ヒト好中球のPMAおよびOZ刺激スーパーオキシド生成能と修正された無細胞系によるNADPHオキシダーゼ活性の関係
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(2) 北海道教育人学紀要(自然科学編)第56巻 第1弓 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(NaturalSciences)Vol.56,No.1. 平成17年8月 August,2005. ヒト好中球のPMAおよびOZ刺激スーパーオキシド生成能と 修正された無細胞系によるNADPHオキシダーゼ活性の関係 中村 寛成・神林 勲*・内田 英二**・武田 秀勝***・藤井 博匡***. 北海道教育人学人学院教育学研究科 *北海道教育人学教育学部札幌校保健体育研究室 **人正人学人問学部 ***札幌医科人学保健医療学部. RelationbetweenPMA−andOZ−Stimulatedsuperoxide−generatingactivitiesand NADPHoxidaseactivitybymodifiedcell−freesysteminhumanneutrophils NAKAMURATomonari,KAMBAYASHIIsao*,UCHIDAEiji** TAKEDAHidekatsu***andFUJIIHirotada***. GraduateSchoolofEducation,HokkaidoUniversityofEducation,Sapporo OO2−8502. *DepartmentofPhysicalEducation,SapporoCampus,HokkaidoUniversityofEducation,Sapporo OO2−8502 **. FacultyofHumanStudies,TaishoUniversity,Tokyo170−8470. ***. schoolofHealthScience,SapporoMedicalUniversity,Sapporo O60−8556. Abstract. Inhumanneutrophilsfromperipheralbloodatrest,relationbetweenphorbol12−myristate13−aCetate (PMA)andopsonizedzymosan(OZ)stimulatedsuperoxide−generatingactivity,andreducednicotina− mideadeninedinucleotidephosphate(NADPH)0Ⅹidaseactivitybymodifiedcellfree−SyStemWaSeX− aminedinthisstudy.NADPHoxidaseactivitywasreconstructedbysuspensionincludingbothmem− braneandcytosoIcompartment.Twohealthymalesubjects(subjectA;20yrandsubjectB;39yr)were recruited.Superoxideproductionwasmeasuredbythecytochromecreductionassay.PMA−andOZ− Stimulatedsuperoxide−generatingactivitiesinsubjectAwerel.8and2.2timeshigherthanthoseofsub− jectB,reSpeCtively.NADPHoxidaseactivitywasalsol.5timeshigherinsubjectAthansubjectB.. TheseresultsindicatethatPMAstimulatedsuperoxide−generatingactivityrelatedtoNADPHoxidase activity,butOZ−Stimulateddoesnotnecessarilyreflecttheenzymeactivity.. Keywords;neutrOphils,SuperOXide,NADPHoxidase,CytOChrormec,PMA,OZ. 55.
(3) 中村 寛成・神林. 勲・内田 英二・武田 秀勝・藤井 悼匡. 緒 言 循環白血球の約半分を占めている好中球は,非 特異的異物処理の初期に中心的に活躍する食細胞. B(39歳)を対象にした.. 2.採血および測定概要. 肘静脈よりヘパリンコーティングしたシリンジ. である.好中球は体内に侵入してきた異物や細菌. を用い20mlの採血を約2ケ月の問に行った.採. に対して走化性を示し,それらを食胞してスー. 血の回数は,被検者Aが9回,被検者Bは10回で. パーオキシド(superoxide,以下0{)などの活. あった.細胞系の測定は採血後直ちに行い,無細. 性酸素種を生成して殺菌する.0昌▼は細胞膜と細. 胞系の測定は各々5回分の試料を1つにまとめて. 胞質に分かれて局在するニコチンアミドアデニン. 分析に供した.. ジヌクレオチド(reducednicotinamideadenine dinucleotidephosphate,以下NADPH)オキシ ダーゼにより生成される4). NADPHオキシダーゼの0昌▼生成活性は,無細. 3.好中球浮遊液の調製と好中球数の測定 血液は既報2)に従い,直ちに分離された.得ら れた好中球をリン酸緩衝生理食塩水〔PBS(−)〕. 胞系で定量評価することができる2).無細胞系で. に撹拝し,1mlの好中球浮遊液を作成した.こ. は,好中球の膜画分とサイトゾル画分を別個に調. の浮遊液中の好中球数は,算定盤により,光学顕. 製し,0昌▼生成活性を再構成する.しかしながら,. 微鏡(BH−2,OLYMPUS社製)を用いて古検的. この方法では膜画分とサイトゾル画分の量的比率. に算定した.. が活性に影響を与える等,測定上の問題点もある.. そこで本研究は,既報2)の無細胞系に若干の修 正を施し,NADPHオキシダーゼの0昌▼生成活. 4.細胞系による好中球0妄 ̄生成能の測定. 既報2)に従い,二波長分光光度計(556型二波. 性を定量評価した.修正を施したのは,膜画分と. 長自記分光光度計,日立製作所製)を用いて,シ. サイトゾル画分の両方を含んだ懸濁液を調製し,. トクロムC還元法により実施した.刺激剤は. その懸濁液を用いてNADPHオキシダーゼ活性. PMAとOZを用いた.PMAは使用直前に,ジ. を誘導した点である.この方法を用いて,ホル. メチルスルフォキシド(和光純薬工業株式会社). ポールミリステートアセテート(phorbol12−. で25pg/mlに調製した.OZは20mgのZymosan. myristate13−aCetate,以下PMA)による細胞系. (Sigma社製)を先行研究3)の方法に若干の修正. の好中球0昌▼生成能に差がある被検者2名を対象. を加えて調製し,好中球107個当たりOZが500. に,NADPIIオキシダーゼ活性にも同様な違い. 〟gになるようにPBS(−)で懸濁した.好中球. が得られるか否かを検討した.また,オプソニン. 0昌▼生成能は,好中球107個当たりで評価した. 化ザイモザン(opsonizedzymosan,以下OZ)に. (nmol/min/107cells).. よる好中球0昌▼生成能との関係についても合わせ. 5.無細胞系によるNADPHオキシダーゼ活性. て検討した.. の測定. 細胞系での測定終了後,好中球浮遊液にフルオ 方 法 1.被検者 我々の研究グループでは,これまでに多くの被. ロリン酸ジイソプロピル(diisopropylfluorophos− phate,以下DFP,和光純薬工業株式会社製)を 2〃1加えて,15分間アイスバス内で放置した後,. 検者を対象にPMA刺激好中球0昌▼生成能を測定. 1300rpm,10分間,4℃で遠心分離した.遠心後,. してきた.その中で,安定して高値と低値を示す. 上澄みを取り除き,PBS(−)を500〃1加え撹. 健常な成人男性2名,被検者A(20歳)と被検者. 拝し,分析まで−80℃で凍結保存した.分析時に. 56.
(4) 細胞系と無細胞系による好中球スーパーオキシド生成能. は常温で融解後,100mMフユニルスタンスルホ. を60〟1加えて混和した.これを,キュベットの. ニルフルオリド(和光純薬工業株式会社製)を10. SとR両方に770〟1ずつ入れた.キュベットのS. pl加え,超音波細胞破砕装置(Bioruptor,COS−. とRを一波長ダブルビームモード,波長を550. MO社製)を用いて,4℃以下の冷水内で超音波. nmに設定された分光光度計内に入れ,刺激前の. 処理(1.5秒×10回,インターバルは1秒)を施. ベースラインをペンレコーダー. して好中球を破砕した.その後,2000rpm,10. macia社製)で記録した.SとRの両方のキュベッ. (RlミClOl,Phar−. 分間,0℃で遠心分離した.遠心後,上澄みをマ. トに基質であるNADPH(OrientalYeast社製). イクロチューブに移し,NADPHオキシダーゼ. を同時に10〃1加えて撹拝し,Cytcと0昌▼の還. 活性用の懸濁液とした.試科内のタンパク質量は,. 元反応を開始させ,分光光度計で吸光度の増加反. SmartSpecTM3000(BIORAD社製)を用いてブ. 応を数分問記録した.測定は,各MAの量につ. ラッドフォード法により測定した.. き3度実施した.NADPHオキシダーゼ活性. 測定の開始前に緩衝液を作成した.最初に,蒸. (nmol/min/mgprotein)は,最も高い増加が得. 留水にリン酸二水素ナトリウムニ水和物とリン酸. られたMA濃度の反応曲線から,最大傾斜線の. 水素ニナトリウム・12水をそれぞれ加えて,200. 傾きを算出し,その平均値をCyt cの吸光度係. mMの溶液AとBを作成した.そして,溶液B. 数21.1で除すことで求めた.. に溶液Aを加えていき,pHメーター(Model TP−95pHMETER,東興化学研究所株式会社製) でpHが7.0になるように溶液Cを作成した.50. 6.統計処理 得られたデータは,平均値±標準誤差で表した.. mlの溶液Cに200mMのNaN3,100mMの. 平均値の差の検定には,MannwhitneyのU検. EGTA,100mMのMgC12をそれぞれ2mlずつ. 定を用い,危険率は5%未満とした.. 加え,蒸留水で総量200mlに調製し,それを緩 衝液として室温で保持した.NADPHオキシダー 結 果. ゼを再構築させる物質として,界面活性剤の一種 であるミリステン醸ナトリウム(myristicacid,. Tablelに,被検者AとBのPMAおよびOZ. 以下MA,Sigma社製)を使用した.NADPH. 刺激による好中球0昌▼生成能の平均値を示した.. オキシダーゼを再構築させるMAの最適濃度は. 同一刺激剤によるAとBの差は統計的に有意であ. 懸濁液中のタンパク質量に左右されるため,測定. り,PMA刺激による差は約1.8倍,OZ刺激で. 毎に加えるMAの量を変えた.用いたMAの濃. は約2.2倍であった.. 度は5mMであった.. 測定では,キュベットに緩衝液と懸濁液をそれ. どちらの被検者でも,NADPHオキシダーゼ 活性は,MAの最終濃度が32〟Mを最高に釣鐘. ぞれ100〟1ずつ入れた.そこにグアノシン3リン. 型の曲線を描いた(Fig.1).この時のNADPH. 酸を8〟1加え,室温で1分間インキュベーショ. オキシダーゼ活性をTablelに示した.被検者A. ンした.1分後,MAを加え,5分間インキュベー. とBの備には有意差が認められ,その差は約1.5. ションした.その間に,2本のキュベットを用意. 倍であった.. し,一方を懸濁液側(Sample,以卜S),もう一 方を対照側(Reference,以下R)とし,Sには 緩衝液を10〃1,Rにはスーパーオキシドジスム ターゼを10〃1入れた.5分後,キュベットに MA量に対応する緩衝液とシトクロム C (Ferricytochromec,以下Cytc,Sigma社製). 考 察 好中球が0昌▼を生成するためには,NADPH オキシダーゼを活性化させる必要があり,その過 程には複雑なシグナル伝達機構が関与する.まず,. 57.
(5) 中村 寛成・神林 勲・内田 英二・武田 秀勝・藤井 悼匡 Tablel Superoxide−generatlngaCtivitiesincellandcell−freesystems.. PMA−Stimulated. OZ−Stimulated. (nmol/min/mgprotein). (nmol/min/107cells). SubjectA. l14.9±5.3**. Subject上i. 62.8±2.8. NADPHoxidase. 19.3±2.5*. 5.30±0.24*. 8.9±1.2. 3.52±0.30. Valuesaremeanandstandarderrors.*and**denotesignificantdifference(p<0.05 andp<0.01)whencomparedwithSubjectB.. ︵層○ちJd叫百、月︻モ︻○白色hてr苫30功名頂OH九日虻Z. のPMA刺激好中球の0昌▼生成能の差は約1.8倍 であり,修正した無細胞系によるNADPHオキ シダー. ゼ活性は約1.5倍であった.この差は非常. に小さく,ほぼ同様であると考えられる.. PKCが刺激され,NADPHオキシダーゼが活 性化するまでには,タンパク質のリン酸化や構成 要素のトランスロケーションが必要である.被検 者AとBには,本研究では明らかにすることがで 16いM. 32llM. 4叫M. 64llM. 80llM. MA. Fig.1Effectofmyristicacid(MA)onNADPH. きないこの過程に違いが認められる可能性もあ る.また,無細胞系における測定上の影響を考慮 する必要がある.本研究では,無細胞系の試料作. OXidaseactivlty.Errorbarsindicatestandard. 成時において,好中球の核等を破壊するために. errOrS.. DFPを用いた.DFPは,核等のみならず細胞膜 や細胞質にも影響を与える.被検者AとBの好. オプソニン化された異物等が食胞されると,細胞. 巾球浮遊液中の細胞濃度は同一ではなかったた. 膜上にあるオブソニン受容体と結合し,Gタンパ. め,DFPの影響が被検者AとBの浮遊液で異. ク質が作用して膜内のホスホリパーゼCが活性化. なったかもしれない.以上のような理由から,. する.活性化したホスホリパーゼCは,ホスファ. NADPHオキシダーゼ活性の差とPMA刺激好中. チジルーイノシトール4,5一ニリン酸をジアシルグ. 球0昌▼生成能の差は,ほぼ等しいものと考えるこ. リセロールとイノシトール一三リン酸に分解され. とができる.. る.ジアシルグリセロールはPKCを直接活性化. OZは好中球の膜に存在するオプソニン受容体. させ,イノシトール一三リン酸は細胞内のCa2+. と結合することで,NADPHオキシダーゼを活. 濃度を上昇させることにより,PKCを活性化さ. 性化させる.よって,PMAに比較して,. せる.PKCが活性化することで,細胞内のタン. NADPHオキシダーゼを活性化させるまでのシグ. パク質がリン酸化し,細胞質にあるNADPHオ. ナル伝達機構の関与が大きい.また,オブソニン. キシダーゼの構成要素がトランスロケーションし. 受容体の数も,OZ刺激好中球0昌▼生成能に影響. て股にある構成要素と会合し,活性化する.. を与えるだろう.このようなPMAとの違いが,. PMAはPKC を直接刺激することで,. NADPHオキシダーゼ活性では約1.5倍だった被. NADPHオキシダーゼを活性化させる.このため. 検者AとBの差が,OZ刺激好中球0占▼生成能で. シグナル伝達機構の関与が少なく,PMA刺激に. は約2.2倍に広がった原因と考えられる.. よる好中球0昌▼生成能は,NADPIIオキシダー. ゼ活性を反映しているとされている1).被検者問. 58. まとめとして,安静時のヒト末梢血の好中球に おいて,PMA刺激好中球0昌▼生成能で認められ.
(6) 細胞系と無細胞系による好中球スーパーオキシド生成能. た差は,既報を修正した無細胞系によるNADPH オキシダーゼ活性でも同様の差として得られた.. 一方,OZ刺激好中球0昌▼生成能の差は,受容体 やシグナル伝達機構の関与が大きく,本研究で用 いた無細胞系によるNAT)P冒オキシダーゼ活性 の差とは一致しなかった.今後は,細胞系と本研 究で用いた無細胞系による0昌▼生成の関係が,運. 動などによりどのように変化するか,詳細な検討 を実施する予定である.. 参考文献. 1)Alvarez,E.,Rtliz−Gutierrex,Ⅴ.,Sobrino,F.and Santa−Maria,C.(2001)Agerelatedchangesinmem−. branelipidcomposition,fluidityandrespiratoryburst inratperitonealneutrophils.Clin.Exp.Immunol., 124:95102.. 2)浅田浩二,中野稔,柿沼カツ子(1998)活性酸素測. 定マニュアル.講談社,pp▲3277. 3)Nishida,A.,Kimura,H.,Nakano,M.andGoto,T. (1989)Asensitiveandspecificchemiluminescence. methodforestimatingtheabilityofhumangranu− locytesandmonocytestogenerateO昌.Clin.Chim. Acta,179:177181.. 4)Rossi,F.andZatti,M(1964)Changesinthemeta−. bolicpatternofpolymorphonuclearleukocytesduring phagocytosis.Br.].Exp.Path.,45:548559.. (中村寛成札幌校・岩見沢校大学院生) (神林勲 札幌校助教授) (内田英二大正大学助教授) (武田秀勝札幌医科大学教授) (藤井博匡札幌医科大学教授). 59.
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