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佛教大學大學院紀要 24号(19960301) 077西村洋子「藤原教長論:『古今和歌集註』の検証を中心に」

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(1)

﹃古

西

藤 原 教 長 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ を 具 体 的 に そ の 注 釈 内 容 を 考 察 す る 中 で 、 教 長 の 注 釈 史 上 の 意 義 を 現 今 認 め ら れ て い る 以 上 に 積 極 的 に 評 価 し た い と い う の が 私 の 本 論 文 の 執 筆 の 一 番 大 き な 理 由 で あ る 。 そ し て 、 さ ら に 教 長 の 和 歌 観 を 注 釈 を 通 し て 探 る の も 一 つ の 目 的 で あ る 。 以 上 の 二 点 を 考 察 す る 上 に お い て 、 顕 昭 の ﹃古 今 集 IIIIII ﹄ と の 共 通 歌 の 具 体 的 な 比 較 を 通 じ 両 者 の 特 徴 を 探 る と 共 に 教 長 の 注 釈 態 度 の 意 義 を 浮 か び あ が ら せ る 手 法 を と っ て い る 。 ま た 、 教 長 の 和 歌 観 を 探 る に お い て も 、 旦 ハ体 的 に そ の 注 釈 内 容 を 幾 つ か み る 上 で 考 察 し た 。 そ の 結 果 、 従 来 い わ れ て い る 教 長 の ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ と は 違 う 顔 も み え て き た と い え よ う か 。 キ ー ワ ー ド : o 教 長 ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ o 顕 昭 ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ o 藤 原 教 長 は じ め に 藤 原 教 長 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ は 従 来 あ ま り 顧 み ら れ る こ と が な か っ た 。 し か し 、 注 釈 史 上 、 ﹃ 古 今 和 歌 集 ﹄ に お い て 、 一 番 古 く 、 そ の 根 本 に あ た る と も い え る 。 そ こ で 具 体 的 に 教 長 の 注 釈 内 容 を 考 察 す る 中 で 、 教 長 の 注 釈 の 意 義 を 七 七

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 七 八 探 り た い 。 ま ず 教 長 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ の 全 貌 を 把 握 し 、 そ の 上 で 教 長 の 後 、 同 じ く ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ を 著 し た 顧 昭 の 注 釈 と の 比 較 を 通 じ 、 両 者 の 注 釈 の 特 徴 を 捉 え る こ と に よ り 、 教 長 に 光 を あ て た い 。 そ し て 最 後 に 教 長 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ の 言 葉 の 内 容 を 通 じ 、 教 長 の 和 歌 観 を 探 っ て み た い 。 藤 原 教 長 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ に つ い て   ユ   京 都 大 学 文 学 部 研 究 室 所 蔵 の 飛 鳥 井 雅 縁 の ﹃諸 雑 記 ﹄ に 、 次 の よ う な 記 事 が あ る 。 治 承 元 年 八 月 十 九 日 書 寫 了 、 此 本 花 園 左 大 臣 鮪 相 傳 秘 蔵 、 深 納 二 箱 底 }、 貫 之 妻 手 跡 云 々 、 貫 之 取 捨 之 、 歌 傍 有 二 直 付 事 等 一、 是 多 貫 之 自 筆 也 、 讃 岐 院 在 位 御 時 、 借 召 之 、 観 蓮 在 俗 、 爲 二近 臣 一 申 請 、 所 二 書 寫 一 也 、 歌 數 相 二 諧 序 詞 一、 尤 足 レ 爲 二 證 本 一而 己 、 釋 観 蓮 、 比 校 又 了 、 同 年 九 月 十 二 日 於 二 禪 定 大 王 御 前 一 始 讀 申 之 、 同 廿 四 日 終 之 、 其 間 伴 集 歌 一 千 九 十 五 首 、 悉 以 二 所 傳 之 説 夕 、 拂 底 聞 食 了 、 所 謂 讃 岐 院 當 帝 之 昔 、 法 性 寺 入 道 以 下 、 公 卿 侍 臣 男 女 之 歌 仙 、 各 演 二 其 秘 説 一、 観 蓮 一 度 無 レ 漏 二 其 座 一、 兼 又 往 年 謁 二 俊 頼 其 後 一、 談 二 宗 延 勝 超 一 、 探 二 和 歌 之 旨 趣 一而 其 議 敢 不 二 廢 忘 一、 今 遇 二 此 道 之 中 興 一 、 於 二 大 王 御 前 一寫 斯 如 二 瓶 水 一、 悦 哉 、 観 蓮 空 納 二 胸 中 之 蓄 懐 一 、 己 臨 二 老 後 一、 悉 散 之 、 旦 述 二 欝 憤 一 且 蕩 二 堅 執 一、 豈 非 二 菩 提 之 要 路 一乎 、 幸 甚 々 々 .. .. .. こ れ に よ る と 、 花 園 左 大 臣 源 有 仁 の ﹃ 古 今 集 ﹄ は 貫 之 の 妻 の 筆 で 、 貫 之 の 書 入 が あ る 。 そ れ を 崇 徳 天 皇 は 有 仁 か ら 借 り ら れ た の を 、 教 長 が 写 し 、 そ の 系 統 の 本 を 更 に 治 承 元 年 八 月 に 写 し て 禪 定 大 王 に 献 上 し て い る 。 禪 定 大 王 と は 喜

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多 院 御 室 守 覚 法 親 王 の 事 で あ る 。 そ の 年 の 九 月 十 二 日 、 守 覚 法 親 王 の 前 で ﹃ 古 今 集 ﹄ の 講 釈 を 始 め 、 二 十 四 日 に 終 了 。 崇 徳 天 皇 は 御 在 位 時 、 法 性 寺 入 道 (藤 原 忠 通 ) 、 公 卿 、 男 女 の 歌 仙 を 集 め 、 ﹃ 古 今 集 ﹄ の 秘 説 を 極 め ら れ た が 、 教 長 も ま た 毎 回 、 そ の 会 に 参 加 し た 。 ま た 俊 頼 、 基 俊 、 宗 延 、 勝 超 に つ い て 和 歌 の 研 鑽 を 積 ん だ 。 そ う し て 得 た 教 長 の 古 今 集 の 秘 説 を 、 守 覚 法 親 王 に 授 け た 。 治 承 元 年 ( 一 一 七 七 ) 、 教 長 、 六 十 九 歳 の 九 月 十 二 日 か ら 二 十 四 日 ま で の こ と で あ る 。 教 長 の ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ は 、 京 都 大 学 所 蔵 の 孤 本 で 、 大 部 分 は 片 仮 名 で 記 さ れ て い る 。 昭 和 二 年 、 古 典 全 集 に 覆 刻 。 今 、 序 の 奥 書 を 掲 げ る と 林 云 記 伝 治 承 元 年 九 月 十 二 日 謁 教 長 入 道 親 愛 受 訓 説 訖 。 仁 治 二 年 卯 月 廿 六 日 書 写 訖 。 と あ る 。 巻 三 、 巻 六 、 巻 十 、 巻 十 六 に も 、 順 を 追 っ て 日 付 け が 異 な る が 同 様 の 奥 書 が あ る 。 こ れ に よ る と 、 教 長 が 治 承 元 年 に 講 義 し た 聞 書 を 、 五 十 年 以 上 後 の 仁 治 二 年 ( 一 二 四 一 ) に 書 写 し た 本 を 再 び 書 写 し た も の が 現 存 本 と い う こ と に な る 。 教 長 は 一 千 九 十 五 首 の 和 歌 を 講 じ た 全 講 で あ る の に 、 ﹃ 古 今 集 註 ﹄ は 所 々 脱 簡 が あ  こ  ヱ り 、 岩 橋 小 弥 太 氏 、 赤 瀬 知 子 氏 の 調 査 に よ る と 、 二 百 二 十 首 余 の 抄 出 注 で あ る 。 こ れ は 、 教 長 の 講 義 を 受 け た 守 覚 法 親 王 に よ る も の か 、 そ れ を 筆 記 し た 人 が 選 釈 し た も の か 、 後 の 転 写 の 際 の 抄 略 か 定 か で は な い 。 あ る い は 教 長 自 筆 か 。 そ こ で 、 私 な り に 、 古 典 全 集 本 に よ り 、 そ の 抄 出 歌 を 提 出 す る と 、 以 下 の よ う に な っ た 。 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 七 九

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 0 詞 書 ・ 和 歌 と も あ る も の 無印 脳 ② 詞 書 は あ る が 和 歌 は 脱 簡 。 詞 書 の 説 明 あ り △ 32 ③ ﹁ ⋮ ⋮ 云 々 ﹂ と 、 和 歌 の 二 句 の み あ げ 後 は 省 略 。 和 歌 の 説 明 あ り 0 49 ④ ﹁ 詞 云 ⋮ ⋮ 云 々 ﹂ と 、 詞 書 の 最 初 の み 後 は 省 略 。 和 歌 も 省 略 。 詞 書 の 説 明 あ り ▲ M 0 詞 書 ・ 和歌 も 脱 簡 。 注 の 内 容 に よ り そ れ と わ か る も の ☆ 1 ⑥ ﹁ 編者 云 ﹂ の 内容 の 説 明 に よ り わ か る も の X 1 0 注 の 文 中 の 内容 に よ り そ れ と 察 し れ る も の 口 2 計 鎚 八 〇 教 長 の ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ に と ら れ て い る 歌 番 号 。 (新 編 国 歌 大 観 番 号 に よ る ) 巻 一 春 上 3 ・ 6 ・ 9 ・ 15 ・ 17 ・ 20 ・ 27 ・ 30 ・ 33 ・ 37 ・ 42 ・ 44 ・ 45 ・ 47 ・ 55 ・ 58 ・ 62 . 63 . 68 19 首 巻 二 春 下 69 ° η 8・ 詑 露 ・ % ・ 田 ・ % ・ ㎜ ゆ m ・ 照 盡 ・ 挈 鵬 ・ 鵬 ・ 憫 ㎡ 18 首 巻 三 夏 37 ° 47 ° 50 ° 52 ° 6511111 5 首 巻 四 秋 上 男 ㎜ ゆ 泌 ・ 躅 ・ 嬲 ・ 躅 ・ 嬲 ・ 躅 ・ 梁 嬲 11 首 巻 五 秋 下 跚 巍 ・ 跚 漁 ・ 翆 郷 獅 ・ ㎜ . 説 9 首 巻 六 冬 18 ° 塑 ゜ 383り 丶)り0 3 首 巻 七 賀 45 ° 46 ° 48 ° 49 ° 50 ° 55 ° 61 りσ39﹂3333 7 首 巻 八 離 別 細 ゜ 跚 ・ 跚 ・ 諞 ・ 躙 宛 跚 ・ 説 霧 ・ 鵬 彜 謝 ・ 獅 電 絣 如 富 驫 18 首

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巻 九 羈 旅 6 8 0 △ 7 8 9 10●0・1・1・1●1●24444444 7 首 巻十 物 名

窟 ・

審 ・

奮 ・

姻 ・

5 ム ハ0 86.6●農U 月寸44 25 首 巻十 一 恋 一

捌 24 首 巻 十 二 恋 二

17 首 巻 十 三 恋 三 6 1 4 0 9 5 ロ 4 囗 5 0 6 3 7 7 3 51・3。3.3●3。4●4●4・5。5・6・7・76666666666666 14 首 巻 十 四 恋 四 ㎜ ・ 餬 鵠 ・ 鯤 蔑 窯 ・ 窺 ・ 鵬 ・ 刪 窯 ・ m 窮 飛 ・ ㎜ ・ 竃 ・ 5 2 4 6 8 9 2 4 △ 52・3・3・3・3・3●4●4・4777777777 31 首 巻 十 五 恋 五 " ・ 鬻 嵳 ・ 夥 踟 窯 ・ 襴 窺 ・ 刪 ・ 鬻 ・ 冪 醫 窺 鸚 ・ % ° oユ ゜ 02 ° 08 ° u ° p y 弊 p ㌍ 認 ゜ " 7 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 34 首 巻 十 六 哀 傷 ず 5 8 9 1 x 6 1 5 6 7 8 2 紹.紹.芻.紹.別.綴.%.%.芻.%.紡.% 12 首 巻 十 七 雑 上

欝 ・

跚 ・

蠶 ・

鬻 ・

晒 ・

22 首 巻 十 入 雑 下

騫 ・

15 首 巻 十九 雑 躰 。 ㎜ め ㎜ め ㎜ り ㎜ め ㎜ め 脳 め 遡 め ㎜ わ ㎜ り ㎜ り ㎜ ℃ ㎜ わ ㎜ 13 首 巻 二 十 大 歌 所 御歌

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 17 首 計 認 首 右 の 表 に よ る と 、 巻 一 ( 春 上 ) は 全 部 無 印 ウ ま り 、 詞 書 、 和 歌 と も あ り 、 そ れ に 注 釈 が ほ ど こ さ れ て い る ・ 巻 二 (春 下 ) は 三 首 を 除 い て 、 無 印 。 巻 三 ( 夏 ) も 詞 書 、 和 歌 と も あ る 。 巻 四 ( 秋 上 ) は 二 首 を 除 い て 無 印 。 巻 五 (秋 下 ) 、 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 八 一

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 八 二 巻 六 (冬 ) 、 巻 七 ( 賀 ) は 詞 書 、 和 歌 と も あ る 。 巻 八 (離 別 ) は 六 首 を 除 い て 無 印 。 巻 九 (羈 旅 ) は 一 首 を 除 い て 無 印 。 巻 十 (物 名 ) は 十 首 を 除 い て 無 印 。 巻 十 一 (恋 一 ) は 二 首 、 巻 十 二 (恋 二 ) は 二 首 、 巻 十 三 ( 恋 三 ) は 四 首 、 巻 十 四 (恋 四 ) は 三 首 、 巻 十 五 (恋 五 ) は 一 首 、 巻 十 六 (哀 傷 ) は 二 首 を 除 い て 無 印 。 と こ ろ が 、 巻 十 七 (雑 上 ) の 後 半 か ら 、 巻 十 八 ( 雑 下 ) 、 巻 十 九 (雑 躰 ) 、 巻 二 十 ( 大 歌 所 御 歌 ) の 、 そ の ほ と ん ど が 、 ③ の ○ 印 の 箇 所 で 記 し た よ う に 、 ﹁ ⋮ ⋮ 云 々 ﹂ と 和 歌 の 最 初 の 二 句 の み 掲 げ 、 後 は 省 略 し 、 そ れ に つ い て 注 釈 を ほ ど こ し て い る 。 巻 一 (春 上 ) が す べ て 、 詞 書 、 和 歌 と も 掲 げ 、 注 を ほ ど こ し て い る の と は 、 対 称 的 で あ る 。 た だ 、 詞 書 、 和 歌 の す べ て を 掲 げ な く て も 、 順 を 追 っ て ﹃ 古 今 集 ﹄ の 講 義 を し て で あ ろ う か ら 、 そ の 一 部 の 言 葉 を 持 っ て し て も 、 そ の 全 貌 は 容 易 に 察 し が つ き 、 新 編 国 歌 大 観 本 の 第 何 番 の 和 歌 で あ る と い う こ と は 、 今 、 私 達 が 見 て も 推 察 に 難 く な い 。 以 上 、 私 が 検 索 し た 結 果 、 三 一 八 首 、 抄 出 で き た こ と に な る 。 岩 橋 小 弥 太 氏 等 の 二 百 二 十 首 の 総 数 と は 異 な る 結 果 で あ る の は 、 先 の 表 に お け る 、 ① ∼ ⑦ ま で の 計 り 方 で 統 計 し た か ら で あ る 。 こ れ ま で の 統 計 の 仕 方 は お そ ら く ① の 詞 書 、 和 歌 、 注 釈 等 の 揃 っ た も の で あ っ た と 思 え る 。 し か し 、 ② ∼ ⑦ ま で も 加 え る こ と に よ り そ の 全 貌 を よ り 正 確 に 捉 え ら れ よ う 。 何 故 、 現 存 本 の 教 長 の ﹃ 古 今 集 註 ﹄ が 、 諸 雑 記 に よ る と 、 一 千 九 十 五 首 を 講 釈 し た の に 三 一 八 首 し か 記 さ れ て い な い の か 。 こ れ は 、 今 、 他 の 写 本 が 発 見 さ れ て い な い た め に 、 そ の 辺 の 事 情 を 推 察 す る 資 料 が な い 。 た だ 考 え ら れ る の は 、 順 番 に ﹃ 古 今 集 ﹄ を 講 釈 す る 際 に 、 力 を 入 れ た 和 歌 と 、 軽 く 流 し た 和 歌 と が あ っ た の で は な い だ ろ う か 。 九 月 十 二 日 か ら 九 月 二 十 四 日 ま で の 十 三 日 間 に 一 千 九 十 五 首 を 講 釈 す る に は 、 一 日 平 均 、 八 十 四 首 を こ な さ な け れ ば な ら な い 。 そ こ に は 当 然 、 教 長 自 身 、 力 の 入 れ 具 合 い の 強 弱 が あ っ た の で は な か ろ う か 。 現 存 本 に 記 さ れ て い る 三 一 八 首 は 、

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そ の 中 で も 特 に 教 長 が 注 意 を う な が し 、 念 を 入 れ た 箇 所 と み て も い い の で は な い だ ろ う か そ の 観 点 に 立 っ て 以 後 の 論 述 を す す め て い き た い 。 次 に 、 そ の 中 で の 上 位 十 人 の 歌 人 を 掲 げ る と 次 の よ う に な る 。 10 9 7 6 5 4 3 2 1 在 原 し げ は る 小 野 小 町 藤 原 敏 行 伊 勢 僧正 遍 昭 壬 生 忠 岑 素 性 法 師 業 平 紀友 則 紀 貫 之 4 首 6 首 7 首 7 首 8 首 10 首 11 首 13 首 14 首 26 首 上 の 表 に よ る と 、 一 位 は 紀 貫 之 で 二 十 六 首 、 群 を 抜 い て 多 い 。 ( ﹃古 今 集 ﹄ に 採 ら れ て い る 貫 之 の 和 歌 は 全 歌 人 の 中 で も 一 番 多 い ) 六 歌 仙 (業 平 ・ 僧 正 遍 昭 ・ 小 野 小 町 ) が 三 人 、 十 位 内 に お り 、 そ の 中 で も 、 業 平 は 特 に 十 三 首 と 、 第 三 位 に 入 っ て い る 。 二 位 の 紀 友 則 、 五 位 の 壬 生 忠 岑 は 共 に 選 者 で あ る 。 ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ の 現 存 本 、 全 体 を み て み る と 、 他 に 一 首 ず つ も 含 め 、 五 十 三 名 、 読 人 不 知 は = 一 五 首 で あ る 。 読 人 不 知 は 一 般 に ﹃ 万 葉 集 ﹄ の 詠 風 と ﹃ 古 今 集 ﹄ の 詠 風 の 問 に あ り 、 ど ち ら か と い う と ﹃ 万 葉 集 ﹄ の 詠 風 に 近 い 。 教 長 が 三 一 八 首 の 内 、 約 四 十 パ ー セ ン ト に あ た る = 一五 首 も 取 り 上 げ て い る こ と は 、 ﹃ 古 今 集 ﹄ 全 体 の 読 人 不 知 歌 の 割 合 と 呼 応 す る に し て も 、 注 目 さ れ る 。 顕 昭 の ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ と の 関 係 教 長 の 後 、 同 じ く 守 覚 法 親 王 に ﹃古 今 集 ﹄ を 講 義 し た の は 顕 昭 ( 一 = 二 〇 年 頃 ∼ 一 二 〇 九 年 頃 ) で あ る 。 顕 昭 は 六 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 八 三

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 八 四 条 家 の 清 輔 の 後 を 継 ぐ 歌 人 で 、 御 子 左 家 と 対 立 し た 先 鋒 と し て 知 ら れ る 。 顕 昭 の ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ の 巻 第 二 十 に 次 の 奥 書 が あ る 。 文 治 元 年 十 一 月 十 七 日 、 古 今 一 部 、 依 梁 園 教 命 一、 勘 注 了 、 大 略 釋 二 奥 義 外 歌 一、 先 レ 是 宰 相 入 道 雛 笳 獺 鼬 、 被 二 注 釈 }、 腸 二 件 本 一加 二 披 閲 一、 糺 二 邪 正 一、 仍 多 引 二 載 彼 抄 一而 己 重 賜 全 部 差 聲 顕 昭 こ れ に よ る と 、 顕 昭 は 教 長 の 講 録 を 親 王 よ り 見 せ ら れ 、 そ れ に よ っ て 草 稿 を 訂 正 し 、 親 王 に 献 上 し た こ と が わ か る 。 顕 昭 の 注 釈 し た 和 歌 を 私 な り に 検 索 し た 結 果 を 次 の 表 に 記 す 。 巻 数 部 立 歌 番号 ( 新編 国歌 大観 番号 ) 太 字 は 教 長 と 共 通 歌 数 共 通 巻 一 春 上 5 ・ 9 ・ 13 ・ 15 ・ 17 ・ 20 ・ 25 ・ 27 ・ 28 ・ 31 ・ 39 ・ 45 ・ 47 ・ 50 ・ 51 ・ 55 ・ 58 ・ 61 ・ 62 ・ 68 20 12 巻 二 春 下 69 ・ 72 ・ 73 ・ 75 ・ 77 ・ 80 ・ 82 ・ 84 ・ 94 ・ 97 ・ 噸 ・ ㎜ ・ 珊 畆 血 15 0 巻 三 夏 44 ° 48 ° 50 ° 52 ° 騒 ゜ 56 ° 61 ° 651111111111 8 M 巻 四 秋 上 η ゜ 75 ° 77 ° 91 ° % ° 04 ° 09 ° 10 ° 10 ° 17 ° 18 ° 19 ° 20 ° 勿 ゜ 43 ° 461111122222222222 15 m 巻 五 秋 下 52 ° 留 ゜ 75 ° 77 ° 82 ° 83 ° 85 ° 94 ° 99 ° 06 ° 07 ° 08 ° 09 ° 12 ° 13NNNNNNNNNMMMMMM 15 5 巻 六 冬 14 ° 17 ° 18 ° 20 ° 21 ° 26 ° 34MMMMMMM 7 , -  巻 七 賀 43 ° 44 ° 46 ° 48 ° 49 ° 5033333う﹂ 6 4

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巻 八 離 別 獅 ・ 靄 ・ 鸛 ・ 蹴 ・ 緲 ・ 鯤 6 5 巻 九 羈 旅 輔 ・ 絣 ・ 憫 ・ ㎝ 川 ・ 網 ・ 靭 ・ 翊 7 5 巻 十 物 名 魏 ・ 咽 ・ 価 ・ 切 ・ 轍 ・ 鰯 ・ 岬 ・ 鞭 ・ 姐 ・ 輔 ・ 岬 ・ 輔 ・ 輔 ・ 姻 ・ 姐 ・ 靭 . 娚 . 靭 . 嫂 . 柵 . じ︻﹂66・6月 ﹁4 M2 0 01 巻 十 恋 齠 ・ 翩 ・ 燗 ・ 姻 ・ 儒 ・ 們 ・ 鰯 ・ 娚 ・ ㎜ ・ 鸚 ・ 鰯 ・ 靭 ・ 螂 ・ 硼 ・ 弸 ・ 猫 . 鵬 . 脚 . 晒 . 鵬 . 絣 ・ ㎜州 ・ 馴 ・ 鶴 ・ 网 ・ 弸 ・矧 72 8 . -, 巻 十 二 恋 一 鵬 ・ 鵬 ・ 弸 ・ 脳 ・ 晒 ・ 絣 ・ 珊 ・ 軅 ・ 珊 ・ 珊 ・ 鰯 ・ 謝 ・ 鵬 ・ ㎜捌 . 刪 51 8 1 巻 十 = 恋 = 岬㎝ ・ 謝 ・ 硼 ・ 棚 ・ 鰤 ・ 讎 ・ 鰤 ・ 晒 ・ 鵬 ・ 鵬 ・ 旃 ・ 矚 ・ ㎜ ∵ 鰡 ・ 鮒 ・ 備 . ㎝ . 膈 81 9 巻十 四 恋 四 旃 ・ 砌 ・ 脳 ・ ㎜ ・ 川 ・ 麗 ・ 鵬 ・ 姻 ・ 窩 ・ 川 ・ η ・ 珊 ・ 泌 ・ 泌 ・ 燭 . 駕 . 襴 . 襴 81 21 巻 十 五 恋 五 η ・ 鶸 ・ 耐 ・ 鵬 ・ 酌 ・ 窺 ・ 刪 ・ 黼 ・ 窩 ・ 劭 ・ 刪 ・ 鵬 ・ 脚 ・ ㎜ ・ 嬲 ・ 蹴 . 軅 . 躅 . 師 . 跚 .9-2371°2●2・2●280Q888 52 81 巻 十 六 哀 傷 跏 ・ 脇 ・ 洲 ・ 躅 ・ 躅 ・ ㎝㎝ ・ 晒 ・ 脚 ・ 跚 ・ 讎 01 7 巻 十 七 雑 上 跚 ・ 躍 ・ 晒 ・ 跚 ・ 嬲 ・ 脚 ・ 訓 ・ 跚 ・ 脳 ・ 跚 ・ 脚 ・ 朧 ・ 晒 ・ 躅 ・ 勸 ・ 蹴 ・ 脳 . 鯉 . 鵬 . 蠅 . 餅 ・ ㎝川 ・ 兜 ・脳 ・鵬 ・鵬 ・%・叨 ・蜘 92 61 巻 十 八 雑 下 鵬 ・ 鰻 ・ 鰯 ・ 嬲 ・ 脚 ・ 蜘 ・ 脳 ・ 囎 ・ 鰯 ・ 嬲 ・ 蚓 ・ 弸 ・ 鰯 ・ 鰯 ・ 螂 ・ 蜘 ・ 鵬 . 脳 . 鰯 . 噺 O2 0 ,-, 巻 十 九 雑 体 ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ 跏 ・ ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ 脳 ・ 価 ・ ㎜ ・ ㎜ ・ 刪 ・ ㎜ ・ 卿 ・ ㎜ ・ 聰 ・ ㎜ 81 11 巻 一 十 大 歌 所 御歌 ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ 聰 ・ ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ 鯤 ・ ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ ㎜ ・ 鯉 ・ 脳 ・ 莇 ・ ㎜ ・ ㎜ . ㎜ 02 01 計 22M 50 .-, 次 に 、 教 長 と 顕 昭 と の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ に お け る 比 較 を 表 に 記 し て み る 。 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 八 五

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 巻 数 部 立 教 長 顕 昭 共 通 % 1 春 上 19 20 12 60 2 春 下 18 15 . -  73 M 夏 5 8 M 37 4 秋 上 . --, 15 m 20 5 秋 下 9 15 5 mm 6 冬 M 7 1 14 7 賀 7 6 4 66 8 離 別 18 6 5 M 9 羈 旅 7 7 5 71 0 物 名 25 23 18 聡 H 恋 一 24 27 18 66 12 恋 二 17 15 8 53 m 恋 三 14 18 9 50 14 恋 四 c  , --, 12 66 15 恋 五 34 25 18 72 16 哀 傷 12 0 7 70 17 雑 上 22 29 16 55 18 雑 下 15 20 0 50 19 雑 体 M.--i 18 11 61 20 大 歌 所 御 歌 17 20 0 50 計 鎚 首 謝 首 爛 首 57 % 八 六 右 の 表 に よ る と 、 顕 昭 は 三 百 二 十 二 首 を 注 釈 し 、 教 長 と の 共 通 和 歌 は 五 十 七 パ ー セ ン ト で あ る 。 教 長 と 顕 昭 と の 共 通 歌 の 比 較 顕 昭 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ に お け る 、 教 長 の 註 と の 関 係 に お い て 、 だ い た い 次 の 四 つ の ④ か ら ⑪ ま で に 分 類 で き る 。 ④ 群 ⋮ ⋮ 教 長 の 注 を そ の ま ま 引 用

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⑬ 群 ⋮ ⋮ 教 長 の 注 を 肯 定 、 発 展 ◎ 群 ⋮ ⋮ 教 長 の 注 を 否 定 ⑪ 群 ⋮ ⋮ 教 長 の 注 の 方 が い い と 思 わ れ る も の

* 歌 番 号 は 新 編 国 大 観 番 号 顕 昭 の ﹃ 古 今 集 註 ﹄ は ﹃続 々 群 書 類 従 本 ﹄ に よ る 教 長 註 顕 昭 註 歌 番 号 O イ ヵ 、・ サ キ コ レ ハ ミ ヅ ウ ミ ニ バ ベ ル サ キ ナ リ 教 長卿 云 ミ ヅ ウ ミ ニ ア ル サ キ ナ リ 蜥 ② ﹁ サ ・ ノ ハ ノ サ ヤ グ ハ 、 サ ラ く ト ナ ル ト 教 長 卿 ハ 注 セ リ 。 ﹂ サ ・ ノ ハ ノ サ ヤ グ ハ サ ラ く ト ナ ル ト 教 長 卿 ハ 注 セ リ ソ ヨ グ ト イ フ 詞 ト ゾ オ ボ ユ ル 0 ③ 正 月 ノ 卯 日 ハ 、 杖 ヲ タ テ マ ツ ル コ レ ヲ シ モ ト イ フ コ レ ヲ結カツラ トヨセテ 、ヤガテ山 ノ名ヲヨ 、、、テ 、マナ フ トキナク 、 タノシ 、トヨムナリ 。 詞ニヤマ ト舞 トイエ ルハ 、 諸社 祭ナ ドニハ求子 、駿 河舞 ヲモ トニシテ 、倭 舞 ト 云事 ア リ 。求子 、ス ルガマ ヒナ ドハテ 、和琴 、笛 、 篳篥 ナ ドハ 、マ タヤマズシテ 、人 ヲハジメ トシテ 、次 第 ニカナヅルナ リ 。神事 ニハ 、カ クマヒタノシブヲ 、 ヨキコ ト・スルナリ 。 教 長 卿 云 正 月 ノ 卯 日 ハ 杖 ヲ タ テ マ ツ ル コ レ ヲ シ モ ト 、 イフコ レヲ結カツラ トヨセテヤガテ山ノ名ヲヨミテマ ナ ク トキフタノシ トヨムナリ詞ニヤマ ト舞トイヘルハ 諸社祭ナ ドニハ求子駿河舞ヲモ トニシテ倭舞 ト云事ア リ 、 求子ス ルガマヒナ ドハテ和琴笛篳篥ナ ドハマタヤ マズ シテ人ヲハジメ トシテ次第ニカナヅルナリ神事ニ バ カクマヒタノシフヲ ヨキコ ト・スルナリ 00 ④ ノ ボ レ バ ク ダ ル 事 ツ 子 ノ ゴ ト シ 。 此 河 コ ノ ゴ ロ バ 、 キ クカハ トゾ彼國人ハマウス 。イニシヘノ名ニバ カハ リテ ミナイヘリ 。 ス ミダガハヲバ 、スダ トイヒ 、ア フ クマガハヲバ 、 アブクマ トテ 、オホワタ リ トゾ申ヌル 。 ヨロヅノ トコロノナヲ 、カタコ トノヤウニイヘリ 。コ レラバ京ノ人 ミタルハスクナシ 。イハムヤ 、ミカ ドハ シロ シメサヌヲ 、カツハキ コシメサムタメニ 、カクヤ 冒 ア ヅ マ ウ タ ニ ア ラ バ セ リ 教 長 卿 云 ノ ボ レ バ ク ダ ル 事 ツ 子 ノ ゴ ト シ 此 河 コ ノ コ ロ ハ キクカハ トゾ彼國人ハマウスイニシヘノ名ニカハリ テ ミナイヘリスミダガハヲバスダ トイビアフクマガハ ヲバアブクマ トテオホワタリトゾ申ヌルヨロヅノ トコ ロノナヲカ タコ トノヤウニイヘリコレラバ京ノ人 ミタ ルハ スクナシイハムヤ ミドハシロシメサヌヲカツハキ コシメサム タメニカクヤマヅマウタニアラバセ リ NO 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 八 七

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 八 八 以 上 、 ④ の ① か ら ④ ま で の 両 者 の 注 を 見 る と 、 顕 昭 が 教 長 の 注 を そ の ま ま 引 用 し て い る こ と は 明 白 で あ る 。 ③ の ﹁ ヤ マ ト 舞 ﹂ の 注 が 詳 し い の は 、 教 長 が 実 際 に 十 九 歳 か ら 三 十 九 歳 の 問 に 数 度 舞 人 に 選 ば れ て い る か ら で あ る 。 ﹃ 後 撰 和 歌 集 校 本 と 研 究 ﹄ 研 究 編 の ﹁藤 原 教 長 年 譜 ﹂ 小 松 茂 美 編 ( 昭 和 三 十 六 年 刊 ) に よ る と 以 下 の 記 事 が み え る 。 西 紀 年 月 日 年 齢 記 事 N  --  .-  大治 2 ・ 11 ・ 1811・23 19 五 節 に 一 舞 の 舞 人 に え ら ば れ る ( 長秋 記) 賀茂臨時祭に一舞の舞人をつ とめる(中右 記) 0c+  大 治 5 ・ 3 ・ 16 22 石 清水 臨 時祭 に 舞 人 と な る ( 中 右 記) 脳 長 承 3 ・ 4 ・ 21 26 こ の 年 、 内 裏 に お け る 舞御 覧 に 狛 光 貞 の 弟 子 と し て 抜 頭 の 曲 を 無㌘ つ ( 教 訓 抄) M.--i 保 延 2 ・ 3 ・ 8 28 内 裏 の 舞 楽 に 抜 頭 を 舞 う ( 春 日 神 社 古 記 録 體 源 鈔) 脇 康 治 2 ・ 11 ・ 13 35 五 節 参 内 、 舞 姫 を 献 ず ( 本 朝 世 紀) 聊 久 安 ・ 3 ・ 2 ・ 23 39 片 舞 に あ た 縦 舞 人 六 人 の う ち にえ ら ば れ る ( 本 朝 世 紀) 脳 久 寿 元 ・ 11 ・ 17 46 五 節 御 前 議 に あ た り舞 姫 装 束 を 送 る (台 記) 崇 徳 院 の 近 臣 と し て 、 教 長 は 宮 中 行 事 に お い て 、 そ の 中 心 的 役 割 を 占 め て い た が 、 舞 い も そ の ひ と つ で あ り 、 注 に そ の 経 験 が 生 か さ れ て い る 。 ④ で ﹁ ス ミ ダ ガ ハ ﹂ 等 、 川 に 関 す る 注 が み え て い る 。 ﹁ コ レ ラ バ 京 ノ 人 ミ タ ル ハ ス ク ナ シ 。 ﹂ と 言 っ て い る が 、 教 長 は 保 元 の 乱 で 捕 ら え ら れ 、 常 陸 国 に 流 さ れ る 。 保 元 元 年 、 八 月 三 日 、 時 に 教 長 四 十 八 歳 の 時 で あ る 。 そ の 道 中 に 、 隅

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田 川 の ほ と り で 次 の よ う な 歌 を 詠 ん で い る 。 こ と に あ た り て あ づ ま の か た に ま か り け る に 、 お ほ い な る か は の ほ と り に ゆ き て ひ も く れ が た に 、 わ た し も り は や わ た ら な む と い そ が せ ば 、 い と も の が な し く て ふ ね に の ら ん と す る に 、 こ の か は を ば な に と か な つ く る と と ふ に 、 こ れ な む す み だ が は と い ふ は 、 む か し 在 中 将 の い ざ こ と と は む や み や こ ど り と よ み け む を 思 ひ い で ら れ て 、 き し か た ゆ く す ゑ も の あ は れ な る こ と か ぎ り な く て よ め る す み だ が は い ま も な が れ は あ り な が ら ま た み や こ ど り あ と だ に も な し ( 貧 道 集 ・ 雑 歌 ・ 躅 ) ﹁ ス ミ ダ ガ ハ ヲ バ 、 ス ダ ト イ ヒ 、 ア ブ ク マ 、 ガ ハ ヲ バ ア ブ ク マ ト テ ・⋮ : ヨ ロ ヅ ノ ト コ ロ ノ ナ ヲ 、 カ タ コ ト ノ ヤ ウ ニ イ ヘ リ 。 ﹂ と 言 っ て い る の は 、 実 際 に 教 長 が そ の 地 に 行 っ た 昔 の 経 験 か ら 述 べ て い る 事 で 、 単 な る 机 上 の 知 識 を 述 べ て い な い こ と が 、 こ の よ う な と こ ろ か ら も 伺 え る 。

教 長 註 顕 昭 註 歌番 号 O ニ ゴ リ ニ シ マ ヌ 心 ハ 、 カ ノ ハ チ ス ノ ゴ ト ク 、 キ ヨキニ 、 カリノツユヲタマ トミルヲ 、 アザム ク ハマ コ トニアラヌヲ 、マコ ト・ミ 、思 フナリ 。 ⋮ ⋮ カ ノ ハ チ ス ノ ゴ ト キ ヨ キ コ ・ ロ ニ テ ア タ ナ ル ツ ユ ヲ タ マ トミルハマコ トニナラヌコトナレバアザムクニテアル世ト教 長卿ハ釈 セリ 或人 ノマウシバベリシバハチスハ濁 リニシマヌモノニテ又モ ノニテアルニイカニヲケルツユヲバ人ニハ タマ トミセアザム ク ゾ ト ヨ メ ル ニ モ ヤ ア ラ ン ト 云 云 両 義 ヨ ク く コ ・ ロ エ ア ハ ス ベ シ ⋮ ⋮ 鵬 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 八 九

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 九 〇 ス ベ シ ⋮ ⋮ ⑥ コ レ ハ 、 ホ ト ・ ギ ス ノ ナ ク ヤ ウ ニ 、 モ ノ ヲ モ フ トキハ 、 ネ ヲナク ト 読 メ リ 。ヲ リハエテハ 、ウ チマカセテ 、 ハ"カ ル トコロモナシト 、セチナ ル心ナ リ 。 教 長 卿 云 ヲ リ ハ ヘ テ ト ハ ウ チ マ カ セ テ ハ " カ ル ト コ ロ モ ナ シ ト セチナルコ ・ロナリ或人ハウチハヘテヲモウチマカセテトモイ ヘ リ清輔朝臣ハヲリハテ トハ或物ニハウチハヘテトイフ事也 励 0 タ ビ ユ ク ニ ハ 、 ヌ サ ヲ モ テ 、 ミ チ ノ ホ ト リ ノ カ ミニ 、 タテマツルヲ 、 タムケ トイフナリ 。 ヌサ トイフハ 、 五色 ノキヌノキ レナリ 。ミカドハ 、 キヌ ヲ一疋ヅ ・ソメテ 、 大神宮以下 ノ神タチニ 、 マ ツリノ トキニタテマツラセタマ ヘ リ 。コ レヲ バニギテ トモイフナルベシ 。 サ レバ 、 モ ミヂノ イ ロ く ナ ル ハ 、 コ ノ 又 サ ニ ・ タ ル ヲ 、 チ ル ト キ ハ 、 タ ム ク ル ヤ ウ ニ ヲ ホ ユ レ バ 、 タ ビ ノ コ ・ チナ ン爪ル 、トヨメリ 。 ⋮ ⋮ 教 長 卿 云 ヌ サ ト イ フ ハ 五 色 ノ キ ヌ ノ キ レ ナ リ ミ カ ド ハ 絹 ヲ 一疋 ヅ ・染テ大神宮以下ノ 神 達二祭 ノ時ハタテマツラセタマヘ リコレヲバニギテトモイフセタマヘリコレヲバニギテトモイフ ナ ル ベ シ サ レ バ 紅 葉 ノ イ ロ く ナ ル ハ コ ノ ヌ サ ニ 似 タ ル ヲ チ ル ト キ ハ タ ム ク ル 様 ニ ヲ ボ ユ レ バ 旅 コ ・ チ ス ト よ め る 也 或 人 云 タ ムク トハ掌ヲ合テ神二物ヲ献也或説ニハ供ト云文字ヲタムクト 讀云 々又饗 ト云文字ヲタムクト讀云々 又清輔朝 臣云佛神二物タテマツルヲクムク ト云手向ト云心也⋮ ⋮清輔が佛神二物タテマツルヲタムクト云ルハ 僻事 也 タムク ト ハ神 ニカギルナ リ 鵬 ⑧ 田 邑 ハ 、 文 徳 天 皇 ナ リ 斎 院 明 子 内 親 王 ヲ 、 ハ ・ 天 アリナ ドイヒテ 、 改ム トシケルナリ 。ソ乃コ ト 僻事 ニテ トイフナリ(歌)ツ ・ノクマナキ ヤ ウニ 、キヨキヲヒ トノソ ラゴ トヲイヒテ 、 クモノツ ・ヲカク 爪ヤ ウニ 、 ウシナハム ト 爪 レ ドモ 、アヤマリナケレバ 、ツ ヰニキエ爪 トヨメリ 。 教 長 卿 云 田 邑 ハ 文 徳 天 皇 ナ リ 斎 院 明 子 内 親 王 ヲ 母 天 ア リ ナ ド イ ヒテ改メム トシケルナリ其事ヒガゴトニテトイフナリ私云田邑 山陵也明子内親王ハ淳和皇女也母清原春子右大臣夏野女也 ⋮⋮ 歌 ノコ ・ロバ教長卿云月ノクマナキヤウニキヨキヲ人ノソラゴ トヲイヒテクモノ月ヲカクスヤウニウシナハムトスレドモアヤ マ リマケレバカリツヒニキエズ トヨメリケナクニハエナクニト 云也 躅 ⑨ ト シ ヲ イ タ ル ヲ ン ナ ノ ウ タ ナ リ 。 イ マ ハ カ ク オ イニタレ ドモ 、 ワカカリシムカシバ 、 オ トコニ アヒテ 、 サ カリヲホカリキ トナリ 。 教 長 卿 云 ト シ ヲ イ タ ル 女 ノ 歌 ナ リ イ マ ハ カ ク オ イ ニ タ レ ド モ ワ カ 、リシムカシバオトコニアヒテサカリヲホカリキトナリ 顕 昭 云サカユク トハサカユトイフ調ナリマタ此歌男女ノ詠サダメガ タシオ トコノ歌ニテモイヘヲイデタラムモノ 、 我モム カシバオ トコニテサカヘテコソアリミカトヨメラムモタガハジ⋮⋮サレ ド女ノ歌トイヒテハイマスコシコト・キコユ 謝

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0 ク レ ナ ヰ ハ 、 イ ロ ノ コ キ ヲ バ 、 ブ リ デ ト イ ヘ リ コレニツキテ 、クレナヰノブリデツ ・ナク 、ト ヨ ミテ 、 コ レニタモ トノイロマサル トヨメリ 。 イタクナケバ 、 ナ ミダクレナヰニナル トイフコ トノバベルユヘナリ 。 シカレバ宝篋経ニモ 、 佛 衆生 ヲ 、アナガチニ アハ レビテ 、涕血 ヲナガ爪 ト 、・ ケ リ 。 切ナル コ トニハ 、ホ トケモカクナ ンヲハシマシケル 。 ⋮ ⋮ 教 長 卿 云 イ タ ク ナ ケ バ ナ ミ ダ 汐 ル サ ヰ ニ ナ ル ト イ フ コ ト ノ バベル故也然者宝 篋経ニモ佛象生 ヲ強ニアハ レビテ涕血ヲナガ ス ト説ケリ切ナル事ニハ佛モカクナムオハシマシケル 私云次下 同人歌ニモシ ラタマ トミエシ涙ノ紅ニウツロフ トコト ヨメリ又哀傷部ニモ﹁チノナ ミタヲチテソタキツ﹂ トヨメリ戀 ニモ悲ニモ紅涙 ヲナガス常事也 ⋮⋮ 反 考二宝篋 印陀羅尼経一云 、

羅鋳

謡讃

幾魂

騰鑾

錘轟

婆鱸

盤羅

流 、 十 方 諸 佛 皆 同 観 視 悉 皆 流 レ 涙 云 々 鵬 ⑪ イ ロ ノ カ ハ リ ユ ク ハ 、 ウ ツ ロ ハ ン ト 爪 ル カ ト ヨ メリ 。 ウツロフハ 、 チ リナン トテ爪ヨメルナリ 。 教 長 卿 云 イ ロ ノ カ ハ リ ユ ク ハ ウ ツ ロ ハ ム ト ス ル カ ト ヨ メ リ 私 云ウツ ロフ トイフ詞サマ︽丶ナリ萬葉歌云﹁ムメカエニ ナ キ テ ウツロフウクヒスノハ子シロ タヘニアハユキソフル﹂是ハ枝 ニ ウツルヲウツロフ トヨメリ又云﹁コノマヨリウツロフツキノ カケヲ ・シミタチヤスラフニサヨフケニケリ﹂又コノハウツロ ウ トヨムハイロノツク心ナリ菊ニウツロフ トヨムハイロノカハ ルナ リ然者コノサクラノウツロ フモ同心ナルベキニ﹁ウツロハ ム トヤイロカハリユク﹂ トオナジコトヲカサ子テイヘルモアヤ シ トテ此歌ノコ ・ロ ハ チルヲウツロ フ トヨメル歟イロノカハル ハチ ラム トスルカトヨメルナリ下歌云﹁ハルカセハハナノア タ リヲヨキテフケコ ・ロツカラヤウツロフトミム﹂此歌モ風ニカ ケテ ヨメリチルヲウツロフ トヨメルカトモコ・ロヘツベシ又﹁ヨ シノカハキシノヤマフキ フクカセニソコノカケサヘウツロニ ヒ ケ リ﹂是モチリヌルヲウツロフ トイヒツベシ山吹ナドハイロカ ハルナ ドイフベクモナシ但オホクイロカハルヲヨメル トゾオボ ユル詞ニモ ソノコ ・ロアリ⋮⋮ 69 ⑤ は 教 長 と 清 輔 の 注 を ﹁ 両 儀 ヨ ク く コ ・ ロ エ ア ハ ス ベ シ ﹂ と 二 人 を 参 照 し て い る 。 ⑥ も 教 長 と 或 人 と 清 輔 の 注 を 参 照 。 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 九 一

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 九 二 ⑦ は 教 長 の 注 を 引 用 し 、 参 考 に し て 肯 定 し て い る が 、 清 輔 の 言 い 分 に は ﹁如 何 ﹂ と 否 定 。 ⑧ は 教 長 の 詞 書 の 注 に 対 し て 、 顕 昭 は 異 説 を 唱 え て い る が 、 和 歌 の 解 釈 に 対 し て は 教 長 の 注 を そ の ま ま 引 用 し 、 顕 昭 自 身 の 注 は な い 。 ⑨ は 教 長 の 注 を 否 定 し な い が 、 ﹁ 男 ﹂ の 歌 と も ﹁ 女 ﹂ の 歌 と も と れ る こ と を 述 べ 、 ど ち ら か と い う と 、 教 長 の い う ﹁ 女 ﹂ で は な く ﹁ 男 ﹂ の 方 が い い の で は と 取 っ て い る 。 従 来 、 こ の 謝 番 の 歌 は 三 説 に 分 か れ て い る 。 但 し 、 ﹁ 男 山 ﹂ を 詠 ん だ の が 年 を と っ た 女 と す る も の は 教 長 の み で あ る 。 衰 老 の 男 と す る も の が 、 一 応 教 長 の 説 を 受 け 止 め つ つ も 顕 昭 、 栄 雅 、 正 義 、 金 子 評 釈 、 窪 田 評 釈 、 岩 波 文 庫 等 。 ま た 世 を そ む き 遁 世 し た 出 家 と す る も の が 、 余 材 抄 に あ る 。 私 自 身 は 、 直 観 的 に 、 ま ず こ の 歌 を 詠 ん だ 時 、 男 が 詠 ん だ も の と 感 じ ら れ た 。 教 長 が ど う し て 、 女 の 歌 と 解 し た の か 関 心 の 持 た れ る 所 で あ る 。 ⑩ 教 長 の 注 を 引 用 し 、 さ ら に 教 長 が 述 べ た 宝 篋 経 の さ す 具 体 的 に 相 応 す る 箇 所 を 顕 昭 は 経 典 よ り ひ い て き て い る 。 故 に 補 注 の よ う な 形 に な っ て い る 。 ⑪ は 教 長 の 注 を 引 用 し 、 そ の 後 ﹁ ウ ツ ロ フ ﹂ の 様 々 な 場 合 を 説 明 す る た め に 、 具 体 的 に 何 首 か の 歌 を 出 し て 、 そ れ を 説 明 し て い る 。 そ し て 結 局 、 教 長 の 注 し た よ う に 、 こ の 歌 の 場 合 は ﹁ チ ル ヲ ウ ツ ロ フ ト ヨ メ ル カ ﹂ と 言 っ て い る 。 教 長 が 端 的 に 言 っ て い る の に 対 し 、 顕 昭 は そ れ に 至 る 課 程 を 、 詳 し く 言 及 し て い る 。

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教 長 註 顕 昭 註 歌番 号 ⑫ 彼 本 ニ ハ 、 ヤ マ ザ ク ラ ト ア リ コ レ コ ソ イ ヱ ヅ トニセンモ 、 イマ爪コシバカケアヒテキコユ レ 。 ツ ト・イフ ハワガ トセントナリ 。、 先起 トカキ テハ 、 ツ トニヲクト 九條右蒸相乃 日中行事ニモ ヨメリ 。 シカ レバ 、 コノハナヲ ・リモチテ ユ キ テ 、 マヅイヱノモノ トシテ 、 人 ニモ ミセン トナ ルベシ 。 教 長 卿 云 新 院 御 本 ニ ハ 山 櫻 ト ア リ コ レ コ ソ イ ヘ ヅ ト ニ セ ム モ イ マス コシバカケアヒテキコユレツ トトイフハワガトセムトナリ 先起 トカキテハツトニヲクト九條右蒸相ノ日中行事ニモヨメリ シカレバコノ花ヲヲリモチユキテマヅ家ノ物 トモシテ人ニモミ ー 55 セ ン ト ナ ル ベ シ 顕 昭 云 此 歌 彼 御 本 ニ モ サ ク ラ バ ナ ト ア リ 風 諸 本 二 山 サ ク ラ ト ア ル コ ト ナ シ 詞 二 山 ノ サ ク ラ ヲ ミ テ ト ア レ バ 同 事 ナ リ又ツ ト・ハ土産ト云事也萬葉ニハツトトモカケリ田舎ツト ナ ドイフハヰナカノモノヲツこ、丶モテニヤコノ人ニチラセムト 云也 ⋮⋮ 先 起 ヲ ツ ト ニ ヲ ク ト イ ヘ バ マ ヅ 家 ノ 物 ト セ ム ト 釋 シ ヨ ラ ル ・ オ モ ヒ ガ ケ ヌ 事 也 ⋮ ⋮ ⑬ ヤ ヨ ヤ ハ 、 ハ 夜 ナ リ 。 フ ル ク ハ 、 ヒ サ シ キ コ ト ニ 、 七 日 、 七夜 トイフヲ 、セメテヨノ中二爪 ミ ワビ又 、 コレニモ爪ギテ 、 ヤ ヨヤ トヨメリ 。ホ ト・ギ 爪ハ シデノヤマノ トリトイヘバ 、カシコ ニアラ ン 、 テ ・ ハ ・ナドニカクイ へ 、トヨメル ナルベシ 。 イ ト"心 ボソ ク 、アハ レナルウタナリ 教 長 卿 云 ヤ ヨ ヤ ハ 八 夜 ナ リ フ ル ク ハ ヒ サ シ キ コ ト ニ 七 日 七 夜 ト イフヲセメテヨノナカニスミワビヌコレニモスギテヤヨヤ トヨ メリコ トヅテムハコトヅケムト也郭公ハシデノ山ノトリトイヘ バ カシコニアラムテ ・ハ・ナドニカクイヘトヨメルナルベシイ 團 ト " コ ・ ロ ボ ソ ク ア ハ レ ナ ル ウ タ ナ リ 清 輔 朝 臣 云 ヤ ヨ ヤ マ テ ト ハ ヤシバシマテナ ト 云心也ヤマ ヨリクル トリナレバウキヨノナ カニス ミツビヌ山ヘイリナムコトヅテムトイフコ・ロニコソ 今 案 云 後 義 勝 歟 人 ヲ ヨ ブ ト テ ヤ ト イ フ 詞 ヲ バ ヤ ヨ ト ヨ メ リ 八 夜 マ テ コ ト ヅ テ ム ト 云 コ ト ハ ゲ ニ ト モ キ コ エ ズ 又 八 夜 ヲ バ ヤ ヨ ト コ ソ イ ハ メ ヤ ヨ マ デ ニ ト ハ イ ハ ズ シ テ ヤ ヨ ヤ ト イ ヘ ル 後 ノ ヤ 文 字 コ ・ロエラレズハベリヌ此歌在二猿丸集一其詞云アタナリケル 女 ニモノヲイヒソメテタノモシゲナキコ トヲイフホドニホト・ ギスノナキケ レバ トアリ此詞ニツケテ 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 九 三

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 九 四 ⑭ 野 ニ モ 山 ニ モ 、 マ ド フ コ ・ ロ ナ レ バ 、 イ ヅ コ ヲ イヅ ク トカ 、ヨヲバイ トハム 、トヨメルナリ 。 教 長 卿 云 野 ニ モ 山 ニ モ マ ド フ コ ・ ロ ナ レ バ イ ヅ コ ヲ イ ヅ ク ト カ ヨヲバイ トハムトヨメルナリ 清輔 云 イヅクニカクウキヨヲノガ レテモスムベキ野山ニテモワ カ コ ・ロハマドハルトヨメリ 嬲 顕 昭 云 教 長 卿 ノ 義 ノ コ ・ ロ ニ テ ハ イ ヅ ク ニ カ ト イ フ コ ト バ カ ナ ハズ又両義 トモニ末句ノコ ・ロイカ"トキコユ 、タ"ヨヲバイ トハデ山野二心ヲマドハシテコソアラメ トモヨメルベシ 、 ベ ラ ナ レ トイフハナドブベシ ト 云也 ⑮ ウ ケ ク ハ 、 ウ キ ニ ト イ ヘ ル ナ リ 、 サ ム ケ ク ナ ド イヘルガ ゴ トシ 。フルクハ 、カ ・ルコ ト バ ヅカ ビモハベルナリ 。 コノハニフレルユキハ 、トク キユルヤ ウニ 、 ユキ ウセナム トナリ 。 教 長 卿 云 ウ ケ ク ハ ウ キ ニ ト イ ヘ ル ナ リ サ ム ケ ク ナ ド イ ヘ ル ガ ゴ トシ 、 フルクバカ ・ルコトバヅカビモハベルナリ 、 コノハニフ レルユキハ トクキユルヤウニユキウセナム トナリ 鰻 私 云 コ ノ ハ ニ フ レ ル ユ キ ト ク キ ユ ト イ ハ ム コ ト イ カ " サ ラ バ コズヱニフレルユキ トゾイフベキ ⋮⋮ ⑯ ミ カ ノ ハ ラ イ ヅ ミ 河 ハ 、 ヤ マ ト ノ ク ニ ・ ハ ベ リ 。 ソノ河ノポ トリニ 、 カセ山ハ ・ベルヲ 、 ヤ ガテカ ・ルトコロノ名ドモ 、コ トバニツ"ケナ セ リ 。フルキ哥ノフルマヒナルベシ 。 教長 卿 云 ミ カ ノ ハ ラ 、 イ ヅ ・、丶 カ バ 、 イ 切 牝 ヤ 々 觚 大 和 國 ニ ア リ 云 々 私 云此三ケ處ハ皆山城國也甕原 、桃河 、鹿背 山 トカケリ萬葉ニ ハ ﹁泉 劃 鐸菟 ノ 水 ノ タ エ ハ コ ソ オ ホ ミ ヤ ト コ ロ ウ ツ モ リ モ ユ カ メ ﹂ ﹁ 三 日 原 フ タ イ ノ 野 ヘ ヲ キ ヨ ミ コ ソ オ 林 ミ ヤ ト コ ロ サ タ メ ケ ラシモ﹂﹁ヲ トメラカウミヲカク トイフ鹿背山トキノユケレハ ミヤコ トマリヌ﹂讃二久迩京一歌也田部福丸集二出云ク 姻 ⑰ カ ギ リ ナ キ ハ 、 メ デ タ キ ト イ フ 。 カ ・ ル キ ミ ガ タメニ 、 ヲルハナハ 、 イツ トモワカ爪 、ト キハ カキハナ リ トイフナリ 。 教 長 卿 云 カ ギ リ ナ キ ハ メ デ タ キ ト イ フ カ ・ ル キ ミ ガ タ メ ニ ヌ ル ハ ナハイツ トモワカズトキハカキハナリトイフナリ 躅 私 云 カ ギ リ ナ キ ハ キ ハ マ リ ナ キ 也 無 窮 也 無 涯 也 メ デ タ キ ニ カ ギ ルベカ ラズキミガヨヲイハヒテモアリヌベシ ⋮⋮ ⑱ コ ト バ ニ 、 メ ノ ヲ ト ウ ト ヲ モ テ ト カ ケ ル ハ 、 ナ リヒラガメノヲ トウトヲ 、メニ シタリケルヒ トノモトへ 、 ウエノキヌカハシケルナリ 。 ウタ ニ 、 ムラサキノ 、 イロ コキ トキハ 、トヨメルハ 、 四位 ノウヘノキヌハ 、ム カシ 、ム ラサキニソメ ケリ 。 メモハルニ ト 、クサキノメトイヘルハ 、 教 長 卿云 詞 ニ メ ノ ヲ ト ウ ト ヲ モ テ ト カ ケ ル ハ 業 平 力 妻 ノ オ ト ウ トヲメニシタリケル人ノ許ヘウヘノキヌツカハシケル也歌ニム ラサキノイロ コキ トキハトヨメルハ四位ノウヘノキヌハムカシ ムラサキニソメケ リメモハルニ トイヘルバクサキノメグムヲイ フ草木ノメグ ミイヅルハヨロコビニヨセタリ四位ナ ドシタリケ ルヲカク ヨメルナルベシ 嬲

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グ ム ヨ ウ イ フ 。 ク サ キ ノ メ グ ミ イ ヅ ル ハ 、 ヨ ロ コ ビ ニ ヨ セ タ リ 。 四 位 ナ ド シ タ リ ケ ル ヲ 、 カ ク ヨ メ ル ナ ル ベ シ 。 清 輔 朝 臣 云 コ レ ハ メ ノ ハ ラ ナ ル 女 ノ 許 ヘ ウ ヘ ノ キ ヌ ヤ ル ト テ ヨ メ ル 歌 也 メ モ ハ ル ト ハ 目 モ 遥 ニ ト イ ヘ ル ナ リ 女 ヲ 紫 ニ ヨ ソ ヘ テ ム ラ サ キ ノ ヒ ト モ ト ユ ヘ ニ メ モ ハ ル カ ニ 野 ニ ミ ユ ル ク サ キ ノ イ ヅ レ ト モ ナ ク ム ツ マ シ キ ヤ ウ ニ コ ノ 人 ヲ 思 コ ・ ロ フ カ キ ユ ヘ ニ ハ ル ノ ヤ カ ラ マ デ 思 ナ ム ス テ ラ レ 又 ト ヨ メ ル 也 伊 勢 物 語 云 ム カ シ ヲ ム ナ ハ ラ カ ラ フ タ リ ア リ ケ リ ヒ ト リ ハ ア テ ナ ル オ ト コ ヒ ト リ ハ イ ヤ シ キ オ ト コ ノ マ ヅ シ キ シ タ リ イ ヤ シ キ オ ト コ モ タ ル ガ シ ハ ス ノ ツ ゴ モ リ ニ ウ ヘ ノ キ ヌ ヲ ア ラ ヒ テ テ ヅ カ ラ ハ リ ケ リ コ ・ ロ ザ シ ハ イ ダ シ ケ レ ド マ ダ サ ヤ ゥ ノ ワ ザ モ ナ ラ バ ザ リ ケ レ バ キ ヌ ノ カ タ ヲ ハ リ ヤ リ テ ケ リ セ ム カ タ ナ ク テ タ 、・ ナ キ ニ ナ キ ケ リ コ レ ヲ カ ノ ア テ ナ ル オ ト コ キ ・ テ イ ト コ ・ ロ グ ル シ カ リ ケ レ バ イ ト キ ヨ ゲ ナ ル ロ ウ サ ウ ノ ウ ヘ ノ キ ヌ タ " カ タ ト キ ニ ミ イ デ テ ヤ ル ト テ ﹁ ム ラ サ キ ノ イ ロ コ キ ト キ ハ 云 々 ﹂ ム サ シ ノ ・ コ ・ ロ ナ ル ベ シ 聾 鸛 物 顕 昭 云 清 輔 朝 臣 ガ 義 ニ ツ ク ベ シ 伊 勢 物 語 ノ 詞 ニ カ ナ ヘ リ 奥 ニ モ ム サ シ ノ ・ コ ・ ロ ナ ル ベ シ 轤 吻 語 ト イ ヘ ル 是 バ カ ミ ニ バ ベ ル ム ラ サ キ ノ ヒ ト モ ト ユ ヘ ニ ト イ フ 歌 ノ コ ・ ロ ヲ カ ケ ル ナ リ ロ ウ サ ウ ノ ウ ヘ ノ キ ヌ ヲ ヤ ル ト ア レ バ 六 位 ノ 袍 ナ リ 四 位 ノ ウ ヘ ノ キ ヌ ナ レ バ ム ラ サ キ ト ヨ メ ル ト イ ヘ ル オ ホ キ ニ 物 語 ノ 詞 ニ タ ガ ヘ リ ⑫ は ﹁ 山 桜 ﹂ と ﹁ サ ク ラ バ ナ ﹂ に つ い て 、 教 長 の 注 が お か し い と 述 べ て い る 。 ま た ﹁ 諸 本 二 山 サ ク ラ ト ア ル コ ト ナ シ ﹂ と 言 っ て い る が 、 元 永 本 、 筋 切 本 に は ﹁ 山 櫻 ﹂ と あ る の で 顕 昭 の 断 定 は 正 し く な い 。 し か し 、 ﹁ ツ ト ﹂ の 語 釈 に お い て 教 長 が ﹁ ワ ガ セ ム ト ナ リ 。 先 起 ト カ キ テ ハ ツ ト ニ オ ク ﹂ と あ る の を 顕 昭 が ﹁ ツ ト ・ ハ 土 産 ト 云 事 也 ﹂ と 指 摘 し て い る の は 正 し い 。 ⑬ は ﹁ ヤ ヨ ヤ ﹂ を 教 長 が ﹁ 八 夜 ナ リ ﹂ と 解 し た の に 対 し 、 顕 昭 は 清 輔 の ﹁ ヤ ヨ ヤ マ テ ト ハ ヤ シ バ シ マ テ ト 云 心 也 ﹂ と ひ き 合 い に 出 し 、 そ の 説 を 肯 定 し 、 教 長 の 注 を 否 定 。 そ の た め に 猿 丸 集 の 歌 も ひ き 、 説 明 。 栄 雅 も 寂 恵 も 教 長 の 注 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 九 五

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 九 六 に 同 じ 。 こ こ は 教 長 の 間 違 い と み て よ い だ ろ う 。 し か し 最 後 に 教 長 が ﹁ イ ト ド 心 ホ ソ ク ァ ハ レ ナ ル 歌 ナ リ ﹂ と 述 べ て い る の は 、 こ の 歌 の 詩 情 を し み じ み 深 く 捉 え て い る こ と が わ か り 、 こ の 教 長 の 言 葉 に 興 味 が 持 た れ る 。 ⑭ は ﹁ 教 長 卿 ノ 義 ノ コ コ ロ ニ テ ハ イ ゾ ク ニ カ ト イ フ コ ト バ カ ナ ハ ズ ﹂ と 否 定 し 、 更 に 清 輔 の 注 も 含 め て ﹁ 両 義 ト モ ニ 未 句 ノ コ ・ ロ イ カ " ト キ コ ユ ﹂ と 重 ね て 否 定 し て い る 。 他 の 注 釈 を み る と 、 い ず れ も 微 妙 に 違 う が 、 栄 雅 が 教 長 の ニ ュ ア ン ス に 近 い 。 ⑮ は 顕 昭 が ﹁ コ ノ ハ ニ フ レ ル ユ キ 、 ト ク キ ユ ト イ ハ ム コ ト イ カ " サ ラ バ コ ズ ヱ ニ フ レ ル ユ キ ト ゾ イ フ ベ キ ﹂ と 述 べ て い る 。 顕 註 密 勘 、 寂 恵 、 両 度 聞 書 等 、 い ず れ も ﹁ 木 の は に ふ れ る 雪 ﹂ と 解 し 、 教 長 の 注 と 同 じ 立 場 を と っ て い る 。 こ こ は 顕 昭 の 独 断 と い え よ う か 。 ⑯ は 地 名 の 所 在 場 所 が 教 長 と 顕 昭 と で は 異 な る 。 ﹁ ミ カ ノ ハ ラ 、 イ ヅ ミ 河 、 ヤ マ ト ノ ク ニ ニ ハ ベ リ ﹂ と 教 長 が 注 し て い る の に 対 し て ﹁ 山 城 國 也 ﹂ と 異 説 を 唱 え て い る 。 同 時 に 万 葉 集 の 歌 も 提 出 し 、 そ の 信 憑 性 を 打 ち 出 そ う と し て い る 。 ⑰ は ﹁ カ ギ リ ナ キ ﹂ の 解 釈 を 、 教 長 が ﹁ メ デ タ キ ﹂ と 注 し て い る の に 対 し 顕 昭 は ﹁ キ ハ マ リ ナ キ 、 無 窮 也 ﹂ と 異 説 を 述 べ て い る 。 思 う に 顕 昭 の 解 し 方 が わ か り や す い が 、 教 長 は そ れ を ふ ま え て 、 だ か ら ﹁ メ デ タ キ ﹂ と そ の 奥 の 意 味 す る 心 を 注 し て い る 。 ⑱ は 教 長 の 注 を ひ い た 後 、 清 輔 の 非 常 に 詳 し い 注 を ひ き 、 清 輔 ガ 義 ニ ツ ク ベ シ 、 伊 勢 物 語 ノ 詞 ニ カ ナ ヘ リ ﹂ と 述 べ て い る 。 さ ら に 教 長 が ﹁ 四 位 ノ ウ ヘ キ ノ キ ヌ ﹂ と い っ て い る と こ ろ に 対 し 、 ﹁ ロ ウ サ ウ ノ ウ ヘ ノ キ ヌ ヲ ヤ ル ト ア レ バ 六 位 ノ 袍 ナ リ 四 位 ノ ウ ヘ ノ キ ヌ ナ レ バ ム ラ サ キ ト ヨ メ ル ト イ ヘ ル オ ホ キ ニ 物 語 ノ 詞 ニ タ ガ ヘ リ ﹂ と 、 実 証 的 に 教 長 の

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注 を 否 定 し て い る 。

教 長 註 顕 昭 註 歌 番 号 ⑲ ヲ イ ノ コ ン ミ チ ニ 、 サ ク ラ チ リ カ ビ マ ガ エ ト ヲイフフセグ心ナリ 。 ミチマ ドフガニハ 、 マ ド ウバカリ トイフナリ 。 コ トバヲ爪テタラヌニク ハエ ヲク 、 サ ダマレルナラヒナリ 。 教 長 卿 云 老 コ ム ミ チ ニ サ ク ラ チ リ カ ビ マ ガ ヘ ト 云 ミ チ マ ド ウ ガ ニ トハマドブバカリト云也詞ヲステタラヌニクハエヲクサダマ レルナラヒナリ 私 云チ リカフハチル ト云事也ユクヲユキカフトイフガゴトシガ ニ トハガトイフコトバニニヲグシタルナリ⋮⋮ 跚 ⑳ コ ノ ハ ノ 、 フ ユ ハ チ ル ヤ ウ ニ 、 フ ミ ノ コ ト ノ ハ モ 、ワガミブリテハ 、・トノ子ニカヘシテム 、 ヲキ ドコロナシ 、トナリ 教 長 卿 云 コ ノ ハ ノ ブ ユ ハ チ ル ヤ ウ ニ フ ミ ノ コ ト ノ ハ モ ・ ト ノ 子 ニ カヘシテムワガミブリテハオキ ドコロナシトナリ 今案ニ コノハノ子ニカヘルコ ・ロニアラズトモタダフミヲヌシ ニカサム トヨムコ・ロニテモアリヌベシヤ 襴 ⑳ コ ヒ ヲ シ テ 、 ワ ビ ヰ タ レ ド 、 サ リ ト テ ハ ト テ ウ 教 長 卿 云 ウ チ ヌ ル ナ カ ト ハ 夢 ノ ウ チ ナ リ 私云ナ カニユキカヨフ トイフハユメニコ ヒ シ キ 人 ノ モ ト ヘ ユ ク ト ミルヲニ人ガナカト云歟ユメノタ"ヂ トハ萬葉ニハ直道トカケリ ウツ ・ニハユキガタキニユメニハヤスクニユキヤスキミチト云也 驪 チ フ 爪 ナ リ ナ カ ト イ ヘ ル ハ 、 ウ チ ナ リ ソ レ ニ ミ ユ ル ユ メ ニ 、 コ ヒ シ キ ヒ ト ニ 、 ア フ ト ミ ツ ル ヲ 、 ウ ツ 、 ニ ナ レ カ シ 、 ト ヨ メ ル ナ リ 。 ユ キ カ ヨ フ 、 ユメノ タ"ヂハ 、カ ヨフ トイヒヲキツレ バシモ 、 ニ 、タ"ヂ トイヘリ 。フルキウ タ 、カクノ ミコ ト バ ヲツラ子 、ツタハ リユク 、コ レガヨキヤウナル ベシ 。 ⑲ は 老 い ら く の 道 に 桜 の 花 が 舞 い 散 り 、 吹 雪 の よ う に 道 を か き 消 し て い る 幻 想 的 な 歌 で あ る 。 そ の 解 釈 と し て は 教 長 の 注 の 方 が 顕 昭 の 注 よ り も 、 一 首 全 体 の 雰 囲 気 を 端 的 に 把 握 し て い る 。 ⑳ は 教 長 の 注 の 方 が 、 こ の 歌 の 解 釈 に 際 し 、 顕 昭 の 注 に 比 し て 、 一 種 の 余 情 が 感 じ ら れ る 。 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 九 七

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 九 八 ⑳ は 、 顕 昭 の こ れ ま で の 例 に な く 、 教 長 の 注 全 体 を 引 用 せ ず 、 そ の 一 部 を 記 す に と ど め 、 顕 昭 な り の 注 を ほ ど こ し て い る 。 両 者 の 説 に そ う 異 同 は な い が 、 解 釈 の 仕 方 の 流 れ に 、 教 長 の 方 が 詩 情 が あ る 。 以 上 教 長 と 顕 昭 の 注 釈 の 比 較 を ④ か ら ⑪ ま で 行 っ た 結 果 、 次 の こ と が い え る 。 ④ で み た よ う に 顕 昭 は 教 長 の 注 を そ の ま ま 引 用 し 、 自 身 の 新 た な る 注 を ほ ど こ し て い な い 、 つ ま り 教 長 に 教 え ら れ て い る と い う 場 合 が あ る 。 地 名 、 物 の 名 、 舞 い な ど の 宮 中 行 事 は 教 長 の 体 験 に よ る と こ ろ も あ り 、 得 意 な 分 野 で あ っ た と 伺 え る 。 ま た ⑧ で み た よ う に 教 長 の 説 を 肯 定 し 、 そ の 上 で 、 さ ら に そ れ を 深 め 広 げ る た め に 顕 昭 は 新 た に 自 身 の 考 え 、 あ る い は 補 注 を 加 え て い く 。 つ ま り 、 教 長 の 注 を ベ ー ス に さ ら に 発 展 さ せ て い る 。 ま た 、 同 じ 六 条 家 歌 人 で あ る 義 兄 の 清 輔 の 説 に 対 し て 、 否 定 す る 時 も 度 々 あ り 、 ( 教 長 の 注 の 肯 定 の 後 に 清 輔 の 注 を 否 定 す る ) そ の 注 釈 的 態 度 は 客 観 的 で あ っ た こ と が 察 し ら れ る 。 そ し て 、 次 の ◎ で み た と こ ろ が 、 従 来 の 解 説 に は 一 番 強 調 し て 、 教 長 と の 関 係 が 説 か れ て い る 、 顕 昭 が 異 説 を 唱 え て い る 箇 所 で あ る 。 教 長 が 端 的 に 注 釈 し て い る 所 を 、 万 葉 集 等 、 他 の 歌 を ひ い た り 、 伊 勢 物 語 の 内 容 に 詳 し く 言 及 し た り 、 語 釈 に       お い て も て い ね い な 考 察 を し 、 実 証 的 に 、 教 長 の 説 を 翻 え し て い る 。 決 し て 顕 昭 は ﹁ 徹 底 的 に 批 難 し た り ﹂ ﹁ 槍 玉 に あ げ 麗 ﹂ と い う 感 情 的 態 度 で は な く 、 先 に 述 べ た ご と く 冷 静 に 考 察 し 、 教 長 の 注 に 誤 謬 が あ る 場 合 は 訂 正 し て い る 。 し か し ま た ⑪ に お け る よ う に 、 両 者 の 注 の 内 容 に 大 き な 違 い は な い も の の 、 教 長 の 注 の 方 が 端 的 で あ り つ つ も 和 歌 の 解 釈 に 対 し て 詩 情 が み ら れ 、 む し ろ 、 教 長 の 方 が 優 れ て い る と 感 じ ら れ る 場 合 が あ る 。 こ れ は 、 教 長 は ダ イ レ ク ト に 歌 の 一 首

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を 捉 え よ う と す る 姿 勢 に 対 し 、 歌 学 者 で あ る 顕 昭 は 緻 密 に 探 ろ う と す る 。 そ の 態 度 の 違 い に よ る も の で あ ろ う 。 細 部 に 注 視 す る の 余 り 、 全 体 に 詩 情 が た ち の ぼ ら な い こ と も あ る 。 両 者 の 比 較 を 試 み た 結 果 言 え る こ と は 顕 昭 の 注 釈 的 態 度 の 一 番 大 き な 特 徴 は 、 ま ず 注 の 巻 頭 に 、 教 長 の 注 の ほ ぼ 全 文 を 引 用 し て い る 。 そ し て 、 そ の 後 に 、 も し 清 輔 の 注 が あ れ ば そ れ も 引 用 し 、 そ の 上 で 、 顕 昭 は 、 自 身 の 解 釈 を ほ ど こ し て い る 。 ④ か ら ⑪ ま で の 肯 定 ・ 否 定 等 、 そ の 内 容 に 違 い は あ れ 、 顕 昭 に と っ て ﹃古 今 和 歌 集 ﹄ の 注 釈 を す る と い う こ と は 、 と り も な お さ ず 眼 前 に 藤 原 教 長 と い う 絶 対 に 無 視 し 得 る こ と の で き な い 存 在 が あ っ た と い う 事 実 で あ る 。 こ れ は 両 者 の 注 釈 の 共 通 歌 ( 騰 首 ) 全 般 に つ い て も 同 じ こ と が い え る 。 定 家 は 顕 昭 の 注 を 大 い に 参 考 に し て 、 ﹃ 顕 注 密 勘 ﹄ な る 注 釈 書 を 著 し た と 言 わ れ て い る 。 定 家 は 顕 昭 の 注 説 に 対 し か な り 肯 定 的 で 、 顕 昭 の 注 説 を 取 り 込 ん で い る 箇 所 も あ る 。 そ の 源 流 を た ど っ て み る と 、 顕 昭 の 前 に 教 長 が い る 。 そ う い う 意 味 に お い て も 、 こ の 顕 昭 の 教 長 に 対 す る 態 度 の 重 味 は 見 直 さ れ る べ き で あ る 。 ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ に お け る 教 長 の 和 歌 観 ﹃古 今 和 歌 集 註 ﹄ の 注 釈 の 言 葉 に よ り 、 教 長 の 和 歌 観 の 一 端 が 伺 え る も の を 以 下 探 っ て み た い 。 先 の 章 の 表 記 の よ う に 、 次 に 表 に 示 し て み る 。 * 歌 番 号 は 新 編 国 歌 大 観 番 号 藤 原 教 長 論 ( 西 村 ) 九 九

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 一 〇 〇 教 長 註 歌 番 号 O 力 爪 ミ タ チ コ ノ メ モ ハ ル ノ ユ キ フ レ バ ハ ナ ・ キ サ ト モ ハ ナ ゾ チ リ ケ ル ( 紀貫 之) 9 ハ ル ヲ ハ 、 キ ノ メ ハ ル コ ト ナ ル ヲ 、 キ ノ メ ト モ ハ ル ノ ト ・ リ テ ユ キ ノ フ ル ヲ 、 ハ ナ ト ミ テ 、 ハ ナ ・ キ サ ト ナ レ ド 、 ハナ ノチル トヨメル 、 ハ ジメヲワリ 、カケアヘ リ 。ウタノ本 トイフ ベ シ 。ツラユキノ ウタヲホカタ 、 ノア リサマニテ 、カク 、 ハ ・キサトニトイヒヲキテ 、 ハ ナチル トヨメル 、タシカニ ヨメリ 。⋮⋮ ② 人 ハ イ サ 心 モ シ ラ 爪 フ ル 里 ハ 花 ゾ 昔 ノ カ ニ ・ ホ ヒ ケ ル ( 貫 之 ) 42 コ ノ ウ タ ニ ハ 、 心 ミ ナ コ ト バ ニ ア ラ バ レ テ 、 カ ク レ タ ル ト コ ロ モ ミ エ 爪 。 コ ト バ ニ 、 カ ク サ ダ カ ニ ナ ン ヤ ド リハアル 、ト イエル 、ヒサシクキタラヌヲウラミテ 、タガハ爪ヤ ドリハアリトイヒタルヲ 、ヒ トハイサト 、 ヨメルナリ 。 マ コ トニシカアル ベ キ コ トニナム ③ シ ラ 雪 ノ ト コ ロ モ ワ カ 爪 ブ リ シ ケ バ イ ハ ホ ニ モ サ ク ハ ナ ト コ ソ ミ レ ( 紀 秋 岑) 謝 ユ キ ノ ア マ 子 ク フ ル ニ ハ 、 ウ ゴ キ ナ キ イ ハ ホ ニ ハ 、 ア ダ ナ ル ハ ナ ノ サ ク 、 ト ヨ メ リ 。 ウ タ バ カ ク ア ル マ ジ キ コ トモ 、 ア リナ ドイエルヲ 、 風情 トハイフナルベシ 。 ④ ワ ガ マ タ ヌ ト シ ハ キ ヌ レ ド ブ ユ グ サ ノ カ レ ニ シ 人 ハ ヲ ト ヅ レ モ セ 爪 ( 八 河 内 躬 恒) 鵬 ト シ ノ ク レ ハ 、 マ タ 子 ド キ ヌ ル ニ 、 フ エ ク サ 乃 ヤ ウ ニ 、 カ レ ニ シ 人 ハ 、 カ エ リ キ タ ラ 爪 ト ナ ゲ キ ヨ メ リ カクモノニタグエテヒ トヲモヨメル 、 ウタノナラヒナ リ 。 0 フ タ ツ ナ キ モ ノ ト ヲ モ ヒ シ ヲ ミ ナ ゾ コ ニ ヤ マ ノ ハ ラ ナ デ イ ヅ ル ツ キ カ ゲ ( 紀 貫 之) 跚 ヤ マ ノ ハ ニ 、 ツ キ ハ イ ヅ ト ヲ モ フ ニ 、 ミ ヅ ノ ソ コ ヨ リ モ イ ヅ ル ハ 、 フ タ ツ 月 ノ ア ル カ 、 ト ウ タ ガ ヘ ル ナ リ 文章 ノナラヒ 、カクノゴ トシ 。 ⑥ チ ル ト ミ テ ア ル ベ キ モ ノ ヲ ウ メ ノ 花 ウ タ テ ニ ホ イ ノ ソ デ ニ ト マ レ ル ( 素 性) 47 コ ノ ウ タ 詞 ツ " ヤ カ ニ 、 心 ヒ ロ キ 哥 ナ リ 。 ウ タ テ ト イ フ コ ト バ ニ ヨ ロ ヅ コ モ レ リ ⋮ ⋮ O ア キ ノ ヨ ハ ナ ノ ミ ナ リ ケ リ ア フ ト イ ヘ バ コ ト ゾ ト モ ナ ク ア ケ ヌ ル モ ノ ヲ ( お の の こ ま ち) 鰯 古 今 ノ 戀 哥 ノ ナ カ ニ ハ 、 コ レ ヲ 規 模 ノ コ ト ・ 爪 ル ナ リ 。 後 撰 ニ ハ 定 文 ガ ワ ガ ・ 子 ゴ ト ノ ト ヨ メ ル コ レ ナ ン 両集 ノ戀哥ノマナコナリケル 。

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① は 貫 之 の 歌 で 、 教 長 は ﹁ ウ タ ノ 本 ト イ フ ベ シ 。 ヲ ホ カ タ 、 ツ ラ ユ キ ノ ノ ウ タ ノ ア リ サ マ ニ テ 、 カ ク ハ ナ 、 キ サ ト ニ ト イ ヒ ヲ キ テ 、 ハ ナ チ ル ト ヨ メ ル 、 タ シ カ ニ ョ メ ル ﹂ と 絶 讃 し て い る 。 実 際 に は な い 事 を 言 葉 で 確 か め る こ と に よ り 、 ﹁花 な き 里 ﹂ に 花 の 残 像 が イ メ ー ジ で き る 。 そ の 上 に ﹁ 花 ぞ 散 り け る ﹂ と 続 け る の で 、 幻 想 の 上 で の 花 が 散 る 。 定 家 の ﹁ 見 渡 せ ば 花 も も み ち も な か り け り 浦 の 苫 屋 の 秋 の 夕 暮 ﹂ ( 秋 上 ・ 跚 ・ 新 古 今 ) の 上 三 句 も 、 こ の 貫 之 の 歌 と 同 じ 技 法 で 、 ﹁ 花 ﹂ も ﹁ 紅 葉 ﹂ も 眼 前 に 幻 想 的 に 目 に 浮 か ぶ 。 教 長 が ﹁ ウ タ ノ 本 ト イ フ ベ シ ﹂ と 言 っ て い る よ う に 、 言 葉 で イ メ ー ジ 化 さ れ 、 歌 の 世 界 が 豊 か に そ こ に 構 築 さ れ る 。 そ こ に 和 歌 の 命 も あ る 。 教 長 は そ の 辺 の と こ ろ を お さ え て ﹁ ウ タ ノ モ ト ﹂ と 言 い 切 っ て い る 。 ② は ﹁ 心 ミ ナ コ ト バ ニ ア ラ バ レ テ 、 カ ク レ タ ル ト コ ロ モ ミ エ 爪 、 コ ト バ ニ 、 カ ク サ ダ カ ニ ナ ン ヤ ド リ ハ ア ル ト イ エ ル ﹂ と 、 ① と 同 じ く 、 や は り 貫 之 の 歌 で あ る 。 人 の 心 は 昔 と 変 わ っ て い な い か ど う か 知 り よ う も な い が 、 昔 な じ み の 土 地 は 梅 の 花 が 昔 と 変 わ ら ず 香 っ て い る ⋮ ⋮ と い う 歌 で 、 ﹁ 人 ﹂ と ﹁ ふ る さ と ﹂ を 対 比 さ せ て 、 人 の 心 の 変 わ り や す さ を 述 べ て い る 。 ﹁ 心 ミ ナ コ ト バ ニ ア ラ バ レ タ ル ﹂ と こ ろ を 教 長 は 評 価 し て い る 。 ③ は 雪 を 巖 に 咲 く 花 と 見 立 て る 。 理 知 的 な 歌 で 、 ﹁ ア ル マ ジ キ コ ト モ 、 ア リ ナ ド イ エ ル ヲ 、 風 情 ト ハ イ フ ナ ル ベ シ 。 ﹂ と 教 長 が 言 っ て い る よ う に 、 こ う い う 詠 風 の 歌 は 古 今 和 歌 集 に 多 い 。 ④ は ﹁ モ ノ ニ タ グ エ テ ヒ ト ヲ モ ヨ メ ル 、 ウ タ ノ ナ ラ ヒ ナ リ ﹂ と 、 景 と 人 と の 一 体 化 、 景 色 と 心 の 描 く 思 い と が オ ー や ま と う た よ う つ バ ー ラ ッ プ し て 、 和 歌 が 詠 み あ げ ら れ る そ の 根 本 的 動 機 を 述 べ て い る 。 仮 名 序 に ﹁ 和 歌 は 人 の 心 を 種 と し て 、 万 の こ と わ ざ 言 の 葉 と そ な れ り け る 。 世 の 中 に あ る 人 、 事 ・ 業 し げ き も の な れ ば 、 心 に 思 ふ 事 を 、 見 る も の 聞 く も の に つ け て 、 言 い だ せ る な り ﹂ に 通 じ よ う 。 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 一 〇 一

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 一 〇 二 ⑤ は 山 の 端 か ら 出 た 月 と 、 眼 前 の 池 底 に 見 え る 月 と を 同 時 に 見 て い る 趣 向 の 面 白 さ が あ り 、 同 時 に 一 種 の 幻 想 世 界 を つ く り あ げ て い る 。 教 長 も ﹁文 章 ノ ナ ラ ヒ カ ク ノ ゴ ト シ ﹂ と 言 っ て い る 。 ① の 歌 と 同 じ く 貫 之 の 歌 で あ る 。 ⑥ は ﹁ 詞 ツ .・ ヤ カ ニ 、 心 ヒ ロ キ 哥 ナ リ 。 ウ タ テ ト イ フ コ ト バ ニ 、 ヨ ロ ヅ コ モ レ リ ﹂ と 注 の 冒 頭 で 述 べ 、 以 下 、 ﹁ ウ タ テ ﹂ の 語 釈 を 詳 し く 解 説 。 そ し て 、 最 後 に 不 空 羂 索 一 巻 の 経 の 利 益 の 不 思 議 を 香 に ち な ん で 述 べ 、 そ の 後 ﹁ 然 則 以 和 歌 戯 論 之 奇 語 、 翻 盍 爲 菩 提 涅 盤 之 良 縁 。 状 乎 大 日 周 遍 之 戒 香 者 、 一 春 梅 花 之 芬 芳 也 。 一 色 一 香 無 非 中 道 之 故 、 豈 此 議 違 哉 ﹂ と 結 ん で い る 。 ﹃ 不 空 羂 索 経 ﹄ は 密 教 経 典 で 、 御 室 や 高 野 山 に 、 出 家 後 遁 世 し て い た 教 長 の 精 神 生 活 の 反 映 が み て と れ る 。 ま た こ の 時 代 の 歌 道 と 仏 道 と を 結 び つ け る 平 安 貴 族 達 が 庶 機 し た ﹁ 狂 言 綺 語 の 誤 り を も っ て 翻 し て 當 来 世 々 の 因 、 轉 法 輪 の 縁 と せ む ﹂ し た 思 想 も ﹁ 和 歌 戯 論 之 奇 語 、 翻 盍 爲 菩 提 涅 盤 之 良 縁 ﹂ と い う 言 葉 で 述 べ 、 ,教 長 の 和 歌 と 人 生 と の 関 係 が 、 そ の 決 意 が 伺 え よ う 。 梅 の 香 か ら 、 こ こ ま で 深 い 世 界 に 思 索 を め ぐ ら す 教 長 の 一 面 に 、 興 味 が 持 た れ る と こ ろ で も あ る 。 ⑦ の 小 町 の ﹁ 秋 の 夜 も 名 の み な り け り あ ふ と い へ ば 事 ぞ と も な く あ け ぬ る も の を ﹂ は 恋 三 に 入 っ て お り 、 最 も 恋 が 高 ま っ た 恋 人 達 の 熱 い 心 情 を う た っ て い る 。 秋 の 夜 を 長 い と 感 じ る の は 一 人 佗 し く 過 す 境 遇 に あ る 者 で 、 恋 一 、 恋 四 、 恋 五 に 詠 ま れ て い る 範 疇 に あ る 。 恋 三 に あ る 者 は 小 町 の こ の 歌 の 感 慨 に ふ け る の は 自 然 で 、 教 長 自 身 、 こ の ⑦ を ﹁ 戀 哥 ノ マ ナ コ ナ リ ケ リ ﹂ と 確 信 し て い る の が 伺 え て 、 彼 の 恋 歌 観 と い う も の の 反 映 が み え る 。 以 上 、 教 長 の 何 ら か の 和 歌 観 を 知 る 手 立 て と な る ① か ら ⑦ を み た 結 果 、 ま ず 貫 之 の 歌 が 三 首 も あ る こ と に 、 教 長 の 和 歌 に 対 す る 根 本 的 受 容 態 度 を は か る 一 つ の 基 本 が あ る こ と が み て と れ る 。 ﹁ ウ タ ノ 本 ﹂ と 言 い 切 っ て い る 。 教 長 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ の 中 で 一 番 多 く そ の 歌 を 取 り あ げ て い る の は 貫 之 で 、 二 六 首 に の ぼ る 。

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と こ ろ で 、 俊 成 は ﹃ 正 治 承 状 ﹄ で 教 長 の こ と を 源 氏 み ざ る 歌 よ み と 批 難 し て い る が 、 俊 成 が 同 じ 貫 之 の 歌 の 中 で 、 ど れ を 庶 機 し て い た か を み て み た い 。 ﹃ 古 来 風 体 抄 ﹄ に よ る と 、 む す ぶ 手 の し つ く に に ご る 山 の 井 の あ か で も 人 に 別 れ ぬ る か な ( 404 ) こ の 歌 、 む す ぶ 手 の と お け る よ り 、 し つ く に に ご る 山 の 井 の と い ひ て 、 あ か で も な ど い へ る 、 お ほ か た す べ て 言 葉 こ と の は の つ づ き 姿 心 か ぎ り な く 侍 る な る べ し 。 歌 の 本 体 は た だ の こ の 歌 な る べ し 俊 成 は ﹁ 歌 の 本 体 は た だ こ の 歌 な る べ し ﹂ と 言 い き っ て い る 。 さ ら に 慈 鎮 和 尚 自 歌 合 跋 に お け る 判 詞 の 中 で 次 の よ う に 述 べ て い る 。 お ほ か た 歌 は 必 ず し も を か し き よ し を い ひ 、 事 の こ と わ り を 言 ひ き ら む と せ ざ れ ど も 、 も と よ り 詠 歌 と い ひ て 、 た だ よ み あ げ た る に も 打 ち な が め た る に も 、 何 と な く 艶 に も 幽 玄 に も き こ ゆ る こ と の あ る べ し 。 よ き 歌 に な り ぬ れ ば 、 そ の 詞 姿 の ほ か に 景 気 の 添 ひ た る や う な る こ と と あ る 。 谷 山 茂 氏 の ﹁ 俊 成 の 貫 之 受 容 の 態 度 ﹂ ( ﹁ 国 語 と 国 文 学 ﹂ S 35 年 6 月 号 ) に よ る と 、 俊 成 が こ の 歌 か ら 学 び と ろ う と し た の は 、 内 容 的 な 面 で は 、 知 的 趣 向 的 な も の で な く て 、 む し ろ 感 情 的 情 趣 的 な も の で あ る 。 ⋮ ⋮ 貫 之 一 般 の 歌 風 が ﹁ 貫 之 が 歌 な ど の や う に た し か に ﹂ ( 顕 昭 古 今 集 註 ) と か ﹁ 貫 之 、 歌 の 心 た く み に 、 た け 及 び が た く 、 こ と ば 強 く 姿 お も し ろ き 様 を 好 み て 、 余 情 妖 艶 の 体 を 詠 ま ず (近 代 秀 歌 ) と い う ふ う に 割 切 れ る も の な ら ば 、 む し ろ 公 任 の 推 賞 し た ﹁ さ く ら 散 る 木 の し た 風 は 寒 か ら で 空 に し ら れ ぬ 雪 ぞ ふ り け る ﹂ の ほ う が 適 当 で あ り 、 ま た そ う い う 意 味 で は 公 任 こ そ 貫 之 の 正 統 的 継 承 者 で あ っ た か も し れ な い 。 ﹁ 桜 ち る ﹂ の 歌 は 、 趣 向 も 巧 み に お も し ろ く 、 詞 つ か い も し っ か り と 詠 み す え ら れ て い て 、 い か に も ﹁ た し か ﹂ な 詠 み ぶ り で あ り 、 ﹁ 余 情 妖 艶 の 体 ﹂ で 藤 原 教 長 論 (西 村 ) 一 〇 三

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佛 教 大 學 大 學 院 紀 要 第 二 十 四 號 ( 一 九 九 六 年 三 月 ) 一 〇 四 は な い 。 そ れ に 反 し て 俊 成 が こ の 歌 を 貫 之 の 第 一 秀 歌 と 認 め た こ と は 、 と り も な お さ ず 、 俊 成 が 貫 之 的 伝 統 を む し ろ 余 情 妖 艶 の 側 に 近 づ け な が ら 、 主 体 的 に 受 容 し て い る こ と を 意 味 す る で あ ろ う ﹂ と い う 示 唆 に 富 ん だ 指 摘 が あ る 。 教 長 は 、 俊 成 の 庶 機 し た 歌 と は 違 い 、 む し ろ 公 任 に 近 い ﹁ 心 ミ ナ コ ト バ ニ ア ラ バ レ タ ル ﹂ 歌 、 理 知 的 な 歌 、 趣 向 の 面 白 い 歌 を 評 価 し て い る 。 教 長 や 俊 成 が 生 き た 平 安 末 期 は ﹁ 古 今 集 こ そ は 歌 の も と と 仰 ぐ べ き ﹂ (御 裳 濯 川 歌 合 判 詞 ) 、 ﹁ 歌 の 本 体 に は 、 た だ 古 今 集 を 仰 ぎ 信 ず べ き こ と な り ﹂ (古 来 風 体 抄 ) と 、 そ の 古 今 集 を 宗 と す る こ と は 絶 対 的 な 時 代 の 空 気 が あ っ た 。 た だ そ の 受 容 態 度 が 、 俊 成 的 な 余 情 妖 艶 の 流 れ と 、 教 長 は じ め 六 条 家 の 庶 機 す る 流 れ と に 大 き く 分 か れ て い っ た と い え よ ・つ 。 結 び ま ず 、 教 長 の ﹃ 古 今 和 歌 集 註 ﹄ の 抄 出 歌 を 従 来 は 二 百 二 十 余 首 と さ れ て い た が 、 古 典 全 集 本 に よ り 判 明 す る 和 歌 を 教 え て み る と 、 私 の 調 査 で は 三 百 十 八 首 と な り 、 百 首 ほ ど 多 く な る の が 一 点 で あ る 。 次 に 顕 昭 と の 共 通 歌 を 表 に 示 し 、 そ の 上 で 両 者 の 注 釈 を 具 体 的 に 試 み た 結 果 、 多 く の 先 学 が 述 べ ら れ て い る 説 に は 、 こ ぞ っ て か た よ り が み ら れ る と い う こ と が 第 二 点 。 必 ず し も ﹁ 顕 昭 は 教 長 を 徹 底 的 に 批 難 し て い 範 ﹂ と は い え な い 。 も っ と 謙 虚 に 顕 昭 は 教 長 の 注 を 引 用 し 、 肯 定 す べ き 箇 所 は そ の ま ま 丸 ご と 自 ら の 説 と 同 化 さ せ 、 否 定 す べ き 箇 所 も 実 証 的 に そ の 過 程 を み せ 、 く つ が え し て い る 。 ま た 時 と し て 教 長 の 注 の 方 が 正 し く 、 詩 情 が あ る こ と も あ る 。 少 な く と

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