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学習能力障害児のパーソナリティに関する研究

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(1)学習能力障害児のパーソナリティに関する研究. 兵庫教育大学大学院学校教育研究科. 専 攻   障害児教育専攻. 学籍番号   M84163 氏 名    辻    均.

(2)              目次. H.研究目的 ・・・・・・・・・・・・・…  ●’.●. 皿.研究方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・….      1. 対象      2. 手続き      3. 実施期間および各検査の所要時間. W.結果および考察 ・・・・・・・・・・・・・・….      1. 人物画検査      2. 動的家族描画検査      3. Y一一G性格検査.      4. 3っの検査から見たパーソナリティの特徴 V.結語   ・・・・・・…  。・・・・・・・…       付記・文献. 0 1   3 23 21 45 62 8.      4. 分析の方法. 1  6  7 789. 1.序文   ・・・…  6・・・・・・・・・・….

(3) 1. 序文. 究(1947,1955)の流れをくむもので、:LDを微細脳障害症候群(rainimal brain.  学校教育現場では、教科学習に問題を持つ子どもを学習遅延(sl。v learner)や 学業不振(under achiever)という概念でとらえ、多くの研究や教育実践が進めら.  dysfuncti。n;以下MBDと略記)に位置づけるものである。  アメリカ合衆国の保健文部厚生省と肢体不自由児協会はMBDについて、’次の ように説明している。(訳:上村,1983). れてきた。.  このような教科学習に問題をきたすものの原因として、さまざまな問題が指摘 されている。しかし、大きく分けて3っあるように考えられる。1つには、背景 的原因として、教育の過密化や不適切な教授法など、社会・教育的環境に関連す るものである。2つには、子どもの、学校や家庭における不適応に関連したもの である。3つには、子どもの学習不振に密接な関連がある、性格、興味、意欲な どの心理的諸要因である。.  しかし、近年、特に1960年代に入り、アメリカではこれらの学習上の困難 や問題を持つ子どもの中には、いままでの学習遅延や学習不振の概念でとらえき れないものがいることが指摘された。これらは、より限定された特異な存在とい ってよく、ことに心理的原因よりは、むしろ神経心理学的原因を想定せざるをえ ないものが多発したのである。このために特異な学習璋害(specific learn ing dis。rder)、あるいは学習能力障害(1earning disability ;以下:LDと略記). と呼ばれ、特別な対策が必要とされている。LDの詳細な定義は後述するが、脳 機能の偏りが原因と考えられる学業不振で、アメリカでは一般にLDという略称 で広く知られ、それに関する研究、および治療教育が教育、心理、医学の学際領 域から推進されてきた。.  LDの用語や概念を明確にすることは困難なことであるが、公的な定義として は、教育的立場から、アメリカ合衆国の障害児に関する諮問委員会(1968)は、次 のような内容を提案した。 (訳:上村,1983).  「特異な学習障害を持つ子どもは、話しことば、文字を理解し、用いる上で関 連する基本的な心理過程の一つ、ないしは、それ以上に璋害を示す。これらの障 害は、聞く、思考する、話す、読む、書く、計算する上での引写として現われ る。これらの中には、知覚障害、脳障害、微細脳障害、失語症、発達性失語症と いわれていたものが含まれている。これらには、視覚性、聴覚性、運動性の障害 によって生ずる学習上の障害、精神発達遅滞、環境性の学習上の問題は含まれて いない。」.  この定義では、LDを心理過程の障害に求めているだけで、そのよってきたる 原因については不明確である。.  これに対し、特異な学習障害を原因的にとらえ、脳障害として位置づける考え. 方がある。歴史的にいえば、これらはStraussらの脳損傷精神遅滞児の研. 1.  「脳機能障害症候群という用語に含まれる診断的ならびに記述的範ちゅうは、 一般的知能はほぼ平均、平均あるいは平均以上でありながら、中枢神経のわずか. な機能のかたよりに伴って、軽度から重度に至る種々の学習璋害、および(ある いは)ある種の行動異常を有する小児をさしている。その異常は、認知、概念形 成、言語、記憶、注意力や衝動のコントロール、あるいは運動機能といった諸機 能の障害のさまざまな組み合わせとして特徴づけられる。類似の症状は、脳性マ ヒ、てんかん、精神薄弱、盲、聾の患児に合併することがある。これらの異常は、 遺伝的変異、生化学的不規剣性、周生期脳傷害、中枢神経系の発達、成熟に重要 な生後数年間の疾病罹患や外傷、あるいは不明の原因などに起因する。この定義 は、初期の重篤な奪失(deprlvation)あるいは外傷が、永続的な中枢神経異常を もたらしうるという可能性を許容するものである。学童期には、種々の特異な学 習障害が、本症候群の名を冠する状態の最も顕著な症状をなす。」  これらを比較すると、アプローチの仕方に違いは見られるが、ほとんど同じ対 象を取り扱っていることがわかる。前述のLDの定義は、臨床像を中心とする記 述的定義であり、MBDは、より病因論的知見からの規定であるといえる。  しかし、いずれにしても中枢神経系の機能障害を想定したもので、LDは、脳 機能の偏異を背景に持った症候群の1つとして考えることができる。この研究の 対象となったLD児もこれらの定義に当てはまったものである。  このような児童、生徒への関心は、米国を中心に広くヨーロッパで次第に高ま. っていき、米国では、1960年以降、にわかに学校教育の現場を中心に問題に され、各州の行政機関が学習に隠里のある児童のための特別なプログラムや学級 の設置に向けて法的措置を講じた。.  研究面では、Frostig(1964)は、特に視知覚の障害に注目し、その診断 法とともに知覚のゆがみの改善・修正のための治療指導法を開発した。Kirk は、1968年にLDの心理言語機能の障害の様相を分析するイリノイ心理言語 能力検査(ITPA)を完成させ、診断と治療教育を進めた。また、Mykle− bust(1964)は、 r心理神経学的学習障害」という用語を提唱し、心理神経学 的な学習障害を持つ子どもはどのような学習様式の、どのような学習水準でつま. ずいているか、ということを鑑別診断すべきことを示唆した。Ayres(1972) は、感覚の統合と学習瞳害児との関連性について、数多くの有意義な仮説を提供. 2.

(4) し、LlDの診漸と治療教育のために南カリフォルニア感覚統合検査(SCSI T)を開発した。その他、行動療法、薬物療法などに代表されるさまざまな治療 教育法が提案され、実用化された。.  これらさまざまな治療教育法は、逆に教育界での混乱を招くにいたり、LDの 各専門家の総合的診断チームの必要性が強調されている。  一方、わが国では、LDに関連する研究の先駆を切ったのは、小児医学、小児 神経学、精神医学、教育心理学に従事している研究者であった。彼らは、LDの 発生病理、診断基準、診断方法に関心を向け、かなりの数の研究成果をあげた。  しかし、LDの治療教育に関する研究・報告は少なく、教育、心理、医療など 学際的なアプローチが必要でありながら、現実的には、単独的な接近のしかたが ほとんどである。こういう現状において、医学、心理学、教育学の協力態勢に基 づく心理神経学的アプローチによってLDを持つ子どもの診断、治療教育を展開 している上村、森永らの、伊豆逓信病院小児リハビリテーション科の研究グルー プは優れた業績と多くの示唆を与えている、といえる。.  わが国の心身障害児教育界では、LDの問題がクローズアップされだしたのは ごく最近のことである。. 加藤(1983)は、特殊学級におけるLD児の治療教育の方法と内容について優れ た知見を得ているが、この他、学校現場でのしD児に対する本格的なとりくみは きわめて少ないのが現状である。多くは島倉(1980)の報告のように一般学級でL D児は手だてのないまま「問題のある子ども」として扱われ、また特殊学級にお いては、医療と教育のはざまの中で、どのような治療教育がなされるべきかわか らないままに、多動な精神遅滞として扱われている。これらの子どもたちは、学 習の問題だけでなく、多くは集団生活での適応が悪く、2次的情緒陸害を示すこ とがしばしば見られる。.  学習能力障害は、圭として読み、書き、算数といった言語性障害であるため、 学習能力障害が問題とされる年齢は、幼児期後半から学童期である。このため、. 乳幼児期とLDを対象にした研究は少ない。  LlD児をその既往歴、生育歴を通して見ると、乳幼児期といった早い年齢から いろいろな問題をかかえていることがわかる。  周生期においては、低体重出生、高度の黄だん、仮死といったいわゆるh igh risk babyの頻度が高い。.  乳児期では、異常に動きの多い子ども、またはおとなしく手のかからない子ど もであることがあげられる。また、神経質で緊張しやすい体質からくる数々の問 題を持つようである。この時期を言語発達の面から見てみると、なん語が少なか. 3. つたり、発声、ゼスチャーが少ないといわれている。生まれて間もない頃のこの ような問題は、その後の成長、発達を保障する場であるところの母子関係にも致 命的なダメージを与えることが考えられる。 幼児期では、多動とことばの問題、および不器用が注目される。読み、書き、. 算数などの言語性の障害を持つLD児の多くは、ことばの発達になんらかの問題 を持っている。ことばの発達の遅い子どもの申には、興味が限られており、人間 に対するより物に対する関心が強く、対人的な認知になんらかの問題を持ってい ると思われる子どもがいる。したがって、障害は言語性の面に限られているとい うわけではない。時間の判断、空間感覚、物の大小、方向、順序など、非言語性 の面に問題がある子どもがいる。これは、人に対する態度、感情、意図、思いや りなどに代表される社会的知覚(s。cial perception)も含んでいる。その結果、. 対人関係を含む社会的な認知に障害を持つことになる。このような非言語的な障 害により、全般的な経験は、より基本的なところでゆがみが生じると考えられる。 このゆがみは、子どもの全体的行動様式に微妙に反映し、それが環境に作用し、 そのはねかえりに対する反応パターンとして、さまざまな不適応行動を形成して いると考えられる。対人関係が主に両親、兄弟との関係に限られている幼児期で は大きな問題になることが少ないと思われるが、学童期に入り、学校での友人関 係が重要になっていき、LD児特有の、動作がのろい、不器用が加わると、仲間 はずれ、いじめのような不適応が起こることが考えられる。このことと学習上の 困難を考えると、学校ではかなり緊張の高い生活を強いられていると思われる。  学童期では、学習上の問題である、読み、書き、算数の璋害とともにこの様な 学校での不適応も無視することはできない。  アメリカでは、LDの思春期の問題として、登校拒否、家庭内暴力、非行など の情緒的不適応の問題がさかんに取りあげられている。LD児の予後については、 脳の機能障害に直接に結びつくさまざまな臨床症状よりも、そのパーソナリティ 特徴から派生する情緒障害、不適応などが重要な意味を持ってくる。これらの2 次的な諸問題は思春期になってはじめて現れるものではない。これは早期の、学 習に対する特別な援助および精神衛生上の配慮が必要なことを物語っている。.  B本における過去の学習能力障害に関する研究を振り返ってみると、そのパー ソナリティをトータルな面から見ている研究は少ない。  脳の機能障害という基盤が想定されたしD児においても、問題行動の発生に際 しては、必ず環境の影響が加わって生じている。したがって、子どもの取り扱い により改善されることもある。個々の璋害を分化させ、その解明にあたることも 必要であるが、子どもの場合、心身の諸機能がすべて発達の途上にあり、また、 各機能の発達は相互に密接に依存し合っている。このことから、ある原因が直接 にもたらす機能の損傷やそれがもたらす障害の範囲は、広範多岐におよび、パー. 4.

(5) ソナリティの全体的発達の過程にも:大きく影響する。発達の途上にある小児を人. 間全体から見ることにより、その治療教育に役立てるという立場から、LD児の パーソナリティを考えることが重要なものになってくる。  LD児のパーソナリティの特徴については、その子どもの行動特徴からある程 度推測することはできるが、その個人的、内的世界を理解することはむつかしい とvSえる。また、パーソナリティを考えていく場合、その子どもの主な生活空間. 皿. 研究目的  学習能力障害児を発達的に見ていくと、その臨床症状は、年齢とともに変容し、. 多動や注意集申困難、対人認知のかたよりなどは、多くの場合、発達にともない コントロールされ軽快していくが、学習上の問題、2次的情緒障害は残り、思春 期に入りそれが社会的な問題につながる可能性が高いといわれている。. であるところの家庭での家族関係を無視することはできない。年少の子どもにと.  :LDをもつ子どもは、非常に幼い時期から、神経質で緊張しやすい体質からく. って家庭というのは重要な社会学習の場であり、そこにおいて固有の自我が形成. る数々の問題を持つようである。また、学童期においては、言語、動作面(不器 用)での能力的問題、衝動のコントロールの困難など、むつかしい問題を持ちが ちである。これらの子どもは学校において、学習上の問題ばかりでなく各種の適 応上の問題もかかえているのである。  日本における過去の学習能力障害児に関する研究を振り返ってみると、学習能 力障害児のパーソナリティをトータルな面から見ている研究は少ない。  本研究においては、Y一一G性格検査の他、投影法である人物画検査により、 L D児の深いレベルの基本的なパーソナリティの特徴を考察し、加えて動的家族描. されるからである。.  LD児においては、多動や注意の集中の悪い子ども、または言語理解の悪い子 どもは一般の言語性検査を志向できない場合が多い。人物を含む描画は、幼少時 より比較的慣れ親しんだものであり、時間もあまりかからないことから、年少の 子どもやこのような特徴を持つLD児にもパーソナリティの検査として有効であ ると考えられる。.  描画による検査は、人間の身体牲や内言語がより直裁的に一枚の画面に表現さ れる。したがって、そこには人間の内界に依存する無意識の世界や不安、葛藤が 投影されやすい。特に単一の人物画法には、身体像を含んだ自己概念が投影され る。これは、周知のように知能検査、さらにはパーソナリティ検査として発達し. 画検査により、LD児の親子関係、対家族認知を調べたい。.  さらに、家族全員の描画を求める、家族描画法(Drawing−A−Family,D−A−F)が.  そこで本研究においては学習能力瞳害児の心理テストから見られるパーソナリ ティの特徴を明らかにするために、研究方法として、健常児とのマッチド・ペア・ テクニックを用い以下、三点を目的にし、研究を進め、さらに、3っの検査結果. Hulse(1952)によって試みられ、家族成員間の葛藤の理解に役立っとされ. を総括的に考察する。. てきた。. た。しかし、この方法は、多くの場合、たとえば父母、兄、妹といった出生順、. 年齢順に描画の大きさが示され、その心理的解釈は、家庭内の秩序や社会・経済 的な役割投影にとどまることが多いとさあているeこの家族描画法の教示に動的 要素を加味することによって、力動的家族描画が得られ、被験者の対家族認知に. 関する豊富な情報を知ることができる方法が、BurnsとK:aufman. ① 人物描画法から見られるパーソナリティの特徴を考察する。. ② 動的家族描画法により家庭の家族早撃、子どもの対家族認知に深くかか   わるパーソナリティの特徴を考察する。. (1970,1974)の動的家族描画法(Kinetic Family Draving ;以下K−F−Dと略記) である。.  子どもの生活空間を構成している人や事物に対する認知の特徴を外側から把握 し理解することは、必要なことであるが、その申から子ども自身の目を通して理 解された、彼の生活空間を構成しているものの意義についての理解は推測の域を. ③ パーソナリティの標準検査法であるY一一G性格検査により、パーソナリ   ティの特徴を調べる。. 出ないことが多い。K−F−Dはこの問題に対しある程度有効なアプローチの方法 であろうと思われる。.  本研究は、描画検査である人物画検査、動的家族描画検査、および質問紙法で あるY−G性格検査により、これらの諸検査から見られるLD児のパーソナリテ ィを明らかにしょうという試みである。. 5. 6.

(6) 皿. 研究方法. 表3動的家族描画検査の対象児の性別と年齢構成.  1. 対象  この研究の対象は、伊豆逓信病院の小児リハビリテーション科で、:LD、 LD. suspectと診断された35名の子ども似下、LD児群とする)である。な お、対照群は、大阪府下の小、中学校の健常な子ども35名工下、健常児群とす る)である。なお、健常児は、学業成績において遅れが認められず、教師2入による 検査場面での行動観察によって「問題なし」とされた子どもである。LD児群と健常 児群の性別と年齢構成は封応させてある。俵1). 10 11 12 13 14. 綿. 5. 6. 7. 8. 9. 性別. 国 f. m f. 紺 f. m f. m f. m f. m f. m f. m f. m f. 男. 女. 撤. 0 1. 1 1. 3 0. 4 0. 5 0. 5 0. 2 3. 3 0. 1 0. 2 0. 26. 5. 合計. 1. 2. 3. 4. 5. 5. 5. 3. 1. 2. 合計. 31. 表1 LD児と健常児の性別と年齢構成 表4 Y−G性絡検査の対象児の性別と年齢構成. 年齢567891011121314・合計 男. 性別. 通 f. 樹. O l. 合計. 1. m f 1 1. 2. m f 3 0. 3. m f 4 0. 4. m f. 5 0. 5. m f m f 5 1. 6. 3 3. 6. m f 4 0. 4. m f 1 1. 2. 女. m f 2 0. 28. 9. 性別 m f m f. m f. m f. m f. m f. 恥 f. m f. 男. 女. 燗. 1 0. 3 0. 5 0. 5 0. 3 3. 3 0. 1 0. 2 0. 23. 3. 合計. 1. 3. 5. 5. 6. 3. 1. 2. 7. 合計. 7. 35. 2. 10 11 12 13 14. 8. 鵯. 26.  LD児群35名のうち人物画検査を実施しえたものが34名、動的家族描画検査は 31名、Y−G性格検査は26名であった。それぞれの検査での、性別と年齢構成を 示すと、表2、表3、表4のようになる。なお、両群の性別と年齢構成は対応させて.  2. 手続き  LD児のパーソナリティを検討するために、 LD児と健常児に対し、次の3っの. ある。.  A.人物画検査  B.動的家族描画検査 表2人物画検査の対象児の性別と年齢構成. 心理検査を用いた。.  C.Y−G性格検査 以下、それぞれの検査の手続きについて述べる。なお、人物画検査の実施方法は、. 年齢  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 合計. ほぼKoppitz(1968)にしたがった。また、動的家族描画検査のための教示、. 一性別. その他については日比(1981)にしたがった 鵬 歪. m f. 田 f. m f. m f. m f m f. 旧 f. ㎜ f. 跡 f. 男. 女. 2 0. 27. 7. A.. 緻. O l. 合計. 1. 1 1. 3 0. 4 0. 5 0. 5 1. 2 3. 4 0. l l. 1).. 2).. 2. 3. 4. 5. 7. 6. 5. 4. 2. 2. 34. 人物画検査. 検査用具白紙(A4、28×21. dn)1枚、鉛筆(B)、およびケシゴム。 教示   「この紙に、人をひとり描いてください。頭から足の先まで全      部ですよ6マンガのようになってはいけません。ただ、てい      ねいに描いて下さい。しっかりやってね。」. 8.

(7) 3).検査事態 普通の個人面接嚇面で、適当な机に、上記の検査用具をおき、教        示を与えた後は、描画動作をできるだけ目立たないように観察し、        身体部分の描かれた順序、そして自発的に回せられたおしゃべり、        説明は他の用紙に記録した。描画完了時に、人物の性別をたずね、. 4. 分析の方法  A.人物画検査  前述したように人物画検査が田野検査として利用されてきたのは、1つには子ども の知的水準や発達段階を知る目的であった。そして、もう1っは、投影的に無意識の.        記録しておいた。. 欲求や葛藤などの情緒的側面を知る性格検査としてであった。このような、発達的見 地と投影的見地をとる立場は、互いにはっきり分れる傾向が見られたが、その両者の. B. 1).. 2).. 3).. 検査用具 白紙(A4、28×21.6㎝)1枚、鉛筆(B)、およびケシゴム。 教示   「この紙に、あなたを含めて、あなたの家族のみんなを描いてちょ. 相互関係を考慮に入れ組織的、包括的に調査、研究した人が:Koppitz,E.M. (1968)であった。これは従来に見られない接近法である。彼女はSullivan,.       うだい。家族のみんなが何かしているところを描いてね。しっか. H.Sの「対人関係理論(Interpers。nal Relati。nship Theery)」をもとに子どもの人.       りやってね。」. 物画について、次のような仮説を提出している。すなわち、rHFDは主として児童. 検査事態  普通の個人面接二面で、適当な机に、上記の検査用具をおき、教. の発達水準とその対入関係一 自己自身およびr意味ある他者(sign ificant。thers)』.      示を与えた後は被験者の描画行為を注視することなく自由に描力せ. に対する態度 一の反映である」、としている..      た。描画を拒否することはほとんどないが、そのような時には被験.  したがって、K:oppitzの方法によれば、5歳から12歳までの人物画は、一.      者を勇気づけ、その場を離れた。また描画完了時に、二二された人.. 方では精神発達を見る発達テストとして、他方でば対大的態度や対人的関心を見る投.      物像のそれぞれについて、野竹年齢、そして行為の内容を確認. 影テストとして分析され採点される。K:oppitz(1968)は前者の精神発達を見る 発達テストとして、30の発達項目の出現率を見ることにより子どもの発達泳準をと らえ、後者の投影テストとしては30の情緒指標をたて、それによリストレスなどに 対する児童の対処法あるいは意識的、無意識的な強い恐怖や不安のあらわれを把握.      し、用紙の余白に記入しておいた。. C. Y−G性格検査 1).検査用具 Y−G性格検査用繕(学童用、中学生用). (辻岡ほカS)と鉛筆. しようとしている。このようにKoppitzのいう発達項目および情緒指標は、綿 密な心理学的評価が行なわれ標準化されているのである。. 2).教示. 3).検査事態.  原則として検査手びきにしたがって行うが、年少児や理解の悪い 子どもは、個別に検査者が問題を読み、被験者がそれに答える形で.  本論文の研究において、著者はこのようなKoppitzの考えを支持した上で、. 行なった。.  通常の個人面接陽面で適当な机の上に、上記の検査用具をおき、. 見ることをねらいとし、5歳から12歳のLD児と健常児のそれぞれ30枚の人物画 に現われた情緒指標を分析、検討した。なお、Koppitzq968)の30の情緒指. 検査手びきにしたがい行なった。. 標は、次の2っの基準に合致するように決定された。. 分析の第一番目の方法として、人物画に現われた子どもの対人的態度や情緒的側面を. 3A. 1. 実施期間および各検査の所要時間. 繍. B. 所要時間.     :LD児群;昭和60年5月、6月、7月、8月     健常児群;昭和60年7月.9月. 各項目が年齢や成熟度とは無関係であること。ゆえに子どもたちの年齢の増加 につれて、出現の頻度が増加しないこと.. それはまれにしか発現しないもので、常に起こるものではないこと。その年齢. の子どもたちのすべてのHFDの15%、またはそれ以下の発生率を示している.  3っのテストをあわせて、所要時間は、個人差もあるがt人あた り、1時間程度であった。個々のテストについての所要時間は    1).人物廼鹸査    ;3分から10分.  Koppitzの述べている30の情緒指標の詳しい内容や判定基準などについて.    2). 動的家族描画検i査  ;5分から15分.  Koppitzが述べている30の情緒指標の他に、情緒指標の特質をそなえてい.    3).Y−G性格検査  ;30分から40分. る人物画の特像は.何人かの研究者により報告されている。著者は主にMacho− ver (1949)、K:oppitz(1968)、それにBueh(1948)の見解を参考にして 重要と恩われる17の人物描画の特徴項目を作成した。これらの17の特徴特長の内. 置あった。LD児群ではD、2)の描画検査で、健常児に比較してそ の所要時間が短い傾向が見られた。. ものであること。 は後述する。. 容、および判定基準などについては後述する。. 9. 10.

(8) の . のような17の特徴項目を分析、検幽した。  第3番目の方法は、人物像の描写の位置に関する分析である。人物像の用紙内にお.   . いとし、5歳から14歳のLD児と健常児の、それぞれ34枚の人物画に見られるこ. 004﹁0.  分析の第二番目の方法として、子どもの発達的側面と情緒的側面を見ることをねら.  . 胴体や四肢の塗りつぶし(少年9歳以上、少女8歳以上にあてはまる。) 手や裏部の塗りつぶし. 四肢の大きな非相称. ちょっと異なる場合には採点しない。) ρ07﹁9U・QU. により、描かれる場所によって独自の意味が付与される、としている(Koch, 1952)。人物画において、人物像の空間配置は、絵の他の構造的側面に比べると、描 画者の意識的な統制がむつかしいように思われる。このような描画の空間配置に関す る検討は、被験者の心理状態を知る資料になる、と思われる。ここではLlD児と健常 児のそれぞれ34枚の人物画検査における人物像の空間配置を調べることにより、そ の心理状態を検討することにした。なお、人物画の人物像の空間配置の判定の手続き. (一方の腕や脚が、他方の腕や脚と著しく形が異な. る。形は類似していても、大きさにおいて腕や脚が. ける配置について Machover(1949)は、重要な診断的指標と考えている。ま た、一本の樹の描写を求めるバウムテストにおいても、その空間配置を検討すること. (少年8歳以上、少女7歳以上にあてはまる。). 購. (垂直より15度以上像の軸が悔いている。). 過小四. (身長が5cm以下の像。). 過心像. (素面が23cm以上の像。). 透視像. (胴体や四肢の主な部分が透きとおって見える。). 皿群特異形態. については後述する。.  第4番目の方法は、人物画から知能・発達を主に検討することである。人物画から. 10. 小さ過ぎる頭. 見られる知能は、鈴木ビネー知能検査から見られる知能のような全般的な知的水準を. 11. 斜視. 測定するものでなく、乱言語性の知的能力である、といわれている。また人物画の描. (全身長の1/10以下の頭の長さ。) (両眼が内側または外側に集まっている。横眠は採 点しない。). 画能力の発達は、主に手先の協応運動能力の発達に関連している、とも考えられる。. 12.. 歯. (一本以上の歯。).  ここでは人物画から知能を算出した。そして、具体的には、LD児の33地域人物 画と健常児の29枚の人物画から、その知能・発達について検討した。. 13.. 短か過ぎる弓. 《腰の線までとどかないような短い腕。). 14.. 15.. (腰の下または膝までとどくような長い腕。) 長過ぎる腕 胴体と腕との間に空間なし. 1). Koppitzの30の情緒指標. 16.. 大き過ぎる手. (像の顔よりも大きい掌。).  以下、ここでは、Koppitz(1968)の文献をもとにして、30の情緒指標およ. 17.. 手の切断. (掌も指もない腕。像のポケットの背後にかくれた. びその採点1基準について述べる。以下のすべての情緒指標は、他に指示のない限り、. 5歳から12歳の少年少女にとって妥当性がある。これらの情緒指楓1.3っの群に 分けられている。1群は、人物画の質に関係した項目を含むものである。ft群は、人. 手は採点しない。). 18. 密着した両御. プロフィールの場合には、たった片方の脚だけしか. 物画にはめったに出現しない特異な徴標より成り立っている。皿群は、名年齢の子ど もたちの人物画に当然期待されてよい描写事項の欠如をチェックする。. (両脚がその間に全く隙間がないように密着している。 描かれていないとき。). 19. 生殖器. (リアルに、またどう見ても象徴的に生殖器が描かれ ている。). 20. 怪物または奇怪な像. 互群質的徴標. ひ澗以下のお化け、いやなコッケイな人間、奇怪な 像が子どもたちの技術の不足とか未成熟でなくて意 図的に子どもの方から描かれたもの。). 1. 部分の統合不全. (少隼7歳以上、少女6歳以上にあてはまる。1っあるいは それ以上の部分が、他の部分と結合していないか、部分が.    (まとまった.意味のある活動をしていない 21. 自発的に描かれた3人以上の像     無関連の数個の人物像.r一人の人間」を描. 1:本の線でかろうじてくっついているか、またはほとんど.     くよう要求されたとき、反復的に描かれた     像である。). くっついていない。). 2. 顔の塗りつぶし. (顔の全部また憾」その一部分を意図的に塗りつぶしてい. 22. 雲. (雲や雨や雪や、飛んでいる鳥の画。). る。「そばかす」、rはしか」のiSEes.を含む。顔や手をう. すく塗りつぶして皮膚の色をあらわす時は採点しない。). 11. 12.

(9) 17. 中央線. (身体の申心鞘あたりにそって描かれた線.ネクタイ、. ボタン、留め金、ズボンのボタン隠し、あらかじめ. 皿群欠如. 引かれた薄い線など。). 23. 眠の欠如. 假が全くないこと。閉じた眼や瞳の欠如は採点しな い。). a%η認凶30.                り   . 24. 鼻の欠如.  (少年6食以上、少女5歳以上にあてはまる。). 口の欠如. し、その占める人物像の広さを目測により、左領域と右領域を比較して、左領域に占. 胴体の欠如 腕の欠如. 3).人物像の位置の判定 人物画の人物像の左右の位置の判定については、図1のように用紙の中心線で分割. (少年6歳以上、少女5歳以上にあてはまる。). めるものが大きいならば左寄り、反対に右領域が大きいならば、右寄りであると判定. した。また、上下の位置の判定については、図1のように人物像の頭頂から用紙の上. 脚の欠如 足の欠如. (少年9歳以上、少女7歳以上にあてはまる。). 頸部の欠如. (少年10歳以上、少女9歳以上にあてはまる。). 異性の人物像. 横向きの顔 自己像以外の像     (明らかに自己像以外の像、母親像.友達の二等。). 紙からはみ出した画像 過大な頭部      (胴と同じ程度かまたはそれ以上の大きさの頭部。). ジ喉,. ● ● ● ● ● ● ● O ● ■ O ●. 1 2 5 6      3   4     1盈 −書7 △ 89012. 2).著者が追加した17の情緒指標. 端の距離と人物像の下端部三二など)から用紙の下端の距離をm単位で比較し、前 者の方が短いならば野寄リ、後者の方が短いならば下寄りとした。. 上下領域. a. a〈b…  上寄り. a>b… 下寄り. 一点以下の衣服 二二の横目 隠れた手       (体のうしろ側またはポケットに隠された手。) 耳の欠如. 図1 位置の測定法. 指の数の固違い 瞳孔の欠如. 抹消なし       (ケシゴムを全く二二せず描く。間違っても消さず重. 13..            ねて描く。) 弱い線または薄い線  栓体的に通常に描かれるよりも明らかに弱い筆庄、. 14..            薄い線の描写』) 強い線または濃い線  (全体的に通常に描かれるよりも明らかに強い筆圧、. 15..            濃い線の描写。) つながりのまずい描きなぐり線(スケッチ風の短い線を重ねるような線の描. 16..               写。) 左右対象の強調    (顔や腕.手のかっこうや形など細部にわたり左右対. 4).人物画による知能指数の算出. 人物画による知能指数の算出においてk rグッドイナフ人物画知能検査ハンドブ ック」 (小林,1977)にもとづいて採点した。. 5).資料整理. 人物画に関する資料の判定にあたっては、1)のKoppitzの30の情緒指標. 2)の著者の追加した17の情結指標、および3)の人物像の位置の判定について、その. 信頼性を高めるため著者と他2名が個別に判定を行ない、最終的には、この3者の合 議によって決定した。.            称的な人物像または、検査揚面において左右対称を            強調して描いた画。). 13. 14.

(10) 人物画検査においては、前述したように、Maehover(1949)が人物像の配置.  B.動的家族描画検査 一般に、子どもの描画は、客観的知的理解の結果であるというよりも、主観的情緒 的理解め結果である場合が多い。. を重要な診断指標と考えており、またKoch(1952)は、描画検査における画面空間 の意味について独自の考えを述べている。日比ら(1981)は、K−F−D描画の人物像の. 動的家族描画検査は、前述したように、Hulse(1952)の家族描画法(Draw ing AFamily, D−A−F)の流れをくみ、いわばこのD−A−Fの検査教示に動的要素を加味. 位置について次のように述べている。r検査用紙の空間処理、すなわち描写されたも. したものである。Burns&K:aufman(1972)は、主として精神分析的心理学. テストや、1本の樹木という具象的描画を求めるバウムテストなど、他の描画検査法.  くPSycb。analytic psych。1。gy)の立場から解釈を行なうことにより、被験者の対家. においても重要な診断的指標となる。ましてK−F−Dにおいては同一用紙内に家族全. 族認知に関する豊富な臨床的知見が得られることを明らかにしている。彼らは、K−. 員の描写を求め、しかも動的表現によって許容される描画の多様性が、被験者自身の. F−D描画について、4つ面からの検討を行なっている。すなわち、K−F。D描画の 中の個々の人物像の特徴、活動内容、描画様式およびK−F−D描画の中にある事物 について、である。また、日本においては、日比(1974, 1977)が、Burns&.  ここでは、家庭内における自己の心理・杜会的位置づけや家族関係によってフィー. Kaufmanの働点をふまえ、さらに広く家族認知とパーソナリティ形成の関連と. 的に、自己像、父親像および母親像の位置を検討した。. のの用紙内での位置は、単純な幾何学的図形の転写を求めるベンダー・ゲシュタルト・. 力動的家族認知の様相を投影せしめるものとなる」、である。 ド・バック(feed back)された自己概念、および力動的家族認知の様相を探ることを目. いう点から理論的基礎をLewi n, K.(1951)の場の理論(Field the。ry)に求めて. パーソナリティ形成の場としての、自分自身を含んだ家族関係に対する被験者の認知.  2).自己像と両親像の距離. 的構えに焦点をおき研究を進め、K−F−D描画についてすぐれた知見を得ている。.  自己像と父親像の二七および自己像と母親像の距離は、それぞれ自己の対父親認知、. 著者は、Burns&Kaufman(1970,1972}、および日比(1974,1977)の立. 対母親認知と大きなかかわりを持っている。K−F−Dの主要な眼目である家族内力動. 場を支持した上で、LD児の、両親および自己を中心とした対家族認知、および家族 成員の力動的様相を明らかにするために、LD児群と健常児群のそれぞれ31枚の. 性、すなわち家族関係そのものは人物像間の距離に表現されると考えられる。すなわ. K−F・・一D描画について、以下の8つの面からの検討を行なった。.  ここでは、自己像と父親像および自己像と母親像の最短距離を測定し、自己像がど. ち、家族成員間の親密性が人物像の重なり、接触、接近などの形で投影される。 ちらの人物像に近づけて描かれているかという観点から家族認知の様相を検討した。. 1).人物像の位置     ①自己像の位置②父親像の位置 ③母親像の位置 3).父親・母親・自己像の大きさ. 2).自己像と両親像との間の鹿離 3).父親・母親・自己像の大きさ.  D−A−Fと比較して、描画作業における自由度と多様性を許容しているK:・一F・・Dに. 4).父親・母親・自己像の描画順序. おいては、当該人物についての関’瓜興味は、その人物の大きさに反映してくると考. 5).父親・母親・自己像の顔の向き. えることができる。関心のある人物や、感情的こだわりのある人物を過度に大きく、. 6).父親・母親・自己像の行為. または小さく描くことにより肯定的あるいは、否定的な感情が投影される。日比ら. 7).描画の様式      ①包囲②辺縁位③区分④人物下線. (198Dは、人物像の大きさについて次のように述べている。すなわち. rK−F−Dに. 8).象徴. おいては、被験者の家族成員に対する心構えが、意識的にはもちろんのこと、無意識 的にも人物描写の基本的特徴としての人物像の大きさ(身長》に投影される」、であ. 1)から8)について、以下に述べる。. る。.  ここでは、両親および自己に対する心的構えを見ることを目的に、父親・母親・自 1).人物像の位置. 己像の大きさを検討した。なお、ここでは、大きさを単純に身長に限った。ここでい.  描画表現は、人間の心の内面的な状態をパターン化して表わす傾向があるといわれ. う身長とは、頭部の先端から脚部の方の末端までの直線最短距離(m単位)の実測値. る。描画には、意識レベルと無意識レベルの両方の精神状態が混在して表現される. である。. が、その描画を見て、被験者の精神状態を的確に把握することはむつかしい。そこで 一定の描画パターンを見て、そのパターンがどのように一般的パターンから外れてい. 4).父親・母親・自己像の描画順序. るか、あるいは病的なパターンに近いかを検討することにより、描画者の心の内面を. K一・F−D描画の検査教示であるrあなたを含めて家族全員を、何かしている姿で描き. 類推できるのではないかと考えられる。. 15. なさい。」を与えられ、だれを一番最初に描き、そのあとだれを描くか、すなわち人物. 16.

(11) 像の描画順序は、かなり意識水準における、家族に対する認知的構え、および自己意.  Burns&Kaufman(1972)は、このような描画の様式をr区分」、 r折り. 識を示すものであると思われる(日比,1985). 紙区分」、 「包囲」、 r辺縁位」、 r人物下線1、 r上部の線」、 r下部の線」の7.  ここでは、両親に対する認知的構え、および自己意識を探ることをねらいに、父親. つに分顛している。. ・母親・自己像の描画順序を検討した。. 5).父親・母親・自己像の顔の向き. 人物画検査において、人物像がいずれの方向を向いているか、人物像をどういう視.  ここでは、研究対象としたし、D平群31枚と健常児群31枚のK−F−D描画の中に はとんど出現しなかったr折り紙区分」、r上部の線1、およびr下部の線jを除い た包囲、辺縁位、区分、人物下線について、これらの様式が用いられた父親・ 母親・自己像を中心に検討した.. 点から描いているかということについて、あるいは、どういう表情をしているかにつ.  この4っの様式とK−F−D描画に一番よく見られる一般的様式について、それぞれ. いては、璽平な臨床的指標となっている(Machovert1949.日.比,1974)。. の心置とその臨床的解釈的意義とを、日比ら(1982)は、Burns&Kaufman.  一般的には、K一一F−Dの臨床的解釈において、正面は背定、横顔は半肯定(半否. (1970,1972)の見解をもとに臨床経験から得た知見を加味して、以下のように述べてい. 定).背面と倒置は否定感情が、それぞれ付加されたものとして考えられている。. る。なお、この5つの描画様式のモデルを図式すると図2のようになる。.  ここでは、家族の基本構成員であり、かっ一般に、一…e番多く描かれるところの父親. ・母親・自己像について、両親に対する認知的構え、および自己意識を探ることをね. ①一般的様式. らいに、この3者の顔の向きを検討したe.  ごく普通の、信頼感に満ちた家族関係を体験している児童のK−F−Dには、以下に 述べるような複雑な、あるいは明白な障壁は認められず、おだやかな友好的な相互作. 6).父親・母親・自己像の行為. 用の暗示される描画となる。 (図2−A).  前述したように、Burns&Kaufman(1972)のK一一F−Dの解釈において、 人物像の「行為(acti。n)」は、そのr様式(style)」、およびr象嵐(Symb。D」とと. ②包囲. もに重要な柱となっている。K−F−Dが家族画、その他の描画検査と大きく異なる点 は、描かれる人物像が行為・動作を伴うという点である。両親像の行為は、父親・母. 他者に対して、あるいは他者との関係における自分自身に開放的な感情的態度を持 ち得ないとき、他者あるいは自分自身を閉じ込めてしまう様式である。強い恐れや不. 親に対する認知様式を投影したものになると考えられる。また、自己像の行為につい. 安の表現と考えられるが、この様式は、たとえば、机、ブランコ、なわとび、自動車 などの形で巧妙に表現されることが多い。 (図2−B). ては、日比q977)は、次のように述べている.すなわち、 rK−F−Dに自己像をいか に描くかという問題は、両親像の嚇合以上に興味深いものがある。なぜなら、自己以 外の家族成員の描写は比較的“方的な他者認知の結果生ずるものであると考えられる のに対して、自己像に付加される諸要因は、他の家族成員との相互作用過程の中で、. ③辺縁位 知的能力に問題がなく、かつ防衛的な児童は、描画に際してのこじつけや特別の工. フィードバックされた自己認知のゆえに生ずるものであると考えられるからであるJ. 夫として、単純に人物像を用紙の周辺に沿って端に描くことがある。この様式を示す. である。. 被験者は相当に防衛的であり、面接に際しても強い抵抗を示し、間題の核心になかな.  ここでは、家族の二本的構成員であり、かっ共通して多くのK−F−D描画に描写さ れる父親・母親・自己像の行為について検討した。. 力配れたがらないような嚇合が多い。 (図2−C). ④ 区分 7).描画の様式.  K・一F・一D描画においては、その個々の人物像の描写に動的要素が加味されるところ. 素直な愛情表現の許されないとき、当該人物を線や四角形によって、それぞれ区別 し、孤立化した描画となる。この様式は、社会的に孤立した児童や、引っ込み思案の. に特写があるのであるが、このような描画の条件は、当然さまざまな描画の特徴を生. 児童の描画に多く認められる。また、家族間の感情的隔離を意味すると同時に、自他. み出す。日比(1985)は、描画の様式について次のように説明している。すなわち、. の極端な人工二二からの逃避を意味する二合がある。 (図2−D). 「動的要素が加味されたK−F−Dの描画課題の条件は、人物間の接近、離反などの描 写二二を生じさせる。そこに作用する被験者の心理的構えや対人認知の動機づけの要 因は、これらの人物像間の接近、離反を強調したり隠蔽したりするために意識的、あ るいは無意識的に、明確な、あるいは巧みなさまざまの描画特徴を示してくる。これ が、すなわち描画の『様式皿である」。. 17. ⑤人物下線 自分もしくは特定の家族員に対して不安感の強い揚合に、その人物像の下に線を引 くことがある。家族成員相互間の特定の人間関係の不安定性を示唆していよう。 (図2−E). 18.

(12)  8).象徴. 多くの無意識的なものは、シンボルを通して語られるという.前述したように、. K−F−Dの解釈についてBurns&Kaufmanは、描画の中に示された象徴を 重要な柱にしている。日比ら(1982)は、K−F−Dの象敬について次のように述べてい 一一一一。. る。すなわち、rK−F−D描画め中で、あからさまに具体的には示されないが、しか. ィレ. し確かな、ある感情を集約的に表現している場合がある.たとえば包囲の様式のよう に特定人物を囲むことによって、その人物への過度の関心や不安感、疎外感を表現し. e一一一一. ている場合や、普遍的な行為の描写の中に強い攻撃、衝動が隠されていたり、描画中 の具体的な事物に特殊な感情や葛藤が集約されていることがある。これらをひっくる めてK−F−Dにおける『象鼠』と呼んでいる」。. 2−A→窒的康式.  ここでは、LD児群と健常児群のそれぞれ31枚のK−F−D描画に認められた人物 像以外の、すべての事物を対象にし、そのうち出現頻度の地岐的高いものを検討した。. 鞭. 動的家族描画検査に関する資料の判定にあたっては、1)人物像の位置、2)自己像と. 両親像との間の鹿離、3)父親・母親・自己像の大きさの比較、 4)父親・母親・自己 像の描画順序、5)父親・母親・自己像の顔の向き、6)父親・母親・自己像の行為、.   ノロ も.  /   、.      . \1♪. 8)象隊、の7つの項目について、その信頼性を高めるため、著者と他の1名が個別に 判定した。その結果、すべての項目においてほぼ完全な一致をみた。また、7)描画の 様式については、著者と日比(滋賀女子短期大学教授)との合議により判定した。. ミー’. 2.C辺縁位. 2一一B 包囲.  ・,,,,. 一一. 十一一一一一 一一一一一一一. 2−E 人物下線. 2−D 区分 図2 描画の様式 ユ9. 20.

(13) C. Y・一一G性格検査. 1).Y・一一G性格検査の12尺度得点. を測定し、パーソナリティの資料とするものである。.  これは、多くの研究により標準化され、客観的、統計的立場からパーソナリテ ィを診断するすぐれた性格検査であることが知られている。.  ここでは、かなり意識的水準での、LD児のパーソナリティの特徴を探ること ねらいにY一一G性格検査の結果を以下のような分析方法により検討した。 .なお、これらの質問紙形式の性格検査では、質問内容の正しい理解が必要であ り、また、検査に対する態度が検査結果に大きく影響することが考えられる。本 研究においては、この点を考慮し、質問内容が正しく理解されていないと思われ る子どもや検査場面でなげやりな態度を示すもの、注意の集中が不十分であると された子どもにはこの検査は実施しなかった。. って呼ばれている。すなわち、.    09 D IOCAGTS.  Y−G性格検査は、賀問紙法に位置する性格検査である。これは性格に関する いくつかの質問項目をならべこれに対し自分の性格を内省しrはい」、「いい え」の2つか、またはrはい1」 「いいえ」、rどちらでもない」の3っに解答 を求めるものである。そして、その結果の統計的考察から、その個人の性格特性.  Y一一G性格検査で測定される性格特性は12あり、ここではそれぞれの得点に より、尺度レベルの検討を行なった。なお、各尺度は尺度名の英語の頭文字をも. 抑うつ性(Depress ion)     C回帰性傾向(Cyc l ic Tendency) ma ( ln fe r iority Feelings) N maElfjl ( Nervousness) !lptSl{!k)〈1pt( Lack e f Objectiv i ty). 協調姓欠如(Lack of(;o。perativeness). 攻撃性または愛想の悪いこと(Aggress iveness、 Lack o f Ageeableness). 「般的活動性(Genefal Ac t ivity)  R のんきさ(Rha thyrnia). 思考的外向(1h ink ing Extravers ion)A 支配性(Ascendance). 社会的外向(Social Extraversion). 2).Y−G性格検査の6因子 前述の12尺度は相互に深い関係があるものが相互に隣面して配列されている。. このように相互関連の強い性櫓特性を一群としてまとめたものが因子である。こ. 分析方法.  この検査の対象となった子どもはしD児26名と健常児26名であり、その性 別および年齢構成ば対応させてある。.  この検査結果を分析するにあたり、4つのグループを作り、そのグループごと. れは6つの因子が想定され、それぞれ情緒不安定因子(D,C,1,N)、社会 不適応因子(0,Co, Ag)、活動性因子(Ag, G)、衝動性因子(G, R)、. 非内省性因子(R、T)、主導牲因子(A, S)と呼ばれている。  ここでは、この6因子による検討を行なった。. に検討した。すなわち、第1のグループは、この検査の対象となったLD児26. 名と健常児26名である。第2には、7歳から10歳の、いわば年少のLD児 14名と健常児14名のグループである。第3には、11趨から’14歳の、いわ ば年長のLD児12名と健常児12名のグループである。第4には、7畿から 10歳の年少LD児と11歳から14歳の年長LD児のグループである。  このようなグループに分けたのは、主に次の2つの理由からである。すなわち、. 3).Y一一G性格検査の5っのパーソナリティ類型.  12尺度の性格特性のプロフィールにより、5っのパーソナリティ類型が想定 されている。すなわち、A型(平均型)、B型(不安定積極型)、C型(安定消 極型)、D型(安定積極型》、E型(不安定消極型)である。  ここでは、この5っのパーソナリティ類型による検討を行なった。. ひとつめは、LDが問題になりやすい、したがって出現率の多い7歳から10議 (小学2、3、4年)とそれ以上の年齢のLD児は、発達的に異質なパーソナリ ティの特徴を持っているのではないかと考えられたことである。ふたつめには、. 個人面接場面において、年少のLD児と年長のLD児とで異なった臨床的印象を 受けたことによる。.  本研究において、上記の4っのグループについて、以下3つの分析を行ない、 それぞれのパーソナリティの特徴を検討した。. 21. 22.

(14) 表6 情緒指標の数と種類 IV. 結果および考察 情緒指標. 緻. %. %. 櫨. A.5歳から12歳の、LD児と健常児の人物画それぞれ30枚に現われた情緒指標の. x2 lP. LD児群  健常児群. 1.人物画検査 一LD児と健常児の人物画それぞれ34枚を分析して一. 11. 36.7. 1. 3.3. 1. 33. 0. 0. 15. 50.0. 2. 6.7. 3. 10.0. 1. 3.3. 過大像. 9. 30.0. 6. 20.0. 透視像. 1. 3.3. 0. 0. 獺. 3. 10.0. 0. 0. その子どもたちに重度な情緒上の問題はないものと考えられ、また、1っだけの時には 必ずしも情緒障害の徴標としてこれを結論することはできないとしている。それに対し. 歯. 3. 10.0. 4. て、2個またはこれ以上の情緒指標の存在は、情緒上の問題や学校、家庭における不満 足な人間関係、不適応を強く示唆するもの、と考えられる。. 短か過ぎる腕. 10. 33.3. 4 1a3. 長過ぎる腕. 1. 3.3. O. 胴体と腕の間に空間なし. 2. 6.7. 4. 13.3. 手の切断. 2. 6.7. 1. a3. 密着し準両脚. 1. 3.3. 2. 6.7. 頭部の欠如. 4. 13.3. 0. 0.  LD児と健常児の人物画に現あれた情緒指標の種類と数について比較すると表6のよ うになる。表6を見るとしD児は健常児に比べいくつかの情緒指標を有意に示すことが. 足の欠如. 2. 67. 0. 0. わかる。. 目、鼻、口、胴体、腕、脚の欠如がLD児にそれぞれ1っ. 畷  ここでは、Koppitz(1968)の、子どもの人物画に現われる情緒指標の考えを適. 部分の統合不全. 用した。Koppitzは、5歳から12歳の子どもの人物画に限定し考察しているの で、ここでは13歳『14歳の子どもの人物画それぞれ4枚を除外し、5歳から12歳. 手や頸部の塗りつぶし. の人物画に限り.その情緒指標について述べることにする。. 四肢の大きな非相称. 1).情緒指標の数. 人物画の申に現われた情緒指標の数を、LD児と健常児について比較すると、表5の ようになる。人物画の申に現われた情緒指標が2つ以上チェックされた描画は、LD児 23枚(76.moに対し健常児5枚(la・moであった。これは、 L D児の人物画の中に2っ 以上の情緒指標が健常児のそれに比べX2検定によって有意(1%)に多いことを示して いる。また、健常児の人物画では、4っ以上の情緒指標を示すものが1枚もなかったの に対し、L,D児の人物画では7枚の描画に4つ以上の情緒指標が見出された。.  K:oppitzによれば、人物画の30の情緒指標うちで1っも現われない時には、. 購. 10.42. α01. 13.87. 0.01. a158. 〔L10. a354. 0」10. 4,286. ao5. 13.3. 0. 表5 情緒指標の数 情緒指標の数. LD児群(枚数) 健常児群(枚数). 0  1  2  3  4  5  6  合計. 4. 3. 10. 11 14. 4. 6 1. 3 o. 3. 0. 1. O. 30 30. 2).情緒指標の数と種類. すなわち、LD児は絵の各部分の続合の悪い人物像や、四肢の大きな非相称を示す人. 23. 24.

(15) 物像を描く傾向がある。また、頸部の欠如した人物像や、しばしば斜視や、短か過ぎる 腕の人物像を描きやすい、といいうる。. 以下、これらの情緒指標の中で、LD二二に高い出現率を示したものについて述べ る。また、LD二野に多く見られる情緒指標を示す人物画の例を図3から6に示した。 部分の統合不全(図3).  絵の各部分の統合不全は、LD児の人物画30枚のうち11枚に見られ、これは全体 のea 7%にあたる。健常児の人物画では、30枚のうち、わずか1枚で全体の3. 3%で. これは7歳、男子のLD児の. あった。これは両三で推計学的有意差(Pく0.01)が認められた。また、LD児の人物画の. 人物画である。戦争で負傷し. 中でも年少児(7歳一9歳)の描画にこの情緒指標が多く見出された。 絵の各部分の統合不全は、年少の未発達な子どもたちの人物画では普通の現象であ. 情緒指標として、肩・腕の. る。この徴標は男子7歳、女子6歳までは妥当性の高い情緒指標とは考えられない。. した17歳の男を描いた。 「部分の統合不全」、 「斜視. Koppitzによれば、この部分の銃合不全は、臨床愚者、攻撃性の顕著な子ども、. の副、および「歯jが認め. 就学困難児、特殊学級の生徒、そして最も特定的に脳損傷児の人物画にしばしば出現し、. られる。. そして、よく適応した子どもたちや成績のよい子どもの人物画には出現しなかった、と. 述べている。また、Machover(1949)は、人物画の統合不全は器質性のものか、 あるいは精神遅滞に依存するものである、と述べている。一方、Hammer(1958) は、これを情緒障害に起因するものである、としている。成人における研究では、人物. 図3 部分の統合不全・斜視の目. 画の統合不全は器質性と関係がある、とされている。.  統合不全は次にあげるものの1つあるいは数個と結びついているLD児のパーソナリ ティを示しているようである。すなわち、情緒不安定性、性格の統合不全、協調不全お よび衝動性である。統合不全はまた、発達の遅滞、神経学的損傷重い情緒障害による 退行、あるいはこれらすべてのものの結果と考えられるLlD児の未発達状態を示唆して. bA ネ申  __夷鯉.弓. t. いるようである。. 四肢の大きな二二称(図4).  四肢の大きな非相称は、LD児の人物画30枚のうち半数の15枚に見られた。健常 児については、人物画30枚のうちわずカ6.7%(2枚)であったeこれも両群で推計. これは12歳、男子のLD児. 学的有意差(P〈O. Ol)が認められた。この情緒指標も年少の:LD児の描画に多く現われ. 人物画である。野球選手を描 いた。情緒指標として、「四. た。特に5歳から8歳のLD児は、全員この四肢のバランスの悪い人物像を描いてい. 肢の大きな非相称1、r部分. た。. の統合不動の旧いくっか.  Koppitz(1968)によると四肢の極端な非相称は、臨床愚者や攻撃的な子ども、 脳損傷の子どもおよび特殊学級の生徒たちの描いた画の中にはとんどきまって現われ、. の項目が認められる。. 成績のよい子どもや、恥かしがりの子どもには、この情緒指標は現われなかった、と述 べている。四肢の極端な非相称は協応不良と衝動性とに関係しているようである。ま た、神経学的な機能不全の生育史をもった子どもと、そのテスト記録上に多くの器質的. 徴候を示している子どもの人物画にのみ現われるようである、とKoppitz(1968). 25. 図4 四肢の大きな非相称. 26.

(16) は述べている。人物画の四肢の非相称が、協応不良と筋肉的制御の貧弱さの結果である のか、または子どもたち力憾じている非協調感や不均衡感のせいであるh9ま確かではな. は、協応不良、身体的不器用さ、身体的違和などをも反映している、とMacho−. 覚協応運動機能の未成熟性を示唆しているようである。. これは11歳.女子のLD児の. 頭部の欠如(図5). 人物画である。9歳の男の子が バス停で待っている所を描いて. 頭部の欠如については、LD児の人物画30枚のうち4枚に見られた。これは13 3% にあたり、年長児(11歳、12歳》に多く見られた。健常児の人物画には見られなか った.これは両三tleMkiH学的有意差㈹.05)が認められた。.  頸部の欠如は、少女の9歳、少年の10歳までは、臨床的に妥当性のある情緒指標と. ﹁δ. ver(1949)は仮説している。.  四肢の極端な非㈱ま、次にあげるものの1つあるいは数個と結びついているようで ある。すなわち、LD児の持つ強い攻撃性、衝動性、協調不全および子どもが感じてい る不均衡感である。またこれは、LD児の持つ脳の神経学的損傷、その結果としての視. εこ. 記. い。人物画の相称牲における一般的異常は神経症的な症状であるが、また同時にそれ. いる。情緒指標として、 「頸部 の欠如」の他、 「傾斜像」、. 「部分の統合不全1が認められ る。. はいえない。Koppitz(1968)によれば、臨床的問題児や大脳損亡児、窃盗児の人 物画に有意にしばしば出現する.適応性の高い学童と糟神身体医学的疾患児には、この. 傾向は全く認められない、と述べている.この2群の子どもたちは、共通して自分自身 の内的衝動性に対する抑制傾向が高いのである。これに対して頸部の欠如というのは、. 図5 頸部の欠如. 未成熟や衝動性や内的制御不全と関係している、と思われる。これは、Macho− ver〈1949)のいう、頭部の欠如は未成熟の子どもたちや成人の退行性愚者の人物画に. 共通的に現われてくる徴標であるというのと一致している。Machover(1949) lk人物像における頸部の欠如はk衝動と行動に対して理性的続制を欠き、両者のかみ あわせのまずさをあらわす、と仮説している。      、. oza a.  このようなことを考え合わせると糠油の欠如は、LD児の衝動性、非内省性、過敏性 の主疑的な性質、およびその子どもの生り脳の神経学的損傷に関係するもの、と考えら. これは12歳、易子のLD児の. れる。. 人物画である。自己像を描いて. 斜視の目(図3). 過ぎる腕」、 「口の欠如」が認. いる。情緒指標として、r短か 両軸が内側または外側に集まっているような、斜視の人物画を描いたLD児は全体の. められる。. 10%(3人)であった。健常児の人物画にはなかった。これは推計学的有意差は認めら. れなかったが、:LD児の描画瀦徴を示していると考えられる。Koppitz(1968) は、斜視について次のように述べている。rこれは、他人に対して攻撃的な子どもたち だけが描くもののようである。この型の画は敵意と怒りの反映と解される。『斜視』を. 描く子どもの倉町には事物が彼にとってはk焦点外にあるという意味をもっているよう であるし、彼は他人と同じようには世間をみてはいないという意味をもっているように. 考えられる。彼はE真直ぐにはものを見ることができないほど頭にきている』のであ る。彼は他人が期待するような行動をとることもできないし、また.とろうとも思わな. 図6 短か過ぎる旧. い。i、また限は社会的交流機能だけではなく、個人の内的生活を表現している、と. MaGhoverq949)は述べている。. 27. 28.

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