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強化に向けた議論が行われた ti/ 2 戦争について学ぶことの奨励 このような政府の 歴史 重視の姿勢と並行し て また戦争の歴史へ 戦争の歴史を教えるための参考教材の表紙 の社会的な関心の高まりを 背景に 政府は子どもたちが戦争について 学 ぶ ことを積極的に奨励している そのための体 系化された

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Academic year: 2021

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(1)

平洋

争 を

継 承

教材

み る

太平洋

日的含

飯笹  佐代

子*

1

 

ス トラ リア の

歴 史

を め ぐ る

  背

景 と 文 脈

 

近 年の オ

ス トラ リアに おい て

や ミュ

ジアム

新 聞等の メ デ ィア で 「歴 史戦 争 (

hiStory

wars )」11 と称さ れる論 争 が 繰 り広 げら れ る中

学 校の教 室 も また

「歴 史戦争 」の

つ の 「戦 線

CbattLefront

)」となっ て い る121。 学 校 教 育におい て 「 わ れ歴 史」 か に教 えら れ る き か

を め ぐ る 論

くの熱い 目 を喚 起 するの は

授 業で 教 え ら れ る 歴史が

集 合 的な 記

と して の

国 民の物 語 」の構 築に大 き な影 響 を持つ こ とによ る。 そして何より子どもは

集 合 的 な記 憶 を 将 来に継 承 してい く存 在と して

、未

来 の シン ボル で も ある。 歴 史教 育の あ り方が、 盛ん

に 「過 去の

the 

future

 Qf the 

past

)」とい

うレ ト リッ ク で じ ら れる ゆえん である。

 

ス ト ラ リアで

歴 史戦 争 」が本 格 化したの は

1996

年の ハ

ド政権 登 場 あ り

最 大争 点を な してい る の が

先住民 問 題 をめ ぐ る も の である

) 学 校の歴 史教 育に 関 し ても

い わ ゆ る 「喪 章 史 観 」へ の 反発が 顕在 化してい る

た と え ば

歴 史科目の シ ラバ ス に おい て

ス トラリ ア大陸へ

説 明 す表 現 「侵 略 (

invasion

)」では な く 「定 住 (settlement )」 に書 き換えるべ である

とい っ た 議 論が注目を 集 めて き た

ま た

ポス トモ ダニ ズム や

文 化主 義が 歴 史教 育へ 行 き影 響を 与 え た と し 念し

「マ ノ リ テ ィ偏 重の分 断 さ れ た 歴史」 か ら

マ ジ ョ リテ ィ中 心の 「グラン ド

ヒ ス トリ

を 取 り戻 し

教 えら れ る 張 も繰 り *総 合 研 究 開 発 機構 返さ れ てい

首 相 自身 もこうし た考 え を 強 く持っ て お り

2006

年の オ

ス トラリア

デ イのス ピ

チ で は

の歴

を 「あら ゆ る

客観的

な 歴

業績

さ れるか否 定 され る相 対主義のポス トモダン的 文 化に屈 服 して しま っ た

」 とし て批判 し てい る[3)。

 

とこ ろ で

上 述の 「侵

」か 「

住 」か

とい う表 現の問 題は、

日本の教 科 書 論 争と酷 似 して い る

し か し

こ こ で

意 し て お か なければ な ら ない のは

日豪における教 育 制 度の本 質 的 な 違い につ い て である。 オ

ス トラ リ アで は

教 科 書 検 定 制 度は存 在せず

日本の よ うに全国

律に 拘 束 力 を持っ て適用 さ れ る

指導

もない 。 教 科 書は

民 間の 出 版 社が 比較的

由に

刊 行 し てい る。 教 育 行 政の州 政 府へ の分 権 化 が 進ん でい る上 に、 教 育の実 践は

各 学 校

さ ら に は 教 師 個 人の裁 量にか な りの 程 度 任さ れてい る

 さて

ス ト ラ リア の学校 教 育 が 「歴 史戦 争 」の 戦場 となっ てい る

方で

実は 教

と して の 「歴史

は 決 して生徒の 間で人気がある わけで は ない む しろ高 校生 レベ ル では選 択 履 修 する生 徒が減っ てお り

その こ と が多 くの 関 係 者の 懸 念 材 料となっ てい る。 州によっ て異 なる が

小 中学 校レベ ル で は

「社 会 環 境 科 (

SOSE

」の よ

な 複 合 科 目の

部 とし て教 えら れ るこ と が

く[41

しか も歴

を専 門と し ない 教 師に よっ て担 当 され てい る場 合も 少 な く ない 。  こ し た事 情を踏 まえて

近 年

連 邦 政 府は歴 史教 育を見 直 し

促 進 を 図るための プロ ジェ ク ト に積 極 的に取 り組ん で きて い る15 )

2006

年 8

17

日に は

キ ャ ンベ ラ で

ス トラ リ ア歴 史

サ ミッ ト (

The

 

Australian

 

History

 

Summit

)」 が

開催さ れ

首 相参 加

初 等

教 育を対 象に全国 規 模での 歴 史カ リ キュ ラム の

(2)

戦 争を めぐる記 憶の継 承 戦 争の歴史を教え る た め の参考教材の表 紙 強 化に

けた議 論が

わ れ た〔ti/。

2

 

につ い

ぶ こ との

奨 励

 この ような政 府の 「歴 史 」重視の 姿 勢と 並行 し て

また戦 争の歴 史へ 社 会 的 な 関 心高ま りを 背 景に

は 子 どもた ちが戦 争につ い て 「学 ぶ 」こ と を

極的 に奨 励 し てい る。 そのた めの体 系 化された参 考 教 材の 開発 が

退

軍 人省など を 中 心 に進め ら れ

、2000

年 代に入っ て下 記の よ う な 教師 向けの 参 考 教 材 が刊 行 され た。

・Department

 of 

Veterans

Affairs

2005

C

忽 々θη

Click

 

An2ac

O 

Kokoda

fnvestigating

 

Azastralia

s

PVartime

 

ffistory

 with  the 

VVebsites

 

Visit

GalliPoli

 and  

Australia

s 陥 ア

1939

1945

(執 筆

NSW

州 教 育 委 員 会

NSW

歴 史教 師協 会の 協

CD

ロム付 き)⇒表 紙は 写真 左

・Department

 of 

Veterans

Affairs

2004

Working

the 

Web

: 

fnvestigating

 

Austratids

 

PVartime

舐 蜘 り《 執 筆は

Curriculum

 

Corporation

Departrnent

 of 

Veterans

Mairs

2002

Aztstrallans

at 

War

Prima

y 

SchoolS

 

Education

 

Resource

執 筆は

Robert

 

Lewis

T

 

Gurry 、

ヴィデ オ

付 き

全 国の初 等 学 校に無 償 配 布 )

Department

 of 

Veterans

Aff

詛rs (

2002

).

Az

{stralinn6

at 阨 κ

Secondary

 

Schoo

S

 

Education

 

Resource.

(執

Robert

 

Lewis

Tirn

 

Gurry

ヴィデオ付

全国の中等学 校に無償 配 布 )

・ANZAC

 

Day

 

Cornmemoration

 

Committee

 of

Queensland

2001

Home

 

Fron

 ts at 

Vaar

 

The

Australian

 

ExPerience

 

Of

 

War

 

in

 

World

 

War

1

urorld

 

War

 

2

 and  

the

 

Vietnam

 

War

(執 筆

Robert

 

Lewis

Tim

 

Gurry

ANZAC

 

Day

 

Commemoration

 

Committee

 of

Queensland

2

XX

)〕レ

Var

 and  

ldentity

fnvesttgating

the 

Austrarian

 

ExPerience

 

Of

 

War

 

1939

2000

 

(執 筆は

Robert

 

Lewis

Tim

 

Gurry

⇒表紙は

写 真右

ANZAC

 

Day

 

Cornmemoration

 

Committee

 of

Queensland

2000

The

 

ANZACE

)erience

(執 筆は

Robert

 

Lewis

Tim

 

Gurry

以下で は

これ らの教 材におい て太平

戦争な

25

(3)

ら び に 日本が どの よ うに描か れ

語ら れてい る の か

ま た

そ れ らが 今日

か なる意 味 を持っ て い るのか

よ り端 的に 言

な らば

ナ シ ョナルな 物 語 りに どの ように寄 与してい るのか

につ いて 考えてい き たい〔7)。   先 ず、 これ ら参 考 教 材の特 徴につ い て整 理して おこう。 第

退 役 軍

ラ リ ア 争 記 念 館 等に よっ て整 理

体 系 化さ れ たネッ ト上 の膨 大な戦 争 資料

解 説

手 記

写真な どの 映 像

地 図

聞 記

や ポス タ

ー、絵

画 な ど     を積 極 的に活 用 するこ とを前 提に (それらへ の具 体 的 なア ク セ ス方 法の ガ イ ドに も なっ てい る)、 様々 な 資 料に基づ き なが ら

戦 争の歴 史 的 経 緯 を理 解 する こ とに加 えて

で きる限 りヴィジ ュ アル で

具体 的な 戦争イメ

ジ を体 得す ること に狙い が置か れてい る。 特に重視 さ れてい るの は

個人の手 記や語 りな どによる 「体 験 談 」であ る。 た だ し

これ らの体 験 談の選 別に おい て

果 た して特 定の 意 図が働い てい ない と言 えるの かは 不 明 である。 少な くと も言 える の は

個 人 的 な 過 去の 記 憶 と

よ り大き な 歴史物 語とが曖 昧に融 合 さ れ てい ることである。

  第二に

War

 and

rdentity

タ イ トル にも

示 さ れてい る ように

二 つ の大 戦は

ス トラ リア の集 合 的 な ナショ ナル

ア イデ ン テ ィテ ィ の 搆 築と密 接に結び付 けら れ て語ら れ てい る。

1992

コ コ ダ に おい て当時の キ

テ ィ ング首 相は次 の ように述べ   「こ こ (コ コ ダ)は オ

ス ト ラ リア

ネイ シ ョ ン の深 遠 な 精

が確立 さ れ た場 所だ と信 じて い るc そ れ が創ら れ たのが ガ リ ポ リ だっ た とするな ら ば

こ の地で のわ れ わ れの祖 国 防衛におい て

そ れ は しっ か りと確立 さ れ たのだ。

81   参 考 教 材の ス ト

を支 えて い るのが

まさ しく

こうし たガ リ ポ リ でア ンザ ッ ク精 神を 生 み 出し た第

次世界大戦 と

攻 撃下で国 民が

致 団 結 して困 難を乗 り越 え祖 国 防衛を果た し た第二 次 世界大戦

とい う構 図である。   それ ゆえ も あ り

第三 に

戦 争その ものの 是 非 につ い て問 うこ と が棚上げさ れ てい る。

参考

に掲 載 されて いる個 人の体 験 談に して も

、敵

を思 い や る 記 述 は あっ て も

自体に疑問を投 げか ける視 点は希 薄である

3

 

太 平 洋 戦

と 日本  では

これ らの参 考 教 材に おい て

太 平 洋 戦 争 は どの ように描か れてい るの で あ ろ

か。 その中 心を なすのは、 日本 軍に よる被 害の歴史で ある。 北か ら迫 り来る日本の脅 威に対 する不 安

つ い に その不安が的 中し て ダ

ウィ ンや シ ドニ

湾 など 本土 が空 襲

攻 撃にさ ら さ れ る様

さ ら には 日本 軍の戦

争捕虜

と なっ た 人々 の過酷な待遇 と体験 に つ い て 、 写 真や ポス タ

、 個 人の手 記や語 り など の 多 様 な 「エ ビデ ン ス を活 用

駆 使 しなが ら学 ぶ こと が求め ら れ る。  その

日本が なぜ参 戦 し

南 進し たの か につ い ての 景 や経 緯に は触れ ら れてい ない 。 日 本における原 爆 投 下の被 害につ い て も、 お よそ 無 関心で ある。 日本は

あ くまで オ

ス トラ リア を 脅かす 存 在 と してのみ登 場してい 。  しか しなが ら

必 ずしも現 在の 日本に対 する憎 悪 や

難を 生 徒 に喚 起 すること が 意 図 さ れ てい る わ で はない 。 オ

ス トラリァ人 に受 難を強い た かつ ての

に対し て

、余

裕の あ る寛 容さ さえ示さ れて い る。 た と え ばシ ドニ

港 攻 撃につ い て、 口 豪 双 方の視 点か ら考え ることが提 案さ れ

日本の 特 殊 潜 航 艇に乗 船 し

自爆 死 した松 尾 大 尉の母 親 と

彼 女が詠んだ 哀

歌 が紹 介さ れ る。 当 時

ス ト ラ リア海軍 は敵軍 であり な が ら松尾 大 尉の遺 体を丁重に葬っ た。 その こ とに対 して、

26

後に母 親が謝 意を表 する た め に訪 豪 し

そ の短 歌を贈っ たの で ある。   参 考 教 材で は

日本 軍に よ る被 害そのもの より も

む しろ外 からの脅 威や攻 撃に対して 「祖 国 を

る」こ との 意

義、

その た め に

犠牲

し ま な か っ た 「オ

ス ト ラ リア人

の勇

さ と美 徳が よ り 強 調 されてい る。 さらに、 外か らの脅 威に対 して 「祖 国を守る」 とい う大 義の 疑い ようの ない 正 当 性は

過 去 形に留 まらず

現 在

そ して将 来へ と 敷衍 され る。 た とえば

日本軍に よ る ダ

ウ ィン 攻

で破

さ れ た

建物

の写 真が掲

さ れてい るの と同じ頁では、 次の よう な 質 問につ い て生徒どう しで グ ル

プ討 論 する こ とが 求め ら れ る。

「今

ト ラ リ ア危 機る か ?  私

 

たちは ど の よ な危 険に

面 し てい るの か ?」

一 26 一

(4)

戦 争 をめぐる記 憶の継 承

ラ リ アを防 衛 すた め 、 政府に対

 

して どの ような 備 えを期 待 する か ?」[9)  そ して

討 論に立 ち 会 う教 師に対し ては

「オ

ラ リ ア現 在 直 面 い る種々 の 危 険につ い て質 問 を考 え

生徒に テロ リス トの

威に関す る

識や

そ れ ら に対 抗 するために政 府 がとっ て い る行 動につ い て 問 う」こ とを促 して い るtl°1。 か つ て の 日本 軍の脅 威か ら現 代の テ ロ リス トの 脅 威 を連 想さ せ る こ とによっ

政府の テ ロ 対 策 ない しは対テロ 戦 争の正 当化を

誘導

してい る

と捉 え ら れ な く もない 。 こ こ で は、 かつ て の野 蛮で無 慈 悲な 日

軍 は

現 在の 日本 入と結びつ ら れ るの ではな く、 外 (北

か ら 忍 び寄る得 体の 知れない

々 の危 機を喚起する メ タ ファ

となっ てい る。

4

  太 平洋 戦争

とい

必 要性

 

こ こ で 、 太 平 洋 戦 争とい う歴

現 代オ

ト ラ リ アにとっ てい か なる位 置と イン プリ ケ

シ ョ ン を持っ てい るのかにつ い て

確 認してお く必 要が あ る だ ろう。 より端 的に問 うなら ば

今、 な ぜ

洋 戦 争の 歴 史が 必 要とされ るのか。  そ れ は

太平洋戦争が 「安 全 な歴 史 」として構 築 可 能だ か らでは ない か。

 

太 平

の歴史は

喪 章 史観 をめ ぐ る深 刻な 「歴 史戦 争 」の争 点か ら外れ た安全圏に ある

。多

くの オ

ス トラ リア 人にとっ て

太平

戦 争は

か れ らが どこまで も被 害 者として語 り、 その

難の記 憶を共 有 するこ との で きる歴 史であ り

加 害 者に対して寛 容 を 与え 得る優 位 な立場が 確 保さ れる領域で あ る

あ る 意味

被 害 者は加 害 者より も優 位に 立つ こ とが できる。 先 住 民の問 題 に おい て加 害の歴 史を突 きつ け ら れ続けて きた ア ン グロ

ケル ト系 オ

ス トラリア人 に とっ て

そ れは

い わ ば

疲れ」か ら解 放 される領 域 である と言っ て よい 。

 

むしろ

太 平 洋 戦 争は

先住民 とも共 有可能 な 歴 史 を提 供 すること がで きる。 教 材に は優 秀な 兵 士 と し て貢 献 した先 住 民も登場 し

同 じ敵に対し て と も に 戦っ た ことが 描か れる。 ま た

教材 に は あ ま り登 場し ない が

中 国系 移 民も受 難の 記憶に 参 加 する こ と が 可能である。

2003

年に ニ ュ

ー ・

サ ウス

ウェ

ル ズ州の 首

相賞

受賞

し た

The

Bombing

 of  

Darwin

と題 する 日記 形 式の児童書 (戦

を学ぶた めの有 益な書と して推 奨さ れて い る)では、 書 き手で あるアデ レ

ド出

少 年

引っ 越 し先の ダ

ウィ ンで 中 国

移民 と親 しくな り

日本 軍に よ る空 襲 時、 ともに 同じ防空壕へ 難 す

子 がか れい る。 少 年 は中 国 系 移 民か ら

中 国本土 でい か に 日本軍 が蛮 行 を 繰 り広 げて い る の か に つ い て 聞い た り す る〔lv。

 

多 文 化 国 家に とっ て、 国 民 統 合の問題 は常に重 要な 政

課題で ある。 オ

ス ト ラ リ ア で は 戦

量 移民政

の 結 果と して

「ブ リ テ ィ ッ シュ ネ ス」を求 心 力とする国 民 統合 が有 効 性 を持 ち 得 な くなっ てか ら久しい 。

方、

そ れ にわ る統 合 理 念 として提 唱さ れ た 「多 文 化主義 」は

ア ングロ 系か らの 発 も少なくなく

万人に

け入 れ ら れ て い る と は言い い 。

 

藤 原 帰

氏 も指 摘 する ように

、伝

統的 な ナショ ナル

シ ンボルが機 能し な くと も

出 自や宗 教や 階級 を超 えて 国民の

体 感 を容 易に醸 成 する こ と がで きる数 少ない

段 の

つ が

戦 争の記 憶の動 員で あ るum。 ガ リ ポ リ か ら生 まれ たア ン ザ ッ ク神 話は

十 分に その

を果た し て きた

し か しガ リ ポ リ は

ともす ると 白 人 中心の

また

は る か 遠い地で の 「兵士 の物 語 」で あ るux。 そ れ に対 し て

先 住 民や中 国 系 移 民を含め

よ り

くの

般 の人 々 に 回顧さ れ

共 有 さ れ 得る歴 史と しては

本土 防衛を

儀 な く さ れた太 平 洋 戦 争の方が 適 し てい る か も し れ ない

しか も

こ の戦 争の 回顧に おい て

ア ングロの主人公 としての地 位 が 揺 ら ぐこ と は ない

した点に おい て

太 平 洋 戦 争 は、 近 年になっ て改めてその活用価 値 を 「発 見 」 されたの では ない で あろ

 

さらに強 調 すべ

こ の戦

の記

か ら

外 か らの

威に さ ら さ れ た オ

ス トラ リア とい う危 機 言 説を引き 出 し

容 易に現代に投 影 する こと が で きる

とい う点であ る

アイ デ ンテ ィテ ィ

ク ラ イ シス に ゆ ら ぐ

文化 ネイシ ョ ンの再 統 合 を 図 る物 語と して

太平 洋 戦 争は何 重 もの 意 味で格 好 の 素 材 を提 供 し たの である。 そ して

子 どもた ち には

ア ン ッ ク神 話 と と も に

こ の 物語 を 学 び

し てい こ と が期 待 さ れる。

27

(5)

5

 結

え て

 

本 誌で鎌田真 弓氏 が指 摘す る ように

ス ト ラリア にお け る 太平 洋 戦 争へ の 関 心高 ま りは、 日本軍 が オ

ス トラ リア国民に与 えた

難を

日 本人 が 思い して記 憶 するこ と を求め続 けてい る こと を示 す もの で もあるだろ う。 その こと に私た ち が 無 関 心であっ て よい はずは ない 。 日

間の戦 争の記

にお け る

非対称性

きつ ら れ るの は

と ても居 心 地の悪 い こ とであ る。   同 時に も う

私 自 身 が 気っ てい ること が ある。 近 年の ボ

ト ピ

プルへ の 対 応 をは じ め

現 代の オ

ス トラ リ ア は

か らの脅 威へ の 漠 然と した不

感へ の 過剰 反応 と も取れ る ほ ど

内 向 きで排他 的 に なっ てい る観がある。 も し

その不 安 感が

か れ少 なか れ

かつ て の 日本 軍 に よ る脅 威の記憶に由 来 して い る とするな ら ば

そ して

日本側の知ら ない とこ ろ で

かつ て の 日本 軍とい うメ タフ ァ

が 現在

そ して未 来の 脅 威 と して 子どもたちに伝 えら れ てい くの な ら ば

居心 地の悪さ は さ ら に増 さざる を得ない [注]

U

〕 藤 川に よ る と

「歴 史 戦 争 」 とい う言 葉は

1994年    に アメ リカ で

日本へ の原爆 投下 に関わ る特別展を   中 止に追い込ん だ出 来事を 契 機 に 流布す る ようにな    っ た造語で ある とい う (藤 川 隆 男 「歴 史 戦 争 を通 し    てみ た オ

ス トラ リア のナシ ョ ナ ル

ヒ ス トリ

」   「オ

ス トラリア研 究』第17号

2005年 )

ス   ト ラ リア の 「歴史戦争 」につ いて 論じ たもの とし

  て

Stuart

 

Macintyre

 and  

Anna

 

Clark,

 

The

 ”

istory

   PVrars

 Melbourne 

University

 

Press、

2003

な ど を 参 照

〔2〕Macintyre and  Clark

 ibid

p

172

〔3〕 

John

 

Howard、

 

Address

 to the National Press 

Club,

   Great Hall

 Parliament 

House,25

 

January

 20D6

   http;〃 www

pm

gov

au /news /speeches /speechl754

   htm!

〔4) 〔5} 〔6} (7} (8} (9) (lo (11} 〔12} (13}

SOSE

Study

 of 

Socie

匸y and  Environment)は

をは じ め 地 理

社 会

文化

政 治

経 済

環境 等の 学 習を含み

1990

年 代初 め に キンダ

デンか ら

10

年 生 (日本の高校

1

年 生 程 度 )ま での履 修 科目 と して

い くつ の州で導 入 された

歴 史は年 代 順の 通 史 とい う よ り

課 題ベ

で の学 習 と な

な お

ニ ュ

ー ・

サ ウス

ウェ

ル ズ 州では歴 史教育 に力 を入れ て おり

中等 教 育で は

SOSE

方 式 を採用 せずに歴 史を独立科目 と し

200 時間 (

7 − IO

年 生 ) の必修を課し てい る。 連 邦 教 育 省の イニ シ アチ ブにより2000年か ら2003

年まで はNational History Projectが 実 施 さ れ

れ を 踏 ま えて

2003

年 か ら は

Commonwealth

 History

PrQject

が進め ら れ てい る

な お

90

年代半ば よ り 連 邦 教 育 省に よっ て推 進 され たシティズンシ ップ教 育も

歴史を媒 介と し た学 習を重 視して お り

歴 史 教 育の促 進の

環 として捉 える こと がで きる。 「オ

ス トラリア歴 史 サ ミッ ト」につ い ては

http;〃 www

dest,

gov

au/sectors /school

_

educationfpolicy

_

initiatives

reviews /key

_

issues/australian

_

history

_

summit /default

htm を参照

当然な が ら

民 間 の出版 社が 刊行 する各種の教材で

太 平 洋 戦争の描 か れ方が

、.

ヒ記で挙 げ た 教 材 と は異 なっ てい る部 分 も少なくない

Paul 

Keating,

 speech  at 

Kokoda,26

 

April

 

l992、

CPD

 H

 Qf R

 vol ユ83

28 April 1992

 ppユ827

55

Department Qf Veterans Affairs

 Operation Click

       ±

Anzac to Kokoda

Jnvestigating Aust

ratia

s IVartime History with  the LVebsites Visit Gallipoti and Azastratia∫

War

 

ig39−1945,

 p

28,

fbid

Alain Tucker

he Bombing  

Of

 Darwin

 

Scholastic

AUStralia

2003

藤 原帰

『戦 争を記 憶 する

広 島

ホロ コ

ス ト と 現 在』講 談 社 新 書

200

工年

アン ザッ 兵の 白人性に 関する 議 論 は

津 田 博 司 「死者た ちの白人性

ス ト ラ リ ア に お け る戦争 の記憶と 「国 民 」の境 界 」 藤川隆 男 編 「白人 と は何 か?

ホ ワイトネス

ス タ デ ィ

ズ 入 門刀水書房

2005年を参照。

28

参照

関連したドキュメント

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子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

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子どもたちが自由に遊ぶことのでき るエリア。UNOICHIを通して、大人 だけでなく子どもにも宇野港の魅力

①配慮義務の内容として︑どの程度の措置をとる必要があるかについては︑粘り強い議論が行なわれた︒メンガー

能率競争の確保 競争者の競争単位としての存立の確保について︑述べる︒

夫婦間のこれらの関係の破綻状態とに比例したかたちで分担額