Title
虚血・再灌流ModelによるSuperoxideの生成について活性酸
素による抗腫瘍効果に向けて( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
松野, 充泰
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第387号
Issue Date
1998-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14739
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 松 野 充 泰(岐阜県)
博
士(医学) 甲第 387 号 平成10年
3 月 25 日学位規則第4粂第1項該当
虚血・再濯流ModeIによるSuperoxideの生成について 活性酸素による抗腫瘍効果に向けて (主査)教授 立松
憲 親 (副査)教授宮
田 英雄
教授 植 松 俊彦
論文内容の要旨 活性酸素は殺菌能など生物に必要な機能を持つはかに,過剰に生成されることによって障害を与える場合があ る。また少量の活性酸素ほ正常組織に対して発癌性に働くことがあるが.大量の活性酸素は抗腫瘍効果を有する こともわかってきた。この活性酸素の悪性腫瘍細胞に対する攻撃を利用し,臨床的には虚血・再潜流時に発生す る活性酸素の一つであるSuperoxide(0㌻)により,虚血・再潜流の活性酸素の抗腫瘍効果が報告されている。 そこでt われわれはt虚血・再港流による頑頚部の抗腫瘍効果を調べるため,その第一段階として実験動物を使 用し虚血時間を調節できるバルーン付きカテーテルを用いて,虚血・再漕流による活性酸素測定を光電子増倍管 を用いてin vivoにて行い,さらに特殊染色による組織学的検討を行った。 実験方法 1)予備実験 0㌻依存性化学発光を測定する時間帯を決定するために.家兎右総頚動脈にバルーン付きカテーテルを挿入留 置し,虚血・再潅流時のドップラー血流計にて血流を測定した。さらに家鬼石側下顎喫筋相当部を発光物質とし て100FIM2-methyl-6一[p-methoxyphenyl]-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-3-One(MCLA)を50ml/ bで注入し,光電子増倍管の光電面から約10cmの距離より光電子をフォトンカウンターで経時的に測定した。そ の結果.10分間虚血モデルは再潜流後の血流量に変化を与えず,血栓の形成もなく,丙種流後20分で最も有意に 0㌻が生成していることを確認した。 2)本実験 a.虚血・再潜流後の潜流による0左傾u定 予備実験と同手技にて10分間虚血し,再潅流後20分間経過した乱95%の酸素と5%の二酸化炭素で飽和させ. pH7.4に調製したKrebs-Henseleitbicarbonatebuffer(KHB)溶液450mlを900ml/hで.右総頸動脈に留置さ れたバルーン付きカテーテルより持続的に潜流させた。血液を排除した乱100FLM MCl,Aを50ml/hにて持続 的に注入し.光電子増倍管にてフォトン数を測定した。フォトン数が安定した後,0.3mM PMA4mlを25ml/h にて注入し,その後0㌻を消去する酵素である5FLM Superoxide dismtltaSe(SOD)4mlを25ml/hにて注入し た。なおコントロールは虚血・再潜流を除き上記と同様に行った。 b.Formazan染色 上述と同手技にて虚血・再湾流後,KHB溶液で持続的に潜流させ,可溶性の白血球刺激剤であるPhorbol myristateacetate(PMA)を注入した。過酸化物と反応し青く染まるNitroblue tetrazolium(NBT)を剛、 0.5g/mlに調製したKHB溶液150mlを900ml/hにて注入した。その後,余剰のNBTをKHB溶液75mlで900ml/ hにて洗い流した。屠殺した家兎右側嘆筋部を切除し.10%ホルマリン溶液固定後,適法に従いヘマトキシリン エオジン垂染色を行い観察した。 結果と考察-85-a.虚血・再潜流後の港流による0㌻測定 PMA注入前を100%としM±SE%で表示すると,PMA注入後は虚血再潜流群は237.5±24.4%.control群は1 67.3±35.0%となり,SOD注入後は虚血再潜流群は72.4±8.6%.control群は74.4±10.0%となった。PMA注入 後,虚血・再潜流群とコントロール群ほ有意差を認めt さらにSODにより0㌻消去が確認でき,虚血・再潜流に よる0㌻の発生増加が示された。 化学発光法ではPMA注入により虚血・再潜流群とcontrol群で有意善が認められ,これは血管壁に付着した白 血球より放出されたOi,と,SODとの反応によるMCLA依存性発光の減少と思われ,白血球から0㌻が生成して いることが推測された。 b.Formazan染色 SODを投与したものは,筋組織.白血球ともにほとんど染色されなかった。一方SODを投与しなかったもの は白血球とその周囲筋細胞の染色が観察された。 虚血・再濯流により白血球は,血管内皮細胞へ付着,活性化し大量の0㌻を放出すると考えられ,組織学的に も血管壁に付着した白血球特に好中球およびマクロファージからNBTによる0㌻生成を確認でき,さらに周囲筋 組織からも0㌻生成を確認した。血管壁に浸潤してなお活性化された白血球より放出された0㌻とSODとの反応 により0㌻が生成していることが示唆された。 結 論 現在.頑頚部領域における悪性腫瘍において抗癌剤等による化学療法,放射線療法および外科的切除の三者併 用療法が主に行われているが,化学療法に用いられる抗癌剤の多くは活性酸素によるものもありt また,放射線 の抗腫瘍効果も活性酸素によるとの報告がある。当科における化学療法においては.浅側頭動脈あるいは上甲状 腺動脈よりカテーテルを外頸動脈に挿入留置し舌動脈,顎動脈に抗癌剤を注入することが多く,さらに本実験で 用いたバルーン付きカテーテルを併用し虚血・再潜流を行うことにより.研究および臨床において,0㌻の有効 な活用法をさらに検討する必要があると思われる。