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労働生産性 と諸制度の補完性・ 階層性

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(1)

研究 ノー ト

労働 生産性 と諸制度 の補 完性・ 階層性

遠 山 弘 徳

本研究ノー トにおいては、先進資本主義諸経済の長期的な競争力 (労 働生産性上昇率)分布を説明 するにあたって諸制度の補完性 0階 層性が有意性を持つのかどうかが検討される。第 1に 、諸制度の 補完性・ 階層性から引き出された資本主義諸経済のクラスターと労働生産性上昇率の関連が示され る。第 2に 、諸制度の補完性・階層性を代理する資本主義のクラスター変数に加え、コントロール変 数を組み入れたモデルを作成 した上で、パネルデータを利用し、資本主義のクラスターが労働生産性 上昇率に有意な効果を与えるかどうかが検討される。最後に、こうした分析結果から、2つ のタイプ

の諸制度の補完・ 階層関係が労働生産性上昇率に有意な効果を与えることが示される。

I.は じめ に

各国経済の金融市場 は、対外資産 と負債 の急速 な同時的拡大か ら理解 され るように、1990年代 に入 り自由化のテンポを加速化 させている (図 1)。 また、1980年代以降の貿易 コス トー‐輸送 コ ス トや関税等―一の急激 な低下 に起因 し、対 GDP比 輸 出入が1970年代のお よそ 20パ ーセ ン トか ら 2003年 の約 55パ ーセ ン トに上昇 している(IMF[2005],p.129)1。 こうした現象 は、1990年代以降、

金融市場 における自由化圧力、お よび製品市場 における競争圧力が急速 に高 まっていることを示 す ものであろう。だが、 こうした競争圧力、 自由化圧力が強 まる中にあって も、先進資本主義経 済 は依然 として 1つ の経済モデルに収飲す る様相 を見せていない。む しろ、各資本主義経済 は依 然 として異なった「国民的軌道」 とり続 けてい る。 したがって こうした事実 は、 そうした長期的 なマクロ経済パ フォーマ ンスの相違 は何 よって説明 され るのか とい う問題 を提起す る。

制度の重要性 を提唱する理論 はこうした問題 に対 して 1つ の仮説 を提示 している。それは、マ クロ経済パ フォーマ ンスが諸制度の補完性の関数である、 とい うものである (た とえば、 Amable

[2003]、 Hall and soskice[2001]、 Hall and Gingerich[2004]、 Kenworthy[2004])。 言い

1製 造業 の動向の詳細 については OECD[2001]を 参照 されたい。

(2)

経済研究 10巻 1号

図 1  先進経済諸国の対外資産および負債 45000

40000

35000

30000

25000

20000

15000

10000

5000

0

…‐ ¨対外資産

― 対外負債

(出 所 )IMF,″ ♭ π ″ Eθ ο %ο %た の 力磁 ,2005.

注   単位は 10億 ドル (USド ル

)、

中央銀行保有対外資産は除 く

換 えれば、それぞれの資本主義経済が形成す る諸制度の補完性が資本主義諸経済の競争力の格差 を説明する

2。

この仮説 については 2つ の補足が必要であろう。第 1に 、各経済が何 らかの補完性 指標 に もとづいて連続的に並べ られ るような ものではな く、概念的に不連続 に異なったグループ に分類 され るとい うことである。 こうした現象 は、資本主義経済のクラスター化 と呼ぶ ことがで きるであろう

3。

第 2に Amable[2003]、 山田 [2004]、 原田 [2005]が 強調す るように、諸制度 は対称的な も ので はな く、非対称 的であ り、階層性 を有するということである。したがってマクロ経済パ フォー マ ンスの格差 を説明するさい、諸制度の補完性 にとどまらず、その階層性 も考慮 にいれなければ な らないであろう。

2こ ぅした仮説の詳細 については山田 [2004]、 原田 [2005]も 参照 されたい。

3 Gordon[1998]は

、先進資本主義諸経済の労使間関係の性格一一協調的か対立的か一― を分析 した上で、各国が 概念的 に異 なった、不連続 なグループにはいることを指摘 している (p.192)。

― ‑32‑―

(3)

われわれ も諸制度の補完性 に加 え階層性 も同時 に考慮 し、先進資本主義諸経済のクラスター化 を試みた (遠 山 [2005])。 だが、そのさい、マクロ経済パ フォーマ ンスが制度の補完性・ 階層性 の結果であるとい う仮説の提示 と検証 を試みた ものの、 とりあげたのは制度変数 (諸 制度の補完 性・ 階層性の代理指標 )だ けであ り、経済パ フォーマ ンスの分布 に影響 を及ぼす他の変数 をコン トロール した ものではなかった。 そこで本研究 ノー トでは、制度変数 と補完性・ 階層性指標 に加 え、 コン トロール変数 を組 み入れた体系的な分析 を試みることにしたい。具体的 には以下の点 に 焦点 を置 き検討す ることにしたい。先進資本主義諸経済の競争力分布 を説明す るにあたって制度 の補完性・ 階層性の効果 は有意性 を持つのか。 もしくは諸制度の補完性・ 階層性 を代理す る変数 を導入す ることにより、モデルの説明力 は高 まるのか どうかを検討することにしたい。

Π .諸 制度 の補 完性 0階 層性 と資本 主 義経 済 の ク ラス ター

上述 のように、1990年代初頭以降の先進資本主義諸経済 は、金融市場の自由化や製品市場の競 争圧力の昂進の下 にあって も、 1つ のモデルに収飲す る様相 をみせてはいない。 だが、それぞれ の経済が まった く独 自の構造 を描 くわけで もない。各経済 は複数の相異なる基本的な諸制度の補 完性・ 階層性構造へ と収飲 し、そうした基本的な構造の周辺のばらつ きの拡大 を低下 させ る傾向 にある。すなわち、各経済 はある特定の同型的な諸制度の補完性・ 階層性 を有す るクラスターを 形成す る傾向にある。 そ こで最初 に、資本主義経済のクラスター と労働生産性の関連 に言及 して お こう。

われわれ は以前 に、主成分分析 を利 用 し 4つ の制度変数 を作成 した上 で、同変数 に回帰木 Regression Tree分 析 を適用 し、労働生産性上昇率の分布 に影響 を与 える諸制度の補完性 ら階層性 を摘出 した。 それによれば、労働生産性上昇率の分布 に もっ とも強い影響 を与 える制度 は企業統 治

(「

企業 コン トロールの集中化」 )で あった。次いで影響力の強い制度 は、企業統治制度 と補完 的関係 に立つ「労使間 コーディネーション」 もしくは「市場志向の金融制度」であった。

こうした関係 は、概念的には、図 2の ように示す ことがで きる。 この概念図は労働生産性上昇 率の分布が諸制度――企業統治

(「

企業 コン トロールの集中化」 )、 「労使間 コーディネーション」、

金融制度

(「

市場志向の金融制度」 )一 ― の補完・ 階層関係 によって説明 されることを示す もので ある。制度間 を結びつける直線 は制度の補完関係 を示 し、制度の上下関係 は制度の階層性 を示す。

この場合、諸制度の補完・ 階層関係 において支配的な制度 は企業統治である。 また、 この図 2に

はそうした諸制度補完・階層関係の相違 に もとづ き、先進資本主義経済 17カ 国が 4つ のクラスター

に分類 されている。

(4)

経済研究 10巻 1号

図 2  労働生産性上昇率、諸制度の補完性・ 階層性および資本主義のクラスター 17カ 国の労働生産

性上昇率

低い「企業 コント ロールの集中化」

高い「企業 コン ト ロールの集中化」

低い「労使間コー ディネーション」

高い「労使間コー ディネーション」

低 い「市場志向の 金融制度」

高い「市場志向の 金融制度」

難 一 ア

聯 一一一同

=議 一 ス

一 難

= 墨 一 オ :::1華 :癬 難華 i難 li華

イタ リア、オラン ダ、スイス

彗滋 :繋 寒警 :彗 籍難難 ベルギー、カナダ、

フランス、ドイツ、

日本、 ノル ウェー

華 i:華 難藝藝響難

オース トラ リア、デ ンマーク、フィンラ ン ド、 ニ ュー ジー ラ ン ド、 ス ウェー デ ン、 UK、 USA

図 3に おいては、各国の雇用者 1人 あた り GDPの 年平均成長率が、図 2に 示 されたクラスター ごとに描かれている。 このグラフおよび図 2か ら、簡単 に各 クラスターの制度的特徴、およびそ うした特徴か ら期待 され る労働生産性への効果 を確認 してお こう。

2.000°

/。

1.500%

1.000%

0.500%

0.000%

図 3  雇用者 1人 あたり GDPの 年平均成長率 1996‑2003

ド    日 イ ツ   本

ス ウ ェ ー デ ン ニ ーュ ジ ーラ ン ド フ イ ン ラ ン ド

デ ン マ ー ク

オ ー ス ト ラ リ ア

ノ ル ウ ー ェ フ

ラ ン ス カ   ナ   ダ ベ ル ギ ー オ ー

ス ト リ ア ス

﹁ ア   ス オ ラ ン グ イ タ リ ア

U  U S K  A

― ‑34‑―

(5)

① クラスター 1

このクラスターに入るのは、高い「企業コントロールの集中化」 と低い「労使間コーディネー ション」が補完・ 階層関係を形成する経済群 (イ タリア、オランダ、スイス )で ある。 このクラ スターが もっとも低い労働生産性上昇率を示 している (3ヵ 国の平均でおよそ

0。

37パ ーセン ト )。

したがってこうした諸制度の補完・ 階層関係は労働生産性上昇率に負の効果を与える可能性が高 い。

②   クラスター 2と 4

図 3か ら理解 され るように、相対的 に高い労働生産性パ フォーマ ンスを示 したのは 2つ のクラ スターである。 その 1つ であるクラスター 2は 、高い「企業 コン トロールの集中化」 と高い「労 使間 コーディネーション」の補完性・ 階層性 を形成するオース トリアである (お よそ 1.72パ ーセ ン トの成長率 )。 もう 1つ のクラスターは低 い「企業 コン トロールの集中化」と高い「市場志向の 金融制度」の補完性・階層性 を有す る経済群 (オ ース トラ リア、デンマーク、フィンラン ド、ニュー ジーラン ド、スウェーデン、UK、 USA)で ある (7ヵ 国の労働生産性上昇率の平均 は 1.73パ ーセ ン ト

)。

クラスター 1と 異な り、 こうした諸制度の補完性・階層性 は労働生産性上昇率 に正の効果 を与 えると期待 され る。

③ クラスター 3

クラスター 3は 、低い「企業 コン トロールの集中化」と低 い「市場志向の金融制度」の補完性・

階層性 によって特徴づ けられ る。ここにはベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、日本、ノルウェー が含 まれ る (6ヵ 国の労働生産性上昇率の平均 は 1.27パ ーセ ン ト )。 こうした諸制度の補完性 0階 層性が労働生産性上昇率 に有意な効果 をもつか どうか、 またその効果が正か負かは、図 2の 制度 的特徴 と図 3の 労働生産性上昇率の関連か らは確定的な ことは言 えない。だが、経済的パ フォー マ ンスはクラスター 1ほ ど低い実績 を示 しているわ けではないが、制度的な整合性 はこのクラス ターにおいては達成 されていない

4。

したがって このクラスターの諸制度の補完性・階層性 も労働 生産性上昇率 に負の効果 を与 えると期待 され る。

以上 の観察 によれば、 2つ のタイプの制度の補完性・ 階層性関係が相対的に高い労働生産性 を 生み出す と理解 され るであろう。諸制度の補完・ 階層関係 において支配的な制度 は企業統治であ

4企 業 コン トロールが分散化 してい る もとで は企業 は資金調達 にあた り資本市場 に依存す る と考 えられ るが、この 補完性・階層性 の もとで は金融市場 の 自由化 はそれほ ど進 んでお らず、資本市場 は相対 的 に未発達 と理解 され る。

したが って この クラスターは制度的な整合性 を持 ち得ていないようである。

(6)

経済研究 10巻 1号

る。 この企業統治制度 において「企業 コン トロールの集権化」指標が高い場合 には、高い「労使 間のコーディネーション」が補完性 を形成す る。他方、企業統治 において「企業 コン トロールの 集権化」指標が低 い場合、高い「市場志向の金融制度」が補完性 を形成す る。言い換 えれば、そ の 1つ は企業統治 において高い「 コン トロールの集中化」 を維持 し、同時 に、高い「労使間 コー デ ィネーション」 を有する経済であ り、 もう 1つ は企業 コン トロールの分権化 と金融制度 におい て市場化が同時 に進 んだ経済である。

こうした諸制度の補完性・ 階層性 にもとづ く資本主義経済の各 クラスターが労働生産性上昇率 に どのような影響 をあたえるであろうか。以下では、そうした諸制度の補完性・ 階層性が労働生 産性上昇率 に与 える効果 を検討す ることにしたい。すでに触れた ように、資本主義のクラスター と労働生産性上昇率の対応関係か らはクラスター 1と 3は 負の効果 を与 える、他方、 クラスター 2と 4は 正の効果 を与 えると期待 され る。

Ⅲ .労 働 生産 性 に対 す る資本 主 義 クラス ターの効果

(1)推 定方法

本研究 ノー トの 目的 は、確定的なベス トなモデル を追求す ることではない。諸制度 の補完性・

階層性 の影響力 に関 して暫定的な評価 を提供 す ることであ る。すなわち、雇用者 1人 当た りの

GDP成 長率 に対す る諸制度の補完性・階層性 の効果 を推定す ることである。 こうした理 由か ら、

われわれは回帰式の中に一連のコン トロール変数 を含 める。

コン トロール変数 としては、通常の生産関数 を書 き換 えることで得 られる労働生産性式 にもと づ き、資本装備率および技術 を取 り上 げる。労働生産性上昇率 は生産性の初期水準 と負の関係 を 有す ることが知 られている (す なわち、経済発展が遅れた経済程、高い生産性上昇率 を示す )。 だ が、本研究 ノー トでは、 もっ とも遅れたアイルラン ドを除外 しているため、生産性 の初期水準 を コン トロール変数 に加 えなかった。技術 は GDPに 占める民間企業の R&D支 出 (対 前年比変化率

)

によって代理 され る。資本装備率 は雇用者 1人 あた りの粗固定資本ス トック (対 前年比変化率 )

である。

以上 のコン トロール変数 にもとづ く労働生産性式 をベ ンチマークモデル とす る。 これに回帰木 分析 にもとづいた制度変数 を導入する。採用 され る制度変数 は、上述の 4つ のクラスターを表現 す るダ ミー変数である。 クラスターの分類 に もとづ き該当する経済 には 1、 該 当しない経済 には 0の 数値 を与 えた。本 ノー トの仮定 は、諸制度の補完性・ 階層性 は慣性 を持 ち、比較的長期 にわ た り持続 し、経済成長の長期的動向を規定す るとい うものである。 したがって分析期間中には各 経済 は同一のクラスターに属する とい うことを前提 とす る。 こうしたモデルにもとづいて諸制度

― ‑36‑―

(7)

の補完性・ 階層性 を代理す る変数 を導入することにより、制度指標が有意 な効果 を持つのか どう か、 またモデルの説明力 は高 まるのか どうかが検討 され る。

推定 にあたっては、パネルデータを利用 した。期間 は1995年か ら2001年 (T=7)で あ り、対 象の経済 は 12カ 国 (オ ース トラ リア、オース トリア、ベルギー、カナダ、 フィンラン ド、 フラン ス、 ドイツ、イタ リア、日本、オランダ、UK、 USA)で ある。資本主義のクラスター化 を示すに あたっては分析対象 は 17の 資本主義経済であったが、本研究 ノー トでは、データセ ッ トにおいて

R&Dデ ータが欠如 しているため、 5ヵ 国 (デ ンマーク、スイス、スウェーデン、 ノルウェー、

ニュージーラン ド )が モデルか ら落 ちている。推定 され るモデルは以下の ようになる。

2っ て 物σ 滅

"妨

t=α +β Rat+ん sゎ 磁 t十 鳥θ ′ 客″″ ̲′ +at

ここで、物 滋 σわ れ t,Rat,助 硫 tは それぞれ′ 番 目の経済の′ 年 における労働生産性上昇率、

雇用者 1人 あた りの民間企業 R&D支 出の対前年比変化率、雇用者 1人 あた りの粗固定資本 ス トックの対前年比変化率である。ι物疵″ グはそれぞれの経済が属するクラスターである。 これは 諸制度 の補完性・ 階層性 を代理す る指標であ り、上述の ように分析期間 をつ うじて同一だ と仮定

される。

すで に触れた ように、モデルには時間 をつ うじて不変だ と想定 され る制度変数 を含めている。

このため分析 の第 1ス テ ップにおいてはランダム効果推定法 を採用 した。だが、 ランダム効果推 定法がプー リング推定法 (OLS)に 対 して正当化 され るか どうかを検定す るLagrange Multiplier テス トの結果、プー リング推定法 (OLS)は 棄却 されなかった。 したがって本 ノー トではパ ラメー タの推定 にあたってはプー リング推定法 (OLS)が 採用 されてい る。

9)推 定結果

表 1に おいて推定結果が示 されている。本 ノー トの仮説 にしたが えば、モデル (劾 にお ける制度 変数 は労働生産性 に負の効果 を与 え、モデル (3)と (5)に おける同変数 は正の効果 を与 えると期待 さ れ る。 また、現実には中程度の労働生産性上昇率 を示 しているものの、諸制度の整合性 の観点か らみれば、モデル (4)に おける制度変数 も労働生産性上昇率 に負の効果 を与 えると期待 され る。 ま た、諸制度の補完性・ 階層性指標 を導入 したモデル (2)〜 (4)は 、ベ ンチマークモデル (1)│こ 比べ、労 働生産性上昇率の分布 に対す る説明力 を高 める と期待 され る。

最初 に、諸制度の補完性・ 階層性 を代理す る制度変数 (ク ラスター )を 導入 したモデル (2)〜 (4)

を見て行 くことにしよう。いずれのモデルにおいて も期待 された符号 を得ている。すなわち、モ

デル (2X4)に おける制度変数 は労働生産性上昇率 に負の効果 を与 え、モデル (3X5)に おける同変数が

労働生産性上昇率 に正の効果 を与 えることが理解 され る。だが、モデル (2X3)に おける制度変数の

(8)

経済研究 10巻 1号

係数 は有意であるものの、モデル (4)(5)に お ける制度変数の係数 については有意な結果 は得 られて いない。 また、技術指標 について も、いずれのモデルにおいて も有意な結果 は得 られなかった。

しか も同指標 については期待 された符号 も得 られていない。

表 1  諸制度の補完性・ 階層性が労働生産性上昇率に与える効果 被説明変数 :物 滋励 わ (雇 用者 1人 あた り GDP:対 前年比変化率

)

に )     G)

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(‑3.022)

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ε Jバ ″″

θ′ 多 κ″″

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Adjusted 0.1878507 R-squared

0.2628021 0.2328918

0。

1776823

0。

1878985

注   カッコ内は

t―

値。

**ホ 1%水 準、   *は 5%水 準で有意であることを示す。

次 にモデルの説明力 を見てみよう。 それぞれのモデルの決定係数 をみると、 (4)の モデルだけが ベ ンチマークモデル (1)に 比べ説明力 は低 いが、制度変数 を導入 した他のモデルにおいては説明力 が上昇す るようである。

したがって こうした結果か らは、本研究 ノー トの課題―一先進資本主義諸経済の労働生産性上 昇率 を説明す るにあたって制度の補完性・ 階層性 は有意性 を持つのか一一 については確定的な結 論 を引 き出す ことはで きない。だが、少な くとも次の点 は確認で きる。すなわち、高い「企業 コ ン トロールの集中化」 と低い「労使間 コーディネーション」の補完・ 階層関係、および高い「企 業 コン トロールの集中化」 と高い「労使間 コーディネーション」の補完・ 階層関係 は労働生産性 上昇率 に有意な効果 を与 える。また、この 2つ のケースにおいては制度変数 を導入することによっ てモデルの説明力 も改善するとい うことである。

‑38‑

(9)

Ⅳ .終 わ りに

最後 に、本研究 ノー トの暫定的な結論 と今後 の課題 に触れてお きたい。本研究 ノー トの目的 は、

確定的な「ベス トの」モデル を追求す ることではな く、諸制度の補完性・ 階層性が労働生産性上 昇率 に与 える影響力 に関 して暫定的な評価 を提供す ることであった。上述の ように、諸制度の補 完性・ 階層性が労働生産性上昇率 に与 える効果の符号 は期待 された ものであった。だが、その効 果が有意であるのはクラスター 1と 2の ケースだけであった。 したがって諸制度の補完性・ 階層 性が経済パ フォーマ ンスに与 える効果 は認 め られ るものの、その効果 の程度 は弱い ものであった。

諸制度の補完性・ 階層性が労働生産性上昇率 に与 える効果 について確定的な結論 を提示す ること はで きない。

こうした本 ノー トの分析結果か らは以下の問題が派生す る。採用 された制度変数が、諸制度の 補完性・ 階層性 を正確 に代理 しないので はないか とい う問題 である。先行研究で開発 された代理 指標 と突 き合わせ る作業が必要 となるであろう。とりわ け、先行研究 の成果 に照 らし合わせ ると、

通常異なったカテゴ リーに入 るア ングロサクソン系の経済 と北欧諸国を同 じクラスターに含 める のは問題があるか もしれない。 また、 このため先進資本主義諸経済のクラスター化 にあたって資 本主義 クラスター と個々の経済の経験 を突 き合わせ ることも求 め られ るであろう。

【 データの出所等】

雇用者 1人 あた り GDPに ついては Groningen Growth and Development Centre and The Conference Board,Total Econorrly Database,January 2005,thttp://… .ggdc.net)、 GDPに

占める民間企業 R&D支 出は OECD(2004a)、 粗実質 固定資本形成 は OECD(2004b), Amex

Tables 5よ り得た。 なお、制度変数 は遠山 (2005)で 作成 した ものである。

【 引用文献】

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‑40‑

参照

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