的 と 意 義 を 述 べ て い る 。   第2章はプラズマ中のイオン音波孤立波を,初めて相対論的領域において取り扱っている。プ ラズマ中のイオン温度が電子温度と同程度の場合にっいて,非線形イオン音波に対する一次元 K―dV方程式を導くとともに, その孤立波解を示した。またイオン温度がOの場合に対して2 次元K−dV方程式を導き,孤立波解を示した。その結果,これらの孤立波解の位相速度や振幅 が相対論的効果と非線形効果によって著しく変化することを初めて明らかにしている。また,非 相対論的な扱いによって従来得られている結果は,すべて相対論的に扱った本章の結果に特別な 場合として含まれているを示している。さらに,人工衛星の前述のような問題を引き起こしてい る プ リ カ ー サ 事 象 の 発 生 原 因 が 孤 立 波 に よ る も の で あ る こ と を 明 ら か に し た 。   第3章では,イオン音波の非線形変調現象の,相対論的効果を明らかにしている。宇宙空間に おいて,イオン音波の変調波モードは有限波数領域と小波数長波長領域で観測されていたが,そ れにっいての理論的説明はなされていなかった。著者はこの2領域において変調イオン音波が形

昭 久

郎 彦

博 利

一 吉

頭 問

井 川

田 本

深 小

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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成さ れる こと, これら のモー ドが 相対論 的領域 でも分 散関係 を通 じて結 合されていることを明ら かに した 。さら にイオ ン音波 の安 定性を 検討し た結果 ,有限 波数 領域で は変調安定性と不安定性 が存 在し 両者を 分ける 臨界波 数が 相対論 的効果 によっ て変化 する こと, 小波数領域ではイオン音 波は 相対 論的な 場合で も変調 安定 である こと, 人工衛 星等に 障害 を与え る変調イオン音波は,こ こに 示さ れた有 限波数 の変調 包絡 線孤立 波およ び小波 数の包 絡線 孤立波 と同定しうることを初め て示 した 。

  第4章 はK―dV方 程 式 の 非線 形 性 が 小 さ く, 高 次 の 非 線形 性 が 重 要 となる 場合に っいて 論じ て い る 。こ の 場 合 , 混 合型 修 正K―dV方 程 式 が非 線形 イオン 音波の 挙動を 支配 するこ とを示 す とと もに ,非線 形係数 が負に なる 場合が 初めて 導かれ ,これ をも とにス パイク状孤立波,電気二 重層 およ び爆発 的モー ドの存 在が 示され た。さ らに, これら 三者 が結合 し,空間観測の基礎的物 理 量 で あ る 電 荷 密 度 や 電 界 等 に 微 細 構 造 を 形 成 し う る こ と を 明 ら か に し た 。   第5章では ,磁化 プラ ズマ中 で磁界 に傾い て伝搬 する ,相対 論的イ オン音 波の 高次非 線形性 に っい て解 析して いる。 捕捉型 粒子 分布を 考慮し ,基礎 方程式 から 非線形 微積分方程式を導くとと もに ,こ れが高 次の非 線形項 を含 むこと ,スパ イク状 孤立波 ,お よび爆 発的解を持っことを明ら かに して いる。 これら の解に よっ て惑星間空間や磁気圏で観損IJされる,スパイク状孤立波や電波 バー スト を説明 してい る。

  第6章は結 論であ って ,本論 文の成 果をま とめる とと もに, その工 学的意 義に っいて 述べて い る。

  こ れを要 するに 本論文 は, 近年進 みつっ ある宇 宙空 間の利 用に際 してそ の重要性が認識され始 めた ,高 速イオ ン流に もとづ く相 対論的イオン音波の非線形波動現象にっいて理論的解析を行い,

各種 のモ ードの 存在や 高工ネ ルギ ー粒子 の発生 の可能 性を示 すな ど,そ の性質を明らかにしたも ので あっ て,宇 宙工学 ならび にプ ラズマ物理学に寄与するところが大きい。よって著者は博士(工 学) の学 位を授 与され る資格 ある ものと 認める 。

参照

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