- 213 - 中国人日本語学習者の敬語学習上の優先順位および敬語の学習方法に関する研究 教科・領域教育専攻 言語系コース(国語)
S
U
N
W
E
l]I
A
O
1.研究の背景 日本語の敬語は種類が多く、規則も複雑であ る。使用する状況や対象によって、用いるべき 敬語表現は異なる。加えて、中国語には体系的 な敬語が栴主しなし叱め、中国人日本語学習者 にとって日本語の敬語は難しい。しかし、敬語 は日本語において重要な役割を担っているため、 外国人で、あっても敬語を使わなくてもよいとい うことにはならなし L2
.
研究の目的と方法 本研究では、中国人日本語学習者が日本語の どの種類の敬語を間違えやすいのかをアンケー ト調査によって明らかにし、それを日本語母語 話者のアンケート結果と比較することによっ て、敬語習得において中国人日持吾学習者が身 につけるべき優先11開立を見屈めることを目的と した。3
. 論文の構成
第1章 は じ め に 第2章 日中両言語の敬語用法の異同 第3章 日本語母語話者への調査 第4章中国人日本語学習者への調査 第5章 日本語母語話者と中国人日本語学習者 の調査結果の比較 第6章 日本語教科書における敬語の教え方等 の分析 指導教員 田 中 大 輝 第7章 日本語教育への提案 4.論文の概要
第 l章では、研究の背景および先行研究で不 十分な点ゃまだ明らかにされていない点をまと めた。そして、本研究の目的・方法を述べた。 第2章では、日中両言苦におけるそれぞれの敬 語の種類や用法を具体例とともに述べ、異同を 明らかにした。第3章では、日本語母語話者へ の調鶴吉果を観点ごとに統計を用いて分析し、 考察した。第4章では、中国人日本語母語話者 への調査結果を観点、ごとに統計を用いて分析 し、考察した。第5章では、日本語母語昔話者と 中国人日本語学習者との調査結果を観点ごとに 比較することによって、敬語学習において中国 人日本語学習者が身につけるべき優剣l開立を明 らかにした。第6章では、日本語教育における 一般的な教科書では敬語をどの段階・順序で教 えるのか、どのような説明をするのかを整理 し、間違いを防げない原因を突き止めた。第7 章では、中国人日本語学習者がより効尉切こ習 得でき、正しく使用でき、聞き手である日本語 母語者にも違和感を持たれないような敬語の学 習方法を提案し丸5
.
考察 観点①(丁寧語・丁寧表現の使用)、観点②(r
"
"
'
(て)くださるjとr
"
"
'
(て)いただくjの使- 214 - い分け)、観長④ (rお になるJと「お する」 の使し、わけ)、観有、⑤休日手の行為に対する敬語 表現の使用)、観長⑥(自分の行為に対する敬語 表現の使用)、観点⑦(r内」と「外Jの使し、分 け)、観京⑨(美化語)については、中国人日本 語学習者で、も有意に正答が多かった。これらは 習得できているため、身につける優剣│阿部立比 較的に低い。 一方、観点③(rご/お くださるJと「ご/お してくださる」の使い分け)、観点③(二重敬 語)、観点⑮(その他)については、中国人日本 語学習者は正答と誤答の聞に有意差がなかった。 これは正答も誤答も同じぐらい混ざっており、 習得できていないことを示している。中国人日 本語学習者も正しく使い分けられるようになら なければ、日本語母語話者とのコミュニケーシ ョンで翻酷を生み出すことにつながってしまう。 したがってこれらは身につけるべき優知煩位が 高いことになる。 6.白本語教育への提案 敬語の背景にある文化そ習慣の学習敬語は日 本語の鞘教の一つであり、日本の伝統文化を理 解する鍵である。敬語は日本の社会や文化とき わめて密接な関係を持っている。日本人の敬語 意識は腕苦の使し、方を決定する。例えば、役割 的上下関係でし、えば、会社の中で社員は課長 に、課長は部長に、たとえ相手の年齢が下でも やはり敬語を使うのが普通である。これは、つ まり同一の組織内の地位が年齢に優先するとい うことである。また、年齢句上下関係もあり、 それは敬語を左右する重要な条件となってし、 る。さらに、恩恵関係もある。医者と患者、教 師と学生、客と庖員では、いずれも恩恵を受け る後者が前者に敬語を使って接するのが普通で ある。外の者には敬語を用い、親しい者には用 いない。要するに、敬語習得においては敬語の 周辺にも呂を広げ、敬語の背景となっている日 本人の気配も理解しなければならなし L 敬語は実際のコミュニケーションの中で初め て意味を持つものなので、ただ知識として覚え ただけでは、使いこなすことができなくても無 理はなしLそのため、日本語学習者にも、敬語 をコミュニケーションとしてとらえてもらう必 要がある。例えば、 「言う→申し上げるJ