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<資料>ICU入室患者の栄養管理の実態 : 完全静脈栄養群と経腸栄養併用群の比較 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

ICU 入室患者の栄養管理の実態

−完全静脈栄養群と経腸栄養併用群の比較−

Comparing Nutritional Control of Parenteral and Enteral Groups among

Intensive Care Unit Patients

大竹 美緒

1)

,宮坂 友美

1)

,長澤美佐子

1)

,工藤 本未

1)

,平野みのり

1)

,中村美知子

2) OOTAKE Mio, MIYASAKA Tomomi, NAGASAWA Misako, KUDOU Motomi, HIRANO Minori, NAKAMURA Michiko

要 旨

本調査は,ICU に入室した非経口摂取状態の完全静脈栄養(以下,TPN)患者と経腸栄養併用(以下,EN 併用) 患者の栄養管理の実態と今後の課題を明らかにすることを目的とした。研究方法は,TPN または EN 併用患 者 8 名を対象に,1 日栄養摂取量と血液生化学検査値を入室時と 1 週間後の 2 回測定し,成人の基準値(日本 人の食事摂取基準 2010 年度版)と比較した。その結果,一週間後の TPN 群の特徴は,たんぱく質と総脂肪摂 取量の低値,高血糖であった。EN 併用群の特徴は,たんぱく質と総脂肪摂取量の増加,血中 TG の有意な上 昇であった。両群とも HDL-cho の低値が持続した。看護師が栄養バランス(PFC 比/たんぱく質:脂肪:炭 水化物 % エネルギー)を日々評価し,栄養評価・摂取内容の検討を医師と共に行うことが課題である。 キーワード 集中治療室,栄養管理,栄養評価,完全静脈栄養,経腸栄養

Key Words Intensive Care Unit, Nutritional Control, Nutritional Assessment, Total Parenteral Nutrition, Enteral Nutrition

Ⅰ.序論

栄養とは物質を取り入れて同化し,それにより組織を 作り,エネルギーを産生することであり,人間の生存, 心身の成長発達,健康の維持・増進に不可欠であること が明らかである。そのため栄養素の摂取不足によって生 じるエネルギー不足や栄養素欠乏症の予防,過剰摂取に よる健康障害の予防は,患者の生活の質(Quality of Life:QOL)保持を目標とする看護師の役割である。 成 人 の 食 事 摂 取 量 の 基 準 は 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 (2010 年度版,厚生労働省)にて定められており,国民 の健康の維持・増進,生活習慣病の予防を目的1)に,三 大栄養素であるたんぱく質・脂質・糖質の摂取基準量や 割合が定められている。栄養摂取方法の 1 つである経口 摂取は栄養摂取経路の中で最も生理的な形であり,消化 管系臓器の全ての機能を使用することができる2)ため, 食事摂取基準に沿った栄養摂取量の調節,食事の楽しみ や満足感,消化管系の一体的連動,消化管ホルモンの賦 活などが期待できる。しかし,集中治療室(以下,ICU) に入室する患者は重篤な状態であることから,入室直後 から長期間にわたり経口摂取困難な状態となることが多 い。そのため ICU に入室する患者は,完全静脈栄養(以 下,TPN :Total parenteral nutrition),または経腸栄 養併用(以下,EN:Enteral nutrition 併用)による栄養 摂取に頼らざるを得ない状況にある。 TPN とは中心静脈カテーテルを介して高濃度糖,ア ミノ酸製剤を主成分とする輸液を持続投与する栄養療法 であり,短腸症候群,炎症性腸疾患急性期,消化管瘻発 症期,重症膵炎急性期などが絶対的適応とされている。 経口投与がなくても生命維持,異化状態からの回復促進 が可能であるが,手技的あるいは代謝性の合併症を起こ す可能性がある2) EN は経口あるいは経鼻にて胃内または十二指腸内に 挿入したチューブから栄養を注入する栄養法で,TPN に比して消化管機能をより正常に維持することができ る。EN を行うには必要な熱量および栄養素を吸収でき るだけの腸管面積が必要であるため,消化管機能が不十 分な患者は TPN の補助が必要であること,腸管利用に よる腹部膨満感,下痢などの副作用があることが欠点で ある2)。 受理日:2012 年 1 月 16 日 1) 山梨大学医学部附属病院 看護部 集中治療部:University of Yamanashi Hospital, Nursing Department, Intensive Care Unit

2)山梨大学大学院医学工学総合研究部(基礎・臨床看護学講座): Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering(Clinical Nursing), University of Yamanashi

(2)

当 ICU において過去に実施した,ICU 入室中非経口 摂取患者の栄養管理の実態の研究結果から,非経口摂取 患者で TPN を施行している患者の栄養摂取状態は,低 たんぱく質・低脂肪・高血糖の状態であり,EN を併用 することにより栄養状態が改善されることがわかった。 しかし,近年の研究結果において重症病態症例の栄養療 法は 5-10 日間にわたって経口からの栄養必要量を摂取 できないと予測される場合に開始することが推奨されて いるが,EN と静脈栄養のいずれかが栄養療法として適 切な提供方法かに関しては,対象となる病態の多様性か ら明確な結論は得られていない3)。ICU 看護師として栄 養摂取量のバランス,栄養状態の評価実施が必要と考え られるが,看護師が患者の栄養評価を適切に行っている とは言い難い現状である。

Ⅱ.目的

本研究の目的は,非経口栄養摂取状態の ICU 患者を TPN 群と EN 併用群に分けて,1 日摂取量と血液生化 学検査値から,栄養管理の実態を明らかにし,今後の ICU 患者の栄養管理についての看護師の役割と課題を 探ることである。

Ⅲ.用語の操作的定義

栄養管理:人が生命活動を維持する時に必要なエネル ギーや栄養素を食物から程よく摂取すること TPN 群:ハイカリック RF,キドミンなど糖質を主体 とした高カロリー輸液を投与した群。 EN 併用群:レナウェル A,オキシーパ,メインなど の経腸栄養剤を,24 時間持続投与し,経腸栄養投与量 に応じて TPN を増減した群。

Ⅳ.研究方法

1. 調査対象 平成 23 年 4 月から平成 23 年 7 月の期間に,A 病院 ICU に入室し,入室期間内に非経口栄養摂取状態となり, 本研究の同意が得られた成人患者 8 名である。 2. 調査内容 対象者を,TPN 群(3 名)と EN 併用群(5 名)の 2 群に 分け,調査担当看護師 4 名が,患者の ICU 入室 1 日目 から 4 日目の間と,1 回目測定から 1 週間後に調査を実 施した。調査は,基本的属性(年齢,性別,身長,体重, 疾患名),調査日の TPN と EN の栄養組成を基に算出 した 1 日栄養摂取量(糖質,たんぱく質,総脂肪),血液 生化学検査値(blood sugar:BS,total protein:TP, t r i g l y c e r i d e:T G, h i g h d e n s i t y l i p o p r o t e i n - cholesterol: HDL-Cho,low density lipoprotein- cholesterol :LDL-Cho,zinc :Zn)であり,栄養アセス メントツール(表 1)に記載した。 表 1 栄養管理アセスメントツール 月 / 日 身長 cm 体重 kg 栄養摂取方法* 1 NaCl 摂取量 g/day Zn 摂取量  mg/day Cu 摂取量  mg/day 水分量  ml/day 摂取エネルギー kcal/day 糖質摂取量 g/day たんぱく質摂取量 g/day 脂質摂取量 g/day 塩分摂取量 g/day 微量元素摂取量* 2 BS mg/dl TP mg/dl TG mg/dl HDL-cho mg/dl LDL-cho mg/dl 血中 Na mEq/l 血中 Cl mEq/l 血中 Zn µg/dl 尿量 / 排泄量 ml/ 日 * 1 栄養摂取方法:経口摂取,経腸栄養,経静脈栄養の分類。栄養剤の種類,輸液名も記載。 * 2 微量元素:ビタミン(B6,12,C),ヨウ酸の投与あれば記載。

(3)

3. データの分析方法 TPN 群と EN 併用群の 1 日の栄養摂取量と血液生化 学検査値を集計し,平均値±標準偏差を算出し,成人の 基準値と比較した。重症患者に必要な栄養摂取量につい ては未だエビデンスが得られていない現状がある。日本 人の食事摂取基準1)は成人の一般的な栄養摂取量の基準 として広く用いられているものであり,重症患者に使用 する経腸栄養剤にもこの基準を参考とした栄養バランス で作成されているものもあることから今回基準値として 用いた。血液生化学検査値の成人の基準値は SRLK.K.(総 合検査案内,2010)を用いた。入室時と 1 週間後の差の 検定は t 検定,有意確率 5%以下を用いた。 対象者は番号化し,得られたデータは Excel に入力し た。データの集計と統計処理は Microsoft Excel を使用 した。 4. 倫理的配慮 本人または家族に研究同意書を提示し,研究目的・方 法・プライバシーの保護・同意と撤回・結果の取り扱い・ 本研究の目的以外で使用しないことを文書と口頭で説明 し,同意が得られた対象者から同意書に署名を得た。ま た,本研究は,山梨大学医学部倫理委員会と利益相反委 員会の承認を得た。

Ⅴ.結果

1. 対象者の特徴(表 2) 対象者の基本的属性は,TPN 群(3 名)の主な疾患は 心肺停止後蘇生・敗血症性ショック・大動脈瘤破裂であ り,平均年齢は 51.7±21.4 歳,身長 163.7±17.6cm,体 重 51.4±8.5kg であった。EN 併用群(5 名)の主な疾患は 敗血症性ショック・壊死性筋膜炎であり,平均年齢 51.4 ±19.0 歳,身長 164.7±9.6cm,体重 63.0±13.5 ㎏であった。 2. 入室時と 1 週間後の 1 日の栄養摂取量の変化 − 2 群の比較−(表 3) TPN 群では,入室時は,1 日総エネルギー,たんぱ く質,総脂肪(0g),Zn 摂取量が基準値以下,糖質摂取 量(275.0±25g)は基準値以上であり PFC 比(protein: fat :carbohydrate エネルギー%比)は 7:0:93 であった。 1 週間後は,エネルギー,たんぱく質(23.3±16.2g),総 脂肪(0g),Zn 摂取量が基準値以下であった。糖質摂取 量(333.3±28.9g)は基準値以上であり PFC 比に変化はな かった。全ての摂取量において,入室時と 1 週間後の値 に有意差はなかった。 EN 併用群では,入室時は,糖質摂取量(286.3±34.5g) が 基 準 値 以 上 で あ っ た。 エ ネ ル ギ ー(1386.5±166.0 表 2 対象者の特徴   TPN 群(n=3) EN 併用群(n=5) Mean ± SD Mean ± SD 年齢(歳) 51.7 ± 21.4 51.4 ± 19.0 身長(㎝) 163.7 ± 17.6 164.7 ± 9.6 体重(㎏) 51.4 ± 8.5 63.0 ± 13.5 男女比 2 対 1 3 対 2 主な疾患 心肺停止後蘇生 敗血症性ショック 敗血症性ショック 壊死性筋膜炎   大動脈瘤破裂 Mean =平均値  SD =標準偏差 表 3 入室時と 1 週間後の 1 日の栄養摂取量の変化 − 2 群の比較− TPN 群(n = 3) EN 併用群(n = 5) Mean ± SD Mean ± SD 基準値 入室時 1 週間後 入室時 1 週間後 エネルギー kcal 1500 1176.8 ± 129.9 1390.0 ± 115.5 1386.5 ± 166.0 1385.0 ± 267.2 糖質摂取量 g 225 275.0 ± 25 333.3 ± 28.9 286.3 ± 34.5 166.2 ± 86.5 * たんぱく質摂取量 g 56 18.6 ± 8.1 23.3 ± 16.2 22.0 ± 6.0 48.94 ± 30.6 総脂肪摂取量 g 42 0 0 16.3 ± 22.2 59.5 ± 33.2 * Zn 摂取量 mg 10.5 0.65 ± 0 0.65 ± 0 3.9 ± 3.6 12.1 ± 2.7 PFC 比 20:20:60 7:0:93 7:0:93 11:6:83 38:14:48 (エネルギー /%) Mean =平均値   SD =標準偏差   *有意確率(p ≦ 0.05)

(4)

kcal),たんぱく質(22.0±6.0g),総脂肪(16.3±22.2g)Zn 摂取量は基準値以下あった。当日の PFC 比は 83:6: 11 であった。1 週間後は,糖質摂取量(166.2±86.5g)が 有意に減少し基準値以下となった(p=0.02)。たんぱく 質摂取量(48.94±30.6g)は増加し,総脂肪摂取量(59.5± 33.2g)も有意に増加(p=0.04)し基準値以上となり,PFC 比は 48:14:38 であった。Zn 摂取量は増加し基準値内 となった。 3. 入室時と 1 週間後の血液生化学値の変化 − 2 群 の比較−(表 4) 血液生化学値について,成人健常者の基準値と比較し た 結 果,TPN 群 で は, 入 室 時 は,BS が 基 準 値 以 上, TP が基準値以下であった。TG は基準値内で, HDL-cho(19.5±2.1 ㎎/ dl)と LDL-cho(50.0±49.5 ㎎/ dl)と Zn が基準値以下であった。一週間後は,BS の基準値以 上(163.7±30.1 ㎎/ dl)が持続し,TG は基準値内を維持, TP(6.3±0.8 ㎎ / dl)と Zn は 基 準 値 内 に 改 善 し た。 HDL-cho(25.7±15.5 ㎎/ dl)と LDL-cho(46.3±33.7 ㎎/ dl)は基準値以下であった。全ての値において,有意の 変化はなかった。 EN 併用群では,入室時は BS が基準値以上であった。 TP,HDL-cho(22.0±16.3 ㎎/ dl),LDL-cho(41.8±24.4 ㎎/ dl),Zn は基準値以下であり,TG(78.6±22.7 ㎎/ dl)は基準値内であった。1 週間後は,TP(6.5±0.7 ㎎/ dl)が有意に上昇し基準値内(p=0.01),TG(171.4±53.8 ㎎/ dl)は有意に上昇し(p=0.01)基準値以上,HDL-cho (13.2±3.7 ㎎/ dl),LDL-cho(63.0±26.8 ㎎/ dl)は基準 値以下であった。Zn は上昇し基準値内となった。 4. 1 週間の栄養摂取量と血液生化学的変化の関連(表 5) TPN 群の栄養摂取量は,入室時から 1 週間後も 1 日 総エネルギー・たんぱく質・総脂肪摂取量は基準値以下, 糖質摂取量は基準値以上が持続していた。血液生化学値 は,入室時から 1 週間後も BS は基準値以上,TG は基 準値を持続し,TP と Zn は 1 週間後に基準値内へ改善 した。HDL-cho と LDL-cho は,基準値以下が持続して いた。 EN 併用群の栄養摂取量は,入室時に糖質摂取量が基 準値以上であったが,1 週間後には基準値以下,たんぱ く質摂取量は入室時に基準値以下であったが 1 週間後は 増加し基準値内へ改善していた。総脂肪摂取量は,入院 時に基準値以下であったが,1 週間後は増加し基準値以 上になった。血液生化学検査値は,入室時から 1 週間後 表 4 入室時と 1 週間後の血液生化学値の変化 − 2 群の比較− TPN 群(n = 3) EN 併用群(n = 5) Mean ± SD Mean ± SD 基準値 入室時 1 週間後 入室時 1 週間後 BS mg/dl 60 ∼ 90 128.8 ± 15.9 163.7 ± 30.1 168.8 ± 27.3 163.2 ± 15.3 TP mg/dl 5.8 ∼ 8.5 5.0 ± 0.5 6.3 ± 0.8 5.3 ± 0.7 6.5 ± 0.7 * TG mg/dl 28 ∼ 149 70.0 ± 65.1 80.0 ± 59.6 78.6 ± 22.7 171.4 ± 53.8 * HDL-cho mg/dl 35 ∼ 85 19.5 ± 2.1 25.7 ± 15.5 22.0 ± 16.3 13.2 ± 3.7 LDL-cho mg/dl 65 ∼ 139 50.0 ± 49.5 46.3 ± 33.7 41.8 ± 24.4 63.0 ± 26.8 Zn µg/dl 65 ∼ 110 39.0 ± 17.3 65.5 ± 3.5 35.3 ± 5.1 73.0 ± 29.7 Mean =平均値   SD =標準偏差   *有意確率(p ≦ 0.05) 表 5 入室時と 1 週間後の 1 日栄養摂取量と血液生化学的変化の関連 TPN 群(n = 3) EN 併用群(n = 5) 基準値 入室時 1 週間後 入室時 1 週間後 1 日 摂 取 量 エネルギー kcal 1500 ↓ ↓ ↓ ↓ 糖質摂取量 g 225 ↑ ↑ ↑ ↓ たんぱく質摂取量 g 56 ↓ ↓ ↓ ̶ 総脂肪摂取量 g 42 ↓ ↓ ↓ ↑ 血 液 生 化 学 値 BS mg/dl 60 ∼ 90 ↑ ↑ ↑ ↑ TP mg/dl 5.8 ∼ 8.5 ↓ ̶ ↓ ̶ TG mg/dl 28 ∼ 149 ̶ ̶ ̶ ↑ HDL-cho mg/dl 35 ∼ 85 ↓ ↓ ↓ ↓ LDL-cho mg/dl 65 ∼ 139 ↓ ↓ ↓ ↓ Zn µg/dl 65 ∼ 110 ↓ ̶ ↓ ̶ 注:↑基準値以上  ↓基準値以下  −基準値内

(5)

も高血糖が持続し,TP は基準値内となったが,TG の 基準値以上の上昇と HDL・LDL-cho の基準値以下が持 続していた。

Ⅵ.考察

本研究の目的は,非経口栄養摂取状態を続けた ICU 患者を TPN 群と EN 併用群に分けて,1 日摂取量と血 液生化学検査値から,栄養管理の実態を明らかにし,今 後の ICU 患者の栄養管理についての看護師の役割と課 題を探ることであった。 TPN 群の 1 日の栄養摂取量の変化では,入室時・1 週間後ともにエネルギー摂取量・糖質摂取量の過多があ り,BS の高値は持続した。これは,PFC 比の糖質割合 過多が示すように,TPN が糖質でエネルギー量を賄う 栄養方法であることから,高血糖状態の持続につながっ たと考えられる。また脂質系においては総脂肪摂取量の 不足は持続し,TG は基準値内を維持,HDL-cho,LDL-cho は基準値以下が持続した。以上のことから,本結果 を医師・薬剤師に伝え,血液生化学検査値を考慮した上 で脂肪乳剤併用等を加味した適切な PFC 比が保てるよ うな栄養管理が望まれる。 EN 併用群では,エネルギー量は入室時,1 週間後と もに変化なく,糖質摂取量は減少し,たんぱく質・総脂 肪摂取量が増加した。その理由は,EN へ移行した患者 が多く,経腸栄養剤を用いた結果,PFC 比が変化した ためと考えられる。EN が合併症なく施行できれば徐々 に栄養量を増やしていく事が可能であるが,腹部膨満感 や下痢などの症状によっては増量できないもしくは中止 する場合がある。そのため EN 施行時の栄養素の過不足 を把握し,摂取栄養量を決定するために毎日のイン・ア ウトバランスを確認する事が今後も重要であると言え る。EN に使用される栄養剤は日本人の食事摂取基準に 沿った製剤,n-3 脂質中心の製剤,低たんぱく質製剤な ど種類によって栄養バランスが異なっており,患者の病 態に応じて選択している現状がある4)。今回の結果では TPN と比較し TP は有意に上昇したが,総脂肪量の多 い栄養剤を使用したため総脂肪摂取量が増加し,PFC 比における脂肪割合が 38%ととなり,TG の基準値以上 の上昇につながったと考えられる。しかし,HDL-cho, LDL-cho の基準値以下は持続した状態であったため,た んぱく質の割合を増やすことによる血中 HDL-cho の改 善など, PFC 比の基準に沿った 1 日栄養摂取計画立案・ 実施を医師と共に行うことが必要だと考える。Zn 摂取 量は両群ともに基準値以下であったが一週間後に EN 併 用群のみ基準値以上となり,血中 Zn は両群ともに基準 値以下であったが,一週間後に基準値内となった。両群 において Zn の摂取バランスは良好であったと考えられ るため,今後も現行の方法を継続することが望ましい。 ICU 看護師は患者の栄養状態の評価を日々行い,その 結果を基に栄養状態の問題点を早期に医師に伝えること が必要である。栄養管理を最終決定するのは医師である が,看護師が医師・薬剤師・栄養士などの専門職と連携 を取って,ともに患者個人の栄養管理を行い,栄養状態 を改善していくことが患者の健康回復にとって重要であ ると考える。

Ⅶ.結語

非経口摂取状態が持続した ICU 患者 8 名を,TPN 群 と EN 併用群の 2 群に分け,1 日の栄養摂取量と血液生 化学検査値を,入室時と 1 週間後で比較を行った。その 結果,TPN 群は,1 日栄養摂取量はたんぱく質・総脂 肪摂取量が不足し,血液生化学値検査は BS の上昇が あった。EN 併用群は,1 日栄養摂取量はたんぱく質・ 総脂肪摂取量の増加があり,血液生化学検査値は TP と Zn の改善,TG の有意な上昇,HDL-cho の基準値以下 が持続した。両群ともに,PFC 比を基準とした栄養摂 取バランスの改善が必要である。看護師は患者の栄養状 態の評価を日々行い,問題点を早期に医師・薬剤師・栄 養士などの専門職と連携を取ってともに患者の栄養状態 を改善していくことが今後の課題である。 参考文献 1) 安斎正郷(2009)日本人の食事摂取基準(2010 度版).第一出版, 東京,1-2. 2) 日本臨床栄養医学会監修(2009)臨床栄養医学.南山堂,東京, 51-65. 3) 平澤博之(2009)クリティカルケアにおける栄養管理.克誠堂, 東京,61. 4) 佐々木雅也編(2010)ワンステップアップ経腸栄養.医歯薬,東 京,11-15.

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