2016 年 5 月 20 日 内閣府消費者及び食品安全担当大臣 河野 太郎様 「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについ ての建議」についての要望 食品表示を考える市民ネットワーク 代表 神山美智子 消費者委員会は 4 月 12 日、消費者担当大臣に対し、特定保健用食品(トクホ)制度を中心とする 「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについて の建議」を提出しました。食品事業者をはじめ、広告・チラシ作成事業者及び新聞・テレビ媒体な ど健康食品関連事業者すべてがトクホの制度の趣旨を理解していないことを 7500 人の消費者アン ケート調査結果に基づく同委員会専門調査会報告書をもとに提起したものです。「早急な対応を求 める」という 10 項目と「しかるべき対応を求める」という 6 項目の合計 16 項目を提起しており、 制度運用の見直し、再審査の厳密性、指導指針の改訂、消費者への情報提供の推進などを求めてい る点で注目されています。 しかし、同「建議」にはなお、トクホ制度改善には不十分な点が散見し、消費者被害の防止と救 済に実効性の伴わない項目や、資料提出命令権を持つ消費者委員会の建議としては甘い内容も目立 ちます。何よりも、トクホと機能性表示食品制度との混乱が消費者の間でまん延している中にあっ て、保健機能食品(トクホ、機能性表示、栄養機能表示等)の総合的・一体的な検討を避けている 点は最大の問題と考えます。 私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、建議が含む以下の点の問題点を指摘し、関係 省庁が消費被害防止への早急な対応をとることを求めます。 記 1. トクホ制度に「更新制度」を導入すること トクホ更新制度の必要性は7年前の有害物質の混入も問題化した「健康エコナ問題」における重 要な教訓です。早急に制度導入を求めます。更新制度を導入しないままの再審査制度の厳密性を提 起しても実効性はありません。 2. 「体験談」表示を禁止すること 有名人を起用した体験談や摂取者による体験談には、商品のネガティブ情報は一切記載されてい ないばかりか、未体験者に商品購入を勧誘する効果を発揮しています。体験談表示は「ステルスマ ーケティング」の一種とも考えられ、消費者をあざむく表示とも位置づけられます。体験談表示を 前提とした表示規制は実効性が伴いません。
3. 健康増進法や景品表示法の違反要件である「著しい」という規定を早急な対応として削除する こと 消費者委員会の「建議」は、「しかるべき対応」6 項目の一つに健康増進法の違反要件である「著 しく事実に相違する表示」などの「著しい」という文言を法律から削除することの検討を要請しつ つも、「早急な対応」項目では「著しい」表示の具体例を提示することにとどめ、二段階方式をとっ ています。しかし、これでは、「著しい」という文言はいつまで経っても削除されることがありませ ん。法規定の改正は「しかるべき対応」ではなく、「早急な対応」こそ必要で、この場合には健康増 進法だけではなく同様の文言を明記している景品表示法も同様です。 4. 健康被害情報の報告義務制度を導入すること 国が許可するトクホ表示にあっては、国が責任をもって健康被害の収集・分析・公表を実施すべ きです。過剰摂取や医薬品とのあわせのみを実施する消費者が多い中、健康被害の潜在化の可能性 が心配されます。被害防止を迅速に図るために食品事業者に対する被害情報の報告義務付けが必要 です。 5. 現行の「保健機能食品制度」(トクホ、機能性表示食品制度、栄養機能性表示食品制度)を総合 的・一体的に検討し直すこと トクホを含めて 3 つの保健機能食品制度が併存する現状は、消費者だけではなく、事業者にとっ ても混乱以外のなにものでもありません。不十分な制度の違いを消費者教育や消費者への情報提供 で補おうとするのではなく、3 制度を総合的・一体的に見直すことが緊急の課題です。 6. 食品表示法の「申出制度」を「日本版スーパーコンプレインツ制度」へと改訂すること 昨年4月施行の食品表示法には消費者はじめ何人(なんぴと)も不当な表示について申し出がで きる「申出制度」が導入されました。しかし、現在の「申出制度」では、申し出者に結果が通知さ れることのない運用実態であることから、不当な表示として消費者が申し出ても、その後の行政対 応が不透明であり、消費者の参画を阻むことにつながっています。現行の申出制度の運用実態を改 善するか、食品表示法を改正して現行申出制度を申出者への通知義務を行政に課すこと、さらに行 政措置について消費者が不服申し立てできることを保証した「日本版スーパーコンプレインツ制度」 の早期導入を求めます。 ※イギリスでは消費者団体等により提起された問題を早急に調査し、90 日以内に明確な対応策 を公表するスーパーコンプレインツ制度があります。 以上 【参加団体】食の安全・監視市民委員会/主婦連合会/新日本婦人の会/生活クラブ連合会/グリーンコー プ共同体/大地を守る会/NPO 法人日本消費者連盟/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/我孫 子市消費者の会/千葉県消費者団体連絡協議会/東京都地域消費者団体連絡会/たねと食とひと@フォーラ ム 【連絡先】 食品表示を考える市民ネットワーク事務局 東京都千代田区神田錦町 3-21 ちよだプラットフォームスクウェア 1342 たねと食とひと@フォーラム内 電話 03-6869-7206 Fax03-6869-7204 Email info@nongmseed.jp
2016 年 5 月 20 日 消費者庁長官 板東 久美子様 「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについ ての建議」についての要望 食品表示を考える市民ネットワーク 代表 神山美智子 消費者委員会は 4 月 12 日、消費者担当大臣に対し、特定保健用食品(トクホ)制度を中心とする 「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについて の建議」を提出しました。食品事業者をはじめ、広告・チラシ作成事業者及び新聞・テレビ媒体な ど健康食品関連事業者すべてがトクホの制度の趣旨を理解していないことを 7500 人の消費者アン ケート調査結果に基づく同委員会専門調査会報告書をもとに提起したものです。「早急な対応を求 める」という 10 項目と「しかるべき対応を求める」という 6 項目の合計 16 項目を提起しており、 制度運用の見直し、再審査の厳密性、指導指針の改訂、消費者への情報提供の推進などを求めてい る点で注目されています。 しかし、同「建議」にはなお、トクホ制度改善には不十分な点が散見し、消費者被害の防止と救 済に実効性の伴わない項目や、資料提出命令権を持つ消費者委員会の建議としては甘い内容も目立 ちます。何よりも、トクホと機能性表示食品制度との混乱が消費者の間でまん延している中にあっ て、保健機能食品(トクホ、機能性表示、栄養機能表示等)の総合的・一体的な検討を避けている 点は最大の問題と考えます。 私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、建議が含む以下の点の問題点を指摘し、関係 省庁が消費被害防止への早急な対応をとることを求めます。 記 1. トクホ制度に「更新制度」を導入すること トクホ更新制度の必要性は7年前の有害物質の混入も問題化した「健康エコナ問題」における重 要な教訓です。早急に制度導入を求めます。更新制度を導入しないままの再審査制度の厳密性を提 起しても実効性はありません。 2. 「体験談」表示を禁止すること 有名人を起用した体験談や摂取者による体験談には、商品のネガティブ情報は一切記載されてい ないばかりか、未体験者に商品購入を勧誘する効果を発揮しています。体験談表示は「ステルスマ ーケティング」の一種とも考えられ、消費者をあざむく表示とも位置づけられます。体験談表示を 前提とした表示規制は実効性が伴いません。
3. 健康増進法や景品表示法の違反要件である「著しい」という規定を早急な対応として削除する こと 消費者委員会の「建議」は、「しかるべき対応」6 項目の一つに健康増進法の違反要件である「著 しく事実に相違する表示」などの「著しい」という文言を法律から削除することの検討を要請しつ つも、「早急な対応」項目では「著しい」表示の具体例を提示することにとどめ、二段階方式をとっ ています。しかし、これでは、「著しい」という文言はいつまで経っても削除されることがありませ ん。法規定の改正は「しかるべき対応」ではなく、「早急な対応」こそ必要で、この場合には健康増 進法だけではなく同様の文言を明記している景品表示法も同様です。 4. 健康被害情報の報告義務制度を導入すること 国が許可するトクホ表示にあっては、国が責任をもって健康被害の収集・分析・公表を実施すべ きです。過剰摂取や医薬品とのあわせのみを実施する消費者が多い中、健康被害の潜在化の可能性 が心配されます。被害防止を迅速に図るために食品事業者に対する被害情報の報告義務付けが必要 です。 5. 現行の「保健機能食品制度」(トクホ、機能性表示食品制度、栄養機能性表示食品制度)を総合 的・一体的に検討し直すこと トクホを含めて 3 つの保健機能食品制度が併存する現状は、消費者だけではなく、事業者にとっ ても混乱以外のなにものでもありません。不十分な制度の違いを消費者教育や消費者への情報提供 で補おうとするのではなく、3 制度を総合的・一体的に見直すことが緊急の課題です。 6. 食品表示法の「申出制度」を「日本版スーパーコンプレインツ制度」へと改訂すること 昨年4月施行の食品表示法には消費者はじめ何人(なんぴと)も不当な表示について申し出がで きる「申出制度」が導入されました。しかし、現在の「申出制度」では、申し出者に結果が通知さ れることのない運用実態であることから、不当な表示として消費者が申し出ても、その後の行政対 応が不透明であり、消費者の参画を阻むことにつながっています。現行の申出制度の運用実態を改 善するか、食品表示法を改正して現行申出制度を申出者への通知義務を行政に課すこと、さらに行 政措置について消費者が不服申し立てできることを保証した「日本版スーパーコンプレインツ制度」 の早期導入を求めます。 ※イギリスでは消費者団体等により提起された問題を早急に調査し、90 日以内に明確な対応策 を公表するスーパーコンプレインツ制度があります。 以上 【参加団体】食の安全・監視市民委員会/主婦連合会/新日本婦人の会/生活クラブ連合会/グリーンコー プ共同体/大地を守る会/NPO 法人日本消費者連盟/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/我孫 子市消費者の会/千葉県消費者団体連絡協議会/東京都地域消費者団体連絡会/たねと食とひと@フォーラ ム 【連絡先】 食品表示を考える市民ネットワーク事務局 東京都千代田区神田錦町 3-21 ちよだプラットフォームスクウェア 1342 たねと食とひと@フォーラム内 電話 03-6869-7206 Fax03-6869-7204 Email info@nongmseed.jp
2016 年 5 月 20 日 消費者委員会委員長 河上 正二様 「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについ ての建議」についての要望 食品表示を考える市民ネットワーク 代表 神山美智子 消費者委員会は 4 月 12 日、消費者担当大臣に対し、特定保健用食品(トクホ)制度を中心とする 「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについて の建議」を提出しました。食品事業者をはじめ、広告・チラシ作成事業者及び新聞・テレビ媒体な ど健康食品関連事業者すべてがトクホの制度の趣旨を理解していないことを 7500 人の消費者アン ケート調査結果に基づく同委員会専門調査会報告書をもとに提起したものです。「早急な対応を求 める」という 10 項目と「しかるべき対応を求める」という 6 項目の合計 16 項目を提起しており、 制度運用の見直し、再審査の厳密性、指導指針の改訂、消費者への情報提供の推進などを求めてい る点で注目されています。 しかし、同「建議」にはなお、トクホ制度改善には不十分な点が散見し、消費者被害の防止と救 済に実効性の伴わない項目や、資料提出命令権を持つ消費者委員会の建議としては甘い内容も目立 ちます。何よりも、トクホと機能性表示食品制度との混乱が消費者の間でまん延している中にあっ て、保健機能食品(トクホ、機能性表示、栄養機能表示等)の総合的・一体的な検討を避けている 点は最大の問題と考えます。 私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、建議が含む以下の点の問題点を指摘し、関係 省庁が消費被害防止への早急な対応をとることを求めます。 記 1. トクホ制度に「更新制度」を導入すること トクホ更新制度の必要性は7年前の有害物質の混入も問題化した「健康エコナ問題」における重 要な教訓です。早急に制度導入を求めます。更新制度を導入しないままの再審査制度の厳密性を提 起しても実効性はありません。 2. 「体験談」表示を禁止すること 有名人を起用した体験談や摂取者による体験談には、商品のネガティブ情報は一切記載されてい ないばかりか、未体験者に商品購入を勧誘する効果を発揮しています。体験談表示は「ステルスマ ーケティング」の一種とも考えられ、消費者をあざむく表示とも位置づけられます。体験談表示を 前提とした表示規制は実効性が伴いません。
3. 健康増進法や景品表示法の違反要件である「著しい」という規定を早急な対応として削除する こと 消費者委員会の「建議」は、「しかるべき対応」6 項目の一つに健康増進法の違反要件である「著 しく事実に相違する表示」などの「著しい」という文言を法律から削除することの検討を要請しつ つも、「早急な対応」項目では「著しい」表示の具体例を提示することにとどめ、二段階方式をとっ ています。しかし、これでは、「著しい」という文言はいつまで経っても削除されることがありませ ん。法規定の改正は「しかるべき対応」ではなく、「早急な対応」こそ必要で、この場合には健康増 進法だけではなく同様の文言を明記している景品表示法も同様です。 4. 健康被害情報の報告義務制度を導入すること 国が許可するトクホ表示にあっては、国が責任をもって健康被害の収集・分析・公表を実施すべ きです。過剰摂取や医薬品とのあわせのみを実施する消費者が多い中、健康被害の潜在化の可能性 が心配されます。被害防止を迅速に図るために食品事業者に対する被害情報の報告義務付けが必要 です。 5. 現行の「保健機能食品制度」(トクホ、機能性表示食品制度、栄養機能性表示食品制度)を総合 的・一体的に検討し直すこと トクホを含めて 3 つの保健機能食品制度が併存する現状は、消費者だけではなく、事業者にとっ ても混乱以外のなにものでもありません。不十分な制度の違いを消費者教育や消費者への情報提供 で補おうとするのではなく、3 制度を総合的・一体的に見直すことが緊急の課題です。 6. 食品表示法の「申出制度」を「日本版スーパーコンプレインツ制度」へと改訂すること 昨年4月施行の食品表示法には消費者はじめ何人(なんぴと)も不当な表示について申し出がで きる「申出制度」が導入されました。しかし、現在の「申出制度」では、申し出者に結果が通知さ れることのない運用実態であることから、不当な表示として消費者が申し出ても、その後の行政対 応が不透明であり、消費者の参画を阻むことにつながっています。現行の申出制度の運用実態を改 善するか、食品表示法を改正して現行申出制度を申出者への通知義務を行政に課すこと、さらに行 政措置について消費者が不服申し立てできることを保証した「日本版スーパーコンプレインツ制度」 の早期導入を求めます。 ※イギリスでは消費者団体等により提起された問題を早急に調査し、90 日以内に明確な対応策 を公表するスーパーコンプレインツ制度があります。 以上 【参加団体】食の安全・監視市民委員会/主婦連合会/新日本婦人の会/生活クラブ連合会/グリーンコー プ共同体/大地を守る会/NPO 法人日本消費者連盟/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/我孫 子市消費者の会/千葉県消費者団体連絡協議会/東京都地域消費者団体連絡会/たねと食とひと@フォーラ ム 【連絡先】 食品表示を考える市民ネットワーク事務局 東京都千代田区神田錦町 3-21 ちよだプラットフォームスクウェア 1342 たねと食とひと@フォーラム内 電話 03-6869-7206 Fax03-6869-7204 Email info@nongmseed.jp