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868 理学療法科学第 25 巻 6 号 I. はじめに脊髄損傷や筋ジストロフィー症, および塵肺などの呼吸機能に障害を有する患者に対し, 一部ではあるが吹矢が治療やレクリエーションの目的で利用されている しかしながら吹矢の医学的効果を検証した報告は少なく 1,, 十分に検討されているとはいえない

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Academic year: 2021

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全文

(1)

吹矢を用いたトレーニングが呼吸機能に及ぼす影響

─呼気筋トレーニングとの比較─

Influence of Blowgun Training on Respiratory Function:

Comparison with Expiratory Muscle Training

永﨑 孝之

1)

  岡田 裕隆

1)

  甲斐  悟

2)

  髙橋精一郎

2)

TAKAYUKI NAGASAKI1), HIROTAKA OKADA1), SATORU KAI2), SEIICHIRO TAKAHASHI2)

1) Department of Rehabilitation, Faculty of Nursing and Welfare, Kyushu University Nursing and Welfare: 888 Tominoo, Tamana,

Kumamoto 865-0062, Japan. TEL +81 968-75-1929 e-mail [email protected]

2) Research Institute of Health and Welfare Sciences, Graduate School, International University of Health and Welfare

Rigakuryoho Kagaku 25(6): 867–871, 2010. Submitted May 20, 2010. Accepted Jul. 5, 2010.

ABSTRACT: [Purpose] The purpose of this study was to examine the influence of blowgun training on respiratory

function and compare it with expiratory muscle training. [Subjects] The subjects were 19 healthy adults. [Method] The subjects were divided at random into a blowgun training (BT) group, 10 subjects, and an expiratory muscle training (ET) group, 9 subjects. The BT group performed blowgun training, and the ET group performed expiratory resistance load training utilizing the PEP threshold method. We measured vital capacity, forced vital capacity, forced expiratory volume in one second (FEV1), the FEV1 ratio, maximum expiratory flow (PEF), maximum expiratory pressure (PEmax), and maximum inspiratory pressure, and made within and between group comparisons. [Results] In the BT group, the values of PEF and PE max increased significantly, but no other differences in respiratory function were found. In the ET group, although the values of PEF and PEmax increased, the increases were found not to be significant. No other differences in respiratory function were found. In the inter-group comparison, no significant differences were found either. [Conclusion] The results suggest that blowgun training increases PEF and PEmax and has an effect on respiratory function which is similar to that of expiratory muscle training.

Key words: blowgun training, expiratory muscle training, respiratory function

要旨:〔目的〕吹矢トレーニングが呼吸機能に及ぼす影響を呼気筋トレーニングと比較して,検討することである。 〔対象〕健常者19 名。〔方法〕無作為に吹矢群 10 名と呼気筋トレーニング群(呼気筋群)9 名の 2 群に分け,吹矢群 には吹矢トレーニング,呼気筋群にはスレショルドPEP を用いた呼気抵抗負荷トレーニングを実施し,呼吸機能の 肺活量,努力性肺活量,一秒量,一秒率,呼気最大流速(PEF),呼気最大口腔内圧(PEmax),吸気最大口腔内圧 を測定し,各群内および群間で比較した〔結果〕吹矢群はPEF,PEmax の数値が増加し統計学的有意差を認めた。 その他の呼吸機能は差を認めなかった。呼気筋群はPEF,PEmax の数値は増加したものの統計学的有意差を認めな かった。その他の呼吸機能についても差を認めなかった。また吹矢群と呼気筋群の呼吸機能の比較おいては統計学 的有意差を認めなかった。〔結語〕吹矢トレーニングはPEF,PEmax を増加させ,呼気筋トレーニングと同様の影響 を呼吸機能に与えることが示唆された。 キーワード:吹矢トレーニング,呼気筋トレーニング,呼吸機能 1) 九州看護福祉大学 看護福祉学部リハビリテーション学科:熊本県玉名市富尾888番地(〒865-0062) TEL 0968-75-1829 2) 国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻 受付日 2010年5月20日  受理日 2010年7月5日

(2)

I. はじめに 脊髄損傷や筋ジストロフィー症,および塵肺などの 呼吸機能に障害を有する患者に対し,一部ではあるが 吹矢が治療やレクリエーションの目的で利用されてい る。しかしながら吹矢の医学的効果を検証した報告は 少なく1,2),十分に検討されているとはいえない。 吹矢は中空の円筒(矢筒)に飛翔体(矢)を装填し, 人の呼気による空気圧で矢を飛ばし標的を射る道具で あり,その動作は,1)矢を矢筒に装填する,2)ゆっ くりと十分な呼気を行う,3)可能な限り最大の吸気を 行う,4)集中して標的を狙う,5)急速な呼気で矢を 飛ばす,からなる。ゆっくりとした十分な呼気および 自己最大の吸気は腹式呼吸に,そして急速な呼気は努 力性呼気に該当し,この動作を繰り返すことは呼吸機 能に何らかの影響を与えるであろうと推察できる。一 部ではあるものの臨床において吹矢を患者に適用して いる以上,吹矢が呼吸機能に有用な影響を与えるかを 医学的に検証することは重要である。よって本研究は, 吹矢を用いたトレーニング(吹矢トレーニング)が呼 吸機能に及ぼす影響を,呼気筋トレーニングであるス レショルドPEP を用いた呼気抵抗負荷トレーニングと 比較して,検討することを研究目的とする。 II. 対象と方法 本研究の研究内容を理解し同意を得た健康な大学生 19 名(男性 10 名,女性 9 名)を対象に男女各々で無作 為に2 群に分け,吹矢群10 名(男性5 名,女性5 名),呼 気筋トレーニング群(呼気筋群)9 名(男性 5 名,女性 4 名)とした。対象者に対し,スパイロメーター HI-801 (チェスト社製)を用いて,肺活量,努力性肺活量,一 秒量,一秒率,呼気最大流速(PEF),呼気最大口腔内 圧(PEmax),吸気最大口腔内圧(PImax)を測定した。 測定は,介入前と開始1 週後,2 週後,3 週後, 4 週後に 各3 回行い,最高値を測定値とした。 吹矢トレーニングは,国際吹矢道協会競技規則を参 考に1 回に吹く矢の本数を 30 本とした。そして呼気筋 トレーニングの1 回の実施時間である 15 分間に合わせ るため,1 分間に2 本の割合で等間隔に吹き,15 分間で 30 本を吹くよう設定した。これを1 日2 回,週4 日間(連 続した4 日間),4 週間(合計32 回実施)実施した。対象 者には十分な吸気を行った後に自己の最大呼気で一気 に矢を吹くように指示した。道具として,市販の矢(ベ ル玩菓株式会社製)とそれに適切に嵌合する内径をも つ長さ80 cm の矢筒(日本セルロイド化工株式会社製) を製作して用いた。また,マウスピースおよび標的は 吹矢レクリエーション協会製を使用した。標的の大き さは42 cm ×42 cm,標的の中心が床から150 cm の高さ になるように設定し,標的との距離は実施する室内空 間の最大距離となる5 m とした。 呼気筋トレーニングにはスレショルドPEP(レスピ ロニクス社製)を用いた呼気抵抗負荷トレーニングを 実施した。呼気抵抗負荷トレーニングの至適負荷圧は 呼気最大口腔内圧の30%以上で,頻度は 1 日 2 回,1 回 につき15 分間実施が一般的であるため3),今回はその 基準に従った。これを介入前PEmax の 30%負荷で,週 4 日間(連続した 4 日間)実施した。2 週目以降につい ては,その週に得られたPEmax の30%負荷量を用いて, 吹矢群と同様の4 週間実施した(合計32 回実施)。回数 は対象者個人の呼吸に合わせて実施するように指示し, 規定しなかった。実施中はノーズクリップを装着する ように指示した。また過換気の状態になれば途中で中 止するように指導した。なお,スレショルドPEP は負 荷量の上限設定が20 cmH2O であるため,PEmax の30% 負荷設定がその値を超えた場合は,スレショルドIMT (レスピロニクス社製)を用い逆方向から呼気を行う方 法をとった。 データ処理および統計処理は次のようにおこなった。 対象者の属性については,吹矢群および呼気筋群の代 表値の差の有無をMann-Whitney U 検定を用いて検定し た。呼吸機能については,吹矢群および呼気筋群の群 内比較は,測定値にてFriedman 検定およびBonferroni の 不等式による修正を用いて多重比較をおこなった。ま た吹矢群と呼気筋群における呼吸機能の比較は,性差 や体格差および年齢差等が測定値に影響を与えるため 実測値ではなく,各時期の測定値を介入前測定値で除 した値を各週実施後の変化値として算出し,変化値に てMann-Whitney U 検定を用いておこなった。統計解析 ソフトはSPSS 13.0J for Windows を用い,全ての検定に おいて危険率5%未満を有意とした。 III. 結 果 対象者の属性については,両群間において統計学的 有意差を認めなかった(表1)。 吹 矢 群 に お け る 呼 吸 機 能 の 変 化 で は,PEF および PEmax に数値の増加を認めた。PEF は,介入前と 2 週, 介入前と3 週,介入前と4 週,1 週と2 週の各間で,PEmax は,介入前と4 週の間で有意差(p<0.05)が認められた。

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その他の呼吸機能については有意差を認めなかった(表 2)。同じく呼気筋群においては,PEF およびPEmax に数 値の増加を認めたが,PEF,PEmax 共に多重比較におい て統計学的有意差を認めなかった。その他の呼吸機能 ついては有意差を認めなかった(表3)。 吹矢群と呼気筋群における呼吸機能の比較では,比 較したすべての呼吸機能において統計学的有意差を認 めなかった(表4)。 表1 対象者の属性 吹矢群(n=10) 呼気筋トレーニング群(n=9) 年齢(歳) 19 [18, 19] 18 [18, 18] 身長(cm) 163.0 [160.0, 169.0] 162.0 [158.0, 169.0] 体重( kg) 57.0 [49.0, 59.0] 59.0 [54.0, 68.0] BMI 21.00 [19.65, 22.10] 21.36 [19.34, 25.06] 肺活量(l) 3.98 [3.08, 4.61] 3.71 [3.22, 5.35] 努力性肺活量(l) 3.74 [2.85, 4.15] 3.28 [3.09, 5.00] 一秒量(l) 3.23 [2.78, 3.81] 2.92 [2.79, 4.27] 一秒率(%) 92.45 [90.36, 96.30] 88.93 [86.55, 89.21] 呼気最大流速(l/s) 6.39 [5.46, 8.18] 6.63 [5.89, 8.37] 呼気最大口腔内圧(cmH2O) 60.75 [51.00, 91.00] 82.50 [50.50, 123.70] 吸気最大口腔内圧(cmH2O) 52.90 [36.60, 76.40] 56.60 [38.50, 78.60]

median [25%ile, 75%ile] , Mann-Whitney U 検定

表2 吹矢群における呼吸機能の変化 介入前 1 週 2 週 3 週 4 週 肺活量(l) 3.98 [3.08, 4.61] 4.03 [3.14, 4.56] 4.17 [3.16, 4.51] 4.24 [3.12, 4.59] 4.11 [3.21, 4.45] 努力性肺活量(l) 3.74 [2.85, 4.15] 3.87 [3.02, 4.10] 3.29 [2.72, 4.30] 3.34 [2.90, 4.36] 3.32 [2.90, 4.24] 一秒量(l) 3.23 [2.78, 3.81] 3.32 [2.83, 3.86] 3.02 [2.72, 3.83] 3.14 [2.88, 3.89] 3.06 [2.87, 3.81] 一秒率(%) 92.45 [90.36, 96.30] 93.60 [83.61, 96.26] 94.09 [89.77, 98.33] 94.75 [89.22, 99.65] 96.46 [91.51 99.31] 呼気最大流速(l/s) 6.39 [5.46, 8.18] 7.56 [6.28, 8.57] 7.88 [7.13, 8.95]*# 7.70 [6.99, 9.24]* 8.09 [7.16, 9.19]* 呼気最大口腔内圧 60.75 [51.00, 91.00] 88.60 [69.80, 125.00] 99.55 [64.90, 123.20] 101.25 [70.50, 134.00] 109.90 [78.10, 132.30]* (cmH2O) 吸気最大口腔内圧 52.90 [36.60, 76.40] 56.75 [29.00, 60.50] 46.20 [25.60, 60.70] 60.75 [44.60, 96.90] 69.30 [50.70, 86.10] (cmH2O)

median [25%ile , 75%ile] , Friedman 検定, Bonferroni の不等式による修正

Bonferroni の不等式による修正,*:介入前との比較 =*:p<0.05,#:1 週との比較 = #:p<0.05 表3 呼気筋トレーニング群における呼吸機能の変化 介入前 1 週 2 週 3 週 4 週 肺活量(l) 3.71 [3.22, 5.35] 3.84 [3.20, 5.29] 3.80 [3.39, 5.14] 3.75 [3.53, 5.00] 3.84 [3.49, 5.29] 努力性肺活量(l) 3.28 [3.09, 5.00] 3.41 [2.79, 5.13] 3.60 [2.89, 5.04] 3.36 [3.14, 5.11] 3.46 [3.04, 5.08] 一秒量(l) 2.92 [2.79, 4.27] 2.99 [2.52, 4.42] 3.25 [2.76, 4.47] 2.89 [2.76, 4.48] 3.09 [2.75, 4.52] 一秒率(%) 88.93 [86.55, 89.21] 87.73 [86.54, 89.01] 88.69 [87.57, 90.28] 87.67 [86.31, 88.79] 87.93 [87.32, 89.31] 呼気最大流速(l/s) 6.63 [5.89, 8.37] 7.28 [6.11, 8.83] 8.68 [6.26, 9.18] 8.68 [6.11, 9.08] 8.52 [6.43, 9.27] 呼気最大口腔内圧 82.50 [50.50, 123.70] 116.90 [70.00, 145.90] 134.70 [61.00, 154.50] 150.60 [96.90, 179.90] 121.80 [99.80, 164.70] (cmH2O) 吸気最大口腔内圧 56.60 [38.50, 78.60] 51.70 [47.10, 84.70] 76.90 [42.70, 79.80] 55.4 [46.30, 93.20] 54.90 [52.90, 81.00] (cmH2O)

(4)

IV. 考 察 本研究の結果,4 週間の吹矢トレーニングはPEF およ びPEmax の数値を増加させることが分かった。PEF は 努力呼出の最大流速を表し,どれだけ速く呼気を出せ るかを見ている。PEF は呼吸筋の収縮力,胸壁と肺の 弾性収縮力,中枢気道の抵抗によって決定される4)。一 方PEmax は,最大吸気位における呼気最大口腔内圧で あり呼気筋力を表わすとされている。PEmax は呼気筋 全体の筋収縮力と胸郭の弾性収縮力の和で決定される 5)。呼吸筋は吸気筋と呼気筋に大別され,吸気筋として 横隔膜,外肋間筋,胸鎖乳突筋,斜角筋群が,呼気筋 として腹筋群,内肋間筋があげられる。通常の安静呼 吸は横隔膜の収縮により横隔膜ドームが下降し,胸腔 を拡げ胸腔内の肺が拡張し吸気が起こる。吸気が終了 後,肺,胸郭の弾性収縮力により呼気が起こる。よっ て通常の安静呼吸では呼気筋は収縮しない。呼気筋で ある腹筋群は収縮により腹腔内圧を高め横隔膜を押し 上げることで呼出を促進する6,7)。つまり腹筋群は強制 呼気時に働く呼気筋であり,その収縮力の増加はPEF およびPEmax を増加させる因子となる。金子ら8)は超 音波診断装置を用いて安静呼吸時と最大呼気努力時で 側腹筋厚を測定し,安静呼吸時には側腹筋厚は変化せ ず最大呼気努力時に増加したと報告している。また谷 田ら9)は腹筋群のトレーニングが呼吸筋力に与える影 響を検討し,3 週間の腹筋群トレーニングによりPEmax およびPImax が増加したと述べている。既述したよう に,吹矢はいくつかの動作から成り立っている。この うち急速な呼気で矢を飛ばす動作は,通常の安静呼吸 では不可能で,一瞬でかつ強い呼気でなければ矢は標 的に到達しない。つまり矢の重さと,矢と筒の摩擦に 勝って矢を矢筒から押し出す呼気が必要となる。本研 究でも吹矢トレーニング対象者に,自己の最大呼気で 一気に矢を吹くように指示しており,この呼気の負荷 が腹筋群の収縮力を高める結果となり,PEFおよびPEmax の数値の増加をもたらしたと考える。一方,田中ら10) は気管支喘息患者17 名に対し,呼吸筋ストレッチ体操 を実施し胸郭の弾性(可動性)にアプローチした結果, PEF,PEmax および PImax が改善したと報告している。 本研究では呼吸筋ストレッチ体操などの胸郭の弾性収 縮力に対するアプローチは実施していないため,胸郭 の弾性収縮力増加によるPEF および PEmax の数値の増 加は考えにくい。しかし吹矢の動作のうち,ゆっくり と十分な呼気および可能な限りの最大の吸気は深呼吸 の要素を含んでおり胸郭を最大に広げる動作となる。 健常者でも日常で深呼吸を頻回に行うことは少なく, この動作により胸郭の弾性収縮力が増す可能性も否定 できない。今回胸郭拡張差などを計測しておらず判断 できないため,今後検討が必要となる。また統計学的 に差は認めなかったものの,吹矢群のPEmax について 表4 吹矢群と呼気筋トレーニング群における呼吸機能の比較 吹矢群 呼気筋トレーニング群 (n=10) (n=9) 肺活量 1 週 1.01 [0.98, 1.02] 0.99 [0.97, 1.05] 2 週 1.02 [0.99, 1.04] 0.99 [0.96, 1.03] 3 週 1.02 [0.99, 1.06] 1.01 [0.99, 1.06] 4 週 1.01 [0.97, 1.08] 1.02 [0.99, 1.08] 努力性肺活量 1 週 0.99 [0.97, 1.03] 0.99 [0.96, 1.03] 2 週 0.98 [0.91, 0.99] 0.99 [0.96, 1.01] 3 週 0.99 [0.93, 1.02] 1.01 [1.00, 1.02] 4 週 0.98 [0.96, 1.02] 1.01 [0.98, 1.02] 一秒量 1 週 1.01 [0.99, 1.02] 1.01 [0.96, 1.02] 2 週 0.99 [0.97, 1.01] 1.01 [0.97, 1.05] 3 週 1.00 [0.95, 1.03] 1.01 [0.97, 1.05] 4 週 1.01 [0.98, 1.03] 1.00 [0.95, 1.05] 一秒率 1 週 1.01 [0.99, 1.04] 1.01 [0.98, 1.02] 2 週 1.02 [1.00, 1.03] 1.01 [1.00, 1.04] 3 週 1.03 [0.99, 1.05] 1.01 [0.99, 1.01] 4 週 1.04 [1.02, 1.04] 1.02 [0.98, 1.03] 呼気最大流速 1 週 1.14 [1.10, 1.19] 1.10 [1.04, 1.16] 2 週 1.22 [1.14, 1.29] 1.14 [1.04, 1.29] 3 週 1.23 [1.13, 1.36] 1.19 [1.11, 1.29] 4 週 1.25 [1.15, 1.37] 1.19 [1.10, 1.32] 呼気最大口腔内圧 1 週 1.29 [1.10, 1.51] 1.33 [1.24, 1.41] 2 週 1.28 [1.13, 1.47] 1.32 [1.16, 1.44] 3 週 1.39 [1.23, 1.88] 1.45 [1.36, 1.84] 4 週 1.40 [1.35, 1.86] 1.54 [1.33, 2.27] 吸気最大口腔内圧 1 週 0.90 [0.73, 1.14] 1.04 [0.96, 1.20] 2 週 0.84 [0.52, 1.36] 1.11 [0.98, 1.38] 3 週 1.08 [0.79, 1.55] 1.15 [0.97, 1.49] 4 週 1.06 [0.94, 1.37] 1.01 [0.92, 1.72] 変化値,median[25%ile , 75%ile],Mann-Whitney U 検定

(5)

は介入前の測定値に偏りがあった可能性が考えられる。 つまり介入前において対象者が測定に慣れておらず, PEmaxが最大値として発揮されずに,結果としてPEmax , PEF 共に変化を認めた可能性も否定できない。PEmax に 限らず他の呼吸機能についても今後の研究において検 討が必要である。 次に,吹矢群と呼気筋群における呼吸機能の比較で は統計学的有意差は認められなかった。今回呼気筋ト レーニングとして使用したスレショルドPEP は,呼気 抵抗法を用いた機器であり,呼気抵抗はスプリング負 荷バルブによって調整され,呼気抵抗負荷を一定にす ることができる。本研究ではPEmax の 30%負荷量を用 いて,対象者個人の呼吸に合わせてトレーニングを実 施した。PEmax の 30%負荷の呼気抵抗に打ち勝つため には通常の安静呼吸では不可能であり,抵抗に見合っ た強制呼気が要求され,腹筋群などの呼気筋の収縮が 必要となる。秋吉ら11)は健常者36 名を呼気筋トレーニ ング群,吸気筋トレーニング群,対象群に分け,呼気 筋トレーニング群にはPEmax の 30%負荷で,吸気筋ト レーニング群にはPImax の30%負荷で,2 週間トレーニ ングを実施した結果,呼気筋トレーニング群はPEmax およびPImax が,吸気筋トレーニング群はPImax が増加 し有意な変化を認めたと報告している。またWeiner ら 12)は慢性閉塞性肺疾患患者32名を対象に,呼気筋トレー ニング群,吸気筋トレーニング群,呼気筋・吸気筋併 用トレーニング群,対象群に分け,3ヶ月のトレーニン グを実施した結果,呼気筋トレーニング群は呼気筋力 および持久力が,吸気筋トレーニング群は吸気筋力お よび持久力が,呼気筋・吸気筋併用トレーニング群は 呼気および吸気の筋力,持久力が増加したと報告して いる。報告に若干の相違はあるものの,いずれの報告 においても呼気筋トレーニングによりPEmax の数値が 増大している。さらにKaneko ら13)は超音波診断装置を 用いてPEmax の 0%,5%,10%,15%の各負荷量で側 腹筋厚を測定し,PEmax0%負荷時の側腹筋厚とそれ以 外の負荷時での側腹筋厚を比較した結果,負荷の増加 に伴い側腹筋厚が増加したと述べている。つまり本研 究におけるPEmax30% の負荷は腹筋群の収縮を必要と し,この負荷が腹筋群の収縮力を高める結果になった と考える。これは前述した吹矢トレーニングの負荷と 酷似しており,今回の吹矢トレーニングとスレショル ドPEPによる呼気筋トレーニングの呼気筋への負荷は, PEF および PEmax の数値を増加させる負荷としては大 きな相違はないと判断できる。 今回の結果は,吹矢トレーニングはPEF と PEmax を 増加させ,スレショルドPEP を用いた呼気筋トレーニ ングと同様の影響を呼吸機能に与えることを示唆して いる。しかし,吹矢トレーニングが呼吸機能に及ぼす 影響に関する研究は先行研究も少なく,今後様々な側 面からの検討が必要である。 吹矢は競技性や遊戯性が高いことから,モチベーショ ンの持続が期待できる。理学療法への臨床応用を考え る場合,患者のモチベーションの持続は重要な要素で あり,これに関して優位性が認められれば吹矢トレー ニングも呼吸理学療法の一手段として応用が可能にな ると思われる。 引用文献 1) 三輪美紀,生田美智子,佐藤栄子・他:スポーツ吹矢の心理 的効果.岐阜県医師会医学雑誌,2005, 18: 131. 2) 平野哲生,下山良二,細井利美・他:デュシャンヌ型筋ジス トロフィーに対するスポーツ吹矢を用いた呼吸理学療法の 試み.厚生労働省精神・神経疾患研究委託費による14~16年 度総括報告書,2005, 252-254. 3) 千住秀明:呼吸リハビリテーション入門第 4 版.神陵文庫, 東京,2004, pp83-186. 4) 松瀬 健:生体・機能検査のABC.日本医師会編,医歯薬出 版,東京,1998, pp57-59. 5) 鈴木俊介:生体・機能検査のABC.日本医師会編,医歯薬出 版,東京,1998, pp65-66. 6) 宮川哲夫:呼吸筋の運動学・生理学とその臨床応用.理学療 法学,1994, 21(8): 553-558. 7) 横場正典,阿部 直:呼吸器疾患と呼吸筋.日本呼吸管理学 会誌,2005, 14(3): 406-409. 8) 金子秀雄,佐藤広徳,丸山仁司:超音波診断装置を用いた側 腹筋厚測定の信頼性.理学療法科学,2005, 20(3): 197-201. 9) 谷田惣亮,分木ひとみ,白星伸一・他:腹筋群トレーニング が呼吸筋力に与える影響.理学療法学,2007, 4(Suppl 2): 606. 10) 田中一正,柿崎藤泰:気道アレルギー.メディカルビュー 社,東京,1998, pp200-209. 11) 秋吉史博,高橋仁美,菅原慶勇・他:呼気筋強化が呼吸筋力 に及ぼす影響.理学療法学,2001, 28(2): 47-52.

12) Weiner P, Magadle R, Beckerman M, et al.: Comparison of spe-cific expiratory, inspiratory, and combined muscle training pro-grams in COPD. Chest, 2003, 124(4):1357-1364.

13) Kaneko H, Sato H, Maruyama H: Evaluation of lateral abdominal muscle activity during expiratory threshold loading by ultrasonog-raphy. J Phys Ther Sci, 2006, 18(2): 187-191.

参照

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