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炎症性疾患における好中球細胞外トラップ(NETs)抑制物質としてのラクトフェリンの機能解析

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Academic year: 2021

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[課程‐2]

審査の結果の要旨

氏名 大久保 光修 本研究は自己免疫性疾患や炎症状態に深く関わるとされる好中球細胞外トラップ (NETs ) の 抑 制 物 質 を 同 定 す る た め 、 ヒ ト 好 中 球 、ヒ ト 骨 髄 球 系 白 血 病 細 胞 株 (neutrophil-like human myeloid leukemia cell line ; HL-60 )及び血管炎モデルマウスを使用 し、NETs 形成に対するラクトフェリン(好中球顆粒内に貯留された蛋白の一つ)の機能解 析を試みた研究であり、下記の結果を得ている。 1. 好中球顆粒成分の一つであるラクトフェリンが、無刺激の好中球においては細胞質 に分布していたものが、代表的好中球顆粒成分であるミエロペルオキシダーゼ(MPO) やエラスターゼとは異なり刺激により細胞膜へ移行することが示唆された。 2. 外因性に投与されたラクトフェリンは、好中球細胞膜に集積しクロマチン膨張に続い て起こる好中球細胞膜の破裂を抑制することが示唆された。 3. 電子顕微鏡で観察した NETs 形成は、ラクトフェリン非存在下では一本一本のクロ マチン線維が蜘蛛巣状に拡散するのに対し、ラクトフェリン存在下では一塊に凝集したよ うな形態的特徴を呈した。 4. ラクトフェリンは NET-DNA と電荷的に結合し、電気的結合によって NETs 形成を 抑制するという仮説が支持された。 5. ラクトフェリンは NETs 形成に必須とされている細胞内現象、すなわち活性酸素種 (reactive oxygen species ; ROS)の産生、それに引き続くエラスターゼの核移行および核 内でのヒストン消失、またROS により活性化される酵素 PAD4 が触媒するヒストンのシ トルリン化などに影響を及ぼすことなくNETs 形成を抑制した。

6. 野生型 マウス皮 下への 薬物刺激 により惹 起され る皮下出 血・血栓 症は Local Shwartzman reaction (LSR)として知られ、IgG 非依存性局所血管炎モデルと考えられて いる。LSR においては細胞外に放出された NETs が内皮細胞傷害を引き起こしていると 考えられるが、ラクトフェリンの経口投与によって皮下出血は抑制され、ラクトフェリン がin vivo においても NETs 形成を抑制することが示唆された。 以上、本論文は好中球が引き起こし血管炎を始めとした様々な疾患の発症に関与すると言われる NETs 形成に対する強力な抑制物質として、好中球顆粒内の一成分であるラクトフェリンを同定 した。これまでに安全に NETs 抑制作用を発揮する内因性物質は報告がない。本論文は、ラク

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トフェリンが NETs 形成を抑制する内因性物質であることを見出し、このことからラクトフェ リンは NETs が関連する様々な疾患に対する安全な治療選択肢となり得る可能性を提示してお り、学位の授与に値するものと考えられる。

参照

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