エ ネ ル ギ ー充 足 率 、各 栄 養摂 取 量 、血 清 タ ンパ ク質 量 、
血 色 素 量 、 お よび血 球 容積 と体 位 指 標 値 との相 関 につ
い て
井
上 節
子
栄 養 摂 取 に は 一 般 に個 人 差 が あ り,こ れ を 全 体 的 に 表 わ す と ほ ぼ 正 規 分 布 を 示 す も の と考 え ら れ る 。 こ の 個 人 差 と さ れ て い る 変 位 が,全 体 と し て 無 秩 序 性 の も の か, 何 ら か の 傾 向 を も つ も の で あ る か を知 る こ と は,公 衆 栄 養 の 改 善 の た め に 有 益 な こ と で あ る。 こ の 目的 の た め に, 対 象 者 各 々 に つ い て,エ ネ ル ギ ー 摂 取 量,エ ネ ル ギ ー 液 費 量,エ ネ ル ギ ー 充 足 率(エ ネ ル ギ ー 摂 取 量/エ ネ ル ギ ー 消 費 量) ,タ ン パ ク質,レ チ ノ ー ル(ビ タ ミ ンA),チ ア ミ ン(ビ タ ミ ンBl),リ ボ フ ラ ビ ン(ビ タ ミ ンB2),ア ス コ ル ビ ン 酸(ビ タ ミ ンC),鉄 の 各 摂 取 量,同 時 に血 清 タ ンパ ク 質 量,血 色 素 量,お よ び 血 球 容 積 を測 定 し,こ れ ら の 値 と各 種 の 体 位 指 標 値 と の 相 関 を調 べ た 。 体 位 指 標 値 と し て は,い ろ い ろ考 え ら れ る な か で,体 重(W), 身 長(L),Kaup指 数(WL_2),Rohrer指 数(WL_3), の4つ を 用 い た 。実
験
方 法
1.実 験 年 度 53年,54年,55年 の3年 間 か ら,次 式 で 計 算 し た 。 A=Bm・Tb・W十 ΣEa・Tw・W Bm:基 礎 代 謝 基 準 値(体 重 当 り1分 間Kcal) Tb:就 床 中 の 時 間(分) W:体 重 Ea:各 種 活 動 時 の エ ネ ル ギ ー 消 費 量(体 重 当 り1分 間 当 りKcalで 実 測 に よ る) Tw:活 動 時 間(分) 5.血 色 素量 の測 定 各 対 象 者 の 耳朶 か ら得 られた血 液 を,Sahli法 によ っ て 定量 した。 6.血 球 容 積 の 測 定 各 対 象 者 の 耳 朶 か ら得 られ た 血 液 をHematocrit法 に よ っ て 定 量 し た 。 7.血 清 総 タ ン パ ク質 量 の 測 定 血 球 容 積 の 測 定 で 用 い た ヘ マ トク リ ッ ト管 か ら血 清 を と り出 し,血 清 タ ン パ ク計(D.Z.II型)を 用 い て 定 量 を し た 。 2.対 象 者 文 教 女 子 大 学 短 期 大 学 部 栄 養 科2年 。53年 は66名,54 年 は64名,55年 は72名 。実
験
結
果
1.対 象者 集 団 の 各 測定 値 の平 均 を表1に 示 す 。 3.各 栄養 摂 取 量 の測 定 血 液 検 査 の 前週 の,週 日の連 続3日 間 をえ らび 食物 摂 取量 を調査 した。 平 均一 日の摂 取 カロ リー,摂 取 量 を計 算 し,値 を求 め た。 4.エ ネ ル ギ ー消 費 量の 測定 エ ネ ル ギ ー消 費 量 は,食 物 摂取 量 調 査 日 と同 日の3日 間の 生 活時 間調 査 と,活 動 時 の エ ネ ルギ ー代 謝 を実 測 し て得 た エ ネ ル ギ ー代謝 率(RMR)と か ら,計 算 して求 め た。 一 日の エ ネ ルギ ー消 費 量(A)は,各 種 活 動代 謝(Ea) 表1各 種 測 定値 の 平 均 体 重 51.2kg エ ネル ギー 摂取 量 173°kcal/日 身 長 157.4cm エ ネル ギー 消 費量 1842"°a且/日 Kaup指 数 2.07×10ske/cm% タ ンパ ク質 64.5g/日Rohrer指 数 1.31×10"ska/。m・ レ チ ノ ー ル 1623Lu/日
エ ネ ルギ ー充 足 率 の 中央値(M) 0.96 アス コ ル ビ ン酸 95me/日 血 清 タ ンパ ク 質 7.8g/aa M± 去SD 41% 血色素量 83% 血球容積 42%
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2.各 種 測 定 項 目間 で,種 々 の組 合 せ を考 え,体 位 指 標 値 を横 軸 に,そ の他 の測 定値 な い しは その組 合 せ を縦 軸 に と って,各 値 をプ ロ ッ トして相 関 の 有無 を判定 し た。 相 関 の あ る と考 え られ る もの につ い ては,最 少 二乗 法 に よっ て式 の値 を求 め た。 それ らか ら次 の傾 向 を認 め る こ とが で きた 。 ④ エ ネ ル ギ ー摂 取 量 をは じめ,各 栄養 素 の摂 取 量 は, 各 種 体 位指 標 値 と相 関 しな い。 @エ ネ ル ギ ー充足 率 は,体 重(W),Kaup指 数(WL -2) ,Rohrer指 数(WL-3)と は負 の相 関 をす る。 (図1∼ 図3)。(図 の値 は エ ネ ルギ ー 充足 率,各 種 体 位 指 標 値 の 平 均 を1.0と した と き の 比 率 で 表 わ して あ る。) 図1エ ネル ギ ー充 足 率 一体 重 相 関 図 図2エ ネル ギ ー充足 率 一Kaup指 数 相 関 図 図3エ ネル ギ ー充 足 率 一Rohrer指 数 相 関 図 ㊦ 血 清 タ ンパ ク質 量,血 色 素 量,血 球 容積 は,各 種 体位 指 標 値 と相 関 しない 。 ま た血 清 タ ンパ ク 質量/摂 取 タ ンパ ク質量 と,体 重 と も,ほ とん ど相 関 が得 られ ない。 血色 素 量/鉄 摂 取量,お よび血 球 容 積/鉄 摂 取 量 とも に, 体 位 指 標 値 との相 関 は認 め られ な い。
考
察
以 上 の結 果 か ら考察 す る と,次 の よ うな問 題 を指 摘 す る こ とが で きる。 1.エ ネ ル ギー摂 取 量 は,生 体 の フ ィー ドバ ック機 構 に よ り,食 欲 を通 して 自然調 節 さ れ る もの とす れ ば,少 な くと も体 重 とは正 の相 関 す る こ とが予 測 され る が,こ の よ うに 明瞭 に捉 え られ な か った の は なぜ か。 2.エ ネ ルギ ー充 足 率 が,各 種 の体 位 指 標値(W,W L-2,WL-3)と 負 の相 関 をす るの は,体 重 の大小,あ る いは肥 満,ま た は痩 身 の た め に,エ ネ ル ギー消 費 量 に 変 動 が あ る に もか か わ らず,エ ネ ルギ ー摂取 量 が それ に 対 応 して い な い こ とを示 して い る。 以上 の2点 の 問題 につ い て考 えて み る と,エ ネ ル ギー 充足 率 が各種 体 位 指標 値(W.WL_z,WL冖3)と 負 の相 関 を して い るが,こ の こ とは 対 象者 集 団 の各 種体 位 指標 値 の分 布 が安 定 平 衡 に あ る とす る と,個 人 と して は,肥 満 傾 向 の もの は,エ ネ ルギ ー摂 取 量 が消費 量 に比 較 して 大 きいの で あ る か らや せ る方 向 に,痩 身傾 向 の もの は そ の 逆 で あ る か ら太 る方 向 に移 行 す る。 集 団 内部 で は この よ うな循 環 が あっ て も,全 体 と して の分 布 は同 じパ ター ン を示 して い る こと にな る。 この こ と を確 認 す るため に は,個 入 ご との体 位 にっ い ての 時 間的 追 跡 が必 要 にな る。 ま た若 い女 性 とい うこ とで,個 人 の意 識 が関 与 して い る か ど うか も検 索 しな くて は な らな い。(30)
こ の 集 団 は3年 間 に渡 っ て 調 査 さ れ た 集 団 で あ る が, 一 年 ご と に3つ の 集 団 に 分 け て 考 え る と ,エ ネ ル ギ ー 充 足 率 と 各 種 体 位 指 標 値(W,WL-2,WL-3)と は,2 つ の 集 団(53年,55年 集 団)に つ い て は 負 の 相 関,一 つ の 集 団(54年 集 団)に つ い て は 正 の 相 関 が 得 ら れ た 。 (表2)(最 小 二 乗 法 に よ っ て 式 の 値 を 求 め た)