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結核の化学療法研究 第118報

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(1)

1e59

結核の化学療法研究

第118報

S監ide−ce11−culture試験法によるP−aminosalicyiic acid

hydrazide, P一・aminosalicyilc acid methyZesterと

Sulzoiin併用の結核菌増殖阻止効果について

金沢大学医学部日置内科教室(主任 日置教授)

三  崎  孝  藏

  ムro駕20初 ALfi8αki   (昭和28年9月25日受附)

緒  嚢に日置,白によって合成せられたP−Amillo−

salicylic acid hydrazide紛(PASAH:と略称)に つき著者1}並びに坂井はこれが二型結核菌増殖 に対する管内試験並びにS.C. C.試験を行っ て,その成績を一旦報告した.しかしその後同 物質の精製度を異にする諸標本について試験を 続行せる結果,若干これが成績について修正を

加うるの要を生じた.而も未だ本物質とSuレ

zo】inのS. C.C.法による併用効果に関して は未調査なりしを以て今回とれが試験を完了し ここに報告する.蓋しSulzolin bS:PASと顯著 なる併用効果を営むことは既報2)の如くであ

り,1:NAHとSulzolinに:おいても同様の併用 効果を得るヒとは既に同僚北野3)がヒれを明ら

かにしているので,新化合物PASAHにおけ

るSu】zolinとの併用効果は一応期待せらるべ きであった.

 なお本報告において序を以てPASAH近縁

化合物kるPAS, P−Aminosaljcylic acid methy1−

ester耕)(PASMEと略称)とSulzolinの併∫ll 効果についても並行して試験を実施し,夫等の 成績を詳細に比較槍討じた.

 註:米)P−nitrosalicylic acid融点235。Cにhy・

、drazinehydrateを作用せしめて得たP一・一nitrosa]icylic acid hydrazideを還元して P−aminosa】icylic acid hydrazideを獲得,白色針状結晶,融点198。C・

 **》P−nitrosalicylic acidと無水メタノールとの混 合物に乾燥塩酸ガスを通じてP一一aminosalicylic acid methyleste rを獲傳,白色針朕結晶,融点116。C・

 1.PASAHに関する管内発育阻止試験

 試験方法

 供試菌株:人型結核菌H37 Rv株,培地として Kirchner培地使用.但し予め藥液を血清非添加同培 地にて逓減的に稀釈,同稀釈液を2cc宛架列せる小試

験門中に入れ,後各管にSio容蚤の血清を投じた.藥 物原液は両者とも70%にアルコールに滅菌をかねて溶 解し100倍液を得,滅菌水,…欠いで培地を以て所要濃 度に迄稀釈した.菌エムルジオソ=前記人型結核菌の 岡・片倉培地上に発育せしめること約4週の集落20mg

[ su ]

(2)

をガラス球入り試験管にとil )生理食塩水10ccに懸 濁(手振法による)し,上清液を使用す.

 垂物=PASAHは馬b7品共に敢室製であるが,

夫rt製造の日を異にした.何れも美麗なる針朕結晶を 呈したが,a品は僅かに褐色がかつていた.

 判  定

 28日間に渉り菌発育状況を観察した.

 試験成績

 第1表に示す如く,発育阻止最大稀釈濃度は PASAH:(a),(b)共rc・4週に渉る成績におV・

て完全にO.1γ/mlまでとれを示した.先に著 者成績では1.Oγ1mlと報告し元が,今回の試

験によれば指物純度の向上せるためかPASよ

り遙かに一応強力な発育阻止力を有するものの 如くである.

化 合 物

1

1 ASAH(a)

PASAH(b)

培養 期間

(目)

14 21 28

度(Y/ml)

pmt so l 2s i2.sl io pmt l 2s i1.2gFi lo .slo.2s[o.i?.gJl−g:li!一〇.i[o:os

  T対照1 o

圓一 ・4ト

i28 i一

PAS

14 21 28

一i一 一1一

一引一

一Lト

±

一 ±1十

■+i什

        セ

ーi+i柵

±

±

 II, S. C. C.試験によるPASAH, PASME とSulzolinの併用成績

 実験方法

 結核菌俘游液の調製,必要器具の準備,被験藥液の 調製,培養操作,標本作成,菌増殖度の判定等すべて

小著「金大結研年報,第9年下巻,結核の化学療法研 究,第62報」に準じた.但し混合すべき血液を0・35cc とし,藥剤併用の場合は夫々0・05cc宛計0・lcc,軍 独のときは藥剤溶液0・05ccと生理食塩水0・05ccを 加え,対照には生理食塩水0・1ccを用いた.

実 二成 績  1)PASAHとSulzolinの併用試験成績

 本試験ではなお対照としてPAS, Sulzolinの 併用成績を併せ掲げる.

 第II表に示す如く,先ず二三成績を述べると PAsAII O.5m9/dlでは結核菌増殖号i数2号に 止まり,Zli1・:均増殖号i数は僅かにL11を示せ

るに,PASでは3号までの集落形成を認め,

Sulzolinでza 4号まで菌増殖を許している.更 に10.25mg/dl濃度1でも },ASAHは1菌増殖:を4・

号までに止め、卒均増殖・号数は152を示し,

他の二者とは相当懸隔せる成績を示している.

この場合SulzolinはPASに勝る成績を示し.

準均増殖号数は夫々2.79,3.92であった.流

石に0.12mg/dlではPASAH, PAS共に既早

や抗菌力の見るべきものを認めしめないが,な

おPASAHの場合にはユ0号集落を隠すPASで

はこれが認められた.一方Su亘zolinは〜二の濃度 においても相当の菌増殖阻止力を示し,菌増殖 は6号までに止まり,李均増殖号数は3.93で

あった.

 i次に併川試験成績を見るに,0.25mg/dl濃度 のPASAHと0.5m9!dl, o.25mg/dlのsulzo】in

[ 60 ]

(3)

結核の化学療法研究 1061

II

培 養 日 数

   三三三度

1藥剤稀釈釈度

 ロ

 の出ミ

く〜皿 ロ馳葺

ca

・et 1

 O.5 0.25 0.125  O.5

0.25 0.125 O.5mg/d]

O .25

0.125

o日 1号

looe/o

tr

tf

tl

tt

tt

 弓「

目蕊1

塞鋤

; o ii

 量

窮 魍

e一

Sulz ol in

O・5mg/dI

 ル0.25

 〃0.125

 ミ

螺 諸

口6

 ミ  ぎ

 箱  蕊 E

mR S6

 量  ぎ

.鵠 く門

缶o

Sulzolin O.5mg/dr

 tlO.25

 ttO.125 Su]zolin O.5mg/dl  t/O.25  tl    . O.125 Sulzolin O.5mg/dl

 tt

e.25

 tlO.125 Sulzolin O.5mg/dl

 tlO.25

 rtO.125 Sulzolin O.5mg/dl

 tlO.25

 tlO.125

tl

tl

lt

tl

tt

tl

tl

rt

tl

tl

tt

tl

lt

tl

lf

11

tt

tl

 11  tt l tt

照1…%

7

1号

61.6 17.1

89.3 64.4

2

26.1 28.6 10.9 10.7 23.3

7s.7 1 16.o

  ho.7

  旨

3

9.2 25.7 21.9

8.2 5.3 5.3 34.6

g7.o 1 3.o

64.1 86.0

5.9 14.0

4

3.1 18.6 38.4

4.1 8.0

21.4 5.3

ss.6 i・ 11.4 1 li 6g.3 i  20.o ho.7

42.5 1 31.5 i 15 .0 11 6.6

5

7.1 20.6

20.0

18.6 12.e

82.8 i 12.9

  1 6.7

   7.1

1

92.3 87.9 83.3

 7.7 12.1 i i3.7

90.6 83.3 62.1 80.0 22.9

9.4 10,6 22.7 17.1 47.1 14.5

1 4.i 4.3

2e.0 24.3

3.0

6.1 12.2 2.9 20 .0 26 .1

40.0 30.0

3.0

10.0 33.3

20.0 24.3

Z7.4 6

2.9 8.2

32.0

14.7 16.C

9.3 11.4

8.7 5.3

7

20.0

8 9

10.7

16.0

f

29.3 4.0

12 .0

10

9.4

李均値

 M

1.54 2.79 3.93 1.11 1.52 6.02

4.0 2.9

1.27 3.92 7.26 1.03 1.06 1.14

1

1.11 1.41 1.98 1.22 4.17 4.17 1.08 1.12 1.20 1.09 1.23 1.56 1.23 2.17 3.79

Variable colo駐ies

87 93 97 1co 97 10e

12.0

100 100 100 89 91 96

20.0 22 .7 40.0

93 100 97 93 100 93 87 zz gg

88 ss 93 93 ce s.so 1 loo   t     Variable c。lonies;対照標本中の丁丁聚落数:100に対する各標本の同一覗丁数中の聚落数

との組合せで協同効,果が判然と窺われる.即ち  殖を3号までしか許していない.叉PASAH

夫々の。.25mg/dl溶液を組合せた場合菌の増  o.25mg/d1とsulzolin o 5mg/dlとの紅合せで

[ 61 )

(4)

は菌増殖を2号のみに止め,ZISL均増殖号数は 1.11であっ1た.:更に一PAsAH o.125mg/dlと Sulzolin O.5mg/d1との組合せにおいても協同

効果は可なりに認められるが,PASAH O.25

mgfdl 1 Sulzolin O.125mg/dl, PASAH O.125 m9/dlと sulzolin o.25mg/dl, o.125mg/d】 と V、う相互共稀薄な組合せにおV・ては既早や協同 作用を認めす,僅少乍ら却って増殖阻止作用の

減嚢さえ窺われる.一方PASAH:の濃度が上

述せる所よりも更に濃く,例えば0.5mg/dlに 至りたる場合には両者併用の効果はヒれ又判然

としないが,との場合には既早やPASAHの

みを以てしてもその阻止作用が強力に現われる ので,これは 協力作用が存しても明瞭に現われ ないまでのことと解さねばならぬ.

 今PASA H, Sulzolinに関するヒれらの併用 成績をPAS, Sulzolinの組合せによる成績と比 較して見るに,PAs o.5mg/dlとsulzolin併用 の場合は上述せるPAsAH o.5mg/dlの場合と

同様のヒとを言い得るが,PASAHの場合より

協同効果は一暦明らかに見受けられる.即ち

PAs O . 25gmg/dlとsulzolin併用の場合は

PASAHのそれに比し,:PAS土均の菌増殖阻 止力が弱いだけに歴然とした併用効果を認め

る.而してPAs o.125mg/d1とsulzolinを併 用せる場合には更に良好な成績が得られた.

 2)PASMEとSUIzoli11の併用試験成績

 本実験においても対照としてPAS, Sulzolin の併用成績を同時に揚げる.

 第III表の如く,PASME軍独による結核菌

増殖阻止力は同時試験のPAS, Su]zolinととれ

を比較するに,o.5mg/dl濃度ではPASが勝

り,PASMEこれに次ぎ,Sulzolinが劣るが,三 者共相当張力な菌堰殖阻止力を有し,いつれも 3号まで菌増殖を許すに過ぎない.0・25mg/dl ではPASME, Sulzolin, PA Sの順位にあり,

亭均増殖号数夫々2,09,2.19,258を』示した.

更に。 . 125mg/dlになると三者共菌増殖阻止 力は著しく減退するが,なおPASME, Sulzolin,

PASの順に抗菌力を示し,前二者はPASを相

III

培 養 日 数 0日 1\菌増殖度(%)!

藥剤盛期\1号

7

8 9 10 李均値

 M

Vari able

1判2

「墾

旨di

 O.5 0.25 0.125

1ooo/o 6s.1

tl 19.0

t1

31.7 49.3 15.2

3

i罷

早足 1託

 量

。。国

 量

門6

 O.5 0.25 0.125 O.5 0.25

,i 172.2 r! i 28.6

1

t1

11

O.125 i ,t

s撒dl}

o・2

T1 l

O.125

皿一

V

85.e

85.1 80.7 80 .0

3.2 25.4 22.7

11

1/

22.2 3s.6 1

15.1 5.6

12.3 54 .0

薩4.9 1 i6.i

15.4 28 .5

32.9 2.7 35.1 11.3

3.2 4.6

4

6.3 27.3

4.3 31.5

9.5 31.0

5

24 .2

16.4 6

9.1

2.7 7

1.5

1.4

  11.4 i

33.8 i 18,3 1 4.2 1.4

colonies

1.38 2.19 3.94 1.33 2.09 3.63 1.18 1 2.58

1 4・77

90 90 94 103 100 104 104 106 1el

       

1望劃

[m]

(5)

結核の化学療法研究 1063

1㎜

託6  ミ

鰭 器 1ミ }ぎ

1鴇ぎ

 十

和 蔭磐

1臼  ミ  響

.Rく■

山o

Sulzolin O,5丁目/d董

 rt

O.25

 1tO.125 Sulzolin O.5ingfdl

 tlO.25

 tte.125 Sulzolin O.5mg/dl

 tl

O .25

 110.125 Sulzo】量n O.5mg/dl

 ttO.25  t/O.125 Sulze]in O.5mg/dl

 ttO.25  1/O.125

,, Is7.3

tl

tl

t/

tt

it

tl

tl

t/

32.4 29.7 52.8 18.3

90.6 83.6

85 .3

tl   88.9

tt , 71.O

tl r 69・4

tt

It

t/

87.0 39.5

12.7 32.4 33.8 27.2 28.2 17.8 9.4 14.9 10.3 11.1 23.2 23.7 13.0 35.2 27.8

29.6 32.4 12.9 30.9 28.8

1.5 5.6 4.1 7.1 14.1 30.1

4.4 1

5.8 6.9

19.7 36.1

5.6 25 .0

5.7 15.1

2.8 8.2

11.1 1

   1・13 igO

   2・08i 101 2・1・い・6

1.74 2.69 3.67 1.09 1.18 1.19 1.11 1.35 1.38 1.1互『

1.91 3.19

100 101 104 91 os 97

照11・・%}

90 co 103 99 101 103

18・6 1 24・3 1 27・・121・4i・4・3[4・3口6・2・1…

当引離している.

 i次に併用試験を見るに,PASME o・5mg/dl とSulzolinの夫々の濃度の併用により完全増殖

阻止帯,即ち増殖号数1号の部分が13〜8%増

大し,:更にPASME o.25mg/dlとsulzolin O . 5 mg/d1の組合せでは2号が12.7%のみという

好成績を得た.しかしPAsMEが0・125mg/dI

程度になるとsu】zolinを。.5mg/dl乃至。・25 mg/dlとして組合せても却ってSulz。lin軍門の

:場合よりなお菌増殖阻止力が減退せる成績を示

した.然るにヒの場合もPASとSulzolinの協 同作用は第II表における如く明らかにPAS−

MEとSulzolinの組合せに比し張力な効果を

示した.即ちPAS O.25mg/dlとSulzolin O.25 m9/d1,0.125mg/diの組合せの如きは特にPAs−

ME O.25mgld1とそれらの組合せに比し勝れ

た成績を示し,PAS O.25m9/dlとSulzolin O . 125m9/dlの組合せでは3号までの菌増殖を 許すのみで,亭均増殖号数は僅かに1.38を示

した.

総括及び結論  1.精製PASAHの管内結核菌発育阻止試験

を行い,発育阻止最大稀釈濃度。.17/mlを得,

PASに約10倍する成績を認め掩.

 2.PASAHのS. C. C.試験による結核:菌 増殖阻止力は0.25mg/dlまで強力な成績を示

したが,o.125m9/dlでは抗菌力の著しい減衰

を認めた.同時試験においてはPASの作用に

勝る成績を示した.

 3.PASAHとSulzolinとの併用成績は,両

者の併用効果を夫々の濃度O.25mg/dl辺りま

で認めしめたが,PASとSulzolinの併用効果

に比してはなお微力である.

 4.PASMEのS. C. C.試験による結核菌

増殖阻止力はこれをPASと比較するに、その

。.5mg/d1ではPAsが勝り,o・25m9/dl以下 の低濃度ではPASMEの方が勝つ.rC Nnる成績

[ 63 ]

(6)

を得た.しかしPASMEとSulzolinの併用効 果は途に顯著なものを認めしめす,PAS,

Sulzolin併用の場合に比して甚だ劣った.

 欄筆するに当って終始御懇篤なる御指導と御棟閲を 賜った恩師日置教授に深謝す.

文 献

1)三崎。坂井:医学と生物学,25, 1,38,

1952,   2)三崎:金大結研年報,10,上,

67, 1951,      3) 調ヒ里ヲ :

41, 477, 1952,

日本内秘学会雑誌,

[ 64 ]

参照

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