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Title
Treponema denticola の細胞侵入機構の解析
Author(s)
国分, 栄仁
Journal
歯科学報, 118(5): 465-465
URL
http://hdl.handle.net/10130/4725
Right
465 歯科学報 Vol.118,No.5(2018)
シ ン ポ ジ ウ ム
Treponema denticola の細胞侵入機構の解析
東京歯科大学微生物学講座国分 栄仁
Treponema denticolaは,慢性歯周炎の病巣から高頻度に分離され,その発症と進行に重要な役割を果たして いる。本菌はその表層に Major outer sheath protein(Msp)と dentilisin 等の病原因子を持つが,それがどの ように歯周炎発症に関与するかについては不明な点が多い。そのメカニズムを明らかにするため,病原性遺伝 子欠損株を用い,感染による細胞の変化について解析を行った。口腔扁平上皮癌由来細胞 Ca-9-22に対し, T. denticola ATCC 35405株(野生株),dentilisin または Msp 欠 損株を感染させ,スクラッチアッセイによる細胞の遊走能,サイトカイン等の発現,TLR2 reporter cell line を用いた TLR2シグナルの解析を行った。またマウス腹腔マクロファージ様細胞に感染させ,顕微鏡による リアルタイムの観察および共焦点レーザー顕微鏡による観察を行った。 T. denticolaの感染後,マクロファージ様細胞および Ca9-22細胞内に多くの菌体が認められた。リアルタイ ム観察では一部に細胞から脱出する方向に動く菌体も認められた。スクラッチアッセイでは,野生株と Msp 欠損株の感染によって Ca9-22の遊走能の低下を認めたが,dentilisin 欠損株の感染では認められなかった。 TLR2シグナルはすべての菌株の感染で認められたが,そのレベルは,dentilisin 欠損株が最も高かった。感 染24時間後の IL-1mRNA の発現は,野生株感染細胞において有意な低下が認められた。 β-defensin の発現は 野生株の感染によって有意に上昇が認められ,IL-6および HSP の発現は,すべての株で上昇が認められた。 Paxillin と HSP については,野生株と Msp 欠損株の感染によって分解が認められた。 これらの結果は, T. denticola が dentilisin により TLR2シグナルを変調させ細胞の防御反応を回避する事 を示している。さらに,dentilisin は,細胞侵入により Paxillin を分解して細胞の運動能を低下させ,HSP の 分解によって細胞のストレス応答の遅延を引き起こすと考えられた。今後さらに dentilisin が,上皮細胞内に おいてどのような影響を与えるかについて詳細な検討を行う予定である。 ≪プロフィール≫ <略 歴> 平成15年3月 東京歯科大学卒業 平成15年4月 東京歯科大学大学院臨床検査学研究室入 学
平成18年7月 Canada, University of British Columbia 留学 平成19年3月 東京歯科大学大学院歯学研究科修了 平成19年4月 東京歯科大学口腔科学研究センター PF 平成21年5月 東京歯科大学微生物学講座助教 平成27年4月 東京歯科大学微生物学講座講師 ― 97 ―