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博 士 ( 工 学 ) 羽 鳥 浩 章

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 羽 鳥 浩 章

学 位 論 文 題 名

ポ リ イ ミ ド を 原 料 と す る 炭 素 の 形 態 と 細 孔 構 造 の 制 御

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  炭素 材 料 のほと んどは、平 面的で異 方性の強 い六角網 面の積層 体を基本 構造として 構成 され る。炭素 材料の特 性亅ま、 この基本 構造の大きさや積層の完全性に加え、この異方性の あ る 基本 構 造の 集まり方( 微細組織 )、さら にはその 微細組織 の集合の 仕方(集合 組織)

に よ って 決 定さ れる。近年 、市販の カプトン に代表さ れる各種 ポリイミ ドならびに ポリオ キ サ ジァ ゾ ール 、ポリパラ フェニレ ンビニレ ンなどの 耐熱性高 分子フィ ルムが、高 温処理 に よ り高 結 晶性 の黒鉛フィ ルムを与 え、しか もその性 質が高分 子段階に おける分子 の平面 性や 配向性ナ よどに起 因したも のである ことが報告された。前駆体高分子と炭素とのこのよ う な 構造 関 連性 は、試料形 態や分子 配向とい った前駆 体高分子 の構造を 設計するこ とによ り 、 炭素 の 基本 構造や微細 組織とい った微小 なレベル の構造ま でもが制 御可能であ ること を 期 待さ せ るも のである。 本研究の 目的は、 高分子の 優れた成 型性や分 子の配列制 御技術 など を活かし 、炭素材 料の形態 や細孔構 造を制御する手法を開発することにある。そこで、

カプ トンと同 一の化学 構造を有 するポリ イミドフィルムを炭素前駆体高分子として選択し、

その 形態や分 子配向あ るいは細 孔・空隙 といった三次元的な構造が、得られる炭素材料の構 造 に 対し 、 どの ように反映 されるか を明らか にするた め検討を 行った。 併せて、炭 素材料 中 の ミク ロ 孔か らマクロ孔 にわたる 様々な大 きさの細 孔の構造 を、炭素 前駆体高分 子の構 造設 計により 制御する 技術の確 立を目指 した。

  まず 、 種 々の方 法によルポ リイミド フィルム を調製し て、ポリ イミド分 子を構成す る芳 香 族 セグ メ ント のフアルム 面に対す る配向度 (面内配 向度)と 、炭素化 の挙動なら びに得 ら れ る炭 素 フィ ルムの微細 構造との 問の相関 関係にっ いて検討 した。そ の結果、ポ リイミ ド フ ィル ム から 得られる炭 素の高温 挙動は、 面内配向 度により 大きく異 なり、良好 な黒鉛 化 度 を示 す もの から難黒鉛 化性炭素 まで様々 な微細組 織をもつ 炭素が得 られた。熱 重量測 定 や 熱分 解 生成 物の分析に より、炭 素化反応 機構にっ いても検 討を行っ たが、前駆 体高分 子 の 面 内 配 向 度 に よ っ て そ れ が 顕 著 ・ に 変 化 す る こ と は な か っ た 。   一方 、フィル ムの厚さ は、熱分 解過程に おいて放出される成分の二次分解の原因となり、

炭 素 化 過 程 で の 重 量 減 少 や 熱 分 解 生 成 物 の 放 出量 に そ の影 響 が現 れ た 。ま た 、125〃m の 厚 さ の カ プ ト ン フ ィ ル ム が2400℃ 以 上 で 破裂 す る現 象 が 見ら れ 、そ の 原 因が 炭 素フ ィ ル ム中 に 残留 していた窒 素の放出 にあるこ とが明ら かとなっ た。前駆 体高分子に 含まれ る窒 素がこの ようナよ 高温まで 残留する という異常な現象、あるいは炭素化過程で起こる熱 分 解 生成 物 の二 次分解は、 ポリイミ ドフィル ムから得 られる炭 素の緻密 な構造に起 因した も の と考 え られ る。すなわ ち、これ らの現象 は、炭素 化の進行 に伴い発 生する窒素 や熱分 解 生 成物 が 、フ ィルムが厚 い場合に 特に放出 されにく いため起 こると推 察された。 炭素化 に お け る 形 態 の 保 持 、 あ る い は 炭 素 化 挙 動 の 解明 と い う観 点 では 、10 0"m程 度 の フィ

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ルムの厚さであっても、十分考慮すべき問題であることが示された。さらに、得られる炭 素の高 温挙動につ いても、フ ィルムが厚いと黒鉛化しにくいという傾向が見られた。

  PAN系炭素繊維を基材として、その単繊維の周囲にポリイミド層をコーティングして 焼成することにより、黒鉛構造が比較的良く発達した層をもっ複合炭素繊維を作製するこ とができた。これは、ポリイミドフアルムの調製を基板上で行うことにより容易に面内配 向が発現し、得られた面内配向フアルムが良好な黒鉛化性をもっという性質を利用したも ので、炭素前駆体の形態設計による高温挙動の制御技術と言える。また、ケブラー繊維を 基材とした複合繊維の場合、単独では黒鉛化しないケプラ一繊維がポリイミドとの複合化 によって黒鉛化するという特異な挙動を示した。この結果は、異種高分子の複合化により、

炭 素 の 微 細 組 織 を 変 化 さ せ る こ と が 可 能 で あ る こ と を 示 唆 し て い る 。   ポリイミド(非多孔)フアルムは、炭素化することにより、ほばミクロ孔のみが発達し た分子篩炭素膜を与えた。この炭素膜のミク口細孔径は熱処理条件によって制御でき、ゼ オ ライ ト4Aや5Aと 同 等の 分 子篩 作 用を 示 すも の も作 製 でき た 。125ロmの 厚さ のフ ィルムでは、炭素化の際に放出される熱分解生成物の二次分解によって炭素が生成・沈積し たためと考えられる、細孔径の縮小あるいは細孔容積の減少が見られた。ポリイミドフィ ルムの高温挙動を大きく左右する面内配向性を変えることによルミクロ細孔構造の制御を 試みたが、これは有効な手段とはならなかった。得られた分子篩炭素膜はミクロ孔支配の 選択透過性をもち、その透過機構はガス分子がミクロ孔内に吸着してその中を拡散すると いうものであると考えられた。このようナょ透過機構により、分子篩炭素膜は、ガス分離膜 として一般に用いられている高分子膜では見られないようなガス分離特性を有し、ニ酸化 炭素の分離膜として特に優れた性質を示した。

  ミク口ンならびにサプミクロンオーダーのマクロ孔にっいては、高分子段階において相 転換法により多孔質化し、これを炭素化することで発生させることができた。本手法によ り、膜容積に占めるマクロ孔の割合が70%を超えるようなマクロポーラスカーポン膜が 得られ た。この膜のマクロ孔は数pmから十数皿mの大きさをもち、それぞれが壁の部分 に開いたサプミクロンサイズの壁孔によって通じることで膜を貫通する細孔空間を形成し ていた。本手法の利点として、メソ孔、ミクロ孔領域の細孔構造が多孔質化処理の影響を ほとんど受けない点が挙げられ、マク口ポーラスカーボン膜も、ポリイミドから得られる 炭素に特有の分子選択的なガス吸着特性を示した。

  さらに、ポリイミド非多孔膜と多孔膜を複合化した後に炭素化することで、ミクロ孔の みが発達した緻密な分子篩炭素膜とマクロポーラスカーボン膜という2っの異なる組織を もっ複合膜を容易に調製することができた。同一組成の高分子前駆体を用いて異なる細孔 構造をもつ多孔質炭素を作製するという手法は、炭素の形態あるいは集合組織の制御性に も優れたものであると言える。

    t

  最後に、より広範な大きさの細孔を制御することのできる方法として、ポリマーブレン ドの相分離構造を利用して細孔を発生させる手法を開発した。これは、芳香族ポリイミド に、比較的低温で低分子量に分解し気化する他のポリマーを分散させて炭素化するもので、

メソ孔あるいはマクロ孔の発達した多孔質炭素を作製することができた。特に、微小な相 分離構造をもっポリマープレンドフィルムが、比較的径の均一なメソ孔をもつ炭素を与え たことから、本手法は、現在あまり有効な方法のない炭素のメソ孔の制御技術として有望 と言える。

  以上、本論文における検討の結果、前駆体高分子であるポリイミドフィルムの三次元的 ナよ構造の設計により、得られる炭素の高温における形態や微細組織の制御、ならびにメソ 孔 か ら マ ク ロ 孔 に わ た る 細 孔 構 造 の 制 御 が 可 能 で あ る こ と が 示 さ れ た 。

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学 位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

イミドを 原料と する炭素の形態と細孔構造の制御

  炭素 材料は工業材料として重要な位置を占め ,最先端技術の進歩ならびに地球環境・生 活 環境 の保持・改善に大きな貢献を果たしてき た.その特性は,その基本構造,微細組織 な どに 強く依存し,前駆体有機物,その炭素化 ・黒鉛化などの調製条件に強く支配される こ とが 明らかにされている.この炭素材料がさ らに先端技術の発展と地球環境の改善に寄 与 して いくためには,その構造,組織の制御を 通して,その機能をさらに高度なものとす ることが求められている・

  本論 文は,フイルム状芳香族ボリイミドを前 駆体として選び,その形態や分子配向,さ ら に細 孔の大きさや配置などが,得られる炭素 材料の構造・組織にどのように反映される かを検討している・

  まず ,芳香族イミド分子のフイルム面に対す る配向度をイミド化の際のガラス基板の有 無 など によって制御するとともに,屈折率など によって評価した.そして,フイルム中で の 前駆 体イミド分子の配向度が,得られる炭素 フイルムの高温での構造変化に大きな影響 を 与え ,高結晶性黒鉛から非晶質炭素までの広 い範囲に渡ることを示した.このことは炭 素フイルムの構造が前駆体イ ミド分子の配向によって制御できることを示している.また,

加 熱処 理過 程の2400℃付 近で フイ ルム が破 裂す る現 象を 見 出し,それがフイルム中に残 留 して いる窒素の放出に起因することを示した .また,このフイルム内でのボリイミド分 子 の高 配向 性と その 高黒 鉛化 性を 利用 する 一方 向と して ,PAN系炭 素繊 維表 面に ボリ イ ミ ド層 をコーテイングし,炭素化・黒鉛化する ことによって,高結晶性の黒鉛層を持つ複 合炭素繊維を調製できること を示した.

  ボリ イミドフイルムを炭素化することによっ てほぼミクロ孔のみが発達した分子ふるい 炭 素フ イルムが得られ,その細孔径は加熱処理 条件によって制御できることを示した.こ の 分子 ふるい炭素フイルムはミクロ孔支配の選 択透過性を持ち,二酸化炭素の分離膜とし て 特に 優れた性質を示した.ボリイミドフイル ムを相転換法により多孔質化したのち炭素 化 する ことによって,ミクロンならびにサブミ クロンオーダーの細孔径を持つマクロ孔炭 素 フイ ルムが得られることを示した,このよう に調製された炭素フイルムのマクロ孔の容 積 割 合 は70% を 超 え る . そ し て , マ ク ロ 孔 法 数pmか ら 十 数pmの 大 き さ を 持 ち , そ れ ぞ れが 壁の部分に開いたサブミクロン孔によっ て貫通している.このフイルムは,そのマ ク ロ孔 の壁の部分にメソ孔およびミクロ孔を合 わせ持っていることが特徴で,特有の分子 ふ るい 特性を保持している.また,同じボリイ ミドフイルムから相転換法を適用したもの

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夫 男

道 光

垣 井

稲 高

嶋 金

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

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としないもの(多孔フイルムと非多孔フイルム)を接合し,炭素化することによって,分 子ふるい炭素フイルムとマクロ孔炭素フイルムから成る複合炭素フイルムを調製レた.

  さらに広い範囲の細孔径を制御するために,ボリイミド中に低分子量分子に分解・気化 するボリマーを分散して炭素化する手法を開発した.これによって,メソ孔およびマクロ 孔の発達した多孔質炭素フイルムを作製することができ,特にメソ孔の制御を可能にする と考えられる.

  以上のように本論文は,ボリイミドフイルムの分子配向や細孔状態の設計により,それ から得られる炭素フイルムの形態や構造,さらにメソ孔からマクロ孔にわたる細孔構造の 制 御 が 可 能 で あ る こ と を 示 し た も ので ,材 料科 学に 寄与 すると ころ 大で ある .   よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める.

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参照

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