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学位論文内容の要旨 EffeCtofDurationofHyperglyCemiaOnOSSeointegrationaroundtitaniumimplantS 学位論文題名 博士(歯学)山本 薫

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Academic year: 2021

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全文

(1)

博 士 ( 歯 学 ) 山 本    薫

     学位論文題名

    EffeCtofDurationofHyperglyCemia OnOSSeointegrationaroundtitaniumimplantS

(チタンインプラント体周囲のオッセオインテグレーションに与える      高血糖期間の影響)

学位論文内容の要旨

【目的】

  高 齢化社 会となっ た現在 、様々な 全身疾 患を有す る人が増 加する と思われ る。糖 尿病は骨 に影響を与える全身疾患であり、インプラント治療のりスクファクターのーっと考えられている。

糖 尿 病患 者 に対する インプ ラント治 療に関し ては、 臨床研究 におい て成功率 が健常 者と比較 し差がないという報告がある一方、健常者と比較し予後は悪いという報告もあり、解決されてい な い 問題 も多い。 糖尿病 罹患期間 に関する 研究で は、イン プラン ト治療の 成功率 に罹患期 間 が関連するという臨床報告がある。しかし、これまでの基礎的研究においては、オッセオインテ グレー ションと 高血糖 期間の関 係につ いての報 告はほと んどみ られない 。本研 究の目的は、

高血 糖状態の 期間の 長さがチ タンイン プラント体周囲のオッセオインテグレーションおよび骨 形成に与える影響を明らかにすることである。

【材 料と方法 】

  実験 動物とし てWistar系ラ ットを 用い、高 血糖短 期群(以下短期群とする)、高血糖期間長 期群 (以下長 期群と する)およびコントロール群の3群に分けた。両高血糖群はstreptozotocin を用 い て 高血 糖 を 誘発 し 、 イン プ ラン ト体埋 入前の高 血糖期 間を短期 群で2週間、 長期群で

(2)

6週 間と 設 定し 、高 血糖 状態 (血 糖値300mg/dl以上 )を実験 終了時まで保持させた。3群 とも 26週 齢でチタンインプラント体を左 側大腿骨に垂直に貫通するように2本埋入した後、1、2、4 および18週後に摘出 した。骨標識として、インプラント体埋入時にカルセインを、摘出前日にテ トラサ イクリンを投与した。脱灰標本およぴ非脱灰研磨標本を 作製し、病理組織学的に検索し た。 また、非脱灰研磨標本においてインプラント体一骨接触 率、およびインプラント体から500

ロmの 範 囲 の 骨 量 を 計 測 し 、 脱 灰 標 本 に お い て イ ン プ ラ ン ト 体 か ら500pmの 範 囲 のTRAP 陽性 細 胞数を計測し、組織計量学的検索を行った 。

【 結 果 】

・ 病 理 組 織 学 的 検 索 結 果

埋 入 直 前 の 大 腿 骨 の 皮 質 骨 は 、3群間 に顕 著な 違い は認 めら れな か った 。

イン プラ ント 体埋 入1週後 において、コントロール群で は骨髄領域にインプラント体埋入窩 形成 によ る骨 削片 が認 めら れ、 その 周囲 には 新生 骨が 観 察された。新生骨の一部はインプラ ント体と接していた。短期群においては、コントロール群よりも骨削片は多いが新生骨は少なく、

骨 とインプラント体との問に線維性組織の 介在が認められた。長期群では短期群と同様に、コ ン トロ ール 群よ りも 骨削 片が 多く、新生骨 は少なく、また、介在する線維性組織は3群の中で 最 も多 く認 めら れた 。

埋入2週後 にお いて 、コ ント ロール群ではインプラント体に接する新生骨は増加し たが、イ ン プラ ント 体か ら離 れた 部分 の骨 は改 造さ れて 減少 し 、骨髄の形成が観察された。 短期群で は コントロール群と比較し、新生骨は未熟であり、骨髄 の形成も少なかった。長期群では新生 骨とインプラント体との間に線維性組織 が短期群よりも多く認められた。TRAP陽性細胞は、コ ントロール群では新生骨表 面に多数認められたのに対し、両高血糖群はコントロー ル群よりも 少な い傾 向を 示し てい た 。

(3)

埋入4週 後に お い て、 コ ン ト ロー ル群では インプ ラント体 に接する 新生骨 は薄い層 状の構 造を呈し ており 、インプ ラント 体から離 れた部位には骨削片や新生骨はほとんど認められなか った。短期群ではコントロール群と比較し、インプラント体に接する新生骨が少なく、インプラン ト 体から 離れた 部位には 、カルセ インが 沈着した 骨削片 を含む新 生骨が 認められ た。長期 群 で は、イン プラン ト体に接する新生骨は3群の中で最も少ない傾向を示したが、インプラント体 から 離れた 部位の骨 削片を含む新生骨は短期群よりも多く認められた。

埋入8週後 におい て、コン トロー ル群では インプ ラント体 に接する 新生骨 の厚みは4週 後よ り も増加し ており 、新生骨 表面に は明瞭なテトラサイクリンの線状の沈着が認められた。短期 群 で はインプ ラント 体に接す る新生 骨の厚み の増加 はみられ なかった が、新 生骨表面 にはテ トラサイクリンの線状の沈着が一部認められた。長期群では、インプラント体と骨との間に線維 性組織 が最も 多く観察 され、 インプラ ント体付近の新生骨にテトラサイクリンの彌慢性の沈着 が認 められ 、また、 残存して いる骨削片は3群の中で最も多い傾向を示した。

・ 組織 計 量 学的 検 索 結果

骨 ―イ ン プ ラン ト 体 接触 率 は 、イ ン プ ラ ント 体 埋 入4週後 において3群 間に有意 差が認 めら れ、また、実験期間を通して長期群は短期群よりも低い傾向を示した。

イ ンプラ ント体周 囲の骨量 は、コ ントロー ル群で は埋入2週後か ら4週後にか けて減 少した が、両高 血糖群 は埋入4週目 ではコン トロール 群より も有意に 多く、 経時的に減少傾向を示し

TRAP陽性 細 胞 数 は、 コ ン トロ ー ル 群で は2週後 か ら4週 後 まで の問で減 少したが 、両高 血 糖群 で は実験 期間を通 して変 化がみら れなかっ た。長 期群は短 期群と 比較し実 験期間 を通し て少な い傾向を示したが、有意差は認められなかった。

(4)

【考 察】

  イ ンプ ラン ト体 埋入 前の 高 血糖 期間 が長 期に 及ぶ と、 インプラント体埋入後の初期 におい て線 維性組織がインプラン卜体 表面に多く認められるようになった。また、高血糖状態 が骨芽 細胞やオッセオインテグレーションに影響 を与えるという報告があり、これらのことから高血糖 期間 が長期の場合、骨芽細胞への障害がより大きくなり、 線維性組織が侵入し、骨一インプラ ント体接触率が低くなったと考えられた。

コントロール群では、イン プラント体に接する新生骨表面に明瞭なテトラサイクリンの線状の 沈着 が認 めら れた のに 対し 、短 期群 は明 瞭な 線状 とし ては認められず、長期群では 彌慢性に 認められた。これらの結果より、インプ ラント体埋入前の高血糖期間の差はインプラント体周囲 における新生骨の石灰化に影 響を与えることが示唆された。

埋入4週日 にお いて 両高 血糖 群は コン トロ ール 群よ り も骨 量が 多く 認め られ た。非脱灰標 本 で は 新 生 骨 と 明 確 な判 別が 困難 であ った ため に骨 量の 計測 は骨 削片 を 含め て行 った 。こ のため、両高血糖群ではコン トロール群と比較し骨削片の吸収障害が生じ、骨量が多 くなった ものと考えられた。また、組織学的所見か ら両高血糖群はコントロール群と比較して改造が遅 れ ていることが示唆された。高血糖による破骨細胞への 障害が報告されており、この障害が骨 改 造の 遅延 に影 響し てい る と推 察さ れた 。TRAP陽 性細 胞数は、コントロール群において埋入 2週後 から4週後 まで に減 少し た。 これ は骨改造が進行し、骨が減少したためと考えられ た。

TRAP陽性 細胞 数は 、実 験 期間 を通 して 短期群よりも長期群のほうが少ない 傾向を示したが、

短 期群 と長 期群 との 間に は有 意差 は認 めら れな かっ た 。これらの結果から、高血糖状態は破 骨 細 胞 に 影 響 を 与 える が、 今回 の検 索で は高 血糖 期間 の差 は大 きな 影 響は 与え ない こと が

示 唆 さ れ た 。

以上より、本研究において は高血糖状態の期間の長さの差は、インプラント体周囲 のオッセ オインテグレーションに影響を与えることが示唆された。

(5)

学 位 論 文 審 査 の 要旨

    学 位 論 文 題 名

    EffeCtofDurationofHyperglyCemia     ●  ●

  OnOSSe01ntegrationaroundtitanlumimplantS

( チ タ ン イ ン プ ラ ン ト 体 周 囲 の オ ッ セ オ イ ン テ グ レ ー シ ョ ン に 与 え る     高 血 糖 期 間 の 影 響 )

  審 査 は , ま ず 論 文 提 出 者 に 対 し て 提 出 論 文 の 内 容 の 要 旨 を 説 明 さ せ , 次 い で 論 文 の 内 容 に つ い て 審 査 委 員 の 口 頭 試 問 を 行っ た .以 下に 提出 論文 の要 旨と 審査 の内 容を 述べ る.

論文要旨

  本 研究 の目 的は ,高 血糖 状態 の期 間の 長さ がチ タン イ ンプ ラン ト体 周囲 のオッセオインテ グレーションおよび骨形成に与える影響を明らかにする ことである.

  実 験動 物と してWistar系ラットを用い,高血糖短期 群(以下短期群とする),高血糖期間長 期群(以下長期群とする)およびコントロール群の3群に分けた.両高血糖群はstreptozotocin を 用 い て 高 血糖 を誘 発し ,イ ンプ ラン ト体 埋入 前の 高血 糖期 間を 短 期群 で2週間 ,長 期群 で 6週 間と 設定 し, 高血 糖状 態 を実 験終 了時 まで 保持 させ た.3群と も26週齢 でチタンインプラ ン ト 体 を 左 側大 腿骨 に垂 直に 貫通 する よう に2本 埋入 した 後,1,2,4お よび8週 後に 摘出 し た . 脱 灰 標 本 お よ ぴ 非 脱 灰 研 磨 標 本 を 作製 し, 病理 組織 学的 検索 およ ぴ組 織計 量学 的検 索 を行った.

  骨 髄領 域に おい て, イン プラ ント 体に 接す る新 生骨 は コン トロ ール 群で は経時的に増加し たが,両高血糖群ではコントロール群と比較しその増加 傾向は軽度であり,また,インプラント 体と 新生 骨と の間 に線 維性組織が認められ,高血糖短 期群と比較し長期群に多く認められた.

イン プラ ント 体か ら離 れた 部位 に形 成さ れた 新生 骨は , 埋入 手術 時に 生じ た骨削片を含んで おり ,コ ント ロー ル群 では 経時 的に 改造 され て減 少し た が, 両高 血糖 群で は骨削片が多く残 存し,コントロール群と比較して改造が遅延していた.インプラント体と骨との接触率は,インプ ラン ト体 埋入4週 後に おい て3群 間に 有意 差が 認め られ た .イ ンプ ラン ト体 周囲の骨量および TRAP陽 性 細 胞 数 は , コ ン ト ロ ー ル 群 と 両高 血糖 群と の間 に有 意差 が認 めら れた が, 高血 糖 短期 群と 長期 群と の間 に有 意差 は認 めら れな かっ た. 以 上よ り, 高血 糖期 間が長期の場合,

郎 信

敦 正

山 藤

横 進

授 授

教 教

査 査

主 副

(6)

インプラント体表面に接する新生骨は少なく,線維性組織が埋入期間を通じて多くみられ,高 血糖状態の期間の長さがインプラント体表面での骨芽細胞の骨形成に影響を与えることが示 唆された.また,高血糖期間は破骨細胞には有意な影響を与えない可能性が示唆された・

  本研究により,高血糖状態の期間の長さの差は,チタンインプラントに対するオッセオイン テグレーションおよぴインプラント周囲での骨形成に影響を与えることが示唆された.

審査の内容

1.オ ッセ オイン テグ レー ショ ンと 骨形 成の 違い にっ いて

    オ ッ セオ イン テグ レー ショ ンとは ,イ ンプ ラン ト体 と骨 組織 との 直接 的な 接触     で あり ,単 にイ ンプ ラン ト体周囲に骨が形成されるのではなく,インプラント体     を 支持 する 骨組 織が ,線 維性結合組織を介さず,インプラント体に直接接して形     成 され た状 態を 示す こと であ る.

2.骨 量の 増加 につ いて

    本 研究に おい て, 骨量 の計 測は ,非 脱灰 標本 では 新生 骨と 骨削片 との 識別 が困     難で あっ たため ,両 者を 合わ せた面積にっいて行った.短期群と長期群には差が     みら れな かった が, 組織 所見 においてはインプラント体に接する新生骨は短期群     では コン トロー ル群 より も少 なく,増加傾向も小さく,長期群では接する新生骨     が最 も少 ない傾 向を 示し た. これは骨芽細胞に高血糖期間の影響が及んだためで     ある と考 えられ る・

3. TRAP陽性細 胞に つい て

    TRAP陽 性 細 胞 ( 破 骨 細 胞 ) 数 の 計 測 で は 有 意 差 は な か った ものの ,長 期群 は     短期 群より も実 験期 間を通して少ない傾向があった.このため,長期群のほうが     短期 群より も吸 収さ れずに残存する骨削片が多く認められたものと考えられる・

4.高 血 糖 の 骨 髄 へ の 影 響と オ ッ セ オ イ ン テ グ レ ー シ ョ ン へ の 影 響 の 関連 につ いて     長 期 群で は骨 髄に おけ る血 球成 分が 短期 群よ りも 多く ,脂 肪組織 は少 ない 傾向     を示 した .高 血糖 群で は, 骨髄 幹細胞が少なく,さらに骨芽細胞などに分化に関     与す ると 考え られ てい る脂 肪細 胞が少ないため,インプラント表面での骨形成が     障害 され たも のと 考え られ る. 一方,線維芽細胞は比較的低分化であるため影響     を受 けに くく ,線 維性 結合 組織 が形成され,このため,オッセオインテグレーシ     ヨン の程 度が 少な くな った もの と考 えら れる・

5.  高 血糖 状態 にお ける 骨芽 細胞 への 影響の 原因 にっ いて

    ーっ は高 血糖 自体 が原 因と なり ,タン パク 質の 糖化 反応 によ り細 胞の 構造 や機     能 に変 化を茄 こす とい う説,二つ目はインシュリン不足が原因で,インシュリン     の 作用 である 細胞 の増 殖,分化促進や骨形成促進が抑制されるという説のニつの     考 えが 現在提 唱さ れて いる .

    ―749―

(7)

  

本研究は,高血糖期間が長期に及んだ場合,オッセオインテグレーションにより影響

を与えることを示唆した.これは糖尿病患者にインプラント治療の適応を拡大していく

上で,糖尿病罹患期間が判断基準のーっになり得ることを示唆するものである.今後さ

らなる研究を進めることで臨床に反映しうると考えられ,将来性の点においても高く評

価されるものであった.よって学位申請者は博士(歯学)の学位授与にふさわしいもの

と認めた.

参照

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