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早産発症に関与する生理活性物質

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Academic year: 2021

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早産発症に関与する生理活性物質

由 美 子

は じ め に 早産による低出生体重児の出生は周産期死亡の大きな 割合を占める. 早産の主因は前期破水と切迫早産である が, これらの疾患の背景には絨毛膜羊膜炎が存在するこ とが知られている. 羊膜は, 脱落膜, 絨毛膜, 羊膜より成 る卵膜の最内層に位置し, 卵膜の強度を維持している組 織であるが, エンドトキシンや絨毛膜羊膜炎で増加する 種々のサイトカインが羊膜の脆弱化に関与していると えられている. 一方, 疫学調査では, ダイオキシンに曝露 された妊婦では早産発症が高率であることが報告されて いるが, その機序は不明である. ところで, アクチビンは下垂体の卵胞刺激ホルモンの 産生を促進する因子として発見され, その後, 様々な作 用が明らかとなった TGF-βスーパーファミリーに属す る増殖因子であるが, 近年, 種々の組織で炎症や組織の 傷害/修復過程に関与していることが報告されている. 即ち, 神経細胞の傷害に対する bFGF の神経保護作用に はアクチビンの存在が不可欠であること, アクチビン結 合蛋白であるフォリスタチンを過剰発現した遺伝子改変 マウスでは 傷治癒が障害されること, 肝臓の星細胞や 腎臓の間葉系細胞のコラーゲン産生にアクチビンが促進 的に働くこと等が報告されている. この様な背景の下, ヒトの羊膜細胞を用いて早産発症 に関与する因子を検索した. 羊膜培養細胞を用いた研究 院内臨床試験審査委員会の承認の下で, インフォーム ド・コンセントを得て, 満期の予定帝王切開において卵 膜を採取した. 羊膜上皮細胞を 離培養し, ダイオキシ ンによりヒト羊膜上皮細胞で誘導される遺伝子を DNA microarrayと real-time PCR により検索した. これによ り, ダイオキシン誘導性遺伝子として既知の CYP1A1, CYP1B1の発現がこの細胞でも誘導されることを確認 した. また, インターフェロン誘導性 遺 伝 子 で あ る IFIT1,IFITM1,G1P2,IFI27の発現量が増加することを 明らかにした. に, コラーゲンの産生や代謝に関与す る遺伝子である Integrin alpha 10, Integrin alpha 2, Matrix metalloproteinase 9 の発現も増加することを明か にした.

一方, グラム陰性菌の構成成 であるリポポリサッカ ライド (LPS) と, 絨毛膜羊膜炎において羊水中の濃度が 上昇することの知られている炎症性サイトカインの一つ である Tumor Necrosis Factor-α(TNF-α)を用いたアク チビン蛋白質の解析では, LPSと TNF-αは羊膜上皮培 養細胞のアクチビン産生を促進することを確認した. と ころで, 羊膜の強度を維持する上で最も重要な構成成 はコラーゲンであり, 羊膜におけるコラーゲンの主な産 生細胞は羊膜間葉系細胞である. このため, 羊膜間葉系 細胞の 離培養系を確立し, この細胞においても TNF-αがアクチビン産生を促進することを確認した. お わ り に DNA microarray解析では, ダイオキシン添加時にイ ンヒビン/アクチビン βA サブユニット遺伝子の発現も 増加していた. LPS, TNF-αのみならず, ダイオキシン によってもアクチビン産生が亢進している可能性が え られ, アクチビンは羊膜においても組織の傷害/修復過 237 Kitakanto Med J 2008;58:237∼238 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科検査技術科学専攻基礎検査学講座 平成20年3月10日 受付 論文別刷請求先 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科検査技術科学専攻基礎検査学講座 安部由美子

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程に関与している可能性が推測される. 羊膜細胞におけ るアクチビンの産生調節機序を解析すると共に, 炎症性 サイトカインによって産生の増加したアクチビンが羊膜 においてどの様な作用を発揮しているのかを明らかした いと えている. 文 献

1. Abe Y, Minegishi T, Leung PKC. Activin Receptor Signaling. Growth Factors 2004; 22: 105-110.

2. Abe Y, Sinozaki H, Takagi T,Minegishi T,Kokame K, Kangawa K, Uesaka M and Miyamoto K. Identification of 2, 3, 7, 8tetrachlorodibenzopdioxin (TCDD) -inducible genes in human amniotic epithelial cells. Re-prod Biol Endocrinol 2006; 4: 1-9.

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