• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

氏 名 松家 未来

授与した学位 博 士

専攻分野の名称 理 学

学位授与番号 博甲第 6185 号

学位授与の日付 2020年 3月25日

学位授与の要件 自然科学研究科 地球生命物質科学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 Molecular mechanisms of nutrient-dependent regulation of fecundity in Drosophila males

(オスのショウジョウバエにおける栄養環境依存的な妊性制御の分子機構)

論文審査委員 教授 中越 英樹 教授 上田 均 教授 竹内 栄 学位論文内容の要旨

キイロショウジョウバエ(以下,ショウジョウバエ)のオス生殖器官・附属腺は,ヒトの精嚢や前立腺に 相当する器官である。附属腺細胞は 2 種類の上皮細胞(〜1,000 個の主細胞と ~60 個の第二細胞)から構 成され,精液中に83種類の附属腺タンパク質 (Accessory gland proteins: Acps) を分泌する。交尾によってメ ス生殖器内に移行した Acps は,メス交尾後応答 (産卵の促進,交尾拒否行動など) を引き起こすことで,

交尾オスの子孫を効率よく残すように作用している。

本研究では,附属腺第二細胞による栄養環境依存的な妊性の制御について解析を行った。まず,ショウ ジョウバエのオスにおいて,発生期の栄養環境が附属腺機能 (オスの妊性) を変化させる可能性について検 討を行った。その結果,低栄養環境で生育した個体や栄養シグナル分子 (インスリン受容体InR やtarget of

rapamycin: TOR) を蛹期に阻害した個体においては,附属腺の顕著な萎縮や第二細胞の顕著な縮小,妊性の

顕著な低下 (交尾拒否率の低下) などの表現型が確認された。一方で,InR 活性化個体では,第二細胞が肥 大するとともに細胞数も顕著に増加し,妊性の上昇 (産卵数の上昇,交尾拒否行動の持続) が確認された。

これらの結果から,第二細胞は,生育時における周囲の栄養環境を感知して,細胞数や細胞形態などを変化 させることで妊性を制御していることが明らかになった。また,蛹期の栄養シグナル阻害個体を羽化後に高 栄養条件下で飼育した実験から,第二細胞の栄養環境への応答は可塑的であり,羽化後の栄養状態に合わせ て妊性を最適化することも明らかになった。

更に,ショウジョウバエの生殖器(メス:卵巣,オス:附属腺)の発達にはステロイドホルモンであるエ クダイソン依存的なシグナル伝達が必要であることから,栄養環境依存的な第二細胞の分化・成熟に影響を 与える可能性について検討を行った。エクダイソン特異的な受容体タンパク質 (EcR.A および EcR.B1) を 蛹期および前蛹期において機能阻害したところ,栄養シグナル阻害条件と同様に附属腺の顕著な萎縮や第二 細胞の顕著な縮小,妊性の顕著な低下 (交尾拒否率の低下) などの表現型が確認された。これらの結果から,

附属腺第二細胞における栄養感知は,エクダイソンシグナル依存的に制御されていることが明らかになっ た。

本研究により,オス生殖器官に存在する少数の細胞群が,栄養シグナルとエクダイソンシグナルの協調的 作用によって細胞数や細胞形態を可塑的に変化させることで,生育環境に応じた最適な妊性に導くという一 連の制御機構が明らかとなった。

(2)

論文審査結果の要旨

キイロショウジョウバエ(以下,ショウジョウバエ)のオス生殖器官・附属腺は,ヒトの精嚢や前立腺に相 当する器官である。附属腺細胞は 2 種類の上皮細胞(〜1,000 個の主細胞と ~60 個の第二細胞)から構成さ れ,精液中に83種類の附属腺タンパク質 (Accessory gland proteins: Acps) を分泌する。交尾によってメス生殖 器内に移行した Acps は,メス交尾後応答 (産卵の促進,交尾拒否行動など) を引き起こすことで,交尾オス の子孫を効率よく残すように作用している。

本研究では,発生期の栄養環境が附属腺機能を変化させる可能性について検討を行い,低栄養環境で生育し た個体や栄養シグナル分子 (インスリン受容体InR やtarget of rapamycin: TOR) を蛹期に阻害した個体におい ては,附属腺の顕著な萎縮や第二細胞の顕著な縮小,妊性の顕著な低下 (交尾拒否率の低下) などの表現型が 確認された。一方で,InR 活性化個体では,第二細胞が肥大するとともに細胞数も顕著に増加し,妊性の上昇 が確認された。これらの結果から,第二細胞は,生育時における周囲の栄養環境を感知して,細胞数や細胞形 態などを変化させることで妊性を制御していることを明らかにした。また,蛹期の栄養シグナル阻害個体を羽 化後に高栄養条件下で飼育した実験から,第二細胞の栄養環境への応答は可塑的であり,羽化後の栄養状態に 合わせて妊性を最適化することも明らかにした。

更に,ショウジョウバエの生殖器の発達にはステロイドホルモンであるエクダイソン依存的なシグナル伝達 が必要であることから,栄養環境依存的な第二細胞の分化・成熟に影響を与える可能性について検討を行った。

エクダイソン特異的な受容体タンパク質 (EcR.A および EcR.B1) を蛹期および前蛹期において機能阻害した ところ,栄養シグナル阻害条件と同様に附属腺の顕著な萎縮や第二細胞の顕著な縮小,妊性の顕著な低下など の表現型が確認された。これらの結果から,附属腺第二細胞における栄養感知は,エクダイソンシグナル依存 的に制御されていることを明らかにした。

本研究は,オス生殖器官に存在する少数の細胞群が,栄養シグナルとエクダイソンシグナルの協調的作用 によって細胞数や細胞形態を可塑的に変化させ,生育環境に応じた最適な妊性に導く制御機構を明らかにし たものであり,博士 (理学) の学位にふさわしいと判断した。

参照

関連したドキュメント

りタンパク質レベルの発現と局在を解析した。その結果,NPT homologue は小腸絨毛上皮 細胞の刷子縁膜に発現していた。一方, NPT3

【考察】 本研究では、1 ,25D3 がTh1 細胞のみならずTh17 細胞に対しても分化増殖を抑制す る作用を 持ち、こ の作用 は高カル

  

(2) アクチビンA と腸上皮細胞の増殖・分化の関連について、培養細胞株を用いて検討し た。コンフルェントに達すると小腸吸収上皮細胞様に分化するヒト結腸ガン細胞株Caco ― 2 にお いて

させる可能性が示唆された。すなわちKit

裂に移行する時期での血中17a, 20p‑DHP 量は有意に高値を示した。このこ

器官形成に伴って発生する張力は微小管配向を変化させ, 個々の細胞と器官の成長を協調させる。 nek6 変

第Ⅲ部は,本研究の二つの主題のうちの一つであるミトコンドリア外膜受容体 Tom20