Title
セサミン代謝物SC-1の神経細胞分化誘導作用と酸化ストレ
スに対する細胞保護作用( 内容と審査の要旨(Summary) )
Author(s)
浜田, 奈々子
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(薬科学) 連創博甲第18号
Issue Date
2013-03-25
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/47838
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与 日 付 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 浜 田 奈 々 子(岐 阜 県) 博 士 (薬 科 学) 甲第 18 号 平成 25 年 3 月 25 日 創薬科学専攻 セサミン代謝物SC-1の神経細胞分化誘導作用と酸化ストレスに対する細胞 保護作用
匹飴ctiveroles ofSC-1,ametabolite ofsesamhinsesame Seeds,inneuronal
di飴rentiationandcellularprotectionagainstoxidatibestress) (主査)教 授 北 出 幸 夫 (副査)教 授 木 内 一 書 (副査)准教授 田 中 宏 幸 (副査)教 授 赤 尾 幸 博 論文内容の要旨 背景:ゴマの種子、またその油の食物としての歴史は古く、アジアでは数千年も前から健康に寄与 する食品として広く食されている。セサミンはゴマ油に含まれる主要なリグナンの一つとして同定 された。セサミンには、コレステロールや血圧を低下させる作用、アルコール摂取による肝臓機能 の傷害を軽減する作用等様々な生理活性作用が報告されている。一方、中枢神経に対する作用は研 究されていない。本研究では、神経モデル細胞であるPC12細胞を用いて、セサミンとその代謝物に おける神経細胞分化誘導と酸化ストレスに対する細胞保護効果について検討を行った。 結果:神経細胞分化誘導について、スクリーニングに使用したすべての化合物のなかで、セサミンの一 次代謝産物であるSC・1が最も強い神経分化作用を示した。SC-1単独の処理により、PC12細胞は、神経 分化マーカーであるTypeIIIβ-Tubulin、GAP43の発現を伴って神経細胞様に分化した。この分化誘導 には神経成長因子(NGF)が分化誘導する際に活性化されるEREl/2の活性化を伴っていた。また、 ERKl/2の阻害剤であるPD98059とUO126により、SC-1の分化誘導作用は抑制された。しかしながら SC・1はNGF受容体であるTrkAのリン酸化は惹起せず、TrkA阻害剤であるK252aの処理でも分化誘 導は抑制されなかった。またSC・1は低濃度NGFとの併用により、ERKl/2の活性化に相関して分化 誘導が増強された。さらにNGFの濃度をあげて処理すると、神経終末におけるシナプトフィジンの 蓄積が著明に増強された。 次に酸化ストレスに対する細胞保護効果の検討については、抗酸化酵素の誘導を促進する抗酸化応答配 列(ARE)の活性化を指標にスクリーニングを行った。使用したすべての化合物のなかでSC・1が最も強 いARE活性を示した。SC・1処理により、AREを活性化するNrf2の核移行が促進され、それによりheme oxygenase・1(HO・1)の発現が誘導された。また活性酸素種(ROS)が一過性に上昇し、P38MAPキ ナーゼのリン酸化が促進された。P38阻害剤であるSB2035SOにより、SC-1によるHO・1の誘導が抑制 され、N-アセチルシステインの処理でp38のリン酸化、HO-1の誘導は抑制されたことから、これら の反応には一過性のROSの上昇が関与していることが示された。さらにSC-1の前処理により過酸化 水素(H202)により引き起こされる細胞死がSC・1濃度依存的に抑制された。この細胞保護効果は、 HO・1阻害剤であるZnプロトポルフィリンやドミナントネガティブNr佗を細胞内で発現させると打
一15-ち消された。 総括:SC-1はTrkA受容体の下流のERKl/2-MAPキナーゼシグナリングの活性化により神経細胞分化を 誘導し、Nrf2/AREの活性化を介したHO-1の誘導により酸化ストレスが引き起こす細胞死を抑制する 作用を持つことが示された。これらの結果よりSC-1はアルツハイマー病やパーキンソン病、筋委縮 性側索硬化症などの神経変性疾患に対する創薬シーズとなり得る可能性が示唆された。 論文審査結果の要旨 セサミンには、これまでコレステロールや血圧を低下させる作用、アルコール摂取による肝臓機 能の傷害を軽減する作用等様々な生理活性作用が報告されている。一方、中枢神経に対する作用は 研究されていない。 本研究では、神経モデル細胞であるPC12細胞を用いて、セサミンとその代謝物SC-1における神経細 胞分化誘導と酸化ストレスに対する細胞保護効果について検討を行っている。SC-1は神経成長因子 (NGF)が分化誘導する際に活性化されるERKl/2の活性化を介して、分化誘導をすることを明らかにし ている。さらにその作用はNGF受容体であるTrkAのリン酸化は惹起せず、TrkA受容体の下流の ERKl/2-MAPキナーゼシグナリングの活性化により神経細胞分化を誘導することを明らかにしている。 次に、酸化ストレスに対する細胞保護効果の検討については、抗酸化酵素の誘導を促進する抗酸化応答 配列(ARE)の活性化を指標にスクリーニングを行っている。SC-1は軽微な酸化ストレスを誘導し、 Nrf2/AREの活性化を介したHO-1の誘導により酸化ストレスが引き起こす細胞死を抑制する作用を持 つことが示されている。 従って、これらの研究成果はアルツハイマー病やパーキンソン病、筋委縮性側索硬化症などの神 経変性疾患に対する創薬シーズ、さらにはセサミンの予防効果の可能性を示唆するものであり、学 位論文に値すると判断した。 最終試験結果の要旨 浜田氏の学位論文の主要部分は、審査付きの下記学術雑誌に公表済みの2編の論文に基づくものであ り、本論文が学位論文として完成された内容を有することを確認した。また、公聴会において、学術論 文の内容に関する事項、すなわち、セサミン代謝産物SC-1の神経分化および抗酸化作用のメカニズム、 今後の研究の問題点などに関する試問を行った。申請者からは十分な内容の回答が得られたので、最終 試験に合格したと判定した。 論文リスト
1.NanakoW Yasun0riFltiita,Arisa Tanaka,Makoto Naoi,Yoshin0riNozawa,Yoshiko Ono,
Yoshin0riKitagawa,NaminoTomimori,YoshinobuKiso,Masa知miIto(2009)Metabolitesofsesamin,a mqjorlignaninsesameSeeds,induceneuronaldi飴rentiationinPC12ce11sthroughactivationofERKl/2
Signalingpathway,JburnalQfNiuralT[ansmissionl16:841-852・(Ⅰ・F・2・4)
2.NanakoHamada,ArisaTanaka,Yasun0riFttiita,TomohiroItoh,YoshikoOno,Yoshin0riKitagawa,
Namino Tomimori,Yoshinobu Kiso,Yukihiro Akao,Yoshin0riNoヱaWa,Masa血miIto(2011) InvoIvementofhemeoxygenase-1inductionviaNrf2/AREactivationinprotectionagainstH202-induced
一16-PC12celldeath by a metabolite of sesamincontainedinsesame seeds,BiooTganic&A免dicinal
C/托,椚ねり′19:1959-1965.(Ⅰ.F.2.9)