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認知症及び認知機能関連論文から読み解く

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Academic year: 2021

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日本脳神経外科認知症学会誌:Neurosurgery for Cognitive Disorder 編集局から

「認知症及び認知機能関連論文から読み解く」

1)Long-term excess mortality after chronic subdural hematoma. M. Rauhala, et al.(Acta Neurochir (Wien). 2020; 162(6): 1467–1478.)

慢性硬膜下血腫患者、710 例の死亡(死亡時年齢=84 歳、観察期間 4.8 年(範囲= 0-27 年)原 因を検討した論文。血腫の特徴または再発は死亡率とは無関係。認知症は慢性硬膜下血腫患者の 最も一般的な死因であり、慢性硬膜下血腫は認知症関連死亡率のリスクを高める。

この論文に関する、考察引用論文として、下記2)の論文があり、

2)Increase in brain atrophy after subdural hematoma to rates greater than associated with dementia. A. B. Zahid et al. J Neurosurg 2018; 129(6): 1579-1587.

10 年間に少なくとも 4 回の脳 CT を受けた症例で、慢性硬膜下血腫の発症前後及び認知症発 症前後数年間の検索で、慢性硬膜下血腫の発症後、萎縮率は認知症患者の2 倍以上に増加してお り、慢性硬膜下血腫は神経毒性を有する可能性を示唆した論文である。 1)、2)の論文からは、我々も認知症診療をしている外来で慢性硬膜下血腫の術後の認知機能を 評価する機会があるが、今後「慢性硬膜下血腫と神経毒性/認知症発症との関連」に検索の目を 向けるべきであろう。 (吉井與志彦 学会誌編集委員 記述)

3)β-Amyloid Plaque Reduction in the Hippocampus After Focused Ultrasound-Induced Blood–Brain Barrier Opening in Alzheimer’s Disease. PF. D’Haese et al Front. Hum. Neurosci., (07) 2020

前向きの第II 相臨床試験(NCT03671889)である。早期 AD の 6 人の試験参加者に対して海 馬(hippocampus)および嗅内皮質(entorhinal cortex)に MR 誘導による焦束超音波照射 (FUS:Focused Ultrasound)で BBB を開放し、β アミロイドプラークが平均 5%減少しているこ とをPET スキャンで確認した。しかし認知評価では、PET イメージングの時点で臨床的に意味 のある変化はなかった。とする論文である。 AD の病態生理は複雑だが、アミロイド β(Aβ)の神経毒性蓄積およびタウの過リン酸化は、AD における神経変性の主な要因であると考えられ、一方脳からAβ をクリアランスするためには、 適切な血液脳関門(BBB)および脳血管機能が重要であるといわれている。焦束超音波治療は幾 つかの疾患に対して本邦でも応用されているが、3)の論文からは、アミロイド β プラークを積 極的に除去する方策として、脳外科医が関わる新たな治療戦略として今後の研究課題となるか もしれない。 (吉井與志彦 学会誌編集委員 記述)

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