腸チフスワクチン」の皮内接・1種法に 関する実験的研究 (第1報)
凝集素産生歌況より見たる皮下及び皮内接種法 の初回冤疫拉に追加免疫に於ける比較研究
金沢大学医学部細菌学敏室(主任 谷教授)
強攻生 伊 藤 常 秋
7暢ηεα雇 ■to (昭和25年9月25日 受附)
(本論文の要旨は第2回日本細菌学会北陸地方部会に於て発表した.)
第1章緒
予防接種はそれに依って生体に最強の冤疫を 獲得せしめ,同時に「ワクチン」注射に伴って 惹起される副反応を最小限度に止どめ得る事 が,極めて肝要である事は論を倹たない.此の 条件を満足せしむべく,種々なる方法が研究さ
れている7)8)9)10)11)12).
而して腸チフスワクチン」の接種:方法として は從來皮下接種法が主として実用に供されてい るが,近年皮内接種:法が行はれる様になった13、.
此の腸チフスワクチン」の皮内接種法に関して は,1932年Tuft,及びその協同研究者・1)に依 って行はれた,腸チフス・パラチフス」混合ワ クチン」の種々なる冤疫接種法の研究を以て噛 矢とする様である.更に1940年同氏等2)は皮内 及び皮下接種:法に関して同様なる比較実験を繰 返し,皮内接種法の優秀性を再確認して:いる.
次でPerry 3) }S Tuft等の以上の実験を追試す ると同時に,追加冤疫に於ても亦凝集素の産生 1伏態より見て,皮内接種法が同様に優れている
言 事を報じてV・る.
著者14)は昭和22年に腸チフス・パラチフス」
混合ワクチン」の皮下及び皮内接種を人体に就 て比較実験する機会を得て,1)皮内接種法は 從來の皮下接種法に比し,凝集素の産生は殆ん どその差を認めなb.2)皮内接種:法に依れば 副反応は殆んど現はれない.といふ事を認め得
た.
その後,伝研小島等15)及びその他の研究者恥 17)18)に依って,全く同様なる結果が報じられ
て:いる.
然し乍ら現在皮内接魯法に関する詳細な系統 的研究に就ては未だその報告を見る事が出來な
VN.
蝕に於て著者は先づ家兎を使用して:,その凝 集素産生に就て,皮下及び皮内両接種法の比 較,皮内接種法に於ける「ワクチン」濃度の槍 討及び追加箆疫に関し実駒的研究を試み,以下 述べる如き成績を得た.
第2章実験方法
第1節 使用「ワクチン」 使用菌株は教室保存のVi抗原を有する「チフス」菌
704 伊 藤
Wattson株.該「チフス」菌を普通寒天尉面培養基に 18時聞乃至20時間培養し,之を標準白金耳を使用し て,0・5%ホルマリン加隻塩水で所要濃度に稀釈し,
37。Cの贈卵器に1叢夜放置し,殺菌完了したものを,
家兎の皮下或ひは皮内に注入した.
第2節接 種 方法
実験に使用した家兎は体重約2kgのもので3頭を以 てユ組となし,同一実験に.供した.
援種方法は下記の如く4組に分けて夫々接種した。
1組「チフス」菌を0・5%ホルマリン加食塩水1・Occ に就きO・04mgの割に浮游させた「ワクチン」(此の
「ワクチン」濃度は今回の基準腸チブス。パラチフス」
混合ワクチン」と「プロキロ」に於て同濃度である)
を1週間聞隔で0・S,1・0,1・Occと3回皮一Fに接種 した.(以下此の組を皮下接種群と呼ぶ)
2組皮下接種群と同濃度の「ワクチン」を1週間間 隔でO・1cc宛3回皮内へ接種した.(以下此の組を皮 内第1群と呼ぶ)
3組「チフス」菌を0・5%ホルマリン加食塩水1.Occ に就きO・12mgの割に浮游させた「ワクチン」を1週 間間隔で0・1cc宛3回皮内へ接種した.(以下此の組 を皮内第2群と呼ぶ)
4組「チフス」菌を0・5%ホル?リン加食塩水1・Occ に就き0・4mgの割に浮游させた「ワクチン」を1週 間間隔で0・1cc宛3回皮内へ接種した,(以下此の組 を皮内第3群と呼ぶ)
追加免疫の接種量はその項の記載のEiiで述べる,
理る節 凝集反応槍査術式 A)創設血清の探取
探血は処置前と各回接種後7日目に心臓穿刺に依り 探沸し,エ夜氷室に保存して分離した血清を,56。C 30 分間加熱して非癌性としたものに就き凝した.
B)菌 液
使用菌株は国際法4)5)6)19》20) 21)及び厚生省制定標
準法22)に基き,0凝集の爲に0901株(抗原構造 1X,一,一・)H凝集の爲にH901株(抗原構造IX,
d,一・)vi凝集の爲にVi抗原を有するWattson株 を夫k使用した.
菌液中の菌数は衣の如き濃度とした,即ち上記各菌 株を普通塞天斜・面に植え,37。C 18乃至20時間培養後 0.5%ホルマリン加食塩水に浮僻せしめ,菌液1・Occ 申の菌数を1,00⑪〜1,200btillionsとなる如く,比濁 計を用ひて稀綴した.此の稀釈菌液を37。Cに24時間 更に室温に1選夜放置したものを使用した%〉.
C)威績刊定
凝集反応備式は普通型の如く0・5cc「システム」と し,題詞は25倍よりの倍数稀釈法に依り,対照として 0.85%生理的食塩水の1管を置き,之等に上記菌液1 滴宛を滴下した.
成績制定は37。Cに2時間静置後, H凝集反応は直 ちに,その他は室温に放置し,24時聞後「アグルチノ スコープ」(6倍)を以て検した.
凝集価判読の誤差を遽ける爲に終始同1人が判定に 当った.
第3章 実 験成績
第1節 皮下接種法(皮下接種群)と皮 内接種法(皮内第1群)の比較
個々の家兎の凝集素産生歌況は第1表に示す
如し.
凝集素の最:高産生時期は皮下接種群に隔ては 第3回接種後1週聞目乃至2週間目で,個々の 家兎の最:高凝集価はvi凝集反応では1600乃至 孝00倍,H凝集反応では800乃至200倍,0凝 集反応では1600乃至100倍である.
皮内第1群に於ては凝集素の最:高産生時期は 概ね第3回接種後1週擦目で,個々の家兎の最 高凝集価はv重凝集反応では1600乃至200倍,
H凝集反応では1600乃至1⑪0倍,0凝集反応 では1600乃至200倍で皮下接種群よりもその 産生歌況稽ζ良好なるを知る.
次に両接種群3頭宛の4門門を求めて,之を 比較すると第1図の如くになる.
即ち皮下接種群のvi凝集反応に於ては,第 1回接種後1週血目に出て李均凝集価は僅かに 17倍,第2回接種後1週潮目では150倍,第3 回接種後1週閤目では400倍,同2週後でに挙 均価667倍にして,最高卒均価を示す.同3週 後ではその約脇の300倍に低下する.0凝集反 応に於ても之と良く似た曲線を示す.H凝集反
[ 132 ]
応に於てはその最高平均価は第3回接種後1週 聞目であって,最:高李均凝集価は400倍を示 す.同2週後では367倍で極く僅かの低下を見
る. 1
次に皮内第1群のvi凝集反応を見るに第1回 接種後1週闇目では卒均凝集価は83倍を示し,
皮下接種群の同時期の平均凝集価と比較するに 約5倍の凝集価を示している.
第2回接種後1週回目で峰233倍,第3回接 種後1週聞目では867倍にして,早くも最:高準 均田を示すに至り,同2週後では600倍,同3
週後に於ては233倍となり・皮下接種群の同時 期のものより若干低下している.:H,0両凝集 反応共に上記Vi凝集反応の曲線と相似た「カー ブ」を示す。
之を要するに,皮内接種法に於ては,その接 種菌量は皮下接種法の楯1と云ふ少量にも拘ら す,凝集素の産生より高度にして,而も比較的 早期に上昇するのを認めた.此の闇両接種法 共,家兎に対して体重減少,食思不振,不稔歌 態等の副反応的現象は認められなかった.
第1表 初回冤疫に於ける各家兎の凝集価
凝集別
Vi 凝 集 H 凝 集 0 凝 集群 別
期日
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「
hI一IV
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1 II 前 1 II
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i+)
Q0⑪ i+)
Q00
(註)回申「繭」とあるは処置前を表はし,1は第1回撞種後1遍聞目,IIは第2回接 種後1週間目,mは第3回接種後1週間目, IVは第3回接種後2週間目, Vは概 ね1ケ月後の期日を夫々示す。以下準之.
706 伊 藤
第1図 皮下接種法と皮内接種法の比較
嚢 価 160a
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200
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一〕皮内第1夢
前 J li
第2節 皮内接種法に於ける 適量の槍討
次に皮内接種法に於て可及的高度なる凝集素 の産生を得るに必要なる「チフス」菌の最少接 種量を測定せんとし,次の如き実験を試みた.
即ち「ワクチン」の各濃度の比を1:3:10 となる如く,05%ホルマリン加食塩水1・Occに O,04mg,0. 1 2mg,0.4mgの「チフス」菌を夫々 浮灘させた「ワクチン」を作り,1週間間隔に て3回0.1cc宛皮内へ接種した.
〔皮内第1群(前実験と共通),皮内第2群,
皮内第3群〕
lll iv v 闇日
各接種:群個々の家兎の凝集価は第1表の如 し各群3頭宛の準均凝集価を求めて比較する に第2,3,4図に示す如し.
即ちvi凝集反応に於セは各接種群共にその 最:高雫均価を示す時期は第3回接種後1週聞目 であって,凝集素の産生は略it「ウクチン」濃i 度と準行して上昇している.
H凝集反応に於ても相似た成績を示してい
る.
然るに0凝集反応に於ては,稻ヒその趣を異 にして,最:高卒単価を示す時期は不同であり,
且つ「ワクチン」濃度と凝集素の産生は,相畢
[ 134 ]
行していなN(のを知る.即ち皮内第1群及び第 皮内第3群では第3回接種後2週間目に最高準 2群に於てはvi, H凝集反応と同時期,即ち第 均価を示し,而も最高雫均凝集価は,皮内第2 3回接種後1週間目で最高李均価に達するが, 群で1333倍,次が皮内第1群の733倍,最下位 第2図 皮内接種法に於ける適:量の与野(1)
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皮内接種法rc於ける適量め槍討(II)
〔。燃反応〕 ハミ
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前 1 1[ XII IV V 期口
99 4図 皮内接種法に於ける適量の検討(III)
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ウ》。233
133
前 轟 It 川 鰻 v 瑚日
70s 伊 藤
は皮内第3群で667倍である。
叉最高凝集価を示す時の各家兎個々の凝集素 産生状況を観察すると第2表の如し.
即ち皮内第1群及び皮内第3群に於ては家兎 の個体に依る凝集素産生の欣況は不均等である が,皮内第2群に於ては各家兎共にvi, H及 び0凝集素の産生は1600倍で,た愛9号家兎の 0凝集反応に於てのみ800倍を示し,概ね凝集
素の産生均等なるを知る94).
第2表最高手口価を示せる時の 各家兎の凝集素産生歌況
群別 家 兎:No
V圭凝集 H凝集 0凝集
皮内
2 号 200 ユ00 200 第 1 号 8⑪0 800 400
1群
4 号 1600 1600 1600
皮内
9 暑 1600 160⑪ 800 第 3 号 160⑪ 1600 160⑪
2群
5 号 1600 1600 1600
皮内
17号
400 400 400第 11 号 3200 3200 400
3群
6 号 6400 6400 800 以上の結果より,皮内接種法に於て可及的高
度なる凝集素の産生を得るに必要な「チフス」
菌の最:少接種:量は一応,0.5%ホルマリン加食塩 水1.Occに就きO.12mgが適:量の如く思考さ
れる.
第3節 凝集素の長期消長
前記実験に使用しπ家兎の中より,皮下接種 群と,皮内接種群の内適量を示した皮内第2群 の両者に就き爾後の凝集素の溝長を約5ケ月間 に亘り観察せしに,各家兎個々の凝集素の浩長 は第3表に示す如く,動物丁丁に依り極めて区 々なるも,李均価を求めて示せば第5図の如
し.
即ち皮内第2群に於てはvちH,0凝集素共 に第3回接種後1週聞目で最:高価を示し,約1 ケ月後に於ては,畢均凝集価はvi凝集に於て Y5, H Wt集1/4,0凝集%に減少し,3ク・月後で
はvi凝集臨H及び0凝集駈。に,更に5ケ 月後ではvi及びH凝集では駈2,0凝集では
1/ltに低下する.
皮下接種群に於てもその亭均凝集価の婦長は 略e皮内接種群と相似た「カt一一・・プ」を以て低下
しているが,第5図に於て明らかなる如く,皮 内接種群は常に皮下接種群より凝集素の産生は 高度である.
第3表 凝集価の長期浩長
群 凝集別 Vi 凝 集
H
凝 野卑
[球
1ケ月後 3ケ月後 5ケ月後 1ケ月後 3ケ月後 5ケ月 皮 8 号 400i+)
50 i+)
25
i+)
4CO
i+)
50
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25
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下歯
10 号 400
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200
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400
i+)
100 i+)
100
i+)
種 12 号 i+)100 25
i+)
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200
i+)
25
i+)
25
i一)
群 牟塩出 300 92
M 一
75 333 58 42
一一@一』 一一一 _ 一一
皮 3 号 i+)200 i+)200 i+)200 i+)4⑪0 i+)200 i+)200
内第
5 号 i+)400 2⑪0 i+)
100
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400
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100 i+)
1⑪0 i+)
2 9 号 i+)400 i+)400 i+)エ00 i+)4⑪0 i+)200 i+)100 群 李均価 333 267 133 400 167 133
0 凝 集
1ケ月後
e.OU, 1 3.Ug
2ee
(+)
2eo
(+)
50
(+)
150 20e 200
(+)
200
(+)
20Q
3ケ月後 50
(+)
200
(+)
25
(+)
92 200
(+)
100
(+)
leo
(+)
133
5ケ月後 25
(+)
200
(+)
25
(+)
83 200
(+)
100
(+)
50
(+)
117
【鰯】
第5図 凝集素の長期浩長と追加莞疫
巌 価 1600
800
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2eD
1eo
50
e
/痴
/遜
1?.2,/
i
(Vi凝集反応〕
/へ響。 ,、3,,,
叩ヘー2671/切
3eo\こ\くψ篇
;il,r 一一一一・......,,X
75
,Lft.一ptnt..一一.b.t
前 亙 11 111 工v v 3列」後 5ケJ;後 正 11 期口
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!ノ 。・一一一一一..5
ナ
∠ヨ]__⊥_ふ
前 I II Slll IV V
/
ノ ノ
/ tt
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撃梶D17
τD御糧、}又応〕
ノペ隅
ノ声憲
! !367 v
ノ ら
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/
3ケlj後 5ケOta l II 期稼
ヨヨヨ ヨ
凍\ ズ哺
た
へ 賦ヤニ=蓄触
,堆 1 工I III 且V V 3ヶ月後
…}9」=鷲三三,矧)
5ク IJ後 I JI 期日
第4節 追 カロ 多邑 疫
前記実験に引き続き,初回冤疫後5ケ月目に 皮下接種群に対しては05%ホルマリン加食塩 水1.Occに「チフス」菌を0.04mgの割に浮游 せる「ワクチン」を0.5cc皮下に,皮内接種群 に対しては0.5%ホルマリン加食塩水1.⑪ccに
「チフス」 菌を0.12mgの割に浮游せる「ワクチ ン」を0・1cc皮内へ,夫々1回宛追加接種を試 みた.之は「プロキロ」当りの菌量に換算す
ると皮下接種:群では0.01mg,皮内接種群では 0.O⑪6mg となる,
下血は追加接種前と追加接種後1週間目及び 2週間目とに心臓穿刺に依り採取した。
各家兎の凝集素の産生状況は第4表に如す示
し.
即ち追加冤疫時と初回冤疫時とに於ける最高 凝集価を個々の家兎に就き比較するに,追加免 疫に依う初回冤疫時よりも高度の凝集価を示し
71e 伊 藤
第4表追加冤疫に於ける各家兎の凝集価
群
別
皮 下 接 種 群
皮 内 第 2 群
凝集別 Vi 凝 集
器前
8 号 1⑪ 号
12 号
李均価
3号
m(+)leo 5 号1 (+)
9号{出
直均画・33
25
(+)
200
(+)
25
(一一)
15
2ee
1 1 II
25
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2CO
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400
(+)
208 4eo
(+)
800
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一L66e
(+)
933 50
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200
(+)
400
(+)
217 400
(+)
800
(+)
1600
(+)
933
H 凝 集
前
25
(+)
loe
(+)
25
(i一)
42 200
(+)
loe
(+)
100
(+)
133 x
50
(+)
2eo
(+)
4CO
(+)
P−17 II
5C
(+)
2eo
(+)
40e
(+)
217
0 凝 集
前
25
(+)
200
(+)
25
(+)
83 1
50
(+)
2eo
(+)
100
(+)
117
幽1鞠1鞠1磐
8GO 800 1GO 400
(十) (十) (十) (十)
3200 1600 50 4⑪⑪
(十) (十) (十) (十)
1467 1⑪67 117 333
II
se
(+)
100
(+)
leo
(+)
83 400
(+)
E.OO
(+)
2Qe
(+)
333
(註)表申「前」とあるは邉加接種前を表はし,
加澤明後2週間目の期日を示す.
1は追加接種後1週間目,IIは邉
㌔たものは.皮下接種群に於ては12号家兎,皮内 接種群に於ては9号家兎のH凝集のみにして,
他はいすれも初回菟疫時よりも低い価を示して
NrN 4.
両接種:群の平均凝集価を求めて比較するに,
第5図に示す如し.
即ち皮内接種群ではvi凝集反応に於て,追 加接種後1週聞目及び2週間三共に凝集素の平 均価は933倍にして,之を初回冤旧時と比較す
るに,第2回接種後1週間目の平均凝集価800 倍より梢ヒ高く,而して最高卒論価i600倍より は若干低V・.H凝集反応に於ては追加接種後1 週闇目では準均凝集価1467倍で,略it初回千句 時の最高平均価1600倍に近く,第2i週後に於て も爾1067倍を示した.0凝集反応に於ては前2 凝集反応に比し,李均凝集価は可成り低く,1 週後及び2週後に於て共に333倍を示した.
皮下接種群に於てはvi凝集反応は追加接種 後1週間目では208倍,2週後217倍にして,
初回冤疫時と比較すると,皮内接種群と同様初 回冤疫時の第2回接種後と第3回接種との中軸
に位するが,最高『P均価667倍とは可成りの開 きを見る。H凝集反応に於ては,追加接種後1 週聞手及び2週後共に217倍にして,前記vi凝 集反応と略e同様,0凝集反応は追加接種後1 週聞目では117倍,2週後では準均価83倍に低 下し,追加接種前即あ初回髭牛後5ケ月目の平 均凝集価と同様なる価を示し允.街皮下,皮内 両接種法の追加免疫に就き,比較するに,皮内 接種法は追加牛疫に於ても皮下接種法より携 H,0凝集素共にその産生高度なるを知る.
次に追加冤疫そのものに慌て考察するに,皮 下,皮内両接種法共に凝集素の産生は初回冤疫 に比較して,たN 1回目「ワクチン」接種で可 成りの上昇度を示したが,大部分のものは初回 冤疫時に於ける最:高凝集価(第3回接種後1乃 至2週間目)と同等なる価を示すに至らなかつ
:た.
思ふに追加牛疫に依り,初回免疫と同等なる 凝集素の産生を獲得せんとするには,た蝦回 の追加接種のみでは不充分と考へられる.
[ 13B ]
第4章総括:粒に考按
以上の実験成績を蝕に総括考按する.動物に一定の抗原を注入するに当り,その注射部位を 異にする事に依り,凝集素の産生に著しい差異 を生す;る事は周知の事実である.M田ler動は慢 性淋菌性尿道炎:患者に,」牛乳より製したる無刺 戟性蛋白質溶液「アオラン」を皮内に接種した 場合に,2乃至3時間にして,尿道分泌液の増 加するを見た.而して皮下注射にて同一現象を 惹起するには,皮内注射:量の50乃至100倍の:量 を必要とすると.斯くして皮内注射と皮下注射 との差異を認めた.
吾々の皮内接種法に於て皮下接種法の約%:量 に相当する少量の菌:量を以てするも,街後者よ
り高度に且つ早期に凝集素の産生を見たるは M田lerの報告と相似た点あるを思はせる.
更に吾々は皮内接種法に於ける接種菌量の適 量を槍討した結果,1週間闇隔で0.1cc宛3回 皮内へ注入する場合に於て,一応LOccに就き
⑪.12m9の菌:量が可及的高度の凝集素産生に必 要なる最:少注射量なる事を知った.
その後引続き皮下接種群と皮内第2群とに於 ける凝集素産生の長期消長を観察せるに,此処 に於ても皮内接種法が皮下接種法に比し,冤疫 血溝中に於ける凝集素のi残存度合が遙かに良好 なる事を認めた。
叉初回冤疫より5ヶ月を経過せる上記皮下,
皮内両家町費に対して,1.Occ O.04mg「ワクチ ン」O.Scc,1.Occ O.12mg「ワクチン」O・1ccを 夫々皮下及び皮内に1回宛追加接種を行ひだる に,両接種群共に初回琵疫時に比し焼均凝集価 は著しく上昇したが,樹充分とは言ひ難い.
而して追加接種時に於ける皮下,皮内両接種 法の凝集素産生朕況を比較するに,皮内接種法 は明らかに皮下接種法よりも凝集素の産生高度 なるを知る.
第5章 結 1)同一濃度腸チフスワクチン」に於て,1週 闇闇隔0.1cc宛3回皮内接種法は:,同間隔05,
1.0,1.⑪cc 3回皮下接種法に比して,凝集素の 産生は比較的早く,而も良好なるを認めた.
2)腸チフスワクチン」1週財閥隔0.lcc宛;
3回皮内;接種法に於て,可及的高度なる凝集素 の産生を得るに要する「チフス」菌の最少接種
:量は,体重2kgの家兎に於ては1。Occ O.12mg が一応適量であると思考される.
3)初回延竿後,凝集素の長期鴻長を観察せ るに,皮内接種法に於ては皮下接種法よりも,
その冤疫血清中に滞留する凝集素の価が遙かに
論
高度である事を知った.
4)初回冤疫より5ケ月後に,皮下群に対し ては皮下へ,皮内群に対しては皮内へ夫々1回 の追加接種を行ひたるに,皮下,皮内両接種法 共に卒均凝集価曲線は初回冤疫時に比し,可成 りの上昇度を示したが,た畑回の追加接種で は,不充分と思はれる.
叉追加接種に依る凝集素産生の欺況を比較す るtc,皮内接種法は皮下;接種法に比して凝集素 の産生良好である.
欄筆するに当わ御懇篤なる御指導を添うし,学校闘 の労を賜はりたる恩師谷数授に衷心よわ深謝する,
文
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[ 140 ]