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会話場面における人の概念の類型論(II) : その類 型と類型の世界的分布

著者 吉田 集而

雑誌名 国立民族学博物館研究報告

巻 8

号 2

ページ 307‑423

発行年 1983‑08‑31

URL http://doi.org/10.15021/00004454

(2)

吉 田  会話場面 におけ る人の概念 の類型論 (H)

会 話 場 面 にお け る人 の 概 念 の 類型 論 (皿)

そ の 類 型 と 類 型 の 世 界 的 分 布 一

而 *

Typology of Person Category in Deixis (II)

The Types of Person Category and It's Distribution in the World Shuji YOSHIDA

This paper describes the typology of person deictics, and exemplifies the new universal person deictic system discussed previously [YosHrDA 1982]. It also examines the co-relationship between typology and language groups.

Using 1129 languages (and/or dialects), 9 Basic Types, 23 Derivative Types and 2 Duality Dominant Types are recognized.

The Basic Type is not formulated statistically, as was Ingram's methodology (1978), but theoretically. When all possible terms within a particular person deictic system exist, the type which has the terms is identified as a Basic Type. For example, a system in which Loquent person and Audient person have both 'singularity'

and 'plurality' forms, belongs to a Basic Type, but a system in which Audient person has only one term in spite of Loquent person having 'singularity' and 'plurality' forms, as in English, is identi- fied as a Derivative Type. Basic Types are divided into two;

Dialoquent Person Type (D-Type) and Non-Dialoquent Person Type (ND-Type). ND-Type lacks a Dialoquent person category whereas D-Type has one. D-Type is subdivided into two;

Singularity Dialoquent Person Type (Ds-Type) and Non-Singul- arity Dialoquent Person Type (Dns-Type). Only infrequently among the world's languages does a 'singularity' form of Dialoqu- ent person occur. However, this occurs more often among the Minor Languages of the Philippines [REID 1971], as in HanunOo [CONKLIN 1962]. This is the Ds-Type. The other system has a Dialoquent person and belongs to the Dns-Type.

*国立民族学博物館第 2研究部

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(3)

308

国立民族学博物館研究報告 8巻 2号

The Derivative Type is that in which one or more terms are absent from the terms of Basic Type or occur in addition to those terms. Since these types appear to be genetically derived from Basic Types, they are called here Derivative Type. Only 68 samples out of 1141 (6.0%) languages treated here are identified as Derivative Type, indicating that in them human recognition is rational.

Two samples do not distinguish between singularity and plurality forms despite the clear existence of a duality form.

This is the Duality Dominant Type, and it is noteworthy that this type has the Dialoquent person. Although the 'duality' form regularly appears following distinction between 'singularity' and 'plurality' forms, it shows that the 'duality' form in deictic system is closely related with the Dialoquent person category, and

that the 'duality' form might be independent of other number systems, although not universally so.

Most language groups exhibit particular characteristics in the typology of person deictic system. For example, the dominant types of Austronesian are 5Dns (Dns type with 5 terms) and 6Ds types. Papuan is 5ND type, Australian is 8Dns, Indo-European is 4ND, Afro-Asiatic is 4ND, Nilo-Saharan is also 4ND, and so on.

It seems that the notion of person deictics is strongly retained from the ancestral language among the most language groups.

Sometimes, sub-groups have different characteristics that set

them apart from the groups. For example, Koman is identified

as 5Dns dominant type although Nilo-Saharan as a group is

identified as 4ND dominant type. Hence, sub-group level

analysis might reflect more precisely the actual features of the

samples. D-Type and ND-Type are adopted for simplification

and to clarify the basic notion of the deictic person system. A

distribution map of the types on the analysed above is provided

Fig. 30. The map suggests three hypothesis regarding the origins

of the notion of Dialoquent person category. One may be a

Yinmanese (the southwestern part of China) origin, from where

the notion of the category diffused westwards (Munda and

Dravidian), southwards (Kam-Tai, Austro-Asiatic without Munda

and Austronesian) and northeastwards (Altaic and American

languages). The second is that the origin might have been the

ancestral language of Chado-Hamitic. This is the African center

of the Dialoquent person category, and the notion of the category

spread from an uncertain geographical locality of the ancestral

language to Koman, Kordofanian, Eastern Sudanic, Adamawa-

(4)

吉 田  会話場面における人の概念 の類型論 (

Eastern, West Atlantic and Khoisan. The third hypothesis is an Australian origin. Although these hypothesis remain specul- ative, they are valuable for testing the substratum of general human recognition from the macro-perspective. {Key word : Cognitive Anthropology, universality, world's languages, typology, origin and deixis]

(Please observe that the title of the first paper in this series should read "Typology of Person Category in Deixis (I)".)

0.   は じ め に 1. 方 法 論   1.1 . 資 料   1.   2. 表 記 法

  1.3 . 人 称 と 数 の と り あ げ 方   1,4 . 基 本 的 類 型 と 派 生 的 類 型 2. 類 型 論

  2.1。   基 本 的 類 型   2,2.   派 生 的 類 型     2.2。1 . 派 生 的 N D 型     2 .2.2.   派 生 的 Dns型     2 .2.3.   派 生 的 Ds型

  2.3.   2数 性 卓 越 型 3. 分 布 論

  3.1. 各 論

  3.1.1.  オ セ ァ ニ ァ   3。1.2.  ユ ー ラ シ ア   3.1.3.  ア フ リ カ   3.1.4.  ア メ リ カ   3.1.5.   未 分 類 語   3,1.6.   Pi dgi n Engl i sh   3.   2. 総 論

4. お わ り に

0.

  前 稿 吉 田  1982] に お い て , 類 型 化 の た め の 基 礎 作 業 を お え た 。 す な わ ち , 双 称 1), 自称 , 対 称 , 他 称 の 4っ の 人 称 か らな る 人 称 シ ス テ ム と 単 数 性 , 複 数 性 , 2数 性 , 3数 性 , 4数 性 な ど の 数 の シス テ ム を エ テ ィ ッ ク な 弁 別 的 特 徴 と し て 用 い る こ と が 適 当 で あ る こ と を 提 示 し た 。 た だ し , 他 称 は 世 界 的 に は 普 遍 的 で な い こ と を 示 し,

こ れ を こ の 類 型 論 か ら 除 く こ と も 示 して お い た 2)

1)本 論で い う双 称 は従 来 ,  1人 称 包 括 的 とい わ れて い た もので あ る 。 詳 し くは 前 稿 [吉 田 982]を 参 照 。

2) 最近 出版 さ れ た バ ンヴ ェニ ス トの訳 本 に は 本稿 にか か わ る興 味 深 い論 文 が 収 載 さ れて い る。

彼 は本来 的な 人 称 と して は 1人 称 と 2人 称 を あ げ , 3入 称 は非 ・人 称 と して い る [バ ンヴ ェニ ス ト  1983:208−212]6 しか し, 1人 称 の 包 括形 と排 除 形 の問 題 にな る と, こ こで い う双 称 が 人 称 で あ る とい う点 は見 過 さ れて しま って い る。 彼 ほ どの 人で も ,そ の 当該 の文 化 に考 え 方 を 縛 られ て しま う もの であ る ら しい。 とは いえ , 彼 の論 文 はい ろ い ろ と示 唆 に富 ん だ もので あ り,

た とえ ば ,双 称 の あ る と きの 複数 と双称 の ない と きの複 数 で は少 し性 質 が こ とな る との指 摘 も 興 味 深 い 。な お,彼 はパ プ ア系 言語 に も双 称 があ るよ うに書 い て い る [バ ンヴ ェニ ス ト  1983:

213]が, そ れ は本 論で 示 した よ うに恐 ら く誤 りで あ ろ う。

309

(5)

国立民族学博物館研究報告   8巻 2号  本 稿 で は そ れ らを も と に して , 実 際 の資 料 に基 づ い て類 型 化 を行 な い, どの よ うな 類 型 が 存在 す るか を まず 明 らか にす る。 そ の後 , 言語 グル ー プ3》ご とめ類 型論 的 特 徴 を 検 討 し, さ らに類 型 と地 理 的 分 布 との相 関性 を検 討 しよ う と して い る。 こ こで い う 言 語 グル ープ は系 統 的分 類 を基 本 と し, 系統 的分 類 ので きな い もの は地 理 的 分 類 に し た が って の グル ープ分 け で あ る。 実 際 に用 い た分 類 は Appendix I に示 して おい た 。 な お, 言 語 グル ープ 内 にお け る人 称 代 名詞 の祖 形 を復 元 す る こ と は も とよ り目的 で は な い し, それ らの語 彙 が形 と して相 関 して い るか ど うか も問 題 で はな い。 そ の語 彙 の 裏側 に あ る認 識 の仕 方 と して の類 型 に お いて 相 関性 が あ る か ど うか が 問題 な ので あ る。

そ うい う意味 で は言 語 学 的資 料 を用 い ては い るが , と りあつ か お う と して い る問 題 は 認 識 人 類 学 に属 す る こ とで あ る。

1. 方

1.1. 資 料

  本 稿 で 用 い られ る資 料 は次 の よ うな もの で あ る。

 () 特 に人 称 代 名 詞 に 関す る論述 が行 な わ れ て い る論 文 お よ び単 行 本 。   () それ ぞ れ の言 語 の文 法 書 , お よび文 法 的 記 述 の あ る論 文 。

  (につ い て は , そ れ ぞ れ の言 語 グル ープ ごと に類 型 の 分 布 を 記述 す る さ い に, 基本 文 献 と して 本 文 ま た は脚 注 に書 き 出 して お く。 また ,(につ い て も, 特 に多 くの 資 料

を用 い た もの は(と同様 に書 き出 して お く。

  以 上 の単 行 本 お よび論 文 の ほ とん ど は国 立民 族 学 博 物 館 に所 蔵 され て い る もの で あ る。 た だ し, 著 者 お よび 当 館 研究 者 の資料 が若 干 そ れ らに加 え られ て い る。 こ の よ う に して集 め られた 資 料 には あ る偏 りが あ る。 す な わ ち, 本 論 に おい て興 味 の あ る ア メ リカ につ い て はや や 古 い 資料 を 用 い て い る し, ま た南 ア メ リカ の資 料 を ほ とん ど欠 い て い る。 そ の た め, いず れ は アメ リカ につ いて は再 検 討 を行 なわ な け れ ば な らな い と 考 え て い る。 しか し一 方 で は , これ まで 比 較 資料 と して あ ま り用 い られ て い な か った 3) 「言語 グル ー プ」 とい う用 語 は, 後 の注 7で示 した よ うな分 類 単 位 と して の用 語 で は な く,

どの 分 類 レベル で も用 い る こと がで きる用 語 と して あ つ か って い る。 ただ し, こ こで い う 「 語 グル ー プ」 は本文 中に 書 き出 したよ うで あ る 。 そ して , で き る こ とな らば系 統分 類 の み で貫

きた い と考 え て い た が, 系 統 の は っき り した レベ ルで 整 理 しよ う とす る と余 りに も煩 雑 す ぎる 。 その た め ,地 理 的 分類 を 加 え た常 識 的 な レベ ル で ま とめ を行 な った 。 実際 , これ まで 多 くの言 語 学 者 が多 大 の努 力 を重 ね て きた に もか かわ らず , なお 多 くの 系統 分 類上 の問 題 を残 して い る の は, む しろ動 物 や植 物 の 分 類 の ア ナ ロジ ーを 適 用 しよ う と して い る こと に問 題 が あ る よ うに 思 わ れ る。言 語 はや は り生 物 とは異 な った原 理 で 動 いて い るの で は ない で あ ろ うか 。特 に言語

接触 に見 られ る さま ざ ま の現 象 は それ を 暗示 して い る よ うに 思 わ れ る。

31 0

(6)

吉 田 会 話 場 面 に お け る 人 の概 念 の 類 型 論 ( I I)

ニ ュ ー ギ ニ ア や オ ー ス ト ラ リア の 資 料 が か な り の 程 度 と り こ ま れ て い る 。 こ れ は 主 と して PacicLinguiticsの 最 近 の 活 発 な 出 版 に 負 っ て い る。 な お , イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族 に 関 し て は こ こ で と り あ げ た 以 上 に 多 くの 資 料 が 所 蔵 さ れ て い る が , 類 型 論 的

に は 極 め て 単 調 で あ る た め , あ ま り熱 心 に は 参 照 さ れ て は い な い 。 む し ろ , そ の 多 く は他 の 資 料 を さ が す さ い に 副 次 的 に 出 会 っ た 例 を 拾 っ て い る。 そ の た め , と き に 奇 妙 な 例 が 用 い ら れ て い る こ と が あ る 。 そ し て , そ の よ う に 拾 っ て い っ て も , な お 全 体 と して は 多 す ぎ る結 果 と な っ て い る 。

こ の よ う な 母 集 団 を 限 っ て の , 目 に つ く も の だ け を 拾 う と い う資 料 の 採 集 方 法 で は , Bell[1978ユ の い う よ う な 統 計 学 的 に 妥 当 な 資 料 の 抽 出 法 と は な っ て い な い の は 明 ら

か で あ る 。 参 考 ま で に Bell の 例 に な ら っ て 試 算 し た も の を 表 1に 示 し て お こ う 。 こ の 表 に よ れ ば , A ustc, Dravidian,Indo−European の 3つ の 言 語 グ ル ー プ の 資 料 が 多 す ぎ る こ と に な り , Ibero−Caucasian, Am erid の 2 グ ル ー プ が 少 な す ぎ る 。 Ausric が 多 す ぎ る の は A ustronesian が 多 す ぎ る こ と に よ っ て い る が , 実 は そ れ は こ の 研 究 が Ausronesan か ら ス タ ー ト した と い う研 究 上 の成 り 立 ち に か か わ って い る 。 す な わ ち , A usronesan で の 類 型 の モ デ ル を ま ず 作 り あ げ , そ の 後 に 他 の 地 域 に 広 げ ら れ た の が 本 研 究 な の で あ る 。

表 1 ベ ル の 試 算 と の 比 較

Language Group 1.

2.

3.

4.

5.

6.

7.

8.

9.

10.

11.

12.

13.

14.

15.

16.

Austric Indo-Pacific Australian Sino-Tibetan Eurasiatic Ibero-Caucasian Dravidian Indo-European Afro-Asiatic Niger-Kordofanian Nilo-Saharan Khoisan Amerid Na-Dene Ket Burushaski

Estimated number

800 700 200 250 70 35 20 90 200 900 100 20 900 30 1 1

No. of 3500 yeas ago

ca.

est.

ca.

ca.

est.

55 100 27 20 13 4 1 12 23 44 18 5 150

4 1 1

Actual number 370 138 99 88 39 2 6 54 47 123 79 11 66 6 0 1

Proper number 130 236 64 47 31 9 2 28 54 104 43 12 354 9

2 2

Total ca. 4300 478 1129 1127

(7)

国立民族学博物館研究報告  8巻 2号  Ibco−Caucan の例 は確 か に少 なす ぎ る。 しか し, それ は 具 体 的 な例 と して も っ と もよ く知 られ た グ ル ジ ア (Georgin)語 を と りあ げ た だ けで あ るが , 後 に見 られ るよ うに全 体 と して の記 述 を加 え てそ の 不 足 を補 な っ て あ る。Am ed の少 な さ は先 に述 べ た よ うに用 い た資 料 の制 限 だ け で な く, 実 際 に 南 ア メ リカが 資 料 の少 な い地 域 で あ る こ とに も原 因が あ り,今 回 は検 討 の範 囲 外 と した 。

  この よ うに ,Belの算 定 値 と比較 す る とかな りの ひ ら きが認 め られ , 統 計学 的 な数 字 に はあ るバ イア ス が あ る こ とを 認 め な けれ ばな らな い 。 とは い え, そ う したバ イ ア ス を考 慮 にい れ た 上 で そ の数 値 を見 れ ば , かな りの程 度 ま で全 体 の状 況 を 読 み と る こ とがで き る と思 わ れ る。 さ らに, この類 型 論 で は結 果 と して言 語 グ ル ープ との相 関性 が認 め られ るゆ え に ,各 言 語 グ ル ープ ご とに ま とあ られ た結 果 は ,全 体 の状 況 を よ り 的確 に示 して い る もの とい え よ う。

1.2. 表

 前 稿 で述 べ た 人 称 シス テ ム と して 双 称 , 自称 ,対 称 , 他 称 (た だ し他 称 は前 稿 で述 べ た よ うに普 遍 性 を 持 つ もの で は な いゆ え に こ こで は除 か れ て い る) を, 数 の シス テ

図 1 類 型 の 図 的 表 現

ム と して は 単 数 性 , 複 数 性 , 2数 性 , 3数 性 な ど を 用 い る 。 実 際 の 類 型 は こ の 2つ の シス テ ム の 組 合 せ に よ る の で あ る が , 本 論 で は 類 型 化 を 図 に よ っ て 示 そ う と考 え て い る 。 そ れ に よ っ て , よ り簡 素 化 で き る と と も に よ り体 系 的 に 類 型 を 把 握 す る こ と が で き る よ う に な る と考 え て い る 。   図 化 に さ い し て は , 縦 方 向 に 人 称 を , 横 方 向 に 数 を と っ た マ ト リ ク ス を 用 い る。 図 1a の よ う に , 人 称 に つ い て は 上 か ら双 称 , 自 称 , 対 称 の 順 に な ら べ ら れ て い る 。 そ の さ い , 3段 に な ら べ ら れ て い る と き は 常 に そ の 順 序 で な ら べ ら れ て い る が , 2 段 の と き は 図 1b の よ う に 自 称 , 対 称 の 順 で な ら べ ら れ 双 称 が 省 か れ て

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(8)

吉 田  会話場面 における人の概念の類型論 (R)

い る。 数 につ いて は左 か ら右 に単 数 性 , 複数 性 , 2数 性 , 3数 性 とい う順 序 で な らべ られて い る。 この配 列 は多 少 意 外 に 思 わ れ るか も しれ な い が ,実 際 の作 図 の さい の ヒ ン トか らこの よ うな配 列 に した 。 そ れ は次 稿 で述 べ る予 定 の類 型 の発 展 に関係 して お り, 単 ・複 の 区別 が 2数 性 や 3数性 よ り も先 行 して い る こ とを表 現 す る の に都 合 が い い とい う事 情 と も関係 して い る。 そ して , も し 1列 しか 描 か れ て い な い と き は単 ・複

図 2 双 称 を も た な い 類 型 の 場 合

313

(9)

国立民族学博物 館研究報告  8巻 2号 の 区別 の な い場 合一 未 分化 数 の場 合 を示 して お り, 2列 の と きは 単数 性 と複 数 性 か らな って い る ことを , 3列 か らな る と き は そ の右側 に 2数 性 が 加 え られ て い る こ とを 示 して い る。 4列 の と きは さ らに 3数 性 が加 わ って い る ことを 示 して い る。 実 際 には

これ以 外 の場 合 も あ りえ , そ の とき は かな らず 数 が 表記 され て い る。

  こ こで, 図 化 に さい して の ひ とつ の規 則 を 設 けて お く。 す な わ ち, そ れ ぞれ の 用 語 が と り う る全 て を 図 の な か に含 め る と い う原 則 で あ る。 た だ し, 双 称 を も たな い類 型 で は少 しの例 外 を 設 けて お く。

  双 称 を もた な い 類 型 で は双 称 のマ トリ ックス が省 略 され て い る。 た とえ ば図 2a の よ うに双 称 は描 か れ て い な い 。 しか し, 双 称 の 機能 を持 つ 用 語 が な い の で は な い。 た とえ ば , ediorwe と teacherswe はそ れ ぞ れ 自称 と双 称 を 示 して い る。 そ れ ゆ え ,先 の原 則 を つ らぬ くな らば図 2b の よ う に描 か れ るべ きで あ る。結 局 は おな じ こ とで は あ るが , 双 称 を もた な い類 型 の言 語 を話 して い る人 々 に と って は図 2b は奇 妙 な 図 で あ ろ う し (す な わ ち, この 図 の よ うに は認 識 して いな い し), 一方 で は図 2aと す る こ とに よ って , この 図 が整 合 性 を 持 つ こ と も表 現 で き るゆ え に , 図 2b で はな く 図 2a を こ こで は用 い よ う と して い る。

  これ に 関連 して 図 2c に つ いて 少 し注 釈 を つ け て お こ う。 図 2c は双 称 の複 数 性 は 存在 す るが 自称 の 複 数性 は存 在 しな い と い う類 型 で あ る。 先 の原 則 を適 用 す れ ば 自称

図 3 い ろ い ろ の 表 現 方 法

314

(10)

吉 田  会話場面 におけ る人の概念の類型論 (II)

の複 数 性 は双 称 の 複 数性 で しか 表 現 で きず, 図 2c は図 2b とか きか え られ , そ して 図 2b は図 2a とな るよ うに思 われ るが ,私 は この類 型 を 独 立 した も の と して と りあ つ か って い る。 そ れ は 前稿 で も述 べ た よ うに, 純 理 論 的 には 自称 の複 数 と い う もの は あ りえず , 実 際 にそ の よ うな言 語 が あ る と考 え られ るか らで あ る。 た だ し, こ の類 型 は 安定 性 を 欠 き, い ず れ は図 2a また は図 2d に変 化 して ゆ く一一Ptの遷 移 形 と考 え ら れ る。

  この よ うな原 則 を 設 けて お くの は, 図 化 に際 して さ ま ざま の 表記 が可 能 で あ り, な ん らか の規 則 を設 けな けれ ば混 乱 を ひ き お こす か らで あ る。 た とえ ば, 図 3の a,b,

は同 じ類 型 で あ る。 こ の場合 d とい う類 型 は後 に述 べ るよ うに存 在 しな い た め (*印 は実 例 と して 見 い 出 さな か った こ とを 示 す), これ らは相 同 とな る。 そ して図 2の a,

b,cの い ず れ で もよ いが ,先 の原 則 を設 けて お く と必 ず c と描 か れ る こ とに な る。 別 の少 し問 題 とな る例 を次 にあ げ て お こ う。 図 4a は 自称 ・2数 性 を 欠 くと きで あ る が,

そ の場 合 ,双 称 ・2数 性 の用語 が そ の穴 を うめ るな らば b, も し自称 ・複 数 性 が用 い られ る と きは cとな る。 そ して この 2つ の場 合 は共 に存 在 しえ る。 この よ うに 図化 す

図 4 双 称 を も つ 類 型 の 場 合

315

(11)

国立民族学博物 館研究報告   8巻 2号 る と b と c とは別 の 類型 で あ る こ とが は じめ て 明 らか に な り,本 論 で は これ らを 区別 す る とい う こ とで あ る。 た だ し, 文 献 に そ の よ うな記 述 が な け れ ば それ らの 区別 は不 可 能 で あ り, そ の 場 合 は aを そ の まま 用 い る とい う実際 上 の と りあ つ か い も起 こ りえ

る。

  2, 3の例 をあ げ て表 記 法 の実 際 を 示 した が , そ の際 に先 の原 則 を設 け る こ とに よ って , あ る種 の混 乱 を 防 ぐと と もに, よ り精 度 の高 い類 型 を 抽 出 す る こ とがで き るよ う にな る。

.3. 入 称 と 数 の と り あ げ 方

  言 語 に よ っ て , 入 称 と数 の あ らわ さ れ 方 に は さ ま ざ ま の 変 異 が あ る。 も っ と も 典 型 的 な も の は 人 称 代 名 詞 で あ り , 人 称 と 数 は 必 ず そ の 意 味 成 分 と し て 見 い 出 す こ と が で き る 。 と こ ろ が , 複 合 成 語 の よ う な 場 合 , 住 々 に し て 人 称 と 数 が 分 離 さ れ て い る 。 た と え ば , ア メ リ カ ・イ ン デ ィ ア ン の 言 語 で あ る ス ー (Siouan) 語 で は , 3種 の 人 称

双 称 , 自 称 , 対 称 ) を 区 別 して い る が , 数 は 動 詞 の 接 尾 辞 の 形 で 出 現 す る 。 複 数 は T eton 方 言 ), −i (Ponca 方 言 ), −wi (W innebago 方 言 ) な ど で ,  Boas と Sw anton は , こ れ ら が 動 詞 に つ く こ と か ら文 全 体 を 複 数 化 す る も の と 考 え て い る

BoAs& Sw ANToN  l911:932]。 しか し , 文 全 体 の 複 数 化 と い う こ と は , 実 の と こ ろ , 人 称 代 名 詞 を ふ くむ 主 語 の 複 数 化 で あ る に す ぎ な い 。 こ の よ う な 場 合 , 人 称 と数 は 分 離 して い る が , そ の 両 方 を と り あ げ て ひ と つ の セ ッ トと 考 え て 類 型 化 して い る 。 こ う した 例 は ス ー 語 に か ぎ らず , た と え ば ニ ュ ー・ギ ニ ア の ニ ム ボ ラ ン (Nim boran)語 の よ う に ,も っ と 複 雑 な 形 で 人 称 と数 が 分 離 し,動 詞 に 接 辞 す る場 合 も あ る [ANCEAux 1965]。 しか し , 基 本 的 に は ど の 言 語 に お い て も人 称 と 数 が 見 い 出 せ る も の で あ る 。 た だ し, 後 に 述 べ る よ う に 数 の 区 別 が 記 述 さ れ て い な い 例 が 2例 あ っ た 。 そ の 類 型 は 理 論 的 に は あ り え る も の で あ る た め と り あ げ た が , 本 当 に 数 の 区 別 が な い の か ど う か ,

や や あ や し い と 考 え て い る 。

  人 称 や 数 は , 非 分 離 ・分 離 に か か わ ら ず , ま た 代 名 詞 で あ ろ う が , 分 詞 , 接 語 , 接 辞 な ど の 形 で あ ろ う が , そ う した 区 別 は こ こ で は 一 切 か か わ ら ず , そ の 概 念 が 表 現 さ れ て い る も の な ら ば , そ れ ら の 全 て を と り こ む と い う 方 法 を 用 い て い る 。 こ の よ う に ,

こ の 類 型 論 は 決 し て , 人 称 代 名 詞 そ の も の の 類 型 論 で は な い 。 人 称 と数 に つ い て の 類 型 論 な の で あ る 。

  ま た , 言 語 に よ っ て 独 立 した 語 と 格 変 化 あ る い は 人 称 接 辞 の 両 方 を と る も の が み ら れ , そ れ ぞ れ が 異 な っ た 類 型 で あ る こ と が し ば し ば み ら れ る。 こ の 場 合 , 最 大 限 に 分

316

(12)

吉 田  会話 場面における人の概念 の類型論 (II)

化 し た マ ト リ ッ ク ス を そ の 言 語 に お け る類 型 と して い る 。

.4. 基 本 的 類 型 と 派 生 的 類 型

 類 型 化 に際 して , 基 本 的 な類 型 と派生 的 な 類 型 に分 け る。 Ingram は, 一 般 的 な類 型 と非 一般 的 な類 型 を 出 現頻 度 で 区別 した [NGRAM 1978:218]が ,本 稿 で は類 型 の整合 性 あ るい は その 完 結性 を基 準 と して い る。 す な わ ち, 統 計 的 な 基準 で は な く,

理 論 的 な基 準 を用 い よ う と して い る。

  「拡 散 」 と 「収 敏 」 とい う もの は , い ろ い ろ の分 野 にみ られ る現 象 で あ る。 そ れ は , もの ご とを動 的 に見 る と き, ほ とん ど常 にみ られ る現 象 で あ る。 この こ とは本 論 に お い て も認 め られ る。 す なわ ち, 人 称 と数 に お い て, 整 合 的 な 類 型 とは収敏 した 類 型 で あ り, 非 整合 的 な類 型 は拡 散 した類 型 とみ るこ とが で き る。拡 散 の方 向 には よ り単 純 化 の方 向 もあ れ ば複 雑 化 の 方 向 もあ ろ う。 しか し, そ れ は こ こで は問 わ な い 。 そ し て, そ れ は整合 的 な類 型 か ら他 の整 合 的 な類 型 に移 る 中間 的 な類 型 , あ るい は 不 安 定 な類 型 と私 はみ て い る。 そ れ故 , 整 合 的 な類 型 を基 本 的類 型 (basype)と し, 非 整合 性 な類 型 を それ か ら派生 した もの とみ て 派生 的類 型 (dervatveype) と命 名 し た 。勿 論 ,派 生 的 類 型 か ら も基 本 的類 型 が派 生 す るの で 1まあ る けれ ど, 特 に初 源 の場 合 を 考 え れ ば そ の よ う に考 え られ るが, 私 は人 間 の 合 理 的 な も の に向 う傾 向 を重 視 し,

そ う した もの を基 本 的 な もの とみ て い る。 そ して , こ こで い う合 理 的 な もの , あ るい は整 合 的 な もの は先 に述 べ た マ ト リッ クス の全 て が 当該 の言 語 の用 語 で 埋 め られ た場 合 を い う。 ま た ,基 本 的類 型 を 私 は安 定 な類 型 と述 べ た が , そ れ は類 型 論 的 に安 定 で あ る と い う意 味 で あ り,基 本 的 類 型 も他 の要 因 に よ って 不 安 定 とな る こ と も あ る し,

反 対 に派 生 的類 型 も安 定 化 す る こ と もあ る とい う ことを 付 け加 え て お か な けれ ばな ら な い で あ ろ う。

  こ の よ う に 2っ の 類 型 に分 け る とき, 共 時 的 な現 象 に対 して は類 型論 と して は基 本 的類 型 が 中心 的 な 類 型 にな る し,通 時 的 な分 析 に際 して は派 生 的 類 型 が重 要 な 意 味 を も って く る。

  と ころ で ,非 整 合 的 な類 型 の 中 で ,例 外 的 な類 型 が 存在 す る。 先 の図 化 はす で に い くつ か の規 則 性 が 内包 され て い る。 た とえ ば, 数 につ いて は , 3数 性 の 出 現 は 2数 性 を 前 提 と して お り, 2数 性 は単 ・複 の分 化 を前 提 に して い る。 と ころ が, この よ うな 前 提 に違 反 す る例 が ま れで は あ るが 存 在 す る。 す な わ ち, 2数性 が単 ・複 の分 化 の 前 に 出現 す る とい う類 型 で あ る。 そ れ故 , 非 整 合 的 な類 形 の中 で も この よ うな 類 型 を 特 に区 別 して 2数性 卓 越 型 (Dualy DominantType) とよ ぶ こ と にす る。

                                                       3

(13)

国立民族学博物館研究報告   8巻 2号 表 2  基本的類型と派生的類型 の出現率

例数

基本 的類型

  1,   059

( 93.8% )

非 整 合 的 類 型 派 生 的 類 型 2数性卓越型

68

(6.  0% )

  2

( 0.2 % )   70

( 6.   2% )

合計

1,  129

  さ て, 基 本 的 類 型 , 派 生 的 類 型及 び 2数 性 卓 越型 に分 け た が, 本 論 で 用 いた 言 語

及 び 方言 ) 1,129例 の 内, 基 本 的 類 型 に属 す る もの が 1,059例 (3.8% ) を しめ て い る。派 生 的 類 型 は 68例 (6.% ) に す ぎ な い。 ま して, 例 外 的 な 2数 性 卓 越 型 は 2例

% ) だ けで あ る。 この よ う にみ て くる と, い か に基 本 的類 型 が安 定 的 であ るか を 示 して い る し, 一 方 で ,基 本 的 類 型 を 中心 に して通 文 化 的 に本論 を進 め る ことの 妥 当 性 も明確 で あ ろ う。

  な お, Ingrm は71の例 の 中 で, 一般 的 類 型 と して と りあ げ,検 討 の対 象 と して と りあ げ た の は49例 (9% ))にす ぎな い [NGRAM l978:219]。先 に示 した基 本 的 類 型 の938% に くらべ る と, 単 に統 計 的 に多 い とい う一般 的 類型 を も とに した Ingram の議 論 は か な り荒 っぽ い もの で あ り, 類 型 論 と して は不 充 分 で あ る こ とを容 易 に想 像 させ る。

  次 に基 本 的類 型 , 派生 的類 型 , 2数 性 卓 越 型 に分 け て具 体 的 な類 型 を記述 して お こ う。

2. 類

2.1. 基

  整 合 性 を 持 つ 類 型 , す な わ ち 基 本 的 類 型 と認 め られ る も の に は , 9つ の 類 型 が あ っ た 。 理 論 的 に 可 能 な も の を さ ら に 列 挙 す る こ と は 可 能 で は あ る が , こ の 9つ の 類 型 し か 認 め られ な か っ た と い う こ と に も重 要 な 意 味 が あ る 。

  そ れ は さ て お き , そ の 9つ の類 型 の 実 例 を 図 5に 示 した 。 形 だ け を と り 出 し並 び か え る と 図 6の よ う に な る 。 こ の 図 か ら み る と, た だ ち に 3つ の グ ル ー プ に 分 け ら れ る こ と に 気 付 か れ る で あ ろ う。 す な わ ち, 「双 称 を も た な い 類 型 」 と 「双 称 を 持 つ 類 型 」

4) Ingram は71% と記 して い るが , 49/71一〇,6901と な り, 69% に しか な らな い。 単純 な計 算   ミスか も しれ な い。

31 8

(14)

吉 田  会話場面 にお ける人の概念 の類型論 (∬)

ワ タ ム ( W a t am) 語 ア ス マ ッ ト( As ma t )語 マ ギ ( Magi ) 語

( パ プ ア 系 言 語 )   ( パ プ ア 系 言 語 )       ( パ プ ァ 系 言 語 )

キ ワ イ ( Ki wai an) 語 (パ プ ア 系 言 語 )

トバ ・バ タ ッ ク(Tob a−Bat a k) 語  ヤ ッ プ (Yapus e) 語

(オ ー ス ト ロ ネ シ ア 語 族 )       (オ ー ス トロ ネ シ ア 語 族 )

ア ム プ リン ( Ambr ym) 語

( オ ー ス ト ロ ネ シ ア語 族 )

マ ロ ( M a l o) 語

( パ プ ア 系 言 語 )

リー フ ( Re ef s) 語

( パ プ ア 系 言 語 )

図 5 基 本 的 類 の 例

非 双 称 型 (ND)

双 称 非 単 数 性 型   (Dns)

双 称 単 数 性 型   (Ds)

図 6

319

(15)

国立民族学 博物館研究報告  8巻 2号 の 対 立 が ま ず あ り,さ ら に 後 者 は 「双 称 に 単 数 性 を も た な い 類 型 」 と 「双 称 に 単 数 性 を 持 つ 類 型 」 に 分 け ら れ , 合 計 3 っ の グ ル ー プ が あ る こ と に な る 。 こ れ ら の グ ル ー プ を 命 名 す る な ら ば ,「双 称 を も た な い類 型 」 は 非 双 称 型 (Non−Dialoquent Person Type:

略 して N D −Type),「双 称 を 持 つ 類 型 」は 双 称 型 (DialoquentTypc:D −Type),そ して 後 者 は , 双 称 非 単 数 性 型 (Non−Singulariy D ialoqucnt Person Type:D ns−Type),

双 称 単 数 性 型 (Singulariy Dialoquent Person Type:D s−T ype) と で も す れ ば よ い で あ ろ う 。 そ し て 個 々 の 類 型 を 区 別 す る に は , 構 成 す る マ ト リ ッ ク ス の 数 を 加 え る。

た と え ば , 非 双 称 型 の 2分 型 は 2ND 型 , 4分 型 は 4ND 型 と い う よ う に 命 名 す る。

  さ て , 先 の 図 6 を 縦 に み て み る と , 2ND 型 の 列 は 単 ・複 の 区 別 が な く, 4ND 型 の 列 で は 単 ・複 の 区 別 の み , 6N D 型 の 列 で は 単 ・複 に 2 数 性 が 加 わ り , 8N D 型 の 列 で は さ ら に 3 数 性 が 加 わ っ た 類 型 と な っ て い る 。 そ して , 単 ・複 の 区 別 の な い 列 に は , Dns型 と D s型 に 対 応 す る 類 型 を 欠 い て い る 。 ま た D s型 に は 3数 性 を 持 つ 類 型 を 欠 い て い る 。 2N D 型 は 先 に も少 しふ れ た が , そ の 存 在 が や や あ や しい 類 型 で は あ る が , そ れ を 認 め る と す る な ら ば , こ れ に 対 応 す る D ns型 ・D s型 の 単 ・複 の 区 別 の な い 類 型 は *3D 型 と も呼 ぶ べ き も の が 想 定 さ れ る (*印 は 実 例 と して は 見 い 出 さ な か っ た こ と を 示 す )。 現 在 の と こ ろ , こ の 類 型 を 見 い 出 して は い な い が ,充 分 に あ り う る類 型 で あ る 。 今 ひ と つ の , D s型 の 3数 性 を 持 つ 類 型 (*12D s型 と よ ぶ べ き も の ) も あ っ て も お か し く は な い 。 しか し, 6D s型 は 63例 と 決 して 多 くは な い 類 型 で あ り , 11D s型 は 非 常 に 稀 な 類 型 (3例 ) で あ る 。 そ の た め , 理 論 的 に は あ りえ て も , 実 際 上 は , 9D s 型 以 上 の 区 別 , す な わ ち D s型 で は 3数 性 の 区 別 は な さ れ な い の で あ ろ う 。 む し ろ , 出 現 頻 度 か ら み れ ば D s型 の 3数 性 を 持 つ 類 型 よ り は Dns 型 の 4数 性 を 持 つ i類 型 (*14D ns型 ) の 方 が 可 能 性 が 高 い で あ ろ う 。 実 際 , マ ー シ ャ ル (M arshal cse)語 に は 4数 , 5数 を 持 つ 形 が 存 在 す る5)[BENDER  1969:5]。 し か し, こ れ ら

は マ ー シ ャル 語 に お い て は 義 務 的 な も の で は な く, 4数 ・ 5数 の 接 尾 辞 は つ け る こ と が あ る と い っ た 性 質 の も の で あ る 。 人 間 が 会 話 場 面 で 操 作 で き る人 の 数 と い う も の は , 複 数 と い う不 定 数 を 除 く と 3 あ た り に 限 界 が あ る の で あ ろ う。

  と こ ろ で , 表 3 に 示 した ご と く, 2N D 型 や 8N D 型 , 9D s型 は 稀 な 類 型 と い って よ い 。 6D s型 も そ れ ほ ど 多 い 類 型 で は な い 。 一 方 で 4N D 型 , 5D ns型 が も っ と も多 い 類 型 で あ り, そ れ に つ い で 8D ns型 , 6ND 型 が 続 い て い る 。 ま た , オ ー ス ト ロ ネ シ ア語 族 が 多 く と り こ ま れ て い る こ と を 念 願 に お い て , 非 双 称 型 N D 型 ) と双 称 型

D 型 ) と を く らべ て み る と, だ い た い に お い て 2分 す る と み て よ い で あ ろ う。

5) マ ー シ ャ ル 語 で は 4数 , 5数 だ け で な く, 2数 や 3数 も o pt i ona1 な も の で あ る 。

320

(16)

吉田  会話場面における人の概念の類 型論 (H)

表 3 基 本 的 類 型 の 出 現 頻 度

non − d i ff. sg/pl sg/ pl /du s g/pl /dult ri t o t al

ND

D ns

D s

391 90 1 484

312 179 1 8 50 9

63 3 0 66

to t al 2 766 272 19 1059

  数 に つ い て は , 単 ・複 の 区 別 を す る も の が 基 本 的 類 型 の 72% を 示 し圧 倒 的 に 多 い 。 し か し, 2数 性 の 加 わ る類 型 も 26.1% で 決 して 少 な くな い 。 特 に , そ の 中 で は 8Dns 型 が 6N D 型 に く らべ れ ば 2倍 近 い 出 現 頻 度 を 持 つ こ と は 注 目 して お い て よ い で あ ろ

う 。 さ ら に 3数 性 の 加 わ っ た 類 型 は稀 で は あ る が , こ こ で は lID ns型 が 圧 倒 的 に 多 い 点 も き わ だ っ た 特 徴 で あ る 。

図 7  類 型 の 分

321

(17)

国立民族学博物館研究報告  8巻 2号   さ て こ れ ら 9つ の 類 型 を 先 の 議 論 を ふ ま え て , 系 統 的 に 分 類 す る と 図 7の よ う に な る。 ま ず , 双 称 を 持 つ か 持 た な い か に よ っ て 非 双 称 型 (ND 型 ) と双 称 型 D 型 ) に 分 け られ る 。 ND 型 は 単 ・複 の 区 別 が な い 2ND 型 , 単 ・複 の 区 別 が あ る 4N D 型 , さ ら に 2数 性 が 加 わ っ た 6N D 型 , そ して 3数 性 が さ ら に 加 わ っ た 8N D 型 に 分 け ら れ る 。 D 型 は ま ず 単 ・複 の 区 別 が あ る か ど う か に よ って 2つ に 分 け ら れ る。 単 ・複 の 区 別 の あ る も の は ,さ ら に 双 称 に 単 数 性 を 持 た な い も の と 持 つ も の と に 分 け ら れ る。前 者 は 双 称 非 単 数 性 型 D ns型 ), 後 者 は 双 称 単 数 性 型 D s型 ) で あ る 。 D ns型 は 単 ・ 複 だ け の 区 別 しか しな い 5D ns型 , そ れ に 2 数 性 が 加 わ っ た 8D ns型 , さ ら に 3数 性 が 加 わ っ た 11D ns型 に 分 け ら れ る。 一 方 , D s型 は 単 ・複 の み を 区 別 す る 6D s型 と ,

2数 性 を も 区 別 す る 9D s 型 に 分 け ら れ る 。  D 型 で 単 ・複 の 区 別 の な い 類 型 に D D − ype と図 中 に 記 した も の を 入 れ て お い た 。 こ れ は 先 に述 べ た 例 外 的 な 類 型 で あ る 2数 性 卓 越 型 (D ualty Dom inatT ype) の こ と で あ る 。こ の 2数 性 卓 越 型 は 常 に 双 称 を 持 つ 。 そ の た め 先 の 例 に な らえ ば , D ialoquent Person D ualy D om inatType と も い う べ き も の で あ る 。 そ こ で 双 称 と 2数 性 を 組 み 合 わ せ て DD −ype と 略 して あ る 。 こ れ は , 2数 性 は す で に 区 別 し て い る に も か か わ らず , 単 ・複 の 区 別 を して い な い と い う類 型 で あ る 。 先 の 2ND 型 に 対 応 す る *3D 型 を も し含 め る な ら ば , そ れ も単 ・ 複 の 区 別 の な い 類 型 で あ り , か つ 2数 性 を も 持 た な い 類 型 と な り , 図 7の よ う な 位 置

に 置 か れ る こ と に な る 。

2.2. 派

2数 性 卓 越 型 を 除 い た不 整 合 な類 型 は全 て この 中 に含 め られ る。 そ れ を派 生 的 類 型 となづ けた が , どの基 本 的類 型 か ら 派 生 した もの で あ るか は こ こで は 問

ク メ ー ル ー 語 ( オ ス トロ ネ シ ア 語 族 )         図 8 3 N D−A 型

わ な い こ とに す る。 それ は,次 稿 の 中心 の 課 題 とな る もの であ る。本 稿 で は , 単 に どの よ うな もの が認 め ら れ た か を 記述 して お くこ とに す る。

  ま ず 派生 的類 型 も先 の分 類 にな ら って , ND 型 と D 型 に分 け る こ と に しよ う。 そ して, 暫 定 的 に そ れ ぞ れ の基 本 的類 型 に近 い もの , す な わ ち, こ こで は基 本 的 類 型 か らなん ら

322

(18)

吉 田  会話場面 における人の概念 の類型論 (H)

ア ラ ビ ヤ 語 ( ア フ ロ ・ア ジ ア 語 族 )       図 9   5ND−L 型

か の用語 が脱 落 した もの と して ま とめ, そ れ ぞ れ ご とに記 述 して お く。

2.2.1. 派 生 的 N D 型

  派 生 的 4N D 型 こ の 類 型 に 含 ま れ る 派 生 的 類 型 は ひ とつ しか 見 つ か っ て い な い 。 英 語 に み ら れ る よ う に , 対 称 に お い て 単 ・複 の 区 別 の な い 類 型 で あ る 。 そ れ は 図 8 の よ う な 形 で 書 き 表 わ さ れ る で あ ろ う 。 こ れ を 3ND −A 型 と い う名 を あ て て お く。 3 は い くつ の 用 語 を 持 つ か を 示 し, A は Audientperson の 略 で あ り , そ の 位 置 に 変 異 の あ る こ と を 示 して い る 。

  派 生 的 6N D 型 こ の 類 型 に は 3っ の 変 異 が あ る 。 こ の 変 異 は い ず れ も 2数 性 の 列 に お い て お こ る 。 ま ず , ア ラ ビ ヤ 語 に 見 ら れ る よ う に 自 称 に 2 数 性 を 欠 く も の が あ る 。 そ れ は 図 9 の よ う に 図 化 さ れ る 。 図 の 中 で 斜 線 を 入 れ た マ ス 目 は 用 語 が 欠 落 して

イ デ ィ ン ( Yi di n)語 (ア ー ス ト ラ リ ア 系 言 語 )           図 1 0 5ND−A 型

323

(19)

国立民族学博物館研究報告  8巻 2号

ヌ ビ ァ ( Nubi a)語 ( パ プ ァ 系 言 語 )       図 11 5N D−du 型

い る こ と を 示 して い る。 こ の 類 型 を 5N D −L 型 と な づ け て お く。 L は Loquent person の 意 味 で あ る 。   2番 目 の 類 型 は, 対 称 に 2数 性 を

欠 く も の で あ る 。 図 10の よ う に 図 化 さ れ , 5ND −A 型 と な づ け る。

  3番 目 の 類 型 は , 2数 性 の 列 に お い て 自称 と対 称 の 区 別 が な さ れ な い , か な り特 殊 な 類 型 で あ る。・図 11の よ う に 図 化 さ れ ,5N D −du 型 と な づ け

て お く ( du :dual i t y の 略 )。

      こ の 類 型 に含 ま れ る も の は 4つ あ る 。 ひ とつ は 派 生 的 4ND 型 で み られ た と 同 様 に 対 称 に 単 ・複 の 区 別 の な い 類 型 で あ る 。 こ れ を 先 の 例 に な ら っ て 記 す と 図 12a の よ う で あ り 4D ns−A 型 と な づ け る 。 2番 目 は 自 称 に お い て 単 ・複 の 区 別 が な い 類 型 で あ り , 図 12b の よ う に 図 化 さ れ , 4D nsL 型 と 名 づ け ら れ る。 3番 目 は , 自 称 の 単 数 性 と 双 称 の 複 数 性 が 中 和 し た 場 合 で あ り , 図 的 に は や や 変 形 で は あ る が 図 ユ3の よ う に 図 化 して お く。 そ して , こ れ を 4N Dns−0 6)型 と 名 づ け て お く 。 2.2.2. 派 生 的 D ns型

  派 生 的 5D ns型

4Dns−A型                          4Dns− L型 メ ケオ (Mekeo)語       ヤ カ (Yakha)

(オー ス トロネ シア語 族 )      (シナ ・チベ ッ ト語 族 )

        図 12 4Dns −A 型 と 4Dns 一型

324

(20)

吉 田  会 話 場 面 に お け る人 の 概 念 の類 型論 (I I)

  残 るひ とつ は , 自称 の複 数性 を欠 く もので あ り,4Dnspl型 と名 づ け る類 形 で あ る。 この類 型 は, 往 々 に して 4ND 型 と区別 す る こ とが 難 し い。 何 故 な らば, 図 14の よ うに双 称 の複 数 性 が 自称 の 複 数性 に変 換 され , 容 易 に 4ND 型 とな り安定 す るか ら

で あ る。 しか し, す で に 表記 法 の項 で述 べ た よ うに, 理 論 的 には存 在 し え る類 型 で あ り, 実 際 上 の 適応 と し て は , 自称 の複 数 性 の 用 語 を欠 き,

明 らか に双 称 ・複 数 性 と他 の資 料 か ら同定 で き る用 語 と認 め られ る もの が 存在 す る と きは こ の類 型 に含 め て

ビ ン トウ ニ ( Bi nt uni )語

( オ ー ス トロ ネ シ ア 語 族 )   図 1 3 4Dns −O 型

エ ン ガ ノ ( Engga no) 語 ( オ ー ス ト ロ ネ シ ア 語 族 )

図 14 4Dns −pl型 と 4N D 型

6) 派 生 的 類 型 の 命 名 は 基 本 的 類 型 の そ れ に 準 ず る 。 そ して ダ ッ シ ュ の あ と の 略 号 は 次 の よ う な 構 成 に な っ て い る 。 大 文 字 は 人 称 を , 小 文 字 は 数 を 示 す 。 す な わ ち , 大 文 字 は そ の 人 称 に お い て 単 数 性 あ る い は 2数 性 と 複 数 性 と の 中 和 を 意 味 し, 図 に お い て 横 の 変 異 , 小 文 字 は そ の 数 に お い て 双 称 と 自 称 と の 中 和 が お こ る こ と を 意 味 し, 図 に お い て 縦 の 変 異 を 示 して い る 。 た だ し, 後 者 に お い て は , 1例 (5ND − du 型 ) の み は 自 称 と 対 称 の 間 で 中 和 が お こ る 。 人 称 に つ い て の 略 号 は 次 の よ う で あ る 。

D :D i al oque nt   pe r s on,  L :Loque nt   pe rs on,  A :Audi ent   per s on, た だ し 0 :0bl i que  f us i on

(D と 1・と の 中 和 ), 0 :i r r egul ar   obl i que   f us i on ( L と A の 中 和 ) を 示 す 。 数 に つ い て は , pl:pl ur al i t y,   du  :dual i t y,  t r:t r i al i t y で あ る 。

325

(21)

国立民族学博物館研 究報告  8巻 2号 あ る。 実例 と して は エ ンガ ノ (Enggano)語 のみ しか 見 つ か って は い な い が, 4ND 型 にふ くめ られ て い る ものの な か には 歴史 的 に さか の ぼ れ ば 4Dnspl型 と認 め られ る もの が少 な か らず あ る と思 わ れ る。 そ うい う点 で は ,独 立 させ て お くこ とに も意 味 が あ り,4Dnspl型 は 4ND 型 と 5Dns型 の 中間 的 な , あ る い は遷 移 的 な類 型 で あ る

と考 え て い る。

  派生 的 8Dns型   派 生 的 類 型 の 多 くの種 類 は この 中 に含 ま れ る。 それ は構 造 的 に多 くの 派生 的類 型 が 可 能 で あ る こ とが ひ とつ の理 由 で あ る。 た だ し, この 点 だ けで あ れ ばむ しろ 11Dns型 の方 が よ り可 能性 は高 い と考 え られ るが, 実 際 に は 11Dns型 の 変異 は少 な い。 それ は 11Dns型 自体 の 出現 率 が 8Dns型 の10分 の 1とい うそ の低 さ に相 関 して い る と考 え て よ い で あ ろ う。 また 一方 で,派生 的 8Dns型 は暫 定 的 に 8Dns 型 を基 本 的類 型 とみ て い る こ とに原 因 が あ るの か も しれ な い。 他 の基 本 的類 型 か ら派 生 した と も充 分 に考 え られ るか らで あ る。 しか し, こ こで はむ しろ どの よ うな類 型 が 存在 して い るのか が 重 要 で あ るた め , そ の点 は次 稿 に ゆず る と して , 暫 定 的 に 8Dns 型 の 派生 的類 型 と して と りあ つ か って お く。 な お ,多 くの類 型 が認 め られ るた め, 多 少理 論 的 に検 討 して 派 生 的類 型 の い くつ か の 性質 , お よ び それ らの類 型 の 図化 の問 題 点 に つ い て も考 察 して お くこと に す る。

  まず , 基 本 的 類 型 8Dns型 か らひ とつ の用 語 が脱 落 す る場 合 を 考 えて み よ う。 は じ め に単 数 性 の用 語 の 脱 落 か ら検 討 して み る と,可 能 性 の あ る類 型 は図 15の 3つ で あ る。

と ころ が この 3つ と も実 例 が見 つ か って いな い。 た だ し, 次 に述 べ る 2つ の用 語 の脱 落 した例 の 内, 図 16の よ うな もの が あ る。 これ らを み る と, *7Dns0 型 (図 1a)は あ って もお か し くな い。 と ころ が ,他 の図 の b,c は実在 しづ らい ので はな い で あ ろ うか 。 そ れ は 2数 性 の 用語 の あ る とき, 同 じ人 称 にお い て, 単 数 性 と非 単 数性 の対 立 が 基本 で あ り, 非 単 数 性 の 中 で の 2数 性 と複 数性 との 中和 は あ りえ て も, 単数 性 と 2 数性 あ るい は複 数 性 との 中和 の可 能性 は ほ とん どな い とい うこ と に よ るの で あ ろ う。

)*7Dns−O   )  c)

  図 15 単数 性 の 用 語 の 中和 に よ る派生 的 8Dns型 の可 能 性

326

(22)

吉 田  会話場面 にお ける人の概念の類型論 (ll)

      6Dns −O−du型

バ ン ロー ル (Banl ol ) 語 (オ ー ス トロネ シア 語 族 )

        6Dns −O− − L/du型

      モ サ ナ ( M os ana) 語 ( オ ー ス トロネ シア 語 族 ) 図 16 双 称 ・複 数 性 と 自 称 ・単 数 性 の 中 和 した 類 型

この こ と は,先 の派 生 的 6ND 型 に お い て も貫 か れ て い る規 則 性 で あ る。 た だ し, 派 生 的 8Dns型 で は双 称 は 自称 と中和 を お こす 可能 性 を も って お り, 図15aの よ うな 類 型 が可 能 とな る。

  次 に単 数 性 の 用語 以 外 の用 語 が ひ とつ脱 落 す る場 合 を考 え て み る と図17の よ うに な る。 まず , 双 称 の 複 数性 が脱 落 した と きは 2っ の場 合(が 考 え られ る。 す な わ ち,結 果 と して複 数 性 と 2数性 が 中和 す る場 合 (イ) と, 複 数 性 にお い て双 称 と 自称 が 中和 す る場 合 (ロ) が 考 え られ る。 と ころ が,前 者 の例 は認 め られ な か った。 同 様 に して , そ れ ぞ れ の場 合 を 検 討 して み る と, 4つ の類 型 が残 るだ け で あ った。 な お , 図 中 の a

は双 称 と自称 の中 和 ,b は 2数 性 と複 数 性 の 中和 ,  c は 自称 と対称 の 中和 が起 こ った こ とを示 した もので あ る。 そ して, *印 は実例 の見 い出 せ な か った ものを 示 して い る。

な お, 図18に派 生 的 8Dns型 の例 を 示 して お い た。

  こ の図 を み る とあ る規 則 牲 の あ る こ とが読 み とれ る。 す な わ ち,双 称 ・自称 の 中和

327

(23)

国立民族学博物館研究報告  8巻 2号

      図 17 7Dns型 の 8Dns型 か らの 派生

は 容 易 に 起 こ る (ロ , ハ ) が , 自 称 ・対 称 の 中 和 す る 例 は 見 られ な い (ホ , へ ) ( 双 称 ・対 称 の 中 和 も認 め られ な い )。 こ の こ と は , 双 称 ・自 称 の 組 の 異 な り と 自 称 ・対 称 の 組 と の異 な り と に 差 が あ る こ と を 示 して い る 。 た と え て い え ば , 双 称 と 自 称 と の 壁 は 薄 くて す ぐ に と り は ず しが で き る が , 自 称 と 対 称 と の 壁 は と り は ず しの き

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