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キトサン金属塩系木材保存剤の開発に関する研究

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(1)

キ トサ ン金属塩系木材保存剤の

開発 に関する研究

Studies on the Development of C hitosan ― Metai S aits for Wood P reservatives.

小 林 智 紀

(2)

次 緒言 ・ ・・・・・ 。・・・ ・・・・・ い。・・・・・・ 第

1章

キ トサ ン金属塩 の最適生成条件 ・ ・・・・ ・・・・・・・・・

1.は

じめに 。・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.供

試材料お よび試験方法 ・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・

2.1

キ トサ ン金属塩生成量 とキ トサ ン

/水

溶性金属塩 比率 ・

2. 1. 1

供試化合物

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2。

1.2

生成方法および分析方法 ・・・・・・・ ・・・・

2.2

反応時間 と金 属イ オ ン吸着率 との関係 ・・・・・・・・

2.2,1

供試化合物 ・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・

2.2.2

生成方法および分析方法 ・・・ ・・・・ ・・・・

3.結

果および考察 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・

3.1

キ トサ ン金属塩生成量とキ トサ ン

/水

溶性金属塩 比率 との関係 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・

3.2

キ トサ ン金属塩生成量 と反応時間 との関係 ・・ 。・・・

4.要

約 ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ 第

2章

キ トサ ン金 属塩 の木材固着性 ・ 0・ ・ ・・・・・・・ ・・ ・ °

1.は

じめに ・・・・ ・・・・・ ・・

2.供

試 材料お よび試験方法 ・・ ・・ ・・・・・・・

2,1

供試材料 ・・・・・・・ ・・・・・・・ °・・・・・・

2,1.1

薬剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2,1.2

薬剤濃度 ・・・・ ・・・・・・ 。・・・・・・・

2.1.3

供試木材 ・・・・・・

2.2

試験方 法 ・・・・・・ ・・・・ 8

8

9 9 9 9 10 10 10 10 ・0   ・4   ・5 16 16 16 16 16 17 17 17

(3)

3.結

果およ

3.1

3.2

3.3

キ び考察 ・・・・・・・・ 。・・・ ・・・・・・・ ・・ トサ ン銅塩 の固着性 ・・・・・・・・・・ 。・・・・ トサ ン亜鉛塩の固着性 ・・・ ・・・・・・・・・・・ トサ ン金属塩の注入性および固着性 ・・・・・・・・ 9     9     1     2     5 1     1     2     2   2

4.要

約 第

3章

キ トサ ン金属塩 の木材への浸透性

1.は

じめに ・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・

2.供

試材料および試験方法 ・・・・・・ 。・・・・・・・ 。・・

2.1

供試材料 ・ ・・・ ・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・

2.2

試験方法 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・

2.2,1

試験 片の調製 ・・ ・・ ・・・ ・・・・ ・・ ・・ 2。

2.2

注入処理 ・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・

2.2.3

浸透性 の試験方法 ・・ ・・・ ・・・・・・ ・・

3.結

果お よび考察 ・ ・・ ・・"・ ・・・・・・・ ・・・・・・・・

3.1

薬剤 の浸透性 ・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・・・・ ・・ 26 26 27 27 27 27 27 28 28 28 32 32 37

3.2

薬剤 の注入量 と吸収量

3.3

薬剤 の浸透性 の評価

4.要

約 ・・・・ ・・ ・・ ・・ 第

4章

キ トサ ン金属塩 の実大材での浸透性 と薬剤安定性 ・・・・・・

1.は

じめに 。・ ・ 。・・・・・・・・・・・・・・・・ ●●●●

2.供

試材料および試験方法 。・・・・・・・・・・・・・・・・

2.1

供試材料 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・

2.2

試験方法

2.2.1

供 試 薬 剤 の濃 度 調 整 。・・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・

2.2.2

薬 剤 注 入 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ 39 39 39 39 40 40 40

(4)

2.2.3

薬剤の浸潤度および吸収量 の測定 ・・・ ・・・・

41

2.2.4

薬剤の安定性評価方法 ・ ・・ ・・・・・・・ ・・

41

3.結

果および考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

43

3.1

実大材で の注入量 ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・

43

3.2

薬剤 の浸潤度および吸収量 ・・・・ 。・・・・ ・・ ・・

47

3.3

薬剤 の安定性 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・

48

4.要

約 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・ 。・・・・・ ・・ ・・

55

5章

キ トサ ン金属塩 の木材防腐効力 ・・・・・・ ・・・・ ・・・・

1.は

じめに 。・・・・ 。・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・

2.供

試材料および試験方法 ・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・

2.1

防腐効力試験 。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2。

1.1

供試材料 ・・・・・・・ ・・・ ・・・・・・・・

2.1.2

試 験方 法 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・

2.2

鉄腐食性試験および吸湿性試験 56 56 56 56 56 57 58 58 59 59 59 71 72 74 74 75 75 75

2. 2.

2. 2.

3.結

果およ

3.1木

3.2

1

供試材料 ・・・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・

2

試験方 法 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ び考察 ・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・ 材防腐効力 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ 腐食性 および吸湿性 ・・ ・・ ・・ ・・・・・ ・・・・

4.要

約 第

6章

キ トサ ン金属塩 の防蟻効 力 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・

1.は

じめに ・ 。・・ ・・ ・・ 。・・・・ ・・・・・ ・・・・・・

2.供

試材料および試験方法 ・・ 。・ ・・・・・ ・・・・・・ 。・

2.1

供試材料

2.2

試験方法

(5)

2.2.1

室 内防蟻効力試験 ・・・・・・・・・・・・・・

2.2.2

野外防蟻効力試験 ・・・ ・・・・・・・・・・・

3.結

果お よび考察 ・・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・・・

3.1

室 内防蟻効 力

3.2

野外防蟻効 力

4.要

約 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 第

7章

キ トサン金属塩の木材防カピ効力

1.は

じめに ・・ ・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・

2.供

試材料お よび試験方法 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・

2.1

供試材料 ・ ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・

2.2

供試試験体 の調製 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・

2.3

防カ ビ効 力試験 ・・・・・ ・・ ・ 。・・・・・・・・・

3.結

果および考察 ・ ・・ ・ 。・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・

4.要

約 ・・・・ ・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 総括 ・ 。・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。・・ ・ ・ ・・ ・ ・

104

引用 文献 。・・・・・・・・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・・・ 112 謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 118

SUMMARY

・・・・・・・ ・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・ 119 学 会 誌 等 公 表 論 文 一 覧 124 5     6     6     6   3     9 7     7     7     7   8     8 1     1     1     1     2     2     3     2 9     9     9     9     9     9     9     0 1

(6)

口 わが国は亜寒帯の北海道か ら、亜熱帯 の沖縄 まで様々な気候帯 の中に位置す る南北に長 い国で あ り、夏期 の高温多湿、冬期の降雪あるいは低温乾燥 と、四 季 を通 じて変化す る気候風土 の中でわれわれ は生活 して いる。また、太平洋沿 岸、 日本海沿岸あるいは内陸部 によって も気候 は複雑 に変化す る。 したが って 生活 の拠点 となる住宅は、 こうした多様 な気候の変化 に対応できるものでな け ればな らない1)。 木材 は、 この複雑な気候変化 に対応で きる唯一 の材料 と考 え られ る。よ く西洋の石の文化 に対比 して、 日本は木 の文化 と言われるが、まさ に日本 という国に とって、住宅 と木材は切 り離 して考 えることので きない関係 にある。 林野庁 の統 計 によると、平成

6年

度の住宅着工数 は約 157万戸で、平成

3年

度 に激減 (平成

2年

度 :約 171万戸 、平成

3年

度 :約 137万戸

)し

たが、そ の 後毎年増加 の傾向にある2)。 しか し、そ の中の木造住宅 の比率は昭和50年代 に は

50%以

上を占めていた ものの、平成

4年

度 以降減少傾向にあ り、平成

6年

度 は約

46%と

平成

3年

度 とほぼ 同率 に留 まって いる。一方平成

6年

度の木材 (用 材

)の

需要 は、そ の影響 を受 けてか、製材用 は約 5,100万皿3とほぼ前年並で あ ったが、合板用 は

1,410万

m3と前年よ り減少 した2)。 日本の気候風土 を考える と、む しろ木材 をもっと利用すべ きであろう。 ところで木材 はコンク リー トや鉄 に比べて熱拡散率が低 く、同一厚 さで比較 した場合、コンク リー トやグラス ウール等の断熱材 に比べて、断熱性能や温度 調節性能 に優れて いる$∼5)。 また木材は他の材料 に比べて吸湿性が高 く、 しか も周囲の相対湿度の変化 に応 じて吸放湿 を繰 り返す湿度調節性能 を持つ ことも 知 られて いる4、 5)。 さ らに、木材が他の建築材料 に比較 して優れている点は比 強度が大 きい ことで ある。木材 の強度 を他の材料 と比較す る と、 ヒノキ材 の縦 方向の引張 り強度 は鋼鉄の

1/4∼

1/5、 圧縮強度 はコンクリー トの1.3∼2.5倍 程度で、 いず れ も他 の材料 と比べ 中庸よ りやや高 く、 しか も木材 の比重 は他 の 材料 と比べて小さ く、単位重量 当た りの強度で比較す ると、木材 は最 も優れ た 緒

(7)

構造用材料であることがわか る3)。 すなわち木材 は軽 くて丈夫な材料で あ り、 建 築材料 として極 めて優れて いる と言 える。 さ らに木材 のもつ色相、光 の反射 性能や紫外線 を吸収す る性質 は、精神的 にも安定感 を与 え、触覚 的に も非常 に な じみ易 く、 これ らも木材の利点で ある4、 5)。 ただ、木材は聴覚特性 として吸 音効果 には優れ る ものの、遮 音性能 に欠 ける とい う点に問題がある4)。 このよ うに、木材が建築材料 として優れた物理的性能 を有 して いる ことは、 同知 のとお りで あるが、一方 で木材が生物材料で ある ことによる大きな欠点 も ある。木材 はセル ロース、ヘ ミセル ロースお よび リグニ ンという

3大

成分 によ り構成され、そ の比率は針葉樹材、広葉樹材 ともセル ロースは42± 2%、 ヘ ミ セル ロースは針葉樹材で は25∼30%、 広葉樹材で は20∼40%、 また リグニ ンは 針葉樹材で25∼35%、 広葉樹材で18∼

25%と

なっている6)。 セル ロース、ヘ ミ セル ロースは一種の決水化物類で あ り、 これ らの成分は抽出成分 中のデ ンプ ン や糖類 とともに他の生物 の栄養源 となるため、酵素的分解 によって容易に劣化 す る。 これ を木材 の生物劣化 と呼び、光 劣化、熱劣化、オゾ ン劣化、放射線 劣 化、機械 的劣化 および化学劣化等 の物理化学 的劣化 と並び木材の主要な劣化 パ ター ンの一つで ある6、 7)。 木材の生物劣化 を引き起 こす生物群は大 き く

3つ

に 分類 され る。す なわち真 菌類、放線菌類や細 菌類等の微生物類 (菌類)、 シ ロ ア リ、キクイム シ類等の昆虫類およびフナクイムシ等 の海虫類で ある。特に微 生物類や昆虫類 は、われわれの住宅 に最 も深 刻な被害 をもた らす6∼8)。 平成

7年

1月 17日 の早朝、阪神地 区を突然襲 った兵庫県南部地震は、住宅 に 対 して全壊家屋 100,209、 半壊家屋 107,074(自治省消防庁調べ、1995年 5月 現在

)と

いう甚大な被害 をもた らした9)。 被災 した家屋の建築工法 を調査 した 結果か ら、当初 は木造住宅 は地震 に対 して弱 く、プ レハプ住宅 あるいは2×

4

住宅が強 い という報道が マス コミによってな され、在来工法住宅 の将来 に極 め て深刻な問題 を投げかけた。 しか しその後の専門家 による綿密な調査 によ り、 在来工法 の木造住宅で あった ことが被害 を大 きくしたのではな く、筋かいの欠 如等 の構造上の欠陥、並び に十分な保存処理、すなわち防蟻・ 防腐処理が施 さ れて いなかった ことが主 因 とわか り、全壊家屋の倒壊原 因のかな りの部分 を、

(8)

蟻害、腐朽の単独 あるいは複合被害が 占める ことが判明 した9∼11)。 これは木 材が 生物材料で あることを十分理解 し、適当な処置を施 さなかった ことによる ものである。 日本 における木材保存 の歴史 は井上の著書 に詳 しく紹介12)さ れている。 明 治初期 に電柱 の落差式注入 (ブーシェ リー法

)が

行われた ことに始 ま り、やが て鉄道の開通 とともにク レオソー ト油 による枕木 の加圧注入処理が始 まった。 しか し、その当時木材 を保存処理す るということに関 しては、木材 を防腐処理 す る と木材が売れな くな る という商売上の理 由か ら、木材問屋の大反対 を受 け た。明治末期か ら大正 にかけて、水溶性薬剤 に関す る研究が盛ん にな ったが、 まだ クレオソー ト油等の油性薬剤 による処理が 中心で あった。昭和16年 ∼18年 には臨時 日本標準規格によ り、ク レオソー ト油や硫酸銅が標準規格品 として認 定 され、それ に続 いて電柱や枕木 の標準処理規準や処理規格が制定 され るに至 った。今 日の木材保存の基礎 となった木材防腐特別措置法は昭和28年に制定 さ れ、本格的な木材保存処理 の時代が始 まった。昭和35年には これ まで の加圧注 入処理 に加え、表面処理 による防腐、防蟻処理が始 まった。 また加圧注入用薬 剤 もク レオソー ト油等の油性 薬剤 に代わ り、住宅土台の防腐処理用 としてCCA (ク ロム、銅、ひ素系木材防腐剤

)や

P「 (フェノール類、無機ふ っ化物系木 材防腐剤

)等

の水溶性薬剤が主流 を占めるよ うにな った。現在で は、依然 とし てCCた が加圧用薬剤 の中心で あるが、公害等 の環境問題か ら脱

CCA系

薬剤が徐 々に使用 され始めている。一方、表面処理用薬剤 も当時の有機塩素系防蟻剤や 有機 スズ 系防腐剤か ら、よ り安全な薬剤へ と変わ りつつある。 ところで木材保存処理方法 には、塗布・ 吹付 け・ 浸漬処理等の表面処理法や 加圧注入処理法 に加 え、温冷浴法、拡散法等があ り、それぞ れ 目的、用途ある いは現場処理か工場処理かによって使い分け られている。 しか し、防蟻、防腐 性能 を長期間維持す るためには、加圧注入処理法が最 も適 している。 したが っ て、住宅用 を含 め建築材料 として必要な各種部材、公園遊具等の外構部材、橋 梁、電柱 、枕木等 の公共構築物の部材等 の保存処理 には加圧注入処理が義務づ け られて いる。

(9)

加圧注入処理用薬剤 として最 も代表的な

CCAは

、1933年イ ン ドにお いて定着 型木材防腐剤 として開発 され 、1963年 にJIS K 1554に 認定 されて以来、わが国 で も広 く使用 されてきた13)。 今 日にお いて も平成

6年

度 における

CCAの

作業 薬液量が100,942 kgと 全木材 防腐剤 の約

87%を

占め14)、 また

CCA処

理木材量 も359,227Ⅲ

3(全

処理木材量 の約

83%)14)に

達す る。 しか し、

CCAに

は有害 なクロム化合物お よびひ素化合物が含 まれて いる ことか ら、そ の取 り扱 いにつ いて毒性面で常 に問題 となっている15)。 現 場的 には

CCAは

木材 中での定着性 に極 めて優れてお り16∼ 13)、 処理後 の溶脱 もほとん どな いことか ら、安全な も の として使用 されて きた。稚 かに効 力面では長期間の持続性18、 19)があ り、経 済 コス トも低 い ことか ら有用な薬剤で ある。 ところが最 近

CCA処

理木材 の廃棄 方法 につ いて、深 刻な問題が 生 じている。特 に廃材 を焼却す る際、いつたん木 材 中に固着 したクロム化合物 が再び水溶性 となった り、ひ素化合物が熱 によ り 揮散する ことによる環境汚染が懸念 されている。それに加 えて排水基準 の改正 等環境規準 も厳 しくな り2L∼ 23)、

ccAの

廃棄 、取 り扱 いおよび製造 に対 して種 々規制を受 けるようにな って きた。そのような事情か ら、よ り環境汚染の少な い木材保存剤 に関す る研究が 開始 され24∼ 45)、 すで に数種 の低毒性薬剤が市販 されている。使用量 も統計上 に初めて数値が示された平成

3年

度 には、わず か 3,752 kgで あった ものが 、平成

6年

度 には 8,655kgと 約 2.3倍 にまで増加 し、 全薬剤の約

7.5%を

占めている15)。

ccAに

対 して比較的寛容な米国 にお いて さえ、低毒性 の新薬剤 に関す る研究が展開されている39、 41、 42)。 これ らの新 しい薬剤 は大き く

5系

統 に分類 され る。第

1が

第四級ア ンモニ ウ ム塩 系統 、第

2が

脂肪酸 金属塩 系統 、第

3が

銅金属塩 を主成分に第四級 ア ンモ ニ ウム塩 あるいはそ の他 の有機系薬剤等 を配合 した系統、第

4が

各種水溶性塩 類の混合剤 系統、そ して第

5が

有機防腐 、防虫剤 の混合剤系統で ある。第四級 アンモニ ウム塩 系統 の薬剤 は、いずれ もジデ ンル ジメチルア ンモニウムクロラ イ ド (DDAC)を 主成分 とし、そ こに種 々の添加剤 を配合 している25、 26、 85、 86、 39、 41)。 脂防酸金属塩 系統 は、ナフテ ン酸銅お よび亜鉛 あるいはバーサチ ック 酸亜鉛 を乳化型 に調製 した もの27、 28、 30、 32∼34、 37、

38)で

ぁる。銅金属塩 を主

(10)

成分 とした混合剤 はいずれ も酸化銅 を使用 し、第四級アンモニウム塩の塩化ベ ンザ ルコニウム、 トリアゾール系の殺菌剤で あるテブコナゾール を配合 した薬 剤等3J、 43、

44)ぁ

る。各種水溶性塩類の混合剤 としては、珪 フッ化銅、重クロ ム酸 アンモニ ウムおよび リン酸ニ アンモニウムの混合剤

(CFK)お

よびその改 良剤等

29)が

ぁる。 また、有機防腐

L防

虫剤 の混合剤 系統 として は、現在、ト リアプール系防腐剤 のシプ ロコナゾール と有機 リン系防虫剤 のプ ロペタンホス との混合剤

15)が

ぁる。特 に脂防酸金属塩系統 あるいは含金属塩 系統の薬剤 に 関す る研究は多 い27、 28、 30、 32∼34、 37、 38、 40、 43)。

_方

、第四級 アンモニウム 塩 系統 には、処理後木材表面 を劣化 させ る恐れが あ り46、 47)、 また、 これ を土 壌 中に設置す ると有効成分の溶脱が懸念 され ることか ら、第四級 アンモニウム 塩 は、土壌非設置箇所 に使用す る木材への処理 に使用す るのが適 当で ある39) との指摘 もある。金属 をベースに した薬剤は効力が優れている19` 20)も のの、 製剤化あるいは木材 中で の定着、固着が難 しいという難点が ある。なお現在使 用 されて いる加圧用薬剤 の主 な ものは、JIS K 1570に すで に認定 されている。 そ こで本研究では、環境汚染が少な く、効 力的 に優れ、 しか も木材 固着性 の 高い新 しいタイプの木材保存剤 を開発す る ことを試みた。 まず、防腐、防蟻効 力の面で優れている金属成分のうち、比較的安全性 の高い銅および亜鉛金属 を 有効成分 とし、水溶性で取 り扱 いが容易な これ らの塩化物 を使用す る ことに し た。木材への固着性 の向上 には天然高分子物質のキ トサ ンを使用 し、 これ らを 結合 させ たキ トサ ン金属塩 を用 いる ことによって、 目的 とす る性能 を確保 しよ うとした。キ トサ ンはエ ビやカニ類のクチク ラ質、菌類や昆虫類 の外殻成分 中 に含有す るキチ ンを強アルカ リにて処理す る ことによ り得 られ、木材 の主成分 で あるセル ロース と極めてよ く似た構造 をしている。セル ロースがト グル コー スの

1-(1,4)結

合 したもので あるのに対 し、キ トサ ンは結晶単位 中のC2が アミノ基 (一Nl12)に 変わ っただけの

Dグ

ル コサ ミンが,一

(1,4)結

合 した も ので ある48、 49)。

_般

に木材 はポ リアニオン性 を示すのに対 し、キ トサ ンはそ の構造内にアミノ基 を有す る ことか らポ リカチオ ン性 を示 し、キ トサ ンと木材

(11)

は電気的に強 固に固着す ることが予想 される。また、キ トサ ンは多 くの金属イ オ ンと錯塩 を形成す る性質を有す る4よ 49)。 したが つて 、銅 あるいは亜鉛金属 を吸着 したキ トサ ンが、木材 と固着す る ことによ り優れた木材保存効力 を示す ことが予想 された。木材保存剤 として水溶性金属塩 とキ トサ ンを併用す る方法 は、すで に古川 ら50、 52、 53)、 熊谷 ら51)、 李 ら54∼56)の報 告が あるが、

2段

階処理で あ り、実用面か らは

1段

階処理が有利で あることは言 うまで もない。 本論文 は、 あ らか じめキ トサ ンに金属イオ ンを結合 させて 生成 したキ トサン 金属塩の木材保存剤 としての実用性 を確認す るため、木材保存剤 として必要な 性能で ある木材 固着性、防腐 、防蟻性能 あるいは木材への浸透性、木材注入性 等 について検討 した結果 を とりま とめた もので ある。 本論文の構成 は以下の通 りで ある。 第

1章

で は、まず本研究 に用 いるキ トサ ン金属塩 の最適生成条件 に関す る知 見 を得 る 目的で試験 した結果 につ いて報 告す る。 よ り経済的 に、かつ効率的 に キ トサ ン金属塩 を生成す る ことが、 このキ トサ ン金属塩 を木材保存剤 として開 発す るうえで重要で ある。 第

2章

で は、生成 したキ トサ ン金属塩 を実際 に木材 に注入 し、耐候操作 を行 う ことによ り、溶脱性 を試験 した結果 を報告す る。木材 に対す る固着性能は木 材保存剤 としての効 力の持続性 を大き く左右す る。 第

3章

では、木材保存剤 の木材 中への浸透性 について試験 した結果 を報告す る。木材保存剤 として木材 中に容易に浸透す るか否かは、処理木材の耐用年数 に大 き く影響す る。 もし薬剤 の浸透性が悪 く、木材内部への薬剤浸透が不十 分 であれば、乾燥割れなどによって薬却I未処理部分が露出した場合 に、そ

?部

分 か ら腐朽あるいは蟻害が発生する恐れがある。 したがつて、木材保存剤の木材 浸透性は、その薬剤の効力を十分に発揮 させるためには重要な性能 となる。 第

4章

では、実用化のための検討項 日として、実物大寸法の木材を用い、実 際の工場 レベルでの処理条件で注入試験を行 った結果を報告する。第

3章

にお ける注入試験 に比べ、試験材が大きくな り、 しか も現実に使用されている難注

(12)

入性 の樹種 あるいは心辺材混合材 を使用する ことによ り、室 内試験 レベルで 明 らか にで きなか った現実 の注入特性 を知 ることができる。 第

5章

では、生物劣化抵抗性の中で も最 も代表的な木材腐朽菌 に対す る抵抗 性 を知 る 目的か ら、キ トサ ン金属塩 の防腐効 力を試験 した結果 を報告す る。キ トサ ン金属塩が木材 固着性、木材へ の注入性 あるいは浸透性が優れて いた と し て も、防腐効力が不十分で あれば木材保存剤 としての実用性 は期待で きない。 腐朽 は木材 の生物劣化の中で最 も被害発 生率が高いことか ら、防腐効 力は木材 保存剤の最 も重要な性能である。 第

6章

では、 シロア リに対す る抵抗性 を知 る目的か ら、防蟻効 力について試 験 した結果 を報告す る。防蟻効 力は、防腐効力に並 んで重要な性能で あ り、地 域 によっては腐朽 よ り重要な問題 を引き起 こす こともあ り、木材保存剤 として 要求 され る重要な性能で ある。 第

7章

で は、防カ ビ性能 について試験 した結果 を報告す る。腐朽害、蟻害 と 比べ直接木材への被害はない ものの、処理 された木材の商品的価値に影響 を与 える場合がある。各種カ ビ類 に対す る抑制効果 については、特 に加圧処理 目的 に使用す る木材保存剤 については、通例 あま り検討され ることがない。

(13)

1章

キ トサ ン金属塩の最適生成条件57)

1_は

じめに 既知の とお り、キ トサ ンはそ の分子構造内にアミノ基 (一

NH2)を

もつためポ リカチオ ン性 を示す。 この性質 は、最近では木材塗装の分野 にお いて、ポ リア ニオ ン性 の酸性染料の木材表面への吸着性 を高め、塗料の耐候性 を向上 させ る ため に応用 されている。58、 59)。 しか し、一般的には従来か ら行われているよ うに、金属イオ ンを大量 に含有す る汚水 の処理剤、すなわち金属凝集剤 として 使用 され る ことが ほ とん どで ある48、 49)。 このよ うに、キ トサ ンが高 い金属吸 着能性 を有す ることはすで に知 られている。一方 、木材保存剤が長期間にわた って木材保存効 力を持続す るためには、有効成分 として金属元素が最 も効果 的 である。そ こで、あ らか じめ有効な金属成分である銅 あるいは亜鉛 とキ トサ ン で錯塩 を生成 し、次 にキ トサ ンのポ リカチオ ン性 を利用 してポ リアニオ ン性 の 木材 にこれ を固着 させる ことで、持続性 と木材保存効果 の高い薬剤がで きる と 考 えた。

Ⅲ ところで、キ トサ ンにはかな りの高分子か ら、最近で は超低分子の ものまで 種々のものが市販 されて いる。 しか し、キ トサ ンは有機酸等 を用 いて水 に溶解 させた場合、高分子 のものほ ど粘度が高 くな り、作業性が悪 くな るという欠点 が ある。一方、低分子の ものは、製造上かな り高価 になるという欠点が ある。 したが って、使用す るキ トサ ンは、経済性 と利便性 を考慮 して選択 しなければ な らない。 また、キ トサ ン金属塩 の生成方法 も、経済性 を考慮 して検討 しな け ればな らない。すなわち、キ トサ ン分子 と金属成分の両者が むだな く反応 し、 かつできるだ け短時間で 目的 とす るキ トサ ン金属塩が生成されるための反応条 件 を決定す る必要が ある。 また、生成 されたキ トサ ン金属塩 中に含有す る金属 成分濃度が高 いほど、薬剤 として は有効である。 しか し、キ トサ ンと銅化合物あるいは亜鉛化合物 との結合性 について定量的 に研究 した報告 は少ない。そ こで最 も効率的 にキ トサ ンとこれ ら金属 との錯塩 を生成す る方法 を決定す るとともに、生成 したキ トサ ン金属塩 に含有す る各金

(14)

属塩量 を求める ことを目的に試験 した。

2.供

試材料および試験方法

2.1

キ トサ ン金属塩 生成量 とキ トサ ン

/水

溶性金属塩比率

2.1.1

供試化合物 供試キ トサ ンとして 甲陽ケ ミカルlkl製の

SK10(脱

アセ チル化度・86.5%、 灰 分 00.30%、 粒度・

3.0剛

以下、分子量・ 10,000∼50,000)を 使用 した。水溶 性金属塩 として

CuC12と ZnC12を

使用 した。なお、塩化物 を使用 したのは、反 応時 に生成す る塩酸 によ リキ トサ ンがわずかなが らで も低分子化 し、木材へ の 浸透性が向上す る ことを期待 したためで ある。

2.1.2

生成方法

60)ぉ

ょび分析方法 キ トサ ンと各水溶性金属塩 は、

Table l-1に

従 って配合 し、反応 させた。

Table l-1

キ トサ ン金属塩 の生成 にお けるキ トサ ンと水溶性金属塩 の混合比率 供 試 薬 剤 配合比率 (重量比) キ ト サ ン 1.00 水溶性金属塩 0。 10 0。 25 0.50 0。 75 1.00 1.25 1.75 2.00 1,500 ccの 蒸留水 に、あ らか じめ丞要量の

CuC12あ

るいは

ZnC12を

溶解 し、 ウォーターバ ス内で45∼ 50℃に加熱 し、攪拌 しなが らキ トサ ンを徐 々に投入 し た。なお、キ トサ ン量は

75gに

固定 し、反応終 了後直ちにプ ラスチ ック製 の網 (日 幅、約0.25Tlm)で ろ過 した。 ろ別 した生成物 は洗浄液が完全 に透明にな る まで十分 に蒸留水で洗浄 した。洗浄後、60±

2℃

の循環式オープ ンで完全 に乾

(15)

燥 させた。 次 に、生成 したキ トサ ン金属塩 に含有す る金属量 をJIS A 9108に 準拠 し、原 子 吸光分析法 によ り求めた。 あ らか じめ正確 に重量 を測定 した各キ トサ ン金 属 塩 を硫酸

(97W/W%)十

蒸留水

(1:2)お

よび過酸化水素水

(35W/W%)に

よ り湿式分解 を行 い、原子吸光光度計 (い島津製作所製

AA 6500S)に

よ り金 属量 を測定 し、各キ トサ ン金属塩 中の金属含有率 を求めた。

2.2

反応時間 と金属イオ ン吸着率 との関係

2.2.1

供試化合物 使用 した供試化合物 は、2。

1.1の

通 りである。

2.2.2

生成方法

60)ぉ

ょび分析方法 キ トサ ンと各水溶性金 属塩 を、

1:1(W/W)に

配合 した。まず1,500 ccの 蒸留水 に

75gの

CuC12あ

るいは

ZnC12を

溶解 させ、ウォーターバ ス内で45∼50 ℃ に加熱 し、攪拌 しなが ら

75gの

キ トサ ンを徐々に投入 した。反応時間は1、 2、

4お

よび

8時

間 とし、反応終 了後

2.1.2と

同様 にろ別、洗浄 し乾燥 さ せ た後、湿式分析 し、原子吸光光度計によ り各キ トサ ン金属塩 中の金属含有率 を求めた (JIS A 9108)。

3.結

果および考察

3.1

キ トサ ン金属塩 生成量 とキ トサ ン

/水

溶性金属塩比率 との関係 キ トサ ンと反応 させる各水溶性金属塩量 を種々に変化 させてキ トサ ン金属塩 の生成を試み、得 られた金属塩 に固定 された金属量 を分析 した。結果 をF ig.

1-1に

示 した。

・ キ トサ ン銅塩で は、キ トサ ン I CuC12の 比率が 1:0。 10ではキ トサ ン金属塩 中のCu2+の 含有率が

5.3%、

1:0.25で

は8。

1%と

、添加 した

CuC12が

増加す るにつれて、生成す るキ トサ ン金属塩 中のCu2■量 も増加 した。 しか し、さ らに

CuC12の

比率 を増加 させ

1:0.50∼ 1:2.00で

は含有す るCu2+量 にはほ とん ど 変化がな く、

9.7∼

10.2%と

ほぼ一定の値 となった。一方、キ トサ ン亜鉛塩で は、キ トサ ン

:ZnC12の

比率が

1:0.10で

はキ トサ ン亜鉛塩 中のZn2+の 含有率

(16)

3.8%を

示 したが、

ZnC12の

比率が増加す るに したが ってキ トサ ン銅塩 と同 様、Zn2+の含有率が7.2、 10.2、

11.2%と

急激 に増加 した。 しか し、

1:2.00

で は

12.6%と

やや高 い値 を示 したが、

1:1.00∼

1:1.75で

は11.7∼

12.0%と

ほ とん ど変化がな く、ほぼ一定の値 とな った。キ トサ ンに対する水溶性金属塩 の量 の割合を

1:1よ

り増加 させて も、キ トサ ンに固定化す る金属量 にはほ と んど変化がな く、未反応 の水溶性金属塩量が増加す るにすぎなか った。 したが

Metal―salts ratio (to chitosan)

ig.1-1

キ トサ ン金 属 塩 生 成 量 とキ トサ ン :水溶 性 金 属 塩 比 率 との 関 係

CCS;キ

トサ ン銅 塩

CZS;キ

トサ ン亜 鉛 塩 E J 0 と ︵ 照 ︶ コ ω 臣 ﹂ o 牛 望 蔦 ∽ E + 准 N ﹂ 。   十 N コ 0   牛 。   E O 一 , N ﹂ 中 E ω O E O り 〇 〇 a ﹃ い 卜 こ 中 0 い . 一 い 硼 . 中 〇 〇 . 中 い 卜 . 〇 〇 い . 〇 い 翻 t O O 一 . 〇

(17)

って、洗浄による廃液問題、生成 の効率性および経済性等 を考慮する と、キ ト サ ンに対す る水溶性金属塩量 は、本試験 に使用 した薬剤 にお いて は

1:1が

最 適で ある と考 え られ た。生成 されたキ トサ ン金属塩の状況 を

P hoto.1-1∼

1-3に

示 した。キ トサ ン亜鉛塩ではキ トサ ンとほとん ど色 に違 いがな く、い ず れ も淡褐色 を呈 した

(P hoto.1-1)。

一方、キ トサ ン銅塩では、キ トサ ンと

CuC12を

反応 させた直後 は、乳緑色 を呈 したが洗浄 によ り鮮やかな緑色 に 変わ った (P hoto。

1-2)。

P hoto.1-1

キ トサン亜鉛塩の生成直後、水洗後および乾燥 後の状況 (左上 :キ トサ ン、 右上 :反 応直後. 左下、水洗後、 右下 :乾 燥後)

(18)

P hoto。

1-2

キ トサ ン銅塩の生成直後、水洗後および乾燥後 の状況 (左上 :キ トサ ン、 右上 :反 応直後 、 左 下、水洗後、 右下 :乾 燥後) P hoto。

1

-3

各種 キ トサ ン金 属塩 の外 観 比較 (上 :キ トサ ン、 左 下 :キ トサ ン亜 鉛 塩 右 下 :キ トサ ン銅 塩)

(19)

3.2

キ トサ ン金属塩 生成 量 と反応時間との関係 キ トサ ンと水溶性金属塩 の比率 を一定

(111)に

して、反応時間 を変化 さ せ、得 られたキ トサ ン金属塩 中の金属量の測定結果 を 「

ig.1-2に

示 した。 ....▽ ¨ “・・・ … …・・・中●… ……▽ … … … ……・・ ‐・ … …・・・・ 中 ●… ●… …・・・・・●●●●…●▽ CZS ︵ 沢 ︶ O ω E ﹂ f ∽ 〓 硝 ∽ E + 性 N ﹂ 0   キ [ コ リ   * 0   ﹂ 0 一 一 N ﹂ 一 匡 ω O C O ⑭

./

◆ ―――――――――――一――――……c CCS

4

Time (hours)

F ig.1-2

キ トサ ン

/水

溶性金属塩 を

1:1(W/W)

に混合 した ときにおけるキ トサ ン金属塩生成量

(%)と

反応時間 との関係

CCS;キ

トサ ン銅塩

CZS iキ

トサ ン亜鉛塩 反応時間を

1時

間か ら

2時

間 に延長す ることによ り、キ トサ ン銅塩 中のCu2+ 量が

8.5%か

10,1%に

、キ トサ ン亜鉛塩ではZn2+量 が

10.6%か

ら 11.8

%へ

と増加 した。 しか し、さ らに反応時間を

8時

間に延長 して も銅塩 中のCu2+ 量 は10。

1 %、

亜鉛塩 中のZn21量 は

11.9%に

留 まった。 これは、水溶液 中に

(20)

存在す る銅イオ ンあるいは亜鉛イオ ンが、比較的短時間にキ トサ ンに結合す る ことを示唆 してお り、必要以上に反応時間を延長 して も時間、エネルギーコス トの点で効率的でない ことが分か づた。以上の結果よ り、反応温度45∼ 50℃で の最適反応時間は

2時

間で ある ことが分かった。 一般 に加圧注入処理用薬剤 は低価格で ある ことが要求 され る。

CCAは

、代替 として開発 された新薬剤 に比べ極めて安価で あ り、 これが有害な化合物 を含有 す るにもかかわ らず 、現在で も主流薬剤 とな っているゆえんである。薬剤価 格 を下げるには、安価な原材料 を使用す る ことはもちろんであるが、薬剤 の生成 あるいは製造時間の短縮や高効率化、あるいはこれ らにかかるエネルギーコス トの低減が必要で ある。キ トサ ン金属塩 は、よ り少ない原材料で しか も比較 的 短時間に生成す る ことができるため、コス ト面か らも充分実用性がある。 なお、以降の各試験 には、キ トサ ン :水 溶性金属塩の配合比

1:1、

反応時 間

2時

間および反応温度45∼ 50℃の条件 によ り生成 したキ トサ ン銅塩およびキ トサ ン亜鉛塩 を使用す る こととした。

4.要

約 本研究で は、キ トサ ン銅塩およびキ トサ ン亜鉛塩の最適生成条件を決定す る ために、キ トサ ンと

CuC12あ

るいは

ZnC12の

水溶液 を種 々条件で反応 させ、キ トサ ン金属塩 の生成 を行 なった。 まず、キ トサ ン銅塩お よび亜鉛塩 の生成 においては、キ トサ ンと

CuC12あ

る いは

ZnC12を

1:1(W/W)の

比率で配合 し、45∼ 50℃の温度で反応 させ、 ま た反応時間 を

2時

間 とした場合、キ トサ ン金属塩 の生成率は最適 とな り、よ り 少な い原材料で しか も短時間でキ トサ ン金属塩 を効率 よ く、かつ経済 的に生成 で きることが分かった。

(21)

2章

キ トサ ン金属塩の木材固着性57) 1. 1ま じ

bに

木材保存剤 を加圧注入処理剤 として使用す るにあた っては、効 力の持続性が 重要な問題 となる。木材 中に注入 された薬剤 は、その使用期 間中に自然界の様 々な影響、 とくに雨水によ り溶脱や温度上昇 によ り揮散 し、木材 中よ り徐々に 消失する。 したが って、薬剤 が長期間にわたってその効 力を維持す るためには 木材への固着性が高 く、耐候性 に優れている ことが必要条件である。現在汎用 されている

CCAは

定着型木材 防腐剤 として耐溶脱性 に優れて いる ことはすで に 報告されてお り周知 の とお りで ある16∼ 18)。 したが って、 どんな に防腐、防蟻 性能が優れて いて も、木材へ の固着性 に欠ける場合は木材保存剤 として充分で ない。ほ う酸 は、優れた防腐 、防蟻性能 を有す るが、耐候操作 を行わない条件 下で のみ優れた性能 を示す61∼ 63)。 すなわち、溶脱操作 を行 うことによ り極端 にほ う酸 の効 力は低下す る61)。 そ こで耐溶脱性 を向上させ るために合成樹脂 の添加が検討 されている64∼67)も のの

t複

雑 な処理 を必要 とし、実用化 にはま だ解決 しなければな らな い問題が多 く残 されている。 本研究 に用 いたキ トサ ンはポ リカチオ ン性 を有 し、ポ リアニオ ン性 の木材 と 強 固に、 しか も他の固着補助成分 を使用す る ことな く固着で きるもの と予想 さ れ る。 ここで は、本研究で開発 したキ トサ ン金属れの木材への固着性 を検 討 し、木 材保存剤 としての有用性 を確認す る ことを目的に検討を行 った。

2.供

試材料 および試験方法

2.1

供試材料

2.1.1

薬剤 木材固着性試験 に使用 した供試薬剤 は、次 のとお りで ある。 ① キ トサ ン銅塩 (銅含有率

:9,95%)

② キ トサ ン亜鉛塩 (亜鈴含有率

: 11.80%)

(22)

CuS04・

Ы

120(銅

含有率

: 25.46%)

CuC12(銅

含有率

: 47.27%)

ZnC12(亜

鉛含有率

1 47.91%)

キ トサ ン銅塩およびキ トサ ン亜鉛塩 は、それぞれ

1%酢

酸水溶液 (W/W)を使 用 し、またCuS04・ 馴120、

CuC12お

よび

ZnC12は

蒸留水 を使用 して所定の濃度 を調整 して供試薬剤 とした。 なお、キ トサ ン銅塩お よびキ トサ ン亜鉛塩 の生成方法 は第

1章

のとお りで あ る。

2.1.2

薬剤濃度 試験 に使用 した薬剤の濃度 は次の通 りである。 ① キ トサ ン銅塩、

CuC12お

よびCuS04・ 5H20 銅金属 として0.08、 0.13お よび0。

18%

② キ トサ ン亜鉛塩およびZnC12 亜鉛金属 として0。 21、 0。 26および0。

31%

2.1.3

供試木材 供 試 木 材 に は、JIS A 9201(1991)に準 拠 し、 奈 良県 吉 野郡 吉野産 のス ギ

(じryp ιtterFaジ

apOBfca D.Don)二

方柾辺材 を使用 し、そ の大 きさは2 cm×

2側

(木口面

1側

(繊維方向

)と

した。

2_2

試験方法 内容量 1,000ccの ガ ラスビーカー に、あ らか じめ

0.01gま

で正確 に秤量 した スギ試験片 を24個入れ、浮かび上が らないよ うにプ ラスチ ック製 の網 を被せ、 その上に重 しをのせた後所定 の濃度 に調整 した薬剤 を約500 cc投 入 した。試験 片お よび薬剤 を入れたビーカーを耐圧式注薬 シリンダー内に設置 し、

-98 kPa

2時

間減圧、その後

4時

間常圧 に放置 して試験片 中に薬剤 を注入 した。注入 後ただち に薬剤 中よ り試験片 を取 り出 し、付着 した薬剤 を拭 き取 り秤量 した。 試験片の注入前後 の質量 の差 よ り薬剤注入量

(kg/m8)を

求 めた。また薬剤 の 有効 成分濃度 よ り、計算 上の薬剤 吸収量 を求 めた。処理試験片は室内にて30日 間風乾 した。

(23)

次 に処理試験片 はJIS A 9201(1991)に 準拠 して耐候操作 を行 った。 まず、処 理試験片 中よ り無作為に

6片

(全体 の

25%)を

取 り出し、木 表右端 よ り

1.0側

×0。

5 cm(木

口面

1.O cm(繊

維方向

)の

小片 を耐候操作開始前に切 り取 っ た。 さ らにF ig。

2-1に

示 した とお り小片か ら元 の試験片の側面部 に相 当す る部分0.l cmず つ切 り取 り、最終的に0.9 cm×

0.4 cm(木

口面

1.O Cm(繊

維方 向

)の

小片に して分析に供 した。分析用試料 を切り取 った残 りの試験片は 供試薬剤および吸収量 ごとに容量 1,000ccの ガラスビー カー に入れ、

300ccの

蒸留水 を投入 し、マグネチ ックスター ラー を用 いて 420∼ 450回

/分

で攪拌 し なが ら、25℃で

8時

間の溶脱操作および60±

2℃

の循環式オープ ン内にて16時 間 の揮散操 作 を行 った。 この操 作を10回繰 り返 した。 耐候操作 を終 了 した試験片 よ り、耐候処理前の分析用試料 を採 取 した ところ か ら、処理前 と同様 に して分析用試料 を採取 した。 各分析用試料は正確 に形状 を測定 し、体積 を求 めた後細か く砕 き、硫酸 (97

W/W%)十

蒸留水

(1:2)お

よび過酸化水素水

(35W/W%)に

よ り湿式分解

囲 「警

0・91監

Test p'OCe after weati19 ring

Fig.2-1

各供試薬剤処理試験片か らの分析用試料の採取方法

i4粽

国 瑯

Test pieco without weatherin=

(24)

(JIS A 9108)を 行 い、原子吸光分析法 によ り金属量 を分析 した。耐候操作前 と後 の金属量か ら次式 によ り浴脱率 を求 め、供試化合物の木材固着性 の評価 を 行 った。 溶脱率

(%)=(A一 B)/A

×100

A:朧

候操作前の試験片 中の金属量 (kg/m3)

BI耐

候操作後 の試 験片 中の金属量 (kg/mり

3.結

果 および考察

3.1

キ トサ ン銅塩の 固着性 各種銅塩 をスギ辺材 に注入 した結果 を

Table 2-1に

示 した。平均薬剤 吸

Table 2-1

各種銅塩で減圧注入処理 した試験片 中の平均薬剤 吸収量

a)供

試濃度 :銅 金属 としての濃度

b)平

均薬剤吸収量 (計算値

)│(銅

金属濃度

/100)×

平均薬剤注入量

c)平

均薬剤吸収量 (分析値

):原

子吸光分析法による銅金属量の測定値 供試薬剤 供試濃度a) ('%) 平均薬剤 注入量 (kg/Ш3) 平均薬剤吸収量 (kg/m3) 計算値b) 分析 値C) キ ト サ ン 銅 塩 8 3 8 0 1 1 0 0 0

781

798

738

1 6 7

0. 62

1.04

1. 33

0,78

1. 13

1.61

CuS04・5120

0, 08

0.

」3 0。

18

761, 5

765。

9

765.2

0.61

1,00

1. 38

0. 77

_. 11

1,22

CuC12

0. 08

0.

_3

0. ]_8

756, 7

760。

1

779。

3

0。

61

0, 99

1.40

0. 93

1. 11

1_20

(25)

収量 は、平均薬剤注入量 に薬剤 の銅金属濃度 を乗 して求めた計算値 と、原子 吸 光分析法 によ り求めた測 定値 の

2つ

の値 を示 した。 キ トサ ン銅塩で は薬剤濃度が高 くなる とやや薬剤 の注 入量が減少す る傾向が み られたが、平均 740kg/Ⅲ3以上の注入量が得 られた。低濃度キ トサ ン銅塩 の 注入処理 の方が、それ と同濃度 の水溶性銅塩 の単独注入処理 よ り高い注入量 で あった。 各種銅塩の溶脱試験の結果 を

Table 2-21こ

示 した。キ トサ ン銅塩で は薬 剤吸収量 の大 小にかかわ らず 、有効成分で ある銅金属 の溶脱 は全 く認め られな かった。 しか し、水溶性銅金属塩 の単独処理では、CuS04・5H20で24∼35%、 Cu

C12で

28∼

29%の

高 い溶脱率 を示 した。CuS04・ 51120では薬剤吸収量が増加す る に したが って溶脱率 も増加 した。

Table 2-2 JlS A 9201(1991)に

準拠 して耐候操作 を行 な った各種銅塩処 理試験片か らの銅塩 の溶脱率 目標薬剤吸収量a) (kg/m3) 溶脱率

(%)b)

供 試 薬 剤 キ ト サ ン 銅 塩 CuS04・5Ⅱ20 CuC12

0. 6

0. 0

24.4

27.8

1, 0

0. 0

31.0

28. 8

1.4

0. 0

34. 7

28. 7

a)日

標薬剤吸収量 :銅 金属 と しての薬剤 吸収量

b)溶

脱率 :原 子吸光分析法 によ り算 出

(26)

3.2

キ トサ ン亜鉛塩 の国着性 各種亜鉛塩 をスギ辺材 に注入 した結果 を

Table 2-3に

示 した。亜鉛塩 で は、キ トサ ン亜鉛塩 の注 入量 と

ZnC12の

単独注入 における処 理量 の間 に明確 な 差がな く、

760kg/m3以

上の値が得 られた。 各種亜鉛塩 の溶脱試験 の結果 を

Table 2-4ヤ

こ示 した。キ トサ ン亜鉛塩で はわずか

2∼

4%の

溶脱 に留まったのに対 して、

ZnC12単

独処理で は65∼

76%

と極 めて高い溶脱率 を示 した。亜鉛塩は銅塩 に比べて溶脱 しやす い傾向にあっ た。 これ は両金属 のイオ ン化 の大 小によ るものと思われ る。亜鉛金属 はイオ ン 化 しやす く、木材 中でイオン として残存 している率が銅金属 に比べ多 く、 これ が水 に溶脱す るもの と考 え られる。

Table 2-3

各種亜鉛塩で減圧注入処理 した試験片中の平均薬剤吸収量

a)供

試濃度 :亜 鉛金属 と しての濃度

b)平

均薬剤 吸収量 (計算値

):(亜

鉛金属濃度

/100)×

平均薬剤注入量

c)平

均薬剤 吸収量 (分析値

):原

子吸光分析法 による亜鉛金属量の測定値 供試薬剤 供 試 濃 度3)

(%)

平均薬剤 注入量 (kg//m3) 平均薬剤 吸収量 (kg//1113) 計算値b) 分 析 値C) キ トサ ン亜 鈴 塩

0, 21

0。

26

0。

31

768

782

789

5 1 5

1, 61

2. 03

2.45

1.46

1. 90

2.24

ZnC12

0.21

0. 26

0, 31

760. 3

780.4

774.6

1.60

2. 03

2.40

1,45

2.07

2. 21

(27)

「I`al)le 2-4 JIS A 92()1(1991)に 準拠 して耐候操作 を行なった各種亜鉛 塩処理試験片か らの亜鉛塩 の溶脱率 目標薬剤吸収量a) (kg//m3) 溶脱率

(%)b)

供 試 薬 剤 キ トサ ン亜鉛塩 ZnC12

1. 6

4.2

64。

9

2. 0

2,4

75.5

2.4

3.‐ 9

74.3

a)日

標薬剤吸収量 :亜 鉛金属 としての薬剤吸収量

b)溶

脱率 :原 子吸光分析法によ り算 出

3.3

キ トサ ン金属塩 の注入性および固着性

Table 2-1、

2-3の

注入量 の結果 よ り、キ トサ ン金属塩処理 は、水溶 性金属塩処理 と同程度に木材 中に注入で きる ことがわかった。当初キ トサ ンは 高分子で ある ことか ら、充分 に注入できるか どうか疑問であったが、本試験 の 結果 か ら、注入性 に関 しては問題がない ことが分 った。ただ しこの点 について は、大型試験材への注入試験 および木材内部で の有効成分の分布 の傾向 (濃度 勾配

)等

につ いて、今後 さ らに詳 しく検 討す る必要がある。

Table 2-1、

2-3に

は計算 による有効成分量 と原子吸光分析 による有 効成分の分析結果 を示 してある。銅塩で は測定値が計算値よ り若千高 くな り、 逆 に亜鈴塩で は低 くなる傾向がみ られた。 これ も両金属のイオ ン化の違 いによ る ものと考 え られ る。すなわち、銅金属は亜鉛金属に比ベイオ ン化 しに くく、 木材 に注入 される と木材 の構成成分 によ り還元 され、水不溶性の銅金属 として 木材 中に遊離 し、 これが注入操作 中に蓄積す るため と思われ る。 P hoto。

2-1に

各種キ トサ ン金属塩 によ り注入処理 した試験片の状況 を示

(28)

した。あわせて、外観比較のため乳化型ナフテン酸銅およびナフテ ン酸亜鉛 、

CCA 3号

によ り処理 した試験片の状況 も示 した。乳化型ナフテン酸銅で処理 さ れた試験片は、濃緑色を呈す るのに比べ、―キ トサ ン銅塩で処理 された試験片 は わず かに緑色 を呈 しただ けで 、

CCA 3号

と比べて も変色の程度は少なか った。 一方、キ トサ ン亜鉛塩で処理 された試験片で はほとんど変色がな く、素材 と大 差なか った。薬剤で処理す る ことによる多少の着色 はやむをえな いが 、欧米 に 比べ 日本では可能なかぎ り素材 に近い仕上が りが望 まれ る。キ トサ ン金属塩 は このニーズ に充分 あう薬剤で あると思われる。

P hoto,2-1

各 キ (上左 : 上 右 :キ 鉛 、 下 中 トサ ン金属塩注入後 のスギ試験片の状況

CCA 3号

、上中 :乳 化型ナフテ ン酸銅、 トサ ン銅塩、下左 :乳 化型ナフテ ン酸亜 :キ トサ ン亜鉛塩、下右 :無 処理)

(29)

Table 2-2、

2-4の

結果 よ り、キ トサ ン金属塩 にす ることで木材 に こ れ ら金属が強 固に固着す る ことが稚認 された。木材への金属 の固着 メカニズ ム は現在 も検討中で あ り、 まだ充分解明されて いないが、音初予想 したポ リアニ オン性 (―

)の

木材 とポ リカチオ ン性

(+)の

キ トサ ンが電気的 に固着 して い るもの と推定 される。 しか もその固着性 は、キ トサ ン金属塩処理での溶脱率 と 水浴性金属塩 単独処理で の浴脱率 との差か ら判断 して、極めて強 固で あること が分 つた。木材への金属の固若 には、

CCAの

ように、木材 中での化学反応によ って水不溶性 の塩 を形成す る もの と、銅 、アルキルアンモニ ウム化合物系木材 防腐剤

(ACQ)3Dの

ように銅塩浴解剤のアンモニアが木材注入処理後揮散 し、 銅塩が析 出 して木材 中に固定 され るものが一般に知 られている。 いず れ も木材 中で金属が水不溶性 の塩 として存在す る ことによる物理 的な木材 固着性 と言 え る。一方 、キ トサ ン金属塩の耐溶脱性は、木材成分 と電気的 に強 固に結合す る ことによるもので、化学的な木材 固着性である。 したが つて、従来の薬剤 とは 全 く異な った新たな固着 メカニズムで あると言 える。単 に木材中に不溶性の塩 が形成されただけで は、処理木材 を切断加工 した り、将来木材表面 に割れ等が 生 じ、露 出した処理木材 の内部 に水分が侵入 した場合、薬剤成分が水 に溶解 し な くて も物理的に流 し出され るおそれが ある。 しか し化学的な固着で は木材 と 薬剤成分が強 固に結合 しているため、薬剤成分が水 に流れ出るおそれはない。 今後 、キ トサ ン金属塩のように電気的に木材 に固着 させ る方式は、防腐、防蟻 効力の持続性 向上、あるいは薬剤 の浴出がよ リー層少な く、環境 にや さ しい薬 剤の開発 のために応用 される もの と期待できる。 井上 らの報告

20)に

よれば、

CuS04処

理木材は比較的少ない薬剤吸収量 にお いて も18年間の耐用年数 を示 している。 しか し、

CuS04は

室 内試験 において耐 溶脱性 に乏 しく、常 に基準をク リアーす ることができなかった。そ こで現在で も各国で銅 を木材 に固着 させ るための研究68∼73)が進め られている。 しか し、 固着方法が

2段

階処理で ある こと、木材表面 の劣化が激 しい こと、操作が極 め て複雑で ある こと等 の問題が ある。例 えば、木材への銅 固着の

1方

法 として利 用 されて いる亜塩素酸ナ トリウム

69)は

、木材のアルカ リ劣化の問題が ある。

(30)

本方 法のよ うにキ トサ ン との錯塩形成能 を利用す ることで、比較 的容易 に木材 に銅 を固着で きる ことは、非 常に興味深 い ことで ある。 今後、防腐・ 防蟻性能試験、木材へのと入性試験等 を実施 し、木材保存剤 と しての実用性 を検討する予定で ある。

4.要

CCAに

かわる新 しい木材保存剤 として開発 したキ トサ ン銅塩お よび亜鉛塩 の 木材への固着性 を検 討 した。 キ トサ ン銅塩お よび亜鉛塩 をスギ木片 に注入 し、JIS A 9201(1991)に 準拠 し て耐候操作 を行 った。そ の結果、キ トサ ン銅塩注入処理材で は全 く金属塩 の溶 脱が認め られず 、 またキ トサ ン亜鉛塩注 入処理材で もそ の溶脱率 は

2∼

4%に

留ま り、水浴性金属塩単独注入処理 の場合 と比較 して極 めて高い木材 固着性 を 有 している ことが判明 した。今後 は、木材保存剤 として必要な性能を試験 し、 実用化への可能性 を検討す る。

(31)

3章

キ トサ ン金属塩の本材への浸透性74)

1.

は じ

bに

木材 中への薬剤の浸透 は、樹種 によってかな り異な り、特 に心材ではその差 が顕著で ある?)。 難注入木材 への薬剤の注入 については、いろいろ研究 されて いる76-79)が 、まだ、簡 易的かつ経済的な方法で難注入木材 に十分な薬剤 を注 入させ るまで には至 って いな い。一般 に薬剤注入が容易 と言われ る国産のスギ 材で も、最近よ く用 い られ るよ うになった中 目材 には十分薬剤 を注入す る こと が困難で あると報告 されている78、 79)。 薬剤 の木材内部への浸透 は、各細胞 間 に存在す る有縁壁孔、分野壁孔 あるいは放射柔細胞 を通 して行われるが、壁孔 の閉鎖状態あるいは木材 の成長過程で生産される抽出成分や副産物の沈着量等 によ る影響 を受 ける。 しか しこれ らの組織学的要 因以外 に、使用する薬剤 自体 の話性質 にも影響 される。例 えば薬剤の表面張力、粒子径等 はれ薬剤 の木材 内 部への浸透移動性 を左右す る。ほう酸 のように、高い拡散性 を利用 して木材 中 に浸 透させ る薬剤 もある。近年、従来か らの水溶性薬剤 に加 え乳化型の薬剤が 開発 され、すで に使用 されて いる。乳化型の薬剤 は通常粒子径が大き く、木材 中には十分浸透 しない と言われてきた。 しか し、鈴木 の研究で、乳化型薬剤 で も十分に木材 中に浸透す ることが分 ってお り80)、 また、小林 らの研究か ら、 乳化型の薬剤で も水溶性の薬剤 に劣 らない高い安定性のある ことが証明 された 81)。 これは、最近の乳化技術の向上 によるものである。過去の乳化型 の薬剤 で は、使用す る界面活性剤の分散能力が不十分で あ り、 しか も形成されたエマ ル ジ ョン粒子 はかな り大 きな もので あったためエマル ジョン粒子が沈降 しやす く、 また乳化安定時間 も短 く、水で希釈後短時間で使用 しなければな らなか っ た。 しか し、乳化技術の向上 によ リエマル ジ ョン粒子が微細化 し、また乳化安 定性 も高 くな った。 したが って、加圧注 入処理 という極めて苛酷な条件下で も 使用す る ことが可能 とな った。 ところで、キ トサ ン金属塩 は、水溶性 の薬剤 に分類 されるが、分子量10,000 ∼50,000と い う高分子量 のキ トサ ンを使用 していることか ら、分子径がかな り

(32)

大 き く、 木 材 細 胞 間 の通 導 経 路 で あ る壁 孔 や 、放 射 柔 細 胞 を容 易 に通 過 で き る か ど うか 不 明 で あ る。 そ こで 、 本 章 で は キ トサ ン金 属 塩 の木 材 中へ の浸 透性 を検 討 した。

2.供

試材料 および試験方法 キ トサ ン金属塩 の木材浸透性 は、鈴木 の報 告

80)ぉ

ょびJIS K 1570(附属書

1)に

準拠 して行 った。

2.1

供試材料 供試薬剤 として、キ トサ ン銅塩

[(CCS)銅

含有率、

9.95%]お

よびキ トサ ン亜鉛塩

[(CZS)亜

鉛含有 率、

11.80%]を

使用 した。なお

CCSお

よびCZS の生成方 法は第

1章

の とお りである 。 また、比較用薬剤 として、

CCA 3号

を 使用 した。 供試木材 には奈良県吉野郡吉野産のスギニ方柾辺材 を使用 した。供試木材 は 含水率 を12∼

15%に

調整 した後、2 cln×

2側

(木口面

12側 (繊維方向) の試験片 を調製 した。次 に、木 口1面のみを残 し、残 り

5面

をエポキ シ樹脂 に て完全にシール し、試験 まで冷晴所 に保管 した (P hoto。

3-1)。

2.2

試験方法

2.2.1

試験片の調製

CCSは

日標葉剤吸収量 を銅金属量 として 1,Okg/m3、

czsで

は亜鉛金属量 と して 2.Okg/m3と し、また、

CCA 3号

で は 3.5kg/m3と して、供試薬剤 を注入 し、供試試験片 を調製 した。

2.2.2

注入処理 供試試験片は

0.01gの

単位 まで質量 を測定 した後、プ ラスチ ック製 の容器 内 にな らべ、浮かび上が らないよ うにプ ラスチ ック製の網 と重 しをのせ、所定 の 濃度 に調整 した各供試薬剤 を上か ら投入 した。なお薬剤濃度 は、 日標薬剤注入 量 を 700∼ 750kg/m3と した場合 に所定 の日標薬剤吸収量が得 られるように設 定 した。プ ラスチ ック製 の容器 を耐圧性 の金属製 ミニシ リンダー (直径30cln、 長 さ200 cm、 ステ ンレス製

)内

に設置 し、-93 kPaで

2時

間減圧 して供試薬剤

(33)

を供試試験片 中に注入 した。注入後直ちにプ ラスチ ック容器か ら供試試験片 を 取 り出 し、表面 に付着 した薬剤 を軽 く拭 き取 り、その質量 を

0.01gま

で測定 し た。注入前 と後の供試試験片の質量および供試薬剤濃度 よ りJIS A 9201(1991) に従 って薬液注入量および薬剤吸収量 を算出 した。薬剤処理 した供試試験片 を まず ポ リ塩化 ビニ リデ ン製のフィルムに包んで 7日 間、次にフィルムをはず し て20日 間以上室内に放置 し、養生 した。

2.2.3

浸透性の試験方法 室 内に養生 した後 の薬剤処理供試試験片の側面 に、開放木 口面 よ り2、 4、

6お

よび8 cmの部分 にマー クを し、その部分 を中心 に0.5 cmの 幅で試験片を切 り取 った。各試験片 ごとに比重 を求 めた後、

CCSお

よび

CCA 3号

は、

0.5gの

1, 5-ジ

フェニルカルボ ノヒ ドラジ ドを

50gの

2-プ

ロパ ノールに溶解 し、 さ らに

50gの

蒸留水 にて希釈 した指示液 を、 また

CZSは

ジフェニルチオカルバ ゾ ンの

0,lw/v%ク

ロロホルム溶液 をそれぞれ各試験片木 口に散布 し、呈色 し た面積よ り部位 ごとの浸潤度 を求めた。次に各試験片 を砕いて木粉にし、一定 量 を取 り正確 に秤量後、硫酸

(97w/w%)+蒸

留水

(1:2)お

よび過酸化水 素水

(35w/v%)に

よ り湿式分解 (JIS A 9108)し 、原子吸光分析法 によ り、

CCSで

は銅金属量、

CZSで

は亜鉛金属量、

CCA 3号

で はクロム、銅およびひ素 化合物量 をそれぞれ測定 した (「

ig.3-1)。

分析結果 よ り、試験片 の開放 木 口面か らの薬液浸透距RLごとに存在す る有効成分量 を求め、供試薬剤 の浸透 性 の評価 を行 った。

3.結

果 および考察

3.1

薬剤の浸透性 開放木 日か ら、一定距離 ごとに切 り取 った試験片 に各供試薬剤 ごとに専用 の 指示薬を散布 し、呈色部 よ り薬剤の浸潤度 を測定 した。 そ の結果、供試薬剤、浸透距離 に関係な くすべての試験片でほぼ

100%の

薬 剤浸澗度 を示 した。 これ は、各供試薬剤が、 いずれ も木 口か ら8 cmに至 るまで ほぼ均―に浸透 している ことを示 している (P hoto。

3-2∼

3-4)。

(34)

Unsealed (Unit:an) reactiOn

Atmic absorptionⅢ analysis

ig.3-1

各供試薬剤 にて処 理 された試験片か ら、浸潤度 お よび薬剤吸収量測定 のための試験片の採取方法

(35)

J

P hoto。

3-1

各 キ トサ ン金 属 塩 の 木 材 浸 透 性 試 験 に供 す る試 験 片 の状 況 P hoto。

3-2

キ トサ ン銅塩を注入処理 した供試試験片の各部 位 における薬刑の浸潤状況 (写真左 よ り、開放木 口面か らの距離2、 4、

6お

よび8 cmの部分)

(36)

P hoto,3-3

キ トサ ン亜鉛塩 を注入処理 した試験片の各部位 にお ける薬剤 の浸潤状況 (写真左 よ り、開放木 口面か らの距離2、 4、

6お

よび8 cmの部分)

P hoto,3-4 CCA 3号

を注入処理 した試験片の各部位 にお け る薬剤の浸洲状況 (写真左 よ り、開放木 口面か らの距離2、 4、

6お

よび8 cmの部分)

(37)

3.2

薬剤の注入量 と吸収量 各供試 薬剤 を供試試験片に注入処理 した結果 を

Table 3-1に

示 した。

Table 3-1

各供試薬剤 の試験片への平均薬剤注入量および平均 薬剤吸収量 供試薬剤 平均薬剤注入量 (kg/m3) 平均薬剤吸収量※ (kg//m3) キ トサ ン銅 塩 (CCS)

719,4

1,06

キ トサ ン亜 鉛 塩

(CZS)

716. 5

2. 10

CCA 3号

724.6

3. 61

※平均薬剤吸収量 :キ トサ ン銅塩

;銅

金属 として キ トサ ン亜鉛塩 ;亜 鉛金属 として

CCA 3号

;総

酸化物 として キ トサ ン金属塩 の平均薬液注入量は銅塩、亜鉛塩 ともに

720kg/m3前

後で、

CCA 3号

の平均薬剤吸収量 とほぼ近い値 を示 した。 この結果 よ り、キ トサ ン金 属塩の木材注入性 は

CCA 3号

と同程度 と思われた。また、各供試 薬剤 の平均薬 剤注入量 は、当初の 日標 どお りの値 となった。 また、各供試薬剤 の平均 薬剤吸 収量 は、いずれ もほぼ 日標薬剤吸収量 に近い値を示 した。 この ことは、キ トサ ン金属塩が細胞間の壁孔や柔細胞 を充分 に通過 し、試験片中に均等 に浸透 した ことを意味す る。 この結果か らも。キ トサ ン金属塩 は

CCA 3号

と同程度の薬剤 注入性 を有す るもの と思われた。

3.3

薬剤の浸透性の評価

CCSで

処理 した試験体 について、開放木 口面か ら一定距離 ごとに含有す る銅 金属 の吸収量 を分析 した結果 を

F ig.3-2に

示 した。

(38)

0           5 2 .     1 . ︵ 牲 \ 翌 ︶ E O 一 一 E ω 中 ω ﹂     ﹂ O α α O り

Distance from the unsealed end (cgn)

ig,3-2

キ トサ ン銅塩 を注入処理 した試験片についての 開放木 口面か らの距離 ごとの平均薬剤吸収量 (銅金属 として)

(39)

開放木 口面か ら2 cmの部分 の銅金属 としての平均薬剤 吸収量は1.04kg/m3、 4 cmでは0。 77kg/m3、 6 tlnでは0.64kg/mg、 8 clnでは0.59kg/m8を 示 した。 2 cmの部分 に含有す る銅金属 としての平均薬剤 吸収量 を

100と

した場合 に、各部 位 に含有す る銅金属 としての平均薬剤吸収量 の比率 を求めた結果 、それぞれ

4

cmでは74、 6 cmでは63また8 cmでは57とな り、開放木 口面か ら8 cⅢの部分で も 2 cmの部分の約

57%が

存在す る ことがわか った。薬剤の浸透距離 と、浸透長 の 増加 に伴 う薬剤吸収量の減少率 との関係か ら、薬剤の木材へ の浸透性 を評価 し た報告は過去 にはな く、本研究結果か ら供試薬剤 の木材への浸透性 を評価す る ことは難 しいが、鈴木は

CCAと

乳化型ナフテ ン酸亜鉛 について同様な比較試験 を行 い、

CCA処

理試験片 の各部位の薬剤吸収量 を分析 した結果か ら2 cln部分 の 平均薬剤量に対 し、8 cm部分 の平均薬剤量が

50%以

上であれば

CCAと

同程度 の 浸透性 を有す るもの と判断で きる と考察

80)し

てぉ り、

CCSも

乳化型ナフテ ン 酸亜鉛 と同様 に

CCAと

同程度 の木材浸透性 を有す るもの と判断で きる。

CZSで

処理 した試験体 につ いて、

CCSと

同様 に分析 した結果 を 「

ig.3-3

に示 した。 開放木 日面か ら2 cm、 4 cm、 6 cmおよび8 cmの部分 の亜鉛金属 としての平均 薬剤 吸収量 は、それぞれ2.04kg/Ⅲ 3、

1.55kg/m3.1.26kg/m3ぉ

ょび

1.13kg/

m3で 、キ トサ ン銅塩 の場合 と同様 に、2( の部分 に含有す る亜鉛金属 として の 平均薬剤 吸収量 を

100と

した場合の

4硼

、6 cmおよび8 cmの各部位 に含有す る 亜鉛金属 としての平均薬剤吸収量の比率 は76、 62および55となった。

CCSと

同 様 に、開放木 口面か ら8 cmの部分 に含有す る亜鉛金属の平均薬剤 吸収量 は2 cm の部分の

50%以

上 を示 した。 したが って、

CZSも CCAと

同程度の木材浸透性 を 有す ると判断できる。 一方、

CCA 3号

処理木材 について分析 した結果 をF ig。

3-4に

示 した。な お結果は含有成分で ある金属酸化物のCr03、

CuOお

よび

As205量

で示 した。 開放木 口面か ら2 cal、

4酬

6酬

および8 cmの部分 のCr03の平均薬剤吸収量 は、それぞれ1.60kg/m3、 1,32kg/m8、 1.12kg/m3ぉ ょび0.91kg/m3、

cuOの

平均薬剤 吸収量 は、0.84kg/m争 、0.73kg/m3、 0.64kg/Ⅲ3ぉょび0。 51kg/皿 3、

(40)

︵∞FF 凹 工 ︶     E o 一 , C o 中 ﹂     O E 一N 3_0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0

Distance from the unsealed end (Om)

「 ig。

3-3

キ トサ ン亜鉛塩 を注入処理 した供試試験体 の開 放木 口面か らの距離 ごとの平均薬剤吸収量 (亜鉛金属

(41)

4.0

Distance from the unSealed end (cln)

F ig.3-4 CCA 3号

を注入処理 した試験体 についての開放 木 口面か らの距離 ごとの平均薬剤 吸収量 (総酸化物お よび各構成成分 として)

Cr03 Cu0 As205 E O 一中 C O 中 ω ﹂   く   り   り 2.0 1.0

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