新技術で分離した
ヒト骨質由来微小幹細胞の医療応用
薗田 精昭
関西医科大学 大学院医学研究科
FACSで分離可能な微小幹細胞(VSEL)の報告 10μm以下の大きさで、血球系Lineage陰性、Sca-1陽性分画に微小幹細胞が 存在することが示された。
2001
2006
Leukemia 20;857-869(2006)背景(1): 微小幹細胞とは
微小幹細胞に関する最初の報告生体の組織内に非常に小さなspore-like stem cellが存在することが初めて報告された。 また、この細胞が体性幹細胞の補充に寄与している可能性が提唱された。
2006
Leukemia 20;857-869(2006)背景(2): 微小幹細胞とは
A B 2 mm 2 mm 2.5 mm 1 mm 2 mm 4 mm 1 mm 1 mm Sca-1+Lin-CD45+ Sca-1+Lin-CD45- a b cDifferentiation potentials of Sca-1+Lin-CD45- cells
c d
a b c
cardiac troponin I (red) myosin heavy chain (green)
nestin (green) DAPI for nucleus (blue)
心筋細胞分化
背景(3): 微小幹細胞とは
微小幹細胞に関する海外での動向 海外では、骨髄や臍帯血から得られる微小幹細胞(VSEL)を 用いた再生医療の研究が進められており。臨床研究へ向けた取 り組みがスタートしている(NeoStem社)。 しかし、骨髄や臍帯血から得られる微小幹細胞は量的に大変 尐ないため、細胞の有為性を疑問視する声も存在している。 NeoStem, Inc.(420 Lexington Avenue Suite 350 New York, New York 10170 Telephone:1.212.584.4180)
従来技術とその問題点
従来報告され、海外で採用されているマウス骨髄、
あるいはヒト骨髄や臍帯血からの微小幹細胞の
分離手法には、
・得られる微小幹細胞の回収率が非常に低い
という問題点があった。
・このため、詳細な幹細胞特性の解明や、医療
応用における細胞の有為性・信頼性について、
問題が生じている。
新技術による改善点・特徴
・骨質を細胞ソースとして利用し、酵素処理法を用いて得られた細胞懸濁液 からセルソーターによって高純度かつ効率的に微小幹細胞を同定・分離 する技術を開発した。 ・従来法に比べて、約100倍という高率で骨質由来微小幹細胞を採取する ことに成功した。 ・開発した技術に基づいて発見された骨質由来微小幹細胞は、採取量が 多いために従来技術の細胞回収率が低いという問題点を解決できる。 ・さらに、本技術は骨髄を材料としないため、従来法との差別化を 図ることが可能と考えられる。マウス骨質由来微小幹細胞(BD-SSC)の調製、分離法
新技術を用いると従来法に比べて高率で微小幹細胞を分離できる
従来法 新技術
従来法
マウス骨質由来微小幹細胞の形態
マウス骨質由来微小幹細胞の形態を顕微鏡下で観察した
マウス骨質由来微小幹細胞のES細胞マーカー発現
マウス骨質由来微小幹細胞(BD-SSC)、造血幹細胞(HSC)、間葉系幹細胞(MSC)の 胎生多能性幹細胞(ES細胞)マーカー発現比較
マウス骨質由来微小幹細胞と造血幹細胞、間葉系幹細胞との遺伝子発現比較 マウス骨質由来微小幹細胞(BD-SSC)と造血幹細胞(HSC)、間葉系幹細胞(MSC)の 各細胞マーカーの発現を比較 → 微小幹細胞は、他の組織幹細胞とは異なる遺伝子発現プロファイルを示す 青字:間葉系幹細胞(MSC)マーカー 緑字:造血幹細胞(HSC)マーカー
マウス骨質由来微小幹細胞と間葉系幹細胞は明確に区別可能である マウス骨質由来微小幹細胞(BD-SSC)と間葉系幹細胞(MSC)は 表面マーカー発現と細胞の大きさにより、明確に区別可能である → 間葉系幹細胞のコンタミネーションのリスクがない 間葉系幹細胞に適した培養条件下では、骨由来微 小細胞は増殖せず、間葉系幹細胞のみが増殖する Sca-1+PDGFRαlow/- 分画に骨由来微小細胞 が含まれる Sca-1+PDGFRα+分画 (間葉系幹細胞が含 まれる)の細胞は大型
マウス骨質由来微小幹細胞と造血幹細胞は明確に区別可能である マウス骨質由来微小幹細胞(BD-SSC)と造血幹細胞(HSC)は
表面マーカー発現と細胞の大きさにより、明確に区別可能である
→ 造血幹細胞のコンタミネーションのリスクがない
c-Kit+Sca-1+Lineage-分画(造血幹細胞が含まれる)の細胞は大型
新技術のヒトへの応用: ヒト骨質由来微小幹細胞の分離(1)
人工関節置換術の際に摘出される骨からヒト骨由来微小幹細胞を分離した (関西医科大学医学倫理委員会の承認(関医倫第1114号)による実験) → 新技術を応用することで、ヒトにおいても骨質から効率良く微小幹細胞を分離できる 人工関節置換術の際に、患者の同意を 得て廃棄される骨の提供を受けた。 酵素処理により骨から 細胞を分散させる。 FACSによる 解析と細胞分取 BD FACSAria™セルソーター新技術のヒトへの応用: ヒト骨質由来微小幹細胞の分離(2)
人工関節置換術の際に摘出される骨からヒト骨由来微小幹細胞を分離した (関西医科大学医学倫理委員会の承認(関医倫第1114号)による実験)
新技術のヒトへの応用: ヒト骨由来微小幹細胞の分離(3)
人工関節置換術の際に摘出される骨からヒト骨質由来微小幹細胞を分離した (関西医科大学医学倫理委員会の承認(関医倫第1114号)による実験)
新技術の想定される用途: 微小幹細胞を用いた再生医療への応用
分化誘導した細胞を用いる 細胞そのものを移植する
微小幹細胞を生体外で分化誘導し、障害組織の再生に役立てるほか、 微小幹細胞そのものを直接移植することで障害組織を再生することが 可能になるものと期待される