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小殿筋の動作時筋活動評価と小殿筋の選択的筋力強化方法の検討

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小殿筋の動作時筋活動評価と

小殿筋の選択的筋力強化方法の検討

2017

吉 備国際 大 学大学 院

保健 科 学研究 科

保 健科学 専 攻

D311405 室伏祐介

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- 1 - 目 次 省 略 文 字 等 の リ ス ト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・3 序 章 序 論 ( 総 合 ) 第 1 節 研究背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 第 1 項 変形性股関節症の疫学・分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 第 2 項 変形性股関節症に対する保存療法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 第 3 項 股関節安定化機構 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 第 4 項 小殿筋の重要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第 5 項 深層筋の筋活動に関する先行研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 第 2 節 研究目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 第 3 節 論文構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 第 1 章 歩行時における小殿筋筋活動の分析 第 1 節 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 第 2 節 方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 第 1 項 被験者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 第 2 項 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 第 3 項 解析方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 第 4 項 統計解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 第 3 節 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 第 1 項 全体の%IEMG ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 第 2 項 性別を分類した場合の%IEMG ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第 4 節 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・19 第 2 章 不安定状況下における小殿筋筋活動の比較 第 1 節 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・23 第 2 節 方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・24 第 1 項 被験者 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・24 第 2 項 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・24 第 3 項 解析方法・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・25 第 4 項 統計解析・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・25 第 3 節 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・26 第 1 項 全体の%IEMG ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第 2 項 男女別の%IEMG ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 第 4 節 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・28 第 5 節 結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・30

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- 2 - 第 3 章 等張性収縮における小殿筋筋活動と中殿筋筋活動の比較 第 1 節 緒言・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 第 2 節 方法・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 第 1 項 被験者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 第 2 項 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 第 3 項 解析方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 第 4 項 統計解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 第 3 節 結果・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 第 1 項 積分筋電値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 第 2 項 平均周波数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 第 4 節 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 第 5 節 結語・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 終 章 第 1 節 総合考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 第 2 節 結論・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・43 参 考 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・44

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- 3 - 定 義 , 省 略 文 字 等 の リ ス ト 本 研 究 で 使 用 し た 用 語 の 定 義 , 省 略 文 字 は 以 下 で あ る . 用 語 の 定 義 股 関 節 の 安 定 性 : 骨 形 態 や 筋 な ど 軟 部 組 織 の 機 能 に よ り , 臼 蓋 に 対 し 骨 頭 を 求 心 位 に 保 持 で き る 能 力 Wavelet 変換:フーリエ変換では失われてしまう時間領域の情報を残して周波数解析が行 え る 手 法 省 略 語

WOMAC:The Western Ontario and McMaster Universities Arthritis Index PET:Positron Emission Tomography

MRI:Magnetic Resonance Imaging CT:Computed Tomography

FFT:Fast Fourier Transform MPF:Mean Power Frequency

IEMG:Integrated electromyography CE 角:Central-edge angle

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- 5 - 序 章 序 論 ( 総 合 ) 第 1 節 研究背景 第 1 項 変形性股関節症の疫学 ・分類 変 形 性 股 関 節 症 は , 関 節 面 へ の 荷 重 ス ト レ ス に よ る 関 節 軟 骨 の 消 失 と と も に 軟 骨 下 骨 の 骨 硬 化 や 骨 棘 形 成 な ど 骨 増 殖 性 の 変 化 を 来 た し , 関 節 機 能 が 破 綻 す る 疾 患 で あ る . 原 因 が 明 ら か で な い 一 次 性 と , 明 ら か な 二 次 性 変 形 性 股 関 節 症 に 分 類 さ れ て い る . 本 邦 の 多 く は 二 次 性 股 関 節 症 で あ り ,日 本 人 の 有 病 率 は 2.4~4.3%1,2)で 性 別 は 圧 倒 的 に 女 性 が 多 い と さ れ て い る 1,2).二 次 性 股 関 節 症 の 原 因 は 臼 蓋 形 成 不 全 が80%以上で 3,4),ま た ,病 院 初 診 時 の 年 齢 は 50 代が多く,その次が 60 代である 3) 変 形 性 股 関 節 症 は ,日 本 整 形 外 科 学 会 の X 線像の評価により,前 ,初期,進行期 ,末期 股 関 節 症 に 分 類 さ れ て い る . 前 股 関 節 症 は 関 節 裂 隙 の 狭 小 化 を 認 め な い も の , 初 期 股 関 節 症 は 部 分 的 に 関 節 裂 隙 が 狭 小 化 し 軟 骨 下 骨 の 接 触 が な い も の , 進 行 期 股 関 節 症 は 部 分 的 に 軟 骨 下 骨 が 接 触 し 荷 重 部 関 節 裂 隙 の 消 失 を 認 め る も の , 末 期 股 関 節 症 は 荷 重 部 関 節 裂 隙 の 消 失 が 広 範 囲 に 及 ぶ も の で あ る 4) 第 2 項 変形性股関節症に対する保存療法 保 存 療 法 の 目 的 は 疼 痛 緩 和 , 機 能 障 害 の 改 善 で あ る . 日 本 人 の 多 く を 占 め る 発 育 性 股 関 節 形 成 不 全 に よ る 変 形 性 股 関 節 症 で は , 臼 蓋 に よ る 被 覆 が 不 十 分 で あ り , 臼 蓋 荷 重 部 へ の ス ト レ ス の 集 中 や 動 的 不 安 定 性 を 生 じ る . こ の 臼 蓋 荷 重 部 か ら 外 側 縁 へ の 負 荷 の 集 中 や 動 的 不 安 定 性 に よ っ て , 関 節 軟 骨 の 消 失 に 伴 い 骨 頭 内 圧 の 上 昇 や 関 節 唇 の 断 裂 な ど が 生 じ 疼 痛 が 引 き 起 こ さ れ て い る . よ っ て , 保 存 的 治 療 で は 臼 蓋 荷 重 部 を 拡 大 さ せ る こ と が 出 来 な い 以 上 , 筋 力 強 化 な ど に よ り 股 関 節 の 安 定 性 を 向 上 さ せ る こ と が 重 要 で あ る . 変 形 性 股 関 節 症 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 20165)に よ る と ,変 形 性 股 関 節 症 に 対 す る 運 動 療 法 の 効 果 は ,Grade B(行うように推奨する)と され ている .運動療 法の効 果として,患者 教育 と 患 者 教 育 に 運 動 を 併 用 し た 2 群 を 12 週 間 の 運 動 療 法 を 行 っ た と こ ろ , 16 カ 月 後 の WOMAC の身体機能が 運動を併用していた群において改善をしていたこと 6)や 外 転 筋 力 強 化 訓 練 を 行 う こ と で ,歩 行 時 の 不 安 定 性 が 改 善 し 疼 痛 の 軽 減 が 認 め ら れ た と 報 告 7)さ れ て お り , 短 期 , 中 期 的 な 疼 痛 の 改 善 や 身 体 機 能 の 改 善 は 可 能 と 考 え ら れ る . さ ら に , 末 期 股 関 節 症 患 者 に 対 し て Jiggling(貧乏ゆすり)を行うと関節裂隙が拡大した症例が 16.2% で あ っ た こ と な ど も 報 告 8)さ れ て お り , 運 動 療 法 を 行 う こ と で 一 定 の 効 果 を 得 ら れ る こ と が 期 待 で き る .

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- 6 - 第 3 項 股関節安定化機構 股 関 節 の 安 定 性 に 重 要 な の は , 骨 頭 と 臼 蓋 の 適 合 性 , 関 節 包 や 靭 帯 , 股 関 節 周 囲 筋 で あ る . 股 関 節 は 荷 重 関 節 で あ り , 形 態 学 的 に は 大 き な 球 状 を し て い る 大 腿 骨 頭 と 深 い 臼 蓋 か ら 構 成 さ れ て い る 関 節 で あ る . 股 関 節 は 屈 曲 を す る た め に 臼 蓋 が 前 方 に 開 き 大 腿 骨 は 前 念 し て い る . そ の た め , 股 関 節 の 被 覆 率 は 前 額 面 よ り 矢 状 面 で は 低 く な っ て お り , 安 定 性 を 補 う た め に 腸 骨 大 腿 靭 帯 , 恥 骨 大 腿 靭 帯 , 坐 骨 大 腿 靭 帯 , さ ら に 大 腿 直 筋 の 反 回 頭 に よ っ て 股 関 節 前 面 が 補 強 さ れ 動 き が 制 限 さ れ て い る . さ ら に , 関 節 唇 な ど の 働 き に よ っ て 関 節 の 内 圧 が 陰 圧 と な り , 関 節 面 同 士 が 吸 着 し あ い 安 定 性 が 獲 得 さ れ て い る 9). ま た , 股 関 節 周 囲 筋 に お い て は 6 つの短外旋筋(梨状筋,上・下双子筋, 内閉鎖筋,外閉鎖筋,大腿方 形 筋 ) や 中 殿 筋 , 小 殿 筋 が 重 要 で あ り , こ れ ら の 筋 の 働 き に よ り 骨 頭 が 求 心 位 に 保 持 さ れ て 安 定 性 が 向 上 し て い る . 第 4 項 小殿筋の重要性 小 殿 筋 は , 中 殿 筋 の 深 層 に 位 置 し て お り , 外 転 筋 群 の 総 断 面 積 の 約 20%を占めている. 外 転 筋 力 を 比 で 表 す と , 中 殿 筋 (4):小殿筋(2):大腿筋膜張筋( 1)とされており 10) 今 ま で 軽 視 さ れ て き た . そ の 為 , 外 転 筋 機 能 不 全 の 要 因 は 中 殿 筋 で あ る と 捉 え ら れ る こ と が 多 か っ た . し か し , 小 殿 筋 の 走 行 は 大 腿 骨 頚 部 に 平 行 し て お り , 筋 作 用 を ベ ク ト ル で 表 す と 求 心 位 を 向 い て お り 11),股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る と 考 え ら れ て い る 11,12).ま た , PET や MRI を用いた先行研究 13-15)で は ,長 距 離 歩 行 後 や 片 脚 立 位 時 に は 中 殿 筋 よ り も 小 殿 筋 の 活 動 が 高 く な っ た こ と を 報 告 し て お り , 動 作 時 に お け る 小 殿 筋 の 働 き は 股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る と 考 え ら れ , 骨 盤 の 不 安 定 性 や 体 幹 の 動 揺 と い っ た 股 関 節 外 転 筋 機 能 不 全 に 対 し て は , 小 殿 筋 の 働 き を 考 慮 し な く て は な ら な い . 第 5 項 深層筋の筋活動に関する研究 深 層 筋 の 活 動 に 関 す る 報 告 は , 体 幹 に 着 目 し た 報 告 が 散 見 さ れ る . こ れ ら の 研 究 の 多 く は , 超 音 波 画 像 診 断 装 置 16,17)を 用 い て 筋 厚 を 計 測 し た り ,MRI を用いての筋断面積を調 べ る 18)研 究 で あ る .し か し ,超 音 波 画 像 診 断 装 置 で は ,動 作 時 の 活 動 を 時 系 列 的 に 評 価 す る こ と は 困 難 で あ る . 動 作 時 の 筋 活 動 を 時 系 列 に 分 析 す る た め に は , 表 面 筋 電 図 が 多 く 用 い ら れ て い る . し か し , 深 層 筋 を 表 面 電 極 で 記 録 す る と 表 層 筋 の ク ロ ス ト ー ク が 問 題 と な り , 深 層 筋 の 活 動 を 記 録 す る こ と は 困 難 で あ る . よ っ て , 深 層 筋 の 活 動 を 詳 細 に 評 価 す る た め に は ワ イ ヤ 電 極 を 用 い な く て は な ら な い . 近 年 ,ワ イ ヤ 電 極 を 用 い た 報 告 19,20)が 散 見 さ れ る よ う に な っ て き た .ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て , 投 球 動 作 や ジ ャ ン プ な ど 急 速 な 運 動 の 解 析 21,22) や体幹深層筋の筋活動について 23) ト レ ー ニ ン グ の 違 い に よ る 股 関 節 周 囲 筋 の 筋 活 動 の 変 化 24)な ど の 報 告 が さ れ て い る . さ

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ら に , 同 一 筋 に 複 数 の ワ イ ヤ 電 極 を 挿 入 し 筋 活 動 量 を 比 較 し た と こ ろ 筋 活 動 量 に 差 が 無 い こ と 25)や ,同 一 筋 で あ っ て も ワ イ ヤ 電 極 を 留 置 し た 筋 線 維 が 異 な る と 筋 活 動 パ タ ー ン が 異

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- 8 - 第 2 節 研究目的 本 研 究 の 目 的 は , 歩 行 時 や 片 脚 立 位 , 不 安 定 状 況 下 に お け る 片 脚 立 位 に お い て 小 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し , 中 殿 筋 の 筋 活 動 と 比 較 を 行 い , 筋 電 図 学 的 側 面 か ら 小 殿 筋 の 股 関 節 安 定 性 へ の 関 与 を 明 ら か に す る こ と で あ る . さ ら に , 等 張 性 外 転 運 動 に お け る 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し , 異 な る 負 荷 量 に お け る 筋 活 動 量 の 算 出 や 動 員 さ れ る 筋 線 維 タ イ プ の 推 測 か ら 適 切 な 負 荷 量 に つ い て の 検 討 を 行 い , 選 択 的 に 小 殿 筋 を 鍛 え る 為 の 筋 力 強 化 訓 練 方 法 を 明 ら か に す る こ と で あ る .

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- 9 - 第 3 節 論文構成 本 研 究 の 論 文 構 成 を 示 す . 第 1 章では,歩行時における小殿筋の筋活動を 各歩行周期別に検討を行った. 第 2 章では,様々な不安定状況下における片脚立位時の小殿筋筋活動を記録し,股関節 の 安 定 性 に 関 す る 重 要 性 を 明 ら か に し た . 第 3 章では,等張性 外転運動における小殿筋・中殿筋筋活動の比較を行い,小殿筋を選 択 的 に 鍛 え る 為 の 負 荷 量 に つ い て 検 討 を 行 っ た . 終 章 で は , 本 研 究 の 1 章,2 章,3 章の結果から,股関節深層筋 の働きの重要性とその ト レ ー ニ ン グ 方 法 に つ い て の 考 察 を 行 っ た .さ ら に 残 さ れ た 課 題 に つ い て の 考 察 を 行 っ た . な お ,第 3 章の等張性収縮における小殿筋筋活動と中殿筋筋活動の比較 -ワイヤ電極を 用 い て - は 理 学 療 法 科 学 に 投 稿 し 受 理 さ れ た 論 文 で あ る .

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1 章

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- 11 - 第 1 節 緒言 歩 行 時 に お け る 股 関 節 外 転 筋 の 活 動 は , 立 脚 期 に お い て 前 額 面 や 水 平 面 で 骨 盤 を 制 御 す る 役 割 が 知 ら れ て い る . 特 に 前 額 面 上 で 骨 盤 を 保 持 さ せ る 働 き と し て 中 殿 筋 の 筋 活 動 が 注 目 さ れ て き た . そ の た め , 変 形 性 股 関 節 症 例 で よ く 見 ら れ る Trendelenburg 兆 候 や Duchenne 歩行など異常な跛行が認められると,中殿 筋の筋力強化訓練を行い股関節の安 定 性 を 獲 得 し よ う と す る 訓 練 が 一 般 的 に 行 わ れ て い る .し か し ,PET を用いた先行研究に よ る と , 健 常 成 人 に お い て 長 時 間 の 歩 行 後 , 殿 筋 群 の 中 で 最 も 活 動 し て い た の は 小 殿 筋 で あ っ た こ と 13,14)が 報 告 さ れ て い る .こ の よ う に ,歩 行 時 に お け る 股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る の は 中 殿 筋 だ け で な く , 小 殿 筋 の 活 動 に も 注 目 す る 必 要 が あ る が , 小 殿 筋 は 深 層 に 位 置 し て い る た め に 表 面 電 極 で は 活 動 を 記 録 す る こ と が 困 難 で あ り , 筋 電 図 学 的 に 分 析 を さ れ た 報 告 は 非 常 に 少 な い .さ ら に ,PET では歩行中の筋活動を時系列に比較することは 行 え な い . よ っ て , 歩 行 周 期 の ど の タ イ ミ ン グ で 小 殿 筋 が 最 も 活 動 し て い る か な ど 小 殿 筋 の 活 動 動 態 は 明 ら か に さ れ て い な い . さ ら に , 歩 行 中 に お け る 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 の 違 い に つ い て も 明 ら か で な い . 変 形 性 股 関 節 症 例 と 健 常 者 の 歩 行 時 筋 活 動 動 態 に お い て は , 中 殿 筋 の 筋 活 動 に 着 目 し た 報 告 が 多 く さ れ て き た . 加 藤 に よ る と 変 形 性 股 関 節 症 例 は 健 常 者 の 歩 行 に 比 べ , 中 殿 筋 が 最 も 働 く タ イ ミ ン グ や 動 員 さ れ て い る 筋 線 維 タ イ プ が 異 な る こ と 27)を 報 告 し て い る .そ の た め , 動 員 さ れ て い る 筋 線 維 タ イ プ を 考 慮 し た 訓 練 を 行 う こ と が 重 要 で あ る . 筋 線 維 組 成 比 率 を 推 察 す る 一 つ の 方 法 と し て 筋 電 図 周 波 数 解 析 が あ る . 代 表 的 な 周 波 数 解 析 と し て 高 速 フ ー リ エ 変 換 (Fast Fourier Transform:FFT)が周知されている .しかし,FFT での 解 析 に は 一 定 期 間 波 形 に ば ら つ き が な い こ と が 前 提 で あ る の で 静 的 な 運 動 し か 解 析 す る こ と が で き な い .そ の た め ,動 作 時 筋 活 動 は 今 ま で 解 析 す る こ と が 困 難 で あ っ た .近 年 ,FFT で 得 ら れ た 周 波 数 解 析 の 結 果 に 時 間 情 報 も 一 緒 に 含 ん で 解 析 を 行 う こ と が で き る Wavelet 変 換 を 用 い た 周 波 数 解 析 方 法 が 報 告 さ れ て い る .こ の Wavelet 変換を用いた周波数解析で は 動 的 な 歩 行 27)や 膝 伸 展 運 動 28)な ど に お い て 解 析 が 可 能 で あ っ た こ と が 報 告 さ れ て い る .

周 波 数 解 析 か ら 得 ら れ る 平 均 周 波 数 (Mean Power Frequency:MPF)は,タイプⅠ線維 が 多 い と MPF が低下するとされており 29), 低 周 波 成 分 は タ イ プ Ⅰ 線 維 を , 高 周 波 成 分 は タ イ プ Ⅱ 線 維 を 反 映 し て い る . さ ら に , 歩 行 中 MPF の高値はタイプⅡ線維の筋線維径が 大 き い こ と 30)が 報 告 さ れ て お り ,周 波 数 解 析 に よ っ て 筋 線 維 タ イ プ や 組 織 形 態 学 的 特 徴 を 推 測 す る こ と が 出 来 る も の と 考 え ら れ る . 深 層 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し 分 析 す る 方 法 と し て , 非 侵 襲 的 な MRI や超音波画像診断装置 を 用 い て 運 動 学 的 な 検 討 が さ れ て き た 16-18).ま た ,近 年 に お い て ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て の 研 究 も さ れ て い る 20-23).こ の ワ イ ヤ 電 極 を 用 い た 研 究 で は ,体 幹 深 層 筋 の 活 動 な ど 記 録 し 表 面 電 極 で は 分 か ら な い 活 動 が 明 ら か と な っ て い る 22,23) そ こ で , 本 研 究 の 目 的 は , 歩 行 中 の 小 殿 筋 筋 活 動 を 記 録 し , 各 歩 行 周 期 に お け る 活 動 量 の 変 化 と 動 員 さ れ て い る 筋 線 維 タ イ プ を 検 討 し , 歩 行 時 に お け る 小 殿 筋 の 筋 活 動 動 態 を 明

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ら か に す る こ と で あ る . ま た , 中 殿 筋 の 筋 活 動 と も 比 較 を 行 い , 歩 行 中 に お け る 中 殿 筋 と 機 能 的 な 役 割 の 違 い を 検 討 す る こ と で あ る .

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- 13 - 第 2 節 方法 第 1 項 対象 本 研 究 の 被 験 者 は ,健 常 成 人 男 性 6 名,女性 6 名の計 12 名で平均年齢は 26.1 歳であっ た . 下 肢 疾 患 や 腰 部 疾 患 が あ る も の は 除 外 し て い る . 倫 理 的 配 慮 と し て 高 知 大 学 病 院 倫 理 委 員 会(26-29)吉備国際大学倫理委員会( 14-39)の承認を得たのちに,研究の主旨につ い て 十 分 に 説 明 し , 書 面 で の 同 意 が 得 ら れ た 上 で 実 検 を 行 っ た . 第 2 項 実験方法 被 検 筋 は 小 殿 筋 と 中 殿 筋 と し た( 図 1).股関節深層筋である小殿筋は超音波画像診断装 置 (SonoSite 社製) にて筋の位置を同定してから電極を留置した (図 2).使用したワイ ヤ 電 極 は ウ レ タ ン コ ー テ ィ ン グ さ れ た 直 径 0.1 mm のステンレス線(ユニークメディカル 社 製 ) で , 先 端 の 0.5 mm だけコーティングを剥がし通電できるようにした .電極間距離 が 2 mm になるように貼り合わせ,双極誘導ができるようにした .1 本のワイヤ電極は 22 G のカテラン針に通した後,先を折り返し被検筋に引っかかるようにした .ワイヤ電極は カ テ ラ ン 針 に 通 し た 後 , ガ ス 滅 菌 処 理 を し て 使 用 し た . な お , ワ イ ヤ 電 極 の 留 置 は 整 形 外 科 医 に よ っ て 施 行 し た . 図 1 . ワ イ ヤ 電 極 の 挿 入 部 図 2.超音波画像

小殿筋

中殿筋

中殿筋

小殿筋

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- 14 - 筋 電 図 の 記 録 は ,筋 電 図 シ ス テ ム WEK-K214(ユニークメディカル社製)を用い,サン プ リ ン グ 周 波 数 は 2000 Hz にてパソコンに取り込んだ.10m の歩行路を通常歩行にて歩行 し て も ら い , 踵 骨 部 と 前 足 部 に フ ッ ト ス イ ッ チ を 設 置 し , フ ッ ト ス イ ッ チ の 波 形 か ら 歩 行 開 始 直 後 ,終 了 直 前 の 2 歩行周期を除く波形の安定した 3 歩行周期を選択した(図 3).さ ら に , フ ッ ト ス イ ッ チ の 波 形 か ら 立 脚 期 と 遊 脚 期 を 同 定 し た . 図 3.筋電図の記録画像

1 歩 行周期

立 脚 期 遊 脚 期

小殿 筋

中殿 筋

踵 骨部 Foot switch

前 足部 Foot

switch

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- 15 - 第 3 項 解析方法 ま ず 筋 活 動 量 を 求 め る た め の 積 分 筋 電 図 解 析 (Integrated electromyography:IEMG) と 活 動 し て い る 筋 線 維 タ イ プ を 推 定 す る た め に Wavelet 周波数解析を行った.IEMG の算 出 は BIMUTAS(キッセイコムテック社製)を使用し, 20-1,000 Hz のバンドパスフィル タ - を 通 し た 後 に 解 析 を 行 っ た . ま た , 数 値 解 析 ソ フ ト ウ ェ ア MATLABR2007a (MathWorks 社 製 ) を 用 い て Wavelet 周 波 数 解 析 を 行 い , 平 均 周 波 数 ( Mean Power Frequency:MPF)の算出を行った.解析周波数帯域は,31.25~1,000 Hz とし,50msec 間 隔 で 解 析 を 行 っ た .IEMG は,最大随意収縮時の値に対する相対値(%IEMG)にして 比 較 し た .ま た ,立 脚 期 時 間 ,遊 脚 期 時 間 を 補 正 し ,階 級 幅 10%で分割を行い各歩行周期 に お け る %IEMG,MPF の算出を行った(図 4). 図4.解析方法

10%

10%

立 脚 期 遊 脚 期

10%

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- 16 - 第 4 項 統計解析 統 計 解 析 は , 小 殿 筋 , 中 殿 筋 そ れ ぞ れ に お け る%IEMG と MPF を各歩行周期で 一元配 置 分 散 分 析 を 行 い ,そ の 後 ,Tukey 法の多重比較検定を行った.さらに,各歩行周期にお け る 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の%IEMG,MPF を対応のある t 検定で比較した. 統 計 解 析 は ,IBM 社製ソフトウェア SPSS(Ver15.0)を使用して行った.なお,統計 学 的 有 意 水 準 は 全 て 5%とした.

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- 17 - 第 3 節 結果 第 1 項 筋活動量(表 3) 小 殿 筋 の 筋 活 動 動 態 は , 遊 脚 終 期 か ら 踵 接 地 直 後 , 立 脚 初 期 に か け て 上 昇 し , 最 も 筋 活 動 量 が 高 く な り そ の 後 徐 々 に 低 下 し た (p<0.01). この 筋活 動動 態 は 中殿 筋と 同様 であっ た .ま た ,最 も 筋 活 動 量 が 高 か っ た 立 脚 初 期 で は 小 殿 筋 が 39.1%,中殿筋が 40.9%であっ た . 各 歩 行 周 期 に お い て 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 量 に 有 意 な 差 は 認 め ら れ な か っ た . 表 3.各歩行周期における%IEMG 遊 脚 期 立 脚 期 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 小 殿 筋 %IEMG 12.2 39.1 37.4 17.2 15.0 14.3 11.2 4.0 3.7 4.3 7.2 SD 6.4 22.7 30.4 16.6 9.1 9.7 5.3 3.6 2.7 5.2 9.2 p 値 * * † † † † † † † † 中 殿 筋 %IEMG 19.5 40.9 34.3 19.0 15.0 12.9 10.4 6.0 5.5 10.7 9.5 SD 14.7 24.9 25.4 16.2 12.9 11.4 8.2 4.9 4.8 20.8 16.9 p 値 † † † † † † † † * :p<0.05 VS 遊脚期 100% † :p<0.05 VS 立脚期 10%

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- 18 - 第 2 項 平均周波数 (表 4) 小 殿 筋 , 中 殿 筋 と も に 踵 接 地 直 後 か ら 立 脚 初 期 に お い て MPF が高くなったが,統計学 的 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た . ま た , 立 脚 期 の 70%では,小殿筋の MPF が中殿筋よりも 有 意 に 低 く(p<0.05),歩行周期を通して小殿筋の方が中殿筋よりも MPF が低い傾向を示 し た . 表 4.各歩行周期における MPF 遊 脚 期 立 脚 期 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 小 殿 筋 MPF 411.5 435.9 435.4 403.7 382.2 388.3 385.0 359.7 366.5 361.3 385.7 SD 75.9 57.2 44.3 56.7 80.3 47.4 62.1 59.4 83.9 77.1 65.0 p 値 * 中 殿 筋 MPF 427.4 417.3 447.4 409.9 412.6 439.0 407.2 420.9 404.6 379.4 405.6 SD 37.9 46.1 60.9 50.5 55.2 69.1 44.2 59.4 60.7 75.4 87.5 * :p<0.05 VS 中 殿 筋 立 脚 期 70%

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- 19 - 第 4 節 考察 股 関 節 深 層 筋 で あ る 小 殿 筋 の 機 能 的 役 割 は 死 体 標 本 を 用 い て 検 討 さ れ て お り , 骨 頭 を 求 心 位 に 保 持 す る 働 き が あ る と 考 え ら れ て い る 11,12).そ の た め ,変 形 性 股 関 節 症 例 で 観 ら れ る Trendelenburg 兆候や Duchenne 歩行など股関節外転筋機能不全を認める場合,中殿筋 だ け で な く 小 殿 筋 の 活 動 に つ い て も 着 目 す る 必 要 が あ る . し か し , 歩 行 時 の 筋 活 動 を 記 録 し た 多 く の 研 究 は 中 殿 筋 や 大 腿 筋 膜 張 筋 に 着 目 し て お り 31),ま た ,中 殿 筋 と 小 殿 筋 の 分 析 が 試 み ら れ た が ,中 殿 筋 の 分 析 結 果 し か 得 ら れ な か っ た た め 32),小 殿 筋 の 筋 活 動 に 関 し て は 詳 細 な 分 析 が さ れ て い な い . こ の よ う に , 解 剖 学 的 に は 筋 線 維 走 行 に つ い て 検 討 さ れ て い る が , 機 能 的 役 割 の 違 い に つ い て は 明 ら か に さ れ て い な い . 近 年 , 深 層 筋 の 筋 活 動 を 調 べ る た め に , ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て 腹 横 筋 や 多 裂 筋 な ど 今 ま で 表 面 電 極 で は 計 測 で き な か っ た 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し た 22,23)報 告 が 散 見 さ れ る よ う に な っ た .さ ら に ,投 球 動 作 な ど 早 い 動 き に 対 し て も 筋 活 動 の 記 録 が で き る こ と が 確 認 さ れ て い る 21).し か し ,ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て , 股 関 節 深 層 筋 で あ る 小 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し , 詳 細 な 分 析 を 行 っ た 報 告 は 非 常 に 少 な い . 本 実 験 か ら 得 ら れ た 小 殿 筋 の 筋 活 動 動 態 は 中 殿 筋 と 同 様 で , 立 脚 初 期 に 最 も 活 動 し そ の 後 徐 々 に 減 少 し て い た .Oi13)は ,歩 行 中 の 殿 筋 群 で は 小 殿 筋 が 最 も 活 動 し て い た と 報 告 し て い る が ,PET では時系列的 に筋活動を分析することができない .よって,今回の結果か ら , 各 歩 行 周 期 に お け る 筋 活 動 が 明 ら か と な り , さ ら に 筋 電 図 学 的 に 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 動 態 が 同 じ で あ る こ と が 示 さ れ た . ま た , 小 殿 筋 が 最 も 活 動 し て い た 立 脚 初 期 の 筋 活 動 量 は 39.0%で,中殿筋が 40.9%とほぼ同様であった.よって,小殿筋は骨盤を水平に保 持 す る た め に ,中 殿 筋 と 同 様 に 重 要 で あ る こ と が 考 え ら れ る .さ ら に ,田 原 33)は 筋 骨 格 シ ュ ミ レ ー シ ョ ン を 用 い て , 変 形 性 股 関 節 症 例 と 健 常 症 例 の 歩 行 中 に 働 く 股 関 節 外 転 筋 力 を 比 べ た 結 果 , 健 常 者 の 場 合 は 中 殿 筋 の 方 が 小 殿 筋 よ り も 筋 力 が 高 か っ た が , 変 形 性 股 関 節 症 例 の 場 合 は 逆 で あ っ た と 報 告 し ,健 常 者 に 対 し 変 形 性 股 関 節 症 例 の 中 殿 筋 筋 力 は 約 0.76 倍 で , 小 殿 筋 が 約 2.1 倍であった.以上より 変形性股関節症例においてはさらに小殿筋の 働 き が 重 要 で あ る こ と が 予 測 さ れ る . 次 に 周 波 数 解 析 の 結 果 で は , 小 殿 筋 の MPF が中殿筋よりも低い傾向を示し ていた.周 波 数 解 析 か ら 得 ら れ る MPF と運動単位の関係性は,総線維数に対してタイプⅠ線維が 少 な い と 周 波 数 が 低 下 す る と さ れ て お り 29),低 周 波 成 分 は タ イ プ Ⅰ 線 維 を ,高 周 波 成 分 は タ イ プ Ⅱ 線 維 を 反 映 し て い る . よ っ て , 今 回 歩 行 中 に 動 員 さ れ た 筋 線 維 タ イ プ は , 小 殿 筋 の 方 が 中 殿 筋 よ り も タ イ プ Ⅰ 線 維 が 多 く 動 員 さ れ て い る の で は な い か と 考 え ら れ る . 組 織 学 的 に は 中 殿 筋 の 筋 線 維 タ イ プ に 関 す る 報 告 34)は 散 見 さ れ る が ,人 の 小 殿 筋 の 筋 線 維 タ イ プ に 関 す る 報 告 は 我 々 が 渉 猟 し 得 た 範 囲 で は 無 く , 今 後 は 組 織 学 的 側 面 か ら も 研 究 を 行 っ て い く 必 要 が あ る . さ ら に , 小 殿 筋 の 歩 行 時 に お け る 筋 活 動 は 前 部 線 維 と 後 部 線 維 と で 異 な る 26)と の 報 告 も あ り ,今 後 筋 線 維 間 に お け る 機 能 的 な 違 い に つ い て も 周 波 数 解 析 な ど を 含 め て 詳 細 に 検 討 し て い く 必 要 が あ る .

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- 20 - 最 後 に , 本 研 究 の 限 界 と し て , 対 象 者 が 健 常 症 例 で あ る た め , 跛 行 を 認 め る 変 形 性 股 関 節 症 例 な ど に お け る 小 殿 筋 の 機 能 的 な 役 割 は 不 明 で あ る . 変 形 性 股 関 節 症 例 の 小 殿 筋 は , 筋 断 面 積 が 減 少 し て い る な ど 35),筋 萎 縮 が お き て い る こ と が 分 か っ て い る .よ っ て 形 態 学 的 に 変 化 を き た し て い る こ と か ら , 健 常 症 例 と 筋 活 動 が 異 な る こ と が 推 察 で き る . 今 後 , 変 形 性 股 関 節 症 例 な ど に 認 め ら れ る 跛 行 時 に お い て の 筋 活 動 と 比 較 を し て い か な く て は な ら な い .

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- 21 - 第 5 節 結語 本 研 究 は ,歩 行 時 に お け る 小 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し ,積 分 筋 電 図 解 析 と Wavelet 周波数 解 析 を 行 い 筋 活 動 量 の 算 出 , 動 員 さ れ て い る 筋 線 維 タ イ プ の 推 測 を 行 っ た . そ の 結 果 , 小 殿 筋 筋 活 動 動 態 は 中 殿 筋 と 同 様 で あ り , 立 脚 初 期 に 中 殿 筋 と 同 等 の 筋 活 動 量 で あ っ た こ と が 明 ら か と な っ た . ま た , 動 員 さ れ て い る 筋 線 維 タ イ プ は 中 殿 筋 よ り も タ イ プ Ⅰ 線 維 が 多 い 可 能 性 が 考 え ら れ た .

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2 章

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- 23 - 第 1 節 緒言 股 関 節 安 定 化 機 構 で あ る 股 関 節 深 層 筋 に 着 目 し た 報 告 が 散 見 さ れ , 深 層 筋 で あ る 小 殿 筋 は 股 関 節 に 安 定 を も た ら す 働 き が あ る と さ れ て い る .PET や MRI を用いた研究では,歩 行 や 片 脚 立 位 時 に は 中 殿 筋 よ り も 小 殿 筋 の 活 動 が 高 い 13-15)と 報 告 さ れ て お り ,変 形 性 股 関 節 症 で み ら れ る 股 関 節 外 転 筋 機 能 不 全 に 対 し て は , 深 層 筋 の 働 き を 考 慮 し な く て は な ら な い . 我 々 は 小 殿 筋 に ワ イ ヤ 電 極 を 留 置 し , 小 殿 筋 の 筋 活 動 を 分 析 し て き た . そ の 結 果 , 筋 活 動 動 態 に お い て 小 殿 筋 は 中 殿 筋 と 同 様 で あ り , 筋 活 動 量 が 歩 行 立 脚 初 期 に お い て 最 も 大 き く , 中 殿 筋 と 同 等 で あ る こ と を 明 ら か に し た . こ の こ と か ら , 筋 電 図 学 的 に 小 殿 筋 が 股 関 節 の 安 定 に 関 与 し , 中 殿 筋 と 同 等 の 働 き を し て い る こ と が 示 唆 さ れ た . さ ら に , 小 殿 筋 の 筋 線 維 の 走 行 は , 中 殿 筋 よ り も 求 心 位 方 向 を 向 い て お り , 解 剖 学 的 に も 安 定 性 に 関 与 し て い る こ と 11,12)が 考 え ら れ る . 臨 床 に お い て 人 工 股 関 節 全 置 換 術 後 運 動 療 法 は , 歩 行 能 力 の 向 上 を 目 的 と し て 行 わ れ て お り , 単 脚 支 持 期 の 安 定 性 を 向 上 さ せ る た め に 片 脚 立 位 時 間 を 延 長 さ せ る こ と を 一 つ の 指 標 と し て い る . そ こ で , 本 研 究 の 目 的 は , 安 定 平 面 で あ る 平 地 や 不 安 定 な 状 況 下 に お け る 片 脚 立 位 に お い て 小 殿 筋 の 筋 活 動 を 比 較 し , 小 殿 筋 が 股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る か さ ら に 検 証 を す す め る こ と で あ る .

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- 24 - 第 2 節 方法 第 1 項 対象 対 象 は ,健 常 成 人 13 名(男性 7 名,女性 6 名)で,平均年齢 21.6 歳であった.下肢疾 患 や 腰 部 疾 患 が あ る も の は 除 外 を し て い る . 倫 理 的 配 慮 と し て 吉 備 国 際 大 学 倫 理 委 員 会 (16-24) の承 認 を得 たの ち に, 研究 の 主旨 につ い て十 分に 説 明し ,書 面で の 同意 が 得ら れ た 上 で 実 検 を 行 っ た . 第 2 項 実験方法 被 検 筋 を 小 殿 筋 と 中 殿 筋 と し , 電 極 の 留 置 場 所 は , 小 殿 筋 が 腸 骨 稜 の 中 点 と 大 転 子 を 結 ん だ 中 点 に ,中 殿 筋 が 腸 骨 稜 の 中 点 よ り 2.5cm 遠位とした.ワイヤ電極は,ウレタンコー テ ィ ン グ さ れ た 直 径 0.1 mm のステンレス線で,先端の 0.5 mm だけコーティングを剥が し 通 電 で き る よ う に し ,電 極 間 距 離 は 2 mm になるように貼り合わせ,双極誘導ができる よ う に し て い る .1 本のワイヤ電極は 22 G のカテラン針に通した後,ガス滅菌処理をし て 使 用 し た . な お , 電 極 の 留 置 は 整 形 外 科 医 が 行 っ て い る . 筋 電 図 の 記 録 は , 筋 電 図 シ ス テ ム WEK-K214(ユニークメディカル社製)を用い,サンプリング周波数は 2000 Hz に て パ ソ コ ン に 取 り 込 ん だ . 測 定 課 題 は ,3 条件下での片脚立位を行った .3 条件とは,平地,AIREX(バランスマッ ト ),BOSE(半球のバランスボール)である(図 3).片脚立位は,ボールを蹴る脚の対側を 支 持 脚 と し 5 秒間行い記録した. 図3.計測課題 左 図 : 平 地 片 脚 立 位 中 図 :AIREX 右図:BOSE

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- 25 - 第 3 項 解析方法 解 析 は 片 脚 立 位 の 開 始 と 終 了 の1 秒を除く 3 秒間の積分筋電図解析行い積分値(IEMG) を 算 出 し た .IEMG の算出には ,キッセイコムテック社製の BIMUTAS を使用し, 20-1,000 Hz のバンドパスフィルタ-を通した後に IEMG の算出をした.また,算出した積分値は, 最 大 随 意 収 縮 時 の 値 に 対 す る 相 対 値 (%IEMG)にて比較を行った . 第 4 項 統計解析 3 条件における 小殿筋と中殿筋それぞれにおける筋活動量 を,一元配置分散分析法を用 い て 比 較 し た . そ の 後 ,Tukey の多重比較検定を行った .また,3 条件にて小殿筋と中殿 筋 の 筋 活 動 量 を 対 応 の あ る t 検定で比較した . 次 に ,男 女 別 に 分 類 し 3 条件における小殿筋,中殿筋のそれぞれの比較を一元配置分散 分 析 で 行 い ,そ の 後 Tukey 法の多重比較検定を行った.さらに,各条件下それぞれにおけ る 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 差 を 対 応 あ る t 検定で比較した . 統 計 学 的 処 理 は ,SPSS (Ver 15.0)を使用し,有意水準は 5%未満とした .

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- 26 - 第 3 節 結果 第 1 項 全体の%IEMG 平 地 で の 片 脚 立 位 ,バ ラ ン ス ク ッ シ ョ ン(AIREX)上での片脚立位,半球のバランスボ ー ル (BOSE)上での 片脚立位とより不安定 な状況になると,有意 差は認めなかった が小 殿 筋 ・ 中 殿 筋 と も に 筋 活 動 量 が 増 加 し た .( 表 1 ) 表 1.全体の結果 平均 値 標準 偏差 p 値 平地 小殿 筋 29.3 15.9 n.s 中殿 筋 34.0 19.3 AIREX 小殿 筋 30.2 16.3 n.s 中殿 筋 36.9 17.1 BOSE 小殿 筋 38.7 22.1 n.s 中殿 筋 42.4 22.9

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- 27 - 第 2 項 男女別の%IEMG 男 性 女 性 そ れ ぞ れ の 3 条件下における筋活動を比べると ,女性では不安定な状況が増す と 小 殿 筋 の 筋 活 動 量 が 有 意 に 高 く な っ た(p<0.05).しかし,男性では特に差を認めなかっ た . 中 殿 筋 に お い て は 男 女 共 に 有 意 差 を 認 め な か っ た . ま た ,男 女 の 差 を 検 定 す る と ,BOSE での片脚立位においは 小殿筋の筋活動量が男性よ り 女 性 の 方 が 有 意 に 高 く な っ た(p<0.05).(表 2) 表 2 男女別の結果 平均 値 標準 偏差 p 値 男性 平地 小殿 筋 32.7 20.4 n.s 中殿 筋 30.1 20.4 n.s AIREX 小殿 筋 32.9 17.5 n.s 中殿 筋 36.7 20.1 n.s BOSE 小殿 筋 27.4 14.1 n.s 中殿 筋 43.9 29.3 n.s 女性 平地 小殿 筋 25.4 8.5 * 中殿 筋 38.6 18.7 n.s AIREX 小殿 筋 27.1 15.8 n.s 中殿 筋 37.2 14.7 n.s BOSE 小殿 筋 51.9 23.4 † 中殿 筋 40.6 15.0 n.s * :<0.05 VS 女性 BOSE 小殿筋 † :<0.05 VS 男性 BOSE 小殿筋

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- 28 - 第 4 節 考察 片 脚 立 位 は 転 倒 予 防 の た め の 指 標 や 脳 卒 中 後 に お け る 歩 行 能 力 の 予 測 36)な ど に 用 い ら れ て お り , 姿 勢 制 御 の 評 価 方 法 の 一 つ と し て リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 様 々 な 分 野 で 使 用 さ れ て い る 評 価 方 法 の 1 つである .また,人工股関節全置換術後の機能評価として,入院中の 約 2 割程度の患者では片脚立位が保持できない 37)と も 報 告 さ れ て お り ,歩 行 能 力 の 向 上 を 目 指 す た め に , 片 脚 立 位 を 安 定 さ れ る こ と を 目 的 と し た 運 動 療 法 は 多 く の 施 設 で 実 施 さ れ て い る . 片 脚 立 位 を 保 持 す る た め に は , 前 額 面 上 の 股 関 節 外 転 筋 の 筋 活 動 が 重 要 で あ る . Kumagai によると,片脚立位 5 分後の輝度変化を調べると中殿筋よりも小殿筋の方 が MRI の 輝 度 が 高 く な っ て い た 15)と 報 告 し て い る .さ ら に ,我 々 が 行 っ た ワ イ ヤ 電 極 を 用 い た 片 脚 立 位 時 の 小 殿 筋 , 中 殿 筋 の 筋 活 動 の 記 録 で も , 小 殿 筋 の 方 が 中 殿 筋 よ り も 筋 活 動 量 が 高 か っ た こ と 20)を 報 告 し て い る .よ っ て ,片 脚 立 位 で は 小 殿 筋 が 骨 頭 を 求 心 位 に 保 持 し 股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る こ と が 考 え ら れ る . 今 回 , よ り 不 安 定 な 状 況 に な る と , 小 殿 筋 の 筋 活 動 量 は 増 加 し , そ の 特 徴 は 女 性 に 顕 著 に 見 ら れ た . 藤 井 に よ る と ,18~60 歳までの股関節形態に異常がない 754 人(男性 340 人 , 女 性 414 人)を対象に,骨盤 形態を調べた結果,男性より女性の方が, CE 角が小さ く AHI が低いこと 38)を 報 告 し て い る 。 こ の こ と は , 健 常 人 に お い て も 臼 蓋 が 女 性 で は 浅 く , 骨 頭 の 被 覆 率 が 低 い こ と を 示 し て い る . そ の た め 女 性 で は 特 に , 股 関 節 の 安 定 性 の 獲 得 は , 筋 の 活 動 に 依 存 し て い る の で は な い か と 考 え ら れ る . 片 脚 立 位 で は 股 関 節 に か か る 合 力 は 体 重 の 約 3 倍であり,股関節へ大きな負担をかけることになる 39).さ ら に ,股 関 節 周 囲 筋 の 収 縮 力 な ど か ら な る 関 節 応 力 は 上 方 へ 働 く た め 40),臼 蓋 形 成 不 全 な ど に よ り 被 覆 率 が 低 下 し て い る 場 合 は 臼 蓋 外 側 縁 の 荷 重 部 に 対 し て ス ト レ ス が 掛 か る と 考 え ら れ , 疼 痛 な ど を 助 長 す る と 思 わ れ る . し か し , 小 殿 筋 の 筋 作 用 の ベ ク ト ル は 求 心 位 へ 向 い て い る た め , 収 縮 力 が 高 け れ ば 関 節 応 力 は 内 方 化 で き る と 考 え ら れ る . よ っ て 片 脚 立 位 時 に 小 殿 筋 の 活 動 を 高 め る こ と は , 疼 痛 を 軽 減 さ せ る こ と に 繋 が る と 考 え ら れ る . さ ら に ,最 も 不 安 定 な 状 況 下 で あ る BOSE 上では,男性よりも女性における小殿筋の筋 活 動 量 が 著 明 に 高 か っ た . 骨 盤 の 形 態 に は 性 差 が あ り , 女 性 の 方 が 骨 盤 が 広 い た め , 骨 頭 中 心 か ら 重 心 軸 ま で の 距 離 が 長 い . よ っ て , 骨 頭 中 心 を 支 点 に モ ー メ ン ト が 吊 り 合 わ な い と 骨 盤 の 水 平 保 持 が で き な い た め ,女 性 の 方 が よ り 大 き い 外 転 筋 力 が 必 要 で あ る .さ ら に , 不 安 定 状 況 下 で は よ り 骨 頭 を 求 心 位 に 保 持 し 安 定 さ せ る 必 要 が あ る た め , そ の 二 つ の 機 能 的 役 割 が あ る 小 殿 筋 の 活 動 が 高 く な っ た と 考 え ら れ る . 以 上 よ り , 小 殿 筋 は 股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し , そ の 役 割 は 特 に 女 性 に お い て は 重 要 で あ る . よ っ て 変 形 性 股 関 節 症 に 対 す る 運 動 療 法 で は , 小 殿 筋 の 筋 力 強 化 訓 練 を 目 的 と し た ト レ ー ニ ン グ を 行 っ て い く こ と で よ り 股 関 節 の 安 定 性 が 獲 得 で き る と 考 え ら れ る . 本 研 究 の 限 界 と し て , 片 脚 立 位 を 保 持 す る た め に は 股 関 節 機 能 だ け で な く 足 関 節 機 能 や 体 幹 筋 の 活 動 も 重 要 で あ る が 今 回 は 検 討 が 出 来 て い な い . 特 に 股 関 節 と 脊 椎 は 関 連 性 が あ

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- 29 - り , 骨 盤 の 水 平 保 持 が で き な い 場 合 , 体 幹 な ど が 代 償 す る こ と が 容 易 に 推 察 で き る . 今 後 は ,3 次元動作解析など用いて骨盤の傾斜に関して評価を行い,さらに体幹筋の活動など を 踏 ま え た 上 で 検 討 を し て い く 必 要 が あ る . ま た , 今 回 は あ く ま で も 健 常 症 例 に お い て の 筋 活 動 を 記 録 し 解 析 し た だ け で あ り , 今 後 は 変 形 性 股 関 節 症 例 な ど , 形 態 学 的 に 不 安 定 な 場 合 の 小 殿 筋 筋 活 動 を 記 録 し 解 析 す る 必 要 が あ る .

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- 30 - 第 5 節 結語 本 研 究 よ り , 小 殿 筋 は 骨 頭 を 求 心 位 に 保 持 し , 股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る . ま た , こ の 小 殿 筋 の 機 能 的 な 役 割 は , 股 関 節 が 形 態 学 的 に 安 定 性 を 獲 得 で き な い 場 合 に 顕 著 に み と め ら れ る と 考 え ら え ら れ る . そ の た め , 小 殿 筋 の 筋 力 を 向 上 で き る よ う な 運 動 療 法 を お こ な っ て い く こ と が 重 要 で あ る と 考 え る .

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- 31 -

3 章

等張性収縮における小殿筋筋活動と中殿筋筋活動

の比較

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- 32 - 第 1 節 緒言 股 関 節 深 層 筋 で あ る 小 殿 筋 は , 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る 41). MRI や PET を用い た 研 究 で は ,片 脚 立 位 や 歩 行 後 に 中 殿 筋 よ り も 小 殿 筋 の 方 が 高 い 活 動 を 認 め た 13-15)と 報 告 さ れ て い る . こ れ ら か ら , 小 殿 筋 は 片 脚 立 位 や 歩 行 に お い て 重 要 な 働 き を 担 っ て い る と 考 え ら れ る . ま た , 外 転 筋 の 筋 線 維 走 行 は , 中 殿 筋 前 部 線 維 , 中 部 線 維 は 水 平 面 に 対 し ほ ぼ 垂 直 に 走 行 し て お り ,小 殿 筋 と 中 殿 筋 後 部 線 維 は 大 腿 骨 頚 部 と 平 行 に 走 行 し て い る 11).故 に , 今 ま で 一 般 的 に 行 わ れ て き た 中 殿 筋 に 着 目 し て の 筋 力 強 化 訓 練 で は , 寛 骨 臼 の 荷 重 部 に 対 し 骨 頭 を 押 し 付 け , ス ト レ ス を 与 え る 恐 れ が あ る . し か し , 小 殿 筋 の 筋 線 維 走 行 は 股 関 節 求 心 位 方 向 へ 向 い て い る た め , 荷 重 部 へ の ス ト レ ス を 軽 減 さ せ て 外 転 筋 の 強 化 訓 練 が で き る 可 能 性 が あ り , 中 殿 筋 に 対 し 小 殿 筋 を 優 位 に 筋 力 強 化 さ せ る こ と が 重 要 と 考 え ら れ る . 小 殿 筋 の 筋 力 強 化 訓 練 の 方 法 に 関 連 す る こ と と し て , 等 尺 性 外 転 運 動 に お い て 股 関 節 伸 展 10°と外転 20°での低負荷運動により小殿筋の収縮率が高くなり,股関節伸展位,外 転 位 の ど ち ら か で 訓 練 を 行 う こ と が 良 い 42)と の 報 告 が あ る .ま た ,我 々 は 等 尺 性 外 転 運 動 で は 股 関 節 外 転0°に比べ外転 20°で小殿筋の筋活動が高くなる43)こ と を 明 ら か に し て い る . 日 常 生 活 で は 動 的 な 動 作 が 多 く , 様 々 な 角 度 で の 筋 力 発 揮 が 必 要 で あ る . 等 張 性 運 動 は 関 節 運 動 を 伴 っ た 筋 力 強 化 訓 練 で あ り , 異 な る 角 度 で の 筋 力 増 強 効 果 が 期 待 で き , 臨 床 で は 多 く 行 わ れ て い る . し か し , 等 張 性 運 動 に お け る 小 殿 筋 の 筋 活 動 に つ い て の 報 告 は な い .一 方 ,加 藤 44)は 股 関 節 疾 患 患 者 の 組 織 学 的 研 究 か ら ,中 殿 筋 は 病 期 の 進 行 に よ り type Ⅱ 線 維 の 萎 縮 を 認 め る た め , 筋 線 維 type を考慮したトレーニングが重要であると述べて い る . 非 侵 襲 的 な 方 法 で , 活 動 し て い る 筋 線 維 type を評価する方法として,筋電図周波 数 解 析 が あ る .周 波 数 解 析 で 算 出 さ れ た 平 均 周 波 数(MPF)と筋線維構成比の関係は,総 線 維 数 に 対 す る typeⅠ線維が多いと MPF が低下する 29)こ と が 報 告 さ れ て お り ,typeⅠ線 維 は 低 周 波 成 分 を typeⅡ成分は高周波成分を反映していると考えられている.周波数解析 は , 高 速 フ ー リ エ 変 換 (FFT)を用いて行うことが多いが,一定期間波形のばらつきがな い こ と が 前 提 で あ り , 一 般 的 に は 静 的 条 件 下 , 所 謂 , 等 尺 性 収 縮 に よ る 筋 活 動 し か 解 析 が で き な い と 言 わ れ て い る . し か し , 近 年 , 等 張 性 収 縮 な ど 動 的 条 件 下 に お い て も wavelet 変 換 を 用 い る こ と で 周 波 数 解 析 が 可 能 で あ る 28)こ と が 報 告 さ れ て い る . そ こ で 本 研 究 の 目 的 は , ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て 等 張 性 外 転 運 動 に お け る 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し , 中 殿 筋 に 対 し 小 殿 筋 が 優 位 に 鍛 え ら れ る 方 法 を 検 討 す る こ と , ま た , 負 荷 量 の 違 い に お い て 動 員 さ れ る 小 殿 筋 の 筋 線 維 type の変化を検討することである.

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- 33 - 第 2 節 方法 第 1 項 対象 対 象 は 下 肢 疾 患 が な い 健 常 成 人 14 名(男性 8 名,女性 6 名)で,平均年齢は 24.4 歳で あ っ た .ま た ,平 均 身 長 は 170cm,平均体重は 65.9kg,平均 BMI は 22.5kg/m2で あ っ た . 倫 理 的 配 慮 と し て ,高 知 大 学 医 学 部 附 属 病 院 倫 理 委 員 会(26-29),吉備国際大学倫理委員 会 (14-39)で承認が得られたのちに実施した. 第 2 項 実験方法 被 検 筋 を 小 殿 筋 と 中 殿 筋 と し た . 股 関 節 深 層 筋 で あ る 小 殿 筋 は , 超 音 波 画 像 診 断 装 置 (MicroMaxx, SonoSite 社製)にて筋の同定を行いワイヤ電極の留置を行った.また, プ ロ ー ブ は リ ニ ア 型 を 用 い た .ワ イ ヤ 電 極 は ウ レ タ ン コ ー テ ィ ン グ さ れ た 直 径 0.1 mm の ス テ ン レ ス 線 ( ユ ニ ー ク メ デ ィ カ ル 社 製 ) で , 先 端 の 0.5 mm だけコーティングを剥がし 通 電 で き る よ う に し た .電 極 間 距 離 が 2 mm になるように貼り合わせ,双極誘導ができる よ う に し た .1 本のワイヤ電極は 22 G のカテラン針に通した後,先端を折り返し被検筋 に 引 っ か か る よ う に し た . ワ イ ヤ 電 極 は カ テ ラ ン 針 に 通 し た 後 , ガ ス 滅 菌 処 理 を し て 使 用 し た . な お , ワ イ ヤ 電 極 の 留 置 は 整 形 外 科 医 に よ っ て 施 行 さ れ た . 等 張 性 外 転 運 動 と し て は ,側 臥 位 に て 股 関 節 外 転0°から外転 20°までの運動を,メト ロ ノ ー ム を 用 い て 1 分間に 60 拍のリズムで 外転運動を 5 回実施した(図 4).また,運動 実 施 前 に は 挙 上 す る リ ズ ム や 角 度 に つ い て 説 明 し , 練 習 し た 後 に 本 実 験 を 行 っ た . 図 4.等張性外転運動の計測方法

小殿筋

中殿筋

2秒

外 転 20° 外 転 0° 外 転 0°

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- 34 - 負 荷 量 の 設 定 は , 股 関 節 外 転 筋 力 の 最 大 値 を 測 定 し , 最 大 筋 力 の 20%,40%,60%と し た . 最 大 筋 力 の 測 定 は , 側 臥 位 股 関 節 外 転 20 ° で , 大 腿 骨 遠 位 に Hand-held dynamometer(μ-TAS F-1, アニ マ 社製 ) をベ ル トで 固 定し 計 測 した . また , 負荷 量は 0.5kg 刻みで設定しており,小数点以下が 0.25 や 0.75 未満の場合切り捨て,0.25 や 0.75 以 上 は 切 り 上 げ と し た . 運 動 の 負 荷 方 法 は , 大 腿 骨 遠 位 部 に 重 錘 を 巻 き 等 張 性 外 転 運 動 を 行 う も の と し た . 筋 電 図 の 記 録 に お い て は ,筋 電 図 シ ス テ ム WEK-K214(ユニークメディカル社製)を用 い , サ ン プ リ ン グ 周 波 数 は 2000 Hz に て パ ソ コ ン に 取 り 込 み , 記 録 周 波 数 帯 域 を 20-1000Hz とした.まず,最大随意収縮を記録し,その後 5 回の等張性外転運動を行い, そ の 5 回のうち波形が安定していた 3 回を解析に用いた.

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- 35 - 第 3 項 解析方法 解 析 で は 運 動 開 始 時 か ら 2 秒間の積分値(IEMG)と平均周波数( MPF)を算出した. 積 分 値 の 算 出 に は ,BIMUTAS(キッセイコムテック社製)を使用し, 20-1,000 Hz のバ ン ド パ ス フ ィ ル タ - を 通 し た 後 に 解 析 を 行 っ た . ま た , 平 均 周 波 数 の 解 析 で は , 数 値 解 析 ソ フ ト ウ ェ ア MATLABR2007a(MathWorks 社製)を用いて Wavelet 周波数解析を行っ た .解 析 周 波 数 帯 域 は ,31.25~1,000 Hz とした.解析区間は IEMG と同様に運動開始時 か ら 2 秒 間 と し た . IEMG , MPF と も に , 最 大 随 意 収 縮 時 の 値 に 対 す る 相 対 値 (%IEMG,%MPF)にて比較を行った. 第 4 項 統計解析 統 計 解 析 で は ,小 殿 筋 ,中 殿 筋 そ れ ぞ れ に お け る 各 負 荷 量 の%IEMG の比較に Tukey 法 の 多 重 比 較 検 定 を 用 い , 各 負 荷 量 に お け る 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の%IEMG の比較に対応のある t 検定を用いた.さらに,小殿筋においては各負荷量の %MPF の比較に Tukey 法の多重比 較 検 定 を 用 い た . 統 計 解 析 は ,ソ フ ト ウ ェ ア SPSS(Ver15.0)を使用して行った.なお,統計学的有意水 準 は 全 て 5%とした.

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- 36 - 第 3 節 結果 第 1 項 筋活動量 小 殿 筋 の 各 負 荷 量 に お け る%IEMG の結果は,負荷量 20%より 60%の方が有意に高かっ た .ま た ,中 殿 筋 の%IEMG においても同様に,負荷量 20%より 60%の方が有意に高い結 果 で あ っ た .各 負 荷 量 に お け る%IEMG は,負荷量 20%と 60%において,小殿筋の方が中 殿 筋 よ り も 有 意 に%IEMG が高かった.負荷量 40%においては,有意差は認めなかったが, 小 殿 筋 の 方 が 高 い 傾 向 を 示 し た ( 表 1). 表 1 各 負荷 量 にお け る %IEMG 負 荷 量 最 大 筋 力 20% 最 大 筋 力 40% 最 大 筋 力 60% 小 殿 筋 40.9±15.2 49.0±19.8 54.2±27.8* 中 殿 筋 33.4±16.7* 41.4±13.9 42.9±15.7†‡ 平 均 値 ±標 準 偏 差 * :p<0.05 VS 小殿筋最大筋力 20% † :p<0.05 VS 中殿筋 最大筋力 20% ‡ :p<0.05 VS 小殿筋 最大筋力 60% 第 2 項 平均周波数 周 波 数 解 析 の 結 果 ,小 殿 筋 と 中 殿 筋 の%MPF は,各負荷量の間に有意差を認めなかった ( 表 2). 表2 %MPF 負 荷 量 最 大 筋 力 20% 最 大 筋 力 40% 最 大 筋 力 60% 小 殿 筋 87.6±22.7 86.5±22.0 89.9±24.0 中 殿 筋 95.0±20.6 94.1±22.3 97.4±23.1 平 均 値 ±標 準 偏 差

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- 37 - 第 4 節 考察 今 回 , 我 々 は ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て 股 関 節 深 層 筋 で あ る 小 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し , 等 張 性 外 転 運 動 で 中 殿 筋 に 対 し 小 殿 筋 が 優 位 に 鍛 え ら れ る 方 法 を 検 討 し た . そ の 結 果 , 小 殿 筋 , 中 殿 筋 と も に , 負 荷 量 を 増 す こ と で 筋 活 動 量 が 増 大 し , か つ 小 殿 筋 の 筋 活 動 量 が 中 殿 筋 よ り も 有 意 に 高 か っ た . 等 張 性 外 転 運 動 と 負 荷 量 の 関 係 性 に お い て は , 負 荷 量 を 増 す こ と で 中 殿 筋 の 筋 活 動 量 が 増 大 す る こ と 45)が 報 告 さ れ て お り ,今 回 我 々 の 結 果 も 小 殿 筋 ,中 殿 筋 と も に こ れ と 同 様 で あ っ た . こ れ は , 負 荷 量 が 増 す こ と で , 参 加 す る 運 動 単 位 の 増 大 や , α 運 動 ニ ュ ー ロ ン 発 火 頻 度 の 増 加 が 要 因 と し て 考 え ら れ る . ま た , 小 殿 筋 の 活 動 量 が 中 殿 筋 よ り も 高 い 結 果 と な っ た こ と に つ い て 以 下 に 述 べ る . 等 張 性 外 転 運 動 で は 徐 々 に 外 転 位 に な る た め 筋 は 短 縮 し 筋 張 力 が 発 生 し に く い 状 況 に な る . 小 殿 筋 は 中 殿 筋 に 対 し 元 々 の 筋 長 が 短 い た め , 一 定 張 力 を 保 つ に は 中 殿 筋 よ り も 多 く の 筋 線 維 の 活 動 が 必 要 と 考 え ら れ る . ま た , 股 関 節 の 回 転 運 動 を 引 き 起 こ す に は , 小 殿 筋 の 作 用 で あ る 骨 頭 を 求 心 位 に 保 持 す る 働 き が 重 要 で あ り , 小 殿 筋 の 活 動 が 高 く な っ た と 考 え ら れ る .ま た ,股 関 節 外 転 筋 の 筋 力 強 化 訓 練 に つ い て 井 上 46)は ,キ ア リ 手 術 後 大 転 子 が 偽 関 節 に な り 外 転 筋 力 が 弱 い 状 態 に あ っ た 症 例 で は 関 節 症 変 化 が 改 善 し た と 報 告 し て お り , 外 転 筋 群 の 中 で 最 も 張 力 が 強 い 中 殿 筋 を 鍛 え る こ と は , 逆 に 荷 重 部 へ の 負 荷 が 大 き く な り す ぎ 関 節 症 変 化 を 増 悪 さ せ る 可 能 性 が あ る . 今 回 , 最 も 中 殿 筋 の 筋 活 動 量 が 少 な い の は 最 大 筋 力 の 20%の負荷量であり,さらに小殿筋が中殿筋よりも有意に高い筋活動量が得られる 負 荷 量 で あ る た め , 等 張 性 外 転 運 動 で は 最 も 適 切 な 負 荷 量 で あ る と 考 え ら れ る . ま た , 小 殿 筋 の 筋 作 用 と し て 内 旋 作 用 が あ る .Wilson47)は ,股 関 節 の 屈 曲・ 伸 展 ,内 旋・外 旋 ,外 転 の 運 動 方 向 に 抵 抗 運 動 を し た 場 合 の 筋 活 動 量 を 4 段 階 で 比 較 し て お り , 股 関 節 外 転 運 動 に お い て 最 も 活 動 し て い た heavy activity を 13 名中 12 名に認め,股関節内旋運動では, 13 名中 7 名であった と報告している.よって,小殿筋は股関節を内旋させることでさらに 活 動 が 高 く な る こ と が 予 測 さ れ る た め , 最 も 選 択 的 に 小 殿 筋 を 鍛 え る 方 法 を 明 ら か に す る た め に は , 今 後 複 合 運 動 に お け る 筋 活 動 な ど を 記 録 し て 比 較 検 討 を し て い か な く て は な ら な い . 今 回 ,周 波 数 解 析 の 結 果 で は ,ど の 負 荷 量 に お い て も%MPF の有意な差は認められなか っ た . 周 波 数 解 析 で は , 速 筋 線 維 は 高 周 波 帯 成 分 を 反 映 し , 遅 筋 線 維 は 低 周 波 帯 成 分 を 反 映 し て い る .今 回 ,%MPF に違いがなかったことから,負荷量の違いにより参加した筋線 維 タ イ プ は 変 わ ら な い こ と が 推 察 さ れ る . 周 波 数 の 変 化 と 筋 張 力 の 関 係 は , 筋 線 維 タ イ プ の 占 め る 割 合 に よ っ て 異 な り , 遅 筋 線 維 が 多 い 中 殿 筋 で は 筋 張 力 が 増 加 し て も 周 波 数 に 変 化 が な か っ た こ と が 分 か っ て い る 48).遅 筋 線 維 は 運 動 単 位 の 活 動 様 式 が 放 電 頻 度 よ り 動 員 や 加 重 に よ り 調 節 さ れ ,こ の こ と が 周 波 数 を 低 下 さ せ る 特 異 性 を 持 つ と さ れ て お り 48),こ の こ と が MPF を上昇させない要因として考えられている. 今回負荷量を増やしても,小 殿 筋 , 中 殿 筋 と も に 平 均 周 波 数 の 上 昇 が 認 め ら れ な か っ た た め , 小 殿 筋 は 遅 筋 線 維 の 割 合 が 高 い と 考 え ら れ る .

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- 38 - 本 研 究 よ り ,等 張 性 外 転 運 動 で の 負 荷 量 は ,最 大 筋 力 の 20%に値する負荷で行うことが 良 い と 考 え ら れ た .し か し ,一 般 的 に 筋 力 強 化 を す る た め の 負 荷 量 は 最 大 筋 力 の 60%以上 が 必 要 と さ れ て お り , 収 縮 時 間 や 頻 度 を 工 夫 し て 実 施 す る 必 要 が あ る が 今 回 は 検 討 が で き て い な い . さ ら に 筋 力 強 化 訓 練 後 の 効 果 検 証 は 行 え て い な い た め , 超 音 波 画 像 診 断 装 置 を 用 い て 筋 厚 を 測 定 し 49), 実 際 に 筋 力 強 化 訓 練 を 長 期 間 行 い 効 果 検 証 す る 必 要 性 が あ る .

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- 39 - 第 5 節 結語 本 研 究 よ り , 等 張 性 外 転 運 動 で 小 殿 筋 を 鍛 え る た め の 負 荷 量 と し て は 最 大 筋 力 に 対 し て 20%の負荷量が良い ことが明らかとなった .また,小殿筋線維は遅筋線維が多いことが予 測 で き , そ の た め 負 荷 量 を 増 し て も 等 張 性 外 転 運 動 時 に 動 員 さ れ る 筋 線 維 タ イ プ に は 変 化 が な い こ と が 分 か っ た .

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- 40 - 終 章 第 1 節 総合考察 本 研 究 は , ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し , 歩 行 や 片 脚 立 位 に お け る 小 殿 筋 の 機 能 的 役 割 を 検 討 し , さ ら に , 等 張 性 の 外 転 運 動 に お い て 小 殿 筋 を 選 択 的 に 鍛 え る た め の 負 荷 量 に つ い て の 検 討 を 行 っ た . 本 研 究 の 積 分 筋 電 図 解 析 の 結 果 よ り , 小 殿 筋 の 歩 行 中 に お け る 筋 活 動 動 態 は 中 殿 筋 と 同 様 で あ り , ま た , 最 も 活 動 し て い た タ イ ミ ン グ や 活 動 量 も 一 緒 で あ っ た こ と か ら 歩 行 中 に お い て 股 関 節 安 定 性 に 働 き , そ の 機 能 的 役 割 は 中 殿 筋 と 同 等 で あ る こ と が 分 か っ た . さ ら に 片 脚 立 位 で は 特 に 女 性 に お い て は 股 関 節 の 安 定 性 を 獲 得 す る た め に , 小 殿 筋 の 機 能 が 非 常 に 重 要 で あ る こ と が 明 ら か と な っ た . ま た ,PET や MRI など画像を用いた研究におい て ,歩 行 後 や 片 脚 立 位 で は 殿 筋 群 の 中 で も 高 か っ た こ と 13-15)が 報 告 さ れ て い る .以 上 よ り , こ れ ま で 臨 床 上 , 外 転 筋 機 能 不 全 は 中 殿 筋 の 機 能 不 全 と 考 え ら れ て き た が , 小 殿 筋 の 働 き に つ い て も 評 価 を す る 必 要 が あ る こ と が 示 唆 さ れ た . 特 に 関 節 形 態 に 異 常 を き た し て い る こ と が 多 い 女 性 に お い て は , 注 意 を し な け れ ば な ら な い . ワ イ ヤ 電 極 は 侵 襲 的 な 手 法 で あ り , 理 学 療 法 士 だ け で は 用 い る こ と は で き な い . 非 侵 襲 的 な 方 法 で 評 価 す る た め は , 筋 体 積 , エ コ ー 下 に お け る 筋 輝 度 ,CT 値 50-52)な ど 画 像 評 価 を 用 い て い く 必 要 が あ る . 変 形 性 股 関 節 症 患 者 の 中 殿 筋 や 腹 直 筋 は 筋 輝 度 が 高 い な ど 筋 の 質 的 な 変 化 が 起 き て い る こ と な ど 分 か っ て お り 51),今 後 は 動 作 と 画 像 評 価 と の 関 連 性 に つ い て も 着 目 し て 研 究 を 進 め て い く 必 要 が あ る . 次 に 等 張 性 外 転 運 動 に お け る 負 荷 量 は , 中 殿 筋 の 筋 活 動 量 が 最 も 少 な く , か つ 中 殿 筋 よ り も 小 殿 筋 の 筋 活 動 量 が 高 い 最 大 筋 力 の 20%の負荷で行うのが良いと考えられた.さらに, 負 荷 量 の 変 化 が 平 均 周 波 数 に 影 響 を 及 ぼ さ な か っ た こ と か ら , 等 張 性 の 外 転 運 動 で は 負 荷 量 に 関 係 な く 常 に 遅 筋 線 維 が 動 員 さ れ て の 筋 力 強 化 訓 練 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た .加 藤 42) は , 筋 線 維 タ イ プ を 考 慮 し た ト レ ー ニ ン グ が 必 要 で あ る と 報 告 し て お り , 歩 行 中 の MPF が 中 殿 筋 よ り も 小 殿 筋 で 低 い 傾 向 で あ っ た こ と か ら , 歩 行 中 に 動 員 さ れ て い る 筋 線 維 タ イ プ は 遅 筋 線 維 で あ る と 考 え ら れ , 等 張 性 で の 外 転 運 動 で あ れ ば 筋 線 維 タ イ プ を 考 慮 し た 筋 力 強 化 訓 練 に な る と 考 え ら れ る . し か し ,筋 力 強 化 訓 練 の 効 果 で あ る 筋 線 維 を 太 く す る た め に は ,最 大 筋 力 の 60%程度の 負 荷 量 を 要 す る と い わ れ て い る . そ の た め , 低 負 荷 で は 筋 肥 大 を 得 る た め の 十 分 な 負 荷 量 は 得 ら れ な い た め , 運 動 回 数 や 収 縮 時 間 な ど を さ ら に 検 討 し て い く 必 要 が あ る . ま た , 短 回 旋 筋 群 や 内 転 筋 な ど も 求 心 位 方 向 へ 筋 繊 維 が 走 行 し て お り , こ れ ら の 筋 と 同 時 に 中 殿 筋 が 働 け ば , 中 殿 筋 の 筋 作 用 も 垂 直 方 向 で は な く , 求 心 位 へ 向 け る こ と が 可 能 で は な い か と 考 え ら れ る . 今 後 は , シ ュ ミ レ ー シ ョ ン な ど を 用 い て , 股 関 節 周 期 筋 全 体 の 活 動 を 踏 ま え て 検 討 し て い く 必 要 が あ る .

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- 41 - 第 2 節 結論(総合) 本 研 究 で は , ワ イ ヤ 電 極 を 用 い て 股 関 節 安 定 性 に 小 殿 筋 が 関 与 し て い る か 筋 電 図 学 的 に 検 討 す る こ と , さ ら に , 小 殿 筋 を 選 択 的 鍛 え る 方 法 に つ い て 検 討 を 行 っ た . 第 1 章 で は , 歩 行 時 の 小 臀 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 を 記 録 し , 積 分 筋 電 図 解 析 , 周 波 数 解 析 を 行 っ た . そ の 結 果 , 小 殿 筋 と 中 殿 筋 の 筋 活 動 動 態 は 同 様 で あ り , 最 大 の 筋 活 動 量 も 同 等 で あ っ た . ま た , 周 波 数 解 析 で は , 平 均 周 波 数 は 小 殿 筋 の 方 が 中 殿 筋 よ り も 低 い 傾 向 で あ っ た . 以 上 の こ と か ら 歩 行 時 に お け る 小 殿 筋 の 筋 活 動 は 中 殿 筋 と 同 等 の 働 き を し , 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た . ま た , 動 員 さ れ て い る 遅 筋 筋 線 維 は 中 殿 筋 よ り も 小 殿 筋 の 方 が 多 い 可 能 性 が 考 え ら れ た . 第 2 章 で は , 平 地 片 脚 立 位 や 不 安 定 状 況 か に お け る 片 脚 立 位 に お い て 小 殿 筋 筋 活 動 を 記 録 し , 中 殿 筋 の 筋 活 動 と 比 較 を 行 っ た . そ の 結 果 , 不 安 定 な 状 況 が 増 す と 小 殿 筋 の 筋 活 動 量 は 増 加 し , ま た 最 も 不 安 定 な 状 況 下 で の 小 殿 筋 筋 活 動 量 は 男 性 よ り 女 性 が 上 ま っ た . 以 上 よ り , 小 殿 筋 が 股 関 節 安 定 性 に 働 く 機 能 的 役 割 は 女 性 に お い て は よ り 顕 著 で あ る こ と が 明 ら か と な っ た . 第 3 章 で は , 第 1 章 , 第 2 章 と 小 殿 筋 が 股 関 節 安 定 性 に 関 与 し て い る こ と を 筋 電 図 学 的 に 明 ら か と な っ た た め ,小 殿 筋 を 選 択 的 に 鍛 え る た め の 運 動 方 法 に つ い て の 検 討 を 行 っ た . そ の 結 果 ,等 張 性 外 転 運 動 で は 最 大 筋 力 の 20%程度の低負荷で筋力強化訓練を行う ことが も っ と も 良 い こ と 思 わ れ た . さ ら に , 動 員 さ れ る 筋 線 維 タ イ プ は 遅 筋 線 維 で あ る と 推 測 で き , 筋 線 維 タ イ プ を 考 慮 し た 上 で の 筋 力 強 化 訓 練 が 可 能 で あ る こ と が 明 ら か と な っ た . 以 上 よ り , 小 殿 筋 は 筋 殿 図 学 的 に 股 関 節 の 安 定 性 に 関 与 し て い る こ と が 検 証 さ れ た . し か し ,ワ イ ヤ 電 極 は 侵 襲 的 な 方 法 で あ る た め ,今 後 は CT や MRI など画像評価を含めた上 で の 研 究 を 進 め て い か な く て は な ら な い .

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