Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
長期SPT を行っている慢性歯周炎患者の10年経過症例
Author(s)
若林, 千里; 井田, 篤; 藤波, 弘洲; 松本, 信哉; 澁川,
義宏; 上島, 文江; 古澤, 成博
Journal
歯科学報, 111(4): 444-444
URL
http://hdl.handle.net/10130/2550
Right
目的:本講座におけるポストグラデュエートコース は平成6年度に発足し,歯周療法の専門的知識と臨 床技能を修得することを目的としている。今回,第 52回日本歯周病学会秋季学術大会において,歯周病 認定医の取得に際し提示した一症例について報告す る。 症例:1.初診時データ 患 者:53歳 女性 初診日:平成19年11月22日 主 訴:歯石を取ってほしい 既往歴:特記事項なし 現病歴:以前より近医にて定期健診受診。最近,歯 周病のことも気になり始め,東京歯科大学 千葉病院に来院。 2.診査・検査所見 1)口腔内所見 初診時の口腔清掃状態は PCR 32%であり,上下 顎ともに前歯部で歯肉の発赤・腫脹を認め,臼歯部 を中心に歯肉退縮を認めた。歯周ポケットは全顎的 に4∼7mm 存在し,多数歯で BOP がみられ,上 下左右中切歯に動揺度1度を認めた。また,歯列不 正により臼歯部に側方運動時の咬合干渉を認めた。 2)エックス線所見 全顎的に根長1/3∼1/2程度の水平性の骨吸収を認 めた。 3.診断:重度広汎型慢性歯周炎 4.治療計画 1)歯周基本治療:TBI,SRP,咬合調整,齲蝕処置 2)再評価 3)歯周外科治療:フラップ手術 4)再評価 5)MTM 6)口腔機能回復治療:必要に応じて咬合調整 7)SPT 5.治療経過 基本治療時には TBI と炎症のコントロールを最 優先に行った。また,咬合調整は側方運動時の均衡 接触の除去を行った。再評価後,上顎臼歯部に4∼ 5mm の歯周ポケットが残存したため,フラップ手 術を行った。再評価において,一部で4mm の歯周 ポケットを認めたものの,病状は安定と判断し, SPT へ 移 行 し た。Lang & Tonetti(2003)の SPT のリスク評価では,6項目中「骨吸収年齢比」を除 いた5項目で,低リスクとされた。 考察:本症例は口腔清掃不良および歯列不正による 咬合性外傷で歯周組織破壊が進行したと考えられ た。咬合調整と十分なモチベーション教育,歯周外 科治療により SPT2年後において良好な結果を得 ている。また,SPT のリスク評価では,骨吸収年 齢比が中等度のリスクと判定されたため,今後は歯 槽骨の喪失を最小限にすべく,プラークコントロー ルの維持と咬合関係に留意した SPT を行っていく。 目的:歯周治療における SPT の目的は,歯周治療 の効果を長期間持続させ,歯周組織の健康状態を維 持させることにある。病状の安定が維持されるため には,SPT において歯科衛生士によるプロフェッ ショナルケアと,患者自身によるプラークコント ロールとが必須の条件となる。今回,慢性歯周炎の 患者に対し,歯肉の炎症の除去と安定した口腔内環 境の維持を目的とした SPT を行った結果,10年間 良好に経過した症例を経験したので報告する。 症例:1.初診時のデータ 患 者:52歳 男性 初診日:2001.1.29 主 訴:左上奥の歯グキが腫れて痛い。 既往歴:高血圧,帯状疱疹,尿管結石 現病歴:数年前より歯磨き時に出血するも放置。 歯肉に違和感を感じていた。 15年間,歯科治療の経験なし。 2.診査・検査所見 1)口腔内所見 初診時の PCR は80.5%で,全顎にわたり歯肉の 炎症が認められた。歯周ポケットは2∼7mm であ り,BOP は46.9%であった。 2)エックス線所見 多数歯に歯肉縁下歯石,および歯根長1/3∼1/2の 骨吸収を認めた。 3.診断:広汎型中等度慢性歯周炎 4.治療計画 1)歯周基本治療:TBI,スケーリング,SRP 2)再評価 3)歯周外科治療:FOP 4)再評価 5)SPT 5.治療経過 歯周基本治療は歯肉炎症の軽減を優先し,バス法 による TBI とスケーリング,SRP を行った。再評 価後8−3|3−8の FOP を行った後,途中来院が 途切れることもあったが再 SRP を行いつつ,スク ラビング法と歯間ブラシの励行を指導した結果,比 較的良好な状態を10年間維持している。 考察:患者 は 来 院 が 途 切 れ な が ら の 治 療 お よ び SPT であったが,的確に SPT を行うことにより, 比較的安定した状態が維持されているものと思われ た。今後は SPT の間隔をより短くし,口腔内の安 定を図る予定である。