266 (117) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
タ ナカ ピサ エ田中久恵(昭和36
博士(医学) 二二1463号平成6年3月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
多発性硬化症におけるリンパ球亜分画の検討 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 内山 竹彦,門間 和夫論 文 内 容 の 要 旨
目的 多発性硬化症(MS)は,ミエリンを抗原とし, T細 胞を介する自己免疫疾患といわれ,種々のリンパ球亜 分画の異常が指摘されている. MSの治療のうち,ステロイドパルス療法(以下パル ス療法)は,急性増悪期の治療として標準化されつつ あるが,パルス療法前後でのリンパ尊卑分画について いまだ一定の見解は得られていない. 著者は,活動期MS患者のリンパ四則分画について 健常対照者と比較し,特に,パルス療法前後でその動 態を観察し,治療効果判定における有用性の検討を 行った. 対象MS患者群13例(男性3例,女性10例,平均年齢
31。4±2.7歳)と年齢を一致させた健常対照者14例(男 性7例,女性7例,平均年齢31.7±3.4歳)を対象とし た. 方法 MS患者および健常対照者の末梢血から単核球を分 離し,リンパ球膜抗原に対するモノクローナル抗体を 用い,二重染色をした.フローサイトメトリーにより 各抗体陽性細胞の出現率を測定し,全リンパ球に対す る割合および亜分画に占める割合を検討した.また, MS患者群では,パルス療法前後の各抗体陽性細胞の 勤向を検討した. 結果1)CD4陽性T細胞に対するCD45RA陽性T細胞
(サプレッサーインデューサーT細胞)の割合(CD4+ CD45RA+/CD4+)は, MS患者群で有意に低下していた.CD3陽性T細胞に対するHLA-DR陽性T細胞
(活性化T細胞)の割合(CD3+HLA-DR+/CD3+) は,MS患者群で高値の傾向がみられた. 2)MS患者群において, CD20陽性B細胞に対するCD5陽性B細胞(自己抗体産生B細胞)の割合
(CD20+CD5+/CD20+)およびCD3+HLA-DR+/ CD3+は,パルス療法1週後に有意に低下しており,そ の傾向はパルス療法有効群でより顕著であった. 考察 MS患者群でのCD4+CD45RA+/CD4+の低下は, 抑制系T細胞の機能低下を,また,CD3+HLA-DR+/ CD3+の上昇傾向は活性化T細胞の増加を示唆して いると考えられた.また,パルス療法後のMS患者のCD20十CD5十/CD20十とCD3十HLA-DR十/CD3十
の低下は,治療によってMSの活動性が抑制されたこ とを反映している可能性が示唆された. 結論CD4+CD45RA+/CD4+は,活動期MSで低下した
が,パルス療法により変化しなかった.しかし,CD20+ CD5十/CD20十およびCD3十HLA-DR十/CD3十は, パルス療法後,臨床症状の改善に伴い有意な低下を示 し,治療効果判定に有用と考えられた. 一872一267