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博士(工学)中村雅人 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)中村雅人 学位論文題名

亜酸化 窒素分 解により生成したアルカリ土類    金 属 酸 化 物 上 の吸 着 酸 素種 に 関 する 研 究

学位論文内容の要旨

  金属酸化物は、炭化水素の水素化、異性化、酸化反応などに対して触媒作用を 示すこと が知られて いる。なか でも02酸化は 、工業的に 極めて重要な反応であ り、 こ れ まで 数 多く の研究が報 告されてい る。一方、 最近、02のか わりにN20 を用いると、新規な反応が種々起こることが報告されている。アルカリ土類金属 酸化物あ るいはアル カリ添加ア ルカリ土類金属酸化物上においては、N20を用い ると02を用 いるよりも 低温で、高 選択的にア ルカンの酸 化的脱水素や酸化的二 量化 な ど の反 応 が進 行すること が見出され ている。こ のようなN20と02との反 応特性の違いは、反応に関与する吸着酸素種の違いに起因するものと考えられて おり・、その意味において、吸着酸素種の状態や反応性を明らかにすることは反応 を理解するための重要課題のーっとなっている。しかし、02から生成する吸着酸 素種と比 較し、N20から生成す る酸素種に関する報告は極めて少なく、また、そ の状態にっいては不明な点が多い。

  本研究は 、N20分解 によルアル カリ土類金属酸化物およびアルカリ添加アルカ リ土類金属酸化物上に生成した吸看酸素種の状態、生成サイ卜、反応性および02 による酸素穐生成との違いを明らか.にしたもので、その内容は7童から構成され ている。

  第1章で は 、02吸着 お よ ぴN20分 解 によ り 金属 酸 化物上に 生成する酸 素種の 状態および反応性に関するこれまでの研究を概説し、本研究の目的と本論文の構 成にっいて述ぺた。

  第2章で は 、N20分解によ りCa0上に 生成した吸 着酸素種の 状態を検討 した。

N20分 解に よ りCa0上に 多 量の 吸 着酸 素 種が 生 成す るのに 対して、02に より生 成する吸着酸素種は極めて微量であることを見出した。吸着酸素種の昇温脱離(

TPD)を 行なった結 果、酸素の 脱離ピーク温度はCa02の昇温分解ピーク温度と良

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く一 致 する こ とを 見 出し た 。ま た 、N20分解 後 のCa0のFT−IRスペク卜ル 測定 より、side‐onタイプの遇酸化物に起因する吸収が認められること、また、その 吸収強度は吸着酸素量と良く対応すること、およぴ、吸着酸素の脱離温度で急減 することを 明らかにし た。この結 果と良く一致し、XPSスベク卜ルにおいても、

0:'‑種 に 起因 す る ピー ク が認 め られ た 。一 方 こ の吸 着酸素穂は 加水分解し H20ユを生 成すること 、および、Haozの量は吸着酸素種の量と良く一致すること を見 出 した 。 これ ら の結果にも とずき、Na0分解に よりCa0上 に多量の022―種 が生成することをはじめて明らかにした。

  第3章 で は、N20分 解 によ り 生成 し たCa0上の022一 種の吸着サ イトを検討 し た 。 吸 着 量 の異 を るCa0上で 得 たTPD曲 綴 の解 析 結果 よ り 、Ca0上 に は、 脱 離 の活性化エ ネルギーの 異をる二種 のサイトが存在することを明らかにした。Ca0 の螢光スペ ク卜ルの測 定より、4配位サイ卜に起因する励起ピークおよび発光ピ ークが認められること、また、これらのピークは、吸着酸素種の生成と共に減少 し、 表 面の ほ ば1X程度 の吸着で、 消失するこ とを見出し た。一方、SEM観察の 結果より、Ca0は結晶性の良い立方体状の粒子であり、(100)面が優先的に露出 しているこ と、また、C&Oの粒子 径より算出したエヅジサイ卜量は、励起およぴ 発光ピークが急激に減少する吸着酸素量と良く一致することを示した。これらの 結果にもと ずき、吸着 量が表面の ほぼ1名以下では、022一種は4配位サイ卜に、

一 方 、 そ れ 以 上 で は 、5配 位 サ イ 卜 に 存 在 す る こ と を 明 ら か に し た 。   第4章 では 、N20分 解に よ り生 成 した022一 種 のC2Hsに 対 する 反 応性 を 検討 し た 。0221種 とC2Heと の 昇 温 反 応 の 結 果 よ り 、600K(aピー ク )、670K( ロ ピー ク )お よ び720K以 上 (ア ピ ーク ) に、C2H4の 生成ピー クが現れる ことを 見出した。 吸着量が少 ない場合に は、aピ ークとyビークが 、一方、吸着量が多 い場合には 、a、口 およびァピ ークが認められ、吸着量の増加と共に、ロピーク が優先的に成長した。一方、吸着酸素が存在しない場合にはァピークのみが認め られたoaピー クが現れる 温度域では 、吸着酸素 によるC2Heの酸化 的脱水素が、

一方、ロピークが現れる温度域では、酸化的脱水素と共に完全酸化反応が、また、

吸着酸素が存在しない条件では、脱水素反応のみが進行した。これらの結果にも とず き 、aピ ーク のC2H4生成には4配位 サイ卜上に 吸着した022一種が、 一方、

pピ ー ク のCZH4生成 に は5配 位サ イ 卜上 に 吸着 し た022一種 が 関与 す るこ と 、 また 、4配 位 サイ 卜 上に 吸 着し た022一 種がCzHsの 酸化的脱 水素反応に 対して より有効であることを明らかにした。

  第5章 では 、N20分 解に よ りMg0およ びLi/Mg0上 に生 成 した 吸 着酸 素 種の 生 成サ イ 卜お よ ぴそ の 状態 を 検討 し た。Mg0お よ ぴLi/Mg0上のN20分解により 、

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02吸 着よ り も極 め て多 量 の吸 着 酸素 種 が 生成 す るこ と 、また、こ の酸棄量は Li(I)の 添加により 顕著に増加 することを 見出した。 吸着酸素のTPDを行なっ た結 果 、Hg0で は 、69QK(aピー ニlク ) に 、一 方 、Li/lqg0で は690Kと750K( ロピーク)に酸素の脱離ピ―クが認められた。吸着酸素量および昇温速度の異な る租 々 のTpD曲 線 を解 析 した結果 、aおよ びロ酸素の 表面濃度は 、Li(I)の担 持 率 と 共 に 増 加 する こ と、 お よび 、 低Li担 持率 で はa酸 素が 、 一方 、 高Li担 持率ではロ 酸素が優先 的に存在す ることを明 らかにした 。これらの 結果および Hargreavesらの 透 過型 電 子顕 微 鏡 観察 の 結果 に もと ず き、Q酸素はMg0上に存 在する低配 位サイ卜に 、一方、ロ 酸素はLi(I)近傍に生成した酸素空孔に生成 することを 明らかにし た。また、 化学分析法 により吸着 酸素は022‑種であるこ とを明らかにした。

  第6章 で は、N20分 解 と02吸着 に よる 吸 着酸 素 種 の生 成の違い について考 察 し た 。Ca0、Mg0お よ びLi/Mg0に お い て はN20分解 の 速度 は 、Nz0分圧 の みに 依存 し02の 影鬢 を 受け な いこ と 、一 方 、La20sお よびM1102において は分解速 度は、02の共存 により著し く低下する ことを見出 した。また 、Ca0、Mg0および Li/Mg0で は、 定 常状 態 にお け る02生成 速 度と02脱離 速 度は等しい ことを見出 した。これ らの結果よ り、Ca0、Mg0およびLi/Mg0で は、吸着酸 素の脱離過程が 律 速 段 階 の1っ にな っ てい る のに 対 し て、La203お よ びMn02で は 、N20より 吸 着酸素種が 生成する過 程が律速段 階であるこ とを示した 。La203およ びMrl02上 で 、 吸 着 酸 素 のTPDを 行な っ た結 果 、Ca0、Mg0お よ びLi/Mg0とは 著 しく 異 な り、02吸 着 によ り 多量 の 吸着酸素種 が生成し、 その量はN20分解によ り生成す る吸着酸素に匹敵することが明らかになった。これらの結果にもとずき、Ca0、Mg0 およ びLi/Mg0上 のN20分 解 にお い ては 、 吸 着酸 素 の脱 離過 程が律速段 階の1っ になってい るため、吸 着酸素の化 学ポテンシ ャルは気相 の02のそれよりも大き く、02吸 着 より もNz0分 解によって 多量の吸着 酸素が生成 することを 明らかに した。

第7章では、本研究の総括を述べた。

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学 位論文審査の要旨

    学位論文題名

亜酸化窒素分解により生成したアルカリ土頬金属酸化物上の吸着酸素種に関する研究   金属酸化物は、炭化水素の水素化、異性化、酸化反応などに対して、触媒作用を示すこと が知られている。ナょかでも02酸化は、工業的に極めて重要な反応であり、これまで数多くの 研究が報告さ れている。一方、02の代りにN20を用いると、新規な反応が種々起ることが最 近報告されている。アルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ添加アルカリ土類金属酸化物 上においては 、N20を用いると、02を用いるよりも低温で、高選択的に、アルカンの酸化的 脱水素や酸化 的二量化などの反応が進行することが見出されている。このようなN20と02 の反応特性の違いは、、触媒上に生成する吸着酸素種の違いによるものと考えられており、そ の意味において、吸着酸素種の状態や反応性を明らかにすることは、反応を理解するための 重要課題のー っとなっいる。しかし、02から生成する吸着酸素種と比較して、N20から生成 す る 吸 着 酸 素 種 に 関 す る 研 究 は 少を く、 また その 状態 につ いて は不 明な 点が 多い 。   本論文は、 種々の昇温分解法および分光法を用いてN20分解によルアルカリ土類金属酸化 物およびアルカリ添加アルカリ土類金属酸化物上に生成した吸着酸素種の状態、生成サイ卜、

および反応性、ならびに、N20と02による酸素種生成の違いを明らかにしたもので、その内容 は7章から構成されている。

  1章では、02吸着およびN20分解により、金属酸化物上に生成した酸素種の状態、およ び、反応性に関するこれまでの研究を概説し、本研究の目的と本論文の構成について述ぺて いる。

  2章では、N20分解により、Ca0上に生成した吸着酸素種の状態を検討している。すなわ ち、申請者は、02吸着よりもNz0分解により、Ca0上に多量の吸着酸素種が生成することを見

,出し、その状態を昇温脱離法、赤外分光法、XPS法および化学分析法を用いて検討した。N20 分解および昇温脱離に伴う吸着酸素量およびスペクトルの変化を詳細に検討した結果、この 酸 素 種 が side on夕 イ プ の022− で あ る こ と を は じ め て 明 ら か に し た 。   第3章では、N20分解により生成したCa0上の022ー種の吸着サイトを検討している。申請者 は、吸着酸素 種の昇温脱離曲線の解析より、Ca0上に、活性化エネルギーの異なる二種のサ イ卜が存在す ることを明らかにした。また、さらに、吸着酸素生成に伴うCa0の螢光スペク トルの変化お よび走査型電子顕微鏡の観察結果より、表面のほば1%以下の吸着量では、

022一種は4配 位サイトに、一方、それ以上では5配位サイトに存在すことを明らかにした。

  第4章では、Nz0分解により生成したCa0上の022一種の、C2Heに対する反応性を検討してい る。すをわち 申請者は、昇温反応法を用いて022―種とC2Haの反応を行い、4配位および5 位サイトに生成した022―種の反応性が互いに異なること、前者の022一種では、より低温で CzHoの酸化的脱水素が高選択的に起ること、一方、後者の022一種では選択性が低く、一部完 全酸化反応が 起ることを明らかにし、4配 位サイ卜上に生成した022―種がCzHeの酸化的脱

恒 人

平 和

暢 寛

紘 正

澤 辺

平 本

竹 渡

小 岩

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

水素に対してより有効であることを示した。

  第5章では、Nz0分解によりMg0およびLi/Mg0上に生成した吸着酸素種の生成サイトおよび その状態を検討した。その結果、Nz0分解により、これらの酸化物上に吸着酸素種が生成す ること、また、その量は02吸着により生成する量よりも著しく多いことを見出した。また、

吸着酸素の昇温脱離を行った結果より、Mg0では690K(aーピーク)に、一方、Li/Mg0では 690K(a一ピーク)と750K(ロ―ビーク)に酸素の脱離ピークが現れることを示した。吸着量お よび昇温速度の異なる種々の昇温脱離曲線を解析した結果より、Li(I)添加によりaおよび ロ酸素の表面濃度が著しく増加すること、およぴ低Li担持率ではロ酸素が、一方、高Li 持率ではロ酸索が優先的に生成することを示した。これらの結果およびHargreavesちの透 過型電子顕微鏡観察結果にもとずき、a酸素はMg0上の低配位サイトに、一方、ロ酸索はLi

(I)近傍に生成した酸素空孔に生成することを明らかにした。また、化学分析法により吸着 酸素は0::‑種であることを明らかにした。

  第6章では、N20分解および0ユ吸着による吸着酸素種生成の違いについて考察している。

すをわち、申請者は、種々の金属酸化物上においてNz0分解とニNz0分解および02吸着によ り生成した吸着酸素の昇温脱離を行い、その結果より、N20分解の律速段階の違いにより吸 着酸素種の生成量が著しく異をることを示しヽ.吸着酸素穂の化学ポテンシヤルの違いがN20 分解と02吸着による吸着酸索量の違いを決定する重要を因子のーっであることを明らかに した。

  第7章では、本諭文の総括を述ぺている。

  これを要するに、著者は、N2.0より生成した吸着酸素種の状態、サイ卜、反応性ならびに Nz002による吸着酸素種生成の違いを明らかにしたもので、触媒工学および反応工学上貢 献するところ大なるものがある。

  よ っ て 著 者 は 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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参照