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1記.

これは10歳.男子のLD児のK−F−D描画である。囲碁をしている父親 像、料理をしている母親像、TVゲームをしている自己像および勉強して いる姉の像を描いている。両親と姉の像が辺縁位で描かれている。また、

母親像は包囲の様式で背面で描かれている。

        図15 描画様式2 〈辺縁位〉

 表31によると、全体としてややLD児群に高い出現率を示しているが、健常児群は 父親・母親・自己像にこの様式がしばしば用いられている。LD児群で全体として高く なっているのは、兄弟に対しこの様式が多く用いられているためである。

 臼比ら(1981)は、行動障害群の描画菊徴の研究の中で、この様式は情動薩害群く登絞 拒否群く精神障害幽く非行群の順に多く見られ、包囲は、言うならば当該人物を「カッ コでくくる」ような感情体験のあらわれである、と述べている。包囲した人物像に対す る不安や恐れなどの感精的とらわれを反映したものであろうと論われる。

 LD児群では、前述したように、兄弟に対しこの様式が多く、しかもそのすべてが兄 弟のみの単独包囲である。このような兄弟の単独包囲のK・一F−D描画は、LD児群に7 枚(22.脚であったのに対し、健常児群は1枚(3.2%)のみであった。これは、LD児群

にかなり特徴的なものと言える。これは、兄弟に対する劣等感を含む感情的とらわれ、

兄弟とのかかわりの困難性を示すものであろうと考えられる。またしD児と他の兄弟に 対する両親の関係性が異なったものになっているということを反映しているのか、と推 定される。LD児群の女子は、父親像と自己像に対し包囲が多く見られた。これは異性 の親に対する関係の困難性と、そういう自己に対する感情的とらわれを示すものであろ

う。

 :LD晶群では、人物像の単独包囲がほとんどであるのに対し、健常児群では、父親・

母親・自己像を含む家族全体を家によって包囲するK−F−D描画が、3枚(9.mo見られ た。これは、家族のまとまり、帰属性の意識といったものが感じられる。日比(1985)は この包囲が我が国で高頻度に認められることに対し、アメリカでのBurns& Kau fman  (1972)の資料と比較し、次のように述べている。すなわち、「この描画の様式は、周 囲への依存や独居することの不安などとも関係すると思えるから、他者志向的態度や日 本的内閉的生活感覚を意味する描画特徴なのであろう」、である。

2).辺縁位

 出現率(%)を示すと表32のようになる。なお、辺縁位の例を図15にあげた。

      表32 辺縁粒の出現率(%)

LD児群

男女

15.0 Q5.0

16.7 16.7

2L7

43

24.0

40.0 25.0

71 4aO

26.7

包5

7.7

12.5 16.7 15.3

健常児群

0 0

10.3 0

13.8

0

12.9

表32によると、辺縁位は全体としてLD児群に多いが、特に、女子が高い割合を示 している。健常児の女子にはこの様式が見られないことから、LD児の女子のひとつの 特徴としてとらえることができる。また健常児群の男子では、母親像と自己像に多く、

:LD児群の男子では、両親像に多く見られた。

 この様式は、一般に強い自我防衛を示すものとされている。日比ら(1982)は、この様 式について次のように述べている。すなわち、「知的能力に問題がなく、かっ防衛的な 児童は、描画に際してのこじつけや特別の工夫として、単純に人物像を用紙の周辺に沿 って端に描くことがある。この様式を示す被験者は相当に防衛的であり、面接に際して も強い抵抗を示し、問題の核心になかなか触れたがらないような場合が多い』、である。

また臼比ら(1982)の行動瞳害群のK:一F−Dの資料に比べ、本研究では、やや高い出現率 を示すことから、この様式はLD児のK:一F−D描画の特徴であると言うことができる。

 LD児群の男子では、両親像に多くこの様式が用いられていることから、家庭におけ る他罰的態度の反映でないかと考えられる。LD児群の女子では、この様式が両親、特 に母親と自己像に見られることから、不安定な母子関係がうかがえる。健常児群の男子 では、自己像と母親像に多く見られることから、自己撞着と、やや不安定な母子関係が

うかがえる。

3),区分

出現率(%)を示すと、表33のようになる。なお、区分の例を図16にあげた。

       表33 区分の出現率(%)

父親像 母親像 自己像 全体

0 4.2

乳1

ao

LD児群

10.0

男女 a3

O

42

o 0

25.0 20.0

o 0 o 0

健常児群

o

0 0

0 0

o 0

0

 表33から、この様式は健常児群には全く見られず、LD児群は、男子が父親像と自 己像に、女子は、自己像に見られる。

 区分は、一一般に孤立、逃避のサインであるとされている。臼比ら(1982)は、この様式 について次のように述べている。すなわち、「素直な愛情表現の許されないとき、当該 人物を線や四角形によって、それぞれ区別し、孤立化した描画となる。この様式は、社 会的に孤立した児童や、引っ込み思案の児童の描画に多く認められる。また、家族間の

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これは10歳、男子のLD児のK−F−D描画である。母親像は省略されて いる。ビールを飲んでいる父親像と勉強している自己像が描かれ、その間 は線で区分されている。これは父親との感情的交流の困難さを物語るもの である。

       図16 描画様式3 〈区分〉

感情的隔離を意味すると同時に、自他の極端な人格障害からの逃避を意味する場合があ る」、である。

 LD児群の男女とも自己疎外感を持ち、加えて男子は、父親との感情的交流のむつか しさがうかがえる。

4),人物下線

出現率を示すと、表34のようになる。なお、人物下線の例を図17にあげた。

       表34 人物下線の出現率(%)

asl[EwiElofiE

健常児群

8.3

5.5 0

10.5

O 0

4.3

0 0

男 4.8

3. 8

o o

o o

12. 0

o

3. 8

女 0

o o o

10. 0

3. 2

  ザ

   vr

M.各LN,

7   ︵

︸︷

♂/葛.

P

墜こ

これは10歳男子のK−F−D描画である。母親像は描かれていない。左 に自己像、右にやや小さく父親像が描かれている。父親像は、その下にお かれている釣りざおにより人物下線の描画様式となっている。父親との関 係における不安定性を示している。

       図17 描画様式4 〈人物下線〉

 表34によると、この様式は両群の女子には見られない。LD児群の男子は、父親像 と母親像に見られた。また、健常児群の男子は、父親像に見られた。

 人物下線は、自他に対する不安の表明が、当該人物像の下部に、単数もしくは複数の 線を引くことにより、示されてくるものを呼んでいる。日比ら(1982)は、この様式につ いて次のように述べている。すなわち、r自分もしくは特定の家族員に対して不安感の 強い場合に、その人物像の下に線を引くことがある。家族成員相互間の特定の人間関係 の不安定性を示唆していよう1、であるe

 :LD児群の男子は、両親、特に父親に対する不安感を、健常児群の男子も若干、父親 に対して同じものを持っていることを意味するものであろう。

 H.象儀

 K・一F−D描画の申に示された具体的事物について検討した。対象となるK−F−D描画

は、LD児群の31枚(男26枚、女5枚}と健常群群の31枚(男26枚、女5枚}

である。また、健常児群とLD児群のK−F−D描画の中に、それぞれよくみられる代表 的象徴を示す例を図18、19にあげた。

描写された事物(%)を示すと表35のようになる。なお、3っ以上みられた事物の

み示した。

  〜@ の誠  

窪雲・

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