6因子の得点、5っの性格類型について検討した。
2群間における12尺度得点の比較検討
2群間の12尺度ごとの平均値と標準偏差値は表46のようになる。なお、年少LD 児を基準に、12尺度の平均値の差のプロフィールを示すと図23のようになる.
表46 年少と年長のLD児の12尺度の平均値と標準偏差値
MiEEil[iE[iE[[[![1 露腓
一X
鷺鼎
soに
3 7913. ssI3. 14 13 71 13. 71 14. 5715. 21 14. 7 3 sa14. 1414. or14. M
2 5512 os11. oslZ 5511. esI1. 9111. esI1. 7311. 7712 oo12. 1311. 50
4.00
383
4.12 4.46 4.63458
4.75 4.83283
4.08 3.00 3.25 3.16 2.41 2.54 2」92 2.17 2.57 2.30 2.25217
2.94 2.14L54
2
1
e
一1
一2
DCINO Co Ag R G T A S
i i l i i
c l i … 1
i i
堰@ …
⁝⁝ … i : c … i
l l l } 1 c i i i l
; i 堰@ i
⁝⁝
, , 一 P戟@ i l
戟@ … i… : i l l
堰@ : : …\ il l F :
:⁝ i l ;
戟@ i i
蟹 堰@ : i i \i
戟@ l i i 噛…
i … 堰@ :
§⁝ 5 i i 筥…… i l
i i i i i 2 匿 5:l i i i ; \ i i i i ま \
…\\ i \ =
1 ; …
堰@i 、 i ・ ・ i …
c : i : i
i i 堰@ l
\︑i \暮 .1
… i ii i l
1 : … i ;
c i i i i: ! } 2 =
: :
堰@ i
⁝⁝ i i: i =
戟@ i l
Q ,
i i i : i
堰@l : : ii } i
i i; 量
c i
@ ⁝⁝ ⁝⁝匿
……
̲ i =1
図23 12尺度の平均値の差のプロフィール(年少LD児と年長LD児)
表46から、両三で推計学的有意差が認められたのは、S尺度(社会的外向働
㈹.05)である。これは年長L、D児群が低い。また、有意差は認められなかったが、
年長LD児群で比較的低くなっている尺度として、 G尺度(≒般的活動性) (平均値 差1.1O)、A尺度(支配性)(平均磧差1.07)があげられる。このことから年少に比 べ年長のLD児に、対人的接触を嫌う内向的性質が強く、また、非活動的、引っ込み 思案の性質がうかがえる。
年長LlD児群で、比較的高くなっている尺度として、1尺度(劣等感》 (平均値差 O. 98)、N尺度(神経質) (平均値差0.75)、0尺度(客観性欠如) (平均値差0.92)
があげられる。これらのことから、年少に比べ年長LD児に、自信のない、劣等感の強 い性質、心配性の神軽質な性質、および主観的傾向の強さをうかがうことができる。
両手の12尺度の構造分析による検討
6因子の平均値の比較を示すと、表47のようになる。両群で推計学的有意差が認 められたのは主導牲因子㈹.05)であった。これは年少に比べ年長LD児群がかな
り低い。また、有意差は認められなかったが、他に年長LD児群が比較的低かった因 子として、活動性因子と衝動性因子があげられる。
このことから、年少に比べ年長LD児では、非主導的性質、すなわち他人に影響さ れやすい主体性に欠けた性質、引っ込み思案で消極的な性質、および非活動的性質を
うかがうことができる。これは年長LD児の無気力で受動的な姿を物語るものである。
また、年長LD児に比較的高く出た因子として、情緒不安定因子があげられる。こ れは前述したように、この因子を構成している1尺度(劣等感)、およびN尺度(神 経質)が高かったことが影響したものである。これらのことから、年長LD児の、自 らの内部に問題を持ちやすくsしばしばノイローゼ傾向に結びつきやすい性質がうか
がえる。
表47 年少と年長のLD児の因子の平均値の比較
妙LD児群 年長kD児群 t検定
妙:LD児群 年長
FLD児群
t検定 情緒不安定ウ,C,1,塾D
3.62 4.10
繊Φ︐R︶
4.32 3.83
社会不適応
ヨ,C◎,Ag>
4.50 4.65
非内省性
iR,T)
4.43 4.46
活動性
ァ&G)
4.57 3.79
主導牲
iA,S)
4.36 3.13
*パーソナリティ類型による検討 両群の分布は表48のようになる。
両群で推計学的有意差が認められた 類型はなかった。年長:LD児群には D型は見られなかった。また、C型 が最も多く、全体の3分の1がこの 型である。不適応型であるB型.E 型を合語ると6人で半数にあたる。
年少LD児群では、 B型(35.脚 が最も多く、D型が少ない。また B型、E型を合せると7人で、全体 の半数以上にあたる。
不適応タイプのB型とE型を比
較すると、年少LD児にB型が多
く、年長LD児ではE型がやや多 い。このことから、年少LD児で
*P〈O. 05
表48 5類型の分布
年少u)児群 年長田児群
X2検定
N % N %A
32L4
2 16.7B
5358
3 25.0C
3 21.4 4 33.3D
1 7.1 0 0E
2 14.3 3 25.0不適応が外に現われやすく、年長LD児では不適応が内的なものになりやすい、
と推測される。
Y−G性格検査からみたしD児のパーソナリティ
LlD児と健常児のそれぞれ26名のY−G性格検査を検討した結果、以下のよ
うなしD児のパーソナリティ特徴が明らかにされた。・ LD児全体の12尺度得点の比較では、 d.,G, A, Sの各尺度に推計学的 有意差が認められた。さらに、6因子の比較から主導性因子に有意差が認められ た。これらのことから、協調性に乏しく、非活動的で内向的、消極的なパーソナ
リティ傾向が明らかにされた。また、LD児にB類型が有意に多く、これらのパ
ーソナリティの不均衡が外に現われやすいタイプであることが示唆された。・ 年少児の12尺度得点の比較では、D,Co,Tの各尺度に推計学的有意差が
認められた。さらに、6因子の比較から、社会的不適応因子に有意差が認められ た。これらのことから、抑うっ的傾陶が強く、協調性に乏しく、内省性に欠ける パーソナリティ傾向が明らかにされた。また、健常児にC類型が多かったのに対し、LD児では、 B類型が多かったことにより、:LD児と健常児は対照的な性格 特性を持っていることが明らかにされた。
・ 年長児の12尺度得点の比較では、G尺度とS尺度に推計学的有意差が認めら
れた。さらに、6因子の比較から主導性因子に有意差が認められた。これらのことから、非活動的で内向的なパーソナリティ傾向が明らかにされた。また、LD
児にD類型がまったく見られないことと、B、 E類型が多いことから、適応状態 の悪さが示唆された。・ 年少LD児と年長LD児の12尺度得点の比較では、 S尺度に推計学的有意差
が認められた。さらに、6因子の比較から主導性因子に有意差が認められた。これらのことから、年長LD児の内向的で主体性に乏しいパーソナリティ傾向が明
らかにされた。また、不適応タイプであるB、E類型の比較では、年少LD児で
はB類型が多いのに対し、年長LD児は、 E類型が多いことが明らかにされた.4. 3っの検査からみたパーソナリティの特徴
ここでは、これまでの検査を総括的に考察していくわけであるが、それに先立
ってr人間の発達」とこれらの3つの検査とのかかわりについて、ふれておく必
要があると思われる。Panet,P. Jackson,J.H. Ey,Hら、主にヨーロッパ
での精神医学者は、神経病理、精神病理の観点から、人格の階層説を提唱してい
る。
それによると、人格は生物学的な階層に属する行動様式を基盤にし、成長・発 達をするにつれ、順次、より高次の神経心理ないし心理的な行動様式を階層的に 形成していくトータルなものである、という考え方である。いうならば、これは 入格の形式に力点をおくものであると考えられる。
それに対し、Freud,Sに始まる精神分析や自我心理学では、人格は、
母子・家族・学校・社会関係の中で、まわりとの複雑な人間関係を通して、その 内容を満たしていくとされる。この過程で発生してくるのが、自我や超自我であ り、コンプレックスでもある。そして現実に対処し、自我を破局に落しこまない ようにするのが自我防衛としてのいろいろなメカニズムである。これらが日常行 動の主要なものである、とみるのである。つまり人格の内容にかなり重点をおく 考え方である。
一方、隠岐(1978, 1982)は、生下直後の新生児の行動は、生得的な生物レベル での行動プログラムによるものであり、そのプログラムは、はじめは母子相互関 係の揚の社会学習を保身されながら、乳児自身がさまざまな社会関係づけを続け ることによって、逐次、行動は社会・文化的プログラムに組み替えられていく。
これが繰り返されることによって、子どもは生物レベルでのrヒト」から、いく らか社会レベルのrひと」へ、さらに文化レベルでのr人」と成長・発達する。
また、これを支えて保障する場も、それらと密接な関係を保ちながら母親→家族
(父親、兄弟、その他)→学校(友達、教師)→社会へと、その関係を複雑に拡 げながら、子どもの成長・発達を決定づける、と考えている。これは、いわば人 格形成の形式と内容を人間発達という面からみようとするものであるといえる。
ところで、これら人格をみようとする諸検査にも、さまざまなものがある。す なわち、人格の生物的階層に重点をおくゾンディテスト(Szondi test)や深い無
意識層にアプローチするロールシャッハテスト、TAT(絵画統覚検査)、夢分
析、無意識層をみようとする人物画検査、すでに意識下に抑圧されてしまった、人格が形成される過程を明らかにしょうとする動的家族描画検査、および意識層 にかかわっている質問紙検査(Y−G性格検査、向性テスト)である。
この研究で、諸検査のうちから、特に人物画検査、動的家族描画検査、Y−G 性格検査の3つの検査を実施した理由の1っも、LD児のパーソナリティのいく
つかの階層にスポットライトをあてることにより、そのパーソナリティの特徴をより具体的にみようとしたからである。もとより、この3つの検査の中にも、そ れぞれ無意識面や意識面が反映される項目もある。また、これらの検査には、い
くつかの制約や限界があり、これらによりパーソナリティを全体的に把握、理解 するものでもない。あらかじめ、このような点を考慮に入れた上で、この3つの 検査の結果を比較していくことにする。
まず、LD児のパーソナリティの基底部分をなす無意識層であるが、人物画検
査からみる限りでは、情緒不安定性、衝動性、攻撃性、敏感性と鈍感性、頑固さと固執性など、中枢神経系の深部の情動回路(Pape2)機能が比較的ストレートな 形ででていると認められたこと。未熟性や母親への依存性、強迫的感情の存在す
ること。さらに、知的に問題はないにもかかわらず、人物画からのIQが低く、
不器用でかっ非言語性能力の低さがうかがオ)れること。以上の特徴から、LD児 は成長・発達の過程においてsいくつもの葛藤状態におかれたり、絶えざるフラ ストレーションの状祝におかれざるをえないことが容易に想像される。
一・方、動的家族描画検査の結果をみると、LD児は、自己洞察に欠けた非内省 性(自己像の位置)、社会性の低さ、未熟さ(人物像の行為、父親・母親・自己 像の大きさ)と期待されているタテマエへのこだわり(自己像の行為、描画順 序)、自己撞着(描画様式;辺縁位)、学習への葛藤(象徴)など、家族内力動 の歪みやねじれを反映するものが特徴的であった。
すなわち、LD児は、男子、女子によって異なるが、男子は、父親を活動的、
攻撃的な存在と認知(父親像の位置)し、父親との感情的交流のむつかしさや、
父親像への不安感、自己疎外感(描画様式;区分)を持つことが多い。
また、意識水準では母との結びつきの強さ(父親・母親・自己像の描画順序)
を感じているが、反面、無意識層では、母親の活動性(母親像の位置)に反応し 心理的圧迫感や拒否感など否定的感情(父親、母親像と自己像の距離、母親像の 顔の向き)を持っている。このことは、当然、母子間の葛藤を多くしていると考 えられる。
一方、女子では、父親像は稀薄(父親像の位置)なものが目立っ。また、父親 へのかかわりのむつかしさと不安(描画様式;包囲)を示したものが多い。それ に対し、母親を家庭での中心的存在(母親像の位置)とみて、関心(自己像と母 親像の距離)を持つが、現実には、不安定な母子関係(描画様式;辺縁位)がう かがわれた。
さらに、男女ともLD児は、兄弟に対し、感情的かかわりの困難さ、劣等感
(描画様式;包囲)を示すことが多かった。
このように、LID児は家族関係が疎遠で親密さに欠け、家庭においても孤立的 世界(象徴)におかれ、家族への他罰的態度(描画様式;辺縁位)が目立っ一 方、学習に対する多くの葛藤の存在(自己像の行為)は特に顕著であった。
LD児は、これらの葛藤を乗り越えられないまま、歪んだ様式でこれに耐えざ
るをえないようである。この点を意識レベルをアプローチするY−G性格検査がとらえていると考えら
れる。
具体的にいうと、年少LD児では、 D, Co,Tの各性格特性、社会的不適応
因子(ともに有意差あり)に特異性が認められた。つまりこれからすると、その 性格特徴は、抑うっ的で、協調性に乏しく、内省性に欠けるB型が多い、といえ る。しかし、年長LD児になると、 G、 Sの性格特性、主導性因子(ともに有意差あり)からして、非活動的、内向的なB,E型に移行していくことがみられ
た。
ともあれ、LD児は全体的にみて、 Co,G, A, Sの各性格特性、主導性因 子(ともに有意差あり)から考えて、協調性に欠け、また非活動的、内向的、消 極的で、まわりの「まなざし」や「ささやき」を敏感に感じ、それらを気にしな