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Sleep Hygiene Practices Scale日本語版の開発と信頼性ならびに妥当性の検討

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-60

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-Sleep Hygiene Practices Scale日本語版の開発と信頼性ならびに妥当性の検討

○原 真太郎1)、野中 俊介2)、石井 美穂3)、小川 祐子4)、岡島 義5) 1 )早稲田大学大学院人間科学研究科、 2 )東京未来大学こども心理学部、 3 )洗足ストレス・コーピング・サポートオフィ ス、 4 )早稲田大学人間科学学術院、 5 )東京家政大学人文学部 【目的】 睡眠衛生は,健康行動,就寝環境,睡眠関連行動と いった側面を持ち,不適応的な睡眠衛生は,不眠障害 の 維 持 に 寄 与 す る と 指 摘 さ れ て い る(Bonnet & Arand, 1997)。 これまでの研究は,睡眠衛生の多岐にわたる側面 を,単一のものとして捉えて実施されてきたが,睡眠 衛生と不眠障害との関連性に関する知見は一貫してい ない。例えば,不眠障害患者は,健常者と比較して, 不適応的な睡眠衛生に従事していると報告されている (Lacks & Rotert, 1986)。一方で,不眠障害患者は,

健常者よりも不適応的な睡眠衛生に従事していないと も指摘されている(Harvey, 2000)。また,不眠障害 に対する認知行動療法では,適応的な睡眠衛生を促進 する睡眠衛生教育が,重要な技法の 1 つとして位置づ けられている(Morin, 1993)。しかしながら,睡眠衛 生教育のみの効果が検討された介入研究では,十分な エビデンスが示されていない(Morin et al., 2006)。 これらのことから,睡眠衛生と不眠障害との関連性が 不明瞭であると考えられる。 睡眠衛生にはさまざまな側面があるが,これまでの 研究ではその点が充分に考慮されていないと指摘され ている(Yang et al., 2010)。睡眠衛生の問題は,単 一または複数の問題が混在している可能性がある。こ のことから,睡眠衛生と不眠障害との関連性を検討す る際には,睡眠衛生の多岐にわたる側面を別々に捉え る必要がある。現在,睡眠衛生の側面を別々に査定す る質問紙であるSleep Hygiene Practices Scaleが開 発されている(Yang et al., 2010)。しかしながら, 本邦では,こうした尺度が未だ開発されていない。

そ こ で 本 研 究 で は,Sleep Hygiene Practices Scale(SHPS)日本語版を開発し,その信頼性と妥当性 を検討する。 【方法】 手続き SHPS原版著者からSHPS日本語版開発の許可を得た 後,本研究著者による順翻訳,ネイティブスピーカー による逆翻訳ならびに原版著者による逆翻訳のレ ビューが実施された。最終的に,本研究著者と原版著 者との間で合意が得られたものがSHPS日本語版とされ た。 2017年11-12月,インターネットリサーチ会社の登 録モニターを対象に,Time 1ならびにTime 1から 2 週 間後のTime 2の二時点で,質問紙調査が実施された。 対象者 Time 1における分析対象者は,不眠障害群123名(夜 間の不眠症状と日中の機能低下を有する者;平均年齢 40.24歳,SD =11.00歳;男性57名,女性66名),健常群 494名(不眠症状を有さない者;平均年齢43.86歳, SD =11.54歳;男性262名,女性232名)であった。また, Time1ならびにTime 2における分析対象者は,不眠障 害群48名(平均年齢41.25歳,SD =10.91歳;男性21名, 女 性 2 7 名 ), 健 常 群 1 2 6 名( 平 均 年 齢 4 4 . 3 0 歳, SD =10.81歳;男性68名,女性58名)であった。 質問紙 質問紙は,年齢,性別ならびに不眠症状の有無を尋 ねる項目,SHPS日本語版(Domain 1:覚醒関連行動, Domain 2:睡眠スケジュールとタイミング,Domain 3: 食事・飲酒行動,Domain 4:睡眠環境),Pittsburgh Sleep Quality Index日 本 語 版(PSQI; 土 井 他, 1998),Insomnia Severity Index日本語版(ISI;宗 澤他,2009)であった。 倫理的配慮 本研究は,早稲田大学人を対象とする研究に関する 倫理審査委員会の承認後に実施された(承認年月日 2017年 9 月27日;承認番号2017-192)。 【結果】 各群におけるSHPS各Domain,PSQI,ISIの平均値と 標準偏差の記述ならびにt 検定が実施された(Table 1)。t 検定の結果,不眠障害群における各Domain, PSQI,ISIは,健常群よりも有意に平均値が高かった。 また,SHPSのDomainに基づいた確認的因子分析が実 施された。モデルの適合度に関して,不眠障害群では χ(386)=585.76(p <0.00),GFI=0.77,AGFI=0.72, RMSEA=0.07であり,健常群ではχ(386)=973.56(p < 0.00),GFI=0.88,AGFI0.86,RMSEA=0.06であった。 次に,各群におけるSHPS各DomainとPSQI,ISI間の 相関分析ならびに各相関係数の同等性検定が実施され た(Table 2)。 不 眠 障 害 群 で はPSQIとDomain 1, Domain 2,Domain 4間で,ISIとDomain 1,Domain 2, Domain 4間で有意な関連性が示された。健常群では PSQIならびにISIと全Domain間で有意な相関が示され た。さらに,PSQIとDomain 1,ISIとDomain 3の相関 係数において,不眠障害群と健常群との間で有意な差

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そして,各群SHPS各Domainにおける α 係数ならび にTime 1とTime 2にわたるSHPS各Domainの級内相関係 数が算出された。Domain 1に関して,不眠障害群では α=0.69;ICC=0.78(p <0.00),健常群ではα=0.65; ICC=0.57(p <0.00)であった。Domain 2に関して, 不眠障害群ではα=0.71;ICC=0.78(p <0.00),健常 群 で は α=0.67;ICC=0.76(p <0.00) で あ っ た。 D o m a i n 3 に 関 し て, 不 眠 障 害 群 で は α = 0 . 6 3; ICC=0.85(p <0.00),健常群ではα=0.50;ICC=0.77(p <0.00)であった。Domain 4に関して,不眠障害群で は α=0.75;ICC=0.62(p <0.00), 健 常 群 で は α =0.72;ICC=0.67(p <0.00)であった。 【考察】 確認的因子分析 確認的因子分析の結果は,比較的低いモデル適合度 であった。このことは,SHPS原版の作成過程で,項目 内容を基準にして各Domainを設定したことに起因して いると推察される。 構成概念妥当性 t 検定の結果,SHPS各Domainの平均値は,健常群よ りも不眠障害群で有意に高かった。この結果は,不眠 障害患者は,健常者よりも不適応的な睡眠衛生に従事 しているという報告(Lacks & Rotert, 1986)と一貫

している。相関分析の結果,健常群において,睡眠衛 生の各側面は,睡眠の質ならびに不眠と関連している と示された。この結果は,健常者において睡眠衛生と 睡眠の質ならびに不眠間の関連性は強いという報告 (Brown et al., 2002)と一貫している。また,不眠 障害群において,睡眠衛生の中でも覚醒関連行動は, 睡眠の質ならびに不眠と強く関連していると示され た。覚醒関連行動に含まれる身体的覚醒と認知的覚醒 は,不眠障害の中核的維持要因であると指摘されてい る(Bonnet & Arand, 1997)。そのため,覚醒関連行 動は睡眠衛生の中核的側面であると推察される。以上 のことから,SHPSの構成概念妥当性は高いと考えられ る。 内的一貫性 原版における α 係数は0.58から0.82の範囲内であ り,本研究の結果と合致していることから,SHPSの内 的一貫性は許容できると考えられる。また,健常群に おけるDomain 3の α 係数は比較的低い値であった。 このことは,Domain 3の項目数が,他のDomainよりも 項目が少なかったためであると推察される。 安定性

Time 1とTime 2にわたるSHPS各Domain級内相関係数 はいずれも有意であったことから,SHPSの安定性は高 いと考えられる。

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