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窪雲・olo
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動的家族描画検査から見たLD児の対家族認知、および家族成員の力動的様相 LD児の、両親および自己を中心とした対家族認知、および家族成員の力動的様相を 明らかにするために、LD児と健常児のK一・F一・D描画それぞれ31枚を検討した結果、
LD児について、以下のことが明らかにされた。
・人物像の位置に関する検討で、日比ら(198Dの研究、バウムテストの研究結果、お
よびGr貸nwald.M.の空間図式から次のことが明らかにされた。
D.自己像の位置の検討から、LD児の自己洞察に欠けた非内省性をうかがうことが できた。
2),父親像の位置の検討から、男子は家庭内において父親を活動的、攻塾的と認知し ており、また女子にとっては、父親は家庭内においてあまり意識されていない、と 推測された。
3).母親像の位置の検討から、男子は母親を活動的で心理的圧迫感や拒否感と結びっ いたものと認知し、女子は家庭での中心人物というイメージを持っている、と推測 された。
・ 自己像と両親像の距離の検討では、LD児群の男子は健常児群に比べ自己像を母親 像に近づけることが少ない傾向が見られ、これは母親に対する関心の薄さ、または否 定的感情が反映されたもの、と推測され、女子では逆に、母親に近づけて描く傾向が 見られた。
・ 父親・母親・自己像の大きさの検討では、LD児の男女で自己像を両親像に比べ小 さく描く傾向が見られ、これは自己の測・評価、自我の未発達、三三性を投影してい る、と推定された。また、母親像を大きく描きやすいことから、母親に対する肯定的 または否定的とらわれを反映している、と推測された。
・ 父親・母親・自己像の描画順序の検討では、男子は、母親二一自己像一父親像または 自己像一母親像一二二二の順がやや多く見られたことから、これは意識水準において、
父親よりも母親と自己の結びつきの強さを反映しているもの、と推測された。女子で は、父親像一二親像一自己像の順が多く、意識的なタテマエ論にもとつく家族認知の様 式が推測された。
・ 父親・母親・自己像の行為の検討では、父親像を、健常児群は「仕事をしている」
という姿で一番多く描き、LD児群は、「ボール遊び」であった。母親像の行為でも これはやや多く認められた。これらは、LD児の社会性の低さ、未熟性を反映してい るもの、と推測された。
自己像の行為では、LD児群は、健常児群に見られなかった「勉強している」とい う姿で描くものが多く見られた。これは自分に期待されている役割で、タテマエを描 いており、そのことに対する感情的とらわれを示している、と推測された。
・描画の様式に関する検討では、次のようなことが明らかにされた。
1).包囲の様式は、全体としてLD児群に多く見出されることが明らかにされ、特 に、人物像の単独包囲の様式が多いこと、兄弟に対する包囲が指摘された。これ は兄弟に対する劣等感を含む感情的とらわれ、かかわりの困難牲を反映している、
と推測された。女子においては、父親像と自己像に包囲が多く見られることから、
異性の親とのかかわりのむつかしさ、自己に対する感情的とらわれを見ることが できた。
2),辺縁位は、全体としてLr)児群に多く見られることが明らかにされた。男子で は両親像に多くこの様式が見られることから、家庭における他罰的態度の反映で あろう、と推測されたa女子では、自己像および母親像に多いことから、自己撞 着と、やや不安定な母子関係が示唆された。またこの様式は、LD児のK−F−D 描画の特徴のひとつである、と考えられた。
3).区分は、LD児群のみ出現した様式であった。男子は父親像、自己像に、女子 は自己像にこの様式が認められた。これは男女とも自己疎外感を持ち、加えて男 子は、父親との感情的交流のむつかしさが示唆された。
4),人物下線は、両三の女子には認められず、 LD山群の男子の父親像と母親像に やや多く認められた。このことから、両親、特に父親に対する不安感が示唆され た。
・ 象徴の検討では、学習、読書に関係するものである「椅子」、「机」、「書籍」が 多く描かれた。これは家族関係が疎遠で親密性に欠ける指標を意味し、また、学習に 対する葛藤が推測された。
・ 父親・母親・自己像の顔の向きの検討では、LD児群は全体として健常児群に比べ 横顔がやや少なく、正面が多く見られた。LD児で背面の表現は母親のみ見られ、こ れは母親に対する否定的感情が反映されたもの、と推測された。
3.Y−G性格検査
A. 7歳から14歳のLD児と健常児のそれぞれ26名の結果の比較
2群間における12尺度得点の比較検討LD児群と健常児群の12尺度ごとの平均値と標準偏差値は、表36のようになる。
表36 LD児群と健常児群の12尺度の平均値と標準偏差値
D
C
1 N 0 Co Ag 盆 G τ A S産
3.88 3.85 3.63
406
4.13 4.58 5.00477
3.42412
3.58400
LD
w
SD 2.79 2.17 2.13 2.70ao2 219
2.06L95
2.00 2.70 2.16 1.65nvli g2 9213. 58 13 1013. 81 13. 31 13 2314. 5214. 7314. 5813. 1714. ceI4. 94
なお、健常児群を基準にLD児群の12尺度得点の平均値の差のプロフィールを示す と図20のようになる。
まず、尺度別にみていくと以下のようになる。
D尺度
表36からD尺度は、:LD児群(3.88±2.79)〉健常児群(2.92±2.75)である。 D尺 度は抑うっ性(depress i。n)、すなわち、憂うつな、悲観的気分の強い、陰気な性質を示 すものである。これは推計学的有意差は認められないが、平均値の差が砿96と、LD児 群の方が高い。この点だけからすれば、LD児のやや憂うつな、ほがらかでない陰気な 傾向がうかがえる。辻岡(1965)によると、D尺度が高いものは、 r授業中の態度が不真 面目で、友人とは仲が悪く、落ち着きがなく、概して不適応児、問題児が多い。ほかに、
学校では、ほがらかでない、すなおでない、元気がないと評定されている」、としてい
る。
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C尺度
C尺度は、LD児群(3.85±2.17)〉健常児群(3.58±2.39)である。 C尺度は回帰性 傾向(cyclic tendency)、すなわち、気の変りやすい、驚きやすい、いわゆる感情的で あるなどの、気分変易性、情緒不安定の強さを示すものである。これは、LD歯群で平 均値においてやや高く出ている。
1尺度
1尺度は、:LD児群(3.63±2.13)〉健常児群(3.10±2.53)である。1尺度は劣等感
(in feri。fity feelings)、すなわち、自信のない、劣等感の強い、不適応感の強い性質 を示すものである。これも平均値においてLD歯群に高く出ている。
N尺度
N尺度は、LD児群(4.06±2.70)〉健常児群(3.81±2.55)である。 N尺度は神経質
(hervousness)、すなわち、心配性の、いらいらする、神経貿な性質を示すものである。
これも平均値においてLD児群にやや高く出ている。
o尺度
0尺度は、LD児群(4.13±2.〔E)〉健常児群(3.31±2.76)である。 O尺度は客観性欠 如(lack。f。bjectivity).すなわち、空想的、わがままな、過敏性の主観的性質を示 すものである。これは、推計学的有意差は認められないが、平均値の口受亀82と、かな
りLD児群の方が高い。 LD児のわがままで、過敏性の主観的性質を持つ傾向がうかが える。辻岡(1965)によると、0尺度の高いものは、r家では落ち着きのない子である。
友人が少なく、すなおで、しかられるとすなおにきき、口答えしない傾向があり、家庭 でのしっけは厳格である傾向がある」、としている。
Co尺度
Co尺度は、 LD児群(4.58±2.19)〉健常児群(3.23±2,63)である。 Co尺度は協調 性欠如(lack of cooperativenness)、すなわち、不満の多い、人を信用しない非協調的 な社会不適応性を示すものである。これは、推計学的有意差(P〈0.05)が認められた。平 均値の差においても1.35という高い値を示している。また、辻岡(1965)の学童の資料
(男子3.13±1,92、女子2.80±1.94)と比べても有意差㈹,01)が認められている。これ らのことは、LD児の非協調的な性格を強く示唆するものであろう。また、白票の情緒 不安定性と他者との協調関係との間には、密接な関係が想定され、この尺度は、前述の
C尺度や1尺度などとの関連で検討する必要があると考えられる。辻岡(1965)による と、Co尺度の高いものは、「授業中は積極的に発言せず、先生には非協力的である。
学業成績がよくない。特に低学年においてこの関係が強い。友達とは仲が悪い。すなお でない、学校での社会的適応がよくない。問題児が多い。神経質で、家でも学校でも落 ち着きがない」、である。
Ag尺度
Ag尺度は、 LD児群(5.00±2.06)〉健常児群(4.52±1.82)である。 Ag尺度は攻撃 性(aggress iveness)、または、愛想の良さの欠如(iack。f agreeableness)を示す。す なわち、気が短い、攻撃的などの自己統制のきかない性質である。これは平均値におい てLD児群の方が高い。この尺度は、辻岡(1965)によると「性格の良い面があらわれる
ときは社会的活動性となるが、情緒不安定と結合すると社会的不適応となりやすい」、
という。Y−G性格検査においては、12尺度全体のプロフィールの力動的解釈によっ てこそパーソナリティの全体的な理解が可能になると考えられる。特にこのAg尺度は 他の尺度との関連で社会的適応の姿を色分けしていく必要があると思われる。
R尺度
R尺度は、LD二二(4.77±1.95)〉健常児群(4.73±2.19)である。 R尺度は、のんき さ(rha thyruia)、すなわち、気がるな、のんきな、衝動的な性格である。これは、 L D 児群と健常児群でほとんど差が見られない。
G尺度
G尺度は、LD二野(3.42±2.00)〈健常児群(4.58±1.98)である。これは健常児群の 方が高い。G尺度は、一般的活動性(general activity)、すなわち、身体的活動性、活 発な性質である。これは、推計学的有意差㈹,05)が認められた。平均値の差において も1.16という高い値を示している。LD児の身体的活動性の低さ、活発・元気でない性 質を示している。一般に、LD児の行動特徴の一つとして多出性が指摘されているが、
これは一般的活動性が高い、というよりはしD児の響動性に結びつく注意集中困難や、
落ち着きのなさに関連するものと考えられる。一般的活動性とは、仕事が速い、動作が
きびきびしているなど、集中力の高さに関連した身体面・精神面にまたがる活動的性格 を示している。ぐず、不器用、運動が苦手などの性質を持つLD児が、自分を非活動的 な姿でとらえていることは、十分うなずける。
T尺度
T尺度は、LD二巴(4. 12±2.70)〉健常児群(3,17±1.98)である。 T尺度は、思考的 外向(th inking extraversi。n)、すなわち、考えが大ざっぱでのんきな性質、非内省的 性格を示すものである。これは推計学的有意差は認められないが、平均櫨の差において
LD児群の方がO.・95とかなり高い。 LD児の反省的態度に乏しい、非内省的傾向がうか
がえる。
A尺度
A尺度は、LD半群(3.58±2.16)く健常児群(4。62±1.77)である。 A尺度は、支配性
(ascendance)、すなわち、リーダーシップがある、引っ込み思案でない性質である。こ れはしD二二の方がかなり低く、推計学的有意差(P〈0.05)が認められたeLD児の脹従 的、引っ込み思案の性質を示すものであろう。
S尺度
S尺度は、LD児群(4.00±1,65)<健常児群(4.94±2.03)である。 S尺度は、社会的 外向(s。cial extfaversion)、すなわち、社会的接触を好む、外向的な性質である。こ れもしD児群の方がかなり低く、推計学的有意差㈹.05)が認められた。この尺度は、
他の尺度に比べLD児の標準偏差値が低い。これは全体的にまとまりのある傾向である と恩われる。これらのことはしD児の内向的で、対入接触をきらう性質を示唆するもの
である。
両群の12尺度の構造分析による検討
辻岡(1965)は、Y−G性格検査の12尺度の間の構造には、次のような6種のグルー プが見出される、と述べている。
1).情緒不安定因子(D,C,1, N)
この因子は、抑うつ性(D)、回帰性傾向(C)、劣等感(1)、神経質(N)に 関係するもので、情緒的な安定性・不安定性に関する因子である。
2).社会的不適応因子(0,Co,Ag)
この因子は、客観性欠如(O)、協調性欠如(Co)、コ電撃性(Ag)に関係する もので、社会的適応・不適応に関する因子である。
3).活動性因子(Ag, G)
この因子のAgは、上記の社会的不適応因子の一部と重複するが、攻撃性(Ag)、
一般的活動性(G)に関係するもので、非活動性・活動性に関する因子である。